世にも奇妙な娘達

このエントリーをはてなブックマークに追加
190うしろに悪魔
局の一室から梨華ちゃんが出てきた。
その姿は普通でなく、なんかドロボウの様だった。
私は、梨華ちゃんの姿が見えなくなったのを確認すると、
その部屋に入った。
「またか…」
その情景は初めて見たものではない。
消えている電気、物があまり無い部屋、
そしてそこには、背中にナイフが刺さった男の死体。
これで3回目だ。
ここ一週間で3回も、こんなふうになった部屋を見ている。

多分こうなるであろうと予想していた吉澤は、
予め用意しておいた大きな袋を広げ、その死体を収納すると、
用心しながらその部屋から出た。

その夜、吉澤は某所に穴を掘ると、その死体を埋めた。
これも3回目だ…。
その脳裏には、石川を想う気持ちがあったのだ。
191うしろに悪魔 : 2001/03/30(金) 02:38 ID:yObqrPx6
「今日もかぁ…3人も4人も一緒だ。」
グスリ…
今日も、あまり関わり合いの無い男に呼び出された。
こんなこともあろうかと、安倍は携帯していたナイフで男を…
「まったく…埒が開かないべ…何人、私を脅迫すれば気が済むの。」
最初は事故だった。
襲ってきた男を突き飛ばした…それが一人目だった。

それを四回繰り返している安倍だったが、
流石に四回もすれば、ある疑問が浮かぶ。
「それにしても、新聞にもテレビニュースにも報道されてる心当たりないなぁ。
まさか、死体が見つかって無い?………おかしいべ、
事件が在ってこその『脅迫』の筈だべ、でも…」
そう、でも安倍が思う安倍に出来る事、それは脅迫すると予想される状況に陥った時に、
行動を起こす事。
それをやるしかなかった。
192うしろに悪魔 : 2001/03/30(金) 02:39 ID:yObqrPx6
「またなのね…」
石川は安倍の出た部屋に入ると、持っていたハンカチで、
ナイフの柄・電気のスイッチ・ドアノブ等、安倍の触ったであろう箇所を拭いた。
「これでヨシと…」
石川は、『モーニング娘。』の事を想って、この5回目の仕事を終えた。

その次の日のニュースは、一人目の死体が海から揚がった事を伝えていた。

「あっ、やっぱ埋めたまんまの方が良かったんか…。」
中澤は、そう呟いた。

自己の身の保全が、人の『想い』の連鎖によって、
死体を海へと移動させたのだ。
193うしろに悪魔 : 2001/03/30(金) 02:40 ID:yObqrPx6
そのニュースは、
『私の前には人殺しがいる。』を
『私の後には悪魔がいる。』という不安に変えた…

自分の行動を見ていた悪魔がいるという不安。
あなたは耐えられますか…得体の知れない悪魔の存在に。

〜了〜