其れは、ラーゲリと言ふ強制收容所での話だつた。
當時其處には捕虜とて大茂名帝國軍の捕虜が
強制勞働に課せられてゐた地でもありしさうだ。
其處に1人の重病人が居たさうです。
ああ…も、もう家には帰れないんだろうなぁ
死ぬ前に1度…パイナップルが食べたい
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/_了´Д`) ∧∧
( ⊃ )⊃ (=Д= )
し__)) ⊆⊂´ ̄ ソ
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弱音を吐くな!!!俺がパイナップルを手に入れてやる
絶対!!だからそれを食べて生きろ!!絶対だ!!
(こいつはもう駄目だ…せめて死ぬ前には良い思い出を…)
さうして彼れは約束を果たす爲に
飯炊き等の手傳いに來てゐた、
ロシヤ人のお婆殿にパイナップルを呉れと頼むのでしたる
バブーシュカ ヤー欲しいアナナース(片言ロシア語)
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∨
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/___|_ ??
/_了´Д`) ∩ ∩
( )⊃ (´∀)` )
| || ( 彡
( ) ) ( ( )
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アナナース?難しいよ手に入らないよ
無理だと思うけど頑張ってみるよ(流暢なロシア語)
固より不可能なのは承知
然乍ら捕虜たる彼れは
此のお婆殿に望みをかけるのみなりき
さうして數日後お婆殿が遣つて來たるが
やはり期待は出來ず
ごめんよぉ頑張ったんだけど是しか
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/_了´Д`) ∩ ∩
( )⊃ (´Α)` )
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( ) ) ( ( )
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ヤープラカ?ニェットアナナース?
此のお婆殿が命がけで
リンゴを探してきてくれたるは
痛いほど解る。
まして、お湯のしか思へぬ樣な
ご飯しか食べれない自分逹から見たら
リンゴなんて夢に見るほどのご馳走
なれど戰友が求めてをるのはパイナップル…
途方に呉るゝ男…
此のまゝ戰友を見殺しにせるは出來ぬ。
然乍ら手元に有るのはパイナップルとは程遠い
リンゴ…
現實は悲しすぎた
然乍ら…彼れは腕に覺えのある料理人なる。
戰友を騙す事は良心が痛む
なれど
彼れに出來る事は
リンゴをパイナップルのやうに見せる事なる。
リンゴを輪切りにし、甘酸つぱく煮付け
疱丁で切り込みを入れ
見事に見た目丈はパイナップルに仕立て上げた
待っていろ〜もうすぐだぞ〜
 ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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│ ∧_∧└──┘
│ / ヽ) 人M人ゴォォ
│〜(_ __)┻┻┻
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ああ…うまい…うまいよ
有難う…死ぬ前に…本当に有難う
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/_了´Д`) ∧∧
( ⊃ )⊃◎ ◎(‐Д‐ )
し__)) ⊆⊂´ ̄ ソ
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そんなことは言うな、今はじっくり味わえ
2人で喜び、生きてゐる素晴らしさを理解したる時間だつた。
其の後、此の重病人は移送され別の場所へと移されていつた。
此の時、料理人は思つた。
「もう日本に彼れは歸れないならん。
せめて本物のパイナップルを食べせしめ
上げる事が出來れば…」
悲しきお話ですね
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Λ_Λ 。 Λ Λ ┃
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此の話には後日談があつてな
其の料理人が、帝國ホテルの主任料理長だつた時の事
ある男が尋ねてきたのだよ。
さう、シベリヤでパイナップルを食べせしめやつた重病人だよ
貴方のお陰で生きて歸つて是れたる本當に有難うと
其時、確信したるさうな
料理で人の命を救ふ事が出來るのだと
Λ Λ
(゚Д゚ ) 朴擬古に続く小生の駄作
<φ y > お付き合ひくださり
┳┯┯┯┯┯┳ 有難う御座候
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このお話は昔テレビで見た、
元帝國ホテルの料理長であつた人の
話を元に作つたお話です。
眞に申し譯ありませんが
その人の名前を忘れてしまひました。
不確かな記憶に頼つて作つた物なので
事實とは異なると思ひます。