世にも奇妙な娘達

このエントリーをはてなブックマークに追加
80三度目の涙
中澤は、あの知らせを聞いた夜、涙を流した。
何が起こったわけでもない。これはいい知らせなのだ。
しかし、中澤から出たのは、
「…つんくさんの…バカ……バカ」
いや、恨むべき相手はつんくではない筈なのだ。
そして、中澤は泣くのを止めた。
「そやで…決まったわけでもないしな…」
そこに電話が鳴る。
…その後、中澤はまたナミダした。

つんくはこう言った。
「中澤、新曲や。タイトルは『三度目の失恋』まっ、また頼むで。
それにしても中澤は『上海の風』しかり『悔し涙ぽろり』しかり、
悲しい女の歌、歌わせたらええ作品になるなぁ…。」
「当たり前ですよ。だって気持ち解かりますもん。」
薄い関西弁でそれに答えた。

あの知らせを思い出す中澤。
「そう…解かるもん…歌詞通りやもん。私の恋も………歌詞通りやもん。」
次の日、中澤は彼氏と三度目のデートをした。
その日の夜も泣いた。
『上海の風』の時と同じように『悔し涙ぽろり』の時と同じように…
『三度目の失恋』の歌詞に泣いた。

〜了〜