1 :
いい年して。:
小説初心者なので、見苦しい点もあると思いますが・・・・
2 :
いい年して。:2001/05/14(月) 02:04 ID:DHm9bv3s
第1章 飯田圭織
「裕ちゃんの脱退からもう5年・・・・あれからいろいろ変わっちゃったなあ・・・」
控え室で、飯田は誰に言うわけでもなく昔を思い出していた。
中澤裕子が脱退してから1年後、モーニング娘。はあっさり解散となった。
表向きは、それぞれの道を進むためにメンバー全員で決めた事になっているが、本当は人気の急落が原因であることは誰もが知っている。
それでも、解散当初は物珍しさか、元モーニング娘。の名前からか、メンバー全員が忙しい日々を送っていた。
しかし、未だに活躍しているのは、女優に転身した石川とソロになった後藤の2人だけである。
その2人にしても第1線とは言いがたい。
1人、また1人とメンバーがテレビから姿を消していく中で飯田は、あらためてモーニング娘。あってのメンバーだと言う事を思い知らされていた。
もっとも現在辛うじて芸能界に生き残っている飯田も人事では無い。
解散当初3本あったテレビのレギュラーは1本も無くなり、今ではラジオのレギュラーが1本残っているだけである。
その他の仕事と言えば、青年誌に、きわどいグラビアが載る程度で、解散当時の忙しさが今やまるで無くなっている。
「最近じゃファンレターも、ろくに届かないし・・・・・・・・私のファンって本当にいるのかな?」
「はあ、本当に冗談に聞こえなくなってきたな・・・・・・・・でも今日は久しぶりのテレビのお仕事なんだから頑張らなくちゃ」
気を取り直して、今日の台本を読み返していると、また不安が襲ってきた。
フリーに話せる時間が何ヵ所かあるが、一体何を話せばいいのだろう、突拍子のない言動も最近飽きられているし、だからと言って普通に話しているだけじゃ空回りするだけだし・・・・。
「私こんなに一生懸命頑張っているのにどうして皆認めてくれないの!!」
続く・・・
小説初心者なので、見苦しい点もあると思いますが・・・・
つまらなかったら放置してもらえれば、止めますので。
もし読んでくれる方がいたら、ご意見お願いします。
3 :
ふぁーすと。:2001/05/14(月) 02:04 ID:xDP/lYjs
頑張ってください。
4 :
名無し娘。:2001/05/14(月) 03:09 ID:S9mu4mAY
今の段階では何もコメントはできない。
まだ少ししか書いていないし。
何を言われようと、とにかく続けて書くことが大切だと思う。
5 :
いい年して。:2001/05/14(月) 19:13 ID:IN9zwCvA
第2章 安部なつみ、石黒彩
「遅すぎ・・・・・・」
時計を見ると午後1時、すでに待ち合わせの時間を1時間も過ぎていた。
「よし、あと5分待って来なかったら帰ろう」
石黒彩は、喫茶店に入ってから3本目のタバコに火をつけながら呟いた。
ちょうどその時、ショートカットの女性が1人店に入ってきた。
あたりを見渡して、石黒を見つけると大きく手を振りながら歩いてきた。
「ごめーん、彩っぺ待った??」
女性は謝っているものの、笑顔で反省している感じではない。
「おおいに待った!!なっちあんたねえ〜もうお母さんなんだからルーズな性格を直しなさい」
石黒も口調こそ怒っているものの、安部の昔と変わらない笑顔につられて、笑顔になっていた。
「まあいいわ、とりあえず座りなさい」
「は〜い」
安部が椅子座るとすぐに、店員が注文を取りに来た。
「なっちはとりあえずケーキ食べなきゃ。じゃあ、アイスコーヒーとマロンケーキね」
「じゃあ、あたしはコーヒーをもう1杯頂くわ」
石黒が注文をすると、店員は安部と石黒の顔を交互に見ながら戻って行った。
モーニング娘。が解散して4年、今でも時々はこんな風にジロジロ見られる事がある。
一足先に脱退して結婚した石黒、解散と同時に芸能界を引退し、その1年後に結婚した安部にとって、それは嬉しくもあり、また疎ましくもあった。
「で、なっち今日はどうしたの、緊急の用事があるとか言ってたけど何?」
実家に帰省している時に石黒が安部に会う事は特に珍しい事ではないが、今日はいつもと様子が違っていた。
なにやら、石黒でなければ出来ない事だとか何とか。
「じつはねえ・・・・・・」
6 :
名無し娘。:2001/05/14(月) 19:24 ID:L5ZD0NR.
言うまでも無いが安部ではなく「安倍」
7 :
名無し娘。:2001/05/14(月) 19:25 ID:L/iJJ1.Q
解散後の話ですかぁ…読んでて切なくなります。
でも続きが気になる!
それと「安部」ではなく「安倍」です。
ガムバッテ!
8 :
7:2001/05/14(月) 19:32 ID:L/iJJ1.Q
9 :
いい年して。:2001/05/14(月) 19:41 ID:umvBu8i6
申し訳無い、次から直します。
10 :
7:2001/05/14(月) 19:45 ID:L/iJJ1.Q
>>6 修正 ×カッテシマタ
○カブッテシマタ
>>9 期待してます
11 :
名無し娘。:2001/05/14(月) 19:46 ID:lIv6PUcM
必ずコメントを貰えると思うのが間違いだ
12 :
いい年して。:2001/05/14(月) 20:05 ID:xprTSUrk
第2章 安倍なつみ、石黒彩その2
「モーニング娘。を復活させる!?」
石黒は思わず大声を出してしまい辺りを見渡しながら再度安倍に確認する。
「もう一度聞くわよ、モーニング娘。を復活って本気?」
「うん本気だよ」
安倍が笑顔で答える。
「ちょっと待ってよ、だいたいなっちは、芸能界に嫌気が差して引退したって前に言ってなかった?あたし結構びっくりしたんだけど」
確かに娘。の創世記を支え、根強いファンを持っていた安倍が解散と同時に引退するとは誰も思っていなかっただろう。
しかし、安倍自身、デビューから娘。解散までの間に起こった様々な出来事に嫌気が差していたのだろう。
事務所の引止めや、ファンからのメッセージに心を動かされる事無く、また解散と同時の唯一の引退者となった。
「ちょっと彩っぺ勘違いしないで、別に芸能界に復帰しようって事じゃないんだよ。実は一昨日、つんくさんから電話があって、何かの企画で1日だけライブをして欲しいって頼まれたのよ。それであんまり気が進まなかったけど、久しぶりに皆に会えるんならいいですよって」
あわてて安倍が説明すると。
「なんだ、びっくりして損したな、あたしはてっきり復帰するつもりかと思ったよ。で、あたしにも頼んでくれって、つんくさんに頼まれたの」
なるほどといった顔で石黒が聞き返すと。
「まあそうゆう事かな、ねえ彩っぺいいでしょ、久しぶりの同窓会みたいな感じでさあ」
「まあ、いいか・・でも今回だけだよ」
すがるような目で見つめる安倍の頼みは本当に断りづらい。
「やった、良かった」
13 :
名無し娘。:2001/05/14(月) 20:14 ID:ggPzybII
あげでやり続ける気か?まぁ頑張ってクレ(w
14 :
名無し娘。:2001/05/14(月) 20:24 ID:L/iJJ1.Q
ハンドルそれでいいの?
15 :
いい年して。:2001/05/14(月) 20:57 ID:7ROOEulw
第3章 市井沙耶香、保田圭、後藤真希
「それでは、後藤真希、1年ぶりのシングル発売並びに初代プッチモニ再会を祝ってカンパーイ!!ついでに市井沙耶香バンザーイ!!!」
まだ人も疎らの居酒屋で市井沙耶香が大声で掛け声をかける。
「いきなりテンション高過ぎ・・・」
呆れたように呟く保田圭の横で、後藤真希はご機嫌のようだ。
「イエ―イ市井ちゃん最高!!ほら圭ちゃんも一緒にカンパイしようよ〜〜」
「イエーイ!!いいぞ後藤!!おいそこの保田圭!お前も盛りあがれ」
すでに絶好調の市井は、同じく絶好調の後藤と肩を組みながら「ちょこっとラブ」歌っている。
「ってね恥ずかしくないの君らは・・・・・何で飲む前から出来あがってんだよ?」
保田は再度呆れたように呟いた後、たまには、こんな飲み会もいいと思い始めていた。
娘。解散後、成功か否かは別にして、皆がそれぞれ道を進んで行くのに対し、保田だけが1人、道を決めかねていた。
それなりに歌が歌えた事が災いしたのか、それとも性格的ものなのか、これと言った売りの無い保田にはあっという間に仕事が来なくなり、解散後わずか半年で芸能界から離れる事となった。
自暴自棄になっている保田に救いの手が来たのは、それから1年後、市井沙耶香との再会であった。
16 :
いい年して。:2001/05/14(月) 21:07 ID:7ROOEulw
ハンドルはこれでいいです。
決して若くないし・・・
17 :
まだダメ:2001/05/14(月) 21:13 ID:LvJ2Si3Y
どうも。がんばって下さい。オイラも27DEATH。しかも時同じくして
(昨日)、モー娘。解散後の話(こっちは15年後の話)を書いてます。
奇妙な一致、かぶらなければイイですね(ワラ)。
ところで、初心者とおっしゃってますが、「sage」はご存知ですか?
18 :
名無し娘。:2001/05/14(月) 21:14 ID:krsQGGms
市井紗耶香じゃゴルァ!!
19 :
名無し娘。:2001/05/14(月) 21:41 ID:KKHzkUTw
20 :
しじみ:2001/05/15(火) 16:58 ID:mptioP.Q
>>17 27で若くはないのかぁ…
今年28の俺って一体…
小説拝見致します。
>>1 ガムバッテクダサイ sage
21 :
いい年して。:2001/05/15(火) 23:55 ID:ub94CNTg
続き。・・・文章へたくそです。
第3章 市井紗耶香、保田圭、後藤真希その2
「意外と重いなこの子は・・・それにしてもよく飲んでいたね後藤は」
酔いつぶれた後藤を背負いながら保田は、横を歩く市井と話していた。
「まあ3人で集まるのなんて、私が脱退して以来だから6年ぶりくらいだしね、きっと懐かしかったんだよ。それに後藤は基本的に寂しがりだから。」
そういいながら市井は、保田に寄り掛かっていった。
「危ないよ紗耶香、只でさえ後藤背負って重いんだから」
「あら、相棒に向かって冷たい言葉ねえ」
市井は保田の言葉を気にすることなく、寄り掛かりつづけていた。
「・・・・・・・あのさ紗耶香、本当にありがとうね」
「はっ何の事?」市井が不思議そうな顔で保田の顔を見つめる。
「今まで恥ずかしくて言えなかったんだけど・・・・・私、紗耶香が一緒にやろうって誘ってくれて本当に嬉しかった。もし紗耶香が誘ってくれなかったら、きっと今でも駄目なままだった。」
「そんなことないよ、私だって娘。を脱退してから、どうしたらいいかわからなくて困っていたんだから。それに、私が1人でやるにはちょっと歌唱力がねえ・・だから圭ちゃんの力が必要だったんだよ。まだまだ無名で実力もイマイチだけど圭ちゃんと一緒だったらきっといつか認められると思うの」
「もう3年も経ってるけどね」
「違うよ圭ちゃん、まだ3年だよ、まだまだ3年だよ、きっといつか認められるよ、絶対にだよ!!」
「紗耶香が言うと本当っぽく聞こえちゃうから不思議だよね、そうだね紗耶香、まだまだこれからだね。」
そういって保田は嬉しそうに市井の事を見つめていた。
22 :
いい年して。:2001/05/15(火) 23:57 ID:ub94CNTg
第3章 市井紗耶香、保田圭、後藤真希その3
「そういえば」
駅に着き、ベンチに後藤を座らせた後、突然思い出したように保田は呟いた。
「えっどうしたの圭ちゃん」
「いや確か、後藤が何か大事な話があるって言ってなかったっけ」
「ああその話ね、きっとモーニング娘。のライブのことじゃ無いのかな?」
「えっ嘘」
「嘘じゃないよ、私のところにも、なっちから電話があったもん。何かの企画で一日だけ復活ライブをやって欲しいって事らしいけど、別に構わないからOKしといたよ。ついでに宣伝もしたいしね」
「私も別に構わないけど、何で今更・・・それに、なっちがよく了解したね。紗耶香は知らないかもしれないけど、解散寸前のなっちはノイローゼになりそうな位、芸能界を嫌がってたんだよ」
「もう4年も前の話でしょ、いい加減気にしてないと思うけど」
「まあ、それもそうかな、でも」
2人とも釈然とせずに考え込んでいると。
「市井ちゃんも圭ちゃんも甘いよ」
今までの話を聞いていたのか、それとも今突然起きたのか、後藤が話しに加わってきた。
小説系はsageて書いた方がいいですよ。荒らされることがあるし。
メール欄に英半角でsageって入れると上がってこなくなりますから。
じゃ、頑張ってください。
24 :
いい年して。:2001/05/16(水) 00:00 ID:SKsY80HY
sageって何ですか?
書きこまなければ下がるって事?
すみません初心者で。
2chは書いたら上がるようになってるんだけど、
書いても上がらなくなるのがsage。
下のほうでマターリやりたいときとか、
荒らされたくないときにはsageます。
26 :
いい年して。:2001/05/16(水) 00:02 ID:SKsY80HY
ありがとうございます。
では早速。
27 :
いい年して。:2001/05/16(水) 22:56 ID:Cidg3Zf2
第3章 市井紗耶香、保田圭、後藤真希その4
「後藤〜、起きてたのアンタ、まったくどれほど重かったかわかっているの」
後藤が話しに加わろうとすると、先ほどまで背負っていた重さを思い出したのか保田が、後藤に対して怒り始めた。
「まあまあ圭ちゃん、それより何が甘いの?」止めにはった市井が後藤に聞き返す。
「娘。の復活ライブの話なんだけど、なっちは、つんくさんに頼まれたって言ってたよね。でもね、この前テレビ局でつんくさんに会った時、そんな話知らないっていってたの。」
「えっ、どう言う事、なっちが私達のことを騙しているっていうの?」
「うーん、そこまでは言わないけど、でもこの話は何となくおかしいと思うのよね」
28 :
いい年して。:2001/05/16(水) 22:58 ID:Cidg3Zf2
第4章 辻希美、加護亜依
「うーんどないしようかな、いまさらモーニング娘。やれっていわれてもなあ・・受験もあるし」ベットに横たわりながら、加護亜依は携帯電話に向かって話していた。
電話の相手は、解散後2年間限定でユニットを組んでいた辻希美である。それなりにヒットは飛ばしていたが、2人とも高校受験を機に芸能界から身を引いていた。
その後、東京の高校に通う辻と、奈良の高校に通う加護は、なかなか会う機会は無いが、時々はこうして連絡を取り合っている。
「まあいいじゃないの、亜依ちゃん。別に芸能界復帰って訳じゃないんだから、只の同窓会だよ。受験勉強の気分転換にしようよ〜お願い。」
「でもライブって事はリハーサルとかもあるんやろ?その日だけ行けばいいってもんでもないしなあ・・・まあいいか今回だけな、でもなんでののは、そんなにこだわるんや?今更復帰したいわけでもないやろ」
少しの沈黙の後、沈んだ声で辻が答え始めた。
「・・・・誰にも話さないって約束できる亜依ちゃん」
「えっまあ、もちろんや」珍しく深刻に話す辻に戸惑いながら、加護が答えると、辻が呟いた。
「実は今回の事は、つんくさんじゃ無くて、私が安倍さんにお願いしたの」
29 :
いい年して。:2001/05/16(水) 22:59 ID:Cidg3Zf2
第5章 石川梨華、吉澤ひとみ
「TV局の中って緊張するな。」
芸能界を引退して2年、吉澤ひとみは久しぶりに訪れる東京、そしてTV局に少々戸惑っている。
・・・あっここだ、ちゃんと「石川梨華さま」って書いてあるから間違い無いな。
「どうも、おじゃまします・・・梨華ちゃん久しぶり」
「あっ、よっしー、来てくれてありがとう。」
「ううん、今日はバイトも休みで暇だったし、テレビ局に来るのも久しぶりでワクワクしたよ。あっそれと、梨華ちゃん今度のドラマ、いよいよ主役なんだって?」
「うん一応ね、単発のドラマだけど、はじめての主役だから緊張するよ。」
「梨華ちゃんは凄いね・・・・私なんかすぐに人気無くなっちゃたのに・・・」
確かに、解散直後に出したデビューシングルの売上はそこそこだったものの、その後泣かず飛ばずだった吉澤にとって、地味ながら着実に女優の活動をしてきた石川とでは、大きな差があった。特に解散直後は圧倒的に吉澤の方が石川に比べて人気が高かった事を考えると、その差は更に大きなものに感じられた。
「ううん、別に凄くなんて無いよ、只一生懸命やっているだけだから」
謙遜する石川を見て吉澤は、あらためて自分に足りなかった部分は、石川のような直向さだと今更ながら思っていた。
30 :
しじみ:2001/05/17(木) 01:38 ID:OgXcn2dM
いいねえ
いい歳して。さん
つづき期待してますよ
31 :
名無し娘。:2001/05/17(木) 16:21 ID:rweIKPBo
この小説、雰囲気がイイね。
本当に同窓会みたい。
32 :
いい年して。:2001/05/17(木) 20:08 ID:Y8Kx/n8E
第5章 石川梨華、吉澤ひとみ その2
「ところで梨華ちゃん、この前聞いた娘の復活ライブの事で何か隠していない?ひょっとして、本当は何処にもそんな話は無いんじゃない」
思い出したように話す吉澤に向かって、驚きを隠せない石川は、目線を合わせないように答えた。
「知ってたんだ・・・でもどうして」
「実は、昨日ごっちんから連絡がきて、梨華ちゃんにも念の為確認して欲しいって頼まれていたの、今日ここ来る事ごっちんにも話してたから・・・・でも本当に念の為だったんだけどね・・・・」
「そうなんだ、後藤さんだったら確かに、つんくさんに会う可能性あるものね・・・・わかった、全部話すわ・・・・・・でもよっしーこれだけは信じて、私は誰かを騙したかった訳じゃないの、でも、あのままじゃ飯田さんが・・・・・飯田さんが・・・・」
「飯田さんがどうしたの?」
今にも泣き出しそうな石川に戸惑いながらも吉澤は質問した。
「・・・・今から2ヶ月くらい前にね、飯田さんとテレビの収録で一緒になったの。そこで・・・・・・・・・・」
33 :
いい年して。:2001/05/18(金) 22:00 ID:3biqW1uc
ますます文章が、おかしくなってます。
第6章 中澤裕子、矢口真里
「おーい矢口、矢口、今日のMステで後藤が新曲歌うみたいだよ。」
コンビニでテレビ雑誌を立ち読みしている中澤裕子は、大声で言った。
「ちょっと声大きいって・・じゃあ、どこかTVのある店に行こうか」
コンビニで大声で出す中澤を、恥ずかしく思いながら矢口真里は答えた。
娘。脱退後2年余りで引退し地元に戻って結婚した中澤、同じく娘。解散後2年で結婚し引退した矢口だったが、2ヶ月に1回は中澤が矢口のところに遊びに来ていた。
「そういえば、この前私とカオリと矢口で飲みに行った時に、明日は久しぶりのテレビ出演だってカオリが張り切っていたけど、あれまだ放送されていないの?」
コンビニを出て直ぐに、中澤は思い出したように話した。
「そうだ、裕ちゃんその事なんだけど、カオリは確か番組名が(懐かしの名曲TOP100)って言ってたよね。実は一昨日その番組見たのよ。それで、ラブマシーンが30位になってたんだけど、石川と、何故か辻がコメントしているだけで、カオリが出てないのよ」
「えっそうなの、関係無いけど何で辻が?きくちさんがプロデューサーなのひょっとして。」
「多分ね、今回だけって事だと思うけど、しかしきくちさんも、しつこいよね、意地でも辻をデビューさせたいみたい、本人嫌がっているのに・・・・まあそれは置いといて、カオリちょっとヤバイんじゃないの。この前も様子おかしかったし・・・私の場合は、危なくなる前に辞めたからどうって事なかったけど、やっぱり辛いものなのかな?」
飯田を心配する気持ちと興味本位が入り混じったように矢口が話した。
「うーん私も、本当に危なくなる前に結婚して辞めちゃったからな・・・よくわかんないけどね・・多分しんどいと思うよ、一度高く上がりすぎちゃったから・・・でもカオリは頑張っているよ、私や矢口に比べて」
34 :
いい年して。:2001/05/19(土) 00:20 ID:QGf3BzS2
第6章 中澤裕子、矢口真里その2
「そうだね確かに私も、とりあえず結婚しちゃった感じだし・・・正直言って芸能界で生き残る自信なんて無かったから、・・・最初はあったんだよ、でもちょっとづつ自分のイメージと違っていくのを感じていたから、惨めになる前に逃げちゃえって感じでね・・・」
自嘲気味に話す矢口に対して、同じく自嘲気味に中澤が答えた。
「そうだね、私も惨めになりたくなかった、仕事がちょっとずつ減って行くのが怖かった。
芸能界にしがみついているって思われるのも怖かったな・・・だから裸になるのも断った、所詮一時的に話題になるだけで、惨めになるだけだと思って・・今カオリも同じような状況だと思うけど、どうするのかな。」
「もうやめよう裕ちゃん、今更言っても手遅れだよ。・・カオリの事は今度会うから、その時ちょっと聞いてみよう。」
「そうだね、今度みんなで集まる機会もあることだし、じゃあ今日は飲むか!!」
「おう、飲むぞ!」
35 :
名無し娘。:2001/05/19(土) 03:02 ID:HLt5H5XU
文章は別におかしくないと思いますよ。
ただ、一つ気になったのが中澤のセリフが標準語だったこと。
物語の内容から判断すると、中澤は関西弁を話すのが妥当でしょう。
36 :
いい年して。:2001/05/21(月) 00:13 ID:wyqn1DM2
どうもすみません、何となく読みにくいような気がしまして・・・ここには文章が上手い人が多いので。
第7章 福田明日香
「本気で言っているの・・・悪いけど興味無いから勘弁してくれない」
「そんな冷たい事言わないでよ福ちゃん・・たまには皆で・・」
「ふう、その福ちゃんって言うのもやめてくれない、みっともないのよ・・とにかく、もう電話してくるのもやめて、昔の事は思い出したくないの。もう私は歌は歌わないの」
「でも、あんなに歌う事が好きだったじゃない・・・」
「・・・そうね、たしかに歌う事は好きだったわ・・でも、芸能界で歌うのはもう沢山よ、・・・あなたみたいに可愛いだけの人が評価が高かったみたいだしね・・・もっともあなたの後に入った子のほうが評価は高かったかしら。」
「そんなことないよ、福ちゃんの歌は皆が認めていたよ、だからもう一度、お願い」
「もういい加減にして、私は全て忘れたいの。じゃあね・・ガチャ」
「あっ福ちゃん・・・・」
ツー・・・ツー・・・
「なっちには、ちょっと悪かったかな・・・でも、もう昔の福田明日香ではないの。」
一方的に電話を切った後、独り言のように福田明日香は呟いた。
37 :
いい年して。:2001/05/21(月) 00:15 ID:wyqn1DM2
すみません書き忘れましたけど、第1章は2ヶ月前という設定です。
なので、第1章は 2ヶ月前 飯田圭織です。
で、第8章は第1章の続きです。
第8章 2ヶ月前 飯田圭織その2
「・・・・・もしかしてこれが最後のテレビ出演なってしまうのかな、明日香や彩っぺみたいにいい所で辞めておけば良かったのかな、初めから私には芸能人なんか無理だったのかな・・・・もう嫌だよ、露出の激しい写真も取りたくない、落ちぶれたって思われるのも嫌だ、私何の為に芸能界に残ったの、これじゃ情けないだけだよ、うううっ・・・・・助けてみんな・・・」
一体何十分泣きつづけたのだろう、昔と今の違いと1人でも寂しさを感じるたびに涙があふれ出てくる。
しかし、泣くだけ泣いたら多少気も大分収まった。
本番まであと10分少々だ、今日が最後のテレビになるかもしれないけど、とにかく一生懸命がんばろう、私にはそれしか出来ないから。
それにしても、何故突然昔の事なんか思い出したんだろう、最近では少しも思い出さなかったのに何故?
スタジオに行こうと控え室のドアを開けようとするとまた考え込んでしまった。・・・・・・・
今それを考えるのは止めよう、とにかくスタジオに行こう。
気を取り直してドアを開けようとすると、突然ドアが開かれた。
ガチャ
「あっ飯田さん、びっくりしたあ、久しぶりです。」
そこには、懐かしい顏、辻希美の顔があった。
38 :
いい年して。:2001/05/21(月) 00:16 ID:wyqn1DM2
第8章 2ヶ月前 飯田圭織その3
「あっ、辻〜どうしたの突然」
久しぶりに見る辻の顔に戸惑いながら飯田が話しかける。
「あのですね、何か今日テレビに出てくれって、きくちさんに頼まれて・・・凄いしつこくて、それに、飯田さんも一緒だっていうから、今回だけって事でOKしたんですよ。へへへ」
「へえそうだったんだ、まあモーニング娘。の歌を再現するって言うんだから、私一人って事はさすがに無いと思っていたけどね。でも、辻も無理しなくて良かったんだよ、受験もあるんだから」
未だに辻が自分を慕ってくれている事を、嬉しく思いながら飯田は答えた。
「でも、飯田さんと私の他に誰が来るんでしょうね。正直私と飯田さんでラブマシーン歌えって言われてもね」
「うーんたしかにそうだね、でもスタジオに行けば・・って早く行かないとまずいよ、急ぐぞ辻!!」
「はい、急ぎましょう飯田さん」
元気に答える辻を見ると、5年前に戻ったような気分になってくる。飯田は、それがやけに嬉しかった。
メンバー同士の呼び方が違う気が…
時間の経過を考慮に入れてそうしてるんだったらスマソ。
チョイ気になったんで。
hozen
41 :
いい年して。:2001/05/24(木) 00:29 ID:qJrnNJOA
メンバー同士の呼び方についてですが、一応5年後を考慮しています。
下げてゆっくり進めるので、暇で死にそうな人がいたら読んでやって下さい。
それと、TV収録の仕方はよく知らないので結構適当です。
第8章 2ヶ月前 凋落その1
「おはようございまーす」
飯田と辻がスタジオに入ると直ぐに、駆け足で近寄ってくる女性がいた。
「飯田さん、お久しぶりです!!」
「あっ石川、ホント久しぶりだね。もしかして、石川も一緒に歌うの?」
よく考えて見れば、当然のことである。何しろまともに芸能活動しているのは後藤と石川だけなのだから、こういった企画があれば石川が呼ばれるのも当然であった。
「はい、そうです。それと後藤さんも来るみたいですよ。」
「じゃあ、これで4人ってわけね」
「4人?あっもしかして飯田さんの後ろにいる人って、ののちゃんなの?」
辻の顔を覗きこむように石川が聞くと、多少戸惑いながら辻が答えた。
「うん、石川さん久しぶり。」
「うん久しぶり、それにしても大人っぽくなったね。ののちゃんも、もう18歳位になるんだもんね」
「そんなことないよ、まだまだ子供だよ」
照れくさそうに辻が答える横で飯田は、また昔を思い出したのか潤んだ目で嬉しそうに2人を見ていた。
「でも、この4人で歌う事になるとパート割とか大変じゃないんですかね。私何も聞いてないんですよ。台本にも何も書いてないし・・」石川が不安そうに飯田に話しかける。
「そうだね、特になっちとか矢口のパートなんかどうするんだろう、振分け多いからね」
そんなことを話していると、ADらしき男性が話しかけてきた。
「おはようございます。今日の収録の件なんですが、色々ありまして連絡が当日になってしまいました。申し訳ありません。それでは、早速ですが、まず、・・・・」
42 :
いい年して。:2001/05/24(木) 00:32 ID:qJrnNJOA
第8章 2ヶ月前 凋落その2
ADによると、安倍の部分は全て飯田で、矢口の部分が辻、その他の部分を後藤、石川に振り分ける事のようだ。
「本当に、これで大丈夫何ですかね・・・はっきりいって自信無いですよ。」
辻が不安そうに飯田に話しかける。
「うーん確かにね、でもやるしかないでしょ。ほら辻も石川もそんな不安そうな顏していないで、頑張るよ!!」
辻と同じく不安げな石川に対して、かつてリーダーであった事を思い出したのか、飯田が激を飛ばした。
「・・はい飯田さん、石川も頑張ります!!」
久しぶりに聞く飯田の激を、懐かしく、また嬉しく思いながら石川は答えた。
「それにしても、後藤は遅いな・・」飯田が呟く。
飯田と辻がスタジオに入ってから既に30分が経過しているが一向に後藤はスタジオには入って来なかった。
更に5分ほどすると、先ほど説明にきたADが慌てながら近づいてきた。
「申し訳ありません、急遽、後藤さんの予定がつかなくなりまして・・・先延ばしするにも石川さんの予定も詰まっておりますので、今回はコメントだけという事でいかがでしょうか?」
ADの口から飯田にとって最悪の話がでてきた。
43 :
いい年して。:2001/05/24(木) 00:50 ID:V5rUvF7E
第8章 2ヶ月前 凋落その3
「えっでも・・・でも・・あの、3人でやらせてはもらえませんか?」
戸惑いながらも飯田が答える。何しろ、久しぶりのテレビ出演なのだ、簡単に承知は出来ない。
「いや、しかし」
「お願いします。どうしてもやりたいんです!!」
「・・・ではちょっと上の方に相談してからという事で・・」
ADが走り去っていった後、5分程して、小太りの責任者らしき男があらわれ飯田に説明をはじめた。
「いやいや、申し訳ありません皆さん。今回の事は私も楽しみにしていたんですが、後藤さんのスケジュールがちょっとずれてしまいましてね。ですから今回は皆さんのコメントだけという事でお願いしますよ」
「後藤がいなくてもできます。私がメインだって大丈夫ですからやらせて下さい。」
ここで、引くわけにはいかないとばかりに飯田は必死に答えた。
「いやいや、そんなに言われましてもね、あなたがメインでは番組てきに・・・」
「どういう意味ですか?」
「どういう意味って、そんな事言わせないで下さいよ。・・うーん、わかるでしょ、番組的にキツイって」
「ですから、何がキツイんですか?」
飯田もあきらめない。
「ふう、しょうがないな。・・・・つまりあなたがメインでは誰も見たがらないって事ですよ。わかります?当時メインだった後藤さんならともかく、元モーニング娘。ってだけじゃあね売りにならないの今更。悪いんだけど、あきらめて」
「!!」
うすうす感ずいてはいたが、ハッキリ言われるまでは認めないようにしていた事だった。
どうしても認めたくない事だった、それを言われてしまった以上飯田に返す言葉は無かった。
男はショックを受け立ちつくす飯田の横を抜け、今度は石川に話しかけた。
「いやいや、なんだか悪い雰囲気になっちゃったね。石川さんも本当に申し訳無いね、そのかわり今度うちのドラマにでも出演お願いします。いやこれは真面目な話ですよ、今人気急上昇ですから石川さんは。それでは、お願いします。」
それだけ言うと、男は足早に去っていた。
「・・・・・・・・あの、飯田さん」
気遣うように辻が話しかけるが、飯田から返事が返ってくることは無かった。
「・・・・・・・・・・」
俯きながらスタジオを出て行く飯田を追いかける事は辻にも石川にも出来なかった。
44 :
名無し娘。:2001/05/26(土) 08:35 ID:B/ns6KEg
h
読んでますよ。頑張ってください!
46 :
いい年して。:2001/05/27(日) 23:36 ID:m8P679mA
第9章 真実
「という訳なの・・・・」石川は、2ヶ月前の出来事を思いだし、目を潤ませながら吉澤に説明した。
「なるほどね、飯田さんにそんな事がね・・・・・それで、飯田さんはそれからどうしたの?」2ヶ月前に飯田に起こった出来事を聞き、心配になった吉澤は石川に聞きかえした。
「それが、・・・・あの後の飯田さんの所在がわからないの・・・事務所は自分から辞めたみたいだし、アパートにも居ないし、実家の方にも帰っていないみたいなの・・・」
「えっ2ヶ月も・・・まあ、あのプライドの高い飯田さんだし・・・よっぽどショックだったのかな」
「多分相当ショックだったと思う、だから何とか飯田さんを元気付けれればと思って、ののちゃんと2人で色々考えたの、それでモーニング娘。復活ライブを考えたんだけど誰も相手にしてくれなくて・・・・それで、ののちゃんの事を気に入っているきくちさんに相談したら、とりあえず元モーニング娘。を全員集めたら考えてくれるって・・・だから・・・私どうしても何とかしてあげたくて、一杯お世話になったから飯田さんには・・」
確かにモーニング娘。に加入したての頃、なかなかメンバーに馴染めない石川のことを誰よりも心配し励ましてくれたのは飯田だった。
「うーん大体わかったよ、でもどうしてはじめから本当の事言わなかったの?話してくれれば皆何とかして集まってくれると思うけど。メンバーが全員集まれば、ライブが行えるって事なんでしょ。」なにか釈然としない表情で吉澤が石川を問い詰めた。
「だって、私が考えた事なんていったら皆相手にしてくれないと思ったから・・それに、他の人達が飯田さんの事をどれだけ心配してくれているかもわからなかったし・・つんくさんがいいだした事だって言えば何とかなると思ったの・・だからごめんなさい。」
47 :
名無し娘。:2001/05/28(月) 21:30 ID:9WvzojOM
hozen
48 :
いい年して。:2001/05/29(火) 23:54 ID:Ee9Q6lMM
保全ありがとうございます。
第9章 真実その2
「全く相変わらずだね梨華ちゃんは、悪い方にばかり考えるんだから。解散コンサートでの事覚えていないの?あの時皆で約束したでしょ、解散してもずっと仲間だって、進む道はそれぞれだけど、困った時は皆で助け合うって・・・・私はよく覚えているよ。」
昔と変わらない石川を懐かしく又、多少苛立ちながら吉澤は話した。
「私も覚えているよ・・けど私じゃ駄目かなって思って・・・」
「あ〜もう!梨華ちゃんの何処が駄目なの!?少なくとも私は仲間だと思っているよ。梨華ちゃんはどうなの?私の事仲間だって思ってくれてないの!?」
興奮した吉澤はいつのまにか大声になっていた。
「そんな事無いよ・・・私だって仲間だって思っているよ。でも・・私卑怯だから、本当の私の事知ったら、よっしーだって私の事嫌いになるよ。」
「はっ?・・卑怯ってどう言う事?」
吉澤が聞き返す。
「・・・・あのね、・・今度主役させてもらうドラマって・・・2ヶ月前に飯田さんに色々言った人がプロデューサ−なの・・・・・・可笑しいよね、表向きは飯田さんの事が心配だとか、いい子ぶっているのに・・・裏では、飯田さんを傷つけた張本人と平気で仕事しているなんて・・・結局私は口先だけなの、いい子ぶっているだけなの。本当に飯田さんの事を大切な人だって思っているだったら、この仕事だって断れたはずなの。だから私は皆の仲間なんかじゃ無いの、自分のことしか考えていないの・・・だから私は・・」
「もうやめて!!」
石川の言葉を遮るように吉澤が大声で言った。
「どうして梨華ちゃんは、そんな風にしか考えられないの?せっかくのチャンスなんだから当たり前でしょ!!」
「でもそれでも、・・私は・・・・」
呪文のように同じ事を繰り返す石川には、何を言っても聞きそうに無いように思えた。
「ふう」
一つため息をついた後、吉澤は、俯きながら話す石川の顔を掴み、顔を近づけて話しかけた。
「ねえ梨華ちゃん、よく聞いて」
「えっ・・」
突然顔を近づかれて驚く石川に向かって、吉澤は話を続けた。
49 :
いい年して。:2001/05/29(火) 23:57 ID:Ee9Q6lMM
第9章 真実その3
「私はね、梨華ちゃんのそんな所を全部含めて好きだし、仲間だと思っているよ。いい所も悪い所も全部含めて好きになれないような人の事を、私は絶対に仲間なんて言ったりしない。それは、私だけでは無くて皆が思っている事だと思う」
「でも・・・」
「大丈夫!!もしも皆が梨華ちゃんの事仲間だと思っていないとしても、私だけは絶対に仲間だから。・・・それだけじゃ嫌?」
「・・・・・・嫌じゃないよ・・・」
「えっ何聞こえないよ?」
小声で答える石川に向かって吉澤は聞き返した。
「・・・・・ありがとう、よっしー・・」目に涙を一杯に溜めながら石川は答えた。
「よし!!じゃあ早速、はじめるか!」
やっと笑顔を見せた石川に向かって吉澤は元気付けるように言った。
「はじめるって何を?」
「決まっているでしょ、復活ライブの為の準備をするのよ。まずは、皆に本当に理由を話さないとね!」
50 :
名無し娘。:2001/05/31(木) 00:54 ID:HvG/hxp2
hoz
51 :
いい年して。:2001/05/31(木) 23:58 ID:JlMIqIoM
頭が混乱してきたので、この小説の人物設定を書いときます。
それともう1つ、本文で年齢設定が致命的におかしいところがありますが、気にしないで下さい。書き始めてから気がついたので。
安倍なつみ・・・・解散後、芸能界を引退、その1年後結婚
後藤真希・・・・・ソロでそれなりには頑張っているが、最近は歌よりドラマ中心。
飯田圭織・・・・・結局ソロデビューはせずに、現在ではグラビア中心に活動。
矢口真里・・・・・バラエティーで大活躍するも、徐々にその座を奪われて行き、解散後 3年で引退。現在主婦。
保田圭・・・・・・わずか半年で引退。その1年後市井紗耶香の誘いでユニットを組み、 活動。
吉澤ひとみ・・・・ソロデビュー曲以後ヒットが出ず、解散後2年で引退、現在は家事手 伝い。
石川梨華・・・・・女優として現在も活躍中。
辻希美・・・・・・加護とユニットを組むが高校受験を機に引退。現在高校生。
加護亜依・・・・・同じく引退し、奈良の高校に通う。
中澤裕子・・・・・娘。脱退後徐々に仕事が減って行き、最終的に裸の話を断ったことか ら、引退。現在は主婦。
市井紗耶香・・・・娘。脱退後3年間海外に行き、帰ってくると同時に、保田とユニット を組む。
石黒彩・・・・・・現在2児の母。
福田明日香・・・・フリーターとして自堕落な生活を送る。
52 :
いい年して。:2001/06/02(土) 01:08 ID:Uk04w7Bg
第10章 夢
いい夢を見ている、懐かしくて、虚しい夢。
満員の観客、熱狂的な声援そして傍には大切な仲間・・・・
その中に私が居る、私の居場所が確かに有る。
・・・・・・・・遠くから話し声が聞こえる・・・現実の声だ。
もう少し、夢の中に居させて欲しい。目が覚めれば、何でも無い自分が居るだけだから・・・朝起きて寝るだけの生活。希望も変化も無い生活。
現実世界の夢からは完全に覚めてしまった・・・・・。
「・・・・はいはい、とにかく私は行かないから!じゃあね・・・ピッ・・・まったくなっちもしつこいな・・・・」
復活ライブの出演を拒否している福田に対し毎日のように安倍から催促の電話が掛かってきていた。
「・・・またなっちから連絡があったの?」
ソファーに横たわりながら飯田が言った。
「あっカオリ起きていたの?っていうか起こしちゃった?」
「あっ・・・別にいいよ、もう9時だし。そろそろおきないとね。」
テレビ局での一件後、事務所を一方的に辞め途方に暮れている飯田を福田が見かけたのは、一ヶ月前の事だった。別人のように痩せて、病人のように変わり果てた飯田の姿には昔の面影は無くなっていた。心配した福田は元気が出るまでと言う事で飯田をアパートに泊め世話をしていた。
「とりあえず、バイトでもはじめなきゃね・・・・ いつまでも明日香の世話になっているわけにもいかないから・・・」
保全
54 :
名無し:2001/06/06(水) 09:42 ID:MIOBxHpY
更新楽しみにしています
55 :
いい年して。:2001/06/06(水) 21:24 ID:.XQ/N9Qk
すみません。
新メン追加の話聞いてから何となくやる気なくなってきて・・・
新曲もまだまだ先だし・・・・そんなに娘。をジャニーズにしたいのかな・・・
56 :
いい年して。:2001/06/07(木) 00:29 ID:z3C1IozM
第10章 夢その2
「無理しなくてもいいよ、まだ顔色悪いし・・それに私もずっと1人暮らしで退屈していたから、かおりが来てちょっとだけ楽しくなったよ。」
高校を中退してから福田は家を飛び出し、勘当同然といった形で1人暮らしをしていた。
もっとも学業に専念したいという理由で娘。を脱退したのだ、それを中退では親が怒るのもわかる。しかし一度スポットライトを浴びてしまった福田にとって退屈な高校生活は耐えがたい苦痛であった。
「じゃあ、私はそろそろバイトに行ってくるね。それとお昼は作っといたから。」
そう言うと、福田は足早にアパートから出掛けていった。
飯田が福田のアパートに転がり込んでからもう一ヶ月になる。その間、こうして福田を送り出して帰りを待つだけの生活が続いている。
もちろん、時々外食する事はあるが、それは稀な事であり、実質的には一日中アパートにいた。
「これからどうしよう・・・・・」
1人ぼっちの部屋に飯田の呟きだけが虚しく響いていた。
57 :
いい年して。:2001/06/07(木) 00:31 ID:z3C1IozM
第11章 集合
「・・・・じゃあ中澤さん、そんな訳ですので、詳しい事は又連絡します。それと矢口さんにも連絡しておいてくださいね。それじゃあ・・ピッ・・・・よし!これで後は飯田さんと福田さんだけですね!」
吉澤ひとみは、保田圭のアパートで元娘。のメンバーに再度ライブについて連絡していた。
「うーん・・でもその2人が問題なんだけどね・・・かおりなんか何処にいるのかもわからないし・・・・」
保田圭は、心配そうに吉澤ひとみに話し掛けた。
「そうですね、まあ福田さんは安倍さんにまかせるとして、問題はやはり飯田さんですね。」
「そうだね、明日香はなっちに任せるとして、かおりの事だね・・・・出てくれるかどうか以前の問題だからね・・・変な事考えていなければいいけど・・・」
吉澤から飯田のことを聞いた保田は、吉澤と一緒にメンバーに連絡をしていたが、どうしても飯田の行方が付きとめられなかった。
「変な事って、大丈夫ですよ・・・きっと・・・とりあえず市井さんからの連絡を待ちましょう。何か心辺りがあるって言ってましたし。」
「そうだな、こっちは当日の準備に移ろうか。後藤も少ししたら仕事終わるって言っていたから、そしたら、一緒につんくさんの所に相談にいこうか」
58 :
いい年して。:2001/06/07(木) 23:02 ID:JFOJM1Y2
第11章 集合その2
ピンポーン、ピンポーン・・・・
ガン!ガン!ガン!ガン!
「も〜しもーし、郵便でーっす・・・・郵便でーす」
ソファーで深い眠りについていた飯田は、当初郵便局員を無視するつもりだった。
しかし、一分おきに呼び鈴を鳴らす郵便局員に、文句の一つも言ってやろうと、まだ重い体をソファーから起こし、扉を開けた。
ガチャ
扉の外に居たのは、郵便局員では無く、よく見覚えのある女性、市井紗耶香だった。
「よっ!!郵便でーす。って・・・やっぱりここにいたのね。」
「紗耶香!・・・・どうしてここがわかったの・・・」
驚きを隠せない表情で飯田が呟く。
「何となくね、で、ちょっと中に入れて欲しいんだけどだめかな?」
「うん・・・まあ私のアパートじゃ無いんだけど、あがって・・・」
「ありがと、じゃあ遠慮無く。おじゃまします」
そう言って市井は部屋に入っていった。
「まあ立ち話も何だから、とりあえず座ってよ・・って私が言う事じゃないか」
市井は、部屋にあがった市井の事を、ボーっと見ている飯田に向かって話しかけた。
「あっゴメン・・紗耶香に会うのも久しぶりだから・・・・・紗耶香もその辺座って」
59 :
いい年して。:2001/06/07(木) 23:05 ID:JFOJM1Y2
第11章 集合その3
「で、紗耶香・・・何か用があって来たんだよね・・」
先ほどまで飯田が眠っていたソファーに腰を掛け寛いでいる市井に向かって飯田が話しかけた。
「えっ別に、久しぶりにかおりと明日香に会おうと思って来ただけだけど。」
とぼけたような表情で市井が答える。
「嘘言わないで紗耶香・・・聞いたんでしょ私のこと・・・見っとも無い奴だって思っているんでしょ・・・」
「言っている意味が良くわかんないんだけど・・・只遊びに来ただけだよ。まあとりあえず、明日香が帰って来たら、皆で飲みにでも行こうね。じゃあ私は帰って来るまで寝ているよ、おやすみ・・・」
そう言うと市井は、ソファーに横たわって眠ってしまった。
60 :
名無し娘。:2001/06/08(金) 00:56 ID:bkSpOdfk
ひっそりと応援&続き期待sage
急かすつもりではないですが、早くメンバーが
集うところが見たい、そう思わされますね。
これからも、ご自分のペースで頑張ってください。
61 :
はんぺら:2001/06/08(金) 10:23 ID:mZUF5qKU
俺もひっそり応援sage
保全sage
63 :
いい年して。:2001/06/09(土) 20:50 ID:W/zgEb2I
メンバーが集うには、まだまだ時間がかかると思います。
それでは、ひっそりと更新sage。
64 :
いい年して。:2001/06/09(土) 20:51 ID:W/zgEb2I
第11章 集合その4
「ん・・・あれ、何か良い匂い。」
ソファーで眠っていた市井は、匂いにつられて目を覚まし、匂いの先を確かめるため体を起こした。
「あれ、紗耶香起きてたの?」
市井が体を起こしたのとほぼ同時に、飯田が食事を運んできた。
「・・・・うん、たった今起きた所、で今何時」
眠い目を擦りながら市井が質問した。たしかここに来たのは4時ごろだったけど。
「今9時だよ、紗耶香ったら5時間も寝ているんだもん。それで、明日香は遅くなるって連絡があったから、とりあえず夕飯作ったんだけど食べる?」
「明日香は帰りが遅いんだ、じゃあとりあえず頂こうかな、お腹減っているし」
「じゃあ紗耶香は、お茶入れてくれる。私は食事の準備しているから」
そう言うと、飯田は食事の準備を再開した。
程なくして食事の準備が終わり、2人で飯田が作った食事を食べ始めた。
食事を食べ終えると、市井は再びソファーに横たわった。
「ふー、お腹一杯・・・最近カップ麺ばかりだったから、かおりの作った物が美味しく感じるよ」
「そんな事言いながら、御代わりまでするんだから・・太るよ紗耶香」
「大丈夫大丈夫、何せ普段はろくな物食べていないんだから」
「食事ぐらい、ちょんとした方が良いよ、顔色悪い私に言われたくないと思うけど・・」
「うーん・・・でもお金無いしね。何せ売れないから。いい加減メジャーになりたいんだけどね」
笑顔で話す市井には、こんな話でも悲壮感が感じられない。
65 :
いい年して。:2001/06/09(土) 20:52 ID:W/zgEb2I
第11章 集合その5
「ねえ紗耶香・・・もう辞めたら・・・」
「えっ辞めるって何を?」
「芸能界よ、このまま続けていても、きっと苦しくなるだけだよ。だから今の内に・・・」
心苦しそうに話す飯田に向かって、市井が言葉を返した。
「苦しいって、私は自分が好きな事をやっているだけだよ、それの何が苦しいの?」
「・・それはそうだけど・・・・・・でも・・・」
言葉に詰まった飯田の事を市井は優しく見つめていた。
「じゃあ私そろそろ帰るよ。明日香も遅いみたいだし、また遊びに来るよ。」
突然ソファーから飛び起きた市井は、帰り支度をしながら話した。
「えっ帰るの?」
名残惜しそうに言う飯田の横を抜け、市井は靴を履き始めた。
「うん、帰って曲も考えなきゃならないしね。」
そう言って、玄関の扉を開けようとした時に、思い出したように市井が話した。
「あっそれとね、かおりはどうして芸能人になったんだっけ?」
「えっ・・・・えーと・・・それは歌が歌いたかったからだよ・・確か」
唐突な質問に戸惑いながら飯田は答えた。
「そう、最近は歌を歌っているようには見えなかったけど・・・じゃあまたね」
ガチャ・・・
それだけ言うと市井は帰っていった。
66 :
いい年して。:2001/06/10(日) 01:08 ID:0xq9Kp6Q
第11章 集合その6
「で、話って何?ライブの件なら何度も断っている筈だよ。」
福田明日香は、不機嫌そうに呟いた。
「まあまあ今日は、なっちの奢りだからまだまだ食べてね、ファミレスだけど。」
諭すように安倍なつみが答える。
福田のバイト先に突然安倍が尋ねてきた時には流石に驚いた。何しろ、安倍は北海道に住んでいるのだから。
それで、バイトが終わるのを待ってもらい、2人でファミリーレストランで夕食を食べる事となった。
「それにしても、よく東京まで来たね・・・子供はどうしているの?」
「子供は実家に預けてきたから平気だよ、それに結婚してから一度も北海道から出ていなかったから、たまには羽根を伸ばしたくて」
「ふーんまあいいけど」
「それで話なんだけど、しつこい事はよくわかっているの、でもどうしても福ちゃんにはライブに参加して欲しいの。お願い!」
「・・・悪いけど、本当に勘弁して」
珍しく真剣な表情をする安倍に戸惑いながらも、福田はきっぱりと否定した。
「どうして、どうしてそんなに嫌がるの!?福ちゃんの歌聞きたいよ・・・」
「・・・何度も言っているけど、あの頃の私とは違うの、娘。を脱退してまで入った高校辞めて、家も飛び出して、その日暮のフリーターで適当に生きている私に人を感動させるような歌なんて歌えない・・・」
「そんな事無いって、大丈夫だよ福ちゃんなら・・・」
「とにかく無理よ、話はそれだけね。じゃあ」
そう言うと、福田は千円札一枚をテーブルに置いて、席を立った。
67 :
いい年して。:2001/06/10(日) 01:10 ID:0xq9Kp6Q
第11章 集合その7
「待って!!!」
店から出て、家路に急ぐ福田の後ろから突然大声が聞こえた。
大声の主は安倍だと言う事はわかっているが、福田は振り向こうとはしない。
・・・私はもう歌えない、わかってなっち。・・・
無視して足を速める福田の後方からもう一度大声が響いた。
「私は、福ちゃんの歌の大ファンだよ〜〜〜!!他のどんな歌手より福ちゃんの歌が好き!!ずっと私の目標だった!!!ライブの日が決まったら必ず連絡するから、絶対に来てね!!!〜〜〜」
何故か福田は涙を流していた。嬉しさと、今の自分の不甲斐なさが入り混じったような感覚だった。
・・・ごめんなさい、なっち・・・・
アパートに着くまで、涙が止まる事は無かった。
68 :
いい年して。:2001/06/10(日) 01:12 ID:0xq9Kp6Q
第12章 集合その8
「はいOKです!!」
大きな声がスタジオに響く。
「おつかれさまでした。・・あっ、つんくさん。」
歌番組の収録が終わり安堵している後藤真希の前に、プロデューサーのつんくが現れた。
「おう、今日はなかなか良かったな。ようやく大人の歌も歌えるって感じやな」
「いやいや、まだまだですよ。」
謙遜するように後藤が答える。
「それで、例のライブの話なんやけどな、たった今保田が電話で詳しい説明してきたけど、まあ後藤の新曲も1曲歌うって条件でOKしといたぞ。」
「別に、私は新曲をそこで歌う必要な無いと思うけど、まあ宣伝しなくちゃマズイですしね。」
このところドラマ中心の仕事をしてきたおかげで、1年ぶりの新曲という事もあり、後藤もさすがに宣伝に気を使っている。このままだと、歌手と言う事を世間に忘れられそうな気がして。
「それでな、保田が今から直接会って、もう一度打ち合わせしたいって事なんやけど、後藤も来るんやろ?きくちさんも来るって話やし」
「はい、今日は一応仕事は終わりなんで、一緒に行く約束してました。」
「それじゃあ、一緒に行くか。」
69 :
いい年して。:2001/06/11(月) 22:41 ID:884DRoO2
第11章 集合その9
「おお、久しぶりやな、保田に吉澤に、それに辻まで。」
つんくは、久しぶりに見る娘。のメンバーに多少興奮しながら話した。
「はい、久しぶりです。つんくさんも元気そうで」
4人を代表したように保田が答える。
「まあ、元気は元気やけども、最近はどうも景気良くなくてな。こんな事言いたくないけど、今回の企画は、後藤の宣伝も兼ねさせてもらうで」
そう言って後藤の方を見るつんくに向かって保田が答えを返した。
「全然平気ですよ、私も宣伝を兼ねているのでお互い様ですよ。」
「そうか、ならいいんやけどな。」
娘。解散と同時期にハロープロジェクトも実質的に解散したような形になり、現在つんくがプロデュースしているのは後藤だけになっている。それを考えると、こんな考え方も仕方が無い様に保田は感じた。
「で、早速本題に移るけど、さっき保田に聞いた話やと、飯田と福田以外は全員参加できる事が決まったって事でいいんやな?」
「はい、とりあえずそんな事になっています。でも、全員集まらないと話は進まないんですよね。」
「ちょっといいですか?」
不安そうに話す保田に向かって、辻が手を上げて話し始めた。
「えっとですね、さっききくちさん電話があって今日来れないけど伝言頼むって事なんですけど・・・何でしたっけ、懐かしの名曲何とかって番組でコメントしたじゃないですか私と石川さんが、そしたら次の日に、今のメンバーが見たいって反響が結構あったらしくて、深夜枠か何かで企画が進んでいるみたいなんです。」
「そうなの?」
「はい、だから全員を必ず集める必要は無いみたいですよ。」
70 :
いい年して。:2001/06/11(月) 22:45 ID:884DRoO2
第11章 集合その10
「ほう、それは良かったやないか。福田と飯田がいなくても大丈夫って事やな。じゃあ後の事は俺ときくちさんで何とか決めるわ。」
ほっとしたような表情でつんくが話すが、他の4人の表情は優れない。
「おいおい・・・どうしたんや、もっと喜んだらどうや?」
気まずそうに話すつんくに向かって吉澤が言葉を返す。
「つんくさん。今回の件は飯田さんがいなければ意味が無いんです。」
「おまえ、そんな事言うてもな。企画はもう進んでいるやで・・・。今更意味無いからやらんちゅう訳にはいかんやろ」
つんくの言う事もわかる。しかし、今回の件はどうしても飯田がいなければ意味が無いと、つんく以外の誰もが感じていた。
「・・・とにかく、詳しい事はまた連絡するから。とりあえず今日はこの辺でな。じゃあ」
ガチャ
気まずい空気を察してか、つんくは早々と話を切り上げ、帰っていった。
「・・・・・・・・」
つんくが帰った後も誰も席を立とうとせずに考え込んでいた。
「・・・とりあえず帰るか。後藤も遊びに来なよ、紗耶香も来ると思うし、今日は仕事終わりなんでしょ」
沈黙を破る様に保田が言うと、後藤もそれに答えた。
「うん、そうだね。このメンバーが揃うのも結構珍しいから。」
保全。
72 :
いい年して。:2001/06/13(水) 22:05 ID:D0njXjOU
第11章 集合その11
「あれ、カギが開いている・・・もしかして紗耶香が来ているのかな?」
つんくとの打合せの後、後藤、吉澤、辻と一緒にアパートに帰ってきた保田は、玄関のカギが開いているのに気がついた。
「紗耶香、来ているのね」
いつもの事だと思い、扉を開けると中にいるのは、市井だけでは無かった。
「なっち、それに彩っぺもどうしたの?」
「あ、圭ちゃんお邪魔しているよ。」
多少の戸惑いをみせる保田に向かって、安倍が笑顔で答えた。
その横で、市井と石黒も手を振っている。
「彩っぺはともかく、なっちはどうしたの?」
時々はこのアパートを訪れる石黒と違い、安倍に会うのは本当に久しぶりだった。
「うん、ちょっと羽根伸ばそうと思って彩っぺの家に泊まりに来たの。それで折角だから皆に会いたいと思って紗耶香に電話したら、ここに居るっていうから」
「ふーん、まあ丁度良かったよ、電話する手間も省けたし」
73 :
いい年して。:2001/06/13(水) 22:07 ID:D0njXjOU
第11章 集合その12
「成る程・・・話は進んだような変わっていないような感じだね。」
先ほどの、つんくとのやり取りを保田から聞いた石黒が答えた。
「はい、そうなんですよね。何だかつんくさんは今回の趣旨をよくわかっていないみたいだし」吉澤が、はじめて会う石黒に多少恐縮した様に答えを返した。
「そういえば紗耶香、かおりの事で何か心当たりがあるって言っていたみたいだけど、どうだったの?」
保田が質問をすると、しばらくの沈黙の後に、市井が答える。
「その事だけど、私は無理に明日香やかおりを復帰させる必要は無いと思う。」
「紗耶香、それはどうゆう意味なの?」
怪訝そうに言葉を返す保田に、いきなり場が緊張し出したが市井は構わずに話を続けた。
「どうゆう意味も無いよ、私は本音を言っているだけだよ。かおりはああ見えて神経が細いから、芸能界で残っていくのは苦しいと思う。それに明日香もだけど、本人にその気が無ければ、どうしようも無いからね。」
「たしかにそうだけど、でも・・・」
苦しげに答えようとする保田だったが、いい答えなど浮かぶはずは無かった。市井の言っている事はもっともである。
「じゃあ、私は帰るよ。話はそれだけだし。」
そう言って立ちあがろうとする市井に向かって後藤が言った。
「市井ちゃん、それは違うよ・・・」
74 :
いい年して。:2001/06/13(水) 22:09 ID:D0njXjOU
第11章 集合その13
「違うって何が?」
一旦立ち上がろうとした市井が、座りなおしながら言った。
「上手く言えないけど・・・市井ちゃんの考えは違うと思う。確かに、かおりは落ちこみ易いし芸能界には向いていないかもしれない。でも、やる気は誰よりもあったと思う。だから今回の事で落ちこんでいるんだよ。それに私は、辞めて欲しくない。だって寂しいよ、皆どんどん辞めちゃうんだもん・・・辞めて欲しくないよ・・・何とかして立ち直らせたいよ・・・」
かすれた声で、俯きながら話す後藤はまるで泣いているかのように見えた。
「わかった、わかった泣くな後藤、そんな風に言われたら私が悪人みたいじゃない。ったく、しょうがないな。・・・皆もそんな目で見ないでよ。」
周りの視線に気がついたのか、弁解する様に市井が言った。
「別に・・・泣いてなんかいないよ・・・」
強がる後藤の姿をみて、更に周りの視線が厳しくなったように感じた市井は、やれやれといった感じで話し始めた。
「ふう・・・でもね、明日香はともかく、今のかおりの状態でライブはキツイと思うよ」
「え、今の状態って、市井さんは、飯田さんに会ったんですか!?」
つんくとの打ち合わせ後、一言も言葉を発していなかった辻が、市井を睨み付けるように言った。
保全。がんばってね。
76 :
いい年して。:2001/06/15(金) 21:27 ID:sBQbnu32
第11章 集合その14
「ちょっと、そんな怖い顔で見ないで辻」
日頃、おっとりとした表情しかしない辻の睨み付けるような視線に市井は驚いていた。
「あっすみません。」
謝りながらも、辻の表情が和らぐ事は無かった。
「もう本当に悪人みたいになっちゃったな・・・。で、かおりの事だけど、今かおりは明日香のアパートにいるよ。」
「それで様子はどうでしたか?元気でしたか?これからどうするって言ってました?それから、それから」
「そんなに一度に言われてもわからないよ。」
睨み付けるような表情で問い詰める辻に、市井は戸惑っている。
「気持ちはわかるけど落ちつきなさい辻。」
動揺する辻の肩に手を置き、気持ちを落ち着かせる様に安倍が言った。
「あっすみません・・・つい。」
そう言うと辻は俯いたまま何も言わなくなってしまった。
「じゃあ話を続けて紗耶香。」
辻の肩に手を置いたまま安倍が言った。
「あ、うん。かおりの状態だけど、とりあえず無事には無事だけど、相当まいっている感じだったね。それに、」
ピピピピピピ
その時、市井の話を遮るように、誰かの携帯電話が鳴り始めた。
「あっ私だ。」
そう言って保田が携帯電話で話し始めた。
「もしもし、・・・はい、・・・はい・・・わかりました。じゃあ1週間後ですね。じゃあ。」
電話を終え、周りを見渡す様にした後、保田が言った。
「今、つんくさんから電話があって、ライブは1週間後だって」
77 :
いい年して。:2001/06/15(金) 21:28 ID:sBQbnu32
第11章 集合その15
「さっきの続きだけど、紗耶香は実際のところ、どう思っているの?」
保田のアパートからの帰り道、安倍、市井、石黒の3人は、つんくからの連絡で有耶無耶になってしまった飯田の件について話していた。
「どう思っているって?」
「さっき何か言いかけていたでしょ」
興味深そうに言う石黒に対し、市井はあまり気が進まなそうに話した。
「かおりに歌を歌わせる事自体は、すごくいい事だと思う。でもね、まだその段階じゃ無いと思うんだな私は。」
「段階じゃ無いって、まだ早いって事?」
割って入る様に今度は安倍が質問する。
「実際会った感想を言わせてもらうと、今のかおりは目が死んでいたと思うな、それに解散してから、かおりは、ずっと歌っていないんだよ。突然歌えって言われても上手くいく訳ないよ。もっと時間掛けないと、更に状況が悪化すると思う。後藤には、わからないと思うけどね。」
「そうかもね、後藤はやっぱり特別だから。私達とは違う何かを持っているよね。決して努力では手に入らないものを、芸能人にとって一番大事なものを・・・かおりもそれがよくわかっているんだろうね。自分にはそれが無いって、だから余計・・・」
遠くを見る様に石黒が言う。
「でもやっぱり紗耶香は、かおりの事をちゃんと心配していたのね。」
からかう様に安倍が言うと、市井は横を向いてしまった。
「まあね、仲間だから。駄目になって欲しいなんて思うわけないじゃん。・・・じゃあ私はこっちだから。またね、彩っぺ、なっち。」
そう言って軽く手を上げて、横を向いたまま市井は帰っていった。
石川のドラマ化…見てみたいな
でも現実にはなって欲しいくない
79 :
いい年して。:2001/06/18(月) 00:45 ID:rp98RcZ6
第11章 集合その16
「それと話は変わるんだけど、なっち、明日香はどうだった?」
小さくなっていく市井を見送りながら石黒は言った。
「一応今日会って話してみたけど、よくわからない・・・もしかして私余計なことしているのかな?福ちゃんは本当に昔の事を忘れたがっているのかもしれない。」
俯きながら安倍が返す。
「えらく弱気だね、今朝突然東京に来るって言っていた時の勢いはどうしたの?」
「そうだけど・・・ちょっと自信無くなっちゃった。」
「まあ、明日香が実際のところ復帰したがっているかどうかなんて本人にしかわからないしね。とりあえず、今度は私が行ってみるよ。かおりにも会いたいし。」
「そうしてくれると助かるよ、私はしつこくし過ぎて、これ以上会いに行くのは気が引けるから・・・」
「わかった、任せておいて、そのかわり子供の世話頼んだよ!」
80 :
いい年して。:2001/06/18(月) 00:47 ID:rp98RcZ6
第11章 集合その17
東京は空気が悪いな。それに相変わらず、どっちに行けば駅から出られるかわからんし。
新宿駅のホームに降り立った加護は、久しぶりに訪れる東京に戸惑っていた。
「えーと確か、ののは西口で待っているとか言ってたな。」
やっとの事で改札から出た加護に待ち構えていた辻が抱き着いてきた。
「あー亜依ちゃん久しぶり!よく来てくれたね。」
「おお、久しぶりやなのの、とりあえず離してくれんか?流石にいい年して恥ずかしいから」照れる様に加護が言うが、辻はお構いなしに抱きつきつづけていた。
「そんな、照れなくってもいいじゃない。折角久しぶりに会えたんだから」
高校受験を理由に2人が芸能界を引退して早3年、その間2人が実際に会ったのは、辻が加護の実家に遊びに行った一回きりであった。
「じゃあ、とりあえずどうする?」
やっと、加護に抱きつくのを止めた辻が言った。
「そうやな、久しぶりに東京見物もしたいところやけど、まずは荷物を置きたいから、ののの家に行こう。」
「そうだね、じゃあ行こうか」
81 :
いい年して。:2001/06/20(水) 01:19 ID:S4QpON1I
何となく切なくなってきたので、10人祭りだけは買うことにします。
関係無いですね、それでは更新です。
82 :
いい年して。:2001/06/20(水) 01:20 ID:S4QpON1I
第11章 集合その18
「ふう、流石に疲れたな・・・」
辻のベットに横たわりながら加護は言った。
「ご苦労様です。亜依ちゃん。」
「ご苦労もご苦労や、昨日電話で今日来いって・・・まあもう直ぐ夏休みやから、いいけど。で、ライブは5日後なんやろ、こんな急で客が集まるのか?」
加護の疑問も当然である。常識的に考えて宣伝期間が短過ぎる。
「その事なんだけど、突然ライブを行うって事自体が企画みたいなの。一応今日から後藤さんや、つんくさんでテレビに出て宣伝しているみたいだけど、どれだけ人が集まるか想像できないよ。」
「うーん、それでもテレビとかで宣伝しているんやったら、そこそこは集まるんちゃうかな?何だかんだで言っても、娘。は知名度は結構あったからな。」
「そうかもね、でも飯田さんの問題はまだ解決していないし・・・どうなっちゃうんだろう。」
83 :
いい年して。:2001/06/20(水) 01:21 ID:S4QpON1I
第11章 集合その19
「せやから、もう一度頑張って」
「・・・無理よ、もう恥ずかしい思いはしたくないの・・・」
「そんな事無いよ、頑張れば何とかなるって。」
昨日石黒からライブの連絡を受けた中澤と矢口は、朝一番で東京を訪れ、石黒とともに福田と飯田の説得をするために福田のアパートに来ていた。が、もう2時間以上も同じ話の繰り返しになっている。
中澤と矢口はともに必死の説得をしていたが、何を言っても飯田の答えは「無理」だけであり、また福田は何も答えないでいた。
「ふう、もう一度話戻すで、せっかく皆で集まったんや、あと1回だけ頑張ってな。」
「そうだよ、裕ちゃんの言うとおりだよ。ね、だからもう一度騙されたと思って・・・ね」
飯田を諭す中澤に同意するように矢口は言った。
「絶対無理よ、あと1回騙されたつもりでって、もう嫌なの!それに・・・さっきから偉そうに言うけど、裕ちゃんや矢口だって芸能界を逃げ出したじゃない。みっともなくなる前に辞めたじゃない。2人に私の気持ちなんてわからないよ。お節介なのよ、もう帰ってよ!!」
「・・・ゴメンかおり、ただ私は心配で・・・」
「うるさい!!うるさい!!大きなお世話よ!!もう芸能界なんて嫌なの、それに、」
パンッ・・・
その時、2時間以上も腕組みをして、様子を見ていた石黒が突然飯田の頬を張った。
「いつまでも甘ったれているんじゃないわよ!!」
84 :
名無し娘。:2001/06/20(水) 03:25 ID:38yu9Qf6
出張ワッショイ!
85 :
いい年して。:2001/06/21(木) 00:52 ID:tNCUvERQ
第11章 集合その20
「なにするのよ彩っぺ・・・」
張られた頬を押さえながら飯田が言う。福田、中澤、矢口の3人は、唖然とした表情で、険しい表情で飯田に詰め寄る石黒をじっと見ているだけであった。
「なにするじゃないわよ!!一体何人の人間に心配掛けていると思っているの!!」
「そんなの・・・私には・・・関係無いわよ」
飯田が苦しまぎれに答えを返す。
「このっ!!」もう一度石黒が飯田を叩こうとするが今度は中澤が止めに入った。
「もう少し冷静に・・・な」
石黒を後から掴みながら中澤が諭すが、石黒の怒りは収まりそうに無い。
一方飯田も、頬を押さえながら石黒をじっと見据えている。
長い沈黙の後、石黒がゆっくりと話し始めた。
「昨日、私の家になっちを訪ねて石川って子から来たよ。」
突然、話が変わり戸惑う4人をよそに石黒はどこか遠くを見ているような目で話を続けた。
「石川が・・・」
戸惑いながらも、飯田だけは石川という名前に強く反応している。
「なっちに言ってたよ。「飯田さんを助けて下さい。お願いします。」ってね。何回も同じ事ばっかり・・・凄い真剣な目だったよ。そしたら今度は泣きだしてね、可愛い顔ぐちゃぐちゃにして。色々話すけど言っている事はさっぱりだし、この子おかしいのかなって思ったよ。・・・でもね、伝わってくるのよ、どれだけかおりの事を心配しているか、慕っているかって・・・そしたら何だか羨ましくなったよ、こんなにも真剣に思ってくれる後輩がいるって事をね・・・」
飯田は何も言わずにじっと石黒の話を聞いていた。嬉しいのか、それとも惨めに思っているのかは、飯田の表情から読み取る事は出来ない。
86 :
名無し娘。:2001/06/21(木) 15:25 ID:wHU0Sgm.
てうにちがレスつけてるって事は、この小説もクソ、ってことでいいの?
87 :
名無し娘。:2001/06/21(木) 16:11 ID:rLgxRV1A
86>そんな事書いて楽しい?
そんなんで更新されなくなると読んでる立場からすると迷惑なんだけど。
88 :
名無し娘。:2001/06/22(金) 00:58 ID:/InyJgMY
>作者
くだらん煽りは気にせずに続けてください
89 :
名無し娘。:2001/06/22(金) 03:20 ID:KhufBY/Y
ストーリー展開としては、有りがちだが…。
2chにしては、まともな方なので好感が持てる。
取り敢えず、頑張って。
90 :
名無し娘。:2001/06/22(金) 03:46 ID:CFenQ0sQ
91 :
名無し娘。:2001/06/22(金) 06:04 ID:bhzjYfIg
読んでてなんだか切なくなってきた。
続き、期待してます。
92 :
名無し娘。:2001/06/22(金) 16:32 ID:eGXZ1TnA
たまにはageてもらわんと。こんなスレあるの知らなかったよ。
93 :
いい年して。:2001/06/22(金) 22:52 ID:qZng9OdU
>88 2Chで書きこんでいる以上、批判とか煽りは当たり前なので別に気にしていません。
また、批判は参考にしたいと思っています。
それでは、更新です。
94 :
いい年して。:2001/06/22(金) 22:53 ID:qZng9OdU
第11章 集合その21
「それから、明日香。なっちがどうして芸能界を引退したか知っている?」
飯田の事をじっと見据えていた目を、突然福田のほうに向け石黒は言った。
「嫌になったからじゃないの?」
突然、質問を投げかけられても福田は動揺することなく答えた。
「ふーん、悪いけどそれじゃあ80点ね・・・わたしも昨日聞いたんだけどね。」
「何がいいたいの彩っぺ」
福田の表情が多少変化してきた。安倍の辞めた本当に理由など今まで考えた事もなかったが何故か興味を引かれる。
「じゃあ話すけど、解散寸前のなっちは重度の精神病だったのよ」
「!!・・・嘘でしょ・・・」
福田の表情は完全に変化し、動揺を隠せずにいた。
「ここからは、私が話すよ。」
今度は矢口が話に加わってきた。
「さて、どこから話せばいいかな。」
矢口は少し思案しながら周りを見渡した後に、話し始めた。
95 :
いい年して。:2001/06/22(金) 22:55 ID:qZng9OdU
第11章 集合その22
「なっちが精神的におかしくなってきたのは、何も辞める寸前って訳じゃなくて、何年も前からだったよ。まあ、その頃は普段の生活には余り支障が無かったみたいだけどね。表に出てきたのは、辞める1年くらい前、ちょうど祐ちゃんが辞めた頃かな・・・もうその頃にはテレビの収録が終わるたびに吐いていたよ、そうかと思えば異常に食べたり、突然泣いたり怒ったり・・・きっと色々あったんだと思う、でもなっちは頑張っていたよ、なるべく表に出さない様にしていた、私や祐ちゃんの前以外ではなかなか表に出さなかった。だから、他のメンバーは病気だって知らなかったの、軽いノイローゼ程度に思っていたみたい・・・」
ゆっくりと話す矢口の話を、福田はもう聞きたくなかった。
「どうして、私には話してくれなかったの・・・」
意を決した様に福田が言う。
「わかるでしょ明日香・・・」
矢口が冷たく言う。
福田にはもうとっくに答えは出ていた。一番はじめの原因は自分が辞めたことである事を。
96 :
名無し娘。:2001/06/23(土) 02:51 ID:xOaVrQT.
更新ありがとう! 保全sage
97 :
名無し:2001/06/23(土) 10:08 ID:d20mvPrU
飯田ヲタだからさ、嬉しいんだよね。
98 :
名無し娘。:2001/06/23(土) 19:25 ID:RErBfV4Q
>>97 でも飯田ヲタだと辛くない? 期待sage!
99 :
いい年して。:2001/06/24(日) 00:05 ID:ZAzQhNI2
飯田の扱いについて、気にいらない人もいると思いますが、
この小説にとって一番重要な役割なので勘弁してください。
それともう一つ、中澤と加護の関西弁はかなり適当です。
それでは、更新です。
第11章 集合その23
「・・・今は、もう大丈夫だよね」
心配そうに福田が言うと、今度は石黒が答えた。
「普通の生活をする分には問題無いみたいだけどね、それでもまだまだライブに出れるような状態じゃないと思うよ。昨日の夜も布団で震えていたよ、怖いってね・・・まあ、明日香には関係無い事でしょ。じゃあ裕ちゃん、矢口帰ろう。」
福田と目を合わさずに言うと、石黒は足早に去っていった。
「あっ待ってよ」
石黒の後ろに付いて行く様に矢口も帰っていった。
「じゃあな、明日香、かおり、後は自分で決めな、誰にも強制はできないからな。でもな・・・皆が2人の事を待ってる事、心配している事は覚えておいて欲しい・・・それだけは覚えておいて欲しい。」
絞り出すような声で言うと、中澤はチラシのような紙を1枚置いて去っていった。
「おーい待ってや2人とも」
先に福田のアパートを出て行った石黒、矢口の元に中澤が駆け寄ってきた。
「ハアッ・・ハアッ・・・流石に三十路過ぎると、走るのキツイな」
2人に追いついた中澤が息を切らしながら話していた。
「それで、ライブの予定表は渡してくれた?多分裕ちゃんだったら気をきかせてくれると思ったんだけど」石黒が質問すると、息を切らせたまま中澤が答えた。
「ああ・・大丈夫や・・・机に置いといた。後は、自分達の判断に任せる他はないわ」
「そうだね、でもあんな言い方で良かったのかな?思わず色々話しちゃったけど・・・」
矢口が先程の事を後悔する様に言う。
「まあ、仕方が無いね。と言うか私は本当に頭に来たんだけどね、あれじゃあなっちと、石川って子が可哀想だよ。」
「あの2人にも色々事情があるんやろ・・・とにかく後は2人を信じるしかないな。それより、私らも早いとこライブに向けて特訓しとこ、やるからにはちゃんとしたいからな」
第11章 集合その24
「じゃあ今のところもう1回!」
中澤の大きな声が響く。
復活ライブまであと3日と迫った今日、仕事の都合で来れない後藤、石川と連絡待ちの福田、飯田を除いたメンバーで自主的に簡単なリハーサルを行っている。
「なっち、遅れているよ!!」
中澤が大声で言う。どうも安倍の動きが悪い。
ここにいるメンバーで市井と保田以外は、芸能界を去って長いが、その中でも特に安倍の動きの悪さが目立っている。
「じゃあ、ちょっと休憩しようか」
少し気分を変えようと中澤が言うと、石黒が近づいてきた。
「裕ちゃん、ちょっといい?」
「ん、なんや?」
「なっちは、昨日も殆ど眠れていないのよ。やっぱりステージに立たせるのは無理があるんじゃないかな?」
「そうやな・・・ん、何か騒がしいな」
そういって中澤が振り向くと、倒れた安倍をメンバーが取り囲んでいた。
102 :
名無し娘。:2001/06/25(月) 04:22 ID:rkMV8UqQ
保全sage
第11章 集合その25
「で、どうだった裕ちゃん」
病院の待合室で待っていた石黒が、代表して医者と話をしていた中澤に聞く。
「ああ、ただの疲れらしい・・・2,3日寝ていれば大丈夫みたいや・・・」
「そう、良かった。」
安堵した石黒が周りを見渡して言う。今病院には、中澤、石黒の2人がいた。
その他のメンバーは、突然倒れた安倍に戸惑いながらもリハーサルを続けている。
「残ったメンバーはちゃんとやっているかな?」
「大丈夫でしょ、紗耶香に圭もいるし・・・正直そんな場合じゃないけどね」
中澤の問いに対し、石黒が答える。
「そうやな・・・もう中止でもいいかもしれん・・・」
頭を抱え込んで中澤が言うが、石黒からは何も答えは返ってこない。
何も言える状況では無かった、今回のライブの目的である飯田、福田の復帰もままならない状態で更に安倍まで倒れたとなれば、もうライブを行う必要は無いように思えた。
第11章 集合その26
あれっ、私何処にいるんだろう?
・・・何ボーっとしているの、なっち!
えっひょっとして福ちゃん?どうしたのその格好?
・・・何言っているの?今からコンサートでしょ。だからこんな格好しているんじゃない、じゃあ行くよ
そうだっけ、あれっメンバーも8人しかいないし・・・まっいいか。
それにしても凄い声援だな、楽しいな、自分がこんな声援を受けれるなんて嘘みたい。
本当に夢みたいだな。
でも私声援が怖かったはずだけど・・・人と比べられるのが怖くて仕方なかったはずだけど、どうしてだろう?
・・・さようなら
えっ福ちゃん何言っているの?どこに行くの?
・・・芸能界を辞めるの
嘘だよ、福ちゃんは歌が大好きだったはずだよ。
行かないでよ、福ちゃんの歌をまだまだ聴きたいよ。
・・・よろしくお願いします。
ごっちん・・・
・・・よろしくお願いします。
よっしー、石川、辻加護・・・
何?なんで新しい子と比べるの?
別に私が1番じゃなくちゃいけない訳じゃないでしょ。
どうして、そんなに比べてくるの?
やめて・・・落ちぶれたみたいな言い方しないで
もともと、好きで目立っていたわけじゃ無いのに
私は歌が歌えればそれでいいのよ・・・でも歌わせてくれないの?
どうして?1人じゃ無理だから?福ちゃんがいないから?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「なっち・・・・・・・」
病室でうなされている安倍の手を福田は強く握り締めていた。
105 :
名無し:2001/06/26(火) 12:07 ID:1rRk8dks
第11章 集合その27
福田が安倍の手を握り始めてからもう何時間になるだろう。
うなされている安倍の顔を、片時も離さずに見ている目は、瞬きすら殆どしない。
・・・
突然の電話、市井からだった。
出ないでいようとも思ったが、胸騒ぎがした。
安倍の倒れた話を聞き、迷うことなくバイト先を飛び出した、ただ安倍に謝りたかった。
歌から逃げ出してしまった事を謝りたかった、つまらない嫉妬をしていた事を謝りたかった。冷たくした事を謝りたかった。素直になれないことを謝りたかった。
謝ること以外に何も思い浮かばなかった。安倍に対しても、歌に対しても。
中澤に会い、話を聞いた。中澤に対しても謝った、石黒にも謝った。
病室に案内され、うなされる安倍の顔を見ると、涙が溢れてきた。
気がつくと手を握っていた、涙も止まることはなかった。
1時間、2時間、3時間・・・泣き過ぎたせいか、目が痛くなり、喉もカラカラになった。それでも、安倍の手を離したくは無かった、安倍が目を覚まし直接謝れるまでは。
それから長い長い時間が過ぎようやく安倍が目を覚ました。
「・・・福ちゃんなの?」
薄く目を開き安倍が言った。
第11章 集合その28
「ごめんなさい、なっち、本当にごめんなさい」
安倍が目を覚ますと直ぐに福田が謝り始めた、ずっと心の中にしまっておいた感情をはやく吐き出したかった。
「なんで、福ちゃんが謝るの?」
状況がつかめていない安倍は、謝る福田を理解できずにいた。
「とにかく謝りたかったの、とにかく・・・」
「よくわからないけど気にしないで福ちゃん、ほら涙をふかなきゃ、福ちゃんらしくないよ」
安倍は、まだ重い体を起こし精一杯の笑顔を見せ、福田の涙を拭っている。
「ありがとう・・・後の事は私に全部任せて。」
少し照れた顔をしながら福田が言う。
「えっ後は任せてって・・・もしかして福ちゃん」
「うん、もう一度だけ歌ってみるよ。やっぱり・・・私は歌が好きだよ。それに、うじうじしているのもウンザリだから。」
おどろいた安倍は声も出せずに只、笑顔で福田を見つめつづけていた。
やっと、望みが叶った。これで全てを吹っ切る事が出来そうな気がしていた。
108 :
名無し娘。:2001/06/28(木) 01:43 ID:cjRwne/Q
ほぜんsage
保全。
第11章 集合その29
何となく違和感を感じていた、アパートに帰ればいつもの様に出迎えてくれた筈だった。
この1ヶ月、例え帰りが何時であろうと、暖かい食事が用意されているはずだった。
安倍との約束を守るべく、復活ライブへの参加を決めた福田は、中澤の誘いを受けて練習に参加していた。懐かしいメンバーと新鮮なメンバーに囲まれての練習に戸惑いは感じたが、思いの他に声は出た。
何より、久しぶりに歌えることに喜びがあった、長い間自分を縛っていたものから開放されたような気分になり、多少舞い上がっていた。
だから、飯田の気持ちを考えての電話ではなかった。
浮かれた声で帰りが遅くなる事を告げた、勿論ライブに参加する事も告げた。
その時の飯田の態度の変化に気が付かないほど浮かれていた。
時計の針は午前2時、ちょっと買い物に行くような時間ではない。
クシャ・・・
もやもやとした不安をかき消す様にソファーに腰を掛けると、紙を握ったような音がした。
「明日香へ・・・
今までありがとう、さようなら。飯田圭織」
手に取った紙にはそれだけが書かれていた。
第11章 集合その30
気がつくと夜行列車に乗り込んでいた。
薄暗い光、何故か乗っている全ての人間に未来が無いように思えた。
行き先は考えていなかった。
もう、自分と同じ気持ちの仲間はいない。
皆それぞれの道に進み、芸能界の最後に味わった苦い思い出を、それぞれ消化していた。
そうで無ければ、あのライブに参加できるはずが無い・・・きっと私だけは引きずるだろう。なっちに負けた事、後藤に負けた事、そしてあの日の屈辱を・・・忘れられるはずは無い。
幼き日に憧れた歌手の夢、それは実現した。
数少ない、夢を現実にした成功者の筈だった。
「夢は終わったの・・・」
飯田の声は暗闇の中に吸い込まれる様に消えた。
112 :
名無し娘。:2001/06/30(土) 21:23 ID:Vy9feYmw
関西圏出身としては、加護と中澤の関西弁が気になる所。
113 :
ほぜん:2001/06/30(土) 21:30 ID:CptGvv8U
やっぱり関西の人から見ると関西弁が変みたいですね。
身近に関西出身者がいないので・・・
この際、中途半端な事をせずに中澤と加護も標準語にしときます。
どうもすみませんでした。
115 :
モー娘。板に名無しさん(羊):2001/07/01(日) 01:12 ID:THZCWuEU
ゴメン、保全age
116 :
112:2001/07/01(日) 10:22 ID:DrfCRqBA
ま、中途半端な関西弁も読んでて面白いけどね。
>>114 気にしないで関西弁で書いて。
現在の内容が、当初考えていた内容と、
大幅に変わってしまったので、少し更新が遅くなると思います。
本当は、もう少しあっさり集合するはずだったので。
それでは暇で死にそうな方がいたら、更新を待っていてください。
118 :
ほぜん:2001/07/03(火) 01:00 ID:5LUXf5NM
のんびり待つよ〜
119 :
名無し娘。 :2001/07/04(水) 09:19 ID:SILQQIoU
保全
120 :
名無し娘。:2001/07/05(木) 18:29 ID:n9ynWyrY
hozen
121 :
名無し娘。:2001/07/07(土) 01:50 ID:CE22KU3E
hozen
122 :
名無し娘。:2001/07/07(土) 22:51 ID:aH6YAXzU
頑張って書いて下さい。
俺も関西人ですが、
関西弁は基本的なところは
合っているので良いですよ。
100点満点中85点って所かな。
更新遅れて申し訳ありません。
流れがまとまったので、明日からちょっとづつ更新できると思います。
保全ありがとうございます。
>>116 >>122 とりあえず関西弁で書いてみます。
124 :
名無し娘。:2001/07/09(月) 21:56 ID:j9BOaygQ
楽しみに待ってます。
第12章 それぞれ 後藤真希、石川梨華その1
「あっ後藤さん」
この人は昔から苦手だ・・・それでも解散する頃には何とかあだ名で呼べたんだけどな。
復活ライブまで後2日。この日、歌番組に生出演する後藤の応援に石川が登場し、一緒にライブの宣伝をすることになっていた。
「あっ梨華ちゃん、おはよう。元気だった!?」
何処と無く他人行儀な石川に対し、後藤は手を挙げて元気に答える。
「うん、元気だよ。それより後藤さん、今日はよろしくね。」
「そうだね、とにかくライブは成功させたいから。」
解散後、元娘。のメンバーから距離を取る石川に対し、後藤は芸能界に残っているメンバーとは積極的に仲良くする様にしていた。
2人とも、もともと人見知りするタイプで又、寂しがりやでもあり、見た目のイメージとは裏腹に多くの共通点があった。
しかし、後藤が石川に比べて甘え上手だった事が幸いしたのか、後藤は、元メンバーと上手く付き合っているようにみえる。
「じゃあ梨華ちゃん、私はリハーサルがあるから後でね。」
そう言って背中を向ける後藤に対し、石川は迷っていた。
昨夜飯田から、石川の携帯電話に来たメールを後藤に話すかどうかを。
「石川へ
みっともない先輩でゴメンね。
石川は、これからなんだから、私みたいになっちゃ駄目だよ。
もう最後だから私のことは忘れて、さようなら。
飯田圭織」
この内容を後藤はどう思うだろう・・・最悪の事態も有得ると思っていいのだろうか?
それとも、考え過ぎだろうか、自分で考えるだけで答えは出ない様に思えていた。
第12章 それぞれ 後藤真希、石川梨華その2
「後藤さん!!」
石川の大声に驚いた後藤は、振り向くと直ぐに石川の方に向かってきた。
「どうしたの梨華ちゃん。突然大声出して」
「いやあのね・・・とにかくこれ見て」
差し出された携帯電話のメールを読むと後藤は、腕組みをしながら答えた。
「内容は少し違うけど、私の所にも同じようなメールが来たよ・・・」
石川は、飯田からのメールが自分宛だけで無かった事に多少落胆しながらも、話を続けた。
「・・・そう、でもそれなら話が早いわ、後藤さんはどう思う?」
「どう思うって、もしかしたらって事もありえるかもしれないね・・・じゃあリハーサルがあるから」
「ちょっと待って! じゃあって、後藤さんは心配じゃないの!?」
石川は、淡々と答え、去ろうとする後藤の腕を掴んだ。
「・・・今かおりを捜すのは私達の役目じゃないから。」
不機嫌そうな石川から目をそらす様にして、後藤が答える。
「役目じゃ無いって?」
「・・・私や梨華ちゃんは、今のかおりに対してできる事が他にあるって事よ。今私がするべき事は、ライブの宣伝をして、少しでも人を集める事。そうしなくちゃ、もしかおりが来てくれても意味が無い物になるかもしれないから・・・かおりの事は他のメンバーに任せるの、自分に出来る事をしなくちゃいけないの・・・そうしなくちゃいけないの・・・」
上を向いて涙を堪える様にしている後藤を見て、石川は感情に流されるだけの自分を恥ずかしく思っていた。後藤は自分に比べてずっと大人だった。
「ゴメン後藤さん・・・」
「別にいいよ、気にしていないから。それと後藤さんじゃ無くて、ごっちんって呼んで欲しいな。解散前みたいにね!」
軽く涙を拭い、後藤は、石川が今まで見た事が無いような笑顔を見せた。
「うん、ありがとう。ごっちん」
石川も後藤の笑顔に答えるように笑顔を見せる。はじめてあってから6年、やっと後藤と心が通じ合えたような気がしていた。
127 :
名無し娘。:2001/07/10(火) 23:18 ID:r6TE6N5U
保全
128 :
名無し娘。:2001/07/11(水) 23:53 ID:0fdeRS5w
続き待っています
第12章 それぞれ 福田明日香、加護亜依、辻希美
わたしのせいだ・・・わたしがライブに参加するなんて言わなければ・・・
飯田が姿を消した次の朝、福田はソファーに蹲り一人悩んでいた。
しかし、何時までも悩んでいる暇は無い。とりあえず、この状況をメンバーに知らせなければならない。時計の針はもう11時をさしている。
・・・とにかく、皆に電話でもしよう。
ピーンポーン、ピーンポーン
その時、不意に呼び鈴が鳴った。
もしかしてかおりが帰って来たのかも?期待した福田はソファーを飛び出した。
「かおりなの!」
ガチャ
扉を開けると、高校生位の女の子が2人神妙な顔で立っていた。
「おはようございます、福田さん」
確か、昨日の練習で会った2人だ、以前にもテレビでよく見た事がある。
「あ、おはよう。辻さんと加護さんだったよね。どうしたの?」
落胆しながら福田が言うと、加護が話してきた。
「・・・飯田さんは、やっぱりいませんよね・・・」
第12章 それぞれ 福田明日香、加護亜依、辻希美その2
福田の部屋にあがった2人は、飯田から自分宛てにきたメールについて福田に話していた、正確には、説明したのは加護だけであるが。
「そんな訳で福田さん、何か心あたりはありませんか?」
説明を終えると、加護は福田に質問した。
「残念だけど、特に心当たりは無いよ。一応、実家には連絡しておいたけど・・・もちろん今回の事はふせてね。とりあえず、帰ったら連絡してくれる事になっている。」
「そうですか・・・とりあえず待つしかないみたいやな、のの」
「・・・・・・・・・」
加護は今度は辻に話しを振ったが、辻から返事は無い。
じっと一点を見つめる様にしているだけで、話しが耳に入っていないように感じられた。
「おい、のの!!」
加護が今度は大きな声で背中を叩きながら話しかける。
「あ、うん、聞いているよ。聞いてる・・・」
ようやく反応した辻が、うつろな目で答えを返す。
無理も無い・・・加護は感じていた、うちとは違ってののは本当に飯田さんの事を慕っていたからな・・・とにかく、うちが何とかせにゃ。そのためにも何とか心当たりを当たらないと。
「じゃあ、福田さん、うちらは他の心辺りを当たって見ます。それじゃあ」
加護はそういって、辻を促しながら福田のアパートを出ようとすると、福田が話しかけてきた。
「ちょっと待って、私も一緒に行く。一つだけ当たって見たいところがあるの。」
話しの途中で申し訳ありませんが、明日から来週の火曜日まで、出張で
更新が出来そうにありません。
申し訳ありませんが、読んでる方がいましたら、保全をお願いします。
132 :
矢切真知:2001/07/12(木) 10:19 ID:BU8/60ck
保全
133 :
122です:2001/07/12(木) 15:12 ID:O8uTDj/M
『そのためにも何とか心当たりを当たらないと。』
もしこれが加護の台詞だとしたら、
『心当たりを当たらんと。』の方が関西っぽくていいよ。
134 :
矢切真知:2001/07/13(金) 15:49 ID:kgVY731U
保全
高校生になった辻加護にはとても興味があります。
続編楽しみにしています。
135 :
矢切真知:2001/07/14(土) 19:57 ID:gX5TTGA2
保全
136 :
名無し娘。:2001/07/15(日) 12:22 ID:HZtvljjM
hozen
137 :
矢切真知:2001/07/15(日) 22:30 ID:DWZZ93NI
保田
138 :
ほぜん:2001/07/16(月) 05:37 ID:1nW1e0FY
ほぜん。
139 :
矢切真知:2001/07/16(月) 22:07 ID:5CRh1pW6
保全
140 :
ほぜん:2001/07/17(火) 01:29 ID:tWCQvmoc
hozen
141 :
名無し娘。 :2001/07/18(水) 00:17 ID:Pnqqw8Yk
復活は明日辺りかな
>>132-141
保全ありがとうございました。
>>133 どうもすみません。参考にさせてもらいます。
例によって、ゆっくりとした更新になると思いますが、最後までは必ず書きます。
第12章 それぞれ 安倍なつみ、矢口真里
「具合はどう?」
矢口真里は病室のカーテンを開けながら、安倍なつみに話しかけた。
「うん、だいぶ良くなったよ。心配掛けてごめんね。」
病室のベットに座りながら安倍がこたえる。昨日倒れたばかりにしては随分元気そうだ。
「別にいいよ、元気になってくれればそれでいいから。」
やっぱり、明日香と仲直りしたのが良かったのかな。
だからこそ尚更かおりの事は話せない、幸い入院中でなっちは携帯を持っていないから、ばれる事もないと思うし。
せっかく、なっちが元気になったんだ、これ以上心配かけちゃいけない。
「や〜ぐ〜ち〜!なにボーっとしているの?まるで、かおりみたいだよ。」
突然考え込んだような表情になった矢口に対し、安倍が話しかける。
「えっ何?ごめんごめん」
驚いた様に矢口が答える。
駄目だ、なっちの前じゃ普通にしていなきゃ。
「それで話は変わるけど、かおりの事はどうなったの?私は今まで福ちゃんの事ばかりで・・・」
「あ、うん。その事だったら何とかするよ・・・もう少し説得すればきっと出てくれると思うから。とにかく、なっちは自分の体だけ心配していてよ。かおりの事は何とかするから」
「うん、ありがとう。じゃあお言葉に甘えるよ。それにかおりも私と会っても気まずいだけだと思うから・・・」
「そうかもね・・・じゃあ、今日も練習があるから、行くよ。」
そう言うと、矢口は大きく手を振って病室から出て行った。
「・・・私がかおりの心配か。かおりにとっては大きなお世話だよね・・・」
病室の中で安倍が小さく呟いた。
144 :
名無し娘。:2001/07/19(木) 12:27 ID:wq0eoBRw
マターリと待つよ。
145 :
ほぜん:2001/07/20(金) 02:49 ID:kiQMZ2ys
ほぜん。
146 :
矢田:2001/07/20(金) 21:13 ID:9VbVNQhU
好き。
第12章 矢口真里、吉澤ひとみ
「よっすぃー待った?」
矢口は、病院の待合室でスポーツ新聞を読んでいる吉澤に向かって話しかける。
「いえ、それより安倍さんは元気でしたか?」
新聞をたたみながら吉澤が答える。
「まあね、とりあえず元気そうだったから安心したよ。」
「それじゃあ早速、飯田さんを捜しましょう。」
吉澤は既に立ちあがっている。もう時間が無い事は吉澤も十分に承知している様だ。
「そうだね、とにかくギリギリまで捜そう。ライブが明後日の夜7時からだからね。」
「ライブの準備は市井さん達に任せましょう、矢口さんはともかくとして、私や辻加護はライブの戦力にはなりませんからね。それと福田さんから電話がありまして、加護と辻と福田さんで、思い出に向かうって、矢口さんに伝言があったんですけど。何ですか?」
不思議そうに話す吉澤に対し、矢口はポンと手を叩いた。
「成る程、そうかも知れないね。予定変更私達もそこに向かおう」
すでに歩き出している矢口を吉澤が慌てて追いかける。
「思い出って一旦何なんですか?」
細かい指摘ばかりで申し訳ありませんが、
最後の吉澤の台詞「一体何なんですか?」なのでは?
149 :
ほぜん:2001/07/22(日) 05:40 ID:jFKzWnO6
ほぜん。
150 :
名無し娘。:2001/07/22(日) 06:31 ID:9w6A9IC6
>>148 ただのタイプミスでしょう。
>>122のような指摘ならともかく、
内容に関わらない誤字脱字は放っといたほうがいいと思います。
>>148 誤字脱字が多くてすみません。
>>150 まあ、自分が間違えなければすむ話ですから。
それでは、更新します。
以外と読んでくれている人がいるようで良かったです。
第12章 それぞれ 市井紗耶香、保田圭
飯田の捜索を始めたメンバー達とは別に市井、保田、中澤、石黒の4人は、ライブの為のレッスンを行っていた。もちろん4人とも飯田の事が気がかりではあるが、飯田が帰って来た場合を考えると、ライブの準備を疎かにする訳にはいかなかった。何しろ、ライブは明後日なのだ・・・
「おお、やっているな」
突然扉が開き、つんくが顔を出す。
「あれ、つんくさんどうしたんですか?」
代表する様に市井が言う。
「いやな、ちょっと様子見よう思ってな・・・それにしても随分人が少ないな」
「すみません、ちょっと皆都合がつかなくて、でも夜には集まると思うんで・・」
慌てて市井が返す、飯田のことは、つんくに話さないほうがいいだろう。
「あ、でも丁度良かったつんくさん、ちょっと私と圭ちゃんの歌聴いてくれませんか?」
不機嫌そうなつんくに対し話題を変えるように市井が言う。
「ちょっとあんた何言ってるの?」
小声で保田が市井に耳打ちすると、すかさず市井が耳打ちを返す。
「いやね、つんくさんにも滅多に会えないし、もしかして気に入られたらなって思ってね」
「まあ、ええわちょっと歌ってみいや」
第12章 それぞれ 市井紗耶香、保田圭その2
「市井も保田も随分と歌が上手くなったもんやな」
曲が終わると、小さく手を叩きながら、つんくが言う。
「つんくさんにそう言ってもらって嬉しいです。・・・でも歌は売れません、
だからまだまだ実力が無いんだと思います。」
軽く息を切らせながら市井が言う、謙遜はするものの表情には自信が表れていた。
確かにつんくの知っている市井紗耶香の歌とは明らかに違っていた。
「いや実力とか、そう言う問題じゃないやろ。」
視線を下に移し、興味無さそうにつんくが言う。
「どういう意味ですか?」
「別に深い意味はないんやけどな、なんやろカラオケ名人って感じやな。」
「・・・意味がわかりません」
「説明してわかるもんやないしな、まあ自分で考えろ。ただ確実に言える事は、
今のままやったら、何年経っても同じや。」
「ちょっと待ってください。歌だって上手くなっている筈ですし」
市井は必死だった、この3年間1日も休まずにボイスレッスンを続けて、
歌唱力は格段に向上したはずだ、それなのにつんくの評価は全く上がっていない・・・
「まあとにかく自分らで考えろ。じゃあまた明日にでも来るわ」
市井の言葉を聞き流す様にして、つんくは扉を開けて出ていった。
「そんな筈は無い、私はあんなに頑張ったんだ・・・あんなに頑張ったんだ」
つんくの出ていった扉をじっと見つめながら市井は、同じ言葉を繰り返していた。
154 :
ほぜん:2001/07/24(火) 01:11 ID:bSKd1fjM
ほぜん。
155 :
ほぜん:2001/07/25(水) 03:43 ID:gAkP22EM
ほぜん。
>>154-155
いつも保存すみません。
最近の更新は量が少な過ぎて、読みにくいと思うので、
明後日にでもまとめて更新します。
157 :
黄鵡4村:2001/07/28(土) 08:00 ID:HrAkaJ3g
がんばって
158 :
名無し娘。:2001/07/28(土) 11:23 ID:AhPGhthA
保全
第12章 それぞれ 中澤裕子、石黒彩
つんくが帰った後、暫くレッスンは休憩となっていた。
「圭ちゃんと2人で話がしたい。」市井の言葉に従い、中澤と石黒は少し遅い昼食を取っていた。
「ねえ、裕ちゃん。さっきの話どう思う?」
ファミレスでパスタを食べる中澤に向かって石黒が言う。
「どうやろな、うちには紗耶香と圭ちゃんの歌は上手く聞こえたけど。」
口の周りを拭きながら中澤が返す。
「そうだよね。でもつんくさんのいう事も何となくわからない?」
「うーん・・・」
中澤も言葉が出てこない、確かにちょっとした違和感を感じていた。
「カラオケ名人ちゅう事は、魂が入ってへんとか、そんな意味やろ」
あの時のつんくの真意はわからない、しかし、言葉の意味だけを取ればそんな風にしか思えなかった。
「でも、なんだか昔を思い出すね・・・あの頃は、こうして悩んでばかりいたよね。」
少しの沈黙の後、石黒が急に笑顔になる。
「なんや、彩っぺ不謹慎やな」そう言う中澤も顔が崩れる。
確かに昔はいつも悩んでいた。
何かと言えば無理難題を押し付けられ、逆境の中でしか芸能生活を送れなかった。
しかしそれが娘。の絆を強くした、只馴れ合うだけの関係では決してなかった。
毎年のように消える消えると言われながらも、しぶとく生き残ってきたのは、決して話題性の多さだけ原因ではなかった。
「そういえば、あの場所はどうなっているかな?」
「あの場所?・・・」
「そう、あの場所。夢の墓場の事よ」
第13章 夢の墓場その1
辺りには、ヌイグルミや、人形が無造作に散らばっている。
もともと入場ゲートだったと思われる物には、皮肉を込めた様に「東京ドリームセメタリ−」とスプレーで書かれている。
十数年前、東京湾の埋立地に出来た、このテーマパークは、バブル期に計画された事が災いしたのか、3年ほどで経営不振に陥り、いつしか東京中の遊園地のゴミ捨て場になっていた。まさに、夢の墓場と言った様相だ。
「夢の墓場か・・・どうして私はここに来てしまったのだろう・・・」
誰もいない、廃墟のようなこの場所で、飯田は呟く。
いや、ここに来て当然だったのかな・・・
ここに夢を捨てて行こう。もう2度と夢を見ないために・・・
第13章 夢の墓場その2
「どうして、あんな所が思い出の場所なんですか?」
矢口の運転する車の助手席で、吉澤が話しかける。
「ごめん、よっすぃー、ちょっと黙ってて」
荒っぽいハンドル捌きでカーブを曲がる矢口。表情には、焦りの色が浮かんでいる。
その時、吉澤の目に道路の左側で、手を振っている加護が入った。
「あっ矢口さん、加護があそこにいますよ。」
矢口は、吉澤の言葉に返事をすることなく、左にウインカーを出し車を止める。
「早く乗って3人とも」
強い口調の矢口に戸惑いながらも、福田、加護、辻の順で車に乗りこんでいく。
3人が乗りこんだ事を確認すると、矢口は無言で車を発進させた。
他の4人で何やら話をしているが、矢口は話に加わろうとしない、正直そんな気分ではなかった。原因は、先程の安倍の入院している病院からの電話だ。
病院を抜け出したって、どう言うつもりなのなっち・・・
162 :
名無し娘。:2001/07/30(月) 21:51 ID:hgxbBmls
hozen
のんびり書いてくださいまし
163 :
:2001/07/31(火) 19:34 ID:fdhuvAb.
164 :
名無し娘。:2001/08/01(水) 04:22 ID:6/ygg5FU
kitai-sage
165 :
名無し娘。:2001/08/02(木) 00:41 ID:zrvIlZYo
hozen
毎度楽しみに読んでるyo!
166 :
名無し娘。:2001/08/02(木) 22:19 ID:Foaq.xz.
hozen
167 :
名無し娘。:2001/08/03(金) 02:21 ID:AYv34n92
保全
がんばってください
168 :
名無し娘。:2001/08/03(金) 03:19 ID:GWSEsHCA
>>166-167
あげるなという指摘がでそうだが、
おかげでおそばせながら、この小説の存在を知ることができた。
一気に読んだよ。
期待sage
169 :
ほぜん。:2001/08/04(土) 09:36 ID:i1AG1aew
ほぜん。
170 :
名無し娘。:2001/08/05(日) 03:19 ID:aEsLHTdk
hozen
171 :
名無し娘。:2001/08/05(日) 14:27 ID:xZtQEz/A
保全しててもあっさりdat逝きになるんだもんなぁ。
明らかな糞スレは残すくせに
保全申し訳ないです。
ストーリーは全部できている事はできているんですが・・・
それを文章にするのが難しくて、挫折しかかっていた所です。
とりあえず何とか書いてみますので、もう少し待ってください。
173 :
ほぜん。:2001/08/06(月) 23:39 ID:viJLvG5I
ほぜん。
174 :
名無し娘。:2001/08/07(火) 12:46 ID:/ym2tZ8w
がんばれ。
175 :
名無し娘。:2001/08/08(水) 01:23 ID:7uIvPsnU
176 :
ほぜん。:2001/08/08(水) 21:19 ID:6w8Grf.2
ほぜん。
177 :
名無し娘。:2001/08/09(木) 00:13 ID:kgFfhZ3c
178 :
名無し娘。:2001/08/09(木) 19:38 ID:hlvlKWSg
続き、楽しみにしてます。
保全sage
179 :
名無し娘。:2001/08/10(金) 05:12 ID:wkAEhIwY
180 :
(0^〜^0)@狼:2001/08/10(金) 13:32 ID:R2oyDks.
おもいではおもいで〜
181 :
名無し娘。:
ファイト。