ミステリー小説「安倍なつみ殺人事件!!」

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121大河好き
警官はふりしきる雨の中、ゆっくりと中澤にちかずいていった。

中澤も警官の存在に気がついた 中澤は言った「ご苦労様です!」

しかし警官は何も言わなかった

中澤はまた双眼鏡で安倍の部屋をのぞいた
雨はさらにつよく降ってきた

また中澤は警官に尋ねた「犯人はもう捕まったんですかねぇ?」

しかし警官は無言のままだった

中澤(なんや 無愛想なおまわりやな・・・)

帽子を深くかぶったままの警官は、中澤の横に立った 帽子のつばからは雨の雫がしたたり落ちていた

中澤はなおも双眼鏡で安倍の部屋をみようとしたが、雨が激しすぎて双眼鏡のレンズに水滴がついてしまい、見ることができなくなってしまった

中澤は双眼鏡でみるのをあきらめた

濡れた髪の毛が中澤のけだるい顔にまとわりついた

中澤はしばらく双眼鏡を両手で弄んでしたが、ふいに隣に立っている警官に目をやると中澤が言った
「これ お返ししますわ」

中澤が双眼鏡を無愛想な警官に差し出した

しかし警官はじっとしたままだった

雨がふたりを叩きつけた

「・・・イタイの・・・」

「えっ!?」
雨の音が邪魔して中澤には警官の声が聞き取れなかった

「イタイの・・・イタイの」

中澤「えっ 何 イタイ?」

「イタイの・・・とってもイタイの・・・とってもイタイの」

中澤「痛いの? どこが?」

「イタイの・・・お腹がイタイの」

中澤「!!!!!」

警官の帽子のつばの奥に隠されていた、赤く血ばしった眼が中澤を捉えた

中澤は恐怖のあまり声を失った

警官は巨大な包丁を振りあげた!!
122大河好き : 2001/02/26(月) 23:25 ID:VXdz2Uic
ソニンとユウキは急いで階段を降りていった

ユウキ「あの警官が犯人なんです!!本物の警察官を殺害して制服を奪ったんです!!」

ソニン「マズイわ! このままでは逃げられてしまう!」
二人はころげ落ちるように階段を降りていった

ユウキはふと窓の外を見た

ユウキ「ヤバイッ!!」

ソニン「どうした!?」

ユウキは窓の外を指差した

はるか向うのほうに中澤と警官がいた そしてさの警官が中澤に包丁で襲いかかろうとしていたのだ

ソニンとユウキは拳銃を取り出した

するとなにかが向うからやってきた
ソニン「何だありゃ?」

一台の自動車が中澤と警官のところへ猛スピードで走ってきたのだ

警官は包丁を高々と振りあげた!!

中澤は恐怖のあまり体が動かなかった!!

警官がその高々とあげた包丁を振り下ろした その時!!

ドーン!!!

なんとタクシーが警官に体当りしたのだ!!

警官はふっ飛ばされてしまった

それはさっき中澤が乗せてもらったタクシーだった

タクシーから運転手がゆっくりと出てきた
「あぶないトコでしたね、中澤さん」

中澤は驚きのあまり口をポカーンと開けていた

運転手「いえね、私さっき中澤さんからサイン貰ったじゃないですか ついそれにばっかり気をとられてまして あのーなんといいましょうか その・・・料金をまだ頂いてないことに気がつきまして・・・ええ そうなんです」

ソニンとユウキが駈けよってきた

ソニン「中澤さん 大丈夫でしたか!?」

中澤「ええ・・・まあ大丈夫です」

ユウキが倒れている警官に手錠をかけた そして警官の帽子をおもむろに脱がした

中澤はニセ警官の顔をみた

「!!!!!」

中澤は絶句した

なんと犯人は安倍なつみの母親だったのだ
123大河好き : 2001/02/26(月) 23:54 ID:4dLOdCmA
中澤は思い返してみた

安倍の家に電話をしたとき 時々安倍の声とまちがえて安倍の母親とはなし続けてしまったことがよくあった

たしかに声に関してはこの親子は似ていた しかし容姿にかんしてはさほど似ているとは今まで思っていなかった

しかし今こうやって安倍なつみのメイクをしている母親をみると恐ろしいほどよく似ているのだ

(なるほど親子だからDNAのパターンも良く似ていていたんだな・・・)

でもなぜなっちを殺したのだろう? 母娘なのに・・・

中澤「どうしてなっちを殺したのですか お母さん?」

母「・・・・」

ソニン「詳しいことは署に帰ってから聞こう さあ立て!!」

安倍の母親はソニンユウキの両刑事に腕をつかまれてパトカーに押し込められた

ソニンとユウキもパトカーに乗り込み、そしてその場を去っていった

中澤と運転手がそこに残された

運転手「あのー中澤さん・・・料金をお願いします」

中澤はパトカーの去っていく姿をじっと見ていた

中澤「あのふたり オートバイ忘れていきよったな」