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 推測するに、詞の人物に個性がないというよりは、あえて個性を消しているのではないかと。
すでにカリスマとしての地位が確立されている浜崎あゆみという歌い手は、
支持するたくさんのファンが感情移入するのには、誰もが共通に持っている感情を歌うこうした手法が効果を発揮するわけです。
だから詞の内容も抽象化し、誰もが少しくらいは持っている「傷」という言葉はしょっちゅう使われるけれども
具体的にどんなことがあったかは何も書かれない、ということになっていくわけです。  

詞に散りばめられている『伝えたい想い』『癒されぬ過去』『大事なもの』などの言葉は、
もはや和歌の枕詞のような決まった形として定着していて、浜崎に限らずいろんなアーティストに多用されています。
でもこれらの言葉は非常に抽象的で、それ自体では説得力は生まれないはずなのです。
 しかしこうした「歌詞内抽象語」は、聴き手が自分の経験をそれぞれに当てはめやすいため、
言葉の内容がおのおのの中で補完され、歌っているカリスマとの一体感を得るということが容易でして。
だからそれぞれに個性を持つたくさんの聴き手が、「まるで自分のことを歌われているみたい」
と一様に共感することができるわけです。占いや性格診断の手法と似てますね。
 
 「歌詞内抽象語」は非常に便利です。こういうのは多用されればされるほど聴き手の中に強くインプットされるので、
そのうちに聴き手がわざわざ自己投影をしなくても「なんとなく聞こえのいい言葉」という認識が生まれてきて、
実際には意味が通っていない詞でも、そうした言葉があればなんとなくいい歌に聞こえてきたりします。
「お約束フレーズ」と言い換えてもいいですね。