世にも奇妙な娘達

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137穴を掘る女
吉澤は、穴を掘る。
時間が空いた時は、いつも掘っている。
スコップ片手に掘り続ける。
それを誰も知らない、
穴を掘る理由など誰も知らない。
吉澤は、時にうさを晴らすように、
そして、時には、何かを忘れるかのように。
吉澤は、穴を掘っている。
只々、掘り続ける。
掘り続けたのだった。
138穴を掘る女 : 2001/03/14(水) 01:34 ID:Ui78PQ.w
彼女は穴を掘っていた。
僕が其処へ行った時には、彼女の姿が隠れる程の深さだった。
正しく言うと、『僕が其処へ行った時』ではなく、
『僕が其処を通り掛かった時』と言うべきだろう。
其処は誰も通らないであろう場所。
其処で彼女は穴を掘っていた。

次の日、僕はその事が少し気になった。
「また、掘ってるかなぁ…」
正しく言うと、『僕はその事が少し気になった』ではなく、
『僕はその事が気になって何も手につかなかった』と直すべきだろう。
なにかに誘われるかのように、僕は其処へ向かった。

僕は、其処へ毎日行った。
彼女は毎日、穴を掘っていた。
理由は解からない。
彼女は今日も穴を掘っている。

〜了〜