ものがたり

このエントリーをはてなブックマークに追加
1なつやすみ
      「むかしのこと」

それはなっちがちいさかったころ、まだ家のまわ
りにはたんぼや畑がいっぱいあったころ、なっち
はいっぴきのくろい子猫をひろいました。
ひみつで飼うことにしたその猫の名前を、何とつ
けたかはもう覚えてはいませんが、それはなっち
の生まれて初めてのたからものでした。

しばらくしてなっちはその猫に母親がいることに
気ずきました。母猫はくるったように子供を呼び
ます。でもなっちはその子猫をてばなすことがで
きませんでした。
そうして子猫は日に日に弱り、やがて動かなくな
りました。どうすることもできなかったなっちは
何時間もなきつづけ、その猫を野原にうめました。
ごめんなさい ごめんなさい
といって泣きながらうめました。