「●(#´▽`)´〜`0 )Love〜いしよし●」

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30ブラインド・ウォッチメイカー
「わかりました…、どうも、ありがとう…」
石川は肩を落として、坂道を歩き出そうとした。
石川がふと石段の脇を見やると、財布が落ちているのを見つけた。
「あっ、ちょっと…」
「なに?」
石川は振り向いて少女を呼んだ。
「あの…、この財布…」
「あっ、それ私のだ。今探してた」

(だからこんな所に座ってたんだ…)
「はいっ」
石川は得意げに少女の手に財布を手渡してやった。
石川の手が触れた途端、少女は一瞬ひどく驚いたように身を引いたが、
すぐに柔和な笑顔を見せた。
「ありがとう」
「あ、うん」
石川は急に照れくさくなって下を向いてしまった。

「あの、じゃあ私これで行きますから」
「ああ」
少女はまた小さく微笑んだ。
石川は急な勾配に向かって、一目散に駆け出した。
石川の胸は、なぜか激しく高鳴っていた。