未来へ

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1けい
矢口と飯田の小説もどきです。
短いんで、良かったら読んで下さい。
2けい : 2001/03/30(金) 15:24 ID:HUtIi.pI
子供の頃、よく来た。
そんなベンチに飯田は座ってる。
川が流れてる。
川沿いの空き地にブランコやジャングルジムがある。
子供達が遊んでる。
そんな風景が見えるベンチに飯田は座ってる。
昔と変わらない様で、変わってる風景。
それは私が変わったから?
3けい : 2001/03/30(金) 15:25 ID:HUtIi.pI
今日は暖かい。
日差しも空気も暖かい、午後のひととき。
こんなにのんびりするの久しぶりだな。
飯田は思う。
今まで頑張ってきたもんなぁ・・・
妙に感傷的な私。
まだまだこれからだ。
妙に前向きな私。
色々な気持ちが交錯する私。
でも今日は、
今日だけはのんびりしよう。
4けい : 2001/03/30(金) 15:25 ID:HUtIi.pI
「圭織?」
飯田は声のした方へ顔を向ける。
小さな女の子。
「矢口・・・」
そっと呟く。
矢口がそこにいる。
飯田と矢口は喧嘩別れした。
その日から何日か経ってる。
もう怒ってなどいない。
ただ気まずいだけ。
「久しぶり」
矢口は言う。
飯田は無言。
5けい : 2001/03/30(金) 15:26 ID:HUtIi.pI
矢口は飯田の隣に腰掛ける。
沈黙。
子供達のはしゃぐ声が聞こえる。
自動車の走行音が聞こえる。
いや、二人には聞こえてない。
沈黙が支配する空間。
気まずい空間。
言いたいことはたくさんある。
喧嘩したのはお互いを大事に思ってるから。
6けい : 2001/03/30(金) 15:26 ID:HUtIi.pI
「私ね」
矢口が唐突に口を開く。
「やってけるのか凄く心配なんだ」
「みんなをまとめられないし」
「喋るのだって上手じゃない」
「いつも落ち込んでばかり」
「辛いよ・・・」
7けい : 2001/03/30(金) 15:26 ID:HUtIi.pI
飯田は伝えたい。
大丈夫、心配すんなよ。
矢口なら大丈夫だよ。
きっとできる。
でも、それは言葉にはならなかった。
言葉にすると安っぽい気がする。
いや、
・・・違う、勇気がないんだ。
私は自分のことで精一杯だから・・・
8けい : 2001/03/30(金) 15:27 ID:HUtIi.pI
飯田は想いを口に出来ない。だから、
笑ってみる。
矢口へ笑顔を送ってみる。
大丈夫だよ、と気持ちを込めて。

矢口は少し驚く。
しかし時が過ぎると
矢口もつられてしまう。
二人は笑う。
心の底から笑う。
全てを吹き飛ばすかのように。
ホントおかしいね。
二人は思う。
9けい : 2001/03/30(金) 15:27 ID:HUtIi.pI
少しの沈黙のあと
矢口は言う。
「圭織も大変なんだよね」
「でも頑張らなかったら許さないから」
「圭織には絶対負けないから」

「ありがとう」
飯田は言う。
そしてゴメンね、と言いかける。
でも、何だかセンチなのは嫌。
飯田は反射的に立ち上がる。
10けい : 2001/03/30(金) 15:28 ID:HUtIi.pI
「それじゃ」
飯田は眼を合わせずに言う。
「うん、じゃあね。またね。」
矢口は明るく言う。
飯田はベンチから離れ、歩いていく。
背中に視線を感じる。
それを振り切るように歩く。
矢口とは違う方向へ歩いていく。
それは飯田の選んだこと。
自分の選択を大切にしたい。
だから振り返らず、未来に向かい歩いていく。

                 〜了〜
11名無し娘。
===========終了============