1 :
名無し娘。:
安倍がソロでCD出さないのは、おかしい。
2 :
七死惨:2001/06/26(火) 13:06 ID:kZ45d5jo
CD出すだけなら小室友里だって出せる。
3 :
名無し娘。:2001/06/26(火) 13:07 ID:dPAF1IN6
あんまり乱立すると怒られるぞ
狼に立てろ
4 :
虎那智:2001/06/28(木) 23:39 ID:9oG2ao1w
このスレッド,放置されてるようなので,私にください。
せっかく,お題「なっちのソロ。」をいただいたので,
こちらも後ほどストーリーを考えます(w
なっちは天使 ( ● ´ ー ` ● )
「大天使様,およびでしょうか?」
「『およびでしょうか』じゃない。お前の部隊から離反者が出たそうじゃないか」
「は,お恥ずかしい話で…」
「一体,どうなっているのかね?詳しい話を聞かせてもらおうか」
「はい。離反したのは,『なっち』という名前の『見習』でして,地上界へ降りたまま
戻る気配がありません…」
「見習か,ではまだ『天使』ではないのだな?」
「はい。幸い,というか…」
「で,どうなんだ?まさか『サタン』の側に寝返ったのではあるまいな?もしそうだと
したら,解かっておるな?刺客を送って,すぐにでも処刑せねばならん」
「あ,いや,それはございません。部下の情報によりますれば,なっちは『人間界』で
生活しているとのことで,なっちに限ってサタン側に寝返るなどということは…」
「ふむ。早急に情報を集めて,報告せよ。お前も知っておろうが,近頃は,我が『天使
軍団』も不祥事続きで,私も頭を抱えておるのだ」
「はっ,承知しました」
「大天使様,なっちに関する情報が入りました」
「うむ」
「なっちは現在,日本国内において,『モー娘。』という組織に属している模様です」
「『モームス』っていうと,名古屋の?」
「それは『テンムス』だよ!って,オヤジギャグをいってる場合じゃありません」
「失敬。で,なんなんだ?その『モームス』とやらは」
「はい。正式には『モーニング娘。』という名の組織で,9人の若い女性のグループです。
つい最近までは,あまり若くない女性もいたという噂ですが…」
「おい,いいのか,そんな発言をして?この作者は『ゆゆヲタ』だからな。言動には気をつけろ」
「あ,すみません。つい…」
「で,何なんだ,その『モーニング娘。』というのは?」
「はい,何でも『歌って踊れるアイドルグループ』だとか…」
「( ゚д゚)<ハァ?」
「とにかく,ここになっちと『モー娘。』についての資料を集めておきました。この『安倍なつみ』
と名乗ってるのが,なっちです」
「ほう。よくまぁこれだけたくさん資料を集めたものだ。なかなか仕事熱心じゃないか」
「いや…別にそういうわけでは…はい…恐れ入ります…」
「大天使様,お呼びで?」
「おぬし,資料は全部集めたと申したな?」
「はい。先日お渡ししたので,全てですが」
「・・・」
「・・・?」
「…ないではないか…」
「は?」
「『ミニモニ。フォトブック』と『プッチモニフォトブック』はどうした。『Together!』というコンピレ
ーションアルバムも出ているはずだぞ!」
「あの…それが何か?」
「それはどうしたと訊いておるのだ」
「お言葉ですが,なっちは『ミニモニ。』にも『プッチモニ』にも入ってません。あと,昔でた『プッチ
ベスト』にはなっちのソロ曲が収録されてましたが,『Together!』には,なっちは全然タッチして
ないんです」
「そうか…。それでも,とにかく…一通り…見たいんだ…。あ,いや,誤解してもらっちゃ困る…。
なっちの交友関係全てを洗うのは,捜査の基本だからな…」
「あ,なるほど,わかりました。では次回お持ちします」
「うむ。頼んだぞ」
(つづく)
一応登場人物紹介
天使A・・・大天使,天使のリーダー
天使B・・・天使,「なっち」の上司
10 :
名無し娘。:2001/06/29(金) 00:26 ID:iBUgjpcw
おもろいじゃん。
11 :
虎那智:2001/06/29(金) 23:57 ID:n8bPc0tU
>>10 どうもです。そういっていただけると,後半を書く気がしますね(w
では,つづきを・・・
「大天使様,先日お申し付けになった,残りの資料です。ついでに,メンバー全員のソロCDの
内容をCD-Rにまとめて焼いておきましたので,どうぞ」
「なに?これは著作権法違反じゃないか!貴様は天使の身でありながら,法律を破る
つもりか!」
「あ,これは失礼しました。入手困難なCDですので,お喜びいただけると思ったのですが,
ではCD-Rの話はなかったことに…」
「…ソロCDというのは…ヲタアイテムなのか?」
「ええ。それはもう」
「そうか…。とりあえず…そのCD-R,私のほうで預かっておこう…」
「あの,著作権は?」
「なんだそれ。美味いものか? そんなことより,写真集のほうは…どうなんだ?」
「『どう』と,おっしゃいますと?」
「だから…その…,抜けるのか?」
「は?」
「あ,いや,わからなければいいんだ…」
「…なるほど,これは失礼しました。それは,大天使様が,誰のヲタかにもよりますなぁ。
私は,ごまヲタですが,それはもう,ハァハァものですぞ」
「おお,そうなのか!で…ヤスダはどうなんだ?」
「はい?誰ですか?もう少し大きなお声でおっしゃってください」
「『保田』と言っておろうが!」
「保田…ですか?」
「そうだ!保田だ!何か文句あるか!!」
「いやー,さすが大天使様!保田の良さがお分かりになるとは,我々下級天使とは違いますなー!」
「コホン。もうよい。逝ってよし…あ…いや…さがってよし!」
「大天使様,今度は何か?」
「確認したいことがあるんだが…」
「なんでしょう?」
「やっぱり…石川って…するの?」
「しないよ」
数日後,天界に次の二つの布令が出された。
『 告
見習天使 なっち
この者,勝手にて人間界に降り,天界に戻らざること重々不届なれど,
人間界での徳行を認め,罪状を不問とする。 』
『 告
本日付をもって,なっちは天使。』
「なっちは天使(●´ー`●)」 <完>
17 :
10:2001/06/30(土) 02:46 ID:j8XsIRiE
もう終わりかよ!
でも面白かったからヨシ!
レスつけてんのは俺だけだったのもそれはそれでヨシ!
18 :
虎那智:2001/07/01(日) 15:37 ID:gO28nxEU
>>17 どうもです・・・。短編ということで,ひとつよろしく。
『なっちのソロ。』まもなく連載開始します。
19 :
虎那智:2001/07/01(日) 23:31 ID:J7D9HscA
「なっちのソロ。」
「どこにも異常はありませんね。安倍さんは今や大人気の歌手ですから,お仕事から来る
ストレスが溜まっているんでしょう。ごく軽い『躁鬱症』の兆候はありますが,この程度のこ
とでしたら,どんな健康な人にも当てはまりますよ。ましてや『多重人格障害』だなんて,
考えすぎです。検査の結果は,全て正常です。心配する必要はありませんよ」
精神科医は,私の『健康』に太鼓判を捺した。
言われてみればそうなのかと納得するのだが,それでも,毎晩見る夢のことが気になって
ならない。今度は「夢占い」でもやってみようか---そういえば,何とかいうアイドルグループが
金曜日の深夜に占い番組をやっていたっけ?ゲスト出演の誘いも来ていたことだし,占い師の
言うことを聞いてみるのも,悪くはない。
以前は,私はそれ程夢を見ることはなかった。
しかし,最近は決まって夢を見る。それも,毎回同じ人物が登場するのだ。
同じ人物といっても,一人ではない。私のほかに8人の女の子がいる。以前はもう少し
多かったこともあるが,最近は8人だ。
はじめの頃は,「またあなたたちなの」と思うくらいで,気にも留めなかった。
しかし,何度も同じ人物が夢に出てくるようになって,次第に,「なんかおかしいな」
と思うようになってきた。8人の女の子たちには,それぞれはっきりとしたキャラクターの
違いがあり,それぞれに名前もある。夢とは思えないほど,リアルな存在だ。
数日前,私は多重人格の犯罪者が主人公の映画を見た。その映画を見て以来,
「もしかしたら,私も多重人格なのかもしれない」と思えてきた。夢に登場する8人の女の子は,
私の別人格なのか。そう思うと,怖くなってしまった。しかし,医者が異常なしというのだから,
大丈夫なのだろう。
私の夢の話を少し詳しく書くので,もし読者の中に夢判断の専門家がいたら,
何かアドバイスをお願いしたい。
夢の中での私の職業は,歌手だ。
現実にも,私は歌手だ。数年前に,某テレビ番組でおこなわれた『女性ヴォーカリスト
オーディション』に参加し,何かの間違いでこの私がグランプリをとって以来,私は歌手だ。
しかし,現実とは違って,夢の中の私は,9人組アイドルグループの中の一人なのだ。
上に書いた「8人の女の子」というのは,このグループの他のメンバーだ。
このグループについて,簡単に説明しておくが,あくまで『夢』だということを忘れないで欲しい。
グループ名は『モーニング娘。』という。このグループ名がまた,いかにも夢である。
『モーニング娘。』なんていう間抜けな名前の団体が現実の芸能界にあるわけがないし,
固有名詞に『。』が付いているというのも,人を食った話だ。
メンバーの数も,増えたり減ったりする。近頃は私を含めて9人のことが多いが,
最初に彼女たちが夢に出てきたときは,5人しかいなかった。私のほかには,ユウコ,
カオリ,アヤ,アスカだったと思う。その後しばらくしてから,ケイ,マリ,サヤカの3人が加わり,
いつのまにかアスカが夢に出てこなくなった。そして,新たにマキが加わったかと思うと,
アヤがいなくなった。その3ヵ月後には,リカ,ヒトミ,ノゾミ,アイの4人が登場し,
かわりにサヤカが現れなくなった。その後一年近くは,登場人物に変化はなかったのだが,
ふた月ほど前から,ユウコがいなくなってしまった。近々,また新しい娘が登場するような気がする。
夢の話というのは,とかく支離滅裂なものだ。それをそのまま書いたものだから,
読者を混乱させてしまったかもしれない。ともかく,最近の「メンバー」は9人である。
『モーニング娘。』は,私にとって癪の種だ。考えてみて欲しい。たとえ夢の中とはいえ,
ロックヴォーカリストのこの私が,どうしてチャラチャラした服を着せられて,ベタベタな歌を
歌わなければいけないのか。夢にはその人の願望が現れるというが,私には,そんな願望はない。
そのいっぽうで,私は『モーニング娘。』が好きでもある。正確に言うと,彼女たち一人ひとりが好きだ。
とくに仕事で疲れた夜には,彼女たちが夢に出てくると,なぜか安らいだ気分になれる。
彼女たちは皆,個性的で,陽気な性格だ。
私のようにいつも一人で仕事をしていると,グループで活動している人たちが羨ましくなる。
時々,ふと,孤独を感じてしまうのだ。そんな孤独感が,私の中に8人の友達を創りあげたのだろうか。
そういう意味では,まさに私の願望を映し出しているのかもしれない。
そんな私に,最近は少しだけ変化が出てきた。
実は,ちかごろは,夢と現実の区別がつかないことが,ときどきある。
朝,いつものように楽屋に入ると,いつのまにか周囲に8人の仲間がいて,
夜,眠りにつくと,夢の中の私は一人でステージに立っている…。
「なっちのソロ。」 <完>
27 :
虎那智:2001/07/01(日) 23:44 ID:ZRmbvX.U
作者です。
『なっちのソロ。』は,このスレのタイトルにあわせるために,
わざわざ考えたストーリーです。出来ばえは・・・われながらイマイチ。
次回作予告・・・保田の身に何かが起こる!?
28 :
名無し娘。:2001/07/02(月) 01:20 ID:m1UZOiVI
作者さんゲーメスト読者ですか?
29 :
虎那智:2001/07/02(月) 11:59 ID:0tpgMnH.
>>28 「ゲーメスト」って何?
まさか,類似作品がすでにあったとか?
この2話は,私の完全オリジナルです。一応。
30 :
虎那智:2001/07/02(月) 22:59 ID:S3hCjqBg
このスレッド沈むの早いな〜。何かすぐに消えちゃいそう。
31 :
「変身」:2001/07/02(月) 23:01 ID:S3hCjqBg
「変身」
『ある朝,目覚めると,私の体は巨大な…』
ここまでキーボードから打ち込んだはいいが,その後がさっぱり続かなかった。
「目が覚めたとき,何に変身してたら,一番びっくりするかな…」
かれこれ30分は考えたのだが,いっこうに思い浮かばない。
32 :
「変身」:2001/07/02(月) 23:03 ID:S3hCjqBg
「保田さ〜ん。何してるんですか〜。またネットですか〜」
吉澤が,のん気な声で話し掛けてきた。
「なになに〜『ある朝,目覚めると,私の体は巨大な…』。なんですか?これ」
「ちょっと,小説を書いてるんだから,勝手に見ないでよ!」
「小説って,全然進んでないじゃないですか」
「だから今考えてるんじゃない」
「で,巨大な何になるんですか?」
「…何にしよう…?」
「うーん…そうですねー…。こんなのはどうです?『ある朝,目覚めると,
私(保田さん)の体は巨大なベーグルに変身していた』」
「は?」
「で,ワタクシ吉澤と辻ちゃんがその現場を発見するんです〜」
「・・・」
「そこで,吉澤と辻の壮絶なバトルが開始!」
「?」
33 :
「変身」:2001/07/02(月) 23:04 ID:S3hCjqBg
「どちらがたくさんベーグルを食べられるか,競争するんですよ」
「・・・」
「若さ溢れる辻ちゃんパワー炸裂!一気に優勢に立つ辻!」
「・・・」
「ところが,ベーグルを頬張りすぎたのか,さすがの辻ちゃんも,咽を詰まらせてしまった…」
「?」
「何か飲み物が欲しい!あ,飲み物がある!」
「・・・」
「でもよく見たら,それは牛乳だったんです」
「・・・」
「辻ちゃん,牛乳飲めずに,リタイア!勝利の女神がよっすぃ〜に微笑む!
堂々のハッピーエンド!地球の平和は無事救われた!ちゃんちゃん」
脱力。
「く,くだらない…」
それ以上,返す言葉がなかった。
(つづく)
34 :
名無し娘。:2001/07/04(水) 04:26 ID:vmsujy.E
hozenしますね
35 :
虎那智:2001/07/04(水) 11:28 ID:jzUfDvtU
>>34 ありがとう。昨夜は夜遊びしてて更新できなかったのだ・・・
36 :
「変身」:2001/07/04(水) 23:10 ID:4h4rv6yI
「圭ちゃん,カオリも考えたんだ」
番組収録のあとで,カオリが突然話し掛けてきた。
「え?考えたって,何を?」
「圭ちゃんの小説のネタ」
吉澤の顔が脳裏に浮かんだ。吉澤め,私が小説書いてること,あちこちで言いふらしているに違いない。
「『ある朝,目覚めると,私(圭ちゃん)はモーニング娘。に変身していた』」
「あの,私すでにモーニング娘。なんだけど」
「ちがうの。そうじゃなくて,圭ちゃんがモーニング娘。そのものになってるんだよ」
「?」
「圭ちゃんが,朝起きたら,圭ちゃんの布団の中に私たち9人全員がいるの」
「・・・」
「それで,その9人それぞれが,次のあさ目覚めたら,またさらに9人に増えている」
「ちょっと…」
37 :
「変身」:2001/07/04(水) 23:12 ID:4h4rv6yI
「次の朝も,その次の朝も,そのまた次の朝も…,それで,いつしか地球はモーニング娘。で
埋め尽くされるんだよ。『ねずみ算』ならぬ『娘。算』だね。『娘さん』と『娘。算』で,しゃれにも
なってるし。アハハ」
「相変わらずだよ,カオリは…」
「でね,地球上が『娘。』だらけになっちゃって,これはヤバイと思った各国首脳が集まって
会議をやって,一つの結論に達する…」
「・・・」
「ロケットを大量に作って,増えすぎた『モー娘。』を宇宙に移住させるんだ」
「・・・」
「そしていつしか,モーニング娘。は宇宙全体のアイドルになるんだよ。どう?夢があるでしょ」
「そ,そうね…。そのネタは,カオリに任せるよ」
38 :
「変身」:2001/07/04(水) 23:15 ID:4h4rv6yI
「ねえねえ,圭ちゃん,巨大な茄子になるってのは?」
今度は後藤だ。
「で,これは何かの病気に違いないと思って,圭ちゃんは病院に行くんだよね」
「で?」
「そしたら,看護婦さんがやってきて,『まぁ美味しそうな茄子!』って言って,食べられちゃうの」
何だ,いつもの後藤のネタじゃないか。
「『うまいナース』っていいたいんでしょ。私は小説を書いてるの。漫才のネタじゃないんだよ!」
39 :
「変身」:2001/07/04(水) 23:16 ID:4h4rv6yI
「矢口は,くまのぷーさんがいいなぁ」
「加護はキティちゃん!」
「辻はー,辻はー…」
銘々が勝手なことを言い出した。
「ちょっと,もういいってば。皆の好きなものを聞いてるんじゃないんだから!自分で考えるわよ!」
結局,その日はメンバーそれぞれの勝手なストーリーを聞かされただけで,私の小説は一文字も進まなかった。
40 :
「変身」:2001/07/04(水) 23:18 ID:4h4rv6yI
翌朝,目が覚めると,メンバー全員が私の部屋にいた。
「あれ?みんなうちに泊まったんだっけ?」
枕もとには,大きなベーグルと,茄子と,ぷーさんとキティちゃんのぬいぐるみがあった。
なにやらいやな予感がする…。
「変身」 <完>
41 :
虎那智:2001/07/04(水) 23:25 ID:4h4rv6yI
お粗末さまでした。
次回作予告・・・ゆゆたんの身に何かが起こる!?
ところで・・・すでにネタは仕込んであるのですが,一身上の都合により,
来週まで更新できません。何とか,dat逝きになりませんように・・・
42 :
名無し娘。:2001/07/05(木) 13:52 ID:aZxlFwec
>>40 その枕元にカオリならぬ先行者も加えてやってクレ(w
43 :
なっち初心者:2001/07/06(金) 01:35 ID:TpeG7AYM
内容はよくわからんがオモシロ
期待sage
44 :
なっち初心者:2001/07/07(土) 02:23 ID:xqVIFw2o
保全
45 :
虎那智:2001/07/10(火) 22:10 ID:XRTS7EDQ
よかった。まだスレが残ってた(w
保全sageありがとう。
>>43 どのあたりが「よくわからん」ですか?
ご意見お待ちしております。
46 :
なっち初心者:2001/07/11(水) 11:36 ID:kqJhLQmg
設定?
なっちは天使 ( ● ´ ー ` ● ) はおもしろいけど。他のがね。
まぁいいや、更新キボンヌ
47 :
虎那智:2001/07/11(水) 23:02 ID:tTrArmwk
>>46 設定がわかりにくいですか・・・以後努力します。
では,新作をupします。
48 :
移転しました:2001/07/11(水) 23:03 ID:tTrArmwk
移転しました
49 :
移転しました:2001/07/11(水) 23:04 ID:tTrArmwk
「移転しました」
プロローグ
最後に訪れたのが,矢口の部屋だった。矢口も不在だった。ドアには「移転しました」とだけ
書かれた,そっけない張り紙があった。
「なんや,矢口もおらへんのか…」
私が最も可愛がっていた矢口も,今ここで,ぷっつりと消息が切れた。そもそも,「移転しました」
と書かれた筆跡は,彼女のものではない。
今日一日かけて,私は,手帳に記された仲間たちの住所にくまなくあたったのだが,結局,
誰一人として会えなかった。
「みんな,どこ行ってしもたんやろ…」
そのときの私は,自分の置かれた状況を,まだ理解できないでいた。
事の発端は,忘れもしない,あの年の夏にさかのぼる…。
50 :
移転しました:2001/07/11(水) 23:06 ID:tTrArmwk
第一章 目覚め
「あの年」の四月まで,私は『モーニング娘。』という名のヴォーカルグループ(皆は「アイドル
グループ」とよんだが,私はいまだに馴染めない)のリーダーを務めていた。そのグループは,
もともとはオーディションの「負け組み」だったのだが,グループの団結が良かったのか,メンバー
それぞれの個性が良かったのか,いつしか『国民的アイドルグループ』と言われるまでに成長した。
その当時,私はすでに20代の後半に差し掛かっていたが,私はまさに青春の真っ只中にいた。
私にとって,メンバー皆がいとおしい存在だった。
しかし,同時に,「ひとまわり」以上も歳の離れた少女たちと共に仕事をするのは,私にとって,
精神的・肉体的負担でもあった。
2001年4月15日,私は,グループを脱退した。同時に,私の青春も終わった。
その後の私は,それまで以上に仕事に打ち込んだ。テレビ,ラジオ,舞台,あらゆる仕事を
引き受けた。
あの年の夏は記録的な猛暑だった。過密なスケジュールで疲労が溜まっていた私には,あの夏の
暑さには耐えられなかった。テレビ番組の収録の合間に気分が悪くなり,控え室で横になったところ
までは覚えている。
目が覚めたとき,私は病院のベッドの上にいた。
51 :
移転しました:2001/07/12(木) 22:14 ID:S/FkT1xc
枕もとのボタンを押して看護婦を呼んだ。私が看護婦に話し掛けると,看護婦はひどく
慌てた様子で医師を呼びにいった。
「先生!中澤さんが…中澤さんの意識が戻りました!」
一体どうしたというのだろう。私が目を覚ますと,何か都合が悪いのか?
その日,私は,精密検査を受けた。医師は,私が今まで見たこともない大仰な医療機器
を使って,私の体を調べた。検査は,拍子抜けするほど,かんたんに終わった。どこにも
異常がないということで,翌朝には退院できることになった。
「初めから異常なんか,あらへんがな!」
私は,心の中でそう叫んだ。
退院するにあたり,医師は私に何かを言いかけて,言葉を呑み込んだ。その代わり,医師
は私に,事務所の社長からの伝言を伝えた。
「『疲れが溜まっているようだから,退院してから一ヶ月間仕事を休むように。一ヶ月たったら,
また働いてもらうから,そのつもりで』,というのが,社長さんからの伝言です。伝言というより,
命令ですね。それじゃ,お大事に!」
退院して,町に出ると,見慣れたはずの東京の町並みも,なぜかいつもと違って見えた。
52 :
移転しました:2001/07/12(木) 22:16 ID:S/FkT1xc
自宅に戻ると,どういうわけか,仲間達に無性に会いたくなった。
ほんの数日間,入院していただけなのだが,『娘。』たちが恋しくなった。
彼女らが帰宅するであろう時間を見計らって,受話器を取った。飯田圭織の自宅の番号を
ダイアルした。
「…ただいまお掛けになった電話番号は,現在使われておりません…」
かえってきたのは,無味乾燥な交換機の声だった。
「なんや,番号変わったんやったら,ちゃんと教えてーな。カオリも冷たいなー」
53 :
名無し娘。:2001/07/13(金) 00:32 ID:vqmcKepA
あ、いいかんじですねー
そやねー
54 :
移転しました:2001/07/13(金) 23:52 ID:Hl8aJX2c
気を取り直して,今度は保田圭に電話した。今度はちゃんとつながったようだった。
「はい,もしもし…」
「もしもし,圭ちゃん?裕子で〜す!」
「はい?どちら様ですか?うちは鈴木ですけど…」
「は?あ,すみません。03-3XXX-XXXXに掛けたつもりやったんですが…」
「ええ。その番号ですけど,うちは鈴木です」
「え?はぁ…そうですか。すんませんでした」
55 :
移転しました:2001/07/13(金) 23:55 ID:Hl8aJX2c
私は,アドレス帳のページを繰りながら,次々にダイアルした。安倍なつみ,矢口真里,
後藤真希,石川梨華,吉澤ひとみ,辻希美,加護亜依。
さらには,福田明日香,石黒彩,市井紗耶香・・・「モーニング娘。」としてともにすごした
メンバー全員に電話を掛けたのだが,結局,誰一人として連絡が取れなかった。
私は受話器を置いた。
「一体,どないなっとるねん…」
56 :
移転しました:2001/07/13(金) 23:56 ID:Hl8aJX2c
翌朝,私はメンバー全員の家を訪ね歩いたのだが,結局,誰にも会えずじまいだった。
というよりも,友人たちがこの街に…いや,この世の中に生活している気配すら感じられなかった。
最後に訪れた,矢口が住んでいるはずの部屋の扉に張られていたのが,冒頭の「移転しました」
という(誰が書いたのかもわからない)張り紙だった。
「みんな,どこ行ってしもたんやろ…」
私は,なにやら嫌な予感を,漠然と感じた。
地下鉄の駅まで戻ると,何気なしに,売店で新聞を買った。
地下鉄の車内はすいていた。私は,目の前のシートに腰をおろし,手にした新聞紙面に視線を落とした。
一面の記事に目を通すや,私は激しい焦燥感に襲われた。
57 :
移転しました:2001/07/14(土) 22:23 ID:0/B5W3ec
記事の内容が,私にはほとんど理解できない。もちろん,言葉の意味は分かる。
トップ記事は政治の話題で,今月おこなわれる参議院選挙に関する記事だ。
しかしそこには,聞いた事もない政治家の名前ばかり並んでいた。何が選挙の争点に
なっているのか,理解できなかった。一面記事だけでない。政治面,国際面,社会面,
経済面,どこをみても,私の知っている話題は一つもなかった(理解できた記事と言えば,
家庭面に書かれていた「鯖の味噌煮の作り方」くらいのものか)。
私は,紙面上部に印字された日付を確かめた。次の瞬間,公衆の面前だというのに,
私は大きな声を出してしまった。
「2056年7月15日…?『にせん,ごじゅうろく』年!?」
全身の力が抜けた。
「そんなアホな。やっぱりアタシ疲れてるんやわ。今日は家でゆっくり休んどったほうが,
ええな」
58 :
移転しました:2001/07/14(土) 22:24 ID:0/B5W3ec
家に帰って,テレビの電源を入れた。
そして,もう一度,決定的に,私は自分の置かれた状況を思い知らされた。
私が疲れているのは事実だ。しかし,今日の日付が,西暦2056年の7月15日であることも,
紛れもない事実だった。
「アタシ…あの病院で…55年間も眠り続けてたんか。アタシ一人が,とりのこされたんや…」
目の前が,真っ暗になった。私は28年間(正確には83年間ということになるのか)も生きてきて,
『絶望』という言葉の意味を初めて知った。
59 :
移転しました:2001/07/14(土) 22:25 ID:0/B5W3ec
しばらく呆然としてから,私は,ハッと我に帰った。
私は,あわてて鏡を見た。
そこには,83歳の老婆とは到底思えないほど若々しい・・・「28歳になったばかりの」私がいた。
なぜか少し安心した。安心したら,笑いがこみ上げてきた。私は腹を抱えて笑った。
「今やったら,『ババア』っていわれても,ぜんぜん腹立たへんわ!」
60 :
移転しました:2001/07/15(日) 21:41 ID:GrWTWvYU
私は開き直って,この世界で生きることにした(といっても,他に選択の余地は
ないのだが)。
翌朝,私が真っ先にしたことは,銀行にいって自分の預金口座を調べることだった。
昔あずけた私のお金は,今でもそっくり残っていた。さらに,55年間の利子と印税収入を
併せれば,当分は遊んで暮らせる金額があった。
もっとも,銀行の名前は変わっていた。都市銀行に預けたはずの私の預金は,いまでは
一地方銀行にあった。
61 :
移転しました:2001/07/16(月) 22:55 ID:HViZsibo
未来の世界に『タイムスリップ』した私にとって,見るもの聴くもの全てが新鮮だった。私は,しばらくの間
悠悠自適の生活を楽しんだ。つい「数日前」まで,がむしゃらに働いていた私にとっては,いささか「拍子抜け」
の日々ではあったが,仕事をしようにも仕事がない。
しかし,華やかな「未来」の生活にも,あっという間に慣れてしまった。確かに,世の中便利になったのかも
しれない。しかし,人間の本質は変わっていない。そのことに気付いたのだ。たとえば,テレビ番組を見ると
それを実感できる。確かに,映像はクリアになり,迫力ある音声が流れるようになった。しかし,番組の内容は
55年前と大して変わっていないのである。
私は,急にむなしさを感じるようになった,いや,寂しさというべきか。
この世の中に,友達もなければ,家族もいない。
62 :
名無し娘。:2001/07/17(火) 06:06 ID:2cHrtSpU
がんばれ。
見てる人、いますか?
63 :
虎那智 :2001/07/17(火) 23:02 ID:qxsYxBxA
64 :
虎那智 :2001/07/17(火) 23:04 ID:qxsYxBxA
「ホンマに,家族も友達もおらへんのやろか?」
私は自問した。
「お母さんは,さすがにもう…,生きてはっても百超えてるしなぁ。でも,妹はまだ生きてるん
ちゃうやろか? モーニングのメンバーは,どないしてるんやろ? 圭ちゃんはハタチやから,
55たして…75歳。辻・加護やったら,まだ69歳やん…」
まだみんな,生きてるに違いない。きっとどこかで,元気に暮らしてるだろう。そう思うと,
私は,いても立ってもいられない気持ちになった。
65 :
虎那智 :2001/07/17(火) 23:05 ID:qxsYxBxA
66 :
移転しました:2001/07/18(水) 22:43 ID:BvOglJTA
その翌朝,私は小さな鞄ひとつを携えて,東京駅へ向かった。
福知山までの乗車券と,京都までの特急券を買って,新幹線にとびのった。
なにはともあれ,福知山に帰って,母や妹の消息を確かめるのが第一だ。
京都に着くまでの間,私は車窓からの景色を楽しんだ。東京,横浜,名古屋と
いった大都市の景観は,私の記憶とはいささか異なっていたが,農村部の様子には
大きな変化はなく,なぜか少し安心した。
そして,車内では,あれこれと考え事もした。
私は,二つの決心をした。
ひとつは,かつての仲間たちを,何としても探し出すこと。
もうひとつは,今ある貯金を元手に,新しい事業を起こすこと。
「何ぞ一発やらかさな,オモロないがな!」
私は,この世界で第二の人生を歩む決意を固めた。
67 :
移転しました:2001/07/19(木) 22:36 ID:LE2nl8ss
第二章 第二の人生
さらに5年の歳月が流れた。
銀行預金を元手に,私は小さな芸能プロダクションを興したのだが,最近になってようやく,
私の会社も経営が安定してきた。まだ『ヒット商品』こそないものの,社員に人並みの給料を
支払うことができるようになった。
いくら私が芸能界の出とはいえ,私のつくった零細プロダクションの存在を芸能界に広く
認知させるまでに多くの苦労があったことは,読者の皆さんも容易に想像できよう。しかし,
その苦労話をここに書くつもりはない。なぜなら,この小文は,私の自叙伝ではないし,
『ビジネス成功の秘訣』といった類の書物でもないからだ。
それはともかく,5年前に新幹線の車内で心に誓った二つの決心のうちのひとつは,
それなりに成功しつつある,ということだ。
もうひとつの決心はどうなったのか。結論を先に言うと,失敗したのである。
メンバーの誰にも,会えなかったのだ。
68 :
移転しました:2001/07/20(金) 22:53 ID:l8nINzIE
所属プロダクションはもちろん,テレビ局や番組制作会社など,方々手を尽くして,
『娘。』の消息を調べた。しかし,なぜかすぐに壁に行き当たってしまった。
私自身が調べたところによると,私がモーニング娘。を脱退してからしばらくの間は,
『国民的アイドルグループ』の地位は不動だったらしい。しかし,彼女らは人気の絶頂期に
あって,なぜか突然の『解散宣言』をした。そして,解散と同時に,メンバーすべてが,
芸能界から完全に引退してしまったという。彼女らの消息は,ここでぷっつりと切れてしまう
のだ。
そのときに,彼女たちに何があったのか,私は,どうしても彼女らに会って話を聞きたかった。
69 :
移転しました:2001/07/21(土) 21:23 ID:zjvHr28o
私は,何人かの私立探偵に調査を依頼したのだが,結局それも無駄に終わった。
探偵事務所から報告書が届けられるたびに,私は失意を感じた。
最後に届けられた報告書に目を通しながら,しばしの間,呆然とした。その探偵社は,
失踪人の捜索に関しては成功率9割以上という評判の会社だ。私にとって,最後の頼み
の綱だった。その彼らをもってしても,モーニング娘。の捜索は不可能だった。
もうこうれ以上,手の尽くしようがなかった。
あきらめたくはない。でも,あきらめるより他に,方法がない。
70 :
名無し娘。:2001/07/22(日) 21:00 ID:jMFk6/dk
これから、どうするんだ?中澤
71 :
移転しました:2001/07/22(日) 21:16 ID:/zsK8Ycc
過ぎたことを忘れるためにも,私は仕事に没頭した。
私は,仕事のことだけを考えることにした。
デビューしたばかりの15歳の新人アイドルのプロモーションに熱中した。
私が仕事に精を出せば出すほど,業績が伸びていく。そのことが,面白くも
あった。いつしか私は,完全に仕事の虜になっていた。
私は,この会社をもっと大きくしたいと思った。そのためには,多少の冒険も
必要だ。
新しいタイプの歌手を発掘するよう,私は部下たちに命じた。
「とにかく,今までにないような,新しいタイプの女性歌手を育てたいと思って
います。新人の条件も,オーディションの方法も,皆さんに任せます。応募者の
人数を適当なところまで絞った段階で,アタシも選考に加わります」
72 :
名無し娘。:2001/07/23(月) 02:43 ID:6.QIIxbg
そろそろ「移転」が始まるようですね。
73 :
虎那智:2001/07/24(火) 22:24 ID:GKNhILRY
>>72 こういうレスをつけられると,やりにくくなるんですよね…
74 :
名無し娘。:2001/07/25(水) 02:02 ID:C4JuDJd2
ある読者が予想できることは他の読者にも予想できうることだから
いいかなって思ったんだけど……。
ごめん、もうしないよ。
75 :
虎那智:2001/07/25(水) 23:42 ID:enDcDv9Y
>>74 まったく仰せのとおりで,返す言葉もありません・・・
72=74氏を責める気は全然ありません。
自分の創作力の限界を感じて,少し鬱になっただけです。
気を取り直して,残りのストーリーを,一気に全部アップします(w
76 :
移転しました:2001/07/25(水) 23:44 ID:enDcDv9Y
今回のプロジェクトの責任者には,思い切って若い社員を抜擢した。彼は,思った以上に
よく働いた。プロジェクトが始動してから1ヶ月余り,私はほとんど現場に口出ししなかった。
それが効を奏したのか,彼は自分のペースで仕事を進めることができ,結果としてスムーズ
に事が運んだようだ。
最終選考に向けての打ち合わせが,いよいよ明日に迫ってる。私の出番だ。
「オーディションに『落選』したアタシが,今度は選ぶほうの立場やなんて,世の中おかしなも
んやわ」
私は,自分の過去に思いをめぐらせた---かつて,私自身が受けたオーディションのことを
思い出した。審査員の顔ぶれ,歌った歌のこと,「落選」の宣告,「傷心旅行」,そして,旅先
で受けた一本の電話,グループの結成,レコーディング,地方都市でのCD手売り,念願の
メジャーデビュー…。
そして,当然のように,私の脳裏には,あの時の仲間たちの顔がよみがえった。
喜怒哀楽を共にしたメンバー。家族以上の絆で結ばれた仲間たち。私の永遠の宝物…。
ここ何ヶ月間かは,モーニング娘。のことをほとんど思い出さなかったのに,今,過ぎ去った
青春の日々,求めても得られなかった仲間たちの記憶が,ありありと甦ってしまった。
昔の記憶から逃れるために仕事に没頭したのに,仕事をすればするほど,思い出に近づい
ていくなんて…。
「みんな,アタシを置いてどこいってしもたんや…?」
もう会えないと思うと,無性に会いたくなる。
その夜,私は,久しぶりに枕をぬらした。
77 :
移転しました:2001/07/25(水) 23:45 ID:enDcDv9Y
翌朝,出社してからも,仕事に身が入らなかった。
「一体,あの娘らの身に,何があったんやろ…?」
私が自ら集めた「娘。」に関する調査資料や,探偵社が作成した報告書の束を,久しぶりに
書棚から取り出した。それらを,ただぼんやりと眺めながら時間を潰した。
ドアをノックする音に気付いて,ようやく我に帰った。
「は〜い,どうぞ!」
「失礼します。社長,どうかなさったんですか?さっきから何度もノックをしたのに,ぜんぜん
返事をなさらないから…」
「あ,ごめん,ごめん。ちょっと考え事しとってん」
「そうですか。そろそろ会議を始めますから,会議室のほうへお来しください」
「はいはい。すぐ行きますよ」
会議中も,私は上の空だった。
私よりも5歳も若い男性社員が,今回の企画について熱心にプレゼンテーションをおこなっ
ていた。
「・・・ではこれから,『女性ヴォーカリスト・オーディション』の企画書と,最終候補者9名の履
歴書をお配りしますから,どの候補者をデビューさせるのか,皆さんのご意見をお聞かせく
ださい・・・」
今この場にいる全社員が,真剣な表情で書類に目を通している。
私だけが,仕事に集中できなかった。
この会議は,社運を賭けた新しいプロジェクトの企画会議だ。私がしっかりしなくては,どう
しようもない。
私は,心の中で「裕子!アンタは『モーニング娘。』のリーダーやった女やで!シャキッとせ
んかい!」と,自分自身を叱責した。落ち込む必要はないではないか。私がここまで成長でき
たのも,『娘。』があったればこそだ。私にとっての『モーニング娘。』は,不滅の存在だ。
そう思ったとき,私の心は,ふっと軽くなった気がした。
78 :
移転しました:2001/07/25(水) 23:48 ID:enDcDv9Y
私は,考え方を変えることにした。
仕事に精を出せば出すほど,モーニング娘。の思い出に近づいていく。最初は,そのことが
なんともやりきれない気持ちにさせた。
でも,今は違う。『娘。』は,いつでも私の傍にいる。今でも,彼女たちがどこかで私のこと
を見守ってくれていている。そのうち,ひょっこり顔を出すかもしれない。
「なんとも頼りない天使たちやなぁ…」
そう思って,会議中だというのに,私はひとりニヤついてしまった。
気を取り直して,私は,受け取った書類に目を通した。
書類を一瞥するや,私は,我が目を疑った。
「ちょっと…これって…一体どういうことや…」
私は,何度も書類を読み返した。自分の両手が震えていることに気付いた。
「あの…社長,何か不都合でもありましたか?」
私が驚く様子を見て,企画の責任者は不安そうな表情で私を見た。
「そんなアホな…。こんな事って…」
私はまだ状況が理解できなかった。
「何か不都合があれば,おっしゃってください。もう一度企画段階からやり直しますから」
どうやら,私の態度が,部下たちを不安にしてしまったようだ。
「あ,いや…不都合なんかあらへんよ」私はあわてて,部下に非がないことを告げた。
「けど,ホンマにこの娘らで,間違いないんやな?」
「あ,はい。応募者の中でも,この9人は,何か『光るもの』を持っているように感じたんです
が…。あの…お気に召しませんか?」
「いや。そういうわけやないねんけど…。このオーディションの担当者は…?」
「私です。あの…もう一度,オーディションからやり直しましょうか?」
「いや,そうやのうて…。あの…」
私は,興奮のあまり,思うように言葉が出てこなかった。
79 :
移転しました:2001/07/25(水) 23:48 ID:enDcDv9Y
「明日さっそく,この9人に会いたいんやけど。できる?」
「明日ですか…なんとか,できるとおもいますけど」
「明日の午後…いや,午前中や,朝の10時でええか?」
「はい…少し急ですが,なんとか朝10時に集まるように,連絡しておきます」
「うん。ありがとう」
皆も,ようやく安心したようだった。
「では,明日の午前中に,社長が直に面接して,合格者を決めるということですね?」
「いや…えーっと,そ,そやな。そういうことや。とりあえず,今日の会議は,これで終わりに
します。ご苦労さん。みんな,どうもありがとう」
部下に対して滅多に礼を言わない私が「ありがとう」などと二回も言ったものだから,皆は
少し驚いた顔をした。
80 :
移転しました:2001/07/25(水) 23:49 ID:enDcDv9Y
第三章 再会
一睡も出来ないまま朝を迎えた。それなのに,少しも眠いと感じなかった。
今日の10時が待ち遠しかった。今朝は,いつもより早く出社した。出社しても,仕事は何
もない。いや,実際には,仕事は山積みなのだが,まったくといっていいほど手につかな
かった。
約束の時間が近づくにつれて,心臓の脈打つ回数が増えていく気がした。
ドアをノックする音が聞こえた。鼓動が高まった。
「は,はい!」
「失礼します。社長,そろそろ時間です。候補者は,すでに会議室に集まってます」
「わかった。すぐ行くわ」
「面接の進め方ですが,候補者を1人ずつ別室に呼んで,社長と部長と私の三人で面接す
る,という方式でよろしいですか?」
「ん?あ…いや…アタシ一人で,会いたいんやけど…」
「社長お一人でですか?」
「あかん?」
「いえ。結構です。では,一対一面接ということで」
「いや,9人一緒でええねん。アタシ一人と,9人全員」
「9人全員ですか?はぁ…そうですか。わかりました。では,会議室のほうに,全員おります
ので,会議室にお越しください」
81 :
移転しました:2001/07/25(水) 23:51 ID:enDcDv9Y
私は,会議室のドアの前で,深く深呼吸をした。
「なんか,立場が逆転してるなぁ…。アタシがオーディション受けるみたいやわ」
緊張する自分自身が,可笑しかった。
意を決して,ドアをノックした。
「は,はい…!」
室内から,若い女性の声が返ってきた。聞き覚えのある,懐かしい声だった。
私は,思い切って,会議室に入った。
会議室の中には,懐かしい顔ぶれが揃っていた。
「・・・」
私は,声を詰まらせてしまった。
「・・・」
どういう言葉を発したらいいんだろう。
涙腺が火傷しそうなくらいに熱く感じた。大粒の涙が,頬をつたった。
「ああ,みんな…,よう来たね。会いたかったんよ…」
やっとの思いで,言葉を発することが出来た。
しかし,眼前の少女たちは,きょとんとした表情で,私を見ていた。
「カオリ…なっち…圭ちゃん…矢口…会いたかった。後藤も,石川も,吉澤も,元気そうや
な…。辻,加護,ええ娘にしとったか?みんな,会いたかったんよ。この5年間,あんたらの
こと,ずーと探してたんよ。みんな,全然変わってへんなぁ…」
そこまで言うと,私は再び言葉につまった。
他方,娘たちはというと,私のことを不思議そうに眺めるだけだった。やっとのことで,
再会できたというのに,5年ぶり,いや60年ぶりに会えたというのに,みなどうしてこうも
冷静でいられるのか,不思議でならなかった
82 :
移転しました:2001/07/25(水) 23:53 ID:enDcDv9Y
最初に口を開いたのは,「安倍なつみ」だった。
「あのー,中澤社長さんですよね。社長さん,もう私たちの名前覚えてくれたんですね。
うれしいです。なっち,大感激です」
「え…?」
「はじめまして,飯田圭織です。他のみんなに負けないように頑張りますので,よろしくお願
いします」
「『はじめまして』って,カオリ…?どうしたのよ…」
「矢口真里です。ちっちゃくても,元気だけは負けません!よろしくお願いします」
「保田圭です。とにかく歌が好きで応募しました」
そのあとは,「後藤」,「石川」,「吉澤」,「加護」,「辻」の順だった。まるで皆が,初対面
であるかのように,自己紹介をした。
「あの…,みんな,アタシのこと,ホンマに知らへんの?」
私は,恐るおそる皆に尋ねた。
「中澤社長さんですよね。私,ずっと憧れてました。女性起業家って,かっこいいです!
私も将来,社長さんみたいになりたいです!」
これは「石川梨華」の言葉だ。
「あの…ここにおる9人は,お互いのこと,ぜんぜん知らへんの?」
私の質問に,最年少の「加護亜依」が答えた。
「あのー,加護はー,ここにいる辻さんとー,友達になったんです」
「辻希美」もはにかみながらうなづいた。
「あの,そうやのうて…」私は焦った。
私は,現実を思い知らされた。
私はふたつの『世界』を知っているが,彼女たちは『ここ』しか知らない。
私にとっては『再会』でも,彼女たちにとっては『初対面』なのだ。
私は,一言も発せずに,彼女たち一人ひとりの顔を見渡した。
83 :
移転しました:2001/07/25(水) 23:54 ID:enDcDv9Y
私は,今,決断を迫られている。
「あんたらのことは,ようわかった」
私は,彼女たちに,にっこり微笑んだ。
「このオーディションの合格者も,決定しました。今この場で,合格者を発表します」
9人皆の顔がこわばった。
「合格者は,安倍なつみ…」
「安倍」の歓喜の声と,8人のため息が同時に聞こえた。私はかまわずに続けた。
「飯田圭織,矢口真里,保田圭,後藤真希,石川梨華,吉澤ひとみ,辻希美,加護亜依。
合格者は以上9名」
私は,『モーニング娘。』の生みの親になることを決心した。
84 :
移転しました:2001/07/25(水) 23:56 ID:enDcDv9Y
エピローグ
『モーニング娘。』は,瞬く間に大人気を博した。
私は,『モーニング娘。』の売り出し方を知っている。何のことはない,私が,ほんの
「数年前」に経験したことを,ここで繰り返せばいいのだ。
どういうわけか,この『世界』には,60年前に同名の団体が存在したことを知る者は
いない。私にはきちんと説明できないが,最近では,「そういうもの」だと思えてきた。
彼女たちのおかげで,私は自分の会社を大きくすることができた。
そして,かつての仲間たちとの『再会』も,ある意味で実現できたと思っている。
『モーニング娘。』のメンバーの中では,比較的おとなしい「保田圭」が,先日こんなことを
言っていた。
「中澤さんって,なぜか他人の気がしないんですよね。何ていうか,生まれる前からずーっと
傍にいてくれたような…そんな気がするんです」
「そうそう。カオリもそう思ってたとこだったんです!」
「飯田」と「保田」だけではない。全てのメンバーが,同じような気持ちを味わったことがある
という。
「そらそうや!」私はおどけて言った。「アタシは,60年以上も前から,あんたらのこと知っ
とったんやもん!」
85 :
移転しました:2001/07/25(水) 23:57 ID:enDcDv9Y
5年前,病院を退院した翌日に見た,矢口真里の部屋のドアに貼られたメモのことを,
私はふと思い出した。
「『移転しました』か…」
彼女たちは私のために,この世界に『移転』してきたのかもしれない。私は時々,そう思う
のだ。
私は今,充実した幸福な毎日を過ごしている。それでも,ひとつだけ「悔しい」と思うことが
ある。それは,私と「彼女たち」の年齢差が,さらに5歳分(正確には60歳分?)も開いて
しまったことだ。これは,2001年の4月に私が彼女らを見捨てた報いだと思って,あきらめる
ことにしている。
「移転しました」 <完>
86 :
虎那智:2001/07/26(木) 00:00 ID:5h9bFBvo
皆さんの予想通り(?),こういう筋書きでした。
実は,このストーリーは,削除屋さんが移転したあとのスレ(「移転しました」スレ)を
再利用しようと思って,考えたものなのです。もちろん,そんなところに書いてたら,
ヒンシュク買ってましたよね・・・。
87 :
虎那智:2001/07/29(日) 12:48 ID:OWmn2OYw
hozen
88 :
名無し娘。:2001/07/31(火) 02:04 ID:NWSbkppg
omosirokattayo
89 :
名無し娘。:2001/07/31(火) 02:41 ID:tvFZT5Yc
面白かったよ!
てかレス少ないなぁ・・・。
なんだ、ほんとに移転しただけじゃないか!
そっからまた一山あると思ってたのに!
91 :
名無し娘。:2001/07/31(火) 20:49 ID:t7ldEZTk
92 :
名無し娘。:2001/07/31(火) 23:15 ID:klPgVKJA
小説って久しぶりに読んだけど、面白かったよ。
93 :
名無し娘。:2001/08/01(水) 01:51 ID:pc5lxaRo
ここには、こんないい話がひっそりとあるんだよね。
だから離れられない。作者さんありがとう。
94 :
虎那智:2001/08/03(金) 21:28 ID:R5F4RKcc
>>88-93をはじめ読者の皆さんありがとう( ● ´ ー ` ● )
>>90 期待を裏切ってゴメソです…。
>>93 そんなふうに言っていただけると感激です。
95 :
名無し娘。:2001/08/04(土) 23:01 ID:fvKMk31A
96 :
名無し娘。:2001/08/05(日) 09:23 ID:A7x8m2zI
保全
97 :
名無し娘。:2001/08/06(月) 10:24 ID:c.U.FqPg
保全
98 :
名無し娘。:2001/08/07(火) 10:39 ID:3YG5o5II
保全
99 :
名無し娘。:2001/08/08(水) 11:28 ID:ttUbgcds
保全
100 :
名無し娘。:2001/08/09(木) 03:42 ID:vwX7VGZ6
保全100
101 :
名無し娘。:2001/08/10(金) 08:34 ID:9N/qzXMk
保全
102 :
名無し娘。:2001/08/10(金) 08:36 ID:8al8y3wE
あげ
103 :
名無し娘。:2001/08/12(日) 10:42 ID:lsnoNiOU
保全
104 :
y2k:2001/08/13(月) 10:01 ID:uaeh8C/g
そーいえばこんなスレあったね。「なっちは天使」だけ見たことあったんだけど。
他のネタも面白いYO!
105 :
(0^〜^0)@狼:2001/08/13(月) 17:50 ID:Ab4EY1Sw
おいら安倍さんより人気あるよ
106 :
名無し娘。:2001/08/13(月) 17:53 ID:MhOwSzJQ
107 :
ななしゆうこ:2001/08/13(月) 18:22 ID:MBzxqqUw
おもろい!
108 :
名無し娘。:2001/08/17(金) 04:03 ID:qtVzaYn2
保全
109 :
名無し娘。:2001/08/17(金) 14:28 ID:5kEIx8eU
h
110 :
名無し娘。:2001/08/18(土) 06:49 ID:urJpPlLw
o
111 :
名無し娘。:2001/08/18(土) 19:00 ID:D4EZw1Eg
z
112 :
名無し娘。:2001/08/19(日) 07:52 ID:35MU79iQ
e
113 :
名無し娘。:2001/08/19(日) 19:55 ID:nPQnVhxc
n
114 :
名無し娘。:2001/08/20(月) 01:21 ID:cilb1vYY
「なっちは天使(●´ー`●)Part 2」
1.なっちと安倍
「あー、もーどうしよう…。今日もみんなに迷惑かけちゃったなー。
やっぱり、なっちにはお芝居の才能ないのかなぁ…。
映画もやったし、『ロシナンテ』もやったし、ミュージカルもやって、自信が出てきたところ
だったのに…。今度のドラマは、病気の女の子の役だからかなー。やっぱ難しいよ。
病人の役なら後藤でもやってる、後藤にできて、なっちにできないはずがない…なんて、
気楽に考えてたけど…。考えが甘かったべさぁ。
明日も撮影…、気分が滅入っちゃうなぁ…」
116 :
名無し娘。:2001/08/20(月) 12:11 ID:dMEOMX0U
おお、新作!
2.なっちと悪魔
「オヤ、安倍さん、お困りのようですね?」
「え? あなた、誰? どっから来たの?」
「私は、悪魔ですよ。安倍さんがたいそうお困りの様子だから、元気付けてやってくれと、
サタン様から仰せつかってきたんです。安倍さんは、今、ドラマのお仕事をやってますね?」
「はい。といっても、『24時間テレビ』の中の、ほんの1時間半ほどの枠があるだけなんです
けど…」
「でも、演技が巧くいかず、お困りとか」
「ええ。まぁ」
「で、巧くなりたいわけですね?」
「そらぁ、まぁ、歌もお芝居もうまくいけば、言うこと無いっしょ…」
「そういうことでしたら、安倍さん、私と契約しませんか?」
「契約?」
「ええ。お芝居なら、そうですね…少なくともエナリよりは巧くなれますよ。もちろん、
歌ももっと上手くして差し上げます。他のメンバーに、差をつけたいでしょう?いまなら、
オプションで、ソロデビューもお付けしますよ」
「そんなこと、できるんですか?」
「もちろんですとも」
「で、契約って、私は何をすればいいんですか」
「何も」
「何も?」
「ええ。何もなさる必要はありません。但し、今後は、安倍さんは、『悪魔』の一員となって
いただきます」
「悪魔…?」
「安倍さんは、現在、『天使』の資格をお持ちですね。天使から悪魔になるのは
簡単なんですよ。私の上司のサタン様も、もともとは天使でしたから」
「そんな…。悪魔になれだなんて…。なっちには…」
「そんなに心配なさる必要はありませんよ。怪しい宗教団体じゃないですから、
悪魔になったからって、何にも義務はありませんよ。いままで通り、『モーニング娘。』の
活動を続けていいんです。これで、歌もお芝居もうまくいくんなら、万万歳じゃないですか」
「でも…」
「とりあえず、一晩考えてみてください。また来ますよ。よい返事をお待ちしてます」
「…」
120 :
ぼかあねえ:2001/08/21(火) 04:24 ID:FlLPdlH6
kitaisage
121 :
名無し娘。:2001/08/21(火) 17:31 ID:UYeLq2yo
おもしろいです。
頑張って下さい。
トリップテスト。
>>122ゴルァ! トリップのテストはよそでやれ!
>>122-123ジサクジエンデシタ
モ板と初心者板では、トリップの出方が違うんですねぇ…
では、ストーリーの続きを。
3.なっちと天使
「ヒサブリだな、なっち。元気にしていたか?」
「た、隊長殿! ご、ご無沙汰してます。その節は大変ご迷惑お梶bけしました!
でも、どうしたんですか…突然…。『ヒサブリ』って…」
「いや、なに、お前がたいそう困っている様子だからな、元気付けてやってくれと、
大天使様から仰せつかってきたんだ。ところで、いま、ここから出て行った男…、
誰なんだ?もしかして、あれが噂の『お塩』か?それとも『中村』とかいうやつか?
どうなんだ?」
「ちがいますよ! いくら隊長殿でも、言って良い事と悪い事があります!」
「失礼。で、だれなんだ?」
「それが…、その…、悪魔なんです」
「悪魔だと? 悪魔が一体、何しに来たんだ!?」
「実は…かくかくしかじか…、というわけなんですよ」
「おまえ…、まさか、契約したんじゃないだろうな、悪魔と?」
「と、とんでもない。でも…、なっちはねぇ、いま本当に困ってるんです。契約しても
いいかなぁと、一瞬…」
「馬鹿な! お前も今や天使の一員なんだぞ。裏切りは許さん」
「ええ。解ってますって…」
「まぁ、心配するな、なっち。事情はわかった。お前のやってるドラマとやらは、
どうやら天使の仕事としても意義がありそうだからな。何とか失敗しないように
してやろう。私のほうから、大天使様のご協力もお願いしておくとしよう」
「え? 本当ですか? ありがとうございます!」
「但し、大天使様はヤスヲタだからな」
「は? なんですか、ヤスヲタって?」
「私は…、その…、チャーミーヲタだ…。以前は、ゴマヲタだったけど…『セイシュンノイチページハ…』
ッテヤツデ、ソノ…、スッカリ…、チャーミーヲタニ…」
「あの、隊長? 何をぶつぶつおっしゃってるんです?」
「ん?あ、いや。つまりだ。保田と石川も共演になるから、そのつもりで」
「はぁ、別にかまいませんけど」
「よし。これにて一件落着…と言いたいところだが、なっち、やはり、一瞬とはいえ
悪魔と契約しようと思った罪は重いぞ」
「ご、ごめんなさい! ほんの出来心だったんです…」
「お前もまだ、天使としての自覚が足りないようだな」
「以後気をつけますから、なにとぞ!」
「うむ…。では、こうしよう。『24時間テレビ』とやらの本番当日、お前に試練を与える」
「試練?」
「そうだ。それでも仕事をやり遂げることができれば、お前を一人前の天使と認めてやろう」
「試練って、どんな試練ですか?」
「今ここでは言えん。アイドルとしては、かなり辛い事かもしれない、とだけ言っておこう」
「そうですか…わかりました」
「ともあれ、ドラマの件は引き受けたから、安心いたせい。それでは幸運を祈る!」
「おっと、そうだった、本来の目的を忘れていた」
「本来の目的?」
「なっちに訊きたい事があって来たんだ」
「訊きたいことって、何ですか?」
「単刀直入に訊こう…、ズバリ、新メンは誰なんだ?」
「はぁ?『シンメン』って何ですか?」
「隠さずともよい。今度新しくモーニング娘。に入るメンバーを、ちょっとだけ教えて
くれないか?」
「え?そんな事、なっちは知らないべさ!」
「そ、そうなのか?おかしいなぁ。モ板では既に2・3名前が挙がってたんだが…」
「8/26にテレ東で特集やるから、それ見てくださいよー」
「いや、その日は…、出張でテレビ見れないんだよ…」
「だったら、ビデオにとって後で見れば好いじゃないですか」
「なっちよ、お前もまだまだだな。ヲタの心理というものがわかっとらん!」
「はぁ?ヲタヲタって、さっきから何の話をしてるんですか?」
「いち早く情報を入手し、ライバルより優位に立つ。これこそがモーヲタの醍醐味だよ。
モーヲタだけではない、政治、軍事、ビジネス…、あらゆる場面で情報を征する者が
勝者となる。つまり、モーヲタはあらゆる方面において成功者となりうるのだ。天使の
道も然り。迷える人々についての情報をいち早くキャッチし、悪魔どもから守り、神の
道へと導く…、我ら天使軍団にとっても、情報こそが命なのだ。つまり、モーヲタと天使
には通じるものがある。モーヲタこそが、真の勝利者、成功者、賢者、知恵者、仁者、
勇者…、神に近き存在すなわち天使!モーヲタこそ天使なのだ!!」
「・・・」
「すまん、ちと興奮しすぎたようだ…」
「隊長、性格…変わりました?」
「ん?いや、そんなことはないぞ(あぁ、変わったさ。お前らのお陰でな)」
エピローグ
翌朝には、悪魔や天使と会見したことなど、安倍はすっかり忘れていた。
ドラマの収録も、なんとか無事終了し、あとは放送日を待つだけとなった。
そして…、『24時間テレビ』生放送本番当日の朝、安倍は鏡を見て思わず悲鳴をあげた。
「うわー、目の上にタンコブ出来てるよ!どうしよー!!」
右目のまぶたが大きく腫れていたのだ。はっきりいって、この顔では、アイドルとしては
キツイ。しかし、だからと言って、仕事をキャンセルするわけにはいかない。
「そういえば、この前、夢の中に天使が出てきて、『試練』がどうとかいってたなぁ…。
あの変な天使がいってた試練って、この事なのかな。しょうがない。やるしかないな。
だって『なっちは天使』だもん…」
なっちは天使(●´ー`●)Part 2 <完>
132 :
名無し娘。:
Part2も面白かった。眼帯を見て思いついたの?