「●(#´▽`)´〜`0 )Love〜いしよし●」

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37ブラインド・ウォッチメイカー
無表情な寮監は鬼のように冷たそうで、早くも石川を絶望的な気分に
させた。
「ここだよ」
まるで看守が罪人を独房に案内するかのように、陰鬱な顔つきで寮監
は石川を寮の一室へと導いた。
(うわぁ〜、もしかしてとんでもないところにきちゃったのでは…?)
葉楼学園に着いて、石川が真っ先に抱いた感想は、まさしくそれだった。

田舎だから、土地だけは余っているのだろう。
広大な敷地に、一見洋館のようにみえる寮が建っていた。
しかし、石川が驚いたのは、大きさではなく、その窓である。
いくつもの部屋を有するその建物の窓には、太い鉄の格子がはめ込まれ
ていたのだ。
例外なく、全ての部屋に。

まずそれが石川の腰を引かせた。
それでなくてもこの学園はどこか奇妙で、陰鬱だった。
これだけの敷地と建物を有しながら、生徒の姿をほとんど見なかったと
いうのはのどういうことなんだろう。
(な、なんかホラー映画に出てきそう…)
石川の焦燥を読みとったかのように、寮監は部屋のカギを手渡し、ぼそっ
とつぶやいた。
「かわいそうに…」
「えっ!?」
石川は慌てて顔を上げたが、その時にはもう寮監は彼女に背を向けて暗い
廊下を戻り始めていた。