42 :
大河好き :
「なかざわさん」
「ん? なに加護」
警察署の待合室には二人以外に誰もいなかった
ガランとしたその空間に二人だけの小さな世界が営まれていた
「なかざわさん `ピザ`って十回言ってみてください」
「ピザ? うーんじゃピザピザピザピザ・・・・ピザ」
すると加護は腕を曲げ 曲った部分を指差して言った
「ここは何というでしょう?」
中澤「ヒザ!」
加護「ブッ ブッー!!」
中澤「えー! どうして!?」
加護「ブッ ブッー こたえは`ヒジ`でした」
中澤「あっ! なーるほどね・・・」
。
。
「お待たせしました」
警察署の奥からソニン刑事が出てきた ソニンは白衣を羽織っ
ていた
中澤「どうしたんですかお医者さんみたいな格好して・・・」
ソニン「ええ 今鑑識のお手伝いをしていたんですよ ほら中澤
さんの腕についていた血について調べていたんですよ」
中澤は自分の腕を見た 手首には安倍の幽霊につかまれたアザ
が生々しく残っていた
中澤「で どうでしたかねぇ 血のほうは・・・」
ソニン「DNA鑑定をしてもらったんですが・・・」
ソニン刑事は二枚の写真を取り出した
ソニン「こちらが安倍さんの血液から採取したDNAのパター
ン そしてこっちが中澤さんの腕についていた血液から採取し
たDNAのパターンです」
中澤「はあ・・・」
ソニン「この二枚の写真のDNAのパターンは良く似てはいま
すが、ところどころ違う場所があるのです」
ソニンはペンを取り出し写真に丸をつけた
ソニン「ここと ここと ここが違うのです・・・つまり中澤さ
んの部屋にあらわれた安倍さんらしきひとは安倍なつみさんで
はない・・・ということです」
中澤「はあ・・・そうなんですか」
中澤は納得がいかなかった 玄関に現れたのはたしかに安倍
だったはずなのに
中澤「ソニンさん ひとつお願いがあるのですが」
ソニン「何でしょう?」
中澤「安倍の遺体を見せてもらえませんか?」
43 :
大河好き : 2001/02/24(土) 20:26 ID:ZBWAlK6U
ソニン「それはできません」
安倍の遺体は司法解剖にかけられてしまったのだ 昨夜の夜1時 正確には今日の午前1時に捜査本部からの突然の依頼により緊急解剖されたのだ
ソニン「残念ですがもうなにも原型をとどめていません」
中澤「そうですか・・・何もそこまでしなくても」
中澤は腹が立った まだ葬儀も行われていないのにそんな勝手なことをしていいのか 遺族の気持ちを踏みにじるこの行為に無性に腹がたったのだ
中澤はふと思った(夜1時といえば、幽霊が来たのもその時間だ 解剖される前にあたしに会いにきたのかな・・・まさか)
。
。
ソニン「この子がカゴちゃんね!」
ソニン刑事はしゃがみ込んで加護に笑顔をふりまいた
ソニン「かーわいい♪」
ソニンは加護を抱きしめた
中澤「`きちゃダメ!`って言ったのに ついて来ちゃったんですよ」
ソニン「なかざわさんがキレイだから一緒にいたかったんだよねっ! カゴちゃん」
中澤「ハハハ そんなことないって ハハハ」
加護「ちがうの 刑事さん」
中澤「なに! ホンマに違うんかいな」
ソニン「カゴちゃん そんなこといっちゃダメでしょ?」
加護「刑事さん カゴね 見たの・・・」
ソニン「何をみたの?」
加護「あべさんをさしたひとを見たの」
中澤「えっ!? いつ!?」
加護「コンサートのときなのカゴはあべさんのすぐ後ろにいたから よく見えたの」
ソニン「うん うん それで 犯人はどんな顔してたのかな?」
加護「うん かおはね・・・」
中澤「・・・・」
加護「あべさんと同じかおをしてたの」