小説『モーニング警察署。』

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1ヘンリ猪口
TX系テレビ映画『警視庁UFA方面本部モーニング警察署。』
=第一話 ワイルド刑事(デカ)安倍軍団!=

1998年、愛憎渦巻くメカニカルタウン東京・UFA居住区。
この場所で生まれた子供たちは、本当の空の色を知らない。工場街
の煙突から舞い上がる煤煙は大気を汚し、濁った雲から降り注ぐ黒い
雨は、緑の大地を一面、死の色に染めていた。
金が真理、力こそ正義。こんな道理がまかり通る、この街は暴力と
破壊の信奉者たちによって、支配されていた。

もう季節は春だった。真昼なのに、とても寒かった。今日も黒い雨
が降っていた。
分厚いコンクリートの建築物に挟まれた路地裏では、まだ幼い二人
の少女が肩を寄せ合い、捨てられた子猫のように、うち震えていた。
その顔や手に、無数の細かい傷を負っている。服もあちこち破れ、
汚れていた。
勝手口の前の段差に、ちょこんと腰掛けている。ドアの上には、申
し訳程度に屋根――のようなものが設えられており、気休めぐらいに
は、冷たい雨から身を守ることができそうだった。
2ヘンリ猪口 : 2001/01/26(金) 07:57 ID:5/hdi8JE
「はやく、やむといいのれす。このくろいあめ……」
黒髪の少女が、舌足らずな声で呟いた。唇からは二本の八重歯がの
ぞいた。アングルによっては、人気絶頂のアイドル女優・広末涼子
に似ていなくもない。どちらかといえば美しい少女だ。推察できる本
当の年齢よりは、いくぶん大人びて見える。その子供子供した声とは、
少々ギャップがある印象があった。
「ウチは止まないで欲しいで。雨、降ってる間は、あのケッタイな
おっちゃんも、ここいらをうろつくことあらへんからな」
微かに茶色がかった髪をツインテールにした少女は、ぶんぶんと首を
振った。乳歯が抜けたばかりで、左の犬歯を欠いてはいるが、そのスキ
ッ歯ぶりさえ、彼女の持って生まれた、愛くるしさを損なうことはでき
ないようである。
3ヘンリ猪口 : 2001/01/26(金) 07:58 ID:5/hdi8JE
ケッタイなおっちゃん――あの人でなしの顔を思い浮かべた途端、二
人の少女の表情は暗く沈んだ。
「小降りになってきたし、そろそろ場所変えた方が良さそうやで」
「そうれすね、ひなんするのれす」
力なく立ち上がった少女たちは、路地を東に向かって歩き出した。と、
その矢先だった。
「おい、お前ら!」
下卑た太い声が、二人の背後から聞こえた。恐怖のあまり、八重歯の
少女はその場で凍り付いたように動けなくなった。みるみるうちに瞳が
涙で潤んでいく。が、ツインテールの少女は、その眼差しに怒りの感情
を込めて、キッと振り返った。
「なんやねんっ?」
後ろには安物のストライプスーツと、エナメルシューズで身をかため
た、醜い中年男が立っていた。手にはメリケンサックがはめられている。
あかん、ケッタイなおっちゃんや。見つかってしもた、ツインテールの
少女は舌打ちした。
4ヘンリ猪口 : 2001/01/26(金) 07:59 ID:5/hdi8JE
「げへへへへ。分かってるだろう、今日の分の稼ぎ、出してもらおうか」
ツインテールの少女の鼻先で、醜い男はメリケンサックをちらつかせた。
「あ、あらへん!」
突っ張った態度こそ崩さなかったが、明らかに彼女の声は震えていた。
「嘘つくな。この街にゃ、慈善家気取りの偽善者様が多い。身寄りの
ない、いたいけな少女が二人、ストリートで座り込んでりゃ、たんまり
お恵みがもらえるはずだぜ。げへへへへ」
白く濁った舌で唇を湿らせ、醜い男は肩で笑った。
「あらへんて言うたやろ、お前みたいなクズにくれてやる金なんか!」
「げへへへへ、威勢が良いねえ。また、痛い目に遭いたいようだな」
醜い男が拳を振り上げると、二人の少女は目をつぶって抱き合い、ガタ
ガタと震えた。どんなに殴られようとも、今日だけはこのお金を、こいつ
に渡すわけにはいかない理由があるのだ。絶対に渡すもんか。
5ヘンリ猪口 : 2001/01/26(金) 08:00 ID:5/hdi8JE
「あれ……?」
ところが、いっこうにパンチの雨が、二人の少女に降り注いでくる様子
はなかった。おそるおそる二人が目を開けてみると、醜い男の腕は、何者
かによって後ろからガッチリ掴まれていたのである。
「いてててててててて! 何しやがるー?」
醜い男が叫ぶと、何者か救世主――大げさな表現かもしれないが――は、
そのまま醜い男の右腕を捻り上げ、がら空きになった脇腹に回し蹴りを叩き
込んだ。吹っ飛ばされた醜い男は、積み上げられた回収前の生ゴミの山に、
頭から突っ込んでいく。
「生まれつき、弱い者いじめが大嫌いな性分なのよ。私ってさ」
驚くほど冷たい目で醜い男に言い放ち、そして二人の少女に優しい視線を
注いだ救世主は、小柄な大人の(二人の少女からはそう見えた)女性だった。
白いスウェットパーカーを着て、赤いチェックのミニスカートを穿いている。
「こ、このアマ〜!」
ゴミの山から抜け出した醜い男は凄んだが、女性の右手に握られた大型拳
銃を見ると、ハッと息を飲み、大いに慌てた様子で愛想笑いを浮かべた。
6ヘンリ猪口 : 2001/01/26(金) 08:01 ID:5/hdi8JE
げ、げへげへ。ま、まさか撃たないよな?」
(S&W M29マグナム8インチだと? なんで、そんな大層なモンを
持っていやがるんだ、このクソアマ。……そうか、思い出したぞ。白いパーカー
に赤いスカートっていう、お揃いの格好で、悪人退治に精を出す命知らずの女
刑事たちの団体さんが、この街にやって来たって噂をな。こいつはヤバイ!)
「モーニング署。のクソデカめ、覚えてやがれー!」
醜い男は足りない脳味噌をフル回転させ、状況を的確に判断すると、尻尾を
巻いて無様に逃げ出した。
「あ、あぶないところを、ありがとなのれす」
ぺコリと頭を下げる八重歯の少女。
「姉ちゃん、名前を教えてくれへんか? ナンパ目的じゃあらへんから」
ツインテールの少女の問いに、拳銃をホルスターにしまいながら、女性はふっ
くらしたホッペタを揺らし、ニッコリ笑って答えた。
「アスカ……福田明日香」
そう、彼女こそハードボイルド・安倍軍団のナンバー2。ありし日の福田明日香
刑事その人だったのだ。
7ヘンリ猪口 : 2001/01/26(金) 08:02 ID:5/hdi8JE
血と涙と煤煙で汚れた二人の少女の顔を見て、アスカの心は痛んだ。ストリート
チルドレン……かつては自分もそうだった。生まれてから誰も自分を守ってなんて
くれなかった。自分には夢も希望も何もなかった。今日生きられるかの保証さえな
かったのだから。
しぜん荒み切った生活を送っていた。道端に生えているケシの実を煎じ、コーラ
に混ぜては、寝酒代わりに飲んだりすることもあった。そうすることで、幸せな幻
覚を見ることができた。その間だけは、過酷な毎日を忘れることができた。そして、
夢から覚めては、喧嘩に明け暮れる毎日だった。
もし、あの時……つんく警視と出会っていなかったら。砂漠のように乾き切った
アスカの魂に、愛の心の芽生えとなる種を蒔いてもらえなかったとしたら……。
私は刑事になんてなっていなかった。とっくの昔に野垂れ死にしていただろう。ア
スカは思った。
まだまだ自分は非力で、あの時のつんくさんのように、この子たちに生命の保証や、
人生の目的なんて与えてあげることはできない。できっこないが、それでも抱きしめ
てあげることぐらいはできる。アスカは自分を見上げている、本当は自分とさして年
齢の変わらない二人の少女たちに、鍛え抜かれた腕を差し伸べかけた
8ヘンリ猪口 : 2001/01/26(金) 08:03 ID:5/hdi8JE
――ジリリリリリリリリリリ!――
けたたましい警報ベルの音が鳴り響いた。表通りの珈琲銀行から聞こえて来る。
また、強盗事件の発生か? アスカの表情に緊張が走った。
「いい、どんなに辛いことがあっても、挫けちゃダメよ」
二人の少女を抱き締めるかわりに、アスカはポーチに入っていた飴の詰まった袋
と、チョコポッキーの箱を、ウィンクしながら投げて渡した。
「ありがとう。たいせつにするのれす」
「うち、ポッキーの口溶け感が好きなんや。バイバイ!」
二人の少女の声を背中越しに聞きつつ、マグナムを右手に構えたアスカは、表通り
に躍り出た。覆面姿の男たちが、ジュラルミンケースを、銀行前に停めてあったグロ
リアのトランクにしまっているところが見えた。
「そこまでよ!」叫ぶとアスカは、マグナムを男たちめがけて派手にブッ放した。
「くそッ」仲間の一人が倒れたが、それを見捨てて、残りの男たちは急いで車に乗
り込み、逃走を開始する。
「モーニング署。の者です。車をお借りします!」
「え、ちょっと、困るよォ〜」
たまたま通りかかったローレルを停めたアスカは、警察手帳を見せて、無理やりド
ライバーを引きずり出すと、運転席に乗り込み、犯人のグロリアを猛追した。
「安倍団長に応援を要請しなきゃ」
ハンドル片手に、アスカはポケットから小型無線機を取り出した。
9ヘンリ猪口 : 2001/01/26(金) 08:04 ID:5/hdi8JE
アスカの所属する、警視庁モーニング警察署。特別機動捜査課の刑事部屋。散らかり
放題で、まさに無頼の女たちの溜まり場に相応しい雰囲気を醸し出している。
特別機動捜査課は、本庁や署の上層部からは、いわばハミダシ刑事たちの掃き溜
めのように考えられている。しかし、その実態は犯罪を誰よりも憎む、熱き心を強い
意志で包んだ凄腕の女刑事たちの集まりなのだ。
このセクションの創設者こそ、かつて史上最年少の警視総監誕生か、と騒がれた
元エリートのつんく警視だった。
「やかましい。何がキャリア組や。あさましい出世競争なんぞに興味あらへん。
デカは現場に出てこそデカなんや。もう好き勝手やらしてもらうわ。大決定や!」
などと当時の警察長官にブチ上げて、自ら課長のポストに収まったという経緯がある。
将来的には十人か、それ以上に増員するつもりだったが、つんく警視は、ひとまず
個性豊かな五人の女の子たちを、特別機動捜査課にスカウトしてきた。五人の過去の
経歴は様々だった。
10ヘンリ猪口 : 2001/01/26(金) 08:05 ID:5/hdi8JE
「牛乳飲んでも全然背が伸びないべさ〜」
冷蔵庫から取り出した牛乳瓶を、アッという間に空にすると、スレンダーな体つきを
した、瞳の大きな女の子が、はにかんだように笑った。
卓越した射撃の腕と、剛毅果断ぶりを買われて、北海道は室蘭警察署からやって来た、
なっちこと安倍なつみ部長刑事だ。トレードマークは白山眼鏡店のサングラスである。
ひ弱そうに見えて、他の四人の無頼の女たちを束ねるオーラがあるという。それは皆
が、いつの間にか彼女のことを団長と呼ぶようになったことに如実に現れている。
特別機動捜査課の女刑事たちは安倍軍団として、いまや多くの犯罪者たちから、蛇蠍
のように恐れられていたのである。
「団長は、とっても太りやすい体質なんだから、飲み過ぎない方がいいよ」
背の高い黒髪の少女が、じっと読み耽っていたオカルト関係の本から顔を上げ、団長
に釘を差した。彼女は飯田圭織刑事。黙っていれば相当な美少女なのだが、いかんせん
かなり電波な趣味を持っているため、周りからは敬遠され、いつも損ばかりしていた。
その運動神経は折り紙つきで、安倍軍団きっての肉体派だった。
11ヘンリ猪口 : 2001/01/26(金) 08:05 ID:5/hdi8JE
「そういうカオリこそ、宇宙人との交信もほどほどにしときや」
カオリを嗜めたのは、安倍軍団の最年長・中澤裕子刑事だった。他のメンバーと比べ
て化粧は濃いし、髪を短くしたら、ますます年増に見えるようになってはいたが、整っ
た顔立ちの美人であることには違いなかった。年齢からくる容姿の衰えに、全身全霊を
かけて逆らうことに喜びを見出している節がある。熱心にエステのパンフを見比べ、その
研究に余念がない。
姐さんことナカザーは、関西の小さな所轄で、24歳を過ぎてなお、刑事になる夢を
捨てきれず、交通課のミニパトで日夜カーチェイスを繰り広げていた実績が認められ、
晴れて特別機動捜査課の刑事にスカウトされてきた。本当は夜のバイトがバレて、飛ば
されてきただけだなんていう俗説は、彼女の前で間違っても口にしてはいけない。
「……(あんたら、少しは黙ってらんないのかな?)」
鼻にピアスをした女の子は、無言で部屋の片隅に置かれたミシンに向かっていた。
団員の中で、誰よりも服飾に造詣が深い、アヤこと石黒彩だ。ハーレーを乗りこな
し、二挺拳銃で戦う、寡黙ながら熱いロック魂を持った刑事だった
12ヘンリ猪口 : 2001/01/26(金) 08:06 ID:5/hdi8JE
各人、好き勝手なことをやって、てんでバラバラに見える無頼の安倍軍団。
しかし、その真価は事件があっての時にこそ、発揮される性質のものなのだ。
「あ、あああ、安倍くん。大変だよ。強盗事件だ。珈琲銀行が、五人組の
男たちに襲撃された。どうにかならんのかねー?」
刑事部屋に、和田係長が息せき切って、駆け込んできた。途端に全員の目つ
きがかわった。
「いま、福田くんから連絡があった。犯人一味を追って、青梅街道を走行中
らしい」
「つまり、犯人は都心から郊外に向かっている。そういうことだべね?」
「えーえー、そうだ。頼んだぞ、安倍くぅん」
 拝むような目で、安倍を見つめる和田係長に、彼女は頼もしく頷いてみせた。
「全力をあげるだべさ。いくぞ、みんな!」
団長のスカイライン・ジャパンターボを先頭に、アヤのハーレー、姐さんと
カオリの乗った黒いセドリックが、モーニング署。のガレージを飛び出した。
13ヘンリ猪口 : 2001/01/26(金) 08:07 ID:5/hdi8JE
「うへへへ、モーニング署。のデカめ。これでもくらえ!」
犯人一味の乗ったグロリアの窓が開き、アスカのローレルめがけて、褐色の
筒のような物が投げ付けられた。先端からは火花を散らす導火線が伸びている。
「ダ、ダイナマイトだとォ?」
アスカは慌ててハンドルを右に切った。直後に爆発が起こった。左のウィ
ンドーが砕け散り、爆風が塵芥と窓ガラスの破片を巻き込んで、アスカに襲
い掛かった。
口の中がジャリジャリするし、肩のあたりがチリチリ痛むが、もちろん
これくらいでへこたれる、ド根性アスカ様ではない。
「このクルマ、借り物なのにどうしてくれんのッ!」
左手でハンドルを握ったままアスカは、窓から右半身を外に出し、ほとんど
箱乗りの状態で、犯人のグロリアめがけて発砲した。
――ドゴッ!――
放たれた44マグナム弾は、トランクの蓋をフッ飛ばした。
「チッ……外れたか」
アスカは舌打ちした。燃料タンクに命中していれば、派手な炎上シーンが
拝めたというのに。かえすがえすも残念だ。
14ヘンリ猪口 : 2001/01/26(金) 08:08 ID:5/hdi8JE
「あ、兄貴ヤベエよ。このままだとやられちまう!」
「うへへへへ、そんならそこの建物に逃げ込むぞォ」
犯人一味は相談の結果、通りの奥に見えた廃工場の敷地内に逃げ込むこと
に決めた。
「団長、アスカです。犯人一味は青梅市内の廃工場に立てこもった模様。
これから確保に向かいます」
そう無線で連絡したアスカは、ローレルを降りると、打ち捨てられて
五年以上は経過していると見られる廃工場の建物に足を踏み入れた。
右手にマグナムを構え、あたりの様子を窺う。
「そこだ!」
アスカは振り向きざま、フライス盤の蔭めがけて、引き金を絞った。
「ぐわっ――」
胸を押さえて、犯人の一人が通路に転がり出た。それきり動かなかった。
ひとり仕留めた。さっき銀行の前で片付けた奴も差し引くと、残るはあと
三人ということになる。どこだ、どこに潜んでいるのだろう。アスカは、
敵の気配を察知しようと、全身の感覚を研ぎ澄ました。
15ヘンリ猪口 : 2001/01/26(金) 08:08 ID:5/hdi8JE
――ぱらららららららららららららららら!――
突然、タイプライターのキーを叩くような音が、建物の中に響き渡った。
「やばっ」
着弾するより早く、アスカは机の下に転がり込んだ。同時にアスカの立って
いたところに、黒い孔が幾つも開くのが見えた。
発射音は三方向から聞こえてきた。まずい、囲まれている。連中は全員、サブ
マシンガンで武装しているのか。一味が建物の中に逃げ込む時は、あんなものを
持っているようには見えなかった。たぶんジュラルミンケースの中に、奪った現
金と一緒に入っていたのだ。けちな強盗だと思って油断していた。いくらアスカ
でも、一度に三人のマシンガン使いを相手にするのはきつい。
「うへへへへ、生意気な小娘め。念仏でも唱えな〜」
サディスティックに笑った三人の犯人たちは、ゆっくりとアスカ包囲網を狭め
てきた。
「たとえるならこの状況は……『雌豹刑事アスカ、絶体絶命!』って感じかな」
覚悟を決めたアスカが、立ち上がってマグナムを構え直すのと同時に、廃工場
の扉が蹴破られ、アスカと同じ白いパーカーに、赤いチェックのスカートという格
好の女たちが四人、一斉に雪崩れ込んできた。
「団長! みんな!」
アスカは、心底嬉しそうに叫んだ。これだ、この素晴らしすぎるほどのタイミング
の良さが、安倍軍団の真骨頂なのだ。
16ヘンリ猪口 : 2001/01/26(金) 08:09 ID:5/hdi8JE
「攻撃開始だべさ!」
安倍団長の合図で、四人の銃が火を吹いた。
「虫けら、うざいよ」
アヤが左右に持ったコルトローマンから放たれた357弾は、確実にひとりのマシ
ンガンを撃ち落とし、太ももを射抜いた。
「やっと見せ場が来た〜」
姐さんの弾丸も、一人の利き腕を撃ち抜き、撃たれた犯人はその場でのたうちまわった。
「あ、当たらないよぉ。んも〜」
しかし、カオリは一発も命中させることができなかった。弾切れを起こしたので、
リロードしながら地団駄踏んだ。
「なにやってるべさ?」
団長はスコープ付きのショットガンを連射した。最後の犯人のマシンガンが撃ち落と
され、ズボンのベルトのバックルが弾き飛ばされた。
「いやーん、エッチ!」
最後の犯人のズボンが、ストッと下に落ちた。
「ヘンなもの、見せるな!」
顔を真っ赤にしている最後の犯人に、カオリが襲い掛かった。そして、鮮やかなパン
チとキックの波状攻撃を浴びせて、アッという間に気絶させた。
「団長!」
「アスカ、よくやったべさ」
団長とアスカは、万感の思いを込めて、見つめ合った。そこには美しい女の友情だけが
存在していた。
17ヘンリ猪口 : 2001/01/26(金) 08:10 ID:5/hdi8JE
つんく課長の部屋に、息を弾ませて和田係長が飛び込んできた。
「やりましたよ、課長! たったいま、無線が入りました。安倍くんたちが、無事、
珈琲銀行襲撃犯を逮捕しましたぞっ」
書類の束から目を上げた課長は、目を細めて笑った。
「そうかい。さすがは団長さん。天下の安倍軍団や〜」
「では、さっそく乾杯といきましょう!」
係長は課長室の棚から、バーボンの瓶とグラスを二つ取り出した。
「さあ、ぐいっと。えーえー、良い飲みっぷりですなー」
グラスを空にした、つんく課長は指で開けたブラインドの隙間から、遠くを見つめて
微笑んだ。
18ヘンリ猪口 : 2001/01/26(金) 08:10 ID:5/hdi8JE
スラム街の、あるバラック小屋の中。傾いたベッドで横になる、やや浅黒い肌をした
少女を囲んで、三人の少女が立っていた。
「梨華ちゃん、大丈夫やろか?」
ツインテールの少女が口を開いた。
少し前まで、ふくよかだったやや浅黒い肌の少女は、
病に倒れてから、面影もないほどに痩せ細ってしまった。もはやウェストは55センチ
もないのではないだろうか。すこし鼻は低いが、かなりの美形である。額には苦しげな
汗が浮かんでいた。
「しんぱいなのれす」
八重歯の少女の目は潤んでいた。
不安げな二人の幼い少女たちを安心させるように、モデルなみに均整の取れた体つき
をした、背の高い少女は二人の頭を撫でて言った。その穏やかな口調や、しゃんと伸び
た姿勢は、元は彼女が良家の子女だったことをうかがわせるのに十分だった。
「平気だよ。二人が買ってきてくれた薬、ちゃんと飲ませたんだから」
二人の幼い少女は、こくんと頷いた。そして小屋の外に出た
19ヘンリ猪口 : 2001/01/26(金) 08:11 ID:5/hdi8JE
つじはー、きめたのれす!」
八重歯の少女が、意を決したように、真剣な表情で言った。
「へ、何をや?」
きょとんとするツインテールの少女に、八重歯の少女はふんぞり返って宣言した。
「つじもー、さっきわるものから、つじたちをたすけてくれたアスカさんみたいな、
りっぱなけえじさんになるのれすっ」
「あ、あんた……」
「な、なんれすか、そのひとをばかにしきったようなめは?」
「ちゃう、ちゃうで。じつはうちも同じこと考えとったんや」
二人の少女は、互いの顔を見合わせ、てへてへと笑った。
およそ二年後に、晴れて安倍軍団入りを果たすことになる彼女たちは、このとき
アスカと再会できることを信じて疑わなかった。

談笑を終え、廃工場を後にする安倍軍団の面々。
「んー、仕事の後の一杯は最高だねぇ」
スカイライン・ジャパンターボの助手席に座るアスカは、晴れがましい気持ちで、
団長からもらった牛乳を飲み干した。
「だべ?」
運転席の団長は、アスカの肩をぽんと叩いて笑った。
【第一話・完 皆様、まだ続けてもオーケイですか?】
20ヘンリ猪口 : 2001/01/26(金) 08:12 ID:5/hdi8JE
=PART−1前期シリーズのレギュラー=

☆安倍なつみ部長刑事→
『団長、なっちさん。白山眼鏡店のサングラスにショットガ
ンがトレードマーク。太りやすい体質を気にしている。無類
のゲーム好きで、徹夜することも多々あり』
☆福田明日香刑事→
『アスカ。元ストリートチルドレン。本庁狙撃班出身で爆弾
解体も得意。団長の右腕的存在。実直な根性娘』
☆中澤裕子刑事→
『ナカザー、姐さん。すでに高齢だが、気力体力とも若者たち
に全く劣らない。団長の左腕、軍団の精神的支柱。いまだ独身』
☆飯田圭織刑事→
『カオリ。運動神経抜群だが、考えることは苦手な肉体派……
に見えるが、いざという時は脳内コンピュータが起動し、高速
演算が可能なサイボーグ刑事と化す』
☆石黒彩刑事→
『アヤ、彩っぺ。服とバイクが好き。ハーレーを乗り回し、
二挺拳銃で戦う。ひと睨みでチンピラを気絶させる強面』

21ヘンリ猪口 : 2001/01/26(金) 08:14 ID:5/hdi8JE
皆さん、どうもお邪魔しました。
サーバー汚しになっていないといいですが……。
22ジゴロ : 2001/01/26(金) 08:37 ID:GIdJEt1U
もういいよ。終わろう
23名無し読者 : 2001/01/27(土) 07:03 ID:mIFUnCRg
新連載おめでとうございます。
娘。小説総合スレッドの方であげさせていただきます。
24名無し娘。 : 2001/01/27(土) 14:43 ID:itBMW9YA
34個目
25ヘンリ猪口 : 2001/01/29(月) 01:40 ID:.k0qFiWg
PART−1第30話『ニューフェイス・走れチビンバ!』あらすじ

安倍団長の恩師が急性白血病に倒れた。助けるには骨髄移植するしかない。唯一
のドナーは三年前、麓多摩署襲撃事件を起こし、瀬谷刑務所に収監中の矢口真里だっ
た。自ら面会に出向き、骨髄を提供してくれるよう説得する団長。だが矢口は頑なに
拒んだ。デカなんて大嫌いだというのだ。
翌日、安倍軍団の元に、矢口が脱獄したとの情報が飛び込んできた。ただちに矢口
の射殺命令を出す麓多摩署長。
矢口が射殺されたら、恩師の助かる道はなくなってしまう。何としても麓多摩署よ
り先に矢口の身柄を確保しなければ。軍団員たちは行動を開始した。福田刑事は麓多
摩の山中で、ついに矢口を捕らえたが、麓多摩署の狙撃班は福田もろとも、矢口を射
殺しようと謀る。
この事件には裏があると福田は悟り、手錠で繋がれたままの矢口を連れ、麓多摩山中
を舞台に一大逃走劇を繰り広げる。
「骨髄ドナーに登録するほどの女が、無意味に警察を襲撃したりするものやろか?」
課長の一言を受け、三年前の事件を洗い直す安倍団長。そこには矢口の悲しい過去が
隠されていた。三年前、麓多摩署長と狙撃班長の働いた不正とは……?

26ヘンリ猪口 : 2001/01/29(月) 01:41 ID:.k0qFiWg
PART−1第31話『新人サヤカの夜明け』あらすじ

 つんく課長の推薦で、千葉県警から新鋭の刑事・市井紗耶香が転任してくる。ところが
市井刑事はモーニング署。に現れたその足で、課長のもとをたずね、涙を浮かべながら
この転任命令を取り消して欲しいと申し出た。課長はその理由を問い質したが、市井は頑
として言わない。そんな折、モーニング署。管内でトレインジャック事件が発生した!

PART−1第32話『新人・ケイが翔んだ!』あらすじ

 新たに課長はマクド署の熱血刑事・保田圭をヘッドハンティングした。ところが安倍
団長との顔合わせも済まないうちから、保田は強盗事件に巻き込まれてしまった。おか
げで保田を知らない団長は、彼女が強盗犯の一味ではないかと疑ってしまう……。新人
中で最も高い完成度を評価された保田圭がモーニング警察署。に初登場!
27ヘンリ猪口 : 2001/01/29(月) 01:44 ID:.k0qFiWg
PART−1第123話『1999年・春 アスカ・絶命!』あらすじ

 モーニング署。は福田刑事の本庁栄転の噂でもちきりだった。しかし彼女の腹は決
まっていた。自分は一生、安倍軍団にいたい! 自分は安倍軍団のアスカなのだ、と。
 そんな折、「鈴木という女を釈放しろ!」との脅迫電話が、特別機動捜査課にかかっ
てくる。鈴木の釈放を果たすため、敵の小室一味は無差別爆弾テロという手段に出た。
 福田は敵のアジトをつかむため、安倍団長に無断で鈴木を逃がす。鈴木の後を追って、
たどり着いたアジトはもぬけの殻になっていた。福田がそこで目にしたものは、安倍軍団
壊滅作戦の全貌を記した計画書だった。大型爆弾の仕掛けられた港の倉庫に軍団を誘い
出し、皆殺しにしようというのだ。皆が危ない! 焦る福田の右胸を、潜んでいたスナ
イパーの凶弾が貫いた。それでも福田は立ち上がった。
 「団長、爆弾だ! コンテナボックスに爆弾が!」
 朦朧とする意識の中、港へパトカーを飛ばす福田が叫ぶ。そして軍団全員の前で、
傷付いた福田の小さな体にマシンガンの弾雨が降り注いだ。
 「皆とデカをやれて良かった。ありがとう――」
 シリーズ開始以来、エースの重責を担ってきた福田刑事の殉職編。

28ヘンリ猪口 : 2001/01/29(月) 01:45 ID:.k0qFiWg
PART−2第1話『安倍軍団・激闘再び!〜後藤登場〜』あらすじ

 つかの間の平和は一本の犯行予告電話によって破られた。ニトロを仕掛けたトラック
を商店街の真ん中で爆発させるという。
 出動した安倍軍団だったが、犯人を取り逃がしたばかりか、炎上する商店街の建物を
なす術もなく見つめるよりほかなかった。福田刑事の殉職による戦力と士気の低下は予
想以上のものだったのだ。
 そんな折、特別機動捜査課に新しい刑事が転任してくる。亡父と同様、山岳警備隊に
所属していた元エリート中のエリート・後藤真希だ。警部の地位を捨ててまで、彼女が
一介の刑事として安倍軍団に転属を望んだ理由を知る者は、軍団に誰もいない。
 その後も再三、犯人から脅迫の電話があり矢口(知→×)たちは動くが、あくまで
後藤は単独行動を取り続ける。業を煮やした市井は、ついに後藤を殴り飛ばした。
 一方つんく課長は、後藤の山岳警備隊時代の上司平尾から、彼女が最後の事件で腰部
に被弾している事実を聞き出す。骨髄の奥まで達した弾丸を摘出することは不可能で、い
ずれ溶け出した鉛が全身の神経を侵して、彼女は死に至るというのだ。
 課長に呼び出された後藤は懇願する。この事実は団長以外には他言無用。デカ人生の
最後を安倍軍団で飾らせて欲しいと。
 犯人一味は犯行の仕上げとして、航行中を乗っ取ったフェリーにニトロを仕掛けた。
団長はニトロ撤去の危険な任務に、後藤と市井の両名を指名するが……。
29ヘンリ猪口 : 2001/01/29(月) 01:50 ID:.k0qFiWg
PART−2第15話『姐さんと泥棒』あらすじ

 レコード会社の大物・田中が自宅から連れ去られた。窃盗の常習犯・加藤が捜査線上
に浮かぶが、加藤はつい先日、中澤刑事に出所祝いをしてもらったばかりだった。
 一方、田中が仕事上で数々の工作を行っていたものの、良心の呵責に耐えかねて内部
告発をする気だったことが判明する。しかし、音楽業界を揺るがす肝心の証拠書類は、田
中邸から現金入りのジュラルミンケースごと、何も知らない加藤によって盗まれていた。

PART−2第35話『絶命・炎のハーレー 石黒刑事・殉職!』あらすじ

 アパートの一室で爆弾を密造しているとのタレコミを受けた保田、石黒の両刑事は、
すぐさま現場に向かったが、犯人の一人に狙撃され、石黒をかばった保田が重傷を負って
しまった。
 責任を感じた石黒は、団長のサポートのもと、保田を撃った犯人を追い詰めるが、
一味の仕掛けた爆弾が、幼稚園バスに仕掛けられていることを知る。
 急いで園児たちを避難させたが、そこは住宅街のど真ん中。爆発したら大変な被害が
出ることになる。解体する時間は残されていなかった。
 爆弾の入ったリュックを背負った石黒は、そのまま人気のない場所までハーレーを
飛ばし、爆発に巻き込まれて壮絶な殉職を遂げる。
30名無しさん : 2001/01/29(月) 03:13 ID:L8RvPxLI
彼女たちの戦いはまだ始まったばかり!
モーニング警察署。は終了しました。
さようなら。
31名無し娘。 : 2001/01/29(月) 23:42 ID:8zt4P0mo
前に放送されたパート1・30話『走れチビンバ』ですが、
スペシャル版のGメンと、多々ストーリーが
かぶっていたのが気になりました。
その上33話からの、ダラダラつづく、
まるで「週間少年ジャンプ」のような展開に退屈でした。
パート3では、1話で出てきた4人が
出てくるそうで楽しみです。
(山梨県・主婦23才)
32ヘンリ猪口@黒木氏は警察長官 : 2001/01/30(火) 00:35 ID:U78li/sQ
PART−3第1話『チャーミー石川、危機一髪!』あらすじ

 銀行に二人組の強盗が押し入り、現金を奪って向かいの喫茶店に逃げ込んだ。連絡を
受けた安倍たち軍団員は現場に急行したが、犯人が客や従業員を人質に立てこもっている
ため、手も足も出ない。
 「はぁ、私に任せれば? すぐに犯人ブチ殺して、人質全員ココに連れて来るよ」
 マグナム片手に強気の発言をする後藤。しかし団長は首を縦に振らなかった。
 人質の中に、本日付でモーニング署。に転任してくる予定になっていた石川梨華が
いることが分かっていたからだ。団長は全てを石川に託す気持ちをかためていた。
 「任せて下さい団長。チャオ〜」
 石川と犯人一味の凄まじい神経戦が始まる……。

PART−3第7話『“よっすぃー”がやってきた!』あらすじ

 犯罪結社の姿なきドンの正体をつかむべく、団長は潜入捜査官に後藤を指名した。
 ところが一味の吉澤という女が、何かにつけて後藤の邪魔をする。ついに堪忍袋の
緒が切れた後藤は、自分の任務も忘れて吉澤を叩きのめそうとするが、あっさり返り
討ちにあってしまう。なんと彼女は新たにモーニング署。に着任する刑事の吉澤ひとみ
だった。手土産がわりに結社を壊滅させようと、極秘で捜査していたのだ。
 つんく課長から高い評価を受ける天才美少女、華麗に登場!
33ヘンリ猪口 : 2001/01/30(火) 00:37 ID:U78li/sQ
PART−3第12話『辻加護がタンクでやって来る!〜無防備都市〜』あらすじ

 自衛隊の南冨士演習場から多目的装甲車が盗み出され、銀座のど真ん中に出現した。
 現場に残された指紋から犯人は、三年前団長が強盗事件で逮捕する前に国外逃亡した
平家充代と分かった。平家がなぜ装甲車を盗んで銀座に現れたのか思案する団長。
 平家とその黒幕は、団長に軍団の解散および、まる一週間の全警察機構の停止という
途方もない要求を突き付けてくる。団長は装甲車をダイナマイトで爆破しようと決意。
 中澤と吉澤を特攻メンバーに選出するが、平家の装甲車の前に、謎の少女二人組の
操縦する大型戦車が立ちはだかった。二人は悲しい運命に翻弄される平家を助けること
ができるのか?
 辻希美と加護亜依、新時代の訪れを感じさせる期待のニューフェイスが初登場!
34ヘンリ猪口 : 2001/01/30(火) 10:17 ID:MmVKcjyY
PART−3第16話『眼を開け!カウガール』あらすじ

 現金を横領した女子銀行員を殺害した容疑で手配中の吉竹という男が殺された。飯田
刑事は現場から立ち去ろうとした不審な女りんねを目撃し、彼女を追跡するが簡単に
まかれてしまう。
 一方、団長は北部酪農信用組合の女子職員が、五千万円を引き出したまま行方不明に
なっていることを知る。暴力団に追われる女子職員は、りんねの腹違いの妹だった。

PART−3第24話『出発(たびだち)』あらすじ

 市井刑事が念願の国際刑事警察機構(ICPO)の出向試験に合格し、一週間後パリ
に発つことになった。そんな矢先、高級マンションの一室が爆破されゼネコン社長が
殺されるという事件が発生する。
 これが日本で最後の仕事と、市井は張り切るが、彼女らしくないとんでもない失態
をやらかしてしまうのだった。
 ストイックなまでに己の刑事道を追求した二枚目刑事・市井紗耶香、最後の出演!
35ヘンリ猪口 : 2001/01/30(火) 10:18 ID:MmVKcjyY
PART−3第38話『安倍軍団フォーメーション』あらすじ

 バイクの三人組が、交番やパトカーを襲撃し、さらにクレーン作業員を殺害した。
吉澤刑事には思い当たる節があった。一月前、吉澤が追った自動車窃盗犯が、逃走
中に建設現場に迷い込み、クレーン車にぶつかって死亡するという事件があったのだ。
殺されたのはその時の作業員で、犯人は窃盗犯の姉とその一味だった。
 吉澤に復讐を誓う三人組は、テロ行為を繰り返したうえ、吉澤本人にテレビで「私
は殺人刑事です」と告白するよう脅迫してくる。
 三人組が巧みに操るバイクの前に、手も足も出ない安倍軍団だったが、そこへ課長
が発注していた赤・青・黄、三台のスーパーパトカー完成の知らせが届けられる。

PART−3第45話『走る炎!なっちのミサイル大作戦』あらすじ

 自衛隊御用達の重工会社から、最新鋭ミサイルと技師数人の身柄が奪われた。誘拐
された技師の一人の遺体が最上川に浮かんだ。
 山形県警の依頼を受けた安倍は、軍団を引き連れて山形の酒田に急行する。間もな
く事件の首謀者として、元香港マフィア・マクベス松浦の存在が明らかになった。
 団長たちは必死でミサイルの行方と、松浦の狙いを探るのだが……。
36ヘンリ猪口 : 2001/01/30(火) 10:19 ID:MmVKcjyY
PART−3TV版最終話『生命果てるまで〜後藤刑事、絶唱!〜』あらすじ

 後藤刑事の腰部に食い込んだ弾丸が、次第に彼女の体を蝕み始めていた。すでに
手足の感覚が麻痺している。
 折しもマシンガンで武装した五人組の強盗が逮捕され、後藤は銃の出所を捜査
するが、ついに加護たちの前で吐血して倒れてしまう。
 病院を抜け出した後藤は、団長のサポートでシンジケートを一網打尽にする。
 「皆にこれ以上弱った姿を見せたくない。そんなの耐えられないよ」
 辞表を提出した後藤は、衰弱した体を引きずって、かつて亡父が遭難した冬山
に姿を消すが、そこには手塚と名乗る顔中傷だらけの医者が待っていた。
37ヘンリ猪口 : 2001/01/30(火) 10:20 ID:MmVKcjyY
PART−3完結編『安倍団長、暁に死す!』ダイジェスト版・怒涛の大公開SP!

矢口「血が止まらねえよ! 団長の血が止まらねえんだよ!」
後藤「団長ー!」

記者「フフフ、安倍と浜崎。こいつはすごい戦いになりそうですな」

課長「団長さん、疲れただろう。妹みたいに好きやった。さよなら――」

浜崎「私は全世界に恐怖をばらまく。徹底的に恐怖を撒き散らした時、私は頂点に
   登り詰め、すべてから自由になる」
安倍「そんな真似はさせんだべさ!」

              【配給:テレビ東京 シネセゾン渋谷ほか全国で超公開】
38ヘンリ猪口 : 2001/01/30(火) 10:24 ID:MmVKcjyY
コメントを下さった数少ない読者様。心から感謝を申し上げます!
ありがとうございました。
39名無し読者 : 2001/01/31(水) 05:57 ID:DW.6uRbI
娘。小説総合スレッドの方であげさせていただきます。
40ナレーター : 2001/01/31(水) 23:29 ID:EWrofXko
来週からこの時間は『私鉄沿線恋レボ21分署』をお送り致します。

併せて特報――日曜の夜に“なっち”が還って来る!
新番組『ピッグ〜警視庁捜査第8班〜』
射殺率99.9パーセント、人は彼女たちをピッグと呼ぶ。安倍班長の活躍に御期待下さい!

ハマの主役は水原、鷹山&大下から二人の少女たちへ……
新番組『あべない刑事』
ダンディ福田とセクシー後藤、二大スター夢の共演が実現!

モーニング警察署。は目産自動車と御覧の各社の提供でデッチ上げました。
41ヘンリ猪口 : 2001/02/01(木) 15:22 ID:DMAb.WNM
木曜洋画劇場 特別企画
『さよならモーニング警察署。〜安倍団長、暁に死す! 娘たちよ永遠に…〜』

【0.2001年・春 フランス共和国・首都パリ】
   安倍団長、国際部長刑事会議に参加。
   セーヌ川のほとりを歩く安倍に、フランス出向中の市井が駆け寄ってくる。
   抱き合う安倍と市井。

【1.オープンカフェ】
   雑踏の中のカフェテラス。一瞬でカップを空にする安倍。
安倍「サヤカ、随分垢抜けたような気がするだべさ」
市井「マジっすか」
   ル・オモ・ボーグ風ファッションに身を包んだ市井、照れたように笑う。
市井「ところで団長。ゴダールという男を御存じですか?」
安倍「詳しくは知らないたべさ」
   サンドイッチを一瞬で平らげ、追加を注文する安倍。一息おいて
安倍「通称・死の天使。世界中のテロリスト達のスポンサーとして知られる男だべ。
   鮮血の月曜日事件、アイーン大使館爆破事件の黒幕は、こいつだったと聞い
   てるべさ」
   口笛を吹く市井。追加のサンドイッチにむしゃぶりつく安倍。
市井「それだけ知ってれば十分ですよ。フフ、これからパリ市警がゴダールの逮捕
   に向かうんですが、団長。よろしければ御一緒しませんか?」
42ヘンリ猪口 : 2001/02/01(木) 15:23 ID:DMAb.WNM
【2.テロリスト・ゴダールの潜伏先】
   郊外のアパートメントの入口周辺。パリ市警のパトカーが多数停車する。
   武装した警官たちに混ざり、安倍と市井が降りてくる。
市井「五人、裏に回れ。残りは正面をかためろ」(フランス語で喋るので字幕挿入)
   市井の指示に従い、機敏に動く警官隊。市井を頼もしげに見つめる安倍。

   拳銃片手に、愛人を連れた若い白人男性が外に飛び出してくる。
ゴダール「くそ、なぜ此処が分かった?」(字幕挿入)
   階段を駆け下りながら市井めがけて発砲するゴダール。弾は当たらない。
   肩をすくめる市井。拳銃を構える。
市井「撃て!」(字幕挿入)
   号令に従って市井、警官隊が一斉に発砲する。ゴダールと愛人は、血まみれに
   なって階段を転げ落ちる。

市井「仕留めたな。フフ、任務完了!」(任務完了のみフランス語。字幕挿入)
   爪先で二人の遺体を転がし、無線機でICPO本部に連絡を入れる市井。

43ヘンリ猪口 : 2001/02/01(木) 15:24 ID:DMAb.WNM
【3.ド・ゴール空港】
   搭乗手続きを済ませる団長。
市井(声)「団長、私は来年日本に戻ります。また一緒に仕事しましょう!」
   市井の顔を思い浮かべ、微笑する安倍。ゲートに向かって消える。

【4.オープニング】
メインタイトル『警視庁UFA方面本部モーニング警察署。PART−3完結編』
メインテーマ
サブ・タイトル『安倍団長、暁に死す! 娘たちよ、永遠に…』
F・O
44ヘンリ猪口 : 2001/02/01(木) 15:25 ID:DMAb.WNM
【5.お台場・ビル建設現場】
   黒塗りの乗用車の中で、二人の白人男性が頭を撃ち抜かれて死んでいる。
   パトカーや鑑識の車が停車している。立ち入り禁止のテープが張り巡らされている。
   現場には矢口、辻、加護の三人の刑事がいる。
矢口「あ、裕ちゃん。ご苦労様です」
   到着した中澤に一礼する矢口、辻、加護。白手袋をはめる中澤。
中澤「何があった?」
矢口「殺人事件よ。ガイシャは二人。所持していたパスポートから、二人はフランスの
   ファッション雑誌の記者とカメラマンってことが分かったんだ」
   頷いた中澤、辻と一緒に被害者の遺体を覗き込んで顔をしかめる。
中澤「ひでえな、こりゃ。45口径弾くらったせいか、グチャグチャになってら」
辻希「の、のうみそが、まっかなゼリーみたいに。うっ……こおいうのダメなのれすぅ」
   辻、顔を背ける。背後の加護、ミートソースをたっぷりかけた即席パスタを食
   べている。質感が脳味噌にそっくり。
加護「ははは、神経質やな。辻ちゃんは〜」
辻希「おえっぷ――」
   辻、両手で口元を押さえうずくまる。
矢口「殺人現場で飯を食うなー!」
   矢口が加護に説教を始める。中澤は車のダッシュボードの中から、タイプ打ち
   された一枚の書類を発見する。
中澤「なんだろ、これ。フランス語で書かれているみたいだけど、誰か読める子……」
   中澤、喧嘩を始めた矢口と加護、ボロボロの辻を見て、溜め息をつく。
中澤「いるワケないっか」
45ヘンリ猪口 : 2001/02/01(木) 23:11 ID:tqE9CRR6
【6.特別機動捜査課・刑事部屋】
   安倍の席を囲んで刑事たち――中澤、保田、飯田、矢口、辻、加護が立っている。
中澤「なっちさんの言うように、私もこの事件には裏があると思います」
   難しい顔をする中澤。腕組みする安倍。そこへ後藤が入ってくる。
後藤「団長、姐さん。大変なことが分かりました」
安倍「なんだべさ?」
後藤「二人のガイシャの身元ですが、あれは真っ赤な嘘でした」
中澤「というと?」
後藤「これを御覧下さい」
   後藤が机の上に出したファイルに目を落とす一同。それは被害者二人の写真が載
   ったフランス政府発行の公式文書だった。
後藤「彼ら二人は、フランス情報部のエージェントだったんです」
加護「ははは、思った通りや! あんなセンスの悪い服着たファッション記者とか、
   カメラマンなんておるわけあらへん。はなから変だと思ってたんや、うち」
辻希「あいちゃん、すごいのれすぅ〜。さすが、すばらしいどうさつりょくれすね〜」
   手を打って笑う加護。同調する辻。話の腰を折られ、困惑した表情の後藤。
矢口「あんたたち。少しの間でいいから、静かにしようよ」
   たまりかねて嗜める矢口。
加護「うるさい、チビンバ!」
辻希「そ、そうれす! あいちゃんがただしいのれす!」
矢口「何よ、その態度。先輩に対する口のきき方を教えてやる!」
   部屋の隅でバーリ・トゥードを始める矢口、辻、加護の三人。優しい眼差しで三人
   を一瞥し、話を続ける後藤。
後藤「私、彼らエージェントを派遣してきた理由ってのを、フランス政府に問い合わ
   せてみたんだけど、見事に答えをはぐらかされちゃいました。はぁ」
46ヘンリ猪口 : 2001/02/02(金) 00:07 ID:e7eXxhEI
飯田「んもー、気になるなあ。……そうだ、フランス大使を任意同行で引っ張って来
   ようよ。カオリなら、ものの五分であらいざらい白状させてみせるよ!」
   力こぶを作り、数発空パンチを繰り出す飯田。
保田「無理だって」
   飯田の肩をポンと叩いて笑う保田。ここで吉澤と石川、刑事部屋に入ってくる。
吉澤「団長。姐さんが発見した、例のフランス語の書類。翻訳終わりました」
石川「それじゃ、読みますよ。いいですかぁ? ちゃんと聞いてくださいね。コホン
   コホン。ちょっと喉の調子、悪いみたいだけど……皆さん、構いませんか?
   それじゃ、心を込めてチャーミー読みます。あ、自分で自分をチャーミーって
   言うの変ですよね? あはははは♪」
中澤「……さっさと読めや!」
   睨む中澤。怯えてしまった石川の肩をそっと抱く吉澤。
石川「ぐすんぐすん。えっと『遂にピエロを発見。やはり日本へ潜入していた。彼女が
   日本で大きな行動を起こそうとしているのは明白だ。我々は彼女の監視を続ける』
   って書いてあります」
   中澤と保田は顔を見合わせる。
中澤「ピエロ――コードネームでしょうか、なっちさん?」
安倍「十中八九、間違いないだべさ。裕さん」
保田「ピエロとは、いったい何者なんでしょうか。“彼女”ってことは女らしいですが、
   名前からして、どうも私は――」
   ここで刑事部屋のドアが開く。外から安倍に手招きをする、つんく課長。
課長「団長さん。ご苦労だが、ちょっと俺について来てくれ」
   部屋を後にする安倍。折り重なってダウンしている矢口、辻、加護。
47名無し読者 : 2001/02/02(金) 07:03 ID:0a38XUso
娘。小説総合スレッドの方であげさせていただきます。
48名無し娘。 : 2001/02/06(火) 10:42 ID:A8XM.NrI
AGE
49名無し娘。 : 2001/02/06(火) 17:52 ID:Q01Q1PCw
全国縦断ロケ敢行!
50CM中 : 2001/02/07(水) 01:29 ID:zkxZfHVM
             特報

           ついに映画化!

          原作 高見広春
          監督 長谷部安春
    脚本・製作総指揮 バトルロワイアルな娘。

      『モーニング バトル・ロワイアル』

加護「うちも……そろそろやばいで」

市井「私はそのために戻って来たの」

後藤「道端の石ころをどけただけよ。命には……平等に価値がない」

         COMING SOON!
51CM中 : 2001/02/07(水) 01:31 ID:zkxZfHVM
安倍「食料をたくさん買い込んでたべさ」
辻希「しょ、食料。ごくっ」
矢口「一週間も出て来ないんです。コワーイ、はははははははははは」
吉澤「私も好きだから気持ちは分かるけど」

中澤「後っちん、何やってんだよ!」
後藤「ハァ」
       プレイステーション2専用ソフト『ゴマクエ』
後藤「人は誰かになれる」
ゴマ「生きてるってことを証明できないと、死んでるのと同じことなの?」

いま、勇者ゴマと仲間たちの苦悩に満ちた壮大な冒険が始まる……
52ここまでの放送は・・・ : 2001/02/07(水) 01:32 ID:zkxZfHVM
         提 供

       『目産自動車』
       『ゴマクエ』
       『MR製作委員会』
       『モー娘亭』
       『オートバクッス』
       『ケイエンアルミホイール』
       『黒い恋人』
       『小樽ハロプロワールド』

 引き続き木曜洋画劇場 特別企画
     『さよならモーニング警察署。PART−3完結編』をお楽しみください。
53名無し娘。 : 2001/02/07(水) 03:21 ID:JT.JB3gg
提供『モー娘亭』 『オートバクッス』 『ケイエンアルミホイール』
  『黒い恋人』 『小樽ハロプロワールド』
>ワラタ
54ヘンリ猪口 : 2001/02/07(水) 15:24 ID:siuUQIXQ
【7.警察庁・秘密会議室】
   山崎警察長官、まこと刑事部長、そのほか警察の大物幹部たちが一同に会している。
   安倍と課長、室内に入る。長官、冷たい目で一瞥する。安倍と課長、末席に着く。
部長「安倍くん、早速だがこの写真を見てくれ」
安倍「これは……?」
   受け取った写真は、どこかの空港で佇むひとりの女。ひどいピンボケで顔は判別
   できない。
部長「――コードネーム・ピエロ。先日パリで射殺されたゴダールの右腕だった女だ」
安倍「ピエロ!」
部長「国際テロリスト・浜崎アユミ。やはりピエロというのは、浜崎のコードネーム
   だったんだ」
安倍「浜崎アユミ……」
部長「インターポールから送られてきた写真の中には、残念ながらはっきりと浜崎の
   姿を写しているものは一枚もなかった。昨日、君たちの管内で殺された二人の
   フランス情報部員。彼らは浜崎を追って日本へやって来たんだが、感付かれて
   逆に殺されてしまった」
長官「我が国の公安は、浜崎の日本潜入という事実を全くつかめていなかった。警察の
   威信はガタ落ちだよ。大変に遺憾なことだ」
55ヘンリ猪口 : 2001/02/07(水) 15:25 ID:siuUQIXQ
安倍「浜崎の来日。その目的はなんだべさ?」
部長「正確には分からない。見当をつけるとすれば、こうだ。先日、君の目の前で射殺
   されたあのゴダールが、何者かにその居場所を密告されたってことは知って
   いるだろう。その後フランス情報部の調査で、密告者の正体が分かった」
安倍「それが浜崎だべか?」
部長「そうだ」
安倍「しかし浜崎は、ゴダールの右腕と言われ、ナンバー2として恐れられていたべさ。
   それがなぜ裏切りを?」
部長「ナンバー1の座が欲しくなったんだろう。だがテロリストの世界で、ナンバー
   1になるためには、しっかりとした裏付けがいる。実績がいる。世界中を震撼
   させる名前と、テロリストたちのスポンサーになれるだけの金だ。この二つが
   揃えば、テロの教祖として裏社会に君臨することができる」
安倍「名前と金。そのために日本へ潜入。何か行動を起こそうとしている?」
   安倍の問いにうなずく刑事部長。
部長「安倍くん。最悪の事態が起きる前に、警察として手を打たねばならない」
長官「これは……本庁から、君ら安倍軍団への特命だ。何としても浜崎の野望を阻止
   するんだ」
安倍「分かったべさ。全力をあげるべさ」
   力強く立ち上がった安倍、課長と共に一礼して秘密会議室を退出する。
56ヘンリ猪口 : 2001/02/07(水) 15:26 ID:siuUQIXQ
【8.安倍軍団、いつもの捜査風景】
   繁華街。不良中年を追って、辻と加護が楽しそうに走っている。
加護「待て〜、お前が知ってることを話すんや!」
   辻と加護、不良中年に向けて拳銃を威嚇発射。
辻希「とまれ。とまらないとうつのれす〜」
不良「もう撃ってるじゃねえか! 助けてー! おかあちゃーん!」
加護「きゃはははは!」
辻希「てへてへてへ!」
   追いかけっこはエンドレス。F・O。

   汚いアパートの一室。過激派のアジトらしい場所。飯田が暴れ回っている。
   後藤が笑っている。中澤と保田は静かに見守っている。
飯田「吐け〜、浜崎はどこにいるっ?」
   三流テロリストの胸倉を掴んで持ち上げる飯田。数発パンチを食らわせる。
三流「知らねえよ、誰だよ、浜崎ってよォ?」
後藤「カオリン、文民警察官が手を出しちゃ駄目だな。……足ならいいけど」
   飯田を制止するふりをした後藤、三流テロリストに回し蹴りを食らわせる。
三流「ひでぶっ」
   三流テロリスト、気絶する。
保田「やっぱりこんな三下じゃ、何も知ってるわけないね。姐さん、私ちょっと
   アングラ系のサイトで情報を募ってみるよ」
中澤「そうだね。頼むよ、圭ちゃん」
   涼しい顔で立ち去る四人の刑事。惨憺たる部屋の情景が大写し。
57ヘンリ猪口 : 2001/02/07(水) 23:51 ID:JKZ23R5I
【9.特別機動捜査課・ITルーム】
   安倍以下、保田、中澤、飯田、矢口、石川、後藤、吉澤、辻、加護の全刑事
   が揃っている。保田、パソコンを操作している。残り一同、大型モニターを
   見つめている。
保田「浜崎アユミ、コードネームはピエロ。国籍は日本。性別は女。もっともこんな
   情報は役に立たないでしょう」
   画面が左右に二分割され、それぞれ美しい白人女性と黒人女性の画像が並ぶ。
保田「浜崎は自分の肌や目の色、顔の彫りの深さまで自在に変化させることができます。
   つまり、地球上のあらゆる人種に姿を変えることができるのです。あらゆる外国語
   にも、ネイティブなみに通じています」
吉澤「こ、こいつら両方とも浜崎だって言うんですか?」
   モニターを睨みつけ、吉澤が口を開く。
保田「うん。ゴダールは黒アユ、白アユとか呼んで重宝してね。ヨーロッパやアフリカ
   の各国に、この変装した浜崎を送り込んで、いろいろバカやらせたって話だわ」
   押し黙った吉澤。モニターの画面は、爆破された飛行機、電車、ビルなど無残な
   映像に次々と切り替わっていく。説明を再開する保田。
保田「浜崎はゴダールの下で血に飢えたパンサーのように、テロを続けてきました。
   右も左もなく、時には独裁政府や麻薬王にも手を貸しています。この女は虚無その
   ものだということです。家族、隣人、民族、国家、思想、神、何も信じてはい
   ません。あるのは徹底した暴力と破壊。まさに殺戮のピエロです」
後藤「もし……こんな女が、ゴダールの後継者として、世界のテロリストの頂点に
   立ったとしたら――」
安倍「それだけは絶対に阻止しなくちゃならんべさ!」
   安倍の言葉に、力強く頷く一同。
58名無し読者 : 2001/02/08(木) 07:19 ID:alGtFsK6
娘。小説総合スレッドの方であげさせていただきます。
59ヘンリ猪口 : 2001/02/12(月) 13:57 ID:U7uTIvsE
【10.一本の電話】
   刑事部屋。自分の席で資料を分析中の安倍。隣席の吉澤、電話を保留にして
   安倍に話し掛ける。
吉澤「団長、若人達也っていうルポライターが、浜崎の件で団長に面会を申し込んで
   きました。浜崎のことはマスコミにも一切流していないはずですが、どうやっ
   て嗅ぎ付けたんでしょう?」
安倍「分からんだべさ」
吉澤「とぼけちゃいますか? 胡散臭いですよねえ?」
加護「…………」
   加護、いつの間にか保留を解除して、受話器を吉澤の方に向けている。
若人(声)「胡散臭い? ああ、いいよいいよ。せっかく特ダネ教えてあげようと思って
     いたのに!」
   電話の向こうの若人、かなり立腹している様子。特ダネと聞いて焦る吉澤。
吉澤「加護、てめー何やってんだ!」
   吉澤、加護を追って刑事部屋を走り回る。
安倍「安倍です。お会いするだべさ。それで場所と時間は――?」
   電話に出た安倍、丁寧に応対する。吉澤が捕らえた加護に鉄拳をお見舞いしよ
   うとするところでF・O。

【11.黄色いフェアレディ車内】
   安倍の専用パトカー車内。運転席に吉澤、助手席に安倍が座っている。
吉澤「ベテランのライターですね。映画から釣り、世界情勢までいろんなジャンルで
   幅広く書いているようですよ。かなり妄想癖もうかがえますが、基本的には自分の
   足で稼いで書くタイプですね」
   安倍、無言で手にした若人の本に目を落としている。タイトルは『空白の三日間』
60名無し読者 : 2001/02/13(火) 02:31 ID:Sxxu5SUo
娘。小説総合スレッドの方であげさせていただきます。
61名無し娘。 : 2001/02/14(水) 10:54 ID:QnjGZBXw
AGE
62名無し娘。 : 2001/02/17(土) 00:57 ID:v6o6M7H2
保全
63名無し娘。 : 2001/02/20(火) 02:00 ID:UapCf1m.
保全2
64ヘンリ猪口@逝ってよしと叱られても…… : 2001/02/25(日) 23:28 ID:RF0xN.vA
【12.ファーストコンタクト】
   場末のバーevolution。安倍と吉澤が店内に入る。ピアノを弾いてい
   る黒髪のショートカット女性がいる。地味な印象しかないが長めに映される。
   先に席で待っている若人。その派手な衣装に吉澤、一瞬引いた顔を見せる。
若人「お待ちしていました。若人達也です」
安倍「安倍だべさ」
吉澤「どうも吉澤です。あなたのファンです」
若人「フン!」
   電話の件を根に持たれ、握手を拒まれる吉澤。苦笑いするしかない。

   (時間経過の表現としてピアノの曲を変える)
若人「私は浜崎を追って熱海まで行きました。ジャーナリストとしての執念と申しま
   しょうか。しかし、海岸で何者かに襲われて見失ってしまったんです。そこを
   彼女に救われまして……」
   そう言って、ピアニストの女を指差す若人。
安倍「ほう?」
   安倍が見つめても眉一つ動かさないピアニストの女。淡々と演奏を続ける。
若人「仕方なく例のフランス情報部員をマークする作戦に切り替え、彼らの尻馬に乗って
   浜崎を狙うことにしたわけです。が……とんでもないネタをつかんじまったんです」
安倍「ぜひ聞かせてもらいたいべさ」
   安倍は落ち着いているが、吉澤は少し身を乗り出している。
若人「無論お話します。よろしいですか、浜崎はこの三日以内に大それた行動を起こすつ
   もりでいます。そのターゲットというのは……」
   グラスのバーボンを一気に飲み干す若人。
若人「我が国の専守防衛隊・箱根基地の弾薬庫! まず決起に必要な装備を整えるべし!
   こう浜崎から手下たちに連絡が入ったようなんです。この情報は確かだと思います。
   もっとも……これを信じる、信じないは安部さんにお任せしますがね」
   帰り際、安倍を呼び止めるピアニストの女。
女 「安部さん、浜崎がどうして部下に連絡を入れたか分かりますか?」
安倍「皆目見当がつかないべさ」
女 「彼女はきっと日本での作戦成功に自信があるからですよ」
吉澤「あんた……」
女 「そんな恐い顔で見ないで。私は……同じ女性としてどこか浜崎に魅かれるもの
   があるのかもしれませんね。もちろん安部さんも好きですけど、うふふ」
   店先まで見送りに来ていた若人が口を開く。
若人「フフフ、安倍と浜崎。こいつはすごい戦いになりそうですな」
吉澤「……お分かりのこととは思いますが、くれぐれもこの件は他言しないでください」
   少し険しい表情になる吉澤。
安倍「貴重な情報、感謝するだべさ」
   吉澤は若人を見ているが、安倍の視線の先にはピアニストの女がある。
66名無し読者 : 2001/02/26(月) 07:10 ID:ILnw3r5U
娘。小説総合スレッドの方であげさせていただきます。
67名無し娘。 : 2001/03/06(火) 01:39 ID:6SF.AHhk
続きというか、次のを待っています。
68名無し娘。 : 2001/03/13(火) 01:31 ID:7PczLkwg
保全。投げ出さないでね。
69ここでCM。こんばんは、八名信夫です : 2001/03/13(火) 23:22 ID:4sv4SnyM
スーパー野菜ケールの力・・・

(メ`o´メ)ノ∀「まずーい、もう一杯!」
ヘンリ猪口です。更新が滞ってすみません。
いつも更新情報や保全作業をありがとうございます。
もうすぐ厄介な仕事も片付きそうです。
四月の初旬から更新を再開したいと思っています。
そのときはよろしくお願いします。
71名無し娘。 : 2001/03/16(金) 03:28 ID:GQiaySzo
待ってます。
72名無し娘。 : 2001/03/20(火) 14:26 ID:l0acu2TY
sage
73名無し娘。 : 2001/03/25(日) 00:24 ID:73dFo.ac
hozen
74名無し娘。
特捜?