>>53の続きです。
彼女はしばらくの間石川の寝顔を見つめていた。
が、やがて彼女の枕元にひざまづく。
右手を伸ばすと、さっき乾かしたばかりの栗色の髪にそっとふれる。
「綺麗な黒髪だったのに、ちょっともったいないかな……」
石川の髪をすくように撫でる彼女の右手。
髪をいじりながら、いつしか妖しく高鳴ってくる吉澤の胸。
思わずいたずらしたくなって、右手の指をそのまま石川の顔に持っていく
吉澤。
「梨華ちゃんて、ホント可愛いな。お肌もツルツルだし、シミとかも
ないし……」
おでこの生え際から鼻すじ、頬にかけて指をすべらせていく。
「羨ましい……あたしなんか、ホクロいーっぱいなのにさ」
人差し指で石川の鼻の頭を撫でる吉澤。
赤ちゃんみたいなすべすべの白い肌、長いまつげ、綺麗なピンク色の唇……
つぶらな彼女の瞳は、今は閉じられていて見えなかった。
「ううーん……」
石川の顔が、ゆっくりと左右に振れた。あわてて右手を引っ込める吉澤。