世にも奇妙な娘達

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99その二千円札は本物か?
楽屋での一コマ、飯田は又、こんな事を言った。
「なんか、みんな最近おかしいよ。」
「何がおかしいの?おかしいと言えばカオリの方がおかしいべ。」
「なっち、そんな事言ったらアカンで、
この子は最初からこんな子やがな。」
飯田の一言に、安倍と中澤がそう答えた。
中澤の苦味の効いた言葉に、この会話は終焉を迎えた。

この何気ない飯田の一言は正しかった。
そして、安倍たちの言葉も間違ったものでは無かった。
100その二千円札は本物か? : 2001/02/25(日) 05:36 ID:mSP8eAIw
石川の持っている二千円札を見て、飯田は又とんでも無い事を言った。
「えっ!コレ偽札?」
「違いますよ飯田さん。これが二千円のお札ですよ。」
「ハハハー、カオリまさか今まで見たこと無かったの?
そんなんだから、みんなに……うーん…『アレ』って言われるんだよ。」
タンポポ内での会話である。
飯田は、矢口の話の詰まりと、『アレ』という言葉が気になった。
「ねぇ矢口、『アレ』って何よ!」
不機嫌な顔で尋ねる飯田に、矢口は。
「えっ…ほらほら…アレっつたらアレじゃん…ねっアレだよアレ…」
答えを言わず、はぐらかそうとしたのだった。
その後も矢口だけでなく、石川・加護にも聞いたが、
飯田を恐れてか、教えてはくれなかった。

その日の飯田は夜、すぐには寝つけなかった。
頭の中の9割が『アレ』はなんなのか?という疑問で支配されていたからだ。
「二千円札って、あんなのだったかな?」
これが、残った頭の中の1割だった。
101その二千円札は本物か? : 2001/02/25(日) 05:38 ID:mSP8eAIw
飯田は又、チンプンカンプンな事を言う。
そして、いつものように誰かがツッ込む。
そういう風景が、日常的に行われて、いつものように違う会話へ…
「飯田さん!もうガマンできません。」
辻が、そう言って近づいてきた。
「辻、それだけはアカン!」
中澤が辻を制止しようとする。
「でも…中澤さん、もうののガマンできないんです。」
「言うたらアカンで!」
一段と中澤の声が大きくなる。
「そーだよ辻。絶対言っちゃ駄目だよ。飯田さんが宇宙人だって事。」
(…・あっ・あーぁ・あらら・うわぁ・やっちゃ・おいおい・アカンて!)
後藤の一言に一同が止まった。
「………えっ!それ…あーあ、そういう風にみんな、
かおりの事を呼んでたんだ……酷いなぁー…でも、いいよ。いや、でもなぁ」
飯田は混乱の中、そんな皆を許そうとしていた。
そのとき矢口がトドメのような一言を…
「違うよ、カオリ。解かんないの?あんたはこの星の人間じゃないの!」
102その二千円札は本物か? : 2001/02/25(日) 05:39 ID:mSP8eAIw
「えっ!」
「だから…此処に居る飯田圭織、つまりあんたは、この星の人間じゃないの。」
矢口が念を押す。
(「私って、地球人じゃないの?」)
不思議そうに眉間にしわを寄せる飯田にさらに、
「もう…ほらっ!」
矢口が後ろを向きズボンを下へずらすと…。
「ほらっ。カオリにはこのシッポ、無いでしょ。」
お尻の少し上辺りで、20cm程であろうか、シッポなるモノが揺れている。
「や、矢口ソレ…。」
「だ・か・ら!…アンタ地球から来たんでしょ?だったらほら、
人一倍努力してこの星の事とか」
「無理やで矢口。」
中澤が矢口の横から口を出す。
「だってこの子、知らん内に本当の飯田と、すり替えられたんやもん。」
一同、中澤の方を睨むように見ている。
「えっ!最初っからこのカオリじゃなかったんですか?」
「あっ…やってもうたわ。」
保田の質問に中澤は、苦い顔をした。
103その二千円札は本物か? : 2001/02/25(日) 05:40 ID:mSP8eAIw
「………せやから事務所が…………他の星でも同じような…なっ…」
一同の話は、今の飯田がこの星の人間では無い事よりも、
中澤は飯田が入れ替わった事を何故、メンバーに話さなかったか?
に焦点が集まり、この場で飯田はその後、相手にされる事はなかった。

飯田は9人の言葉の戦争の雑音の中、こう呟いた。
「はぁー、かおり早く地球に帰りたいよ。」

〜了〜