1 :
イチギ :
小説書きます。
全てにおいて初心者なので
迷惑かけたらごめんなさい。
2 :
イチギ : 2001/03/05(月) 19:39 ID:kW/whWlY
月明かりの真夜中。
明るい繁華街を抜けた先の路地裏で、
今風の女の子達が座り込んで何かおしゃべりをしている。
別に特別な風景ではない。
ただ、彼女達は決して普通の女の子ではない。
それどころか彼女達の中の数名は、社会的にも普通の女の子ではなかった。
「矢口、予想道りまた新メンバーオーディション、あるらしいわ。」
「分かってるわよ、圭ちゃん。」
少し怒った感じで答える金髪の少女は神妙な顔で続ける。
「でも後藤の事があったからあっちも何か手を打ってくるかもね…。
まあ、私の能力と選択肢がある限り問題ないけどね。」
「当事者はあんたなんだから少しはがんばりなさいよ!」
と、圭ちゃんと呼ばれていた女の子に肩をたたかれたショートヘアーで、今はまだ「社会的には」普通の女の子の、まかせなさいと言わんばかりの高飛車な笑顔に
一同は苦笑いを浮かべていた…
3 :
イチギ : 2001/03/05(月) 19:41 ID:kW/whWlY
時はさかのぼり、第二回モーニング娘。新メンバーオーディション。
長かった(長く感じた)合宿も終わり、後は結果発表を残すのみとなっていた。
最終候補5名に残った菅原真理子(15)は確信していた。自分は受かると…。
それは、他の者が抱いているような根拠の無いただの自信とは明らかに違い、「確信」であった。
この日のタメに、厳密には自分がモーニング娘。に入るために、それに有利な「能力」を持つ
矢口真理、保田圭、市井沙耶香の3人を前もって娘。に入れておいたのだ。
厳密には、彼女が娘。に入るのに直接役に立つのは矢口の能力だけであるが…。
彼女がその時に娘。に入ることも可能ではあったが、一度入ってしまうと目立った行動はできにくい為、
より「目的」を確実に達すために次のチャンスを待つことにした。
もちろん彼女にも特殊な能力がある。
世界を動かせるほどの…。
しかし、合格者を発表する為にここに居る番組プロデューサーから発せられた言葉は、
その確信を大きく裏切るものだった。
「合格者は後藤真希…以上。」
4 :
菅原真理子(15) : 2001/03/05(月) 19:43 ID:kW/whWlY
何てことだ。まったく考慮していなかった。
合格者が一人だなんて…。
いや、その前に矢口が能力を使っていたのなら落ちるはずは…。
彼らには私が合格すると言う選択肢すらなかったと言うのか、そんな馬鹿な。
最初から決まっていた?
いや、矢口の能力の使い方の方向性が問題だったのだろう。
おそらく矢口は最終選考の2名に入るように仕向けたんだ、だが私は1位じゃ無かった。
そして1位と2位の差はかなり大きかった、だから私は切られたのか…。
だとしたら矢口の能力の範囲外だ…。
いや、今更理由なんてどうでもイイ、これは困ったことになった。
計画が台無しだ…。クソッ!!!!
5 :
イチギ : 2001/03/05(月) 19:45 ID:kW/whWlY
もうあと100mほどで、彼女達、すなわち矢口や保田や市井達、他にも3名ほどいる
彼女達のグループ。(グループと言えばかわいらしく聞こえるが、彼女達は日本、はえては世界を動かすであろう「目標」に向かって動いている。もはや組織と呼んだほうが正しいと思わせるほどのものであり、それに値する力も持っていた。)
その「グループ」が事ある事に集合場所として使っていた路地裏の暗がりに付こうかと言う所で、
待ち切れなくなったのか、矢口達が集合場所よりだいぶ手前で、誰かを待ちわびている様子で立っている。
その「誰か」は間違い無く彼女、菅原真理子だろうが、
彼女にはそれほどまでに待っていてくれた事への感謝や喜びなど微塵も無かった。
むしろ彼女の合格を確信しているのであろうその笑顔が腹立たしかった。
別に矢口が悪いとは思っている訳ではなかった。
なにせ彼女の能力は「洗脳」であり、矢口達を自分の意のままに動かせる。
裏返せば、矢口達の失敗は彼女の指示の不備によるものであり、
矢口には何の罪も無い。まあ成功したとしてもそれはある意味罪なのではあるが…。
6 :
イチギ : 2001/03/05(月) 19:47 ID:kW/whWlY
>なにせ彼女の能力は「洗脳」であり
彼女=菅原真理子
7 :
名無し娘。 : 2001/03/05(月) 20:07 ID:sTOSWb76
8 :
イチギ : 2001/03/05(月) 20:26 ID:uD/QFsBs
ごめんなさい。
メールのとこにsageって書いとけばいいんですね。
9 :
イチギ : 2001/03/05(月) 21:34 ID:glTfk6pU
「ねえ、どーだったの?」
不合格の可能性のある人間にはこんな調子では話せないだろうというトーンで矢口が話し掛けてくる。
分かり切ってる声だ。返ってくる答えは1つだと思ってる。
残念だが彼女はその答えを矢口に言ってやることは出来ない。
「不合格。計画の練り直しが必要だ。」
その信じられない、いや、有り得ない衝撃的事実と、声から読み取れる、隠そうとしてはいるが、隙間から漏れ出すような苛立ち。
2重の重みが矢口にのしかかり、愕然とした。
はたから見れば、不合格になったのは矢口で、その告白を受け、多少ショックを受けているのが彼女であるかの様な不思議な光景だった。
10 :
イチギ : 2001/03/05(月) 21:37 ID:glTfk6pU
「でも矢口の能力は…。」
言葉を発せられる状態ではない矢口に変わって保田が聞いた。
いつもならこういう役は市井が率先してやるのだが、
この場に市井の姿は無かった。みんな気付いていたし今までこんなことは無かったが、仮にも芸能人。
来れない事情などは腐るほどあるさと誰も気にも止めていなかった。
保田の言葉を受けて、彼女が一連の出来事や、自分なりの推理を話しだそうとした瞬間、
背後に気配を感じ、菅原真理子、矢口等6人は一斉に、
とはいっても別に危険を感じた訳でも、気配にビクついた訳でもなく
ただ条件反射で気配のした方を向いた。
そこにはこちらに向かってゆっくり歩いてくる二人の女が見えた。
黒髪のショートヘアーの女は見なれた顔だが。
となりの金髪は初めてみる顔だ。ただ一人、菅原真理子を除いては…。
11 :
イチギ : 2001/03/05(月) 23:06 ID:ST8bngzA
「じゃ〜ね〜みんな〜。」
なっちこと安倍なつみはいつもより仕事が早く終わったこともあってかなり御機嫌だった。
時間以外はいつもと同じようにメンバーやスタッフに挨拶を済ませ。
この後の空いた時間であのお店に行こうか、それともこのお店に行こうかと
週末の乙女な気分でルンルンと街を歩いていた。
繁華街からはかなり離れている為、ナンダカンダでまだ何処にも行かぬまま時は過ぎ。
このままじゃ早く上がった意味が無いと、小学生の夏休みの終わり頃かの様にがむしゃらにそこらの店に入ったり出たり怪しげなお店だったりして、
不本意ながら事務所の近くに来てしまい、少しイヤーな感じがしたりして、別の所に行こうと方向転換すると、
その視線の先のベンチに、見覚えのある顔があった。
12 :
イチギ : 2001/03/06(火) 09:22 ID:Cu3moLWA
(ゲッ!)
例え当時どんなに仲がよくとも悪くとも、長年会っていない友達に突如会ったときの反応なんてこんなもんじゃないだろうか。
実際、当時凄く仲の良かった福田明日香に約1年ぶりに会ったナッチの反応は、嬉しい!懐かしい!
と言うよりは、ゲッ!どーしよう!的なものだった。
そして近ずいていった第一声。
「うわ〜ひさしぶり〜♪元気だった?」女の性だ。
明日香は娘。にいたときとはだいぶ感じの違うセミロングの髪をしていた。
少し驚いた表情をしているからナッチを待っていたと言う訳では無さそうだが
だいぶ腰を据えてベンチに座っていた。
ナッチを見て微笑んでんだかなんだか妙な表情をした。
13 :
イチギ : 2001/03/07(水) 02:43 ID:xs48mhiQ
「…そっちこそ久しぶり。」
隣に座ったナッチの方を向くことも無く明日香が答えた。
その後、ナッチの一方的なプライベート近況報告を終えた二人を長い沈黙が包んだ。
非常に気まずいな、とナッチは頭をフル回転させて話題を探した。
決して仲のイイ友達と話している人間の心理状態じゃない。時間とは怖いものだ。
しかし明日香の方は全く気にしている様子はない。
と言うよりは、ナッチの方をあまり気に止めていないかのような印象さえ受ける。
しかし、その沈黙を破ったのは明日香だった。
「…娘。も変わったよね。」
この話題は逃すまい、とナッチが飛びついた。
「そうそう!また新しい子が入るらしいんだ。今度。」
「知ってる。後藤真希ちゃんでしょ。」
「え?いや…まだ誰かまでは聞いてないけど。」
14 :
イチギ : 2001/03/07(水) 03:15 ID:xs48mhiQ
「…そっちこそ久しぶり。」
隣に座ったナッチの方を向くことも無く明日香が答えた。
その後、ナッチの一方的なプライベート近況報告を終えた二人を長い沈黙が包んだ。
非常に気まずいな、とナッチは頭をフル回転させて話題を探した。
決して仲のイイ友達と話している人間の心理状態じゃない。時間とは怖いものだ。
しかし明日香の方は全く気にしている様子はない。
と言うよりは、ナッチの方をあまり気に止めていないかのような印象さえ受ける。
しかし、その沈黙を破ったのは明日香だった。
「…娘。も変わったよね。」
この話題は逃すまい、とナッチが飛びついた。
「そうそう!また新しい子が入るらしいんだ。今度。」
「知ってる。後藤真希でしょ。」
「え?いや…まだ誰かまでは聞いてないけど。」
15 :
イチギ : 2001/03/07(水) 03:16 ID:xs48mhiQ
↑しっぱい。
16 :
イチギ : 2001/03/07(水) 03:17 ID:xs48mhiQ
「あの子で止められればいいけど…。」
明日香の理解不能な発言に困惑するナッチをよそに明日香は立ち上がった。
「私、もう行くよ。」
ホッとしつつも何か別れの挨拶をしようとするナッチの言葉を待たずに
明日香は続けた。
「気をつけて。もうモーニング娘。は昔の娘。とは違うわ。
全く別の目的に向かってに動いてるんだから…。」
そう言い残して明日香は去っていった。
あまりの意味不明さにナッチはお別れを言うのも忘れてただ呆然としていた。
17 :
イチギ : 2001/03/08(木) 06:02 ID:TDlb9yHE
一連の明日香とのやり取りもすっかり忘れ、
散々買い物をし、そろそろ帰ろうかと言うところで、
駅までの道が良く分からないような所まで来ていることにナッチは気付いた。
ただなんとなくの方向だけは分かっていた為、
と言ってもそのなんとなくの方向の先にあるのは全く見当違いの場所であったが、
ナッチは自分の方向感覚を信じ、その方向へと向かっていった。
18 :
イチギ : 2001/03/08(木) 06:02 ID:TDlb9yHE
繁華街をかなり離れた、暗い路地裏のような所で、
この先に駅なんか無いことを根拠は無いにしろ雰囲気で気付いた為、
元のところへ戻ろうと引き返そうと思ったその時、
少し先に、またもや知り合いがいる事に気付いた。
19 :
いちお : 2001/03/08(木) 06:04 ID:TDlb9yHE
矢口達は悪者です
20 :
いちお : 2001/03/08(木) 06:05 ID:TDlb9yHE
「矢口に圭ちゃん!」
近づいてみると、柵を挟んで2mほど低い段差の所に矢口と保田はいる事がわかった。
逆光もあって向こうからこっちは見えないだろうし、こちらに気付いてる様子も無かった。
矢口も保田も(まあ自分もだが)帽子を深く被り、普通の人にはそれが矢口と保田であることは分からないだろうが、ナッチは先ほどまで一緒に仕事をしていた為、厳密にはその服装を見ていた為、
なんだかすごく悪いことでもあったような雰囲気だったし、知らない人間も何人かいたため、
声をかけるだけにしておこうと手を上げた瞬間、
矢口達が一斉にナッチとは逆の方向を向いた。
つられて向いたナッチの視線の先にあったのは2つの女の影だった。
21 :
イチギ : 2001/03/08(木) 06:09 ID:TDlb9yHE
↑またしっぱい
>厳密にはその服装を見ていた為、
>それが矢口達だとわかった。
↑ これが正しい。あと名前も。
22 :
イチギ : 2001/03/08(木) 06:10 ID:TDlb9yHE
「沙耶香?」
視線の先の存在が市井沙耶香だと分かり、
隣の見知らぬ少女が気になりながらも安堵の声を漏らす矢口だったが、
菅原真理子はその隣の少女を良く知っていたため、と言うより
その少女が計画の狂いの根源であると同時にこんな所に来るはずの人間ではないことへの不信感から臨戦体制に似た緊張感を放っていた。
そもそもこの「菅原グループ」に関係無い人間を連れてくること自体、暗黙のタブーだったから…。
市井は、矢口達から10mほど離れた所にその隣の金髪の少女を待たせて、市井一人で近づいてきた。
そのことから菅原真理子は、市井とその少女がなんの関係も無いただの友達で、どうしても追い返すことが出来ずにここまで連れて来てしまったが、タブーを犯さぬ様、離れた所に待たせて来たのだとポジティブな創造をめぐらしホッとしたが、
菅原真理子に、実際にはその行為にそれとは全く逆の意味がある事を知る術は無かった。
23 :
イチギ : 2001/03/08(木) 06:11 ID:TDlb9yHE
彼女、菅原真理子の能力は「洗脳」。
そして発動の鍵は「見られる」こと。
どんな人間も彼女を累積四時間ほど見れば、彼女の意のままだ。
とはいっても操ると言う訳ではないので、指示したこと以外は全く今までどうりに行動する。
その「今まで」自体変えてしまうことも可能ではあるのだが…。
24 :
イチギ : 2001/03/08(木) 06:12 ID:TDlb9yHE
彼女は自分の能力を過信していた。
当然だ。今まで回りの親しい人間は、みな彼女の思うとうりに動いてきたのだから。
市井もその中の一人。
隣の少女にこそ不信感を抱いていたが、市井自体にはなんの不信感も抱いていないかった。
「なんであの子がここにいるんだ?」
彼女の目の前まで来た市井がまだ足を止める前に話し掛けたが、市井は何も答えなかった。
そしてその半瞬後、それは突如起こった。
25 :
名無し娘。 : 2001/03/08(木) 08:26 ID:QitiiTeQ
沙耶香→紗耶香
26 :
イチギ : 2001/03/08(木) 22:18 ID:ySlQqvb6
27 :
イチギ : 2001/03/08(木) 22:28 ID:ySlQqvb6
「グッ…」
体が動かない。
正しくは動かせない。
威圧感にも似た圧力に押さえ込まれ、油汗をかく菅原真理子を確認したのか、市井の目は鋭く尖った。
その目は明らかに敵意を示していた。
その目を見た瞬間、彼女はこの状況が市井の手によってもたらされたものだと悟った。
直接的には、その10m後方で彼女に向けて手をかざしている金髪の少女の手によるものだが、
彼女にはそれを認識する余裕は無かった。
「何故…
「洗脳されてるはずなのに?かしら。」
菅原真理子の問いをさえぎる様に市井はしゃべり出した。
28 :
イチギ : 2001/03/08(木) 22:31 ID:ySlQqvb6
「残念だったわね。あなたの能力はそれを知られている相手には効かないのよ。
私を信用しすぎたのが運のつきね。」
「と・・・特管か…」
「管理局とはなんの関係も無いわ。ただ私がこうするべきだと思ってこうしているだけ。」
特殊能力保持者管理局。彼女達のような特殊能力保持者を管理している特殊能力保持者で構成される組織。
絶対的な力を持ってるといっても公的なものではないし、増えつつある「保持者」の数すら把握出来ていないような正義の味方の延長といった組織である。
悪さをしたぐらいでは動かないが、彼女達の様に世の中を巻き込むような事には敏感に反応する。
しかし彼女達、菅原グループ(6人+市井)には、そういう事への「隠ぺい」を主とする能力を持つものが居て、
これまでもこれからも直接管理局にバレる事は無い。
29 :
イチギ : 2001/03/09(金) 02:04 ID:UdSWQjKE
「後藤、お願い。」
そう。市井の10m後方に立って菅原真理子に手をかざしているその少女は、
菅原真理子が落ちた新メンオーディションを受けて合格し、
すでに事実上モーニング娘。となっている後藤真希その人だった。
後藤は市井の言葉を受けて菅原真理子に向けてかざした手に力を込めた。
そのとたん、菅原真理子は、尋常とは思えない奇声を上げて苦しみもがきだした。
菅原真理子の体の変化も、洗脳のことも知らない矢口達は、
漫画でいったら頭の上に疑問符が付くような混乱した表情で見ていたが、
その様子を見て、良く分からないにしろ後藤が原因だと直感的に思い、
後藤へと襲い掛かった。
その選択は正しかった。実際、後藤の能力は人を死に至らしめるほどの強力さとは裏腹に、少しでも体に外的衝撃を与えられると一時的に効果が無くなるモロさも持ち合わせていたからだ。
しかしその間10m。
矢口達が後藤の所に達する頃にはもう菅原真理子に息は無かった。
30 :
イチギ : 2001/03/09(金) 02:10 ID:UdSWQjKE
だ〜れもみてないみたい。
でもいいんだ
自己満だから。
見てるよ(まだ読んでないけど)。
32 :
イチギ : 2001/03/09(金) 03:05 ID:UdSWQjKE
「やっと終わった・・・。」
一連の騒動を終えて、来た道を引き返している市井に安堵の声が漏れた。
「矢口さんたちはイイの?あの人が死んでも洗脳がとけるわけじゃないんでしょ。」
「大丈夫。真理子がいなくなったんだから真理子をモーニング娘。に入れてブラウン菅越しに日本中の人間を洗脳するって目的は達成不可能になった訳だし、
矢口の能力じゃあ何かを決定的に変えることはできないよ。
他の子達の能力は知らないけど、圭ちゃんたちに何かして旧メンバーに迷惑かけたくもないしね。」
「そうだね。」
「あと一人はもう問題外だろうしね…。」
「?」
全ては順調にして終わった。二人ともそう思っていた。
しかし、市井の言っていたとうり、市井は菅原グループで、矢口以外の人間の能力を知らない。
それは、当の本人は気付いていなかったが、菅原真理子を例に上げられるように、
能力の性質によっては、例え仲間でも知られるとマズイ状況があるため、
能力はお互い隠しておこうと言う菅原真理子の決定によるものだが(当然菅原真理子は全員分の能力を知っているのだが)、
それ故に、菅原真理子が息を引き取る(取られる?)直前、保田が彼女の手を強く握って何か呟いていた事の意味を理解し得る筈も無かった。
33 :
イチギ : 2001/03/09(金) 03:08 ID:UdSWQjKE
第1章終わりってかんじ。
>>31 ありがとーう。
34 :
イチギ : 2001/03/10(土) 02:30 ID:Z3PO2FHk
翌日、後藤との顔合わせ。
旧メン4人にとっては2回目だったし、みんなそんな大した感情は抱かなかった。
…たった一人を除いては。
安倍なつみ。
彼女は昨日の一連の後藤が菅原真理子を事実上「殺した」所を目撃していたため、
といっても彼女は菅原真理子が死んだことは知らないし、考えてもいなかったが…。
しかも話が聞こえていた訳ではないので、
保持者について何も知らない安倍にとっては、「何か異様な感じがする」程度のものだった。
が、関係者しか知らない筈の新メンバーの名前を、
もうそうでない福田明日香から聞かされていたこともあって、かなり動揺していた。
35 :
名無し娘。 : 2001/03/13(火) 01:21 ID:7PczLkwg
保全。読んでるから続き待ってる。
36 :
イチギ : 2001/03/14(水) 04:33 ID:O7UkzUck
「ねえ…彩っぺ。」
誰かに言いたかった。
写真撮影を先に終えたナッチは、同じくそれを終えた石黒に先日の一連の騒動をこと細かく伝えた。
それが石黒である意味は特になかった。
事情も良くわかっていない一連の騒動について、それに携わっていた者と常に一緒に仕事をしていかなければならない石黒に話すのは、保持者の事を抜いても得策とは言えなかったが、
彼女にはそれに気付く機転も、黙っておく自制心も無かった。
それが、その相手の人生を大きく狂わせることになる事に、
彼女がこの先気付くことは無い。
(まあ、長いスパンで見れば、そんな狂いなど大した事では無いのだが…。)
37 :
イチギ : 2001/03/16(金) 18:37 ID:E93kr9pA
あの路地裏での出来事はただの喧嘩。
あの子(菅原真理子)は、ただ具合が悪くなっただけ。
明日香は、関係者の知り合いがいただけ。
そう半ば無理やり納得したナッチとは逆に、その出来事をナッチから聞いた石黒彩は、
感情をナッチから移された様に動揺していた。
それもその筈、彼女は保持者では無いにしろ、その事を知っていた。
その彼女にとっては、間接的に聞いた明日香の話は、ナッチが感じたものとは別の意味を持っていた。
38 :
イチギ : 2001/03/19(月) 02:06 ID:u3kuqhsc
明日香の話を聞いた時から、石黒は大きな不安に刈られていた。
その不安は徐々に大きくなっていき、
もはや自分の中にとどめておく事が無いまでになった。
確かめよう。
たとえどんな無理な返答が返ってきても真に受けるつもりだった。
そして安心してアイドルを続けるつもりだった・・・。
39 :
イチギ : 2001/03/19(月) 02:06 ID:u3kuqhsc
タンポポのラジオ収録の後、
石黒はそれを実行に移した。
「ねえ矢口、こないだ事務所から20分くらいの路地裏にいたでしょ?
たまたまそこ通りかかったんだけど、
なんか女の子倒れてたけど、あの子大丈夫だったの?」
…………………
「キャハハ…な〜に訳のわかんない事言ってんのよ〜
マネージャ〜!こんな奴辞めさせちゃえ辞めさせちゃえ〜」
一瞬間をおいてマネージャーに向かって言った矢口の科白は、
もちろん明らかに冗談だという喋り方だ。
しかし、あまりに意味の通らない冗談に石黒は困惑した。
何故なら彼女は知らないから。
矢口がマネージャーに向かって言ったその「提案」こそが、彼女の能力の発動の鍵だと言う事に…。
40 :
イチギ : 2001/03/19(月) 02:07 ID:u3kuqhsc
矢口真里。
彼女の能力は、組織として成立しているものの「方向性」を指示する事。
ただしそれには、組織内にその選択肢がある事が条件である。
「石黒を辞めさせろ。」
その提案は、マネージャーを媒介して周り(事務所の人間)に伝わる。
その周りがさらにその周りに矢口の能力を伝える。
そして、もし事務所にその選択肢が有ったとしたら、
その方向へと徐々に動き出す。
そうなったらもう矢口本人ですら止める事は出来ない…。
41 :
イチギ : 2001/03/19(月) 02:53 ID:u3kuqhsc
4ヶ月後、とある番組の収録でその第一報は入った。
石黒彩脱退。
無論皆、今まで一緒に頑張ってきた仲間と別れなければならない悲しさに沈んでいたが、
それに対して、別の捕らえ方をする者もいた。いや、むしろそっちの方が多かった。
石黒彩本人。
決して自分の意思ではない決定に、不満や怒りを少なからず抱いていた。
矢口真里、保田圭。
その原因である彼女達は、もちろんその事に悲しみを覚える筈も無く、
むしろその選択肢が有った事に喜びすら感じていた。
正しくは石黒が脱退する事にでは無く、その先にあるものに対してではあるが。
そして…
42 :
名無し娘。 : 2001/03/25(日) 00:19 ID:73dFo.ac
保全
43 :
イチギ : 2001/03/25(日) 23:17 ID:HSqFtr9g
保全ってなんですか?
44 :
名無し娘。 : 2001/03/25(日) 23:46 ID:73dFo.ac
>>43 スレッドを削除されないようにするための書き込みです。
スレッド数が増えすぎると最終書き込みの古い順に削除されてしまうそうです。
45 :
イチギ : 2001/03/26(月) 00:17 ID:ytzak95M
そうなんですか。
ありがとー♪
46 :
イチギ : 2001/03/27(火) 03:03 ID:z06SOnwE
「どう思う?後藤。」
石黒脱退の報を受けたその夜、後藤の家に2人はいた。
物があまり無い…いや、あまりに無い部屋のベットで雑誌を読んでいる後藤に市井は問いかけた。
「何が?」
質問の意味は重々判っていたが、
あまりに広範囲な質問に、その方向性を絞る為に後藤はそのような答え方をした。
「いや、だから…彩っぺの脱退に矢口達は関わってると思う?」
厳密には矢口の能力のみについてだが、その意味は後藤に伝わった様だ。
「わかんないけど、もう菅原さんはいないんだから…。
そもそも私達は菅原さんがモーニング娘。に入るのを阻止するのが目的だったわけでしょ。
矢口さんが個人的な理由で能力を使っても私達には関係無い事じゃないの?
矢口さんの能力は実際に起こり得る方向にしか物事を変えられない訳で、
彩っぺが辞めたとしても辞めさせられたとしても所詮、悪い方の可能性に転がったってだけでしょ。」
壁よりのベットで雑誌から目を離すことも無く、といっても焦点は雑誌に合ってはいなく、
見た目とは裏腹に、真剣に話しに集中している後藤側と対面する壁に寄りかかった市井は、
後藤の答えが想像していたものとほぼ同じだった事もあって、別の事を考えていた。
47 :
イチギ : 2001/03/29(木) 02:55 ID:3UExl8Kk
市井が菅原真理子と出会ったのは、市井達がモーニング娘。に入る約1年前。
お互い能力を持っているのは自分だけと思っていた為、
その出会いは2人にとって衝撃的なものだった。
その時点ではあの「計画」など考えもしなかった。
厳密には事実上不可能だった。市井と菅原真理子の能力だけでは。
しかしその後の矢口との出会い、正しくは矢口の能力との出会いにより、
あの計画は実行へと向かって動き出す。
その際、矢口と行動を共にしていた女も菅原グループに入った。
もちろん彼女も特殊な能力をもっていた。
そして、計画の実行の媒体にモーニング娘。を選んだ理由の一部も「彼女」にあった。
48 :
イチギ : 2001/03/29(木) 02:56 ID:3UExl8Kk
その「彼女」の能力は殺意を見る事。
読んで字の如く、人が抱く殺意を、視覚によって感じる事が出来るのだ。
しかしその後、菅原グループに2人のメンバーが入り、いよいよ本格的に実行かという所で、
突如彼女は計画から抜けると言い出した。
その理由が分かったのは恐らく市井だけだろう。
彼女は優しかった。能力を持たない普通の人間の誰よりも。
とても世界を我が物になんて考えられる人間じゃなかった。
そして何より菅原真理子の能力を始めから知っていた。
菅原真理子に信頼さていたニ人の内の一人だった。(もちろんもう一人は市井だ)
洗脳されていない彼女に、これ以上菅原グループに居る理由など何も無かった。
その事を聞いた菅原真理子は困惑していたが(洗脳の事について)、
幸い、敵対する者のいない(と思っていた)菅原グループにとって、
殺意を見るという彼女の能力は特に必要ではなかった為、
お咎め無く彼女は菅原グループを去っていった。
49 :
イチギ : 2001/03/30(金) 05:54 ID:pze8rlx2
しかしそれはただの「記憶」であり、
壁に寄りかかる市井の脳裏にあったのはその後の記憶に関する事だった。
5月3日。市井、矢口、保田がモーニング娘。に入った日。
と同時に、菅原グループにも新たなメンバーが入った日でもある。
市井が考えていたのは、その新メンバー「2人」の少女の事についてだった。
市井は「現・菅原グループ」の中では矢口の能力しか知らない。
「現」と記したのは、矢口の他にも「洗脳」「殺意を見る」という二人の保持者の能力を知っていたが、
既にその2人は菅原グループには居ない。どころか一人はこの世にさえも存在しないからである。
50 :
イチギ : 2001/03/30(金) 05:55 ID:pze8rlx2
お互いの能力については話さないという保持者達の暗黙のルール
(矢口の能力は、計画の進行上知らない訳にはいかなかった為、全員が知っている。)
により保田や他のメンバーの能力についても知らない訳だが、
菅原真理子の能力をサポートする程度の能力しかない事は菅原真理子の言動、指示により読み取れていたが、
新たに入ったその「2人」については全くその能力に関する情報が無く、市井にとって未知数なものだった。
すなわち、その「2人」の能力が、菅原真理子のように世界を動かす程の能力である可能性も無い訳ではなく、
石黒の脱退はその能力に必要だったのかもしれない。
もし菅原真理子と同じ能力を持つものがもう1人居たと仮定して、
それがその「2人」の内の一人だったとすれば、石黒が脱退する事によって起こる選択肢「新メンバーを入れる」によってモーニング娘。に入ってくる可能性も有る。
しかし、保持者の能力は、指紋声紋DNAの如く、同じ物は事実上存在しなく、経験上市井もそれは分かっていた。
しかし市井の頭の中に「何か」が引っかかっていた。
51 :
イチギ : 2001/03/30(金) 06:01 ID:pze8rlx2
>>48の
>しかしその後、菅原グループに2人のメンバーが入り、いよいよ本格的に実行かという所で、
の2人と
>>49 >市井が考えていたのは、その新メンバー「2人」の少女の事についてだった。
の「2人」は別の人です。
なんかこんがらっがってきた。
もしかしてワケワカンナイ?
52 :
名無し娘。 : 2001/03/31(土) 10:39 ID:A./abIqQ
53 :
イチギ : 2001/04/01(日) 02:48 ID:go7FVVG6
1月も終ろうとしていたある日、それは市井達の耳に入った。
モーニング娘。メンバー増員。
それはもちろん矢口の能力によってもたらされたものである。
もちろんそれがそうであると市井は知らなかったが、
もしかしてそうではないのかと言う不安、いや、それはほぼ確信であったが、
何故そんな事をするのかと言う疑問にも似た不安に刈られていた。
だが、市井はそれを解決する為の行動に出た。
厳密に言えば行動するのは彼女ではないのだが…。
54 :
イチギ : 2001/04/02(月) 01:58 ID:B4H1VTtg
とあるライブ会場の楽屋。
時間に余裕があったため、モーニング娘。達は各自くつろいでいた。
それは楽屋の角に座って雑誌を読んでいる保田も例外ではなかった。
その楽屋に後藤の姿が見えないことに保田は気付いていなかったが、
余裕のある内にとトイレに立った直後に否応無く気付かされる事になる。
トイレへと向かう保田の目に、トイレに通じる優一の廊下の壁に立ったままよりかかって腕を組んでいる少女が映った。
そう。後藤真希だ。
「ごっちん何やってんの?こんなところで。」
「あ、圭ちゃん。」
別に特異な会話ではない。
もちろん普通の人間の誰が見ても特異ではないが、
「洗脳」について知っている者であっても、その会話に違和感は覚えないだろう。
なぜなら、前記の通り保田は洗脳されているとは言っても目的に関連しない部分では完全に普通の女の子なのだから…。
後藤のこともいわゆる「仲間」だと思っている。
もちろんあくまで「目的」を抜いた所でだが…。
55 :
イチギ : 2001/04/04(水) 00:31 ID:pF2G6NLc
だが後藤のその直後の行動はそれを大きく裏切る物だった。
まあ、後藤の方はそうは思っていなかったと言ってしまえばそれまでなのだが。
あれからもう大分経っていたけれど保田には分かった。
あの時と同じであると。いや、自分があの時の菅原真理子と同じ状況に立たされていると。
死を予感させるほどの重圧に押さえ込まれ、体が動かない。
目の前には自分に向けて手をかざしている後藤がいる。
「な…何で…」
自分たちの企みがバレているとは思っていなかったが、
自分がこの状況に立たされている理由は容易に想像できた。
案の定、この直後に後藤の口から出る言葉は想像していたものとほぼ同じだった。
「彩っぺが辞めたのも、メンバー増員も矢口の仕業ね。もうそれは分かっているわ。
ただあなた達が何の為にそんな事をするのかが分からないのよ。
教えてもらえるかしら。」
あなたに選択肢は無いわ。とでも言いたげな表情で後藤は保田にかざした手にほんの少しだけ力を込めた。
保田の顔が歪んだ。
56 :
イチギ : 2001/04/04(水) 00:50 ID:pF2G6NLc
これはあくまで「脅し」だった。
保田から菅原グループの企みを聞き出す為の。
ハナから能力を使うつもりは無かった。
だから自分のこの能力がいかに絶大な力を持っているか示していなければいけなかった。
だから保田の問いに答えない訳にはいかなかった。
「…ホントに殺せるのかしら?」
苦しそうな保田の口から発せられたその問いは、道徳的な事を示しているのだと思い
「あなたを殺しても私にも周りにも何の損害も無いわ。」
と答えた。あながち間違いではない。
しかし保田の問いは別の意味を持っていた。
「そういう事じゃないわ。ホントにその能力を今使えるのかしら?」
実際今使っているじゃないかと答えたかったが、保田はその間も与えずに続けた。
57 :
名無し娘。 : 2001/04/06(金) 02:00 ID:gnlHh.ck
保全
58 :
江田島平八 : 2001/04/06(金) 02:03 ID:Ezd7VA4.
59 :
江田島平八 : 2001/04/06(金) 02:03 ID:Ezd7VA4.
60 :
名無し娘。 : 2001/04/08(日) 07:11 ID:hAUOrdqI
保全
61 :
名無し娘。 : 2001/04/11(水) 01:00 ID:ovfWmozU
「私もけっこう色んな保持者を知ってるけど。
どの能力も必ずリスクとか条件とか悪い面があるわ。
矢口の能力だって選択肢が必要だし、私の能力にも条件があるわ。
それは後藤。あなたもじゃないの?
無条件に人が殺せる能力なんて都合がよすぎじゃない。
あなたはその条件を今、満たしているのかしら?」
後藤の能力にそんなものは無かった。
あえて言うなら外的衝撃に非常に弱いと言ったところだ。
しかし能力を使う気の無い後藤は事実上今能力を使えない。
それを条件不足と捕らえられてはもともこもない。
後藤は答えた。
「そんなものは無いわ。しいて言うなら外的衝撃に弱いって所ね。
まあ、動けないあなたが私に衝撃を与える事は出来ないでしょうけどね。」
それを証明する様に後藤は保田に近づき、その手を保田の胸元にあてた。
胸の開いた服を着ていたため、後藤の中指が直接保田の肌に触れた。
62 :
名無し娘。 : 2001/04/14(土) 00:21 ID:rKDduL6w
保全。
63 :
イチギ : 2001/04/15(日) 03:52 ID:2Anmj8LI
「…菅原グループ。」
突如小さな声で言った保田のその科白の意味を後藤が理解する間もなく
後藤の体に変化が起こった。
力が抜けるような感覚。
あくまで「ような」であり実際に後藤の力が抜けたわけではない。
しかし、後藤からは実際抜けていた。物理的な「力」でこそないが…。
保田は胸元にある後藤の手を、動かせないはずの右腕で払い除けて言い放った。
「残念ね。
私の能力は全容を知った保持者の能力をその相手に触れる事によって事実上「奪う」事よ。
後藤。あんたの能力は手をかざした相手に重圧を与える事。
その重圧は腕に込めた力に比例してより強力なものになる。
…そこまでは分かってたのよね。
外的衝撃に弱いか・・・以外と簡単な事だったのね。
まあ、その能力をあんたが使うことは永遠に無いけどね。」
勝ち誇った笑みを浮かべる保田は、呆然と立ち尽す後藤に向けて
「後藤。こーゆー事もあるからあんまり自分の能力を人に教えちゃいけないんだよ。もう遅いけど覚えときな。」
そう言い残して、もともと行く予定だった場所(トイレ)へと向かって去っていった。
64 :
イチギ : 2001/04/15(日) 03:59 ID:2Anmj8LI
第二章終わりって感じ。
保全してくれてる人ありがとー。
65 :
名無し娘。 : 2001/04/19(木) 00:27 ID:.aBZm6RI
hozen.
66 :
イチギ : 2001/04/20(金) 03:08 ID:F1xiZNh2
「全容を知った相手の能力を奪う。か… うかつだったわ。」
後藤と保田との一連のやり取りを聞いた市井は、部屋の中をウロウロしながら考え込んでいた。
通常ウロウロするにはちょっと狭い、ワンルームのマンションだったが、
その部屋には、異常なほどに物が無かっ為、問題は無かった。
「こっちの強みは後藤の能力だけだった訳だから、それが無くなったのはかなり痛いわね。」
保田は、能力の説明の際の「奪う」に、脅しの意味で、自分が使用できるというニュアンスを込めたつもりだったが、
後藤も市井もそうは受け取らず、「能力を消滅させる」と解釈した様だった。
「…そう言えば、圭ちゃんが能力を使うときに小さな声で『菅原グループ』って言ったような気がする。あれ何だったんだろ?」
もちろん「何だったのか?」とは。「菅原グループ」と言うフレーズについてでは無く、
何故あの状況であんな事を言ったのか?と言う事である。
その言葉を聞いた市井は更に考え込み、
5分後、何かひらめいたような顔をして言った。
「ホントに『菅原グループ』って言ったのね!?。」
「そうだけど…それがどうかしたの?」
自分で質問していながら後藤の話などまるで聞いていなかった。
「…そう言う事だったのね。
多分、圭ちゃんの能力は、全容を知った相手の能力を『奪う』んじゃなくて『分割』する事なのよ。」
後藤にはさっぱり意味が分からなかった。
67 :
名無し娘。:2001/04/21(土) 03:20 ID:d4tOHtXs
hozen..
68 :
イチギ:2001/04/22(日) 07:55 ID:.ULMavTs
「だからこう言う事よ。
後藤に触れたとき、『菅原グループ』って言ったんでしょ。
ということは、後藤の能力は『菅原グループ』の5人に『分割』されたのよ。
圭ちゃんは後藤の能力を分割したその場では使ってない。
使えば脅しの効果抜群なのにも関わらず。
ということは、5人が5分の1になった能力を使えるようになった訳じゃなくて、
きっと5人同時に条件を満たさなきゃいけ無いんだと思う。
もしそうなら矢口達がやってる事も説明がつくわ。
真理子が死ぬ前に圭ちゃんは真理子の能力を真理子以外の『菅原グループ』のメンバーに分割したのよ。
真理子の能力の発動の鍵は『見られる』ことでしょ。
『菅原グループ』を全員モーニング娘。に入れる事が出来たら…」
69 :
イチギ:
その先は後藤が答えた。
「ブラウン管越しに『洗脳』可能…。」
「そゆこと。
しかも向こうが5人揃えば後藤の能力まで使えるってわけ。
一気に形成逆転されたわけね。
まあ圭ちゃんの言う『菅原グループ』に私が入ってなければの話しだけど。」
「じゃあ次のオーディションには…。」
「多分、残りの3人全員応募してくると思うわ。都合良く募集も3人らしいしね。
しかも矢口の能力があるから全員合格もありえるわ。」
その推理は、多少の穴はあるもののほぼ合っていた。
後藤の能力の無い市井達にとってそれは事実上敗北宣言だったが、
市井も後藤もまだ1つ希望を持っていた。
ただ、その「希望」は2人とも違うものだった。