猫が段々瘠せて来た
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∧ ∧ <イ、ィテェヨシヒィ
___(;°Д°) \_____________
(_____ノ
UU UU
一向に小供と遊ぶ気色がない
∧∧ 待て〜 ∧∧
(*・∀・) アソボウヨオ ___(||°Д°) イテェヨシィ
く y ゝ = (_____ノ
ノノノノ| = UU UU
じきに小供の方でも、初めから相手にしなくなった
∧∧ ‖ ∧∧
(・∀・*)‖チヤンバラシヤウゼ ___ (||°Д°) イテーヨヒ
く y つ (_____ノ
||||||||| UU
ただ、じつとして寝てゐた
動かなければ淋しひが、動くとなを淋しゐので、我慢して
じつと辛抱してゐるやうに見へた
∧∧ 喰ワネエンナラ、モラウゾゴルァ!!
(||-Д-) バクバク∧∧__
/ | ミ゚Д゚ ミ __)〜
ヽ(_UU \⌒⌒/UU UU
 ̄ ̄
それでも時々は外へ出て行く事がある。すると何時でも近所の房擬古に
追懸けられる。さうして、怖ひものだから、縁側を飛び上がつて逃げ込んでくる
∧∧ 。
(°Д°||)゜。 ゜
⊂ヽ \
\\\ し\ )ノ \\
\\\\ UU ミ \\\
============
‖ ‖ 待てゴルァ
∧∧__
ミ゚Д゚ ミ__)〜
UU UU
此れが度重なるにつれて、猫の尻尾の毛が抜けてきた
彼れは万事に疲れ果てた、体躯を圧し曲げて、しきりに痛い局部を舐め出した
∧∧__
(°Д°|||) )ヽ
て_て_ノて_ノ
妻は至極冷淡である
をい猫がだうかしたやうだな ノノ人ヽ さうですね、
∧∧ (*゚ー゚) やつはり年を取つた所為でせう
( ゚Д゚) ( v。)
< ヽ⊂> | |
(_|⊃) UU
∧∧__
ィ、ィテーヨシ(°Д°|||) )ヽ
て_て_ノて_ノ
暫くしてから、今度は三度のものを時々吐くやうになつた
仕様がないな
来客用の座布団が台無しだぞ
∧∧
( ゚Д゚) オーイ /ノ人ヽ
ヽ___ ∧∧ く у ゝ ハイハイ (*゚ー゚)
(_____(|||゚Д゚)グェッ |""""| ( ヽ。)
UU uu ___ U U (|__)
⊂_〜 〜⊃
⊂__⊃
猫は吐き気がなくなりさえすれば、依然として、大人しく寝てゐる
∧∧
(-Д-)
/ |
ヽ(_UU
けれども放つて置ゐた。妻も氣にも掛けなかつたらしい
小供は無論猫のゐる事さへ忘れてゐる
∧∧
∧ ∧ ( )
(-Д-)∧ / |
∩ヽ/||⌒!つ (,_っ
或る晩猫は自分の捕つた魚を取り上げられる時に出すやうな唸り声を挙げた
此の時、變だなと氣が附いたのは自分だけである
/ ̄ ̄
∧ ∧ <ゴルァ /ノ人ヽ
___(;°Д°) \__ ∧∧ (*゚ー゚)
(_____ノ Σ(゚Д゚ )Λ ( ヽ。)
UU UU ∩ヽ/‖⌒!つ (|__)
暫くするとまた唸つた。妻は漸く手を止めた
夜中に小供の頭でも
/ ̄ ̄ 噛じられちや大變だ
∧ ∧ <ゴルァ ∧∧ /ノ人ヽ
___(|||°Д°) \__ (゚Д゚ ) Σ(゚д゚*)…マサカ
(_____ノ く y ゝ ( ヽ。)
UU UU (_|⊃) (|__)
明くる日は壱日唸つてゐた。が、夜になると猫の事は自分も妻もまるで忘れてしまつた。
/ ̄ ̄ ̄ ̄
∧ ∧ <ゴルァゴルァゴルァ
___(;°Д°) \____ ∧∧
(_____ノ (-Д-)Λ
UU UU ∩ヽ/‖⌒!つ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
・
・
・
猫の死んだのは實にその晩である。
朝になつて下女が見附けた時は、まう硬くなつて、倒れてゐた
妻はそれまでの冷淡に引き更へて急に騒ぎ出した
_____________
∧ ∧ ノノ人ヽ /
( ゚Д゚) (゚д゚*)<この墓標に何か書いて遣つて下さい
____ φソ \ ロ⊂ v ) \_____________
[二二二 ≠= (__|)
| 巛 ノ
自分は表に猫の墓と書ひて、裏にこの下に稲妻起こる宵あらんと認めた
子供も急に猫を可愛がり出した
∧∧
П (,, )イチャータネ
/ ̄ ̄iii\ ⊂ ヾ
/ |~~凸( ̄)凸 ( ”””)
猫の命日には、妻が壱切れの魚と鰹節を欠けた一杯の飯を墓の前に供える
今でも忘れた事がない
ただ此の頃では箪笥の上に載せて置くやうである
お前さん、またお願いします|
_ _________/
_V___/
∧∧ _ | ΛΛ
( *゚ー)ク_| | (゚Д゚ )ヤレヤレ
([ニ] ノ_ | _φ__ ⊂)_
| |__| | / /旦/三/ /|
UU __|/ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| |/
821 :
( ´∀`)さん:2001/06/09(土) 03:58
何とも切ないお話だなあ
∧ ∧
( TдT)
< ヽ⊂>
〜(_|⊃)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
今回は夏目漱石の『永日小品』から「猫の墓」をお送りゐたしました。
ではごきげんよう
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∨
∧ ∧
( ゚Д゚) [|] _
< y~|⊃ |講|
/旦 ̄ ̄ ̄ ̄\|談|
,| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||擬|
.| ||古|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄