1 :
名無し娘。:
思いつきで、娘。野球小説書きます。
娘。である必然性が感じられないような気もする。
2 :
名無し娘。:2001/07/27(金) 00:03 ID:7DduymQk
自分の出番が無いに越した事は無い。
ブルペンのモニターで、試合を観戦している安倍は、常にそう考えてきた。
しかし、現実は甘くない、9回に先発が掴まりワンナウトランナー2,3塁、点差は2点で一打同点だ。当然の様にインターフォンが鳴り、投手コーチから出番を告げられる。
裏の通路からベンチに行き、そこから小さな歓声を受けながらマウンドに行く。
シーズンも終了間際という事もあり客は疎らだ、しかし今のチームの成績を考えれば仕方が無い事だと安倍は思っている。
とりあえず、捕手の石黒と打合せだ。
「セカンドランナーは俊足の辻、そしてバッターは2番のうるさい加護だよ。」
石黒の説明を聞きながら、全体に目を配る。
いつも通りの嫌な場面だ、辻だったら、いい当たりでもホームに戻ってくるだろう・・・
かといって、以外と一発のある加護に対して外野もあからさまな前進守備も引けないか。
まあいい、2点差だ。3塁ランナーは無視すればいい訳だから、とにかくヒットさえ打たれなければ問題無いな。
石黒を返し、マウンドで一人深呼吸をする。ピンチはいつもの事だ。
セットポジションに入り、セカンドランナーの辻の動きを伺う、何か様子がおかしい。
いくらなんでも、リードが大き過ぎる、もともと大きい辻のリードより2歩は大きい。
とりあえず、プレートを外すと、頭から辻が戻る。
やっぱりおかしい、外野は中間守備だ、普通のリードで辻なら間違い無く戻って来れるはずだ。
再度セットポジションに入るが、辻のリードは同じく大きいままだった。
まあいい、次にバッターボックスの加護に目を向ける。
辻、加護、矢口と3人並ぶ横浜スーパーカートリオの一角で、長打力もあって、小技もきく2番バッター。
でも、どれもが中途半端だ。少なくとも本気の自分の球をまともに捉えれるようなバッターでは無い。
となると・・・なるほどね。
3 :
名無し娘。:2001/07/27(金) 00:03 ID:7DduymQk
安倍がプレートを外した後に、加護がタイムを取った。
「矢口さ〜ん、どないします?」
プレイングマネージャーである矢口に向かって加護が耳打ちする。
「そうだな、なっちにばれているね・・・辻も見え見え過ぎるよ。あれじゃあツーランスクイズを狙ってますって言っているようなものだよ。しょうがない作戦変更、とりあえず右狙いでいけ、カウント次第でサインだすから。・・・くれぐれも、あの球には手を出すなよ。」
「はい、わかりやしたよ。」
あの球か・・・あの球は打てへんな、あんなんスライダーとは言えへんわ。
審判に急かされ、慌ててバッターボックスにはいる加護を安倍がにらみつける。
バッターを一度睨み付けてから、投球に入る安倍に対し、既に加護は打てない映像を見ていたのだろうか、初球、2球目と甘えに入ったストレートを何れも見逃した。
もちろんこれは、加護の表情を注意深く観察してた石黒の活躍でもある。
打撃も肩もそこそこである、石黒がプロの正捕手でいられるのは、この観察力のおかげであろう。
さて、雑魚相手に見せ球は必要無いね、3球勝負と行くか。石黒がスライダーのサインを出すと、安倍が頷く。
ランナーに目をやり、ゆったりとしたフォームで投げ込む安倍に見入られた様に加護が呟く「あかん、打てるわけ無いわ、でも振らんことには・・・」
そして安倍の指を離れたボールは、外角高めに来る。
「よしストレートや!」
これならと思い、フルスイングした加護のバットから逃げる様に、球が右に滑る。
実に145キロのスライダーだった。
「ストライク、バッターアウッ」
主審が右手を挙げながら叫ぶ。
4 :
名無し娘。:2001/07/27(金) 00:04 ID:7DduymQk
「アホ!!手を出すなっていっただろ」
俯きながら、ベンチに戻ろうとする、加護に矢口が言う。
「すんません、でもほんまストレートにしか見えへんのです。」
「ちっ、しょうがねえな。まあいい」
加護を三振に切って取り安堵する安倍だか、次に控えるのは、0.345で打撃ランキング2位の矢口だ。
「どうも石黒さん、腰の調子は大丈夫ですか?私は心配で心配で仕方が無いんですよ。早く引退したらいかがです?」
「あいも変わらず白々しいね矢口、早くも口撃かい?」
もはやお約束のようになっている矢口の呟き、通常は捕手が打者に対して行うものだが、矢口の場合、先に仕掛けてくるので捕手もやりづらい。
どこから攻める?石黒が安倍に対して訴えるような視線を送る。
いいよ、彩っぺの好きなようにリードして。安倍が視線だけで返す。
安倍と石黒は、室蘭大谷高校時代からバッテリーを組んでいた仲である。
最も、安倍が1年の時に石黒が3年だったので、実質半年ほどのバッテリーではあったが、
簡単な意思伝達の手段は目線だけで十分だった。
5 :
名無し娘。:2001/07/27(金) 00:04 ID:7DduymQk
さてと・・・安倍がセットポジションに入る。チラリとセカンドを見ると今度は辻リードは小さいので、安心した様に、矢口に視線を移す。
長打力はさして無いけど、とにかく上手いスプレーヒッター。それに読みが抜群だ。
こんなバッター相手に、駆け引きは薮蛇だ、力でねじ伏せる。
石黒の考えも同様だ、初球のサインは内角高めのストレート。
スルスルと、左バッターである矢口の内角に移動する石黒を、矢口が見る。
もちろん、コースを確認する行為自体に意味は無い。投げる前に、内角に構えていても、投げる瞬間に移動されたら終わりだからだ。
しかし矢口は、相手に考えさせるだけでも意味があると、この行為を必ず行っていた。
駆け引き上手の矢口にとって、捕手が考えてくれ無ければ読めないからだ。
「内角か、なっちの球って当たったら痛いだろうね。」
「そうだね、とりあえず初球はピーンボールのサインだから」
石黒も負けていない、矢口の口撃に苛立つと、碌な事が無い事は十分過ぎるほど承知していた。
さあ、なっち思いきって来い。
石黒の考えが伝わったかのように、安倍の足が上がり、矢口の胸元に速球が来る。
バキッ!!
バットの折れる鈍い音の後、白球が小さな弧を描き安倍のグラブに吸い込まれる。
ピッチャーフライ、完全に矢口の力負けだった。
悔しがり、折れたバットを叩きつける矢口。
遠目で、矢口を見ながら、小さな微笑を安倍がみせるが、石黒が握手に向かう頃には消えていた。
所詮は消化試合だ・・・この試合の勝ち負けなど、優勝争いに全く関係無い。
こんな閑散とした球場で、活躍したところで何の意味も無い。
次々と握手を求められた安倍は、最後に先発の平家と握手を交わした後、無言でロッカールームに消えて行った。
この時の安倍には、これから起こる魂の燃えるような戦いなど、想像すらできていなかった事だろう。
10年前、大手新聞社が中心になって、開幕した女子プロ野球。
当初は、物珍しさもあって人気を得ていたが、ここ2、3年は人気低迷に歯止めがきかなくなり、10チームあったものが、現在では、6チームのみで行われている。
特に弱小チームである札幌ベア-ズは、出資会社である大手ビールメーカーの売上不振もあり、極端なリストラを断行し、現在ではスター選手と呼べる選手が、安倍と石黒だけになっており、存続の危機にさらされている。
今日の女子プロ野球の対戦と予告先発。
・札 幌(先発平家) × 横 浜(先発信田) (札幌ドーム)
・東 京(先発松浦) × 大 阪(先発稲葉) (東京ドーム)
・千 葉(先発市井) × 名古屋(先発レファ) (千葉マリン)
7 :
名無し娘。:2001/07/31(火) 00:25 ID:tFO1gniU
おお、けっこう本格派だな。
続きが楽しみだよ、がんばってね。
さしあたって強そうなのは東京と千葉かな?
舞台は東京ドーム。
すでにリーグ優勝を決めた東京の、プレーオフの調整試合と思われた東京×大阪戦は、
意外な形で盛りあがりを見せている。
盛りあがりの原因は、東京のルーキー松浦の好投。
ここまで、8回2/3で3四死球。そして被安打は0、達成すればルーキーとしては、女子プロ至上初のノーヒットノーランになる。
しかし、最後の最後で山場が来た。
9回の表2アウトまであっさり取った松浦が、3番戸田を迎えた場面で突如乱れ、ストレートの四球を与える。
そしてバッターは、ここまで36本の本塁打を放ち、ホームランダービーのトップをひた走る、中澤である。
間合いを取るように、サードの後藤がマウンドに駆け寄る。
「最悪、歩かせてもいいからな。点差は1点しかないけど、優勝は決まっているんだ。無理に勝負にこだわるなよ」
無言で頷く松浦の背中を叩き、後藤は守備位置に戻って行く。
「やっぱり、無理に中澤さんと勝負する必要無いかな。どうせ、吉澤さんのサインも外角中心だと思うし。」
自分を納得させるように、松浦が1人ごとを言う。無論、逃げたいと思うような人間がプロのマウンドに登っているわけは無い、投手とは常に傲慢なものだ。
気を取り直しセットポジションに入ると案の定、吉澤のミットは外角を構えている。
まあいいと思い、初球を投げ込むと、ボール球にも関わらず中澤がフルスイングしてきた。
「ストライク」
えっ・・・なんで、くそボールだよ
疑問に思いながら吉澤が、もう一度同じコースに要求し松浦が投げ込むと、また同じようなスイングで空振りをする。
「ストライクツー」
なにか様子がおかしい、吉澤が小声で中澤に呟く。
「そんなにムキにならないで中澤さん、うちの大事なルーキーなんですよ。ここは華を持たせてやってください。」
「そうやな・・・考えとくわ」
そういって吉澤を睨みつける中澤の目には只ならぬ迫力を感じた。
しかし、現実にツーナッシングに追込んだ、ここで勝負をしない手はないだろう。
・・・いくら中澤さんと言えども、この状況で松浦のシュートが打てるとは思えない。
それに、もともと内角には詰まるバッターだ、外角に甘いボールが行く方が余程怖い。
よし、ここは勝負だ松浦。
吉澤は、内角高めに松浦得意のシュートを要求した。
待ってましたとばかりに松浦の心が弾む、もともと最後はシュートで決めたかった。
最後は内角のシュートで、中澤のバットをへし折ってこそ、ノーヒットノーランの価値があがるというものだ。
待ちきれないといった顔つきで、足を上げる松浦をみて、後藤が呟く。
「バカが、素直に歩かせときゃいいもんを・・・」
大きなフォームの松浦の右腕から、中澤の胸元に抉るようなシュートが襲いかかる。
このボールを完全に読んでいたのか、はたまた咄嗟に体が動いたのか。
元々オープンスタンスの中澤の左足が、大きく外に開き、バットが体に巻きつく様にしなる。
カキ−ン!!
快音を残し、打球は左中間スタンドの中段まで届いた。
内角のボールに体を極端に開き、左中間に流す、うち流、中澤裕子独特の打球である。
うなだれる松浦を横目で見ながら、悠然と走る中澤に声が掛かったのは、3塁の前だった。
「ナイスバッティング」
後藤真希が腕組みをしながら、中澤をたたえる、それを軽い微笑みで返し、中澤は後藤の前を通り過ぎて行く。
「さすがだね中澤さん・・・でもね、天才は1人で十分なんだよ」
中澤の芸術的なバッティングは、気まぐれな天才の目を覚ますのに十分だった。
中澤の逆転2ランで試合をひっくり返した大阪。
9回裏のマウンドに立つのは、もちろん、ハワイアンエクスプレスの異名を持つアヤカだった。140キロ後半の速球に、鋭いフォーク。来日2年目の今年、大阪のストッパーの座を不動の物にしている。
このところ連敗の続いているチーム状態もあって、登板間隔は10日以上開いていたが、それを感じさせない様に、東京のうるさい1,2番を打ち取る。
しかし、次のバッターは東京の誇る、ツインバズーカ−の1人、3番吉澤ひとみだ。
「オッシャー、来やがれ」
先程の配球ミスを、取り返すと言わんばかりに、気合をいれる吉澤。
もともと闘志が表に出ない吉澤にしては、珍しく気合が表に出ている。
何でも来いよ・・・吉澤は独特のクラウチングスタイルでバッターボックスに入ると、アヤカの初球ストレートを思いきり叩いた。
打球は、弾丸ライナーで三遊間を抜けて行き、ツーアウトから同点のランナーが出た。
舌うちをして、マウンドを蹴るアヤカの耳に。大歓声が聞こえたのは次の瞬間だった。
「四番ファースト 後藤」
ワアアアアアアッ!!!!!
ご・と・う!!! ご・と・う!!! ご・と・う!!! ご・と・う!!!
耳を塞ぎたくなるような大歓声がライトスタンドから巻き起こる。
女子プロ野球人気凋落と言えども、東京がらみのゲームはどれも満員だ、その一番の要因は、天才後藤真希の存在である。
その恵まれた容姿に加え、走攻守三拍子そろった野球センス。
その中でもずば抜けた打撃センスは、他の追随を許さず、入団から昨年まで三年連続首位打者、今季もここまで0.385と2位矢口に4分近くの差を付け、首位打者争いを独走している。
「相変わらずの人気やな」
ファーストの守備につく中澤が、ランナーの吉澤と談笑する。
「そうですね、ごっちんの人気は抜群ですから。もちろん実力もね、それともう一つ、ごっちんが珍しく、笑っていました。」
そう言う吉澤の目は、既に勝利を確信している様だ、笑う後藤とは、つまり本気の後藤ということだからだ。吉澤の知る限り、笑った後藤を抑え込んだ投手はいない。
札幌の安倍やメジャー挑戦中の福田ですら、笑った後藤を抑え込む事はできないだろう。
13 :
名無し娘。:2001/08/02(木) 22:16 ID:p35FEpcE
hozen
14 :
名無し娘。:2001/08/03(金) 16:18 ID:XJG3fFG.
も
15 :
名無し娘。:2001/08/04(土) 14:12 ID:HSEq8qao
16 :
天才と球聖:2001/08/04(土) 22:35 ID:wFNtFgKA
異様な構えだ・・・
両手を離してグリップを持ち、左バッターボックスに入る後藤特有の構えに、アヤカは戸惑っている。
通称タイカップ打法。球聖と呼ばれたタイカップと同じ構えを後藤はしている。
しかし後藤はそんな事は知らない、いや、正確には知らない事にしていた。
3年前、雑誌のインタビュー中にタイカップの存在を知らされたが、後藤が自分自身で
編み出した構えを人まねのように言われるのが我慢ならず、その事は忘れるように
していた。
球聖と呼ばれ、今も歴史に残っている大打者といえども、後藤には凡才に思えるらしい。
17 :
名無し娘。:2001/08/05(日) 03:18 ID:aEsLHTdk
「ボール」
アヤカが後藤に対して投じた4球目は大きく外角に外れた。
カウントは2−2。2ストライクまではストレートであっさり追込んだが、
外角の釣り球に後藤はピクリとも動かない。
まるで、あらかじめ投げるコースがわかっているかのようだ。
「楽に行こうアヤカ」
捕手の戸田がボールを返球しながら、アヤカに声を掛ける。
・・・ここまでは計算通りだ、後藤が釣り球に手を出さないことぐらい計算
している。全ては伏線だ。
ここまでの4球、戸田はアヤカに外角のストレートしか要求していない。
切り札はとっておくもの、ここでフォークだ。
ストレートに目が慣れた後藤が同じコースから落ちるフォークを完璧に捉え
るのは難しいだろう。
それに万が一捉えられても長打は無いだろう・・・来いアヤカ。
サインに頷きアヤカが投球フォームに入り、投げ込む。
崩した!
アヤカが投じた外角低めのフォークに、後藤の体勢が崩れる。
しかしさすがは後藤、体勢を崩しながらもバットは確実にボールを捉える。
「よし、レフトフライだ。打ち取った。」
思わず声を出す戸田、バットの芯は捉えたろうが、あの体勢で打球が伸びる
訳が無い。
安堵する大阪の中で、只1人下を向く中澤。
「いったな、サヨナラや・・・」
中澤の言った通り打球はレフトスタンド最前列に飲み込まれていった。
「嘘だ・・・あのスイングでスタンドまで届くはずが無い・・・」
信じられないといった表情で戸田が俯く。
それを遠めで見ながら、中澤が言う。
「まあ、戸田にはわからんやろな。あのスイングの凄さが・・・」
後藤は中澤に目もくれずに無言で1塁を蹴る、すでに笑い顔は消え無表情になっていた。
「それにしても恐ろしい奴や・・・タイミングだけであそこまで飛ばすとはな。
あの若さでバッティングを極めている。」
ホームベース上で吉澤が後藤を迎える。
「ナイスバッティングごっちん」
「ありがと、よっすぃー。」
後藤が先ほどまでとはまったく違う笑顔で返す。
天才と言えど、素顔は若い女の子のようだ。
20 :
名無し娘。:2001/08/06(月) 01:15 ID:gZcEktM2
たしか木村
舞台は変わって千葉マリンスタジアム。
試合は8回裏千葉の攻撃、ここまで15対1と千葉のリードで一方的な試合展開になっている。
「駄目だね・・・いったい何点取られるつもりなんだろう。」
千葉先発の市井が面倒臭そうに言う。すでに最多勝、防御率の2冠を確定的にしている市井とっては、
この試合はどうでも良かった。
もともとは平凡なピッチャーであった市井が覚醒したのは、2年前のハワイアンリーグ。
ここで、地元のコーチに教わったムービングファストボールが市井を変えた。
決してスピードは無いが、千葉の保田を中心とした守りを信じた打たせる投球が冴え渡り、あっというまに
日本を代表する投手に成長した。
変わって、名古屋のマウンドには2年目の石川、ここまで打者9人に対して5安打3四球で6点を失っている。
尚もランナーは2,3塁でバッターは2番の保田。
「なんとかしなくちゃ・・・」
マウンド上で石川が呟く、ここまで34試合に登板して防御率は26.54、本来であれば
とても常時一軍にいるような成績ではない。また、実力も無い。
2年前、親会社の深刻な経営不振に悩む名古屋が招聘した山崎監督が考えた営業対策の犠牲者である。
実力を無視して見た目が良いだけの選手を獲得し使う、その条件には石川がぴったりであった。
さすがに勝負どころでは使えないが、このような消化試合で尚且つ点差の開いた試合ではファンサービス
として必ず使われ、その度に打ち込まれる。
しかし実際営業の効果はあり、名古屋の観客動員は2年前に比べ3割以上増している。
「あーあ、まったく圭ちゃんも容赦無いな・・・」
これだけ点差が開いても保田はまったく手を抜かない、苦しむ石川に対してセーフティーバンドを決めた。
これで、16点目だ。
打ち込まれ石川が俯くいつもの光景をレフトの飯田はただじっと見ていた、石川の只1人の理解者として。
あきらめるな石川・・・
22 :
名無し娘。:2001/08/08(水) 01:23 ID:7uIvPsnU
23 :
作者:2001/08/08(水) 02:14 ID:vJBiqUpI
>>11 4番ファースト後藤→4番サード後藤の間違いでした。
もう少しでプロローグが終わって本編に入ります。
本編はマニアックな路線で書かせてもらいます・・・いや、書きたいです。
また、野球の技術的な突っ込みについては歓迎しますので、気になる点が
あったら、できれば書き込んでください。
「それにしてもあの子恥ずかしいよね」
千葉に17−1と惨敗した名古屋のロッカールームは、いつも以上に騒がしかった。
騒ぎの原因は、いつものとおり石川。
「そういえばあの子いないけど、どうしたの?」
「また練習でしょ、ホイとか掛け声掛けながら、あの不恰好なフォームで投げこんでんのよ」
「全く練習しても無駄だってわからないのかな?もっともあの子馬鹿そうだしね」
「そうそう本当馬鹿そう。でも男に媚びるの上手そうよね。きっと夜になれば・・」
バンッ!!!
飯田がロッカーを蹴飛ばすと、突然あたりが静まる。
くだらない奴らだ・・・今日の試合の敗因は中継ぎ陣の乱れだってわかっている筈なのに
誰も口にしない・・・
何より飯田が許せないのは、その中継ぎ陣が先頭にたって石川の悪口を言っている事だった。
こんなチームにいたら私まで腐っちまうよ・・・
2年前札幌の経営不振の煽りを受け、スター選手にしては異例の金銭トレードで名古屋に移籍した
飯田だったが、正直このチームの腐り具合には嫌気がさしていた。
負けの原因を他人にばかり押し付ける選手、金儲けしか考えていないフロント・・・
こんなチームで少しはましなのは、あいつ位か。
実力はこれっぽっちも無いけどな・・・
もしあいつに実力があれば・・・このチームも変われるのに。
考え事をしながらロッカールームを出て歩いていくと、練習場で1人投げ込む石川が目に入った。
相変わらず不恰好だ、顔が上がっているし下半身も全然安定していない。
しかし、それは無理が無いことであった。
何故なら、フロントから石川には筋肉トレーニングも走りこみも禁止されていたからだ。
理由はスタイルが乱れるから・・・まったく馬鹿げた理由だ。
石川に許された練習は、ただ壁に向かって1人投げつづけること。
「無駄な努力か・・・」
決して報われることが無さそうな石川の努力を、飯田は何時までも見ていた。
「そろそろ帰ろうよ圭ちゃん」
日課である試合後の守備練習を行っている保田に市井が話しかける。
「あ、もうすぐ終わるから待っていてね」
そういって保田は練習を続ける。
ショートのポジションに沢山のボールをばら撒き、それを一つずつ拾い後ろ向きで1塁のネットに
投げる独特の練習。
保田曰く、どんな体勢でもファーストに正確な送球をするための練習らしい。
それにしてもいつもいつも頑張るね圭ちゃんは。
市井も練習は多い方だが、保田にはとてもかなわない。
試合後くらいゆっくりすればいいのに・・・もう十分上手いんだから。
でも、この絶え間ない練習のお陰で、今や和製オジースミスとか千葉の魔法使いとか言われるんだからね
やっぱり努力は大事だ・・・
「紗耶香〜終わったよ」
「あっじゃあ片付け手伝うよ。」
プレーオフ勝者は東京!!
リーグ1位の東京と同2位の千葉の間で行われたプレーオフは、
4勝2敗で東京が制した。
この結果東京は、来月に行われるワールドシリーズに日本代表として参加
する事となった。
27 :
全日程終了:2001/08/09(木) 21:55 ID:uVpR6V/M
勝 負 差
1 東京 79 51 −
2 千葉 75 55 4.0
3 横浜 70 60 5.0
4 大阪 65 65 5.0
5 札幌 51 79 14.0
6 名古屋 50 80 1.0
個人成績
MVP 後藤真希(東京)B
新人王 松浦亜弥(東京)
打撃部門
首位打者 後藤真希(東京)C 0.382
本塁打王 中澤裕子(大阪)B 38本
打点王 後藤真希(東京)A 128点
盗塁王 辻 希美(横浜)初 65個
投手部門
防御率 市井紗耶香(千葉)初 2.45
最多勝 市井紗耶香(千葉)A 18勝
セーブ 安倍なつみ(札幌)A 38SP
勝 率 柴田あゆみ(東京)初 0.750
ベストナイン
投 手 市井紗耶香(千 葉)A 18勝7敗 2.45
捕 手 吉澤ひとみ(東 京)初 0.265 33本 89打点
1塁手 中澤裕子 (大 阪)G 0.301 38本 101打点
2塁手 矢口真里 (横 浜)C 0.348 10本 75打点
3塁手 後藤真希 (東 京)C 0.382 28本 128打点
遊撃手 保田 圭 (千 葉)B 0.254 4本 28打点
外野手 飯田圭織 (名古屋)C 0.275 35本 91打点
辻 希美 (横 浜)初 0.276 5本 30打点
加護亜依 (横 浜)初 0.318 14本 52打点
東京惜敗!
日本代表としてワールドシリーズに参加した東京だったが、予選でドミニカに1勝2敗で敗れ
本大会出場はならなかった。これで日本からの代表チームは5年連続で本戦出場を逃している。
この結果を受けJWBAの寺田会長は、早急に日本のレベルアップを行わないと、いずれシリーズ
の参加資格すら危うくなると危惧を示している。
29 :
名無し娘。:2001/08/10(金) 01:15 ID:n9WqO/oA
sa
30 :
名無し娘。:2001/08/10(金) 01:17 ID:ZiILor5c
おもしろそうだ
31 :
名無し娘。:2001/08/10(金) 01:31 ID:17qK2O8Q
安倍の成績が何気に凄い。
チームの勝ち星の7割以上を安倍の救援で拾ってる。
球界を代表する名ストッパーと言える。
「札幌の大魔神」とか呼ばれてるのかな?
32 :
名無し娘。:2001/08/10(金) 01:48 ID:sFnCLOD2
辻の打率が0.276で盗塁が65個
塁に出たときの半分は盗塁してるんじゃねーの(w
ちょっとやりすぎ感があるよ。
33 :
作者さんへ:2001/08/10(金) 01:55 ID:o6WNvgXM
水差してスマソ
まず、「バンド」→「バント」ね。
それと、最多セーブの成績がセーブポイントになってるのは「?」。
日本の最優秀救援はセーブポイントだね。
34 :
名無し娘。:2001/08/10(金) 03:20 ID:fFz0Cvdg
>>32 君は出塁率って言葉を知らないの?
最低でも200近くは出塁してる計算になるけど・・・
それに今年の井口もそのくらいのペースだったような?
>>29 頼む!あげるな。
>>31 安倍はとにかく凄いって設定なので極端にしてあります。
確かに51勝中38SPか・・・ちょっとやりすぎたかな?
ちなみに安倍には、これと言った異名は無いです。
>>32 辻は1番なので600打席以上はあります。出塁率は当然3割以上です。
極端にはおかしくはないと思うけど。
参考までに福本豊の数字を少し。
1973年 .306 13本 54点 95盗塁
1974年 .327 8本 52点 94盗塁
1975年 .259 10本 51点 63盗塁
1976年 .282 8本 46点 62盗塁
まあこの位になって欲しいって設定なので。
>>33 間違いです。すみませんでした。
36 :
名無し娘。:2001/08/10(金) 08:12 ID:U0XqUue2
>>35 野球知らない人が書き込むと邪魔になりそうだな。
つっこみは、詳しい人限定にしたほうがいいんじゃない?
37 :
名無し娘。:2001/08/10(金) 19:30 ID:ZS7yTmxI
何か勝手に色々サイドストーリーを考えてしまうな……
「5000万円?」
札幌安倍なつみの契約交渉は難航していた。
「2年連続セーブ王で現状維持か・・・ほんとトレードにでも出して欲しいな。」
契約交渉の席で安倍も思わず本音が出る。
「いやね安倍君。開幕戦で後藤選手に打たれたサヨナラでチームの勢いが
無くなったのは明白なんだから、ここは現状維持で満足・・・」
まったく二言目にはこれだ、だいたい今年リリーフ失敗したのは2回しか無いってのに。
そのうちの1回をこんなに大きく扱われたって・・・もういいや面倒くさい。
「はいはいわかりましたよ、サインしますから契約書出してください」
もう限界といった感じで安倍が白旗を出す。
「いや〜助かるよ安倍君、君の年棒を5000万円に抑えられれば。他の選手・・・っと」
おもわず本音が出そうになるフロント陣に安倍は苦笑いする。
「まあいいですよ。経営が苦しいの位知ってますから。じゃあ」
契約を済ませ部屋を出ると、石黒が待っていた。
「よっ、どうだった?」
「どうって、現状維持だよ・・・」
安倍が苦々しい表情で返す。
「で、彩っぺは今から?」
「まあね、なっち以上に厳しい契約になるよ。今年は怪我で休んだりもしていたからね。
じゃあね。」
はあ・・・後藤は1億円とか貰っているのに、いくら経営不振って言っても限度があるよ。
石黒を見送ると、安倍は再び考え込む。
今の扱いに不満はあるが、簡単に札幌から出るわけにはいかないからだ。
せめてお父さんの体が良くなればな・・・
「バスケットボールは先生に、フットボールはコーチに、そして野球は父親に教われ。」
この言葉を思い出すたびに、父親に会いたくなってくる。
初めてボールを握ったのは5歳の時だった。
小学校の野球チームの監督をしている父親が、母親の反対を押し切って野球を始めさせた。
「なつみ、どうせやるならピッチャーだ!ピッチャーは一番偉いんだぞ、何しろピッチャーが球を
投げなければ試合は始まらないんだからな。でも、それだけ責任が重いんだぞ。だから他人の何倍も
練習するんだ。」
その父親の言葉からはじめた野球と投手。
毎日夜遅くまで行われたキャッチボールが今の安倍の原点になっている。
「お父さん、またキャッチボールしようね」
病室で2年以上眠りつづけている父親に向かって安倍が話し掛ける。
もちろん2度とキャッチボールができるような体で無いこと位わかっている、しかし野球に対する
情熱が年々冷めつつある安倍にとって、原点である父とのキャッチボールが情熱を取り戻すものに
思えてならなかった。
「野球は父親に教われか・・・お父さんが教えてくれた言葉だよ。」
40 :
:2001/08/13(月) 01:01 ID:eD4O2YLU
ho
hoze〜n
42 :
(0^〜^0)@狼:2001/08/13(月) 17:32 ID:Ab4EY1Sw
おいら賢いよ
43 :
作者:2001/08/13(月) 23:36 ID:PLCFn.ow
>>42 賢いのは良くわかったから、あげないでね。
sage進行の小説をあげるような嫌がらせは趣味悪いよ。
44 :
名無し娘。:2001/08/15(水) 00:45 ID:60GaQbXs
保全するっしょ
45 :
首位打者後藤:2001/08/15(水) 04:39 ID:jC37D.eo
hozennnnnn
46 :
東スポの記事:2001/08/15(水) 06:56 ID:rjciWewY
「矢口さん矢口さん、大変です大変です!!!」
横浜辻希美が、スポーツ新聞をつかみながら飲み屋に飛び込んできた。
「何だうるせえな辻、一体何が大変なんだ?」
飲み屋でくだを巻く矢口は、鬱陶しいといった感じで返す。
「とにかく、とにかくこれを見てくださいよ!!」
「あっ?ったく面倒くせえな・・・」
「(日本女子プロ野球がアジア地区に統合!!アジアリーグとして開幕か!?)
・・・って手前これ東スポじゃねえか!!」
「へっ?」
「へっ、じゃねえよ!こんなの嘘に決まっているだろ・・・折角気持ちよく飲んでいるんだ、野球の
事なんか思い出さすんじゃねえよ・・・」
今年こそは優勝と首位打者と意気込んだ前シーズン、結局どちらとも後藤に持ってかれた矢口は、
しばらくは野球と離れたいと思っていた。
プレイングマネージャーとして監督と選手、更には守備の要としてポイントゲッターとして・・・
矢口の役割は余りにも多すぎた。ただ自分の成績だけを考えていればいい後藤とは役割が違いすぎる。
「せめてオフぐらいゆっくりさせろよ・・・私は疲れているんだ・・・」
疲れきった表情の矢口を見てやっと辻は、冷静さを取り戻した。
「すみません矢口さん・・・迷惑ばかり掛けて。でも来年こそはきっと頼れる選手になりますから。
あいぼんと2人で少しでも矢口さんの負担を減らしますから。」
「殊勝なこと言ってんじゃねえよ・・・期待しないで待っているよ」
多少、誰も気がつかないぐらい矢口の顔が緩んだ。口は悪いが決して辻の事が嫌いなわけではないからだ。
「はい、待っていて下さい。」
47 :
(0^〜^0)@狼:2001/08/15(水) 19:15 ID:vQOAp.ac
48 :
名無し娘。:2001/08/15(水) 19:25 ID:aSvM8Xyg
面白いのでBookmarkさせてもらった。がんばってくれ。
49 :
楽:2001/08/15(水) 20:03 ID:YMOwIxcI
パワプロで作ってみるか?
50 :
作者:2001/08/15(水) 21:01 ID:c3SpNt2A
>>47 ちょっと待って、悪意でやっているんじゃ無いの?保全目的?
でもどちらにしても上げるのは勘弁してね。
文章に自信が無いので。
「まあいいや、とりあえず坐りな・・・。すみませ〜ん、生中1つ!」
「え、でも私未成年ですよ」
「うるせえ、堅いこと言うんじゃねえよ。それとも私の酒が飲めないって事か?」
何となく照れくさくなったのか、矢口が辻に絡みだした。
日頃口が悪い人間というのは、感謝されるのが苦手と言うが、矢口を見ているとそれが本当で
あるように思える。
「わかりましたよ、でも少しだけですよ。」
仕方が無さそうに辻が答えるが、顔は笑っていた。
カンパーイ!!
ビールが出てくると、どちらとも無くジョッキを合わせる。
「で、どうだ辻、2年目が終わって少しはプロに慣れたか?」
「はい、そうですね。今年は盗塁王も取れましたし少しは慣れたと思います。
でも率も低いですし・・・まだまだですね。もう少し考えた打撃をしなければ駄目だと思いました。
それと、盗塁の失敗率も高すぎました。この辺を来年から直したいと思います。」
珍しくまともな答えを返す辻に矢口は妙な違和感を感じたが、すぐに気が付いた
・・・あっ酒のせいね。こいつは飲むとまともになるんだ。
「
「それで話は変わるけど、さっきの新聞記事あるだろ。嘘だっていったけど、あながち嘘とも
言い切れないんだ。」
手持ちのジョッキを空にした後に、矢口が慎重な口調で話し始めた。
「どういう事ですか?」
「この前のワールドシリーズで東京が予選落ちしただろ。それでな、韓国とか台湾とかから苦情
が出たらしいんだよ、日本の代表がそのままワールドシリーズの予選に出るのはおかしいって。」
「そうなんですか?」
「まあ、韓国と台湾はオーストラリアも含めた3カ国で、決定戦を行っているからな、
日本だけ特別扱いするのはおかしいって気持ちはわかるんだけどな・・・」
今現在、ワールドシリーズにはアジアオセアニアから2チーム、ヨーロッパから2チーム、アフリカ
から1チーム、中南米から5チームの計10チームで争われているが、このシリーズの企画した
日本とアメリカの2カ国は優先的な出場権を持っていた。
しかし、過去10大会連続で決勝戦まで駒を進めているアメリカに対して、日本は只の1回も決勝戦に
駒を進めたことは無い。それどころか最近5年間は決勝トーナメントにすら進めないという惨状である。
韓国と台湾の主張は当たり前の事だった。
53 :
名無し娘。:2001/08/16(木) 07:37 ID:fiWH.RtE
できれば石川は野手として登場させて欲しかった。
ダメっすか?
54 :
楽:2001/08/16(木) 10:20 ID:PiSLd0uc
予言(というより希望)
へなちょこ石川は、ナックルボーラーになる。「才能からっきし・努力だけ」といえば、やはりナックルボーラー。努力できるのも、才能だと思うが。
55 :
名無し娘。:2001/08/16(木) 10:37 ID:oEyWxk3g
これで下がるのかな
56 :
名無し娘。:2001/08/16(木) 11:13 ID:NYbNroAw
57 :
名無し娘。:2001/08/17(金) 03:19 ID:gGDGwNhE
保
58 :
名無し娘。:2001/08/17(金) 14:33 ID:5kEIx8eU
田
59 :
名無し娘。:2001/08/18(土) 02:27 ID:vV//6BiI
圭
60 :
名無し娘。:2001/08/18(土) 16:05 ID:0I4GjXZE
萌
61 :
名無し娘。:2001/08/19(日) 00:14 ID:nifmM72c
市
62 :
井:2001/08/19(日) 03:11 ID:ezzdUeN6
年が明け新たなシーズンが始まろうとしている。
東京の後藤、吉澤は合同自主トレの名目で温泉にきていた。
「はあ・・・いい湯だね、よっすぃー・・・」
温泉につかりながら後藤がたまらないといった表情になる。
「まあね・・・疲れも吹っ飛ぶよ。終盤は体ガタガタだったからね。」
吉澤も後藤以上にたまらないといった表情になる。
昨年度プロ入り初めて全試合出場を果たしベストナインを受賞した吉澤にとって充実した
シーズンではあったが、捕手の重労働は予想以上に体を蝕んでいた。
「そういえばよっすいー、例の統合の件ってどうなっているの?」
「う〜ん・・・ただの噂でしょ。そんな事より来年こそはシリーズ本大会に進みたいよね」
「まあね。個人的には満足しているんだけどチームが負けちゃ意味無いしね」
「・・・ごっちんは結構打ってたからね、私なんか酷いものだったよ。」
日本では大型の長距離砲である吉澤も、中南米のチームに入れば対したバッターではないと言う事を
思い知らされたシリーズであった。せめて後藤のように技術があれば何とかなったかも知れないが、
今の吉澤にそこまで求めることは無理であろう。
「とにかく!今年もシリーズに出て絶対打ちまくってやるの!!特にアメリカのババア達には絶対に
負けないんだから!」
「セイコにアキナね・・・最低でもあいつらにだけは借りを返さなきゃね」
63 :
名無し娘。:2001/08/19(日) 19:57 ID:nPQnVhxc
64 :
作者:2001/08/19(日) 22:23 ID:pN58Lu9Y
中途半端かも知れないけど、とりあえず人物紹介を兼ねたプロローグを終わります。
で、まだ世界観が書ききれていないので、ちょっとここで説明します。
ワールドシリーズについて・・・
中南米が5チームとありますが、これは5カ国の間違いです。
女版のメジャーリーグの優勝チームだけだと強すぎる上に1チームしかでれないので、
第2回目から各国の代表メンバーが参加するという特殊な設定になっていなす。
現時点では日本と韓国のみが自国リーグの優勝チーム参加という事になっています。
石川について扱いについて・・・
まだ全然決めていません。とりあえず努力しても報われない石川に萌えなので・・・
じゃあ、明日から本編はじめますのでよかったら読んでください。
65 :
名無し娘。:2001/08/20(月) 01:41 ID:oKMRhSjM
期待保全
66 :
名無し娘。:2001/08/20(月) 12:13 ID:dMEOMX0U
期待
東京×大阪(東京ドーム)
昨年度ペナントを制した東京は、エースの柴田と2年目の松浦の2枚看板の他、先発も充実
また打撃陣に関しても、昨年2冠王の後藤と成長著しい吉澤など充実しており今年も優勝候補
の一番手である。
対する大阪は、投手野手ともの駒不足の感は否めない。頼みの中澤も年棒調停で出遅れており
間違うと札幌名古屋と最下位争いを行う恐れがあるが、戸田を中心とした守りの野球で上位を
狙うか。
千葉×札幌(千葉マリン)
昨年2位の千葉はエース市井、ショート保田を中心とした守りの野球は健在。
打撃陣に関しては、やや弱い点はあるが打倒東京の一番手である。
対する札幌は、ストッパー安倍は健在なものの駒不足感は否めない。
また、腰に爆弾を抱える石黒に変わる捕手も育っておらず苦しいシーズンになるだろう。
横浜×名古屋(横浜スタジアム)
横浜は辻、加護、矢口のスーパーカートリオが走りまくって,今年こそ悲願の初Vを狙う。
一方名古屋は、相変わらずの先発の駒不足等不安要素しか見当たらない。
孤軍奮闘の主砲飯田の活躍で上位を狙えるか?
68 :
名無し娘。:2001/08/21(火) 05:13 ID:WLUQqIMA
期待しつつ保全。
69 :
名無し娘。:2001/08/21(火) 18:04 ID:syGoeBLI
早く次が読みたいな保全。(でも、上の方に糞スレがずいぶん増えちゃったけど、【日本の夏、夏厨の夏】この位置で大丈夫なのかな)
70 :
名無し娘。:2001/08/22(水) 00:27 ID:2vdfdyls
71 :
余裕の市井:2001/08/22(水) 00:34 ID:6vownRZw
千葉×札幌の開幕戦は市井が快調に飛ばしている。
ここまで8イニングを、内野安打1本に抑える完璧な内容。
一方打線も札幌先発の平家を7回に捉え、3番木村のスクイズと4番ダニエルのホームランで
3点を奪い、この回で平家をマウンドからひきずりおろした。
「さてと、開幕戦から完封といかせてもらおうかな」
9回表のマウンドに登る市井は自信満々であった。
「油断しちゃだめだよ、たった3点位じゃワンチャンスだからね。」
保田がマウンドに行き、いつも通り細心の注意を払い守備位置に戻っていく。
・・・相変わらず心配性なんだから圭ちゃんは、今の札幌じゃ完封して当たり前だよ。
まあ、そうはいっても最終回だから締めていくかな。
打順は8番の石黒からか・・・昔は怖かったけど、今じゃポンコツ同然だね。
・・・それにしても凄くなったものだ、あの小心者が。
対する石黒は全く正反対のことを思っていた。
「お手柔らかにね」
捕手に軽く一礼をしてからバッターボックスに石黒が入る。
・・・さて、今年こそ化けの皮剥がして、元の小心者に戻してやるよ。
横浜スタジアムは、開幕戦から一方的な展開になっている。
昨年11勝と名古屋で唯一の二桁勝利を挙げ、来日2年目にして開幕投手に指名されたレファに対し
横浜が先制パンチ。
初回制球の定まらないレファから先頭の辻がストレートの四球を選ぶといきなり2盗を決め、
2番加護がセンター前にはじき返し、まず1点を先制。
続く矢口も四球を選び無死1,2塁。
さらに、初の開幕投手に緊張するレファに追い討ちをかけるように、意表をつくダブルスチールを
決め無死2,3塁。
ここで、今年から4番に入ったミカが右中間に2ベースを放ちいきなり4点を先制する。
この後も、小刻みに追加点を奪い8回を終わって9−1と横浜がリードする展開になっていた。
そして勝負をあきらめたのか、9回表の名古屋のマウンド上には石川が上がっていた。
・・・今年こそ頑張らなくちゃ。
石川が両手で頬を叩きながら気合をいれる。
しかし気合を入れる石川とは裏腹に、バックは無気力になっている。
石川が投げている時点で負け試合だと言うことを、皆がわかっているようだ。
73 :
作者:2001/08/22(水) 00:51 ID:6vownRZw
>>72 4点を先制→3点を先制の間違いです。
ちょっと質問ですが、今のハロプロメンバーは、モ娘。、カントリー、ココナッツ
、シェキドル、松浦、平家の他に誰がいますか?
正直、これだけだと少なすぎてキツイので良かったら教えてください。
まあ別にハロプロにこだわる必要は無いんですけどね。
74 :
代打娘。:2001/08/22(水) 02:00 ID:Z0iDwBAQ
>>73 あとメロンです。確かに全部集めて1チーム位の人数だ……
>作者さん
勝手にサイドストーリーを考えてしまったんですけど
全部終わったらちょろちょろっと書かせてもらっていいですかね?
厚かましいにも程があるので激sage……
75 :
楽:2001/08/22(水) 13:04 ID:bU6jf44A
今までの態度に深く反省しつつ保全。
76 :
名無し娘。:2001/08/22(水) 16:19 ID:8ub6aymY
飯田が清原っぽいね。タイトルに縁が無さそう
77 :
名無し娘。:2001/08/22(水) 16:53 ID:./l4nSyM
78 :
名無し娘。:2001/08/22(水) 20:21 ID:gW5zeCTI
ごっつあんとよっすぃ〜と柴田が所属する東京萌え!
って思いっきりマジヲタでスマソ。
79 :
名無し娘。:2001/08/22(水) 20:27 ID:gW5zeCTI
2ch初心者から質問。
あらし防止で下げなきゃいけないのは、よくわかるけど、400番目とかそれ以下で放置しとくと
dat入りしちゃうんじゃないの?
このスレものすごく好きだから敢えてあほ丸出しの質問。
「はいこれで10点目ね」
加護の2塁打で、1塁から一気に帰ってきた辻が笑顔でホームベースを踏む。
石川の投げる試合の、いつもの通りの展開だ。
先頭打者を打ち取ったものの、一番の辻にセンター前に運ばれ、続く加護にも三塁線に破られ
あっという間に1点を許した。
そして次のバッターはこの試合すでに3安打を放っている矢口だ。
・・・矢口さんか、不思議と打たれた記憶が無いんだよな。
ほとんどの投手が嫌がる矢口に対し、石川は何故か相性が良く昨年度7−0と完璧に抑えていた。
「やべっ」
石川の曲がらないカーブを矢口が引っ掛けて、ファーストゴロに倒れた。
「油断ですか?」
ベンチに戻りスパイクを履き替えている矢口に、辻が話し掛ける。
「別に油断しているわけじゃねえよ・・・それよりお前らはよくあの球が打てるな」
「はっ?だって球は遅いし、変化球だって殆ど曲がっていないじゃないですか。」
辻が不思議そうな顔を見せる。
「・・・まあな、でも知っているか、後藤もちっとも石川は打てていないんだぜ」
「後藤さんの事だから、手を抜いているんじゃないんですか?」
「まあ、それもあるけどな。・・・まあ何にせよ勿体無いよ石川は。名古屋の監督じゃ永遠に
気づかないと思うけどな、石川の最大の武器を。」
「???全然わからないんですけど。」
辻がますます不思議そうな顔になる。
「まあわかる必要はねえよ。どうせ気づいているのは私と後藤だけだ。余計な事を気にしなければ
目を瞑ったって打てるような球だからな。」
「?・・・判る必要がないですか、だったらそれでいいですけど」
ちょうどその時、電光掲示板に各地の試合結果及び途中経過が映し出された。
「おっ、千葉の試合終わったか。どれどれ・・・4−3で札幌が勝ったみたいだな。
東京もリードされているし開幕戦からいい感じだ。このまま開幕から突っ走るぞ辻」
「紗耶香・・・元気出して、たまにはこんなこともあるって。」
試合後のロッカールームで、9回表突如として乱れ3点差をひっくり返された市井を、
保田が慰めていた。
保田が元気付けようといろいろ話すが、市井は何一つ話そうとせず、保田の言葉に虚ろな目で
只頷いているだけであった。
・・・それにしても一体どうしたんだろう、あの時石黒さんに何か言われたのかな?
あの時、空振りして飛ばしたバットを石黒さんが取りにきた時、何かを紗耶香に言ったんだ。
・・・それにしてもこんな紗耶香を見るのは久しぶりだよ、まるであの頃の弱かった紗耶香みたいだ。
82 :
作者:2001/08/22(水) 21:16 ID:ljcAKrKU
>>74 別にいいですよ。
終わったらじゃ無くても、きりのいいところになったら教えますので、
その時に書き込んでください。
そうそう、メロンもいましたね。柴田はすでに使っているのに忘れていました。
>>79 最終書き込みの時間でdat行きが決められている筈だから、スレ番号が大きくても
大丈夫なはずです。最近はよく基準がわからないんだけどね。
83 :
74:
>>82(作者さん)
申し訳ない。ありがとうございます。
ですが、長ったらしくなりそうな上に
作者さんの頭の中に出来上がった世界とは
ややもすると違った設定になっているかも知れません。
そうなると申し訳が立たないので番外として
終わったあとにやらせてもらおうかと思ったのですが……。