【兵庫】但馬銀行【地銀】

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153名無しさん
退職を決意したきっかけの一日

日も沈み始めた閉店後、薬石が新人を呼び出した。
薬石「おい新人ちょっとこい。」
『またか…』支店の誰もが皆がそう思った。
 薬石は支店の新人を嫌っている。
 その薬石は毎日新人いじめをしている。新人がグズだからか、薬石がおかしいのか、
 とにかく上が下をいじめるというどこの支店でもある光景だが。
新人は薬石に駆け寄る、歩いていくと「上司が呼んどるんやからシャシャっと動かんかいこのボケェ!」
と数日前に怒鳴りつけられたからだろうか。他の人が誰もいわれていないことから、明らかに新人を
ターゲットにしていることが伺える。駆け寄った新人に見向きもせず薬石は何か天井を見つめ考え込む。
おもむろに新人をひと睨みすると、指示する。

薬石「キングファイルもってこい。」
新人「どのファイルでしょうか」
薬石「どれでもええわはよ持って来い」
 新入社員は規定集の一冊を持ってくる
新人「どうぞ」
 薬石は無言でファイルを受け取り規定集を開くと程なく、
薬石「これとちゃう、別なんもってこい」
 といった。新人はファイルを元の位置に戻し稟議書のファイルを持ってくる。
 中身を見てると
薬石「一番新しいやつ持って来い」
 といった。新人はもういちど最新分が綴られているファイルを持っていく。最近新人が
 担当した融資案件も何件かある。もっとも担当といっても実質別の渉外薬石が主担当したものだ。
 新人自身いまだよくわかっておらず、人が足りないからという理由で形式上担当印を
 押しただけのものだが。
薬石「一番新しいやつで間違いないやろうな」
新人「はい、最新分です」
154名無しさん:2011/02/26(土) 12:39:10.26 0
 薬石はペラペラめくりつつ聞いてきた。ほどなく引き出しを開け何かを取り出す、横長の名前判だ。
 どうやら新人の名前判のようだ。薬石は何を思ったのか新人が担当印を押している稟議書の
 借入金額の真上に名前判を朱肉押ししていく。どういう意図か、少なくともこの薬石に善意があるとは
 思えない。
 自分の親のカタキの死刑執行命令書に押印する法務大臣がいるとしたら、まさにこんな顔を
 して、こんな押印の仕方をすることだろう。意図的に片目を大きく開き口元を歪ませて、
 ねっとりつけた朱肉がにじむくらい名前判をギチギチと押し付けている。

薬石「お前担当印押してんもんな、金額わかっとんやろな。」
 不適に笑みを浮かべ新人に、まるで念押しをするようにきいてきた。
新人「すいません、よくわかってないですw」
 新人は言いようのない恐怖に駆られ、努めて明るく回答しようとする、しかしやはり声は震えている。
薬石「何もわからんと印鑑押してんのかwどうなっても知らんでー俺知らんでーww」
新人「そ、そんなぁw一生懸命頑張りたいですww」
薬石「……お前なんでいちいちくいつくん?」
新人「あ、スイマセン」
薬石「お前これでさっそく信用失ったな」
新人「え?」
 これに薬石が舌打ちで反応する
薬石「え?てなんやねん。まず『スイマセン』ちゃうん?」
新人「ああ、スイマセン」
薬石「ああて何やねん…?『スイマセン』ちゃうんか!?」
 ドンッ! 薬石は机を叩く。
新人「…スイマセン」
 支店内に更に嫌な空気が流れるが薬石のフンと鼻を鳴らし、またあの法務大臣の顔に戻り、
 稟議書の金額欄に押印し始めた。
薬石「後で呼ぶわ、待っといて」
新人「わかりました」
 新人は席に戻ろうとすると、
155名無しさん:2011/02/26(土) 12:40:17.31 0
薬石「・・・おい待てや。」
新人「は、ハイ?」
薬石「後で呼ぶゆうとるやろまっとれやィ!!日本語わからんのかこのボケぇッ!!!」
 新人は薬石のそばで直立不動で俯いている。恐怖なのか無念なのか表情には苦渋がにじみ出ている。
 目を細め少しにじませ、何かの痛みに耐えるように口元は横一文字である。
 2年目以降の職員も渉外薬石も、はわが身に火の粉が掛かることを恐れ誰も声をかけない、助けない。
 薬石はその姿を、これぞ正義と言わんばかりのドヤ顔で腕を組んで満足げに新人を見ていた。