「●(#´▽`)´〜`0 )Love〜いしよし●」

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604ブラインド・ウォッチメイカー
強引に席を替えさせられた生徒は、酸欠の金魚のように口をぱくぱくさせ
唖然としている様子だった。
しかし吉澤の強権発動に為す術もなく、諦めたように後藤に席を譲った。
石川の隣に座ると、後藤は輝くような笑顔で石川に話しかけた。
「初めまして。よろしくね」
「う、うん…こちらこそ…」
石川も仕方なく挨拶を返すが、内心は落ち着かないことこの上ない。
すぐにでも吉澤に事情を問いただしたかったが、まさかクラスの面前で
そんなことは聞けない。

石川はもう一度、隣に座る後藤真希の顔をよく見た。
(すっごく、かわいい。わたしなんかよりずっと……)
石川は無意識のうちに自分と後藤を比べていた。
(…えっ?わたしったら何を考えてるの…!?)
石川は激しく頭を振ってその考えを打ち消した。
これではまるで、自分が後藤に対して吉澤を張り合っているかのようだ。
その日一日、石川は授業など上の空で何も手がつかなかった。