「●(#´▽`)´〜`0 )Love〜いしよし●」

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642ブラインド・ウォッチメイカー
しかし、石川も一歩も引こうとしないし、後藤の口もいっこうに減らない。
「なんで、ひとみがそんなに偉いの?ちょっと親がお金持ちなだけでし
ょう?」
「まさか知らないの?」
後藤は心底呆れたような顔をした。
「この学校どころか、この街全体がひとみのお父さんのものみたいなもの
なの。駅前から山に至るまでのほとんどが吉澤家の土地だし、この街の工場
とかだってそうだよ」
「えっ…?」
「真希、黙って」
吉澤が命令しても、後藤は黙らなかった。

「ひとみ、どうしてこいつに教えてやらなかったの?ひとみらしくないよ。
どーしてちゃんと躾ないのさ?」
「あなたたち…どうかしてる…」
石川はもう怒る気力もなくして、へたりとその場に座り込んだ。
もうどうにでもしてっ、という心境だ。
「住みたければ勝手に住んで下さい。もともとこの部屋は私の持ち物って
わけじゃないんだし」
「あなたに言われなくてもそうするわよ。ね、ひとみっ」
石川と後藤に挟まれて、吉澤はまたため息をついて何度も頭を横に振った。
どうやらこの事態は、吉澤にとっても不測のことのようだった。