世にも奇妙な娘達

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45駆け込み乗車
「どうします?」
「じゃぁ…思い切って片桐の案でいこう。」
某鉄道会社は、駆け込み乗車の対策として、
『電車のドアに鋭い刃物を採用』という、非常に危なく、
そして人の心に効果的な、案を実行に移した。
今も、電車を移動の手段にしている保田だが、
その事については知らなかった。

< 扉が閉まりますご注…
アナウンスに継ぎ駅員の笛が鳴る。
「はぁはぁっはぁ…ヤバイッ…っと…」
保田は駆け込み乗車に成功した…が、
その次の瞬間、異変に気付いた。
「えっ…あれっ、カバンは…?」
今日は、持つ部分の紐が長い手提げカバンのはずだが…、
紐しかない。扉のガラスの向こう、
つまりホームに、主なる「カバン」の部分があった。
不思議そうな顔をしている保田の脳の中では、
「まぁ、大したもん入ってないから、盗まれないでしょ。」
意外と冷静だ。
46駆け込み乗車 : 2001/02/14(水) 01:01 ID:/A3AENDk
仕事場で先ほどの駅へ電話を掛ける。
落し物として問い合わせをした。
「あっ朝のね…うーん、青っぽいのね、ありますよ。
保管しておきますから、取りに来て下さいね。
それと駆け込み乗車、非常に危ないのでね。
ほら、刃物付いてるから、もう駆け込み乗車しないでね。」
事務的な電話の対応の中にあった、
『刃物』という言葉が引っかかった。

保田は何を聞いても
一番、馬鹿にされないであろう中澤に聞いてみた。
他のメンバーなら常識を知らないとして、
馬鹿にされそうだったからだ。
「何、知らんのアンタ。今の電車のドアにはな、恐ろしい事に、
切れ味の鋭い刃物が付いてんねんで、私はどうかと思うけどなぁ。
…そうそう、そういえば最近、圭織が髪切ったやろ、あれ実はな
電車のドアで切れたんや。みんなには言わんといてな。」
馬鹿にされなかったのはいいが、皆にバレるのは時間の問題だろう。

今日、後藤が足から血を流しながら仕事場に来た。
「もう駆け込み乗車はしない。」保田は心に決めた。

帰宅時、駆け込み乗車したい状況に陥ったが、
保田はその心を抑えた。
47駆け込み乗車 : 2001/02/14(水) 01:03 ID:/A3AENDk
「…」電車で眠っている保田。
「うー……んっ、あっ降りなきゃ」起きる保田。
「バッ!」席を立つ保田。
「ダッダッ!」走る保田。
「グッザクッ」ドアに挟まる保田。
1秒後、電車・ホームに悲鳴が轟いた。

「今日………時、……駅で人身事故が発生しました。
亡くなったのは、人気グループ、モーニ…」
画面には保田圭の顔がモノクロで映っていた。

〜了〜