今年5月に両行の勘定系システムをつないで接続テストを始めた当初は、金融庁の指摘が
当たっていた。その最たる例が“テスト作法”の違いだ。例えば、ATM(現金自動預け払い機)
の利用手数料切り替えをテストする場合、UFJは手数料が変わる時刻の設定を変更し、
時間を繰り上げてテストを消化することがある。東京三菱は、実際に切り替わる午後6時を
待って実行するのが通例。二つの勘定系システムにまたがるテストで、こうした作法の違いが
顕在化して消化効率が落ちた。
テスト作法の違いによる遅れを取り戻せず、苦しんでいるのではないか−。弊誌のこうした
問いに、東京三菱の幹部は「異なる会社が一緒にプロジェクトを進めるのだから、テスト環境や
実施手順に不一致があるのは仕方のないこと」とした上で、遅れについては「すでに終わった
接続テストでの話だ」と説明。業務ルールを確認する総合テストは「6月以降、ほぼ計画通りに
進んでいる」と続けた。接続テストで作法の違いを一通り洗い出し、遅れも取り戻したという
わけだ。UFJのシステム部門幹部も、「現在は総合テストも半ばを過ぎ、バグの収束段階に入っ
た」と話す。
10月1日の切り替えを判断する8月31日まで、残り約50日。3万3000人月に及ぶ巨大プロジェクト
には厳しい視線が注がれている。
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