モーニング娘の小説

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1爆破
モーニング娘小説書いた。
主役は吉澤。

『Another Life』
2爆破 : 2000/12/23(土) 01:45 ID:2x7DbCr6
―――――またこの感触・・・。
「どういう事だ!金は払ってるはずだぞ!!」
いつ触っても冷え切っている・・・。冷たい・・。
「やめろ!!撃つな!」
「うるさいよ」
―――――またこの音・・・。
目の前の『人間』が私のおかげで『動かぬモノ』となる。

赤色・鉄の臭い・煙・熱くなった手

今日も仕事が終わった。
「さすがだな・・・上出来だ。金はまた・・・後でな・・・」
―――――『仕事』、15歳なのに・・・。普通の15歳って何してるのかな。
普通の15歳の女の子ってどんなことしてるのかな。
3爆破 : 2000/12/23(土) 01:46 ID:2x7DbCr6
明るくなり始めた空にはスズメだろうか、小さな鳥が囀りながら飛んでいる。
道端のゴミ捨て場にはカラスがたかっていた。
普通の朝。
吉澤ひとみは静かな足音でまだ動き出していない商店街の道を歩く。
目的地はいつもの空き地。
殺風景で自分には合っているような気がする。好きな場所の一つでもある。
裏通りを抜けて廃ビルの近くにあるその空き地の地面はアスファルトで雑草が所々に生えている。そして周りを囲むコンクリートの壁には意味不明な落書きが施されてよく見るとインクの垂れた跡がある。
壁にもたれ掛かり、隠し持ったピストル―『ぶろーにんぐはいぱわー』と言っていたような気がする―を周りを見渡してから取り出して見てみる。そのまま背中を滑らせて地べたに腰を着けた。冷やりとした感触が伝わり少し腰を上げるがまた座り直す。
しばらく銃を見つめていると見覚えのある顔が目に入った。
「おーっす。おはよう吉澤」
「ぁ・・保田さん」
4爆破 : 2000/12/23(土) 01:46 ID:2x7DbCr6
「あんた、もう少し明るく挨拶できないの?随分疲れた顔してんじゃん・・・これ でも飲みな」
保田は手に持った缶コーヒーを投げた。急に投げられた吉澤は慌てて取り損なってしまい缶は地面の上に落ちゴンと鈍い音を発した。
「どうも・・・」
缶を開ける音。
「あ、そうそう。今回も仕事ご苦労さん。ハイ、これお金・・」
少し大き目で銀色のケースが吉澤の足元に放られた。
吉澤はそれを拾い上げ、保田の手元に投げ返した。
「どういう事?吉澤・・・」
怪訝な表情で保田は吉澤を見た。
「あの・・・・保田さん」
「何?珍しいねあんたから話し出すなんて」
「このお金の変わりに・・・一つだけ私のお願い聞いてくれませんか・・・」
「え?なにそれ、お願いって?」
「私をこの仕事から・・この人を殺す仕事から解放してください」
「は・・・、何いってんの。この仕事を辞めたいとでも言うの?」
吉澤は小さく首を縦に振った。
5爆破 : 2000/12/23(土) 01:47 ID:2x7DbCr6
「ふざけないでよ!あんた最初私に絶対契約破棄はしないって言ったはずよ。 それがなんで・・・突然・・」
「これ・・・この感触」
と吉澤はブローニングHPを掴み銃口を保田に向けた。
「もう、嫌なんです。これで人を殺すの・・・。この人生が・・・。私は普通の15歳の子になって普通の生活がしたいんです」
「・・・・・無理よ」
保田の声は妙に冷たかった。
「あんたの殺し屋としての才能は認めるわ。でもその才能のおかげでもう普通の人間・・・殺人という経験を持たない者としての生活は無理に等しい・・。必ず何かを理由に人を殺してしまう。もう後には引けないんだよ、そんな事ぐらいあんたにだったら分かるはずだよ吉澤」
「だけど・・・私は・・」
吉澤は途中で口をつぐんだ。
「・・・・・・」
二人は沈黙した。居慣れているはずのこの場所が緊張感で別世界のようになっている。
6名無し娘。 : 2000/12/23(土) 01:47 ID:tWlakGvQ
さげろ。
7爆破 : 2000/12/23(土) 01:48 ID:2x7DbCr6
しばらくして保田が口を開いた。
「賭けならしてもいいよ・・・」
「は?」
「賭けだよ、賭け分かるでしょ?あんたのその願いを賭けとしてなら聞いてあ げる。あんたが人を殺さずに生活できるか殺しちゃうかでね」
吉澤は怪訝な顔をしながら保田の話を聞いている。
「賭けを始めた日から1年間あんたが本当に何も気になる行動をとらなければあんたの勝ち。私はあんたときっぱり手を切ってあげる。そしてもしあんたがその期間で人を一人でも殺害したら・・・」
「殺したら・・・」
「吉澤ひとみを殺す。もちろん私が」
その言葉に動揺を隠せなくなる吉澤は下を向いた。
「どうしたの?恐くなった?」
「・・・本当にその賭けに勝てばいいんですか?」
「もちろん。そのかわり負ければ死ぬよ?」
「分かりました。乗りますその賭けに」
吉澤は顔を上げはっきりといった。
8爆破 : 2000/12/23(土) 01:49 ID:2x7DbCr6
すると保田は微笑し口を開いた。
「OK、じゃあ吉澤は来週から学校にいってもらうよ。必要な契約は私が済ましておく。決まった学校は後で連絡するね」
吉澤は頷き歩き出した。
「・・・・・・あのさ吉澤」
「え?」
「『殺し屋の吉澤ひとみ』というブランドは今消えたわ。これから1年間は普通の何の肩書きも無い『人間 吉澤ひとみ』として生きていくの。そのプレッシャーに絶えて1年後生きていたらまた此処で会うおうね・・・」
「はい・・・・」
二人は別の方向に歩き出した。

5日後・・・
吉澤ひとみの手元に中学校の住所とマンションの住所が書かれた手紙が送られてきた。
9名無し娘。 : 2000/12/23(土) 01:49 ID:dmJ6KTuI
おもてを上げい!!
10名無し娘。 : 2000/12/23(土) 01:51 ID:tWlakGvQ
あれ?おわり?もぅちっと……
11爆破 : 2000/12/23(土) 01:53 ID:2x7DbCr6
書いてる途中でオネモー始まったからテレビつけたんだけど裏でやってるアクセルもスペシャルやってるね。
丁度深田恭子と加藤あいが電話で話すコーナーを見た。凄かった。オネモーに戻した時の質の落ち方が尋常じゃなかった。
12爆破 : 2000/12/23(土) 01:54 ID:2x7DbCr6
>>10今日はこれまでで勘弁してください。眠い。
13名無し娘。 : 2000/12/23(土) 11:55 ID:iT3Uy0RM
面白いね。
更新まってます。
14爆破 : 2000/12/23(土) 14:13 ID:qc4pUyOw
15歳、普通なら中学三年生。
吉澤は手紙を便りにあるマンションにたどり着いた。
「ここか・・・」
手紙に書かれた住所を再度確認し重いガラス扉を引いた。
部屋に入ると一通りの家具や生活に必要な物が揃っていて、観葉植物や可愛らしい置物もあった。
「保田さん・・」
吉澤はテーブルにおいてあったピエロの人形を手にとって呟いた。
不意に時計を見ると8時を少し超えていた。
「あ、遅刻する・・」
こんな事を考えるのは何年ぶりだろうと考えていると突然ベルのような音が鳴った。
「うわっ!何だこれ・・」
辺りを捜すと玄関の靴箱の上に乗っている小さな目覚し時計がうるさく騒いでいた。
急いで止めてまたもとあった場所に置いた。踝を返し登校の用意を始める。
手紙には女子高の付属中学と書いてあった。
胸を弾ませる吉澤は少し早足になって家を出た。
15爆破 : 2000/12/23(土) 14:14 ID:qc4pUyOw
今日は快晴。家を出る前に少し見た天気予報でも今日は一日中暖かいと言っていた。
すれ違う同じ制服を着た学生を見ながら更に胸を弾ませて歩いている。
学校は私立だけあってとても広い、校舎まで続く整備されたアスファルトの道路には両脇に高い広葉樹が植えられていた。
「職員室は何処かな・・・」
手紙には初登校の日には職員室に行けと書いてあった。
案内板を見て校舎内を取りあえず歩いていく。
「どうしたの?」
急に声を掛けられたため少し驚いて声のした方をそっと振り返った。
「ごめんね。驚かせちゃった?」
「ぁ・・ううん。大丈夫」
「どうしたの?さっきからきょろきょろしてるけど・・・なんか探してるの?」
吉澤よりも少し小さいその女学生はとても優しい声で話している。
「あの・・転校生なんです。手続きは済ましてあって、今日が初登校日で・・」
吉澤は詳しい事情をその女学生に話した。
「そっかじゃあ一緒に行こうよ。案内してあげる、まだ時間もあるし」
「本当ですか?じゃあ・・・・」
小さく頷く吉澤。
16爆破 : 2000/12/23(土) 14:16 ID:qc4pUyOw
にぎやかな廊下を歩く。
「ねえ、名前・・」
「吉澤ひとみ・・・です」
「ひとみちゃんか・・・私は石川梨華。よろしくね」
吉澤は少し照れながら笑った。
石川に先導されて職員室にたどり着く2人。
「じゃあ、ひとみちゃん。私ちょっと行くとこあるからここでね・・」
「あ・・。あの、ありがとう。石川さん」
「梨華でいいよ・・。一緒のクラスにねれたらいいね、じゃあね!」
石川は元来た道を駆けて行って間もなくして吉澤の視界から消えた。
「梨華・・ちゃん」
吉澤は声に出して言ってみた。また少し照れ笑いをした。
頭を切り替えて職員室の扉をノックして見慣れない風景の中、手の空いていそうな教師を見つけて事情を話し校長室まで通される。
一通り校長の話を聞き流し、担任となる教師から自分のクラスを聞かされる。
「吉澤ひとみ、出席番号39番。クラスは3年A組に行ってもらう」
3年A組・・・。石川さんはいるのかな。
「じゃあ、一緒に行くか」
「はい」
17爆破 : 2000/12/23(土) 14:17 ID:qc4pUyOw
担任は男だった。階段を登る途中色々聞いてきた。
「うちのクラスは元気だからな、すぐ慣れるぞ」
「あの・・・・先生。石川って子?いますか?」
「いるよ。石川梨華だろ、出席番号1番」
「本当ですか!」
吉澤の表情は急に明るくなり、担任教師はそれに驚いたのか少し笑っていた。
教室に入っていく。
ざわざわと騒がしかった教室が徐々に静かになっていき、吉澤は自分への視線を強く感じた。
「おーっす。おはよう皆!」
保田さんと同じ挨拶の仕方だ・・・吉澤は思った。
「今日は転校生が来たぞ!紹介する――」
吉澤は取りあえず教室中を見渡す。
少しザワザワしてる中、2人ほど気になる人物がいた。
一人は間違いなく石川梨華だ。向こうも私を見て笑っている。
もう一人は・・・せっかく転校生が来てると言うのにのに机に突っ伏して寝てる女だった。
「おーい!後藤起きろ!朝から寝てんじゃねえよ」
後藤と呼ばれたその女性は完全に顔を隠しているため確認できない。
先生は何度か呼んでいたが結局諦めてやめてしまった。
18名無しさん : 2000/12/23(土) 17:33 ID:gL07WKjg
木村? 木村か? 楽しみにしてるぜ。
19名無し娘。 : 2000/12/23(土) 18:39 ID:LFVUhFPE
面白いっすね。楽しみにしてます
20爆破 : 2000/12/23(土) 19:04 ID:uRpnQ6tg
何だ木村だってわかんの?せっかく変えたのに意味ねえか。
そういえばSEASIDE途中で止めてすいません。
21ななしむすめだった。。。 : 2000/12/23(土) 19:09 ID:HVxChhd2
一レス目からバレバレですがな(w
22爆破 : 2000/12/23(土) 19:17 ID:80Q5jt9U
>>21マジすか!?なんでわかんの?
23バトルロワイヤルな娘。 : 2000/12/23(土) 19:27 ID:uMo1DqQ.
はじめから拝見させてもらいました。
いやー、いいすねこういうの。私にまだまだだなと痛感させられます
お互いに頑張りましょう☆

やっぱブロー二ングベビーにすればよかったかな(ぉ
24バトルロワイヤルな娘。 : 2000/12/23(土) 19:30 ID:uMo1DqQ.
なんて失礼な文章を書き込んでしまったんだ!
本当にごめんなさい
正しくは 私もまだまだだな ですね。
こんな最低なレスしてすみません
25名無し娘。 : 2000/12/23(土) 20:28 ID:50.rcueg
SEASIDE気が向いたらどっかで続き書いてね。
26爆破 : 2000/12/23(土) 21:20 ID:2m2vcRCc
>>23 >>24ありがとうございます。娘版バトロワ小説も頑張って。
>>25アイデアでたらね。ていうかああいう平和小説は書きにくい気がする。
27爆破 : 2000/12/23(土) 21:38 ID:2m2vcRCc
そう言えばさっきテレビ見てたらCDTVのスペシャルやってたね。
見てたらモー娘が出てきた。相変わらず矢口は仕切りやとなり中澤は少しベテラン色を漂わせていた。
むかついてきたので4CHに変えたら昔のバラエティー番組を振り替えるみたいな番組やってたのでそっちにした。
あの二人の悪ノリは尋常じゃなくむかつく。何でだろうね。
28名無し娘。 : 2000/12/24(日) 02:28 ID:EHAV.aBg
>>27
確かに…まあ自分としては矢口の仕切りは微笑ましくもあるんだけど
中澤のはムカツクな。
29爆破 : 2000/12/24(日) 02:42 ID:E612HkF.
「じゃあ、席は・・・」
「あそこでもいいですか?」
吉澤は真ん中の列の一番後ろ、隣は相変わらず寝ている後藤だった。
許可が下り、その席に歩き椅子を引いて座った。
ホームルームが終わり先生が教室から出て行く。
それとほぼ同時に石川が席を立ち吉澤の所によってきた。
「一緒のクラスになれたね。席・・私の所もあいてたのに」
「ごめんね。り、梨華ちゃんの隣にいるとずっと同じ場所にいる事になっちゃ うから・・・少し動ける方がいいんだ」
「何だ、そんな事か」
「あとこの子とちょっと話してみたかったから・・」
後藤の方を見て言った。
「ごっちんね・・・。いつも寝てるんだよ、長い時はお昼ぐらいまで」
「そっか・・」
石川の話を視線を外さずにじっと後藤を見つめながら聞く吉澤。
起きろ・起きろ・起きろ・起きろ・・・
急にごそっと体が動く。
「ん・・眠・・」
30爆破 : 2000/12/24(日) 02:43 ID:E612HkF.
重そうに体を持ち上げた後藤、眠そうな目を何度か擦ってからきょろきょろしている。
「あれ・・・・。春日は?」
「もう終わったよ」
「あ、梨華ちゃんおはよう!あらら・・その見慣れない女の子はだあれ?」
「転校生の吉澤ひとみちゃん・・」
石川は吉澤の背中をそっと小突いた。
「あ・・あ、あの。よろしく・・後藤さん」
「よろしくね、よっすぃー」
「よっすぃーかぁ・・いいねそのあだ名」
石川がニコニコしながら答えた。
吉澤は今まで呼ばれた事も無い呼び方で呼ばれたため少し焦った。さっき石川にひとみちゃんと呼ばれた時も同じ気持ちになっていたことを思い出す。
ついこないだまでは『吉澤』か『新入り』としか呼ばれていなかったのでそれは焦った反面少し嬉しい事でもあった。
「よろしくね、ごっちん」
簡単な挨拶を済ませると教室中、学校中にチャイムが鳴り響いた。
31爆破 : 2000/12/24(日) 02:44 ID:E612HkF.
1時間目は国語らしい。
授業は黙々と進んでいるようだ。
授業中何度か石川の背中が目に入った。吉澤は石川の机3つ分後ろにいる。
「よっすぃー・・・」
小声で後藤の呼ぶ声が聞こえる。
振り向くと後藤が姿勢を低くした状態でガムを左手に持ち差し出している。
「あげるよ・・。見つからないようにね」
「ありがと」
音を立てずに包装をとりガムを口に入れる。梅の味が口の中に広がった。
「あのさ、お昼屋上で食べようよ。持ってきてるでしょお弁当」
「ううん、何にも無い」
「そっかじゃあ一緒に買いに行こうか、近くにコンビにあるし」
「OK・・・」
そっと頷くと後藤は笑顔になった。
「あとさ・・、悪いんだけど消しゴム貸してくんない?」
学校で新しくできた友達と屋上でご飯・・・
これが普通の女子中学生の生活。
32爆破 : 2000/12/24(日) 02:45 ID:E612HkF.
―――昼休み開始のチャイム
廊下は一気に賑やかになり教室も人数が少なくなる。
「行こ!よっすぃー」
「ああ、ちょっと待って梨華ちゃんも・・・」
「駄目だよ、もう梨華ちゃんいないもん。いつも昼休みになるとお弁当も持た ずにどっか消えちゃうんだよ」
「そうなんだ・・・」「いいよ、行こう」
吉澤は後藤に手を引かれて教室を出た。
校舎の外に出た2人は広葉樹の奇麗な道路を歩いていく。
「よっすぃーってさ、どこから来たの?」
「え?」
「だって転校生なんでしょ。前はどこに住んでたの?」
「・・・埼玉」
「ふうん・・・。楽しかった?前の学校」
「全然・・。先生が最悪だったの。なんかトンボみたいな眼鏡しててさ、句読点 みたいな顔してんだよね」
もちろん全部嘘。でもごっちん笑ってるしいいか・・・吉澤はそう思いながら後藤の笑顔を見ていた。
33爆破 : 2000/12/24(日) 02:46 ID:E612HkF.
「そうだごっちんの下の名前は?さっき聞くの忘れた」
「真希。後藤真希だよ」
「真希か・・」
「なんだよ」
後藤は軽く肩を押して言った。
そのうちにコンビニに辿り着いた。
吉澤はおにぎりを2つ手に取った(梅とオカカ。これはもしかしたら中学生的じゃないかも・・・吉澤は一瞬思った)。コンビニメニューは買い慣れてるせいか後藤より幾分早くレジを済ませた。
「ごっちん決まった?」
後藤はパンがたくさん並んだ棚の前で考え込んでいた。
「サンドイッチとお菓子パンだったらどっちがいいかな・・・」
「両方買えばいいじゃん」
「そんなお金無いよ。中学生は貧乏なんだぜ」
「おごるよ。せっかく友達になったんだから」
「ホント?!まじでいいの?」
そういうと後藤は手当たり次第にパンを取った。
「あ・・あの」
結局2000円近く払わされた。
34爆破 : 2000/12/24(日) 02:47 ID:E612HkF.
学校に戻りそのまま階段を駆け上り最上階にある押しドアを開けた。
強い日差しにさわやかな風。
屋上に出た二人は丁度日の当たる所に座った。
フェンスにもたれ掛かって買ってきた物を取り出す。
「サンキューよっすぃー。お昼にこんなに食べれるなんて久しぶりだよ」
「いやいや、ごっちん買いすぎだから」
「だからありがとうって言ってるじゃん。ハイお茶」
吉澤は慌てて受けとろうして放り投げられたペットボトルを地面に落としてしまった。
こないだもこんな事やった気がする。
落ちたボトルを見つめているとさっと拾い上げる人影があった。
「どうぞ・・」
見上げると、とても小柄な可愛らしい女の子が拾い上げたボトルを吉澤に差し出していた。
「ありがとう」
受け取ったと同時に後藤が喋り出した。
「あれ、辻ちゃんじゃん!どうしたの?」
「後藤さん。転校生ってこの人ですか?」
35爆破 : 2000/12/24(日) 02:48 ID:E612HkF.
「そうだよ。吉澤ひとみちゃんていうの。あ、よっすぃーこの子はね辻希美ち ゃんっていって私が入ってるバレー部の後輩なんだ」
「ふうん。よろしくね辻ちゃん」
「あの、吉澤さん。うちの部に来てくれませんか?」
「え?」
「人手が足りなくて・・先輩に言われたんです、今日転校生が来るから連れてこ いって・・」
「そうなんだよ、そう言えばうちの部、部員が極端に減っちゃって」
「そっか・・・。でも今はすぐに返事できないよ。もうちょっと待ってくれるかな 辻ちゃん」
「分かりました・・・」
そういって辻はドアの方へ走っていき急ぎ足で階段を降りた。
「極端にってどういう事?私が思うに今までは人がいっぱいいたみたいな感じ だけど・・・」
「あの人が入ってきたからだよ」
「あの人?」
「矢口真里。うちの高校の3年生だよ」
「矢口?」
36爆破 : 2000/12/24(日) 02:49 ID:E612HkF.
「アイツが入ってきてから部員はみんな辞めちゃったんだ。恐がってね」
この学校は部活高校の生徒と中学の生徒が合同で練習していると担任が言っていた。
「そうなんだ・・・」
「いいよ、この話はまた今度にしよ。早く食べないと休み時間が終わっちゃう よ」
「う、うん」
矢口真里と言う存在が気になりながらも吉澤は後藤に言われるまま急いで昼食を終わらせた。
37爆破 : 2000/12/24(日) 02:50 ID:E612HkF.
教室に入ると石川の姿があった。
「梨華ちゃん!」
「あ、よっすぃー」
「どこ行ってたんだよ・・・」
「ちょっと用事があって・・・」
石川は少し疲れている様子だった。
「用事って何?」
「・・・・」
俯いてしまう石川。
「どうしたの?」
「よっすぃー、行こう。梨華ちゃん眠いみたいだよ」
後藤が2人の会話を遮った。
しぶしぶ後藤に従う吉澤。
「どうしたのかな・・・朝の梨華ちゃんと少し様子が違うみたいだけど・・・」
「そりゃぁあれだけ授業に集中してれば疲れるでしょ。梨華ちゃんちょっと真 面目すぎるんだよ」
何と無く何かを誤魔化すようなしゃべり方。
「そうだよね・・」
その場ではそれで終わったが吉澤は今日1日それが頭から離れなかった。
「ごっちん・・なんであんな慌てた感じで喋ったのかな・・・」
38名無し娘。 : 2000/12/24(日) 02:50 ID:Wfvu.1hA
25は期待からではなく警告として言っている
3925 : 2000/12/24(日) 02:53 ID:qfjqLFU.
>>38ワケのわからんことを・・・
40爆破 : 2000/12/24(日) 02:54 ID:E612HkF.
>>25どういう事っすか?
また書いてる途中にテレビ見てたらスマップとさんまがトークしてる番組やってた。
せっかく見てたのに弟にGTOに変えられてまじで腹立った。
で最後の方だけ見たんだけど、見た人は分かると思うけど俺はパイナップル爆弾が好きだ!
あと絶対広末要らない。
41名無し娘。 : 2000/12/24(日) 03:01 ID:US688Byk
文章は上手くも下手でもないけど
40みたいな書き込みは厨房そのものだね。
42  : 2000/12/24(日) 03:16 ID:Kdfl2e.E
>>41
えらそーに・・・じゃあんた書いてみろよ
43名無し娘。 : 2000/12/24(日) 03:19 ID:NKJZPk6.
>>42
いいのか?ここに書いて。
4425 : 2000/12/24(日) 03:21 ID:qfjqLFU.
>>40 38は気にせんといて。
パイナップル爆弾も良かったけど、アンナミラーズの制服もエロいなー
45  : 2000/12/24(日) 03:26 ID:Kdfl2e.E
>>43
あんた41じゃないだろ?
46名無し娘。 : 2000/12/24(日) 03:29 ID:JIiPLWjw
>>45
ばれた!?
47犬の娘。 : 2000/12/24(日) 14:28 ID:/XSwAC/2
キリングセンス読んだ。面白かったよ。
リンクね。
http://www.interq.or.jp/yellow/hiuga/morning/novel/yossi.html
48名無し娘。 : 2000/12/24(日) 18:30 ID:aEMLTL52
>木村
3度目の正直ってことで
今度こそ最後まで書いてくれよ。
49木村 : 2000/12/24(日) 20:26 ID:rLw60CWg
―――入学して1週間
吉澤は石川の事が頭から離れなかった。
いまだに一緒に昼食を食べた事が無い。
今日も石川のいない昼休みが始まった。
後藤は珍しく昼になっても目を覚ます事はなく、いつもの通りに机にかぶさっている。
不意にドアを見るとこの前の小さな女の子が自分の方を見て立っているのに気付いた。
吉澤は席を立ちドアの方に歩いていった。
「辻ちゃんじゃん・・。どうしたの?」
「名前、覚えててくれたんですね。こないだの事考えてくれました?」
「あ・・あ、ああ。うん、まあね」
「まだみたいですね、じゃあ、また来ます」
「待って!」
自分の教室に戻ろうとする辻を吉澤は急いで止めた。
「私も辻ちゃんにお話あるんだけど・・。屋上行かない?」
「・・いいですよ」
珍しく相方は後藤じゃなくて辻という後輩・・・一回ぐらい梨華ちゃんと屋上行きたいな・・・・階段を上る途中に吉澤は思っていた。
50木村 : 2000/12/24(日) 20:26 ID:rLw60CWg
変わらず強い陽の光。
「吉澤さん。話って何ですか?」
「・・・矢口さんて、どんな人なの?」
辻の顔が一瞬緊張した。
「矢口さんなんです。私に吉澤さんを加入するように言ったの」
強い風を横顔に感じた。
辻の髪の毛も風になびいて鼻や口に掛かってきていた。
「恐い人なの・・・?」
「私はそう思います。高校生なのに中学生の子つかまえていじめたりしてるし 私は、今の所目を付けられてないみたいだけど・・・」
「そうか・・・。会ってみたいな矢口さんと」
その言葉に少し驚いた辻は吉澤の顔を見詰めた。
「じゃあ・・・」
「バレー部入るよ。暇だし、その矢口さんの顔も見てみたいし」
「ありがとう!じゃあ矢口さんの所いって来ますね」
辻は小走りにドアの方に向かった。そして急に立ち止まり吉澤の方に振り返った。
51木村 : 2000/12/24(日) 20:27 ID:rLw60CWg
「あの・・。吉澤さんて呼ぶのやり難いから私もよっすぃーって呼びますね」
そういって階段を駆け降りていった。
吉澤も後を追うように階段を降りる。
教室に戻ると後藤が目を覚ましていた。
「よっすぃー、どこいってたの?」
「ん、ちょっと辻ちゃんとね・・」
「ああ、屋上行ってたんだ・・・」
「何で分かるの?」
「だってよっすぃー髪ボサボサだもん。今日みたいな風の無い日でそこまで髪 がボサボサになる所って言ったら屋上しかないでしょ」
「ハハハ・・。そうだ、バレー部にはいったよ、私」
「ほんと!嬉しいなあ、よっすぃーと一緒に部活できるなんて」
「そうだね」
吉澤は笑った。本当の理由は矢口との対面だったが・・。
「でも矢口には気を付けた方がいいよ。よっすぃーなんか転校生だし特にね」
「でも私は・・」
吉澤はそこまで言って口を告ぐんだ。
吉澤は本当は矢口と話してみたかった。中学校には必ずいる(今回は高校生だが)番長的な存在に少し憧れがあったからだ。
52木村 : 2000/12/24(日) 20:28 ID:rLw60CWg
「まあ、取りあえずいろんな準備もあるだろうし買わなきゃいけない物もある だろうから1週間ぐらいしたら出てきなよ」
「うん、そうさせてもらうよ」
吉澤は頷いた。そして視線を石川の席の方に向けた。
「今日もいないか・・・」
後藤に聞こえないように呟いた。

―――日曜日
ベッドの側に置かれたキャビネットに乗った目覚し時計を掴むと既に午前11を過ぎていた。
吉澤は冷蔵庫に向かって足を動かした。
棚にあった小さなコップに取り出したポットから麦茶を注ぐ。
飲みながら部屋を見回すとファックスが一枚とどいてる事に気付く。
紙切れには保田からのメッセージが書かれていた。

『学校楽しいか?今の所は何も無いけど、取りあえず頑張ってね』

短いメッセージ。
53木村 : 2000/12/24(日) 20:29 ID:rLw60CWg
読み終えてしばらく黙ってた吉澤は用紙を丸めてアルミ製のごみ箱に放った。
外に出る気にはならない。
またベッドに戻って寝転がり、そのままの状態でカーテンを開く。
眩しい光が吉澤の目に突き刺さる。
しばらくボウっとして窓の外を見つめる。
「梨華ちゃんどうしてるかな・・・」
頭に石川の顔が浮かんできた。
そんな時チャイムの音が聞こえてきた。
「誰かな・・・」
少しだけ石川の姿を想像した。
家知らないのに来るわけ無いか・・・・半ばワクワクしていた吉澤は考え直してドアに向かった。
「はい・・・」
ドアにレンズを除いた。作業着のような物を身に着けた男が箱を持って立っている。
ドアを開くと宅急便だった。
「何だろう・・」
取りあえず箱を開けてみる。
54木村 : 2000/12/24(日) 20:29 ID:rLw60CWg
「え・・・。なんだこれ」
箱の中にはデザインの凝ったかっこいいスニーカー、それを入れるナイロン生地の袋、手首に巻くリストバンド(これもなかなかセンスが光っていた)が入っていた。そして小さなメモ書きが一つ。
メモを読むとどうやら保田が送った物らしい。
「保田さん・・・なんで」
メモを見つめて一瞬怪訝な表情になる。しかしそんな事ははっきり言ってどうでもよかった。保田がこんな事をしてくれるとは思っても見なかったので少し嬉しくなった。
取りあえず吉澤はその紙も捨ててスニーカーを履いてみる。
ピッタリだった。
「いいな、部活か・・」
この瞬間だけは石川の事も矢口の事もすべて忘れていた。ただ自分が普通の中学生である事に喜びを感じていた。
55木村 : 2000/12/24(日) 20:30 ID:rLw60CWg
「よっすぃー!」通学路で石川にあった。
初めて一緒に登校。
「よっすぃー、昨日ごっちんに聞いたよ。バレー部に入ったんだって?」
「あ、うん・・・」
「凄いね。私は帰宅部だら放課後遊べなくなっちゃうね・・・」
石川の顔が少し寂しそうになった。
「そうだね・・・」
吉澤の声の違いに気付いた石川は聞いた。
「どうしたの?元気ないね」
どんどん校舎が近づいてくる。広葉樹の道。
「あ・・・・・・あのさ」
「あ、ごめんね。私よるとこあるからここで・・・」
さっと走って行ってしまう石川。
また聞けなかった。
遠ざかって行く石川を見ているうちに眠そうに自転車を扱ぐ後藤を見つけた。
「ごっちん!」
大きくてを振る。それに気付き後藤は自転車の方向を変えて徐々に近づいてきた。
「あら、よっすぃーじゃん。おはよう」
深みの無い会話をしながら教室までいった。
56木村 : 2000/12/24(日) 20:31 ID:rLw60CWg
―――放課後
「じゃあね、よっすぃー。部活頑張ってね」
「梨華ちゃん。電話番号教えといてよ。いつでも呼び出せた方がいいでしょ」
「そうだね。えっと・・・」
鞄から携帯電話を取り出して番号を告げる石川。
「ありがとう。バイバイ」
2人は教室を出ると別の方向に歩き出した。
体育館につくとすでに何人かの生徒が練習している。
3−Aの連中も何人かいた。
「更衣室は・・・」
取りあえず歩き回って更衣室を見つけた。ドアノブに手を掛けようとした瞬間内側からドアが開いた。
吉澤よりもだいぶ小さい生徒が出てきた。
辻ちゃんじゃない・・・吉澤はすれちがう顔を見て思った。

金髪・少し黒い肌・青っぽいカラーコンタクト・キラっと光るピアス

すぐに分かった。この小柄な少女こそ辻や後藤が恐がっていた矢口真里、その人だ。
57木村 : 2000/12/24(日) 20:32 ID:rLw60CWg
そう思うと急に興味が湧いてきた。
「あの・・・」
「は?」
振り向いた矢口。よく見ると少し可愛かった。
「矢口さんですよね・・・」
「そうだよ」
「新入りの吉澤って言います。よろしく」
「吉澤ってアンタなんだ。辻から聞いてるよ、後藤もよくあんたの事言ってる し。へえ、結構大きいんだ・・・。よろしくね」
「どうも・・」
少し期待が外れた。
口調が思っていたよりも優しかった。柔らかい言葉づかいではなかったが凄く話し易い感じだった。
58木村 : 2000/12/24(日) 20:38 ID:rLw60CWg
HN、木村に戻しました。
また雑談だけど最近映画どんなの見た?
『バトルロワイアル』もいいけど『オーロラの彼方へ』、『ダンサーインザダーク』も見てみたいんだよね。
あと、こないだふっと思ったんだけどこの前タンポポのTBSのラジオで加護が一瞬深作欣二の名前出した気がする。
あのときタンポポのメンバーはバトルロワイアルの監督だって何人が認知してたのかちょっと気になった。
石川なんか映画好きだから知ってるっぽい。
あの映画娘に見せたらどんなリアクションするのかな。
吉澤辺りはハマリそうな感じする。
59名無し娘。 : 2000/12/24(日) 20:52 ID:TQ2vU/D.
>>58 深作欣二について
加護、矢口は「意味わかんない、誰?」と発言してました。
60木村 : 2000/12/24(日) 22:59 ID:I/fYt1c2
>>59まあ加護はわかんなくてもいいけど、矢口知らなかったんだ。やっぱり物を知らないんだね。
人間数学できりゃいいってもんじゃない事がよく分かるね。
61犬の娘。 : 2000/12/24(日) 23:06 ID:5fpvz8Ao
木村って結構テレビとか映画とか見てるよね。
小説の内容映画を参考にしたりしてるの?
62名無し娘。 : 2000/12/24(日) 23:07 ID:gOcDU7.Q
深作欣二を知らないと「物を知らない」なの?
物凄い飛躍だな(ワラ
63犬の娘。 : 2000/12/24(日) 23:24 ID:CP3CTikI
>>62確かにな・・・。それにしても深作欣二ぐらい知ってるんじゃない?どうでもいいんだけどね。
64名無し娘。 : 2000/12/24(日) 23:28 ID:b/bJJTn2
加護は知ってるだろ、深作欣二作品は彼女のバイブルだ
65名無し娘。 : 2000/12/25(月) 00:04 ID:WIB.GwRM
木村は学歴コンプレックスか・・・
66名無し娘。 : 2000/12/25(月) 23:58 ID:d9U6WqvQ
age尾駅
67名無し娘。 : 2000/12/26(火) 13:48 ID:l8viHSR.
age
68名無し娘。 : 2000/12/26(火) 14:54 ID:sQLZe6fs
age
69名無し娘。 : 2000/12/27(水) 14:53 ID:8QKyIwDc
ちゃんと続きを書いてくれ!!応援してるぞ!!!
70木村 : 2000/12/27(水) 15:38 ID:dlYoz4Fs
「早く着替えておいでよ」
「あ・・・はい」
吉澤は空いたままのドアから更衣室に入った。
素早く運動着に着替え、保田から送られてきたスニーカーを履いた。
体育館に向かう途中後藤にあった。辻も一緒にいる。
「あったよ、矢口さん」
「うそ・・・。もうきてんの?珍しいよね」
後藤は不思議そうに辻に聞いた。
「そうですね・・・」
辻が後藤を見て頷いた。

―――体育館
顧問の話を聞き終わり生徒達は自由に練習を始める。
「よっすぃー。一緒に練習しようよ」
辻が声を掛けてきた。
「うん、いいよ」
71木村 : 2000/12/27(水) 15:39 ID:dlYoz4Fs
取りあえず後藤、吉澤、辻の3人は終了時間まで共に練習していた。
体育館の灯かりが消え、辺りはすでに真っ暗になっている。
「疲れたぁ・・。よっすぃー」
後藤が吉澤の体にもたれかかった。
辻もつかれた顔で段差のところに座って休んでいた。
「じゃあ、ジュース買いにいこうか・・・」
そういうと吉澤は立ち上がり二人を連れて自動販売機まで歩いた。
ジュースを4本買い2本を辻と後藤に渡す。2人は戻る間もなくタブをあげて缶を口から離すことなくゴクゴク飲んでいた。
元の場所に戻ると吉澤はようやく缶を開けてジュースをのみだす。しばらく飲んでると何かに気付いたように缶を口から離し後藤に渡した。そして地面に置かれた余分に買っておいた缶を手にとって立ち上がった。
「矢口さん・・・お疲れ様です」
「え・・・いいの?」
「私のおごりです」
「サンキュー」
そういうと矢口は缶を受け取った。
72木村 : 2000/12/27(水) 15:40 ID:dlYoz4Fs
学校に通い始めて3ヶ月が経った。
相変わらず石川の事はわからないままでいる。
教室の窓から見える木々は葉を落とし、もちろん帰り道の広葉樹の葉も落ちていた。
吉澤は外の景色に見とれている。
「よっすぃー」
いつのまにか石川が吉澤の後ろにいた。
「梨華ちゃん・・・・」
「どうしたの外なんか見て・・・」
相変わらず石川の声は高くいつもと変わらなかった。
「何でもないよ・・・」
吉澤が言うと石川は今日欠席している後藤の椅子にすわった。
「ね・・ねえ。あのさ、よっすぃー」
少し表情が緊張している。
「どうした?」
「今・・・お金持ってる?」
「うん。一応・・・・」
「あの・・・あのさ、ちょっと貸してくれない・・・かな」
「は?」
石川の突然の言葉に少々驚愕して素っ頓狂な声になってしまった。
「あ、いや・・・いいや。ごめん、忘れて!なんでも無いから・・」
そういうと石川は立ち上がり教室から出ていってしまった。
「なんだよ、それ・・・・」
73木村 : 2000/12/27(水) 15:40 ID:dlYoz4Fs
次の日から吉澤は石川の行動を気にし始めた。
昼休みになると後藤のさそいを断って石川の後を付けた。
しかし石川はある程度歩くと急に慌てたように走り出し、吉澤は見失ってしまった。
普通ならさらに探そうとするのだが、吉澤はそれ以上は追わないようにした。「梨華ちゃん。どうしたんだよ…」
帰り道。
吉澤は後藤を無理に捕まえて石川の事を聞いた。
「ねえ・・・梨華ちゃんの事、なんだけど」
「・・・・・・」
石川の事を詳しく聞こうとすると後藤はいつも黙ってしまう。
「何で?なんで黙っちゃうの?」
俯いた後藤に更に聞いた。
「梨華ちゃん。いつも昼休みが終わると元気無い顔してんだよね・・・」
「だから・・・あれは梨華ちゃん勉強で」
「違う!」
吉澤は少し興奮気味に後藤の言葉を遮った。
「勉強一生懸命やっただけであんなになるわけないよ!絶対に勉強疲れなんか じゃない!他になんかあるんだよ。梨華ちゃんいつも昼休みになるとどこか いっちゃうじゃん。あのとき・・あのときになんかあるんだよ。知ってるん でしょ?教えてよ!教えてよごっちん!」
「・・・・」
「何で黙ってんだよ!もういいよ!」
吉澤は後藤の肩を一度強く押して校門に向かって張り出した。
「梨華ちゃんは・・・」
「え?」
いつもの声のトーンとは違っていた。
74木村 : 2000/12/27(水) 15:41 ID:dlYoz4Fs
押されて少しよろけた後藤は体勢を立て直し吉澤を引き止めるような口調でゆっくり言った。
「梨華ちゃんは矢口にいじめられてるんだよ」
「は?」
「いじめられてるんだよ。矢口に」
「うそ?そんなの嘘だよね」
吉澤は再度後藤のところに戻り肩を掴んで聞いた。
「昼休みも矢口に呼ばれてお昼ご飯代巻き上げられてるんだよ」
後藤は吉澤の方を見ずに喋った。
「そんな・・・だからさっき・・・」
昼休み。石川の顔は完全にいつもっと違っていた。
吉澤は酷く落胆し帰り道を歩いた。いつもより家が遠く感じる。
部屋に入るとベッドに崩れるように倒れ込んだ。
「嘘だよ・・・。梨華ちゃん」
矢口の顔が頭に浮かぶ。その顔は笑っていた。最初に会ったあのやさしそうな笑顔じゃない、悪魔みたいな笑顔。
急に腹が立ってきた吉澤は枕をつかみ壁に投げつけた。
「なんでだよ・・・ふざけんな」
吉澤は泣いていた。
生まれてから一度も泣いた事なかったのに初めて泣いた。友達の事で、親友の事で。
「ふざけんな・・・ふざけんな・・・」
跳ね返った枕を何度も叩いた。
叩くたびに枕は少しずつ湿っていった。
75名無し娘。 : 2000/12/27(水) 23:41 ID:rb/YrSBY
なんか面白いです。続きも頑張って。
76木村 : 2000/12/28(木) 01:48 ID:mrI.5zJI
翌朝
吉澤は学校に行く気がしなかった。
誰の顔も見たくなかった。8時半を過ぎても布団から出ずに顔まで毛布をかぶっていた。
急に電話の呼び出し音がなった。
「誰・・・・」
腫れた目を擦ると少し痛みを感じた。
「もしもし・・・・」
相手は石川だった。
『よっすぃー、どうしたの?学校おいでよ・・・・』
本当なら家を飛び出していくはずだが今日はそんな気分になれなかった。
「ごめん・・・今日はサボるよ・・・」
『ええ、駄目だよ。寂しいじゃんよっすぃーいないと』
「梨華ちゃん。ごめん」
石川の返事も聞かずに受話器を置いた。
「待てってくれてるんだ・・・」
またしばらく布団を被る。
5分ほど考えたあげく吉澤は着替えて家を出た。
時計は12時を周っていた。
77木村 : 2000/12/28(木) 01:49 ID:mrI.5zJI
学校はすでに昼休みだった。
吉澤が校門に近づいた時、誰かが門前に立っていた。辺りをキョロキョロしているその少女はしばらくすると吉澤に気付き、大きくてを振った。
後藤だった。少しだけ茶色い髪の毛の少女に気付いた吉澤は小走りに近寄っていった。
「ごっちん。待っててくれたの?」
「梨華ちゃんが絶対来るから待っててあげてって・・・」
「そう、梨華ちゃんが・・・・」
「優しいね。梨華ちゃんは・・・・」
「え?」
「梨華ちゃん相当気に入ってるよ、よっすぃーの事」
「・・・・・・」
吉澤は沈黙し小さく頷いた。
2人は雑談を交わしながらゆっくりと教室へと歩いた。
途中で方向を変え体育館近くの自動販売機に向かった。
「おごるよ、ごっちん」
「え、ほんと?いいの?ありがとう」
吉澤は手に取った缶を後藤に手渡した。
78木村 : 2000/12/28(木) 01:50 ID:mrI.5zJI
「ちょっとよっすぃーお金持ち過ぎだよ。もっと中学生は――――」
吉澤の顔は後藤に向いておらず、遠く渡り廊下の向こう、ちょうど校舎の裏に見える2つの人影に向けられていた。
「梨華ちゃん・・・」
その言葉を聞き後藤は吉澤の目線の方を見た。
「あ・・・梨、梨華ちゃん」
そう、その先には石川と矢口の二人がいたのだ。まるでヘビににらまれたカエル。この場合カエル役の石川はコンクリートの壁にもたれ掛かり脅えた目でヘビ役である矢口を見ていた。
「矢口・・・・」
吉澤は持っていた缶を置きとっさに動いた。
「駄目、よっすぃー」
いくらか小声にして後藤が吉澤の腕を引いた。
「何で?ごっちん。梨華ちゃんつかまってんだよ!?」
声が大きくなった。しかし距離が開いているため石川と矢口に声は届かなかった。
「わかってる!でもちょっと待ってよ!」
後藤は腕を握る力を更に強くした。
吉澤は少々の痛みを腕に感じた。
79木村 : 2000/12/28(木) 01:51 ID:mrI.5zJI
「いいかげんにしてよ!手を放して。梨華ちゃんのところに行く!」
「話聞いて!矢口はナイフ持ってるんだよ!下手に近づいたらよっすぃーも梨 華ちゃんも切られちゃうよ!」
必死に引きとめようとする後藤。しかし吉澤は動ずる事もなく言った。
「・・・・・・ごめん」
後藤の腕を強く振り払って2人がいるところへ歩いていった。
「馬鹿・・・」
後藤はその場に立ち尽くしたまま、それ以上何も言わずに吉澤の背中を見ていた。
吉澤は矢口に切られる事などどうでもよかった。ただ今は石川を助ける事、自分を待っててくれた存在を助ける事だけが頭の中にあった。
「梨華ちゃん!」
その声に気付いた2人はほぼ同時に吉澤の方に顔を向けた。
「よ、よっすぃー・・・」
「吉澤・・・・何してんのこんな所で?」
矢口は少し笑いながら言った。
80木村 : 2000/12/28(木) 01:52 ID:mrI.5zJI
「梨華・・ちゃん?」
よく見ると石川の頬にはわずか数ミリ程度だが切り傷があった。前にも何度か見た傷だったが、今のそれには吉澤が長い間見続けていた赤い液体が付着していた。
「何してんのは・・・・こっちのセリフですよ。いったい・・いったい梨華ちゃんに 何を、したんですか?」
吉澤は息を切らして途切れ途切れに言った。
「何って、一緒にご飯食べようって言ってただけ―――」
「ふざけないでください!」
石川は今にも泣きそうな顔で吉澤を見ていた。
「普通ご飯に誘うだけで人間はこんなに脅えたりしませんよ。・・・・お金、取ろ うとしてたんでしょ?」
その瞬間石川は矢口の手を弾いて吉澤が立っている方とは反対側に向かって全力で走っていった。顔は俯いたまま振り替える事はなかった。
「チェッ・・・行ちゃった・・・」
小さく舌打ちする矢口を吉澤はしばらくにらんでいた。
じっと睨むうちに矢口は、石川の向かった方に消えてしまった、笑顔は消さずに。
「よっすぃー・・・」
後藤は力無く声を発した。
吉澤はしばらく誰もいなくなった校舎裏に立ち尽くしていた。
81木村 : 2000/12/28(木) 01:54 ID:mrI.5zJI
夕方(4:00〜5:00)の間ってあんまり人こないの?
小説更新したけど読んでる人いるのかね・・・。
82名無し娘。 : 2000/12/28(木) 01:55 ID:FdGrAvcc
きむらぁ〜。バトロワとかバンドのとか続き見たかったぞゴルァ〜
83名無し娘。 : 2000/12/28(木) 02:02 ID:s.xSsflc
楽しく読んでます。ぐわんばり〜
なんかマジレスですね。
84木村 : 2000/12/28(木) 02:07 ID:mrI.5zJI
>>82バンドはこの話が終わったら仕上げるかも。バトロワ系はアイデアでない。なんとなくパクるのがいやな方なんで。
85木村 : 2000/12/28(木) 02:15 ID:mrI.5zJI
>>83ありがとうございます。こんな私の作品を楽しく読んで頂いてるとは光栄でござい。
86名無し娘。 : 2000/12/28(木) 04:01 ID:OoXGXBxY
マジ真剣にみてる。最近この小説の影響で吉沢ヲタになってきたし。
87バッチ真里 : 2000/12/28(木) 04:04 ID:5wlQPw42
こないといじけちゃうYO!
88名無し娘。 : 2000/12/28(木) 15:02 ID:0vy277J2
木村の小説は吉澤主役だと
すごいおもしろいな・・・。
バンドのとかも好きだったけどさ。
89木村 : 2000/12/28(木) 15:23 ID:6n2l71cU
石川は走った。
矢口も吉澤もいないところまで。
「よっすぃー・・・ごめん・・・・ごめん」
同じ言葉か繰り返し出てくる。いまこの場所から逃げたとしても矢口からは逃げられるわけがない。そんな事は十分知っていた。だけど今はあの空間、吉澤と矢口のいる場所から逃げたかった。
誰もいない屋上。
石川は何度かここに来た事がある―――偶然にも後藤たちと会う事はなかったが。
フェンスにもたれ掛かり、乱れた息を整えるためにしばらく座っていた。
「もういやだな・・・・」
いくらか静かになった心臓の動きを確認すると石川は立ち上がり、階段を降り手ぶらのまま校内を出た。
90木村 : 2000/12/28(木) 15:32 ID:kj6iEuhc
放課後。
「ごっちん、梨華ちゃん帰ってこなかったね・・・」
「そうだね・・・」
いつもは放課後になると急に元気になる後藤だったが今日は沈んでいた。
「あのさ、私バレー部抜けるよ」
吉澤の言葉に後藤は、一瞬寂しそうな顔にしたがすぐに力のない笑顔に代わった。
「うん、いいよ・・・私から言っとく、梨華ちゃんの荷物も私が家に届けるよ。よ っすぃー今日は帰りなよ」
「うん、ありがとう」
吉澤はさっと机の中にある荷物を鞄にしまい後藤より早く教室を出た。
後藤は誰もいなくなった教室で一人石川の荷物を整理して学校を出た。
後藤は2人分の荷物を抱えて石川の家に向かった。
「重たいな・・。自転車パクればよかった・・・」
石川の家は2階建ての一軒家で白い壁にブルーの屋根という佇まいだった。
チャイムを押してしばらくすると石川本人が出た。
「梨華ちゃん、後藤だよ。出てきて」
またしばらく待つとゆっくりとドアが開いた。
91木村 : 2000/12/28(木) 15:33 ID:kj6iEuhc
「ごっちん、どうしたの?」
「荷物、取りにこないで帰っちゃったみたいだから持ってきたよ」
後藤は持っていた荷物の約半分を石川に差し出した。
「ありがとう・・」
「ねぇ、梨華ちゃん。よっすぃーがね、凄く心配してたんだよ。梨華ちゃんが 帰っちゃった後もずっと梨華ちゃんの席を見てたし・・・」
「そっか・・・・」
石川は俯いて小声で言った。
後藤はそれ以上なにも言わずに石川を見ていた。
「じゃあ・・帰るよ」
そういうと後藤は石川を後ろに見て歩き出した。
「ありがとう・・ごっちん」
小さく言った石川は扉を閉めてまた一言ごめんと呟いて自分の部屋に戻った。
92木村 : 2000/12/28(木) 15:33 ID:kj6iEuhc
次の日から石川は学校を休んだ。
「来ないね・・・」
吉澤は後藤を見ていった。
しばらくの間石川のいない学校生活が続いた。
吉澤の心とは裏腹に外はすっきりと晴れていて心地よい風が吹いていた。
冬なのに、暖かい風。
「梨華ちゃん・・・何してるのかな」
自宅に向かう途中の道、吉澤は石川の顔を思い出していた。
自分の部屋に入る。ベッドに倒れ込むと背中に痛みを感じた。見ると長い事忘れて放っておいたままの携帯電話があった。
画面を見ると時間が出ている。
吉澤は無意識のうちに電話帳の画面を開き石川の名前を探し始めた。
見つけた。とっさに通話ボタンを押す。
長い呼び出し音。なかなか人間の声に変わろうとしない。
「早く・・・」吉澤が呟いた。
「もしもし」
でたのは石川だった。
「梨・・・・梨華ちゃん!」
「よっすぃー?」
数日間聞く事のできなかった声、吉澤は少々の懐かしさを覚え自然と笑顔になった。
93木村 : 2000/12/28(木) 15:34 ID:kj6iEuhc
相変わらず声に張りがない石川だったが吉澤はそんな事は気にせずに一生懸命話した。何度か受話器の向こうから石川の笑う声が聞こえてきた。
「ねえ、梨華ちゃん・・・・」
「なに?」
「学校、おいでよ。矢口が来ても私とごっちんが助けてあげるから・・・」
「・・・・・・」
少しづつ元気を取り戻していた石川だったが吉澤の一言で、また黙ってしまった。すぐに返事が来ない事は吉澤には分かっていた。
「逃げない方がいいよ。どうせ矢口からは逃げる事なんてできないんだから。
学校に来て私たちと一緒にいる方がいいよ・・・。だからお願い、学校に来てよ」
「・・・・・わかったよ・・。ごめんね、明日から行くよ・・・」
「ありがとう・・・」
吉澤は電話を切った。
94木村 : 2000/12/28(木) 15:35 ID:kj6iEuhc
翌日は朝早く家を出た。
教室に入ると昨日の受話器の向こうにいた人物が机にもたれて眠っていた。
吉澤がゆっくり近づいて背中を叩いた。
驚いた石川は一度大きな声を上げて吉澤を確認すると笑顔になった。
「よっすぃー、おはよう」
「おはよう。出てきてくれたんだ・・・」
「あのね、私今日も休んじゃおうと思ったんだよ」
「え?」
「でもよっすぃーが待っててくれてると思ったら、いつのまにか着替えて学 校に向かってた。待っててくれるなら行かなくちゃって思ったんだよ・・・」
「・・・・ありがとう」

昼になって後藤も目を覚ました。
「ご飯、行こうか?」
後藤が談笑中の石川と吉澤に言った。
「でも・・・・」
石川の顔が少し緊張した。
「いいよ、そんな心配しなくて。私たちがいるから」
吉澤が言った。
しばらく考えた後に石川は頷き自分の席に戻って奇麗な布に包まれた弁当箱を取り出した。
「いこう。よっすぃー」
3人で行く屋上。そこは一段と明るく見えた。
「いいな、梨華ちゃん。お弁当作ってもらえて」
「ほんとだよ、ちょっと頂戴よ」
購買部のパンをかじりながら二人は言った。
石川は笑顔だった。
吉澤は石川の笑顔を見て安堵した。
「いいよ、あげる」
―――3人の昼食は終わった。
95木村 : 2000/12/28(木) 15:35 ID:kj6iEuhc
放課後。
石川がいない。
「梨華ちゃん・・・何処だよ」
教室、廊下、どこにもいない。
階段を駆け上がり屋上にも出たがそこにも誰もいなかった。
図書館、食堂、トイレどこにもいない。
「何で、さっきまで一緒にいたのに」
あれこれ考えるうちに一つ、あの場所を思い出した。見落としていた。

――――校舎裏

気付いた吉澤は荷物を肩に掛けてそこに走った。
途中後藤の声がしたような気がしたが今はそれどころじゃない。
「梨華ちゃん!」
矢口と石川。またあのシチュエーションだった。

「石川、何で来なかったんだよ。待ってたのにね・・・」
矢口は右手にカッターナイフを構え言った。
「ごめんなさい・・・」
完全に脅えきった石川の声は少し震えていた。
「ごめんなさいって・・・」
「・・・・・」
96木村 : 2000/12/28(木) 15:36 ID:kj6iEuhc
「吉澤と後藤でしょ・・・・?最近アンタの周りにいる奴」
相変わらず笑顔で喋っている。
「うざいんだよ。あんたに友達ができてんのも、あの二人も。・・・・あの二人 切っていい?」
カッターナイフを見つめてまた微笑する。
「それは、それだけはやめて・・ください」
「じゃあ、あんたを切ってあげるよ!」
その瞬間石川足に冷たい風を感じた。
石川はその場に倒れ込んだ。
石川のスカートが大きく切り裂かれ、ひざの少し上辺りに一本の直線状に切り傷ができていた。
「私が呼んだらすぐ来てよ・・・」
ポケットから落ちた石川の携帯電話の液晶画面には未読のメールが一件入っていた。
97木村 : 2000/12/28(木) 15:37 ID:kj6iEuhc
吉澤は全部見ていた。
矢口か自分の方に歩いてきた。
「いたんだ、吉澤」
何も言わずただ矢口を睨み付ける。
「お友達が切られてるよ。早く行ってあげた方がいいんじゃない?」
「・・・・・・今度やったら、矢口さん・・・・死にますよ」
吉澤の言葉は非常に小さい声だったために矢口には聞こえなかったようだ。
「梨華ちゃん!」
足を押さえて泣いている石川。
「よっすぃー、やっぱり駄目だよ。私、私もう疲れたよ」
「そんなこと言わないで・・・」
吉澤も泣いている。
「ごめん・・・ごめん!」
石川は立ち上がり駆けて行ってしまった。
本当にこの前と同じシチュエーション。
「梨華ちゃん!待って!」
その後を追いかける吉澤。
「よっすぃー!」
途中の道で後藤の声がした。
「ごっちん!一緒に来て。梨華ちゃんが・・・ヤバイよ」
曖昧な表現だったが後藤は取りあえず吉澤に同行した。
98名無し娘。 : 2000/12/28(木) 21:24 ID:OoXGXBxY
TVドラマ化きぼん。頑張ってくれ〜
99木村 : 2000/12/28(木) 21:54 ID:mcgKLpJw
じゃあ四月にやるか。
主演は深田恭子で(笑)。
100木村 : 2000/12/29(金) 02:30 ID:wPhalNP2
石川は屋上に向かった。
ふらふらと屋上を歩く石川。
「もう嫌だよ・・・。助けてよ」
気がつくと階段から見て一番奥のフェンスにいた。
石川は空を見上げた。
いつからだろう、こんな生活になったの――――

石川梨華、中学2年。
仲のよかった一番仲のよかった友達が転校した。
友達内でのお別れ会では一人だけ泣いてしまった。
その日から学校が嫌になり始めた。
行けば普通に話せるし勉強もそこそこやっていけた。
でも本質的には一人ぼっち、自分ではそう感じていた。
いつも一緒に帰ってくれていろんな話しを聞いてくれたあの子がもういない。時々その気持ちが爆発して、一人部屋で泣いたこともあったし学校をサボったりもした。
101木村 : 2000/12/29(金) 02:31 ID:wPhalNP2
ある日の放課後の帰り道、一人の先輩が自分に声を掛けてきた。
「ねえ、あんたいつも独りで歩いているよね。友達とかいないの?」
笑顔で声を掛けてきた。高校2年生の矢口真里。
金髪、ピアスは当時からだった。まだ黒かったひとみを見て石川は言った。
「いえ・・・あの」
そのとき石川は初めて高校生と喋った。
―――「何、今日も一人なんだ」
毎日同じ場所で声を掛けられる。
その度に石川は弱い声で軽く相づちを打っていた。
そんな事が続いたある日
「石川・・・」
何度か会ううちに名前も覚えられたみたいだ。
「はい・・・」
「いくら持ってんの?」
「は?」
突然の質問に石川は何が何だかわからず取りあえず疑問の言葉を発した。
102木村 : 2000/12/29(金) 02:31 ID:wPhalNP2
「お金、だして・・・。会話金ね、今までの」
「・・・・何で?」
「今まで友達のいないアンタと少しでも会話してあげたこの矢口さんにお金払 えって言うってるの」
「嫌・・・なんでそんな・・・」
「そう、嫌なんだ・・・」
そういうと矢口はポケットに手を入れて何かを探っている。
「そういう石川さんは・・・」
ポケットから緑色のカッターナイフを取り出した。
「え?なんですか・・・それ」
矢口はナイフを石川の顔に近づけた。
「100円で買ったんだけどさ・・切れ味いいんだ、これ・・・」
石川の頬に薄い傷が入った。何かが頬を滴る感覚が石川に伝わった。
「取りあえず、5000円で許すよ・・・」
石川は震える手で財布から5000円札を取り出して矢口に手渡した。
「ありがとう!またね」
『またね』と言う言葉がこんなにも恐く思えたことはなかった。
その日を境に矢口は石川に近づくたび金を巻き上げていた。
103木村 : 2000/12/29(金) 02:32 ID:wPhalNP2
―――中学3年。クラス替えである少女と隣同士になった。
「後藤真希、よろしくね」
「よろしく」
後藤は石川にとても友好的だった。
いろんな所に二人で遊びに行ったりもした。
「・・・・あのね、ごっちん・・・」
下校途中の公園、辺りには小さい子供の騒ぎ声や車の音、鳥の泣く声が聞こえていた。石川は後藤に矢口との関係をすべて話した。
「そんな・・・梨華ちゃん・・・」
それから約2ヶ月。
吉澤ひとみという今では一番の親友が、新入生としてきた。
色々相談できる友達が2人も出来た。
でも矢口との関係は変わらない。誰に相談しようとも何も変わることがなかった―――――
104木村 : 2000/12/29(金) 02:32 ID:wPhalNP2
「・・・・・・・」
石川は無意識にフェンスに手を掛け、登り始める。
それほど高さはなく直ぐに向こう側にわたる事ができた。
「梨華ちゃん!」
驚いた石川は声のする方を見た。
吉澤と後藤。
二人とも酷く息を切らしている。自分を追って、走って来たことが容易に分かる状態だった。
「なにしてんだよ!」吉澤が叫んだ。
「来ないで!」
網目の模様を隔てても石川が泣いていることは吉澤にはすぐ分かった。
「飛び降りて死のうとしてるの?」後藤が緊張した表情で言った。
「やめてよ!そんな馬鹿な・・・」
「馬鹿じゃないよ、よっすぃー。私、もう駄目だよ。矢口さんから逃げるには 死ぬしかないんだよ・・・」
「矢口さんって・・・。梨華ちゃんもうこんな事辞めようよ・・・、辛いなら私たち が助けてあげるから」
後藤が少し声を震わせて言った。
105木村 : 2000/12/29(金) 02:33 ID:wPhalNP2
「ごっちん、ごめんね・・・。二人がいても駄目みたい。でもよっすぃー達は悪くないよ・・・・。だからもう私のことなんてほっといて・・・」
「ほっとけるわけないじゃん。友達なんだよ・・・。お願いこっちに戻ってきて よ!」
「無理だよ!もう死ぬよ私、全部面倒臭くなちゃった・・・・。二人に、二人に心 配かけるのも矢口さんにいじめられるのも・・・・」
「ふざけんな!」
「え?」石川の目が後藤から吉澤に向けられた。
「何が死ぬだよ、何が面倒臭いだよ!そんなに死にたいんだったら梨華ちゃん のことを心配してくれてる人を全員殺してから死ねよ!いろんな人に心配かけ といて勝手に死のうとしないでよ!本当に自殺していい人って言うのは誰に も心配されず、誰からも気にされない孤独な人がするものなんだよ!勝手なこ と言わないで!」
吉澤の目からはいつのまにか涙が零れていた。
「よっすぃー・・・」
「勝手だよ・・・。おかしいよ・・・そんなの。戻ってきてよ・・・梨華ちゃん」
しばらくの沈黙。
「よっすぃー、ごっちん・・・」
石川はもう一度金網に手かけた。
間にそびえていた壁を越えてまた地面に足をついた。
「ごめん・・よっすぃー」
石川は泣きながら吉澤のもとに駆け寄った。
「梨華ちゃん・・・よかった・・」
石川を抱き留めた吉澤は石川の涙につられて泣いていた。
106木村 : 2000/12/29(金) 02:34 ID:wPhalNP2
朝。
昨日の事件が嘘のように空は晴れ晴れとしていた。
吉澤は登校の支度を済ませて家のドアを開けた。
「あったかい・・」
外に出てまず空を見上げる。
雲一つない奇麗な空だった。
「よっすぃー!」
途中の商店街で二人分の声が吉澤を呼び止めた。
「おっす。おはよー!二人!」
後藤・吉澤・石川の三人はいつもの雑談を交わしながら、学校に向かった。
普通の中学生生活がまた戻ってきた・・・・吉澤は二人をみながら思った。
校門を超えて枯れ木となった広葉樹が両脇に植えられた道を歩いていく。
会話は途切れない。
校舎に近づくと見慣れた顔も少しづつ出てくる。
また今日も学校が始まる・・・。
また今日も友達と楽しく過ごせる時間が始まる・・・。
吉澤は少し早足になった。
それに続く後藤と石川。
玄関が近づいた。

「石川・・・・」
107木村 : 2000/12/29(金) 02:35 ID:wPhalNP2
石川の表情に緊張が走る。
ゆっくりと声のする方に顔を向けた。
「昨日、見たよ。アンタが飛び降りようとしてんの・・・」
「やぐ・・ち?」後藤が言った。
矢口の目線は石川にだけ言っていた。
「私から逃げたくて死のうとしてたんだね・・・」
「え・・・・」
「でも吉澤と後藤に止められて結局やめたんだね・・・・」
「あ・・・・・あ」
石川の声が震え始めた。
「じゃあ・・変わりにさ・・・」
言葉を話すに連れ矢口の手がポケットに近づいていく。
「私がやってあげる!」
石川は腹部に何かが突き刺さる感じがした。それと同時にその部分が熱くなっていく。
「嫌・・・梨華ちゃん」
後藤が口を押さえて震えている。
「・・・・・・」
黙り込んだまましゃがみ込みそのまま仰向けに寝る石川。
「痛い・・・痛いよ・・・」
手で覆われた部分がみるみるうちに赤くなっていく。
石川の手も少しづつ赤くなってきた。
108木村 : 2000/12/29(金) 02:36 ID:wPhalNP2
矢口の顔はいつもの笑顔とは違っていた。目は赤くなり少し息を切らしている様子だった。
後藤が石川に駆け寄る。
「梨華ちゃん!梨華ちゃん!」
必死に呼びかけるが石川に返事をする余裕がない。痛みよりもショックで喋れなくなっていた。
「死なないでよ!梨華ちゃん!梨華ちゃん、お願い・・せっかくここまで来たのに一緒に学校来たんだから死んじゃ駄目!」
石川の胸に後藤の涙が落ちる。
「弱いね、石川・・・。やっぱりあんたは私に勝てないんだよ。あんたが友達作ったりしちゃいけないんだよ・・・。」
矢口が冷たい目で言った。
「関係ないよ、友達作ることなんて!」
後藤は矢口を睨んだ。
「うるさいよ・・・」
「え?」
後藤が声の主に驚いて言った。
109名無し娘。 : 2000/12/29(金) 03:21 ID:1hVIM4UA
涙が滝のように流れてきたんですけど・・
石川死ぬな!!
110名無し娘。 : 2000/12/29(金) 03:38 ID:ZAfNnaYc
木村のできちんと終わったのと終わってないのと比率どのくらい?
111名無し娘。 : 2000/12/29(金) 04:27 ID:kA2VDo3M
ほんとに泣きそうです・・・
112名無し娘。 : 2000/12/29(金) 04:55 ID:cAoqIUUI
一気に読んだけど、面白いです。
やっぱり、いしよしごまは良いな〜。
特に石川を守る吉澤っていうのが。
113木村 : 2000/12/29(金) 11:27 ID:Syoect1M
「うるさいって言ってんの・・・」
その声は吉澤だった。
「矢口さんの言う通り。言ってることは正しいよ」
「なんで?よっすぃー」
「・・・・よっすぃー・・・」
石川が一言言った。
「梨華ちゃん!」後藤は石川の頭を抱きかかえていった。
「酷いよ・・・よっすぃー、そ・・・そんなの」
少しだけ口元が笑っている。
その小さな口から一本の赤い筋が垂れた。
「酷くないよ梨華ちゃん。矢口さんの言うのは正しい。弱い人間が友達作って楽しくやるなんておかしいんだよ・・・」
「吉澤・・・」
矢口の顔がだんだんと笑顔になる。
「アハハハ、何こいつ、気が動転して私の仲間になってるよ。面白いね、アン タ!」
「矢口さん・・・」
吉澤は矢口の後ろに立った。
114木村 : 2000/12/29(金) 11:29 ID:Syoect1M
吉澤は矢口の後ろに立った。
「矢口さんこないだ聞こえてなかったんですか?」
「は?何が?」
「この前校舎の裏で矢口さんが私の側を通りすぎる時・・・・私、大事なこと言っ たのにな・・・」
「ごめん、私、耳悪いから・・・」
相変わらず笑顔で答える。
「じゃあ、もう一回言いますね」
「え?」
矢口の背中に激痛が走った。
まるでヘビー級チャンピオンのストレートパンチを喰らった様な感じ。
矢口は前のめりに倒れた。その軌道が赤い血液の曲線で描かれた。
「今度梨華ちゃんを傷付けたら・・・死にますよ」
「そんな・・・吉澤・・」
途切れる意識の中で矢口は言った。
「うるさい、馬鹿」
また銃声が校内に鳴り響く。
それまで矢口真里として動いてきた者はこの瞬間死体として動かぬ物になった。
115木村 : 2000/12/29(金) 11:30 ID:Syoect1M
右手に構えたブローニングハイパワーは未だ煙を吐いていた。
「いやっ・・・よっすぃー」
後藤が脅えた目で見ている。
吉澤は銃を捨てて石川に近づいた。
「・・・・・大丈夫?梨華ちゃん」
「よっすぃー?大丈夫・・・だよ。傷は・・そ、そんなに・・深く・・ないから」
石川は震えながらもなんとか体を起こした。
「ごめんね。私のこと酷いと思ったでしょ・・・。でもあれは嘘だから。それだけ はわかって・・・」
「うん、大丈夫だよ。わかってる。よっすぃーはあんな事本気で言う子じゃない よ・・・」
「・・・・・そっか。ごっちんもごめんね・・」
「うん・・・」
「・・・じゃあ、ここでサヨナラだね・・・・」
「え?何言ってるの?」
石川はそう言って痛む腹を少し押さえた。
「そうだよこれから救急車もくるし、一緒に病院ついてきてよ」後藤が言う。
「駄目なんだよ・・・・ごめんね」
116名無し娘。 : 2000/12/29(金) 14:44 ID:FC5vZ/mM
やっぱりやったんだね、吉澤・・・。
面白いです頑張ってください。
117名無しまさひろ : 2000/12/29(金) 23:52 ID:QsN.pnxg
マジで面白い!!
がんばって!!
118名無し娘。 : 2000/12/30(土) 00:17 ID:xRSMNCtA
よっすぃ〜萌え
119木村 : 2000/12/30(土) 00:30 ID:au2/jCjY
そういうと吉澤は立ち上がり2人から距離を置いた。
「保田さん!どっかにいるんでしょ。賭けは私の負け!いいよ撃っても!」
吉澤は声を張り上げていった。
その瞬間吉澤の体がはじけるように空中に上がった。
「よっすぃー!」
後藤は吉澤に駆け寄った。
石川も傷口を押さえながらゆっくりと吉澤の方に来た。
「・・・・痛たた・・」
吉澤は石川の傷口と同じ部分を押さえている。
「よっすぃー、なんでよっすぃーも撃たれなきゃいけないの?ねえよっすぃー!」
「よっすぃー・・・どうして、私を助けてくれたのに・・・賭けって何。訳わかんない よ」
「ごめんね・・・。梨華ちゃん・・・私・・・・・ホントはね、殺し屋なんだ」
「え?」
「私は・・人を殺してお金をもらう仕事してるんだ。転校してきたなんて嘘。でもそのお仕事が辛くてさ・・・。一回ぐらい・・・普通の女の子になって学校に通ってみたかったんだ・・・。それである人に頼んだの・・その夢かなえてくれって。そしたら・・・その人厳しくてさ・・・賭けとしてならいいって言うんだ。もし私が一年間人を殺さずに暮らすことが出来たら私の勝ち・・・・無理なら私が死ぬって事でね・・」
「そんな・・・おかしいよ」
石川の顔が涙と少々の血でぬれていた。
120木村 : 2000/12/30(土) 00:31 ID:au2/jCjY
「でも・・・やっぱり駄目みたい・・・。人殺しは普通の女の子にはなれないみたい。これで証明された・・・よ」
「何で、よっすぃーは普通の女の子じゃん!どうして梨華ちゃんを助けたのに殺 されなきゃいけないの?!」
「ごめんね、ごっちん。でもね・・・・これだけは言えるよ・・・」
「もういいよ、喋らないで!」
「短い間・・・・だったけど、凄く・・凄く楽しかった・・・ありがとう、ごっちん。 ・・・・ありがとう・・・梨華ちゃん――」
吉澤の目は閉じられた。
「え・・・よっすぃー・・?よっすぃー!ねぇ、ちょっと!起きてよ。目、開けてよ!」
後藤が吉澤の体を強く揺すった。
「よっすぃー・・・・。嘘つきだよ・・・こんなに心配してるのにかってに一人で死ん じゃうなんてさ・・・。そんなの無いよ・・・」
必死に呼びかける二人。しかし吉澤にその声が届くはずもなかった。
後藤と石川は動かなくなった吉澤の体を抱いて泣いた。
閉じられた吉澤の目からは一粒の涙が流れ落ちていた――――
121木村 : 2000/12/30(土) 00:38 ID:ne351vUE
―――――あれ・・・・。死んだはずなのに・・・・。
吉澤はゆっくりと体を起こした。
「あれ、なんで・・・」
「あ、目、さめた?」
長い間聞いてなかった声。
「保田さん?」
「よっ!久しぶり、よっすぃー!」
「何でですか?私賭けに負けたんですよ!」
「あの後さ・・・」
保田がコーヒーの入ったマグカップをもって近寄ってきた。
よく見るとここはあのマンションだった。
「あんたを迎えにあの場所までいったんだ」
ベッドの端に腰掛ける。
「じゃあ、あの時は・・・」
「殺してないよ。だってあれ麻酔銃だもん、ちょっと強力なやつだけどね」
「へ?」
「まあ、いいや。あんたを迎えにいった時ね、後藤って子と石川って子が私に聞いたんだ・・・。よっすぃーはどうなるんですかって・・・よっすぃーは死んじゃったんですかって。で、私は生きてることを伝えた。安心してたよそれを聞いて。きっと凄い心配したんだろうね、あんたのこと」
「そうなんですか・・・」
122木村 : 2000/12/30(土) 00:40 ID:ne351vUE
「それでさ、私考えたんだよ、あんたが寝てる間。この先吉澤ひとみをどうす るか・・・」
「・・・・・」
吉澤は考え込むように俯いた。
「考えた結果、あんたの自由にさせることに決めたよ・・・。もし、あんたがまたあの学校に戻って石川と後藤の二人と暮らしたいって言うなら私はそれを止めないよ。・・・まあそれはかなり難しい事ではあるけどね。さぁ・・どうする?」
「・・・・・・」
吉澤は黙ったままでいる。

長い沈黙。

保田は吉澤の横顔をじっと見詰めている。
「保田さん。やっぱり殺してください・・・」
「え?」
「これ以上普通の女の子演じるのは無理です。かといって仕事に戻るのも嫌だし・・・。このまま生きてても辛いだけかもしれませんから・・・。一瞬だけでも・・・幸せな経験が出来てよかったです」
「いいの?・・それじゃあ石川に言ったことが嘘になるよ」
「わかってます。この罪は地獄でって事で・・・」
「そっか・・・。・・・・あんたらしい答えかもね・・・」
「はい・・・・」
そして保田はポケットに忍ばせておいたS&W M19を取り出した。
「じゃあね、吉澤」
「さようなら・・・・。色々ありがとう、保田さん」
銃声。
少女の血は言葉では表すことが出来ないほど奇麗だった。
吉澤ひとみ・・・・彼女の人生はここで終わった。
誰も居なくなった部屋。
1週間が過ぎたある日、郵便受けに何かが入った。
誰も見ることの無い手紙――――――
123木村 : 2000/12/30(土) 00:41 ID:ne351vUE
―――吉澤ひとみさんへ。
よっすぃー、お元気ですか?この住所であなたに届くことを信じています。
私もごっちんも元気でやってます。
もうすぐ受験なんで、二人で勉強とかしちゃってます。
今の生活はどうですか?
あの時、あなたの言っていた女性の「生きてるよ、こいつ」って言葉がとても嬉しかったです。
きっとよっすぃーなら生きていればどこかで楽しくやっていることでしょうね。
私は今、とても楽しくすごしています。
よっすぃーのおかげだよ。

それじゃあ、よっすぃーの生活が幸せであるように祈っています。
またいつか会える日を楽しみにしています。では。

P.S ごっちんは作文が苦手だから書きたくないみたいです。

〜石川梨華〜

『another life』(了)
124名無し娘。 : 2000/12/30(土) 00:49 ID:xRSMNCtA
やべえ、感動!!
125木村 : 2000/12/30(土) 00:59 ID:pw.6fo6M
すいません、一気に終わらせちゃいました。
>>124まじですか?サンキューっす!
なんか前の方のレスで俺が吉澤を主役にすると面白いと書き込んでくれた人がいましたが、それは多分俺の書きたい理念が吉澤のキャラと結構一致してるのかも。
自分的にも吉澤主役にすると一番やり易いからね。
126バトルロワイアルな娘。 : 2000/12/30(土) 01:13 ID:FWK8EmCA
よみましたよ〜
ええ話ですね、ほんと。私もいつかはこういう話も書いてみたいです。
バトロワ書きながらこれ読んだら娘のキャラ混乱しがちなんですが(w
127木村 : 2000/12/30(土) 01:17 ID:pw.6fo6M
>>126ありがとう。確かにキャラが混乱するかもね。バトロワ小説では矢口&吉澤だけど、俺のは矢口VS吉澤だからね。
128名無し娘。 : 2000/12/30(土) 01:21 ID:oZhNS3Gs
よい!サイコー!!
今日始めて読んだけど、これ超おもしろい!
バトロワに匹敵するおもしろさだったよ!
129nonono : 2000/12/30(土) 02:51 ID:ey0m4D/I
もの凄く感動しました!!
本当に面白かったです。
130名無し娘。 : 2000/12/30(土) 04:09 ID:SXtiKnhM
面白かった。
ラストも良いです。
131名無し娘。 : 2000/12/30(土) 05:23 ID:AkX.RllY
後藤の描写に感心。いいアクセントになってる。
132名無しまさひろ : 2000/12/30(土) 21:23 ID:y3H0Kseg
お疲れ様でした!
よっすぃ〜ファンの俺にとって大満足の作品でした!!
感動ッス!!!次の作品も期待してますよ。
133名無し娘。 : 2000/12/31(日) 00:58 ID:UWqOcoEs
矢口オタと吉澤オタの私にはつらいです・・・・・・。
でも感動。次もがんばって下さいね。
134名無し娘。 : 2001/01/04(木) 18:36 ID:llzml7Y6
保全させて頂く。
135名無し娘。 : 2001/01/07(日) 22:41 ID:y4h1DFl6
木村、続編どうした?
木村の作品注目してます。頑張って!
136名無し娘。 : 2001/01/08(月) 13:33 ID:w7STit4c
おもしろage
137名無し娘。 : 2001/01/08(月) 15:54 ID:ErJYzUZo
悲しいけど良かった。
レズネタじゃ無いとこもまたよし
何かまた書いて
138名無し娘。 : 2001/01/08(月) 22:27 ID:PsryIEU2
マジ泣きしました。せつない、、。
ジブリアニメ見た後とおなじ感じです。
2chにもこういうのあったのか。
139名無し娘。 : 2001/01/08(月) 23:43 ID:4RdRiwbo
娘。の18禁小説サイトってどこにあるんでしょうか?
140ナマコ娘。 : 2001/01/09(火) 00:54 ID:fJ0OHFLM
良すぎる...
またよっすぃ〜主人公で書いて下さい。 > 木村さん
141名無し娘。 : 2001/01/09(火) 04:06 ID:chZwVWmQ
今日はじめて読んだけど、やばい。泣いた。ちょーいい!!
そこらへんの石川吉澤ネタじゃないし、もういいね。
ごっちんが又いいんだねぇ、これ。健気で。
ストーリーも濃くて、いやぁ実写版でドラマ化して欲しいくらい。
いやぁほんとまだ興奮がおさまんないかんじ。
142名無し娘。 : 2001/01/09(火) 12:06 ID:Pm7JeMKM
また書いてください。応援してるぞ。
143小説子 : 2001/01/09(火) 18:10 ID:P6GrqKmk
マジ面白い。141に同感。ドラマ化して欲しいです!
144名無し娘。 : 2001/01/09(火) 19:29 ID:bNCgo39Y
どう贔屓目に見ても138は白痴だな
145中澤裕子 : 2001/01/09(火) 22:45 ID:lGyfZOls
「あら、私の可愛い矢口にこんな役をやらせるなんて!この文書いてる奴でてきなさい!私が踏んづけてやる!」
146名無し娘。 : 2001/01/10(水) 19:18 ID:9FR3EM/.
>木村
シーサイドの続きは書かないの?
147名無し娘。 : 2001/01/11(木) 00:33 ID:Qzv2msE6
最高。右クリック保存。
148名無し娘。 : 2001/01/11(木) 01:19 ID:1QuGRti.
朝比奈学園教師平家、の時もそうだけど矢口ってなぜか
こんな役が似合ってるよ。
149名無し娘。 : 2001/01/11(木) 04:06 ID:l0GSLZd2
こんどは辻が主役でおねがいします。
かんどうしましたよ。
150名無し娘。 : 2001/01/11(木) 22:00 ID:c4A7vrA6
まじで目にきた・・・ええ話や・・・がんばってください・・・
151名無し娘。 : 2001/01/11(木) 23:31 ID:l0GSLZd2
続きつくらないんですか?
つくってくださいよ。
152もういくつ寝ると名無しさん : 2001/01/12(金) 23:06 ID:7SOhKdEY
ageageaa
153名無し娘。 : 2001/01/14(日) 15:30 ID:2TiCgmqM
バトロワもいいけど、こういう小説も好きです。
続きあったらお願いします。
154マヌー : 2001/01/14(日) 15:33 ID:B22PknrA
考え中じゃん?
155木村 : 2001/01/14(日) 16:52 ID:VAwKC8ik
今考えてる話は少しバトルロワイアルとかぶる感じがあるから今始めるとあんまりおもしろく無いかも。
それでもいいなら書くけどね。
156マヌー : 2001/01/14(日) 16:54 ID:B22PknrA
>>155
書いて〜。おもいっきし血生臭いの好きだから、
血みどろリクエスト!
157木村 : 2001/01/14(日) 17:00 ID:ZggP4kBI
>>156いや、そこまでホラー色じゃないよ。無人島でサバイバルゲーム的な事をするところが似てるっていうだけだから。
しかも殺し合いっていうか逃げ切るみたいな感じ。
158マヌー : 2001/01/14(日) 17:02 ID:B22PknrA
>>157
そっか、でもやっぱ死人は出るっしょ?
159マヌー : 2001/01/14(日) 17:04 ID:B22PknrA
スマソ、>>158無かった事に。

>>157
逃げ切るっていう設定なら、
バイオハザードを盛り込んでみたら?


160みっく・ふぉおりい : 2001/01/14(日) 17:06 ID:G4b1rfBo
まぬうはどこにでもいるな
新種の荒らし?
161マヌー : 2001/01/14(日) 17:13 ID:B22PknrA
>>160
前にも同じ事違う人に言われたなぁ。
荒らしじゃないっちゅーねん(w

162マヌー : 2001/01/14(日) 17:15 ID:B22PknrA
連続投稿してるからそう言われるのか・・・?
163名無し娘。 : 2001/01/14(日) 17:17 ID:LYtwIL7I
マヌーって空気読めてないって言うか、凄腕のレスストッパーだな。
164マヌー : 2001/01/14(日) 17:19 ID:B22PknrA
>>163
酷い事言うなぁ(w
165マヌー : 2001/01/14(日) 17:21 ID:B22PknrA
まるで石川みたいじゃん・・・・ハァ
166木村 : 2001/01/14(日) 17:22 ID:TnduCn7A
ごめん。関係ないことで話題広げるなら別でやって。
マヌーが荒らしだろうと関係ない。意見を聞かせてくれてサンキュー。
167マヌー : 2001/01/14(日) 17:25 ID:B22PknrA
>>166
あぁ、ゴメン。脱線した。
このスレではROMってようかな。
じゃ、ガンバって!
168名無し娘。 : 2001/01/14(日) 21:34 ID:2vQFxeik
また吉澤主役がいいなぁ〜
169名無し娘。 : 2001/01/14(日) 21:58 ID:a7wXDItw
泣けた
170名無し娘。 : 2001/01/15(月) 00:48 ID:iHrwJd0k
木村さんがんばってください。
結構なけましたよ。
吉澤のやくがら最高です。
171木村 : 2001/01/16(火) 00:12 ID:kWcMU5.A
新作できあがったんであげます。
172ナマコ娘。 : 2001/01/16(火) 00:20 ID:.NQ8bBWw
待ってたゼ!!!
173木村 : 2001/01/16(火) 00:28 ID:G70tEOOQ
『Friend Be Killer』

西暦2001年 新世紀初頭

日本政府による銃器保持許可法案可決

国内の犯罪多発を危惧した政府は米国の制度に便乗し15歳以上の男女を対象に銃器の携帯を許可。
これにより政府は犯罪の減少を狙うが逆に少年少女による障害・殺人事件が多発。問題はより深刻な事態へと進む(日本国図書/新社会科学概論より引用)
174木村 : 2001/01/16(火) 00:31 ID:G70tEOOQ
西暦2001年 7月
強い日差しが照り付ける中、吉澤ひとみは庭の木陰に設置された2つ並びのブランコに腰掛けていた。
「暑〜い」
ぐったりと首を垂れ、ため息を吐いてみた。
セミの声がいっそう汗腺を刺激する。
ブランコを揺らしては生ぬるい風邪を顔に感じていた。
「よっすぃー!」
陽炎のかかる視界の向こうから誰かが駆けて来た。
「あ、矢口さん・・・」
その歳相応にはとても見えない小柄な風貌はいつも吉澤の周りにくっついている存在だった。
「何だよ、元気無いね。夏バテか?」
相変わらず元気な声だった。
「何すか・・・。元気ですよね、いっつも・・・。こっちは熱くて死にそうで すよ。かき氷食べましょうよ向こうで、かき氷・・」
「そりゃぁ元気さ!だって明日から修学旅行だよ、よっすぃー。今日は何だか 眠れなーい!」
大はしゃぎし始める矢口。それに呆れた吉澤はブランコを立って歩き始めた。
足取りを速める吉澤に少し遅れて矢口が近づいてくる。
175木村 : 2001/01/16(火) 00:31 ID:G70tEOOQ
「何だよ、よっすぃー。明日が楽しみじゃないの?」
「そりゃあ、楽しみっすけど・・。まだ場所も何にも言わないんですよ・・・ おかしくないですか、保田先生」
「きっと皆を驚かそうとしてるんだよ。多分南極とかにでも行くんじゃん?」
「・・・・そうだと良いですけどね」
少しだけ微笑んでまた歩き出した。

孤児院『朝美園』
8人の孤児と一人の園長が在籍する孤児院である。
家屋に入った2人はさっそく食堂にある『ドラえもんかき氷』に手をやる。
「うまい!良いですよね、かき氷・・・」
「ホント好きだね、かき氷。そればっかり食べてんじゃん・・」
「あ、そう言えば梨華ちゃんは?」
「・・・さぁ、知らない」
「何だよ、矢口さん・・・冷たいじゃないすか。呼んであげましょうよ、梨華 ちゃんも」
「いいよ、面倒臭い・・」
矢口の表情が急に険しくなる。
176木村 : 2001/01/16(火) 00:33 ID:G70tEOOQ
―――ゴミ捨て場
石川梨華が3人の孤児に囲まれている。
「アンタさ、明日の修学旅行もちろんくるんだよね」
少し低めのトーン。
「・・・あの、もしかしたら・・・」
脅えた目で石川は答えている。
「は?何、またこの間みたいに急にお腹が痛いとでも言おうとしてるの?」
「・・・いや、あの」
「困るんだよね、そういうわざとらしい仮病・・・」
少しだけ他より背の高い孤児が石川の腹を拳で軽く押した。
「あ・・・。あの、行きます。休まずに・・」
引きつった笑顔で石川は答えた。
「当たり前じゃん。あんた来ないとつまんないんだもん」
「頼むよ、梨華ちゃん。じゃあね」
3人は揃ってその場を後にした。
石川は3人が消えたのを確認するとそそくさと自分の部屋に戻った。
177木村 : 2001/01/16(火) 00:34 ID:G70tEOOQ
扉を開けると2つのベッドがあり、片方にはもう既に吉澤が寝ていた。石川は静かに自分のベッドに腰を下ろして吉澤の方を見やった。
「よっすぃー・・・。もう寝ちゃった?」
寝息を確認すると石川は毛布をかぶり勘付かれない様に泣き出した。
「どうしよう・・・。どうしよう・・・」
涙の後が消えぬまま朝日は昇った。

―――旅行当日
天候は雲一つ無い快晴。
「よっすぃー、やったよ晴れたじゃん!」
矢口が昨日に引き続き騒いでいる。
「ほら、矢口静かにしろ!もうバス来るよ!」
矢口を征したのは保田圭だった。若いながらもこの孤児院の園長を務めている彼女に吉澤は多少の憧れを感じていた。
「保田先生、今日って何処行くんですか?目的地を最後まで知らせない旅って なんか不自然ですよ・・」
吉澤はまとめた荷物を肩に架け直しながら聞いた。
「そうだね、じゃあここで知らせておきます。今日の目的地は・・・・・無人島です!」
「え?」―無人?―
孤児達の顔が一気に怪訝な表情へと変化した。
「なに、不安なの?一応宿泊施設はあるから大丈夫だよ。ただ人は1人もいな いけどね・・・」
全体がざわつき始めた。
ただ1人石川梨華を除いては――――――
178木村 : 2001/01/16(火) 00:37 ID:G70tEOOQ
取りあえず始めてみました。
読んでくれる人には悪いけど、この小説面白い、面白くない別にして100%後味悪いよ。

あと、誰かスレッド保存屋のホームページ教えてください。
179ナマコ娘。 : 2001/01/16(火) 00:39 ID:.NQ8bBWw
>>178
http://www.interq.or.jp/yellow/hiuga/2chanel.html
今の所期待度大ですな。
180ナマコ娘。 : 2001/01/16(火) 01:20 ID:/nmg80z6
期待age
181名無し娘。 : 2001/01/16(火) 01:28 ID:xIoT64ec
りかしゃん可愛そう・・・
182ナマコ娘。 : 2001/01/16(火) 01:54 ID:N9P2Iqv6
定期的age
183ナマコ娘。 : 2001/01/16(火) 23:28 ID:N9P2Iqv6
待ちくたびれたage
184木村 : 2001/01/16(火) 23:37 ID:PS.5o5.M
−1−
バスは港に向かって走り出した。
出発してからしばらくは静かな車内だったが周りの景色が変わるに連れて一人また1人と声を出し始めた。
吉澤は運転席に近い座席に石川と隣り合って座った。
石川は窓の外をずっと見ている。
「梨華ちゃん?」
返事が無い。外を見るのに集中していて聞こえていない様だ。
何度か呼んでやっと振り向かせた。
「大丈夫?さっきから景色ばっかり見てるけど・・・」
「うん、奇麗だったから。なんか用?」
「ううん、別に。具合悪くなったらすぐ言ってね。酔い止めぐらいは用意して あるから」
石川は微笑むとまた窓の方を向いてしまった。
会話が途切れると吉澤は何をするでもなく背もたれに寄りかかった。
不意に座席を立ち車内を見回す。
一番後ろの席に目をやると矢口真里、飯田圭織、安倍なつみ、後藤真希が早朝だと言うのに大騒ぎしている。時折安倍と矢口の特徴のある笑い声が聞こえてきた。
185木村 : 2001/01/16(火) 23:38 ID:PS.5o5.M
矢口を除いた3人は石川をいじめるグループある事を知っていた為あまり会話したことが無い。
その中でも後藤は石川に対して殺意を抱いているのではないかと思うくらいであった。
視線を自分の側の座席に持ってくると、真後ろに位置する座席で加護亜依と辻希美が寝ている。12歳、13歳という年齢では朝5時起きはきつかったのか二人とも揃って気持ち良さそうに寝息を立てていた。
そして通路を隔てた隣の座席には保田が座っている。
見ると何かを書いている様子だった。書類らしいが、バスが大きく揺れる度に舌打ちをして消しゴムを滑らせていた。
「保田さん、何書いてるんですか?」
「ちょっとね、色々こっちの問題で・・」
保田は手を動かしたまま答えた。
「今書かなきゃいけない物なんですか?」
「まあね、この旅が終わってからすぐ使うかもしれないしね」
「へぇ・・・」
保田は置きかけたペンをまた動かし始めた。
186木村 : 2001/01/16(火) 23:40 ID:PS.5o5.M
何時間走ったろうか、窓の外には海が見え始めた。
「あ、海だよ。よっすぃー起きて・・・。もうすぐ港に到着するよ」
石川に体を揺すられてゆっくりと目を開ける。
顔を少し動かすと強い日差しが窓から差し込んできた。
バスが止まった。
全員は海の匂いを感じながら保田に促されてそのまま直接船に乗り込んだ。
船は一度だけ出発の確認の音を発して静かに動き出した。
「よっすぃー!来てよ。カモメいるよカモメ!」
日中になって元気が出てきた辻が吉澤を呼んだ。
その声の方に行こうとするが石川を一度だけ振り返り見る。
石川は笑顔で小さく頷いた。
吉澤もつられて笑いそのまま戻らずにデッキへ走った。
「何で梨華ちゃんといるの?こっちで皆で遊ぼうよ・・」
辻が言った。
「だって、梨華ちゃんだって遊びたいのかもしれないし・・・」
「いいじゃん。石川なんかほっときゃ」
後藤が近づいてきて言った。
「そんな事・・・」
「よっすぃー、よくあんなの相手にしてられるよね」
後藤は笑いながら言った。
187木村 : 2001/01/16(火) 23:41 ID:PS.5o5.M
「私はアンタが梨華ちゃんをいじめる理由が分からないよ」
吉澤は後藤を強く睨んだ。
「あはっ、恐い恐い。まあいいや、頑張って梨華ちゃんの相手してあげてね」
そういうと安倍たちのいるところへ歩いていった。
「なんだそりゃ」
「よっすぃー・・・」
石川がゆっくりとデッキに歩いて出てきた。
少し様子がおかしい。船の揺れに関係なく足がふら付いている。
「梨華ちゃん!」
呼びかけも空しく石川の体は木製の足場に倒れ込んでしまった。
「大丈夫?どうしたの梨華ちゃん!」
「ちょっと酔っちゃった。お薬くれる?」
弱々しい声。吉澤は荷物置き場に走り自分のリュックを探し出した。素早くチャックを開けて中身を探る。引っ張り出した薬箱から酔い止め役を充分なだけ出してまた石川の元に戻ってきた。
取りあえず薬を飲み込ませる。
「梨華ちゃん、寝てようよ」
吉澤は石川を立たせてベッドのある部屋まで連れていった。
188木村 : 2001/01/16(火) 23:41 ID:PS.5o5.M
「ごめんね、よっすぃー。せっかく楽しく遊んでたのに」
「いいよ、そんな事。それより梨華ちゃんの方が大事だし・・・。もうすぐつ くから頑張って。そしたら一緒に島を探検して遊ぼうよ。辻ちゃんも加護ちゃ んも矢口さんも連れてさ」
「・・・・・」
ぐったりとしているながらも笑顔を保っていた石川は急に黙り込んで顔を強張らせた。
「どうしたの?」
「・・・よっすぃー。よっすぃーは、私の友達だよね?」
「うん、そうだよ。ていうか何だよその質問。変だよ梨華ちゃん」
「・・・・そうだね。ごめん」
石川はそう言うと静かに目を閉じて間もなく寝てしまった。

一行を乗せた船はゴトッという音と共に静止した。
荷物と乗客を降ろして船はまたもとの海路をたどり戻っていった。吉澤はその船影を見ていたが、保田の声に気付き脇に降ろしていた荷物を肩に掛けて集団を追い始めた。
189木村 : 2001/01/16(火) 23:43 ID:PS.5o5.M
長い坂道。ただでさえ気温が高く体力は減る一方なのに、この気の遠くなるような上り坂のおかげで更に疲労は困憊する。
「あ、見えてきた!」
先頭集団にいた矢口が大声を上げる。
一斉に皆の視線が矢口の指差した方向に向けられた。
その先には茶色の屋根に白い壁の宿舎が大きく聳え立っていた。
目の当たりにした一同は歓声を上げ今までの疲れが嘘であるかのように宿舎に向かって走り出した。
最後尾、吉澤が到着するころには全員が地面に腰を下ろしていた。
「取りあえず全員中に入って」
保田が促し一同は宿舎無いの大会議室と称された大きな広間に流れ込んだ。
部屋の中はクーラーが効いておらず、非常に蒸し暑い状態だった。並べられた椅子にそれぞれ腰掛ける。
「あれ、梨華ちゃん?」
吉澤は辺りを見回したが広間内に石川はいない。
「さっきトイレに行ったよ。やっぱり酔っちゃったみたいだよ」
隣に着席した矢口が言った。
「え、じゃあちょっと見てきます」
「いいよ。そんなとこまで見ていられちゃ梨華ちゃんも困っちゃうよ」
「・・・・そうですよね」
190木村 : 2001/01/16(火) 23:44 ID:PS.5o5.M
「もうすぐ圭ちゃんの話が始まるから」
そういうと矢口はバッグからメモ帳と鉛筆を取り出した。
「流石ですね矢口さん。用意がいいですね」
「ハハ、心配性なだけだよ。何か大事な事を言うかもしれないしね」

石川は個室に入って便器に腰掛けた。
大きな旅行用バッグを開け内側にあるポケットのチャックを開けた。
拳銃を取り出す。
トイレの窓から射し込む光が一瞬反射してキラリと光る。
「・・・・・・」
191木村 : 2001/01/16(火) 23:45 ID:PS.5o5.M
昨日からずっと、いや何ヶ月も前から考えていた計画。実行するには最適の状況である。しかしいざその拳銃を見つめると恐怖感が湧いてくる。
人が死ぬ―――これを撃てば――――――犯罪―――死体―――血液―――犯罪―――人殺し―――自分が死ぬかも――――恐い―――いじめられる―――気持ち悪い―――死体―――後藤――後藤の血―――飯田の死体―――安倍の死体―――吉澤の死体

――――友達の死体・・・・

石川は座っていた便器に急に込み上げてきた物を吐き出した。
額には汗が大量ににじんでいた。
「はぁ、はぁ・・」
誰かの足音が聞こえる。ゆっくりと近づいてくる。誰が来るの?後藤?吉澤?誰?
「お〜い!石川!まだやってんのか?」
飯田圭織だった。
「最悪だな、こんな所まで来て。どうしたんだよ、返事しなよ!・・・」
しばらく静かになる。離れたところで蛇口をひねる音。水の出る音がした。
「返事してよ!梨華ちゃん!」
天井から水が降ってきた。
192木村 : 2001/01/16(火) 23:47 ID:PS.5o5.M
「きゃぁ!」
思わず悲鳴を上げて、頭から落ちてきた滴の軌道を追う。
「どうしたんだよ?石川・・・・?」
しばらくの沈黙。
そして鋭い金属音と共に個室のドアが空いた。
「・・・殺してやる。・・・・殺してやる!!」
そこには肩を大きく震わせた石川が銃を右手に構えて立っていた。髪の毛は水浸しで目には涙が浮かんでいた。石川の突然の豹変に飯田は驚愕してその場から一目散に走り出した。飯田は一心不乱に走ったが追ってくるあまりにも強い威圧感を感じ、後ろを振り返った。さっきまでの石川とは明らかに違う銃を持ったモンスターがこっちに向かって走って来る。
「いや、いやぁ!」
立場が逆転した。一度躓きかけた飯田は体勢を立て直して何とか大会議室の入口に近づいた。
193木村 : 2001/01/16(火) 23:48 ID:PS.5o5.M
――――大会議室
金属音と飯田の悲鳴は広間にまで届いた。
ざわつく一同。一瞬にして楽しい空気は緊張と不安の空気で支配されてしまった。
「何、圭織が・・・」
安倍が不安げな顔で後藤に呼びかけた。
後藤も不安そうに安倍を見る。
「どうしよう」「何、あの金属音」「そう言えば、石川は?」
そうだ、石川がいない。どうしたんだろう。
吉澤は立ち上がって出口に歩いていく。
「よっすぃー!」
矢口も一緒に後ろに続いた。
2人がドアから出るのとほぼ当時に飯田が顔面蒼白の状態で部屋に滑り込んだ。
「助けて、助けて・・・。殺される!石川が・・・石川が殺しに来るよぉ」
「梨華ちゃんが?」
「どういう事だよ、圭織説明して!」
「恐いよぉ、石川が・・・・銃もって襲って、襲ってきたの。早く、みんな逃げて!じゃないと殺されちゃう!」
混乱した飯田はなおも震えている。全員の注意が飯田に行く。矢口は飯田を落ち着かせるために背中を摩っては「大丈夫だよ」と繰り返していた
194木村 : 2001/01/16(火) 23:49 ID:PS.5o5.M
「大丈夫じゃないよ・・・・」
飯田の体がビクっと動いた。
吉澤は視線を飯田から外し声の方に向けた。
それは石川だった。飯田と同じく顔は真っ青で髪の毛がびしょびしょに濡れている、さらに唇も少しだったが紫色に変色している。
「梨・・華ちゃん・・」
「うわあああああ!」
飯田は後ずさりしながら石川から距離を置こうとする。
「何で逃げるの。飯田さん」
「いやっ!やめて!石川・・・」
「止める?何を?」
ゆっくりと飯田の動く軌跡を追う石川。
「殺さないで、お願い。殺さないで・・・」
「じゃあね、飯田さん」

―――銃声

それはゲーム開始のチャイムでもあった。
195木村 : 2001/01/16(火) 23:53 ID:PS.5o5.M
「きゃあああ!」
安倍が声を上げた。
それが引き金となって部屋中がパニックに陥る。一同は石川から離れて一つに固まった。
「まず1人目・・・・。1人目は後藤が良かったのかな」
一つの仕事を終えた銃を見ながら石川は言った。
「ねえ、後藤」
銃口を後藤に向ける。
「ひっ・・・」
恐怖に歪む後藤の顔を見て石川は微笑んだ。
「まあいいや、楽しみは後にとっておいた方がいいし・・・」
「梨華ちゃん、何でこんなことするの・・・」
「よっすぃー、ごめんね。もう我慢できないんだよ、このままいじめられてる のも、ノコノコ後藤たちの言い成りになるのも・・・」
「そんな・・・」
196木村 : 2001/01/16(火) 23:55 ID:PS.5o5.M
「だからさ、ゲームしようと思ってんだよね。今から皆順番に1人ずつこの宿舎から逃げてよ・・・。全員逃げたところで私が皆を見つけて殺してあげる。3日間逃げ切れた人はそのまま生かしておいてあげる。もちろんその期間の間に私を見つけて殺しちゃってもいいし、泳いで逃げてもいいよ。あ、ここら辺一帯はこの島だけしかないから体力が尽きて逆に苦しいかもしれないけどね」
「おかしいよ、そんな事!誰もそんなルール乗るわけない!」
後藤が叫んだ。
「ふざけないでよ。今まで散々私をいじめてきたくせによく言えるね」
「それは・・・」
「今から5分ごとに1人ずつ出ていってもらうよ。あ、あと保田先生にも参加してもらいますよ」
保田の顔が一気に緊張する。
「保田先生・・・あなたが無人島を選ばなければこんな事にならずに済んだかもね。失敗だったわね、生徒を驚かそうとしてこんなことしたのにそれが元で可愛い娘達が危険に曝されるんですものね・・・・」
「石川・・・」
「さぁ!まずは誰から行ってもらいましょうか!やっぱり名前順がいいかな・・・。と言うことでまずは安倍さんからです!」
安倍は額に汗を滲ませながら拳を握り締めて歩き出した。
「手ぶらがなんだったら自分の荷物持って行けば?」
石川の声には反応しなかったが荷物は手にとって出て行った。
197木村 : 2001/01/16(火) 23:55 ID:PS.5o5.M
「じゃあ次は・・・飯田さんは死んじゃったから加護亜依ちゃん!」
もうすぐ自分の番が来る。矢口は先ほど持っていたメモ帳を石川に気付かれ無いように鷲づかみにした。紙にシワが入る音がした。
鉛筆を取り素早くメモを書いた。
「次矢口さん!いってらっしゃい!」
いすから立ち吉澤の後ろを通りぬける。机を離れる瞬間吉澤の手元においた。
「矢口さん、何渡したんですか?」
石川は出て行こうとする矢口に囁いた。
矢口は一瞬動揺し石川を睨んだ。
「何でもない。じゃあね石川」
そういうと駆け足で部屋を出て行った。
「さ、最後だね。吉澤ひとみさん!」
吉澤は立ちあがり石川を見た。
「・・・梨華ちゃん。ごめんね、こんな事になるなら私・・・」
「いいよ、これは私の本意でやったの。よっすぃーは関係ないよ」
「必ず、あなたを止めてみせるから・・」
「・・・早く出て行って。じゃないとここで死ぬよ」
「・・・・」
吉澤は静かに部屋を出て行った。
「あ、メモ・・・」
廊下を歩きながらポケットに手を入れて先ほど矢口にもらったメモを見た。

『絶対梨華ちゃんを止める。』
198木村 : 2001/01/17(水) 00:24 ID:wZuUnYUk
長くなっちゃった。
199ナマコ娘。 : 2001/01/17(水) 00:24 ID:WJrR6I3g
続きはまた明日なの?age
200名無し娘。 : 2001/01/17(水) 00:42 ID:57RMlDE2
BRといい、ここといい石川に怖いイメージが付いてきたね
201名無し娘。 : 2001/01/17(水) 00:47 ID:YYH40vjs
石川頑張れ・・
202名無し娘。 : 2001/01/17(水) 01:00 ID:XLrWPjCw
中澤がいないが、登場予定はあるのか?
203木村 : 2001/01/17(水) 01:55 ID:oDuGW4wQ
>>200石川って娘の中で一番残酷性が似合う気がするんで。
>>201すいませんありません。すみませんが年齢が小説対象外です。
204ナマコ娘。 : 2001/01/17(水) 02:09 ID:aF.I.bX6
続き早くきぼんぬage
205加護 : 2001/01/17(水) 02:21 ID:6K3sE8q.

  @ミミミ≡三≡彡@
  § ミミγ  \\ψ
  § ヾソへ  ノ\|ソ
  §℃|(て)  (て)|§
  Å丿ゝ" д "ノÅ きもちわるいおとなたち
      _厂 ̄ ̄|_
    ∠.. ̄ ̄ ̄. \
     │.|      √|
    (U」 .     |U)
    /⌒⌒⌒⌒\
 .   ` ̄| ̄| ̄| ̄
       |vv|vv|
     ./_T_\

206ナマコ娘。 : 2001/01/18(木) 00:21 ID:L0KFaTDg
続き待ってるage
207名無しまさひろ : 2001/01/18(木) 18:56 ID:cYWt9lO2
面白いので早く書いてくれ〜。
208ナマコ娘。 : 2001/01/18(木) 23:39 ID:3HnAPTsg
早く書いてくれage
209木村 : 2001/01/19(金) 00:35 ID:9SVVMfOo
金、土、日で頑張って上げていきたいと思います。ナマコ娘。待ってろよ!!
210ナマコ娘。 : 2001/01/19(金) 00:46 ID:FobEA/q2
凹!待ってるぜ!age
211名無しまさひろ : 2001/01/19(金) 22:07 ID:YquIrbDk
おいおい、ナマコ娘。だけかよ!?
俺も応援してるっつーの!!
まあ、いいけど。
212マヌー : 2001/01/19(金) 22:09 ID:FJfvbt7E
ROMってるって言ったけど、俺も応援してるで〜
213名無し娘。 : 2001/01/19(金) 23:51 ID:.Ixt8rCc
よかった。がんばってあげてくださいね。
age
214木村 : 2001/01/20(土) 00:53 ID:lplqq14c
−2−
宿舎を出た後吉澤は矢口からのメモを再度見た。
焦って書いたためか文字は歪で文も適当である。しかし吉澤にとっては同じ気持ちを持つものが1人ではあるが、存在したので一先ず安心した。
石川はああなってしまった以上、自分の行動に自己嫌悪になることはまずない。むしろこれから起こすであろう最悪の事柄を平気で実行してしまうはずだ。
石川は狂ってしまった―――真実であって欲しくない真実。
今は石川を友達としてみない方が良い事は分かっている。今自分から近づいていけば確実に殺されてしまう。
「どうすれば・・・」
思わず声を出す。
気がつくと随分移動していた。宿舎はもう視界には入らなかった。時間は午後2時頃だろうかとても暑い。いつもなら決まってかき氷を食たくなる時間帯だった。しかし残念ながらこの状況ではその欲求は充たされそうにも無い。
こうしている間にも石川は宿舎を出発し格好の標的を探しているのだろう。
自分の心拍数が上昇していることに気付く。
吉澤は肩に背負った自分の荷物を置きその場に腰を下ろした。
荷物をひざに乗せてチャックを開けてみる。
取りあえずこれから先、利用できそうなものを引っ張り出し、少し湿った地面に並べていった。
必要の無い物が鞄の中に残った。吉澤は比較的柔らかい土を探りそこに深さ30センチほどの穴を掘り、そこに不要物を埋めた。
今できることは済んだ。
―――さてこれからどうしよう
215木村 : 2001/01/20(土) 00:54 ID:lplqq14c
吉澤はポケットに乱暴にしまった矢口のメモを取り出した。
「矢口さん、会いたいな」
いまこの島には9人の人間がいる・・・いやもう既に8人になったかもしれない。だが島自体の面積はそんなに広くない、それは保田に確認したから確かだろう、誰かと合流できる確率はどちらかと言えば高いだろう。メモから推測すれば矢口も誰か自分と同意見の人間を求めて歩いているはずだ。
吉澤は立ちあがって周りを見回した。
かなり先まで林が続いている。夜になった場合を考えると合流するには不利である。しかし、石川のことを考えるとここにいた方が逆に有利かもしれない。見回せば身を隠すことが可能なポイントが相当多い。
「どうしよう。ここで待ってみようかな・・」
言ってみたものの、やはり不安が残っている。
矢口が自分と同じ考えならこの島唯一のこの林のどこかに息を潜めているかもしれない。
この状況で最悪の選択肢を除けばやることは一つしかない。

―――逃げること。

石川が言うようにこれはゲーム、そう思いたくはないが石川の言う通りなのだ。完全なサバイバルゲーム。
そうとなれば仕方ない。石川を止める前に皆で生きることを選択しよう。まず矢口に会わなくては何も始まらない。
そう思って吉澤は先程整理した鞄を肩に西へと走っていった。
216木村 : 2001/01/20(土) 00:55 ID:lplqq14c
−3−(7/23 PM2:39)
たいした運動はないのに体全体が疲れている。
これが精神的な疲れなのだろうか。今までに矢口は精神的疲労など感じたことはなかった。
石川に呼ばれた事がずいぶん昔のように聞こえる。矢口は宿舎から離れまだ真新しい建設されたばかりであろう公園にいた。
吉澤に渡したメモ。
『絶対梨華ちゃんを止める』
伝わっているだろうか―――私はよっすぃーに会いたい。
―――宿舎から出た後何分か、すぐ近くの木陰に隠れて表口を張っていた。何分か立ったところで保田の姿が目に入った。
ふらふらと矢口とは別の方向に動いていった。
「圭ちゃん・・・」
保田とは仲が良かった――朝美園の中で園長を『圭ちゃん』と呼んでいたのは矢口だけだった。保田は頭も良く統率力も充分過ぎるほどにあった。
吉澤も保田の事は気に入っている様子だった事を思い出した。
保田と同行して吉澤と共にこの後の作戦を練るのも一つの方法で考えられると一瞬思った。
しかし今矢口の目の前にいる保田は依然までの保田とは明らかに違っていた。
残念ながら矢口の考え付いた最良の選択肢はここで選択不可能になってしまった
。保田はそのまま消えてしまう。
217木村 : 2001/01/20(土) 00:56 ID:lplqq14c
次は吉澤が出てくるはず、そう考えた矢口は保田が消えてからもその場にいとどまり目的の人物を待った。
8分程経過。もう現れても良い時間である。
吉澤は何分経っても表口から出てこない。
「よっすぃー・・・」
時間に比例して不安度が増す。
既に15分経過した。一向に出てくる気配は感じられない。いったいどうしたのか、矢口の小さな頭の中がその子とでいっぱいになった。暑さでじっと同じ場所にいるのが辛くなってきた。
「何だよ、何で出てきてくれないんだよ・・・」
矢口は狼狽し地面を何度も足で削った。その度に細かい土の粒が弾け飛んだ。
「もう!よっすぃー何やってんだよ!」
ついに忍耐力が突き大声を出す矢口。
次の言葉を発しようとして急いで口を噤んだ。
こんな所で叫ぶ事ははっきり言って自殺行為だ、そう思った矢口は口を押さえたままその場を走り去った。
218木村 : 2001/01/20(土) 00:57 ID:lplqq14c
時計は2時30分をまわり日も真南を過ぎていた。
吉澤は今どこにいるんだろう。
保田との合流が意味を成さなくなった今、矢口が頼るのは吉澤だけだった。
公園の周りには誰の所有物かは知らないが畑が有る。この場所にいる事は危ないのだろう。隠れる場所が見つからない。
無人島なだけに家屋はなく畑の所有者の休憩所さえも見当たらない。
「ここから離れなきゃ・・・」
石川は多分自分を簡単に殺せるだろう。
それはこの島に存在する人間全てに当てはまる事項だ。
石川梨華。矢口が朝美園に入園した当時から後藤等のグループに絡まれていた。
あの3人(今は2人になったが)とは直ぐに仲良くなった。そのため石川とは付き合わないようにしてきた。後藤からも飯田からも安倍からも言われた―――石川は馬鹿だから相手にしない方が良いよ―――。
よく考えればその言葉が一番馬鹿げている。そうだ、自分が石川を悪く思う必然性は全くない、だからあのメモも書いたんだ。
そう、やる事は吉澤ひとみと共に石川梨華を助ける事ただひとつ。今はそれだけを考えよう。
219木村 : 2001/01/20(土) 00:58 ID:lplqq14c
「よっすぃー、どこ?」
最小限に減らした手荷物を抱えて公園を出る。
石川の言う『ゲーム』が開始されてから、自分はあまり歩いていない事に気付いた。畑を無視して走りつづける矢口。
その時である。
突然遠くから銃声がなった。
「なに?!」
矢口は驚愕して辺りを見回した。
2度目の銃声。
「は!?ヤバイ!梨華ちゃんがきた」
2度目の銃声は1度目より幾分音が近くなってきている。
「どこ?何処にいるの梨華ちゃん・・・・」
走りながらも周りに注意を払いつづける。
3度目、確実に近づいて来ている。矢口は疲労と焦りで一層息が上がり体力に限界を感じ始めた。
「嫌だよ、よっすぃーに会わなくちゃいけないのに。まだ死ねないよ!」
矢口はポーチの中に手を入れて小型の拳銃を取り出した。
「何処だよ!」
220木村 : 2001/01/20(土) 00:59 ID:lplqq14c
銃口の方向は不明確だったが取りあえず引き金を思い切り引く。
矢口の銃声と同じタイミングで4度目の銃声がなった。今のでわかった、石川は後ろを追ってきてる。
5回目の銃声。
「梨華ちゃん!」
見えた。振り向いた前方約90mほど先に銃を構えては撃ち、撃っては走り出す石川が見えた。
ここからでも分かる、石川の表情はうっすらと笑みを浮かべてまるで罪悪感を感じていない様子だった。
「くそ、この!」
もう一度引き金を引いた。さらにもう一度引く。
弾がでない。カチャカチャと空しく響く金属音。
「もう!」
残りの弾はもう無い。ポーチを探ってもあったのはハンカチ帰と応急処置セットと飲料水だけだった。
矢口は使い物になら無くなった銃を石川の方に投げた。
それは届くはずも無く畑の中に落ちた。
221木村 : 2001/01/20(土) 00:59 ID:lplqq14c
そして無我夢中で逃げる。何度振り返っても石川は追ってくる、無言で、笑いながら。走りながら保田の顔が頭に浮かんだ。
その瞬間、左脹脛に激痛が走る。
「うわっ!」
突然足に力が入らなくなり矢口はその場に倒れ込んでしまった。
しばらく痛みとショックでその場にうずくまる。
「イタ・・・い。はぁ・・足が・・」
見ると白い脹脛に紅い螺旋状の模様ができていた。
石川の姿は既に無かった。
おそらく結果が出たと勘違いし別の標的を探しにいったのだろう。
「痛いよ・・・。きゃあぁ!」
少し風が吹くだけで痛い。
そのままの状態で泣き出す矢口。
「よっすぃー・・・。助けてぇ・・」
しばらくして何とか平静を取り戻した。現在地は林。何分ぐらい走ったんだろう。心地よい疲れが全身にあった。
「はぁ・・・。これで終わりかな」
流れつづけている血液を確認した矢口は小声で呟いた。
222木村 : 2001/01/20(土) 01:00 ID:lplqq14c
仰向けになり目を閉じた。
木々を通りぬけた爽やかな風がまた痛む脹脛を掠めた。
「気持ち良いな・・・。眠くなってきちゃったよ・・・」
「そんな簡単に死なないでくださいよ」
聞き覚えのある低めの声。
「え?」
「足撃たれたぐらいで諦めるなんて矢口さんらしく無いすよ・・・」
「よっすぃー!!何で?なんでいるの?」
「いや、近くで銃声がしたから危ないと思ってここら辺を移動してたんですよ。取りあえず一個の場所に止まらない方が良いと思って・・・」
「良かった、これで安心だ」
矢口の顔が安堵の表情に変わる。
「矢口さん。メモに書いてあった事が本当なら、私も同意見です。私は梨華ちゃんを助けたい、友達として・・・」
「でも・・」
223木村 : 2001/01/20(土) 01:00 ID:lplqq14c
「確かに今の状況は蓋然性に書けているかもしれません。でもこれは夢でも何でもないんですよ。起きてしまった事は起きてしまった事として受け止めて、その中での目標を決めなければならない。私はその目標を矢口さんと逃げ切る事、梨華ちゃんを助ける事にしました」
「よっすぃー・・・・」
「漠然としてるかもしれないけど、付き合ってくれますか?」
「うん、よっすぃーが言うなら何かできる気がするよ。ついて行ってみる」
「ありがとうございます」
吉澤は疲れているながらも微笑んでみせた。
「あ、矢口さん。傷は・・」
「大丈夫だよ。応急処置だけ頼めるかな?」
「はい!」
224木村 : 2001/01/20(土) 01:02 ID:lplqq14c
続々行きます。
225木村 : 2001/01/20(土) 01:03 ID:lplqq14c
−4−(7/23 PM3:17)
保田は宿舎の屋上にいた。
気持ちの良い夏の風が吹く中で石川の言葉を思い出していた。

『保田先生・・・あなたが無人島を選ばなければこんな事にならずに済んだかもね。失敗だったわね、生徒を驚かそうとしてこんなことしたのにそれが元で可愛い娘達が危険に曝されるんですものね・・・・』

確かにそうだ。
自分はなんて馬鹿なんだろう。何が無人島で生活だ。何が楽しい思い出作りの旅行だ。今となっては全部無駄な妄想だ。
保田は最後から2番目に会議室を出た。
取りあえず娘達全員の顔は見れた。あとやりたかった事言えば就学旅行最後のお約束でもある集合写真かな・・・・。
子供が好きで、みんなで遊ぶ事が大好きでこの仕事してたのになんでこんな所で疲れてんだろう。
保田はポケットに入っている常に携帯しているパスケースを取り出した。
「可愛いな・・・。みんな」
226木村 : 2001/01/20(土) 01:04 ID:lplqq14c
そこに写っていたのは2年前の集合写真。
今となっては残虐キラーの石川梨華ちゃんは右上隅の楕円の中にぎこちない笑顔で映っている。
「石川・・・。どうしてこんな事・・」
保田の目に涙が浮かんだ。
石川がいじめられてる事は知っていた。だから余計に悲しかった。分かっているのに何もできなかった自分が嫌になってきた。
もう片方のポケットに無理矢理押し込んだ銃を取り出してみる。
屋上からの景色を一望する。林が見える。今あそこに何人ぐらい人がいるのかな。あっちの公園は、あの山は。まあ良いか、もう関係ないよ。
―――無人島
ここを選んだのはある意味正解だったかもしれない。
このゲームが始まってくれて正解だったかもしれない。

「神様教えてください。天国には・・・地獄には何の苦労もしないで先生やれ る学校ってあるんですか?」

無人島中に大きな銃声が鳴り響いた。
強い風が吹いた。

戸が開く音。
「あれ、保田センセ。自殺しちゃったの?駄目だよもうちょっと待っててくれなきゃ・・」
石川は保田の死体に近づき瞼を閉じてやった。
「念のためね・・・」
そう言うと保田の頭を打ち抜いた。
227木村 : 2001/01/20(土) 01:05 ID:lplqq14c
結構間空きましたので、一気に上げました。
読んでくれたら光栄でございます。
228ナマコ娘。 : 2001/01/20(土) 01:09 ID:Rxu3AT2M
ゐゐぞ,ゐゐぞ。age
229名無し娘。 : 2001/01/20(土) 01:15 ID:NFKx.pp2
良いですね。一気に読んじゃった。保田・・・
230ナマコ娘。 : 2001/01/20(土) 01:17 ID:Rxu3AT2M
まだ続きはあるんだよね?age
231木村 : 2001/01/20(土) 01:27 ID:lplqq14c
>>229ありがとうございます。続きも読んでくださいね。
>>ナマコ娘。 いつもありがとう。続きもちゃんとありますよ。一応12,3章までは行くつもりDEATH。
232ナマコ娘。 : 2001/01/20(土) 01:35 ID:Rxu3AT2M
>>231 メッチャ楽しみだぜ!age
233まろん : 2001/01/20(土) 03:49 ID:Yf0vpiPU
やっすーがぁ・・・
でもすごい楽しみです。
続き待ってます!!
234名無し娘。 : 2001/01/20(土) 04:07 ID:GLnmq/kY
よみましたよ。辻ちゃんが何してるかきになります。
いつか出てきますよね?
235名無し娘。 : 2001/01/20(土) 07:30 ID:dHEfsT0g
作者の木村氏に質問。
娘達は全員拳銃持ってんの?
236名無し娘。 : 2001/01/20(土) 15:31 ID:GLnmq/kY
>>235
横からで悪いんですけど
これからの展開をじっとまちましょうよ。
237名無し娘。 : 2001/01/20(土) 16:36 ID:tQnDYJqc
>>235
ちゃんと全部読んでる?
はじめに書いてあるよ。
238名無し娘。 : 2001/01/21(日) 00:57 ID:m6n8Zrc.
いいですねぇ〜。『Another Life』
から一気に読みましたよ...。
サイコな石川がいいですね。
頑張って書いてね〜。


239ナマコ娘。 : 2001/01/21(日) 01:30 ID:pCUbq40E
早く続きを書いてくれ。age
240吉澤名無し : 2001/01/21(日) 14:59 ID:d4vjbU4E
期待してるぞ。age
241木村 : 2001/01/21(日) 20:06 ID:ZUovlh6c
−4−(7/23 PM5:05)
日が陰ってきた。後藤真希は海岸に来ていた。
―――目の前で一番仲の良かった飯田が殺された。
あの時の異様な恐怖感が未だ抜けていないのか手が自然と震え出す。
他の皆はどうしているんだろう。
仲の良かった安倍は、矢口は?唯一石川と深い交流があった吉澤は。辻は?加護は?保田は?
ゲームが開始されてかなりの時間が経つ。もう全員死んでいるかもしれない。
もしそうなら、もしこの島に自分と連続殺人犯しかいないとしたら―――
後藤の老婆心は徐々に悪化していく。
喉が渇いたがそんな事はお構いなしだった。
「逃げなきゃ、逃げなきゃ殺される」
先程から頭の中を埋め尽くしている疑念が離れようとしない。
『もうこの島には誰もいない。私と石川梨華、この2人しか存在していない。逃 げなきゃ殺される。この島から・・・石川から』
そう思うと後藤は側に置いた鞄から銃と懐中電灯を取り出した。
色々考えてるうちに空は薄暗くなっていた。
「取りあえずここから動かなきゃ」
後藤の勘は鋭かった。
242木村 : 2001/01/21(日) 20:07 ID:ZUovlh6c
この島から外に出る方法は海に飛び込んで近くの人間が存在する場所に映る事。そうしさえすれば後はどうとでもなる。
しかしそれぐらいは石川も認知している事だ。今更この事に気付いても仕様が無い。出発前に石川が言っていた―――海から逃げれば一番楽―――詳しい事は思い出せないが、確かそう言っていた。
石川が皆をこの島に引き止めようとするなら玄関口となるこの海岸を必ず監視しに来るはずだ。
そしてここにやってきた者を迷う事無く殺害する。
そうだ、ここにいては危険。島に人が2人となってしまったならここを動けば石川は自分を見つけるのは容易ではなくなる。
後藤は銃を片手に海岸を走り始めた。
時折白い砂に足を取られて躓いた。ついに履いていたサンダルを脱ぎそれを放り投げた。
「逃げなきゃ、逃げなきゃ・・・」
3日逃げれば許してもらえる。石川に許してもらえれば死なないで済む。そうだ、このゲームが終わったら石川にあやまろう。今までしてきた事全部あやまろう。殺されるのだけは嫌だ。死にたくない、圭織みたいになりたくない、安倍みたいに、矢口みたいに、皆みたいになりたくない!
「死にたくない、死にたくない、死にたくない」
走りながら後藤は同じ言葉を延々と繰り返した。まるでその言葉しか喋れない乳幼児みたいに。
「死にたくない―――――」
林を抜けてついにアスファルトに出た。今日の昼に登ってきたあの長い坂だ。
激しく息を切らしている後藤。
いったん立ち止まって膝に手を置いてしゃがんだ。
もうすぐ宿舎―――あそこには飯田の死体がある。
「ああ、圭織・・・。今側に行って上げるね」
243木村 : 2001/01/21(日) 20:07 ID:ZUovlh6c
フラフラと坂を登る。
上に着たTシャツは大量の汗で透けている。
後藤は坂を上り切り宿舎に面した広い運動場の真中に来た。
「はぁ・・・」
倒れ込み空を仰ぐ。
ここに石川は戻ってこないはずだ。今ごろ最後の標的である私を必死に探し回っているだろう。こんな宿舎になんか戻ってくるわけ無い。
そう思うと後藤は少々の安堵感を得た。疲労困憊した体を休めるかのように静かに目を閉じた。
「おーい!」
誰かが自分に気付いたように叫んでいる。
後藤は体を起こした。
急に起こしたせいか何処かの関節がポキッと鳴った。
誰?考える必要も無い。石川だ!―――
後藤はポケットに忍ばせた銃を咄嗟に取り声のする方に向けた。
「誰!武器を捨ててよ・・・」
後藤の目は見開かれて暗がりから近づく人影を凝視した。
徐々に近づいてくる。
244木村 : 2001/01/21(日) 20:08 ID:ZUovlh6c
後藤は後ずさりしている。銃は構えたまま。7mほど動くとスカートが擦り切れているのに気付く。
「ごっちん、待って。私だよ。なっちだよ、安倍なつみ!」
もうすぐで顔が確認できるほどの距離で人影が言った。
「え?」
「なにやってんの、こんな所で・・・。石川に見つかったら殺されるよ」
「え?なんで・・・・なっちがいるの?」
後藤の頓狂な顔を見て安部が苦笑いを浮かべた。
「酷いな、ごっちん。人を死んだみたいに・・・・」
「そんな、だって本当に・・・」
後藤は尚も表情を崩さずに喋る。
「ごっちん、おかしいよ?どうしたの?」
安倍の表情が少し変化した。
「・・・・わかった・・」
「は?何?」
「あんた、幽霊なんでしょ」
「何馬鹿な事いってんの?ごっちん、おかしいよ」
「うるさい!死人め!アンタなんかどっか消えちゃえ!」
245木村 : 2001/01/21(日) 20:08 ID:ZUovlh6c
「酷い!何だよその言い方。私は死んでないって言ってるでしょ!」
「黙れよ!アンタみたいな腐った死体と一緒にいると、こっちまで死にそうになるでしょ!」
言い終わった瞬間安倍が胸座を掴んできた。
「いい加減にしてよ!こっちが何も言わずに従ってりゃ好い気になって!」
「うるさーい!」
後藤は安倍を押し倒した。
「私は死にたくない。アンタみたいになる前に3日間逃げ切って助かるんだから!どいてよ。幽霊に構ってる暇ないんだよ!」
倒れたまま唖然とする安倍。
「酷い・・・」
安倍の瞳に涙が浮かぶ。
それを無視するかのように後藤は走り出した。
「何で・・・。また無視された・・・」
安倍は崩れた体を立て直し立ち上がった。
「いつもそうだった。圭織もごっちんも私を無視して、どっかいっちゃう。どうせ私はいてもいなくても良かった。後藤にいつも振り回されて結局無視されて、おかしいよ。私が好きになった男の子とかも、全部取っちゃうし・・。なんでだよ、年下のくせに。調子に乗りやがって・・・」
安倍の独り言のボリュームは少しづつ上がってきた。
「そうだ・・・」
安倍は薄手のパーカーの深いポケットを探り銃を取り出す。
246木村 : 2001/01/21(日) 20:09 ID:ZUovlh6c
「殺しちゃえばいいんだ。状況が状況だし、後藤が一番殺し易いし・・・」
いつのまにか安倍の表情には不気味な笑みがこぼれていた。
安倍は後藤が走って行った方向に目をやると何かに取り付かれたようにゆっくりと歩き出した。
247木村 : 2001/01/21(日) 20:11 ID:ZUovlh6c
ごめん。スランプ状態で良い文章が思い付かない。
5章6章をどうつなげていいかわかんなくなってきた。
248木村 : 2001/01/21(日) 20:34 ID:ZUovlh6c
そう言えば今日読み終わった『アルジャーノンに花束を』、感動した。
宇多田みたいになっちゃった。
『FBK』どうしようかな。まじでやばくなってきた。
思いつかねえええええ!!
249235 : 2001/01/21(日) 21:18 ID:OXbAysfQ
拳銃の件は、>>173にありましたね。
以後、気をつけます。
 しかし、それでも拳銃持てない辻・加護は…

250ナマコ娘。 : 2001/01/22(月) 01:41 ID:ZghfqJlc
木村頑張れage
251吉澤名無し : 2001/01/22(月) 21:53 ID:VpDSwqTg
がんばれ、まけんな、力の限り生きてやれ〜。age
252ナマコ娘。 : 2001/01/23(火) 02:12 ID:JjtisST.
続きは未だかぁ〜age
253名無し娘。 : 2001/01/23(火) 16:28 ID:/TBdFUBs
おp
254吉澤名無し : 2001/01/23(火) 19:06 ID:eP1NoOMA
おーいどーした?
255ナマコ娘。 : 2001/01/23(火) 22:16 ID:07iwTsOY
忙しいのか? > 木村
復活待ってるぞ。age
256名無し娘。 : 2001/01/23(火) 22:35 ID:1DCxJCuY
元荒らしが小説書いてるのね
257吉澤名無し : 2001/01/24(水) 21:47 ID:pIisE8aU
がんばれ、がんばれ!
258名無し野郎 : 2001/01/25(木) 19:48 ID:R0BvQH5g
続き書けよゴルワアァー!
259木村 : 2001/01/25(木) 19:57 ID:Mh82DLcY
本当にすいません。忙しい+アイデア出ないでかなりテンパってます。
何とか頑張って書きたいと思いますので、気長に・・・。
260木村 : 2001/01/25(木) 19:59 ID:Mh82DLcY
ちょっと関係ない話で申し訳ないんだけど、ナンバーガール好きなひといる?
いたら教えて欲しいんだけど、『SAMURAI』って言う歌はどのCDに入ってるの?
よろしくお願いします。
261ナマコ娘。 : 2001/01/25(木) 21:38 ID:MCe9Sd2M
>>259
やっぱスランプか
気長に待ってるから頑張れage
262名無し娘。 : 2001/01/25(木) 21:41 ID:Sdbyk/kQ
>>260
ライブ盤の「シブヤROCKTRANSFORMED状態」に入ってる
263名無し娘。 : 2001/01/25(木) 21:48 ID:mpfdEMB2
木村ー! グレイトー! 木村ー! ブラボー!!!

…こんだけほめとけば,つづきがでるだろー
264あさみファン : 2001/01/25(木) 22:01 ID:bHDlj35c
俺はナンバーガールの「透明少女」を聴くとあさみを思い出す
265木村 : 2001/01/26(金) 00:01 ID:dNOQQpnU
−5−(7/23 PM6:42)
もう何度聞こえただろう。
この最悪ゲームが開始されてから、何度と無く乾いた破裂音が辻の耳に入っていた。
どうしてだろう。私は関係ないのに。だが既にゲームは始まっている、色々と過去を振り返って悔やんでも仕方が無い事は分かっていた。辻は全ての行動が無駄になり始めた事に気付き震えていた。
林と海岸のすぐ側にあった掘立て小屋に逃げ込んだ辻は、まだ明るい外を小さな窓から見ていた。
死ぬのは嫌だ、当然の事だがその事ばかりが体中にまとわりついている。小屋から一歩も動く事ができない理由はそれだった。
下手に動いてしまうと梨華ちゃんに見つかる。そうなってしまったら生きていられる可能性は零に近い。後藤ほどではなかったにしろ辻も石川に対して何度か冷たい態度を取ってしまった事がある。脅されてではあったが事実は事実だ、今更言い訳をして許してもらう事は無理だろう。
時間を見た。色々考えているうちに先程確認した時間よりだいぶ経っていた。完全に外は日が暮れている。
「もう、8:00か・・・早いな」
266木村 : 2001/01/26(金) 00:02 ID:dNOQQpnU
深くため息を吐く。小屋内は灯りが無く、外からの光が薄暗い月光のみとなってしまった今では非常に不弁だった。8畳ぐらいで室内を移動するにはそこそこの広さだったが今では全く意味が無かった。
本当に一歩も動けない状態になってしまった。
「恐いよ・・・」
長い間座っていたため、体勢に不自然さを感じてきた。わずかに腰を上げてはまた座る、それの繰り返し。古くなった床の木が軋む。ギーギーという音が澄んだ空気に響いている。それが辻の恐怖感を更に煽った。
「やだよ・・・。亜依ちゃん・・・」
何気なく口に出したのは加護の名前だった。
3ヶ月前に『朝美園』に入園してきた同い年の女の子だ。依然は歳の離れた人ばかりで静かだった辻は加護の入園により元気な少女として皆に認知されるようになった。
つまらない時はいつも加護と騒いでいた。
この旅行も加護と一緒に楽しむために来たようなものだった。
「亜依ちゃん。恐いよ、何処にいるの?もう死んじゃったの?」
死んだ。考えたくはなかった。また体中に震えが走る。友達の生存が気になる自分が嫌になった。
267木村 : 2001/01/26(金) 00:02 ID:dNOQQpnU
「もうやだよ。こんなの・・・寂しいよ・・・」
辻は何を思ったか膝に置いた手をゆっくりと動かして太股に向かって滑らせた。柔らかいスカートの生地が少しづつ擦りあがってきた。
もう少し灯りがあったら下着が露になっている事が分かる程まで手を引き寄せた。
「・・・・・・」
園の本棚にあった保健体育の本で見た事があった行為。実際にやった事はなかった。どうせもうすぐ死ぬんだから、そう思った辻は真っ暗な空間の中で自慰行為を始めた。
「う・・・」
小さくうめく。さらに手を動かしてみる。
「はあ・・・」
手の動きに合わせて喉の奥から不思議な声が出てくる。手を止めるまで声帯が混乱しているように感じた。
だんだんと思考能力も低下してきた。辻は体勢を崩し床に経たりこんでしまう。朦朧となり始めた意識をそのままに行為を続ける。
「もう、いいや・・・。死んでも・・・」
しばらくの時間。果てた後の空しさを知る前に、意識を叩き起こすように遠くにある扉が開く。
「きゃっ!」
268木村 : 2001/01/26(金) 00:03 ID:dNOQQpnU
急いで手を止める。体を起こして立ち上がった。ポケットから折り畳みナイフを取り出して確認できない人影に向ける。
言葉が出ない。恐怖と先程までの快感の余韻が声帯をじゃましてるようだ。
向こうも小屋に人が居たなんて想像していなかったのだろう、警戒して一言も発さない。
心臓が飛び出しそうに高鳴っている。不意に吐き気がしてきた。うっと餌付きそうになるが何とか飲み込んだ。しかし止めど無く増加して行く恐怖感は押さえ切れなかった。
「誰!誰!嫌っ!死ぬのは嫌だよ!」
辻は額から一気に溢れ出した汗を無視してナイフを構えた。
「死にたくない、死にたくないんだからぁぁ!」
269木村 : 2001/01/26(金) 00:04 ID:dNOQQpnU
小さな体。スカートが曲がついたおかげで上に擦り上がったままだ。突進。未確認の目標にナイフが入った。ザクッとを果実刻むような音。辻は興奮してさらに力を加える。グチュッと言う音が鳴って辻の手が血液が飛んだ為か冷たくなった。
「痛い・・・。ののちゃ・・・」

―――え?

「なんで・・・」
「痛いよ、ののちゃん・・・。ナイフ、抜いて・・」
「ああああ・・・」
辻は急いでナイフを抜く。確認できない人影。その招待は辻が来訪を待ち望んでいた加護だった。辻は慌ててナイフを抜いた。
「きゃああっ!」
叫ぶと加護の腹部から大量の血液が滴り落ちた。ボトボトという嫌な音。
「亜依・・・ちゃん・・・」
急に体中が金縛りに遭ったように動かなくなった。
目の前で痛さに喘ぎ床に崩れ落ちる加護を見て辻の瞳には大量の涙が浮かびあがってきた。
270木村 : 2001/01/26(金) 00:04 ID:dNOQQpnU
駆け寄って加護の体を抱き寄せる。
「ごめん!亜依ちゃん!ごめんね!」
辻は歪む視界に映る加護に向かって何度も謝りつづけた。
「・・・い・・・いいんだよ。ののちゃんが謝る事無いよ。不用心に小屋に入ってきたのも悪いんだし。・・・し、死ぬ覚悟もなんとなくできてたし・・」
加護の口の中は真っ赤だった。
「もう、喋らないで・・・」
辻は顔を落として泣いた。
「もう、私は駄目だよ・・・。ののちゃん、こ・・ここから逃げて・・。梨華ちゃんが気付いてきたらののちゃんも死んじゃうよ・・・。だ・・・だから・・・」
「嫌だよ!一緒に逃げようよ」
「ああ、気持ち良くなってきた・・・。バイ・・バ・・・・・・」
「あ、亜依ちゃん?亜依ちゃん!起きてよ!死んじゃいやだよぉぉ!」
既にその声は加護の耳に届いてはいなかった。
つじは親友の亡骸を強く抱き締めて泣いた。
「ごめんね、私が・・・私が恐がってばっかりいるから・・・」
声を上ずらせて喋る。
271木村 : 2001/01/26(金) 00:05 ID:dNOQQpnU
「ホント、馬鹿ねののちゃん」
後ろに気配。誰かが入ってきた。
「・・・!」
振り替える辻。そこには今、存在する最大の敵石川梨華がすっと立ち銃を自分の方に向けていた。
「あ・・・あ・・・」
辻は咄嗟に加護から離れて後ずさった。相変わらず暗い部屋での移動を試みたため何度も障害物に足を取られる。
「わっ!」
ついに倒れ込んでしまう。そこは辻が始めに居た場所だった。
「残念でした。ののちゃん。君も生きて帰る事はできません」
「やだよ、梨華ちゃん・・・。殺さないで」
「・・・・・」
石川の動きが止まる。辻は恐る恐る石川の表情を見る。笑っていた。それは苦笑いとも取れないような不思議な笑顔だった。
「ごめんね辻ちゃん。私あなたの事も嫌いなの。後藤にくっついてる奴は全員殺す事に決めた。ゲームは止められないんだよ。だから、ごめんね・・・」
「いやぁぁぁ!」
何度も聞いた音が意味自分に向かって発せられた。
銃弾は辻の額を捕らえて貫いた。即死した辻。銃を折ろした石川は、何事も無かったように辻と加護のバックを持って小屋を出た。
『殺風景』という言葉が一番似合う場所。そこには幼くも命を落とした二つの身体が寝転がっていた。
272木村 : 2001/01/26(金) 00:09 ID:dNOQQpnU
>>262情報提供ありがとう!借りに行ってきます!
>>263 >>その他大勢 やっと更新です。辻オナニーとかヤバイね、自分でやってて少しアホっぽくなってきた。
>>264ナンバーガールファンですか?俺も透明少女大好きです。他に好きな曲どんなのがある?周りに少ないんですよNGファン。

273262 : 2001/01/26(金) 00:18 ID:OM99MKgk
こういうレスしていいのかな・・・
こないだ出た「鉄風、鋭くなって」は猛烈に名曲
カップリングの「INAZAWA CHAINSAW」もスゴイ
あとはインディーズ時代の「水色革命」とか、やっぱり「透明少女」とか・・・
274名無し娘。 : 2001/01/26(金) 00:19 ID:1JUPaEzU
オナーニ中に撃たれても良かったね。それか加護に見られるとか
275木村 : 2001/01/26(金) 00:22 ID:dNOQQpnU
>>273良いよ全然。雑談スレも必要よ。まず『鉄風』は最高!あと『DESTRACTION BABY』もいいね。
『SAMURAI』『OMOIDE IN MY HEAD』『ZEGEN VS UNDERCOVER』『SASU-YOU』『タッチ』も好き
276木村 : 2001/01/26(金) 00:24 ID:dNOQQpnU
>>274後者は一瞬思い付いたんだけど狙いすぎたエロ小説みたいになる可能性あるから辞めた
277ナマコ娘。 : 2001/01/26(金) 00:24 ID:WSdXPyBI
色々動きがあって面白いぞ。age
278名無し娘。 : 2001/01/26(金) 00:26 ID:1JUPaEzU
>>276
そだね。エロ小説じゃないもんな
279ナマコ娘。 : 2001/01/26(金) 00:29 ID:WSdXPyBI
>>278
最近エロ小説削除依頼でてるようだからエロ入るんだったらsageでいかんと
ダメだな。age
280木村 : 2001/01/26(金) 00:31 ID:dNOQQpnU
>>279あ、そうなの?後藤VS石川の時もちょっとそういう系統の文章にしようとしたんだけどな。
281名無し娘。 : 2001/01/26(金) 00:33 ID:1JUPaEzU
>>280
困ったマジファンがいるらしくて。
でもそれは期待しちゃうね。
282ナマコ娘。 : 2001/01/26(金) 00:36 ID:WSdXPyBI
>>280
エロ入る時は言ってくれ。
sageで逝きますので。
283名無し娘。 : 2001/01/26(金) 00:39 ID:97.BHky.
今日はもう終わり?
284ナマコ娘。 : 2001/01/26(金) 00:42 ID:WSdXPyBI
>>283
スランプっぽかったけど、今回の作品もなかなかだったぞ。
まぁ、マターリ逝きましょうや。
285木村 : 2001/01/26(金) 00:49 ID:NtrKfzIM
>>281期待しとけ!良いの書くぞ。
>>283終わりでございます。暇だったら雑談の相手するよ。もう寝るけどね(笑)
>>284ありがとうございます。先もよろしく!
286ナマコ娘。 : 2001/01/26(金) 00:52 ID:WSdXPyBI
>>285
ここが一番楽しみだからじっくり腰を据えて書いてくれ。age
287名無し娘。 : 2001/01/26(金) 01:00 ID:OBfEO3r.
よいね。俺も>>280期待
288クズ学生 : 2001/01/26(金) 01:08 ID:ArkN4Sn6
GMなマジファン消えてくれ
289名無し娘。 : 2001/01/26(金) 12:32 ID:hYNXhlqY
木村さんすごい。おもしろい。たのしみです。
290木村 : 2001/01/27(土) 00:57 ID:Pv79hWGk
−6−(7/23 PM9:00)
安倍は島を一望できる展望台に来ていた。
清々しい夜風。その風を全身に受けて目を閉じる安倍。今までの事を考えていた。飯田の死――石川の笑顔――後藤の言葉―――・・・。
今この島に居る人間は確実に二つの理念に基づいて行動している。安倍は先程の出来事によって『殺す』事を目的とする人間、いわゆる石川と同じ行動理念を意識し始めている。
手に取った銃を見つめる。
「後藤か・・・」
安倍の後藤に対する敬意の念は消えつつあった。探す人物は石川だった。2人で組んで後藤を殺す事、それが安倍の目標だった。石川は自分の心理を理解してくれるはず、仲間として受け入れてくれるはず。

展望台にはちょっとした休憩室のような者が設備されており、長らく使用していなかったせいか乱雑していた。
腐りかけたベンチに座ると軋む音がした。
ここで待機していればいつか石川がやってくる、安倍はそう思い小さく灯る裸電球を見上げた。
291木村 : 2001/01/27(土) 00:57 ID:Pv79hWGk
―――時間が経過する。
安倍の表情に少しずつ狼狽の色が見え始めた。
石川は一向にやってこない。もう見に来たのだろうか。もしかしたらもう全てが終わってるかもしれない。
後藤も死に、石川も死んだ―――。
そう考えているうちに自然と瞼が落ち始めた。頭が重い。安倍は昨夜後藤、飯田と話し込んでいたため殆ど寝ていなかった。それに午後からの強制な過剰運動。安倍の身体は限界に達していた。もともと体力のある方ではなかったのでいつも寝る時間は早かった。
「眠いな・・・」
待つためにも体力が必要だと安倍は思った。
しかし今は寝てる暇など無い。一刻も早く石川を見つけ後藤を殺さなければいけない。眠気を覚ますために外に出ようと試みる。立ち上がり休憩室をでる。
外に出ると先程と変わらない透明な風が辺りを包むようにそよいでいた。
手すりに手を掛けて一度ため息を吐いて下を見た。
「あ・・・」
何かが灯台の入口当たりで動いた。人だ。執拗に辺りを見回している。正確に確認はできないが手に銃を持っている。いきなり発砲するような気配も無かった。
292木村 : 2001/01/27(土) 00:58 ID:Pv79hWGk
安倍はそれを見て咄嗟に悟った、石川だ。石川が来た。
「梨華ちゃん・・・・」
安倍はしばらく石川の行動を見張る。気付かれないようにてすりよりも体勢を低くして座る。
見ていると石川は灯台に掛け入った。
「あ・・・」
不意に何かに気付いたように辺りを見回す。今まであった物が無くなってる・・・。
「銃が・・・」
そうだ銃が無い、ベンチの下に隠したままだ。安倍は急いでさっき来た見た道筋を辿った。休憩室の薄暗い明かりが見える。もうすぐ部屋と言うところで安倍の足は急に止まった。扉の無い入口から一筋の長い人影が伸びている。
安倍の身体に緊張が走った。石川がいる。恐る恐る近づいていく、石川はまだ自分には気付いていない。安倍は理由も無く忍び足になっていた。
「梨華ちゃん」
「え?」
安倍の呼びかけに石川が驚いたように声を出す。
293木村 : 2001/01/27(土) 00:59 ID:Pv79hWGk
「へえ、それで後藤を殺したくなったんですか」
「・・・・・はい」
「それでその計画を実行するために私と一緒になろうとしたって訳ですか」
「おか・・しいよね。やっぱり駄目かな」
「良いですよ。別に邪魔にならないし。私安倍さんの事全然嫌ってませんから全然構いませんよ」
石川の意外な返答に安倍はみるみるうちに顔が綻んできた。
「本当にいいの?」
「何言ってるんですか。同じ目標持った人間を避ける必要は何処にも無いですよ」
「ありがとう。じゃあさっそく行こうよ」
安倍の元気な声が休憩室に響いた。石川の横をすり抜けて安倍が外に出ようとした。
「早く、梨華ちゃん」
そう言って振り向いた安倍の目には驚愕の風景が打ち出された。そこには今一瞬垣間見えた石川の姿はなく、自分に銃を向け、淡々とした表情で立つ石川がいた。
「何やってんだよ・・・。梨華ちゃん、変な冗談やめなよ」
安倍は石川に近づき銃を構えた腕を掴んだ。
294木村 : 2001/01/27(土) 01:00 ID:Pv79hWGk
その瞬間安倍の体は大きく回転させられ、床になぎ倒されてしまった。
倒れたからだの上に細い石川の体がかぶさる。落ち着いた状況ならすぐ体勢を逆転させる事はできたのに、何故か動く事ができなかった。何故だ、考える暇も与えず石川が話し始めた。
「触るなよ、馬鹿」
「え?」
いつも聞いていた細くてか弱い石川の声ではなかった。何オクターブも下がった低い声で石川は続けた。
「アンタさ、そういう腐った根性でゲームに乗らない方が良いよ・・・。後藤だって逃げるのに必死なんだよ。アンタみたいな馬鹿だったら後藤だって平気でやるさ。よっすぃーや矢口だって同じ事だよ。私だって生半可な気持ちで殺人を繰り返してるわけじゃない。必死でやってんだよ。あんたの後藤を殺す理由は何だっけ?確か馬鹿にされたからだったよね。後藤もそこそこ良い事言うじゃん。アンタホントに馬鹿だよ。後藤にちょっと言われただけで気持ちがコロコロ変化するんだもん。だったら私は何なのよって話よ」
石川が喋るのを辞める前に安倍は泣いていた。
「そういう事だから、仲間にはなれないよ。・・・ていうか死ねよ!」
295木村 : 2001/01/27(土) 01:00 ID:Pv79hWGk
3発銃声。
「ぎゃあああ!」
叫び声と共に安倍の腹が割れた。大量の血液と内臓の一部が破裂して液状になった物であろう黄土色の液体が飛び出した。飛び散ったそれらの一部が石川の胸の辺りにかかった。
「うわ、汚い!」
石川は安倍の死体から離れた。
「じゃあね、お馬鹿ななつみちゃん」
石川は休憩室の電気を消そうとした。
「あれ・・・・?」
ベンチの下の物体に気付いた。
「何これ、弾切れてんじゃん。いみねー!」
石川は報酬なしの殺人に少し苦笑いして灯台を後にした。
296木村 : 2001/01/27(土) 01:02 ID:Pv79hWGk
更新です。連日更新できると気持ち良いね。でも安倍編はまじで辛かった。面白くなかったらすいません。
297名無し娘。 : 2001/01/27(土) 01:11 ID:kz4XH0cg
木村って安倍ファンなの?
298木村 : 2001/01/27(土) 01:24 ID:Pv79hWGk
>>297ちげえよ!何回も言ってるよ、俺は吉澤が好きなの。『キリングセンス』と『Another Life』みろ。俺がどれだけ吉澤贔屓か分かるぞ。
299名無し娘。 : 2001/01/27(土) 01:27 ID:kz4XH0cg
>安倍編はまじで辛かった
って書いてたから・・・違う意味だったのね
300木村 : 2001/01/27(土) 01:32 ID:Pv79hWGk
>>299そう。っていうか、俺が安倍を小説に登場させる事自体奇跡に近い。安倍は嫌いじゃないけどなんかほのぼのした感じが俺の小説雰囲気に合わない。
301名無し娘。 : 2001/01/27(土) 12:27 ID:XBMBuFP.
おもしろい。後は後藤吉澤矢口石川の4人ですね。どうなっていくのか楽しみです。
302名無し娘。 : 2001/01/27(土) 12:51 ID:9WD0L9BE
この小説,再開してくれたんですね。よかった。
303: 2001/01/27(土) 14:53 ID:2kF2aIgU
何でここまでバトルロワイヤル型の小説が流行るの?
面白いから良いんですけどね。
304名無し娘。 : 2001/01/27(土) 21:11 ID:51dDQxS2
木村さんの作品 どこかに保存されてますか?
305木村 : 2001/01/27(土) 22:12 ID:MqzREz8s
>>304保存屋が保存してくれてるみたいですよ。
306名無し娘。 : 2001/01/27(土) 23:44 ID:Fm4HI1LY
307名無し娘。 : 2001/01/28(日) 16:18 ID:b8a/.UU2
保存確認しました。ありがとうございます
308モーニング名無し : 2001/01/29(月) 18:18 ID:Ks65zFYo
続ききぼん(はあと)
309爆笑鉄夫 : 2001/01/29(月) 18:21 ID:AOmWRRwY
おもしれえ!まあ俺の漫才ネタよりは劣るけどな。
310名無し娘。 : 2001/01/29(月) 18:28 ID:vWUcuQcg
311ナマコ娘。 : 2001/01/31(水) 02:14 ID:Jc9iZSu6
木村どうした、頑張れage
312名無し娘。 : 2001/01/31(水) 07:21 ID:FUPpjSY6
きむっちe(^。^)g_ファイト!!
313名無し娘。 : 2001/01/31(水) 22:59 ID:l.NNR1a6
フレー,フレー,き・む・ら!!ハイフレッフレッキムラッフレッフレッキムラー!!!!
314名無し野郎 : 2001/02/01(木) 17:06 ID:ZaXp8qUg
木村にささげるバラード(意味不明)
315名無し娘。 : 2001/02/02(金) 00:10 ID:5reHcmFw
このまま中断なんて事は無いですよね?
316名無し娘。 : 2001/02/02(金) 08:52 ID:b4O67G86
また木村か
317名無し野郎 : 2001/02/03(土) 12:07 ID:liJK1M9.
定期age
318木村 : 2001/02/03(土) 12:43 ID:aPmAkNZs
すいません。センター試験とかいろいろあって書けませんでした。
また頑張って更新していきたいです。
319名無し娘。 : 2001/02/03(土) 16:49 ID:uiEK6Fms
木村君受験生だったの?
320名無し娘。 : 2001/02/03(土) 23:39 ID:8Gl2jUKE
うわ−、僕とタメじゃん!!
321名無し娘。 : 2001/02/04(日) 01:51 ID:9RHyOh9g
木村!自己採点どうだったんだ!
ガンバレ!続き待ってるぞ。
322名無し娘。 : 2001/02/04(日) 18:37 ID:EH3R1F.w
何?受験生だったのか。
すまん、だったら言ってくれればよかったのに
323名無し娘。 : 2001/02/04(日) 18:37 ID:EH3R1F.w
し〜さいども復活させてくれ
324ナマコ娘。 : 2001/02/04(日) 23:48 ID:qJRJ4hHs
し〜さいどってなに?age
325名無し娘。 : 2001/02/07(水) 02:26 ID:guGCkX/Q
保全。受験終わったらゆっくり書いて。
326名無し娘。 : 2001/02/07(水) 06:27 ID:xp8gQbeY
これ読んでる連中って全員高校生なのか?
似たような感想ばっかだが。
327名無し娘。 : 2001/02/07(水) 08:48 ID:fkuxIMVQ
俺は高校生じゃなくいちおうD1
328名無し娘。 : 2001/02/07(水) 12:27 ID:xDlzc5zU
木村くん忙しいんですかぁ〜?
僕も木村くんとタメですね。
329名無し娘。 : 2001/02/07(水) 17:31 ID:E1NqtYEg
>>326
おれも一応DCだ。D論かきながら読んでる。期待してるぞ。
330アンタッチャブル : 2001/02/10(土) 23:49 ID:vV0UbdYg
続きは〜?
331名無し娘。 : 2001/02/11(日) 00:05 ID:XGUZAEN6
>>330
それこそアンタッチャブルです。別にうまいこと言ったとは思いません。ええ。
332アンタッチャブル : 2001/02/15(木) 22:54 ID:ABPgflRg
おーい!
333名無し娘。 : 2001/02/15(木) 23:48 ID:ArGh9Mbs
なんだい?
334名無し娘。 : 2001/02/17(土) 01:01 ID:v6o6M7H2
保全
335名無し娘。 : 2001/02/20(火) 02:01 ID:UapCf1m.
保全2
336名無し娘。 : 2001/02/20(火) 06:07 ID:D1tNe/1g
木村
今週末試験だろ
がんばれ。合格しろよ
そしてこれを完結させてくれ
応援してるぞ
337名無し娘。 : 2001/02/20(火) 22:41 ID:0m6whf.Q
木村の小説ってこんなやつなんだ・・・。
アナザーライフは面白いね。
338木村 : 2001/02/23(金) 12:33 ID:i4RHBik6
大学落ちたああああ!
春休みに頑張ってこの書き難い小説頑張って仕上げます。
339ナマコ娘。 : 2001/02/23(金) 15:37 ID:tlUtdN96
>>338 残念だったな。
でも頑張ってくれ。age
340名無し娘。 : 2001/02/23(金) 15:41 ID:BWbyDlgA
木村の中では拓哉と裕一の次に好きかな
341名無し娘。 : 2001/02/23(金) 16:24 ID:R3KSAT6.
俺の中では裕一よりは上だぞ
がんばれ
342MIU : 2001/02/23(金) 23:48 ID:CBnYvnwQ
おちこむなよ。
大学おちたやつなんて星の数ほどいるぞ。
俺の近所に三浪だっているんだ。
きにするな。
343MIU : 2001/02/24(土) 21:35 ID:TQ2vU/D.
あー続きよみたいよ。
344あごもに : 2001/02/25(日) 01:14 ID:.ty5lM/2
大学落ちたのは残念だったけど、ここの小説よみたいので、頑張ってください。
345: 2001/03/03(土) 21:56 ID:Bbv41fk2
ミニモニも観たモニ。
みんなも観たいモニ!
346名無し娘。 : 2001/03/06(火) 01:44 ID:6SF.AHhk
春休みまであと何日?
347名無し娘。 : 2001/03/12(月) 00:21 ID:UsmwiDfA
ほじぇん。
348肉親(探したい) : 2001/03/13(火) 18:34 ID:WpPgF/OE
やるならやれ、あげてやるぜ!!!!!!!!!
349名無しさん : 2001/03/13(火) 18:36 ID:JCRol.XI
fds
350名無し娘。 : 2001/03/13(火) 21:48 ID:dqEheqtM
age
351名無し娘。 : 2001/03/13(火) 21:55 ID:.6Ay9Mow
>>345
ミニモニもモミモミ。
みんなもモミモミ!
352名無し娘。 : 2001/03/18(日) 00:36 ID:RZGHvpC.
hozen
353名無し娘。 : 2001/03/19(月) 16:20 ID:ryjutXJI
age
354名無し娘。 : 2001/03/22(木) 11:02 ID:8F5gOQXU
.
355名無し娘。 : 2001/03/25(日) 00:27 ID:73dFo.ac
hozen
356名無し娘。 : 2001/03/25(日) 08:26 ID:W0rcrzog
.
357名無し娘。 : 2001/03/26(月) 19:10 ID:OgQmH5.k
あげ
358名無し娘。 : 2001/03/30(金) 00:30 ID:1mu5Ph8I
hozen
359名無し娘。 : 2001/04/02(月) 10:04 ID:KNVzLwvY
hozen
360名無し娘。 : 2001/04/04(水) 03:45 ID:a7NptJ1c
辻ちゃんのHな小説を探しています。
教えて!
361木村 : 2001/04/04(水) 21:06 ID:e3bXlegI
だめだこれ。
おちが思いつかねえ。
かなり無理のある小説作っちゃった。
これ、小説でもねえや。うんこだうんこ。
362名無し娘。 : 2001/04/05(木) 15:19 ID:/hzpAkgI
じゃあさ、この小説はもうやめるってことで
新しいの書いてよ。
363ななっすぃー : 2001/04/05(木) 23:58 ID:TysZD6O2
木村氏とここの読者はなんてあっさりしてるんだ。(汗)
364名無し娘。 : 2001/04/06(金) 02:33 ID:tAemWITI
『キリングセンス』読んでみたいんだけどどこにあんの?
365毒吉澤 : 2001/04/06(金) 17:52 ID:2cyH3EBE
366名無し娘。 : 2001/04/08(日) 02:35 ID:DS.Ahc42
『キリングセンス』結構面白かった。
木村!頑張ってこの小説完結させてくれ。
367ななっすぃー : 2001/04/08(日) 12:24 ID:YZwBJ.OM
俺はシーサイドを完結させて欲しい・・・。
辻があのあとどうなるのか知りたい・・・。
368名無し娘。 : 2001/04/09(月) 04:49 ID:b3Ix1XbA
aaaaaaagggggge
369名無し娘。 : 2001/04/14(土) 00:15 ID:rKDduL6w
hozeeeeen
370名無し娘。 : 2001/04/16(月) 18:09 ID:bWJquDnE
あげちゃえ
ああたらしいのかくならかけや。きむ
371名無し娘。 : 2001/04/19(木) 00:29 ID:.aBZm6RI
hozen
372名無し娘。:2001/04/20(金) 21:47 ID:AuAVTMf.
木村!俺は待ってるぜage
373名無し娘。
aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa