「●(#´▽`)´〜`0 )Love〜いしよし●」
「……」
声を押し殺し、指で涙を拭いながら泣く石川を、吉澤はやはり感情の
こもらない目でじっと観察していた。
ふと、吉澤の右手が涙で濡れた石川の頬に伸びる。
石川はきつく目を閉じて、全身を強ばらせた。
殴られる、と思ったのだ。
が、次に吉澤がとった行動は、石川にはまるで予測のつかないことだった。
「泣かないで」
やはり低い声で抑揚なく言って、吉澤はそっと石川の頬を撫でた。
それは殴られるよりもよほ、石川には驚くべき事態だ。
吉澤が、自分に優しくふれるなんて。
「ひ、とみ…?」
「……」
石川に触れたまま、吉澤はまた押し黙る。
何とも気まずくて、石川はふと目を逸らしてしまった。
吉澤はまっすぐに、目を逸らすこともせずに、石川を見つめている。
思い切って、石川は一度伏せた顔を上げてみる。
吐息が触れるほどの至近距離で、まともに吉澤と視線がぶつかった。
石川の鼓動が高鳴った。
深い、深い夜の色があった。
間近で見る吉澤の目に、ほんとうに吸い込まれてしまいそうな錯覚を石川
は感じた。
一瞬、悲しみも怒りも忘れて、石川は景色にでも見とれるように吉澤の目
に見とれた。
吉澤の性格はともかく、見た目だけなら石川は確かに吉澤のことが好きだ
った。
「…わたし」
無意識のうちに、石川は口を開いていた。
「やっぱり、優しくして欲しいな…ひとみには…」
なぜそんなことを言ってしまったのか、石川自身にもほんとに不可解だった。
吉澤と出会ってからの石川は、自分自身で考えてみても明らかにおかしかった。
その時、吉澤の表情に、陰とも切なさともつかない微妙ななにかが浮かんだこ
とに、石川は気がつかなかった。
吉澤の顔が、斜めに傾いた。
唐突に唇を重ねられても、石川はよけることが出来ない。
抵抗する術もなく、思考も、吉澤に見つめられるだけで霧のように消えか
けていた。
ようやく我に返ったのは、口内に舌を入れられた時だった。
「やっ…」
小さく声を上げ、石川はベッドから離れようともがいた。
が、逆に吉澤に引き寄せられ、ベッドに引きずり込まれる結果となった。
また吉澤の唇が近づいてくる。
石川の手が吉澤の口を押さえた。
「やだよ…っ、こんなの…」
「優しくする。それでいいでしょう?」
「…あ、あの、そういう事じゃなくって…」
石川はようやく、自分がとんでもないことを言ってしまったことに気が
ついた。
(あ、あんな言い方したら、…優しくしてくれるなら、してもいいみた
いに思われるじゃない…)
そんなつもりではなかったのに、と後悔してももう遅かった。
吉澤の手が優しく、けれど手際よく、石川のパジャマを脱がせてしまう。
石川は慌てて胸と性器を手で隠した。
その手をどけようとして、吉澤が言う。
「暗くて、どうせ見えないよ」
「けど…っ!」
恥ずかしいことにかわりはない。
石川は決して手をどけようとはしなかった。
すると吉澤は目標をかえ、石川の首筋に唇を寄せてきた。
首筋をなぞられ、耳元には吉澤の吐息がかかる。
「あ…」
他の場所に気を取られていた石川は、不意をつかれて身をよじった。
胸を隠していた手が離れた瞬間を吉澤は見逃さなかった。
はだけられた乳房の上に吉澤の手がおかれる。
吉澤は石川の乳房を下から持ち上げるようにもみほぐし、
コリっと、石川の胸の先端を指でつまんだ。
「ン…ッ!」
つままれた個所から、すぐさま電流のような甘い刺激が石川の身体に流
れた。
以前なら痛みしか感じなかったはずの乳首が、たった一度のセックスで
鋭敏な快楽の塊に変わり果ててしまっている。
(私の身体…おかしいよ…!)
初めてのセックスからまだ半日しか過ぎていないのに、石川はどこに触
れられても怖いくらいの快感を感じていた。
吉澤の手には、何か仕掛けがあるのではないかと真剣に疑ったりもした。
感じるはずのない性感が、どっと荒波のように押し寄せてくる。
「や…そこ…ぉ…っ」
やめて欲しくて放った言葉は、甘ったるく逆に誘っているかのように聞こえた。
石川はぱっと両手で口を押さえる。
その隙を吉澤が見逃すはずもなく、石川はあっけなく性器を捉えられた。
「や、んっ」
石川は歯を食いしばり、何とか声を堪えようとしたが、無駄な努力だった。
吉澤の手が、ゆっくりと石川のソコをなぶり始める。
「あ、あっ、ん、、ふ…ぅ」
吉澤の手で愛撫されるのは、とろけそうなほどに気持ちがよかった。
石川の肢体から、どんどん力が抜けていく。
「昼間あんなにしたのに、もう?」
少し弄られただけで陰部を濡らしてしまった石川を揶揄して、吉澤は薄く
嗤った。
入り口の溝をくすぐる吉澤の指と、石川の陰部の間に透明な糸がかかる。
そんな屈辱的なことを言われても、石川には抵抗する気が起こらない。