1 :
Sの住人:
2 :
Sの住人:2001/08/25(土) 02:30 ID:Rhmty6Hs
−50−
「あのー、もう録ってるんですか・・・」
「ダメ、梨華ちゃん、カメラの事は気にしないで。自然に、自然にね」
そう言いながらカメラのファインダーを覗く圭織の顔は、こころなしか綻んでみえる。
「圭織」
「ん、何?矢口」
「あんた、今すごく楽しんでるでしょ」
矢口は圭織に冷たい視線を向ける。
「わかる?」
「念の為に言っとくけど、主役はなっちだからね」
「わかってるってばさ」
二人が言い合うのを聞きながら、なつみは不安な思いに駆られていた。
(やっぱり、騙されてるのかなあ)
(今なら演劇部の方に戻れるかも・・・もちろん、主役は無理にしても、
圭織の匙加減一つで決まってしまう、今の役に比べたら・・・)
「あのー、安倍さん」
「何?」
自分でも驚くほど冷たい返事だとなつみは思った。梨華は青ざめた顔でこちらを見ている。
(やな子だ、私)
3 :
Sの住人:2001/08/25(土) 02:30 ID:Rhmty6Hs
そんななつみの気持ちを知る由もなく、梨華はきっぱりと言った。
「私、断ります、やっぱり。部活の為って思いましたけど・・・」
「だめ。ここまできて、そんな事言わないで」
「でも・・・」
うなだれる梨華の肩を抱き寄せると、なつみは微笑んだ。
「なんだかんだいって、なっちも久々にテニスやるの楽しみなんだよ、実は」
驚いた顔を見せる梨華の耳元で、なつみはささやく。
「圭織にはないしょね。調子にのるから」
「はい」
軽く肩を叩いて、頷くなつみを見て、やっと梨華の顔に笑顔が戻った。
「でもね、梨華ちゃん・・・」
「はい?」
にこにこしながら、なつみは一言付け加えるのは忘れない。
「でしゃばらないようにね」
「加護ちゃーん、上手い上手い。亜弥びっくりー」
加護の打ったサービスは、サイドラインぎりぎりに、スライスがかって入った。
「えーっと・・・まぐれです」
亜弥の言葉に照れながら、加護は頭をポリポリとかいた。
「最初はそんなもん。テニスはセンスの有る無しで全然違ってくるんだから」
亜弥はそう言うと、腰をやや落として、レシーブの体制をとった。
「さっ、どんどん打とう。ただし、今度はかるーく、打ち返すけどね」
にっと笑う亜弥。もちろん、加護も負けてはいない。
「よーし、いきますよー」
4 :
名無し娘。:2001/08/25(土) 02:31 ID:dMLTwxnI
復活おめでとう
楽しみにしてたから消えたときは残念だった
続き期待してます
5 :
Sの住人:2001/08/25(土) 02:35 ID:Rhmty6Hs
やっとこ復活しました。新メン、もうすぐ加入ですが・・・
石川LOVEに揺るぎ無い自信あり。
やすいし温泉ネタ、書こうと思ってたのに、先にやられちゃいました。
後、このスレにてもう一つ、いしよしスレにて書いていた
リレーものを書きます。
6 :
名無し娘。:2001/08/25(土) 06:09 ID:YGEh1oGw
ずいぶん待ったよ
放置プレイされてるかと思った
復活おめ
7 :
名無し娘。:2001/08/25(土) 12:39 ID:MpD63tf.
うむ。
待ったよ待った。ありがとう。
9 :
名無し娘。:2001/08/25(土) 17:44 ID:HwUA/JrQ
復活待ってたよ
10 :
名無し娘。:2001/08/25(土) 18:29 ID:OUGPRf1U
復活おめでとうございます。待っていたので嬉しいよ。
ところで復活早々不吉だが、2ch自体の動きが怪しいです。
もし、2chが駄目になってもどこかで続けて欲しいよ。
11 :
名無し息子。:2001/08/25(土) 20:07 ID:h27GP6BE
12 :
名無し娘。:2001/08/26(日) 00:21 ID:MNTOGGwI
保全
13 :
Sの住人:2001/08/26(日) 04:03 ID:OfQaLJdQ
−51−
「あれ・・・あいぼん、まだ来てないのかな」
梨華が部室を覗くと、そこには誰もおらず、がらんとしている。
それでも、四人が入ると、流石に部屋はいっぱいになった。
「ふーん・・・やっぱ、狭いんだね」
なつみはそう言いながら、壁際の椅子に腰をおろした。
「あんまり、画にならないねえ、この部屋。圭織、どうする」
「何いってんの、矢口。この寂れた感じが良いんじゃない」
矢口の心配も意に介さず、圭織は嬉しそうにカメラを廻している。
「ごめんね、梨華ちゃん、圭織、正直もんだから」
「いえ、そのとおりですから・・・」
何気に矢口が放った言葉も、充分きつかったが、梨華は気にせず答えた。
「それより、加護ちゃんが・・・」
「もしかしたら、コートで練習してるかもよ」
側にあったラケットを懐かしそうに握りながら、なつみは言った。
「行ってみようよ。もしよかったら、なっち、ボール打ってみたい」
「あ、いいね、それー。ね、梨華ちゃん」
すかさず圭織は、カメラを梨華に向ける。
「はい・・・。安倍さんさえよければ」
「よーし、決まり。じゃ、なっち、このラケット借りるね」
「あ、どうぞ。あと、ジャージとかに、着替えなくてもいいですか?」
14 :
Sの住人:2001/08/26(日) 04:03 ID:OfQaLJdQ
そんな梨華の一言に、圭織の目は妖しく光る。
「着替え・・・いいねえ」
「あ、このままでいいよ。別に、ちゃんとした試合するわけじゃなし」
そう言うと、なつみはスタスタと部室から出ていった。
あわてて、なつみの後を追う梨華。
そして後には、未練たっぷりといった表情の圭織と、そんな圭織を見ながら、笑いをこらえている
矢口が取り残された。
「着替え・・・」
「ほら、圭織、さっさと行くよ」
「ふーん、ここが、圭ちゃんが行ってた学校かあ」
沙耶香は校舎の前で足を止めると、辺りを見まわした。
広いグラウンド内では、野球部が大きな掛け声を出しながら、守備練習に余念がない。
それとは別に、陸上グラウンドがあり、そちらでは、長距離、短距離と、各々が練習メニューをこなしている。
そのほかにも、竹刀を担いだ生徒が、沙耶香の側を足早に通りすぎたり、
バトミントンのラケットを持った一団が駆け足で体育館に向かったり、とにかく、校内に活気がある様に感じる。
(めずらしいなあ、運動部がこんなに頑張ってるって)
沙耶香の通っている学校が、有数の進学校ということもあるからだろうが、羨ましい雰囲気だった。
(このぶんだと・・・テニス部、楽しみかも)
わくわくする気持ちを押さえつつ、沙耶香は、テニスコートを探して、歩き始めた。
15 :
題名未定:2001/08/26(日) 04:06 ID:OfQaLJdQ
1
「新メンバー・・・か」
梨華はそう呟くと、頬杖をついた。
ふと前を見ると、吉澤と後藤が、雑誌を見ながら、何やら楽しそうに話している。
(よっしーは、どう思ってるんだろう・・・)
モーニング娘。に加入して、一年が過ぎたが、梨華は未だに、何ともいえない
ぎこちなさを感じていた。
それが、ネガティブ思考と言われるものなら、結局自分は何にも変わっていない。
そう考えると、今回のメンバー増員の話は、梨華にとって決して手放しで
喜ぶ事の出来ないものだった。
(私が教育係なんて・・・無理だよ。きっと、よっしーなら・・・)
飯田から、直接指名された以上、断る事など出来なかったが、
今の自分に、新しく入ってくる子の面倒を見る事など、到底出来ないと梨華は思った。
そのとき、石川の肩に置かれる大きな手。
「大丈夫だよ、梨華ちゃん」
振り向く彼女の視線の先には……
「よっすぃ〜……」
吉澤は、石川の肩においた手に力を込めた。
「どんな子が来ても梨華ちゃんは梨華ちゃんさ。教育係だって
できるよ。頑張ろう!」
石川は、吉澤の手のひらの上に自分の手をのせた。
「うん。ありがとよっすぃ〜……あたし頑張る」
「よしよしその意気。ポジティブで行こうね」
「うん」
吉澤にとって、その教育係がまさか裏目に出るとは思っても
いなかった事であった。
16 :
題名未定:2001/08/26(日) 04:08 ID:OfQaLJdQ
2
「遅くなっちゃったね」
「うん・・・」
時計は深夜2時を指していた。
シャッフルユニットのダンスの練習初日。
なかなかメンバー同士の息が合わず、こんな時間になってしまった。
「よっしー、うちにこない?ここからだと近いし・・・すぐ眠れるよ」
梨華はジャージを脱ぎながら言った。
「うーん・・・どーしようかなー」
本音を言えば、泊まりたいのはやまやまだった。しかし、後藤がちらり、ちらりと
向ける視線も気になる。
「よっしー、梨華ちゃんちに泊まるの?」
不意に加護が抱き着いてきた。
「いーなー、加護、まだ梨華ちゃんち行った事ないんだー」
「あれー、そうだっけ」
「ゴメン、梨華ちゃん」
トイレから飛び出してきた吉澤は、そのまま玄関の方へ向かう。
「どーしたの、よっすぃー」
怪訝な表情を浮かべる梨華。加護はお菓子で口を一杯にしている。
「うん、ちょっと・・・すぐ戻るから」
一瞬暗い表情を見せ、吉澤は出ていってしまった。
「もー・・・なんだろな」
梨華は軽く溜息をついた。
「梨華ちゃん、食べないの?」
気がつくと、既にお皿に並べたお菓子は、半分に減っている。
「もー、あいぼん、そんな食べたら太るよー」
そう言いながらも、梨華は吉澤が出ていった玄関のドアを見つめていた
17 :
題名未定:2001/08/26(日) 04:09 ID:OfQaLJdQ
3
加護は、紅茶をぐっと飲み干した。
ティッシュで口元を拭くと、立ちあがる。
「ようし、おなかもいっぱいになったし。あたしそろそろ寝るね」
「ええっ、もう? もっとお話ししようよ……」
あわてて言う石川。
「いい。明日も早いし、それに……」
加護は人差し指を立てた。チッチッと振る。
「よっすぃーと梨華ちゃんのお邪魔するほど、ゲスじゃないもん」
「なっ!?……」
絶句する石川。自分の顔がみるみる赤らんでいくのが判る。
「ほおら赤くなったぁ。バレバレだよぉ」
「んもぅ、加護ちゃんたらぁ!」
加護は、繰り出される石川の右手を素早くかいくぐった。
「えへへ、じゃあ、おやすみなさーい」
言いながらソファを飛び越し、向こう側に敷いてあった布団に
もぐりこむ。
「んもぅ……」
ほんのり赤い自分の頬を押さえながら、ため息をつく石川。
「あ、それからさっ!」
加護がソファの向こう側からぴょこんと顔を出す。
「梨華ちゃんたちがどんなおっきな物音立ててもあたしは寝てるから。朝
までぜーーったいに起きないからさ。思う存分、ヤッちゃっていいからねぇ」
「さっさと寝なさぁい!」
「うひゃっ!」
あわてて引っ込む加護。その頭上をティッシュの固まりが飛んでいく。
「えへへへ……じゃあ今度こそおやすみなさぁい」
ガサゴソと布団にもぐりこむ音。
そしてそれはすぐ静かな寝息に変わった。
「加護ちゃんたら……もう、ホントに生意気なんだから……」
石川は盛大なため息をつくと、カップとお皿を片付け始める。
18 :
題名未定:2001/08/26(日) 04:10 ID:OfQaLJdQ
4
だいたい片付け終わった頃、吉澤が戻ってきた。
「おかえりよっすぃ〜、ずいぶん長かったのね」
「あ、ああ……まあね」
石川の言葉に、吉澤は曖昧な返事を返しただけだった。
(よっすぃ〜、どうしたんだろう・・・)
どことなく上の空の吉澤が気になる梨華だった。
「梨華ちゃん・・・先に、シャワー借りていいかな」
色々と聞きたそうな梨華から逃げるように、吉澤はバスルームの方へ向かう。
「あっ、う、うん」
梨華はクローゼットからバスタオルを出すと、吉澤に手渡した。
「一緒に・・・入ってもいいかな」
いつもなら吉澤が言うセリフだったが、梨華は思い切って言った。
首筋まで熱くなるのを感じる。
一瞬、吉澤の顔は明るくなったが、すぐに首を振った。
「ゴメン、今日はちょっと・・・」
そう言い残すと、吉澤はバスルームの奥に消えた。
(もー、よっすぃ〜のバカっ)
梨華はきゅっと唇を結ぶと、リビングに目を向けた。
見ると、ソファーの向こうから、加護が興味深々といった感じで顔を出している。
「あ、あいぼん」
「ひゃー、見つかったー」
あわてて首を引っ込める加護。梨華は大きく溜息をついた。
19 :
題名未定:2001/08/26(日) 04:11 ID:OfQaLJdQ
5
やがて、シャワーを終えた吉澤が戻ってきた。
タオルで髪についたしずくをふき取りながら居間に戻ってくる彼女。
「おかえりなさい、よっすぃ〜」
「うん、お風呂ありがと。梨華ちゃんつぎ入ってイイよ」
「…………」
石川は無言のまま吉澤に近づいた。
右手でツンツンと服の裾を引っ張る。
「?……」
石川は頬を赤く染めながら吉澤を見上げた。
そっと両目をつぶる。
「して。キス……」
「…………」
驚きのあまり硬直している吉澤。
石川は右目を開けた。
「せっかく……せっかくあいぼんが気をきかせてくれたんだから」
「梨華、ちゃん……」
吉澤は姿勢をかがめた。
石川の前髪を持ち上げつつ、彼女のおでこにそっと唇を当てる。
シンと静まり返った部屋の中。
ふと吉澤は身体を離した。
「よっすぃ〜、あの……」
うるんだ瞳で吉澤を見上げる石川。
催促するように唇を動かす。
20 :
題名未定:2001/08/26(日) 04:12 ID:OfQaLJdQ
6
それを優しい視線で見つめている吉澤。が、ふと視線を外した。
「亜依ちゃん、なに撮ってるの?」
「ぎっくぅ!……」
あわてて振り向く石川。
ソファの影からデジカメを構えている加護を見つける。
「あーいーぼぉーん……」
怒りで頬を膨らませつつ、石川は咎めるように言った。
ぽりぽりと頭をかきながら言う加護。
「あ、えーからえーから。ウチのこと気にせんと続けて続けて」
ふぅっと吉澤がため息を付く。
「寝よっか……明日も早いし」
ピキピキと頬が引きつっていく石川。一歩前に踏み出すと声を荒げる。
「もう、あいぼんたら。許さないんだからぁ!」
「な、なんでや。気にせんと続きして欲しいわ、儲けは山分けにするんやし」
「いいから待ちなさぁいぃ!」
ドタバタとソファの周りを走り回る石川と加護の二人。
「……あたし、もう寝るよ。おやすみ……」
追いかけっこをしている二人を後目に、呆れ顔の吉澤はさっさと毛布に
くるまってしまった。
21 :
題名未定:2001/08/26(日) 04:14 ID:OfQaLJdQ
7
(さっきの梨華ちゃん・・・可愛かったな)
枕に顔を埋めながら、吉澤は、自分を潤んだ瞳で見上げる梨華の顔を思い出していた。
(柔らかそうな唇・・・胸・・・)
(きっと、ごっちんとあんな事しなかったら・・・最後までいけたのかも)
吉澤は、毛布にくるまったまま、Tシャツの襟から、胸元を除き込むと、
そこにある幾つかのキスマークを見つめた。
(これじゃあ・・・いくら梨華ちゃんでも気づくよな・・・きっと)
せっかく梨華と一つ屋根の下で夜を共に過ごしているのに、何も出来ない自分。
吉澤はやりきれない思いで一杯だった。しかし、一方では、
後藤との関係を捨てられないのも、また事実だった。
(ごっちんもなあ・・・)
吉澤は、指をそっと唇にあてた。後藤との痺れるようなキスが忘れられない。
(あつい・・・)
深夜の公園。周りが高級住宅地という事もあってか、ホームレスなどの姿もなく、
しんと静まり返っている。
「んんん・・・」
隅のベンチでキスを交わす二人。
「どお。梨華ちゃんより上手いでしょ」
後藤は唇を離すと、うっとりとした目で吉澤を見つめる。
「もぉ・・・いきなりなんだから。フライデーとかされたらどーすんの」
あえて突き放す様に言うとと、吉澤は後藤に背を向けた。
「そんなのへーきだもん。判ってるくせに・・・」
後藤はそんな吉澤を背後から抱きしめると、服を脱がせ始めた。
「ちょ、ちょっとごっちん・・・ヤバイって」
あわてて抵抗する吉澤。しかし、後藤の手は止まらない。
「だいじょーぶ。真っ暗だし・・・誰も見てないよ。それに・・・」
「そ、それに?」
必死に抵抗する吉澤が面白いのか、後藤はにやにやしている。
「このままスンナリ梨華ちゃんのとこに帰すの、癪だもんね」
後藤はそう答えると、吉澤の右耳を軽く噛んだ。小さく息を漏らす吉澤。
22 :
Sの住人:2001/08/26(日) 04:22 ID:OfQaLJdQ
更新です。読んで下さってる方に感謝。
今は、石川さんの写真集を見てマターリするのが日課。
私の一番のお気に入りは、表紙を除けば、ターザンしてるショットでしょうか。
2ちゃん、やばいらしいですが、もしなくなっても、どこかで続けられればと
思っております。
あと、「題名未定」ですが、いしよしスレにて、私ほか、何人かの方がリレーで
書いてたものです。もし、我こそはという方がいらっしゃれば、ぜひ続きを
お願いいたします。私も、頑張って書きますんで。
23 :
名無し娘。:2001/08/26(5) 53:00 ID:HLuowNd2
24 :
名無し娘。:01/08/26 19:49 ID:667AozJY
>>Sの住人 さん
総合スレでっ続きをリクエストした者です。復活有難うございます。
いしよし大好きなので両方応援させて頂きます
25 :
名無し娘。: