世にも奇妙な娘達

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259For…
ごっつあんがモーニング娘。に入ってから私はセンターを失った。
新聞では「安倍、センター奪われる」とか「後藤の時代到来」だの書かれた。
悔しかった。でも、どう頑張ってごっつあんにはかなわなかった。
そんな虚しさを私は食べる事で晴らしていた。
ここは、センターを取られて以来よく来る町の食堂、「まんぷく堂」。
私はいつもここで食べていた。
豚のしょうが焼き定食、漬物とお味噌汁つきで460円ってお買い得。
私はこの食堂が大好き。
でも一番好きなのは、この食堂を1人で支えているおばあちゃん。
私が悔しくて泣いていた時にいつも話を聞いてくれたおばあちゃん。
最近では私の悩みも聞いてくれる。
モーニング娘。としてではなく1人の女性として接してくれる。
「おばあちゃん!おかわり!」
ここの定食は本当においしくて、いっつもご飯をおかわりしてしまう。
そのお陰で太っちゃったけどね…。
「はい、なつみちゃん。おいしいかい?
私はなつみちゃんのおいしそうに食べる顔が大好きなんだよ」
そうやっていつもおばあちゃんは私を癒してくれる。
「そうそう、ここの近くになんか占いやさんが出来たみたいだよ。
一回行ってみたらどうだい?」
そうおばあちゃんが勧めてくれたので、私は詳しい場所を聞いて食堂を出た。
260For…:2001/04/23(月) 01:35 ID:qz.KmKPE
「人生相談所」。あれがそうね。
暇そうな老人がいる…。大丈夫かな?
そう思いながらも私は相談してみた。
「あの私、クビになりそうなんです。どうしたら良いですか?」
OLっぽく聞いてみた。モーニング娘。なんて言えないもんね。
でも、その老人は驚くような事を言った。
「体格を変えれば良くなります」
失礼な話。私は怒って家に帰った。

今日は新曲のレコーディング。
ソロは2箇所。ごっつあんは6箇所だけど…。
でも今朝は体重が1キロ減っていたからちょっと気分が良い。
うきうきしながらスタジオへ行った。
私は驚いた。ソロが1箇所増えている。
その時、機能の老人の言葉を思い出した。
まさか…冗談でしょ?
試しに休み時間、お菓子をたくさん食べて体重を何とか1キロ増やしてみた。
そうしたら…ソロが1箇所減ったいたわ。
その日から私はダイエットを始めた。
「まんぷく堂」に行ってもおかわりはしなく、残しがちになった。
私はこの不思議な出来事をおばあちゃんに話した。
おばあちゃんは嬉しそうに聞いててくれた。
261For…:2001/04/23(月) 01:36 ID:qz.KmKPE
―1ヵ月後
私は5キロのダイエットに成功した。もちろんソロもそれに比例して増える。
でも…新聞は許してはくれなかった。
「安倍、復習劇始まる」とか「過食症から拒食症!?」とか。
うんざりしながら今日も体重計に乗った。
7キロへった…。さすがにやせ過ぎて、今度の新曲ほとんど私になってしまう。
そう思った私は久々に「まんぷく堂」でちょっと多めに食べた。
するとおばあちゃんがいつもよりも嬉しそうに私を見ていた。
どうしたのかと聞いてみた。
「私はね、なつみちゃんのおいしそうに食べる顔が好きなんだよ。
最近あまり食べないから心配しちゃったんだよ」
私は泣きそうになった。
世間や新聞は私を認めてくれないけど、おばあちゃんは味方なんだ…。
私は誰のために痩せているのかわからなくなった。
誰が喜んでくれるんだろう…。
私はその答えを、あの「人生相談所」に聞いてみた。
この前と同じ場所にあった「人生相談所」にこう言った。
「私を待ってる人が誰だか分からないの!私は誰のために…」
そう私が言いかけたその時、
「体格を変えれば良くなります」
全ては私次第って事ね…。
262For…:2001/04/23(月) 01:37 ID:qz.KmKPE
―次の日
私は仕事の帰りに「まんぷく堂」に行った。
ドアを開けるとおばあちゃんが新聞を破いていた。
あれは…私の記事?
おばあちゃんは私に気付き席に座らせた。
そして豚のしょうが焼き定食が運ばれてきた。
おいしい…。私…この味、忘れそうだった…。
そうしたら私、自然にこう言っていた。
「おばあちゃん!おかわり!」
おばあちゃん、すっごく嬉しそうだった。

Fin