UBS銀行 スイス銀行 海外口座 資産防衛 預金封鎖

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3名無しさん
第七章:最後の晩餐


 ついにその日はきた。

結局、先週末の海外円相場は一挙に100円あまりの下げをみせ、1ドル280円となった。

日経平均株価は週末遂に3千円を割り込んだ。国債売りパニックは収まらず、結局売り気配のまま値付かずのまま終わった。先週からずっとトリプル安のままである。

 渡辺は改めて総理に説明をする。

銀行は明日から3日間、完全営業停止。
引き出し、送金はもちろん、振り替え、振り込みも停止。
月曜からは一口座20万円までの引き出しを認める。
振り替え、送金は認めるが、海外送金はさらに一週間の停止。
外貨預金は同日、強制的に繰り上げ償還され、同日の為替レートで円に振り替える。
一週間後の金曜日の残高を確定し、30%を資産税として全ての口座から徴収。
来週中に印刷鋳造を間に合わせ、100対1のデノミを行った新円を発行。新円での現金の引き出しは自由とする。
現金は旧円との交換期限を1ヶ月とし、1000円を7円に交換。
4名無しさん:03/06/13 19:47
「今日、夜11時からの記者会見で発表します。質疑応答は全て私が答えます。」

 首相が、口を開いた。

「実質、7割になるということか。民間同士でも売り掛け金の回収でもめそうだな。」
「債権回収は証券会社や信託銀行を通した取り引きには新円切り替え以前の債券は満期時や解約時に天引きで30%割り引いて引き渡すことになります。
金融機関を通していない取り引きでは、課税はしません。民間同士でもめるでしょうが、本来企業から取る趣旨ではなく個人の金融資産と公共の負債の帳消しですから。」
「民間も借金する者がラッキーだったな。」

「国債を強制的に70%にした場合、金融機関が潰れ、円も崩壊するでしょう。
これしか手段がないのです。たとえば民間の銀行借り入れや住宅ローンに対する金融機関への課税を行うわけではないのです。」
「金融機関や企業の預金には課税するのだろう。海外にある口座はセーフなのだな。
個人でも金や海外口座にしているものは課税できないのか。」
「国内金融機関は住民基本番号確認義務を負わせて名寄せを完了しています。銀行、証券会社の預り金の個人分は90%は把握できています。その分に関しては金融機関間の資金移動は把握できます。
ただ現金や金に番号が振ってあるわけではないのでそのデータで直接、どうこうしようとするわけではありません。
金は国外持ち出しの場合、30%の税金をかけます。現金交換の場合20%の税金を掛けますが誰も売ろうとしないでしょうから、暴騰ですね。」
5名無しさん:03/06/13 19:48
 榊原が口を挟む。

「海外の預金口座、外貨の箪笥預金は捕捉不能でしょう。そんなのたいした金額じゃないし把握してみたところで仕方ないでしょう。」
「君はどのくらい持ってるんだよ。」

 首相の軽口には答えず、榊原はたばこを灰皿に押し付けながら言った。

「実は、海外送金の把握は個人名別である程度されているんです。完全ではないので深追いはしませんがね。
まあ、政治家は資金の海外逃避を行っているなどとマスコミでたたかれないよう配慮ねがいますよ。ボクは政治家じゃないからいいけどね。」

「株はどうなる。」

 渡辺が答える。

「特別な税金は掛けないと発表します。数日は買い気配のまま、値段が付かないでしょう。」
「為替市場は開かないのか。」
「新円に切り替わる来週まで市場は停止します。30%修正済みの新円ですから、大きく反発するはずです。」
「300兆円の棒引きでは、まだ足らないのではないか?」


 榊原は、首相の発言に、にやりと笑った。