1 :
イチギ:
消えちゃったのでまた最初から。
おんなじタイトルの小説が有るけど
こっちが本家だべ。
でもちょっとうれしい
2 :
イチギ:2001/05/27(日) 04:31 ID:Vz5kXuGM
ちょっと改良版
3 :
イチギ:2001/05/27(日) 04:35 ID:Vz5kXuGM
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「うん。あなたの言った通りだったわ。」
『でしょ。』
高層ビルの立ち並ぶ大都会の一角にある小さな公園。
滑り台もブランコも無いこの殺風景な公園の端のベンチで少女は「会話」していた。
しかしそれは会話と呼べるものなのか。
ベンチに座っている少女は一人。
そしてその会話も周りには聞こえていない。聞こえるはずが無い。
しかし続く。その会話とも呼べぬ「会話」は…
4 :
イチギ:2001/05/27(日) 04:35 ID:Vz5kXuGM
「これから私はどうすればイイの?」
『そうね…
これから色んな事が起こるわ。悲しい事もたくさん起こるし、
大切な人とも別れなければならなくなるわ。』
「え…。」
『それはあなたと同じように不思議な力を持った女の子達
によってもたらされるのだけど、あなたは何も心配いらないし、何もする必要無いわ。
…いえ、辛いけど何も出来ないわ。
ただ、あなたにひとつだけやってもらいたい事があるの。』
「何?」
『この先、なんの罪も無い子が死ぬ事になるわ。
その子はあなたにとっても私にとっても皆にとっても必要な子よ。
絶対に死なせちゃいけない。
だから伝えて。
あの子に…あなたの能力を知っているあの子にこう伝えて。』
『後藤が危ない。だから…
5 :
イチギ:2001/05/27(日) 04:37 ID:Vz5kXuGM
◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
時はさかのぼり、第二回モーニング娘。新メンバーオーディション。
長かった(長く感じた)合宿も終わり、後は結果発表を残すのみとなっていた。
最終候補5名に残った菅原真理子(15)は確信していた。自分は合格すると…。
それは、他の者が抱いているような根拠の無いただの自信とは明らかに違い、「確信」であった。
この日のタメに、厳密には自分がモーニング娘。に入るために、それに有利な「能力」を持つ
矢口真理、保田圭、市井沙耶香の3人を前もって娘。に入れておいたのだ。
厳密には、彼女が娘。に入るのに直接役に立つのは矢口の能力だけであるが。
彼女がその時に娘。に入ることも可能ではあったが、一度入ってしまうと目立った行動はできにくい為、
より「目的」を確実に達すために次のチャンスを待つことにした。
なにせその「チャンス」すら彼女達の手にかかれば容易く作り出す事が出来るからだ。
もちろん彼女にも特殊な能力がある。
世界を動かせるほどの…。
しかし、合格者を発表する為にここに居る番組プロデューサーから発せられた言葉は、
その確信を大きく裏切るものだった。
「合格者は後藤真希…以上。」
6 :
イチギ:2001/05/27(日) 04:40 ID:Vz5kXuGM
まさか…合格者が2人じゃなくて1人!?
そんなこと全く考えてなかった。
でも何故アイツが合格なの?
矢口が能力を使っていれば落ちるはずは…。
私が合格するという選択肢すらなかったというの?
最初から決まっていた?
いや、そういえば私は「常に参加者の上位二位以内をキープ」するように
矢口に仕組ませたんだった。
後藤が1位で私は2位。その差は大きく、私は落とされたという訳か…。
だったら矢口の能力の範囲外ね。
今更理由なんて考えたってしょうがない。これは困ったことになったわ。
計画が台無しよ!
7 :
イチギ:2001/05/27(日) 04:41 ID:Vz5kXuGM
彼女達。
すなわち菅原真理子、市井紗耶香、矢口真里、保田圭、ほか3名。
合計5人で構成されるグループが事あるごとに
集合場所として使っていた路地裏の暗がりに真理子は向かっていた。
もちろんオーディションの結果…いやオーディションに落ちた事を彼女達に伝える為に。
しかし、その路地裏に着く間もなく真理子は、待ち切れなくなったのか、
矢口達が集合場所よりだいぶ手前で、誰かを待ちわびている様子で立っている事に気付く。
その「誰か」は間違い無く彼女、菅原真理子だろうが、
彼女にはそれほどまでに待っていてくれた事への感謝や喜びなど微塵も無かった。
むしろ彼女の合格を確信しているのであろうその笑顔が腹立たしかった。
別に責任が彼女達に有ると思っている訳ではない。
なにせ真理子の能力は「洗脳」であり。矢口達を自分の意のままに動かせる。
つまり、洗脳の対象者である矢口の失敗はそのまま自分の失敗であり、
矢口には何の罪も無い。まあ成功したとしてもそれはある意味罪なのではあるが…。
8 :
イチギ:2001/05/27(日) 04:42 ID:Vz5kXuGM
「ねえ、どーだったの?」
不合格の可能性のある人間にはこんな調子では話せないだろうというトーンで矢口が話し掛けてくる。
分かり切ってる声だ。返ってくる答えは1つだと思ってる。
まあ矢口の能力を考えれば無理も無いが…。
残念だが彼女はその答えを矢口に言ってやることは出来ない。
「不合格。"ふりだしにもどる"だわ。」
驚愕の表情で絶句している矢口とは対照的に
真理子は平静を装っているため、
周りのメンバーは矢口と真理子の置かれた状況が逆転したような錯覚を覚えた。
9 :
イチギ:2001/05/27(日) 04:44 ID:Vz5kXuGM
「でも矢口の能力は…。」
言葉を発せられる状態ではない矢口に変わって保田が聞いた。
いつもならこういう役は市井が率先してやるのだが、
この場に市井の姿は無かった。みんな気付いていたし今までにこんなことは無かったが、
仮にも芸能人。来れない事情などは腐るほどあるさと誰も気にも止めていなかった。
保田の言葉を受けて、真理子が一連の出来事や、自分なりの推理を話しだそうとした瞬間、
背後に気配を感じ、真理子、矢口等6人は一斉に、
とはいっても別に危険を感じた訳でも、気配にビクついた訳でもなく
ただ条件反射で気配のした方を向いた。
そこにはこちらに向かってゆっくり歩いてくる二人の女が見えた。
黒髪のショートヘアーの女は見なれた顔だが。
となりの金髪は初めてみる顔だ。
ただ一人、真理子を除いては…。
10 :
イチギ:2001/05/27(日) 04:47 ID:Vz5kXuGM
◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「じゃ〜ね〜みんな〜。」
なっちこと安倍なつみはいつもより仕事が早く終わったこともあってかなり御機嫌だった。
時間以外はいつもと同じようにメンバーやスタッフに挨拶を済ませ。
この後の空いた時間であのお店に行こうか、それともこのお店に行こうかと
週末の乙女な気分でルンルンと街を歩いていた。
繁華街からはかなり離れている為、ナンダカンダでまだ何処にも行かぬまま時は過ぎ。
このままじゃ早く上がった意味が無いと、
小学生の夏休みの終わり頃かの様にがむしゃらにそこらの店に入ったり出たり怪しげなお店だったりして、
不本意ながら事務所の近くに来てしまい、少し嫌な感じがしたりして、別の所に行こうと方向転換すると、
その視線の先のベンチに、見覚えのある顔があった。
11 :
イチギ:2001/05/27(日) 04:49 ID:Vz5kXuGM
(ゲッ!)
例え当時どんなに仲がよくとも悪くとも、
長年会っていない友達に突如会ったときの反応なんてこんなもんじゃないだろうか。
実際、当時凄く仲の良かった福田明日香に約1年ぶりに会ったナッチの反応は、嬉しい!懐かしい!
と言うよりは、ゲッ!どーしよう!的なものだった。
そして近ずいていった第一声。
「うわ〜ひさしぶり〜♪元気だった?」…女のサガだ。
明日香は娘。にいたときとはだいぶ感じの違うセミロングの髪をしていた。
少し驚いた表情をしているから安倍を待っていたと言う訳では無さそうだが
だいぶ腰を据えてベンチに座っていた。
ナッチを見て驚きと微笑みの混じった妙な表情をした。
12 :
イチギ:2001/05/27(日) 04:53 ID:Vz5kXuGM
「…そっちこそ久しぶり。」
隣に座ったナッチの方を向くことも無く明日香が答えた。
その後、ナッチの一方的なプライベート近況報告を終えた二人を長い沈黙が包んだ。
非常に気まずいな、とナッチは頭をフル回転させて話題を探した。
決して仲のイイ友達と話している人間の心理状態じゃない。時間とは怖いものだ。
しかし明日香の方は全く気にしている様子はない。
と言うよりは、ナッチの方をあまり気に止めていないかのような印象さえ受ける。
しかし、その沈黙を破ったのは明日香だった。
「…娘。も変わったよね。」
この話題は逃すまい、とナッチが飛びついた。
「そうそう!また新しい子が入るらしいんだ。今度。」
「知ってる。後藤真希ちゃんでしょ。」
「え?いや…まだ誰かまでは聞いてないけど。」
13 :
イチギ:2001/05/27(日) 04:54 ID:Vz5kXuGM
「あの子で止められればいいけど…。」
明日香の理解不能な発言に困惑するナッチをよそに明日香は立ち上がった。
「私、もう行くよ。」
ホッとしつつも何か別れの挨拶をしようとするナッチの言葉を待たずに
明日香は続けた。
「気をつけて。もうモーニング娘。は昔の娘。とは違うわ。
全く別の目的に向かってに動いてるんだから…。」
そう言い残して明日香は去っていった。
あまりの意味不明さにナッチはお別れを言うのも忘れてただ呆然としていた。
14 :
イチギ:2001/05/27(日) 04:54 ID:Vz5kXuGM
一連の明日香とのやり取りもすっかり忘れ、
散々買い物をし、そろそろ帰ろうかと言うところで、
駅までの道が良く分からないような所まで来ていることに安倍は気付いた。
ただなんとなくの方向だけは分かっていた為、
と言ってもその「なんとなくの方向」の先にあるのは全く見当違いの場所であったが、
ナッチは自分の方向感覚を信じ、その方向へと向かっていった。
15 :
イチギ:2001/05/27(日) 04:56 ID:Vz5kXuGM
繁華街をかなり離れた、暗い路地裏のような所で、
この先に駅なんか無いことを根拠は無いにしろ雰囲気で気付いた為、
元のところへ戻ろうと引き返そうと思ったその時、
少し先に、またもや知り合いがいる事に気付いた。
16 :
イチギ:2001/05/27(日) 04:57 ID:Vz5kXuGM
(矢口に圭ちゃん!?)
近づいてみると、柵を挟んで2mほど低い段差の所に矢口と保田はいる事がわかった。
逆光もあって向こうからこっちは見えないだろうし、こちらに気付いてる様子も無かった。
矢口も保田も(まあ自分もだが)帽子を深く被り、
普通の人にはそれが矢口と保田であることは分からないだろうが、
ナッチは先ほどまで一緒に仕事をしていた為、厳密にはその服装を見ていた為、
それが矢口達だとわかった。
なんだかすごく悪いことでもあったように暗い雰囲気だったし、
知らない人間も何人かいたためあまり関わりたくなかったが、
見てしまった以上何かしないと言う訳にはいかず
声をかける事だけはしておこうと手を上げた瞬間、
矢口達が一斉にナッチとは逆の方向を向いた。
つられて向いたナッチの視線の先にあったのは2つの女の影だった。
17 :
名無し娘。:2001/05/27(日) 04:57 ID:xsk1xkWA
意味わからん
18 :
イチギ:2001/05/27(日) 05:00 ID:Vz5kXuGM
◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「沙耶香?」
視線の先の存在が市井沙耶香だと分かり、
隣の見知らぬ少女が気になりながらも安堵の声を漏らす矢口だったが、
菅原真理子はその隣の少女を良く知っていたため、と言うより
その少女が計画の狂いの根源であると同時に
こんな所に来るはずの人間ではないことへの不信感から臨戦体制に似た緊張感を放っていた。
そもそもこの「菅原グループ」に関係無い人間をここに連れてくること自体、
暗黙のタブーだったから…。
市井は、矢口達から10mほど離れた所にその隣の金髪の少女を待たせて、市井一人で近づいてきた。
そのことから菅原真理子は、市井とその少女がなんの関係も無いただの友達で、
どうしても追い返すことが出来ずにここまで連れて来てしまったが、
タブーを犯さぬ様、離れた所に待たせて来たのだとポジティブな創造をめぐらしホッとしたが、
菅原真理子に、実際にはその行為にそれとは全く逆の意味がある事を知る術は無かった。
19 :
イチギ:2001/05/27(日) 05:03 ID:Vz5kXuGM
彼女、菅原真理子の能力は「洗脳」。
そして発動の鍵は「見られる」こと。
どんな人間も彼女を累積四時間ほど見れば、彼女の意のままだ。
とはいっても完全に操ると言う訳ではないので、指示したこと以外は全く今までどうりに行動する。
その「今まで」自体変えてしまうことも可能ではあるのだが…。
20 :
イチギ:2001/05/27(日) 05:03 ID:Vz5kXuGM
「グッ…」
体が動かない。
正しくは動かせない。
威圧感にも似た圧力に押さえ込まれ、油汗をかく真理子を確認したのか、市井の目は鋭く尖った。
その目は明らかに敵意を示していた。
その目を見た瞬間、彼女はこの状況が市井によってもたらされたものだと悟った。
直接的には、その10m後方で彼女に向けて手をかざしている金髪の少女の手によるものだが、
彼女にはそれを認識する余裕は無かった。
「何故…
「洗脳されてるはずなのに?かしら。」
真理子の問いをさえぎる様に市井はしゃべり出した。
21 :
イチギ:2001/05/27(日) 05:05 ID:Vz5kXuGM
「残念だったわね。あなたの能力はそれを知られている相手には効かないのよ。
私を信用しすぎたのが運のつきね。」
「と・・・監視局か…」
「監視局とはなんの関係も無いわ。ただ私がこうするべきだと思ってこうしているだけ。」
特殊能力保持者監視局。
彼女達のような特殊能力保持者を監視している特殊能力保持者で構成される組織。
しかし、絶対的な力を持ってるといっても公的なものではないし、
ここ数年、「保持者」の数が急激に増えたことも有り、
その数すら把握出来ていないのが原状であり、名ばかりといった所だ。
もちろん管理局には多種多様な保持者がいる。
保持者が何か悪さをすればそれを察知する事ぐらいはできる。
しかし保持者の増加に伴い、特殊能力による犯罪
(犯罪と言えるものなのかは分からないが、道徳的に「悪い事」)
も増加し、もはやよっぽどの事でも無ければ動かなくなってしまった。
それでも真理子達がやろうとしている事はその「よっぽど」に
十分当てはまるのだが、彼女達、菅原グループ(6人+市井)には、
そういう事への「隠ぺい」を主とする能力を持つものが居て、
これまでもこれからも直接管理局にバレる事は無い。
22 :
イチギ:2001/05/27(日) 05:09 ID:Vz5kXuGM
23 :
イチギ:2001/05/27(日) 05:11 ID:Vz5kXuGM
「後藤、お願い。」
そう。市井の10m後方に立って菅原真理子に手をかざしているその少女は、
菅原真理子が落ちた新メンオーディションを受けて合格し、
すでに事実上モーニング娘。となっている後藤真希その人だった。
後藤は市井の言葉を受けて菅原真理子に向けてかざした手に力を込めた。
そのとたん、菅原真理子は、尋常とは思えない奇声を上げて苦しみもがきだした。
菅原真理子の体の変化も、洗脳のことも知らない矢口達は、
漫画でいったら頭の上に疑問符が付くような混乱した表情で見ていたが、
その様子を見て、良く分からないにしろ後藤が原因だと直感的に思い、
後藤へと襲い掛かった。
その選択は正しかった。実際、後藤の能力は人を死に至らしめるほどの強力さとは裏腹に、
少しでも体に外的衝撃を与えられると一時的に効果が無くなるモロさも持ち合わせていたからだ。
しかしその間10m。
矢口達が後藤の所に達する頃にはもう菅原真理子に息は無かった。
24 :
イチギ:2001/05/27(日) 05:15 ID:Vz5kXuGM
「やっと終わった・・・。」
一連の騒動を終えて、来た道を引き返している市井に安堵の声が漏れた。
「矢口さんたちはイイの?あの人が死んでもすぐに洗脳がとけるわけじゃないんでしょ。」
「大丈夫。真理子がいなくなったんだから
真理子をモーニング娘。に入れてブラウン菅越しに日本中の人間を洗脳するって目的は達成不可能になった訳だし、
矢口の能力じゃあ何かを決定的に変えることはできないよ。
他の子達の能力は知らないけど、
圭ちゃんたちに何かして旧メンバーに迷惑かけたくもないしね。」
「そうだね。」
「あと一人はもう問題外だろうしね…。」
「?」
全ては順調にして終わった。二人ともそう思っていた。
しかし、市井の言っていたとうり、市井は菅原グループで、矢口以外の人間の能力を知らない。
それは、当の本人は気付いていなかったが、菅原真理子を例に上げられるように、
能力の性質によっては、例え仲間でも知られるとマズイ状況があるため、
能力はお互い隠しておこうと言う菅原真理子の決定によるものだが(当然菅原真理子は全員分の能力を知っているのだが)、
それ故に、菅原真理子が息を引き取る(取られる?)直前、保田が彼女の手を強く握って何か呟いていた事の意味を理解し得る筈も無かった。
25 :
イチギ:2001/05/27(日) 05:16 ID:Vz5kXuGM
◆◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
翌日、後藤との顔合わせ。
旧メン4人にとっては2回目だったし、みんなそんな大した感情は抱かなかった。
…たった一人を除いては。
安倍なつみ。
彼女は昨日の一連の後藤が菅原真理子を事実上「殺した」所を目撃していたため、
といっても彼女は菅原真理子が死んだことは知らないし、考えてもいなかったが…。
しかも話が聞こえていた訳ではないので、
保持者について何も知らない安倍にとっては、「何か異様な感じがする」程度のものだった。
が、関係者しか知らない筈の新メンバーの名前を、
もうそうでない福田明日香から聞かされていたこともあって、かなり動揺していた。
26 :
イチギ:2001/05/27(日) 05:21 ID:49K82y3w
「ねえ…彩っぺ。」
誰かに言いたかった。
写真撮影を先に終えたナッチは、同じくそれを終えた石黒に先日の一連の騒動をこと細かく伝えた。
それが石黒である意味は特になかった。
事情も良くわかっていない一連の騒動について、
それに携わっていた者と常に一緒に仕事をしていかなければならない石黒に話すのは、
保持者の事を抜いても得策とは言えなかったが、
彼女にはそれに気付く機転も、黙っておく自制心も無かった。
それが、その相手の人生を大きく狂わせることになる事に、
彼女がこの先気付くことは無い。
(まあ、長いスパンで見れば、大した狂いでは無いのだが…。)
27 :
イチギ:2001/05/27(日) 05:33 ID:OJbRTQ4M
あの路地裏での出来事はただの喧嘩。
あの子(菅原真理子)は、ただ具合が悪くなっただけ。
明日香は、関係者の知り合いがいただけ。
そう半ば無理やり納得したナッチとは逆に、その出来事をナッチから聞いた石黒彩は、
それをナッチから移された様に動揺していた。
それもその筈、彼女は保持者では無いにしろ、保持者の事を知っていた。
その彼女にとっては、間接的に聞いた明日香の話は、
ナッチが感じたものとは別の意味を持っていた。
28 :
イチギ:2001/05/27(日) 05:38 ID:OJbRTQ4M
明日香の話を聞いた時から、石黒は大きな不安に刈られていた。
その不安は徐々に大きくなっていき、
もはや自分の中にとどめておく事が無いまでになった。
確かめよう。
たとえどんな無理な返答が返ってきても真に受けるつもりだった。
そして安心してアイドルを続けるつもりだった・・・。
29 :
イチギ:2001/05/27(日) 05:40 ID:OJbRTQ4M
タンポポのラジオ収録の後、
石黒はそれを実行に移した。
「ねえ矢口、こないだ事務所から20分くらいの路地裏にいたでしょ?
たまたまそこ通りかかったんだけど、
なんか女の子倒れてたけど、あの子大丈夫だったの?」
…………………
「キャハハ…な〜に訳のわかんない事言ってんのよ〜
マネージャ〜!こんな奴辞めさせちゃえ辞めさせちゃえ〜♪」
一瞬間をおいてマネージャーに向かって言った矢口の科白は、
もちろん明らかに冗談だという喋り方だ。
しかし、あまりに意味の通らない冗談に石黒は困惑した。
何故なら彼女は知らないから。
矢口がマネージャーに向かって言ったその「提案」こそが、彼女の能力の発動の鍵だと言う事に…。
30 :
イチギ:2001/05/27(日) 05:50 ID:OJbRTQ4M
矢口真里。
彼女の能力は、組織として成立しているものの「方向性」を指示する事。
ただしそれには、組織内にその「選択肢」がある事が条件である。
「石黒を辞めさせろ。」
その「提案」は、マネージャーを媒介して周り(事務所の人間)に伝わる。
その周りがさらにその周りに矢口の能力を伝える。
そして、もし事務所にその選択肢が有ったとしたら、
その方向へと徐々に動き出す。
そうなったらもう矢口本人ですら止める事は出来ない…。
31 :
名無し娘。:2001/05/29(火) 07:52 ID:9gKnzQrg
hozen
32 :
ウルバリン タンバリン:2001/05/29(火) 21:25 ID:/U.Gk7wc
33 :
名無し娘。:2001/05/31(木) 01:00 ID:HvG/hxp2
sage
34 :
イチギ:2001/06/01(金) 01:59 ID:fiuInAnU
4ヶ月後、とある番組の収録でその第一報は入った。
石黒彩脱退。
無論皆、今まで一緒に頑張ってきた仲間と別れなければならない悲しさに沈んでいたが、
それに対して、別の捕らえ方をする者もいた。いや、むしろそっちの方が多かった。
石黒彩本人。
決して自分の意思ではない決定に、不満や怒りを少なからず抱いていた。
矢口真里、保田圭。
その原因である彼女達は、もちろんその事に悲しみを覚える筈も無く、
むしろその選択肢が有った事に喜びすら感じていた。
正しくは石黒が脱退する事にでは無く、その先にあるものに対してではあるが。
そして…
35 :
イチギ:2001/06/01(金) 02:00 ID:fiuInAnU
「どう思う?後藤。」
石黒脱退の報を受けたその夜、後藤の家に2人はいた。
物があまり無い…いや、あまりに無い部屋のベットで雑誌を読んでいる後藤に市井は問いかけた。
「何が?」
質問の意味は重々判っていたが、
あまりに広範囲な質問に、その方向性を絞る為に後藤はそのような答え方をした。
「いや、だから…彩っぺの脱退に矢口達は関わってると思う?」
厳密には矢口の能力のみについてだが、その意味は後藤に伝わった様だ。
「わかんないけど、もう菅原さんはいないんだから…。
そもそも私達は菅原さんがモーニング娘。に入るのを阻止するのが目的だったわけでしょ。
矢口さんが個人的な理由で能力を使っても私達には関係無い事じゃないの?
矢口さんの能力は実際に起こり得る方向にしか物事を変えられない訳で、
彩っぺが辞めたとしても辞めさせられたとしても所詮、悪い方の可能性に転がったってだけでしょ。」
壁よりのベットで雑誌から目を離すことも無く、といっても焦点は雑誌に合ってはいなく、
見た目とは裏腹に、真剣に話しに集中している後藤側と対面する壁に寄りかかった市井は、
後藤の答えが想像していたものとほぼ同じだった事もあって、別の事を考えていた。
36 :
名無し娘。:2001/06/03(日) 14:01 ID:oMZsoarg
hozen
37 :
名無し娘。:2001/06/05(火) 09:19 ID:7t1dBVbE
hozen
38 :
名無し娘。:2001/06/07(木) 12:12 ID:M3GZKQqM
保全
39 :
名無し娘。:2001/06/09(土) 11:30 ID:ORU2cK8o
hozen
40 :
名無し娘。:2001/06/11(月) 18:37 ID:QZQ1JR12
hozen
41 :
名無し:2001/06/13(水) 10:47 ID:2N03d0S.
yasuda
42 :
名無し娘。:2001/06/15(金) 18:21 ID:CTecD1o6
hozen
43 :
名無し娘。:2001/06/17(日) 04:25 ID:fzUu.J/I
yasuda
44 :
名無し娘。:2001/06/19(火) 20:54 ID:a6H6ntfc
hozen
45 :
名無し娘。:2001/06/21(木) 09:23 ID:EQFFZMF6
hozen
46 :
名無し娘。:2001/06/25(月) 00:25 ID:Jxbsr4p6
hozen
47 :
名無し娘。:2001/06/27(水) 03:02 ID:wflGSr3I
yasuda
48 :
名無し娘。:2001/06/28(木) 03:39 ID:gC9UfzSM
hozen
49 :
名無し娘。:2001/06/30(土) 14:40 ID:V0cl8Hfw
hozen
50 :
くそったれ娘、:2001/07/01(日) 00:30 ID:S3LrEHDA
( ´D`)y-~~<晒しage
51 :
名無し娘。:2001/07/02(月) 10:38 ID:qajqtfok
hozen
52 :
な:2001/07/03(火) 15:45 ID:oLoeTKRg
放置スレ?
違ったら作者さんに一言「続くので」と言ってもらいたい
53 :
名無し娘。:2001/07/05(木) 01:44 ID:n9ynWyrY
hozen
54 :
名無し娘。:2001/07/07(土) 15:34 ID:sNeo.w7E
hozen
55 :
名無し娘。:2001/07/10(火) 21:52 ID:0t..VBsw
hozen
56 :
名無し娘。:2001/07/12(木) 02:46 ID:u/HO9KqY
hozen
57 :
名無し娘。:2001/07/13(金) 11:57 ID:Xe1ROHTU
もう保全しなくて良いんじゃないのかね。
58 :
名無し娘。 :2001/07/17(火) 20:33 ID:Or4MWCPE
59 :
名無し娘。:2001/07/19(木) 19:19 ID:AGa4FAhs
60 :
名無し娘。: