うんこ
以下井上ちゃんのターン
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ 悪意の塊サイコパスKが現れた.!! ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┏━━━━━━━━━━━┓
┃解析結果 ┃
┣━━━━━━━┳━━━┫ ┏ ┓ mousouheki
┃迷惑度 ┃200% ┃ yusuritakari ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┣━━━━━━━╋━━━┫  ̄ ̄ ̄ ̄\<ヽ`∀´> 93o tanhoushin sokusyahou
┃厨房度 ┃100% ┃Ganmensasyou /( ) / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┣━━━━━━━╋━━━┫  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | |
┃妄想度 ┃100% ┃ (__)_)
┣━━━━━━━╋━━━┫ ┗ ┛
┃必死度 ┃100% ┃ ピピピ・・・
┗━━━━━━━┻━━━┛
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┃ 悪意の塊サイコパスKが現れた.!! ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
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┃解析結果 ┃
┣━━━━━━━┳━━━┫ ┏ ┓ mousouheki
┃迷惑度 ┃200% ┃ yusuritakari ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┣━━━━━━━╋━━━┫  ̄ ̄ ̄ ̄\<ヽ`∀´> 98o tanhoushin sokusyahou
┃厨房度 ┃100% ┃Ganmensasyou /( ) / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┣━━━━━━━╋━━━┫  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | |
┃妄想度 ┃100% ┃ (__)_)
┣━━━━━━━╋━━━┫ ┗ ┛
┃必死度 ┃100% ┃ ピピピ・・・
┗━━━━━━━┻━━━┛
5 :
名無し戦隊ナノレンジャー!:2012/08/05(日) 21:02:39.11
ホルホル…
.人 /|
−=≡ (_ ) / | 寄るな ッ!
−=≡ (__) / | ∧_∧
−=≡ <丶`∀´>/ 人 -=≡(´Д`; )
−=≡ ⊂ _⊃ (__ ) -=≡ / つ_つ
−=≡ ( ⌒) (___ ) -= 人 Y
−=≡ c し' レ' \_フ
6 :
ASANN:2012/08/10(金) 15:59:46.20
しもネタ・・・。
7 :
名無し戦隊ナノレンジャー!:2012/09/02(日) 13:56:50.22
dc
ぬ♥|
てす♥
t
12 :
!Suiton:2012/11/19(月) 10:44:58.06
/  ̄ ̄ ̄ \
( ( (ヽ ヽ
| −、ヽ\ !
ゝ/  ̄ ̄ ̄ \ | ・ |─ |__ /
/ _____ヽ ┌ - ′ ) /
| | / ─ 、−、! ヽ / ヽ <
|__|─ | ・| ・ | , ──── 、 ` ─┐ h ̄
( ` ─ o−i / \__ j ̄ ̄ |
ヽ、 ┬─┬ノ / ̄ ̄/ ヽ- 、\ /  ̄ ヽ\
// /ヽ─| | ♯| / i | ..) ) \ i ./ |\\
| | / `i'lノ))┘/ , ─│ !-l⊂⊃l┐__ヽ__/\ / | | |
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|_|/ヽ、_/ ./ ` ─ /\ /ヽ  ̄ \-──| \|_|
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14 :
名無し戦隊ナノレンジャー!:2012/11/19(月) 12:49:28.95
うんこ
15 :
名無し戦隊ナノレンジャー!:2012/11/28(水) 12:20:16.51
でs
アンタレス
あんたです
とても悲しい夢を見たの
天使がね、泣いてたんだ。なにか悲しいことがあったんだ。
僕は天使を助けようと思ったの。でも、なにかガラスの板のようなものが僕達の間にあるような感じで、僕が声をかけても聞こえていなくて、
手を振っても見えていなかった。とても悲しそうに泣いていたから、必死に声をあげて、気づいてもらおうとした。でも、駄目だった。
僕はただ見ているだけだった。何もできなかった。
どうしたら気づいてもらえたんだろう。なんで気づいてもらえなかったんだろう。
おじいさんはいつものように、微笑みながら話を聞いてくれた。
「今も天使を、助けたいと思うか?」
「うん」
「そうか、それなら大丈夫だ」
「なんで大丈夫なの?助け方が分からないのに」
「いや、助け方なんてのは二の次だ。助けたいと思って、そう思い続けること
が重要なんだ。思い続けてれば、道は見えてくるものだ」
「でも、すぐに助けなきゃいけないのに」
「焦る気持ちは分かるがな。焦りは進む力を与えはするが、
同時に道を見えなくしてしまう。焦ってちゃ、道はわからんよ」
おじいさんは最後に顔を近づけて、囁くように言った。
「大丈夫だ。助けたいという心が、道を示してくれるだろうよ」
また夢の中で、あの天使が泣いていた。
ガラスの壁を、壊さなきゃいけない。でも、どうすればいいんだろう。
なにか道具が必要なのかもしれない。どこかで道具を手に入れようか。
僕はその場所を離れることにした。
この場所に一人、あの天使を残していくことがつらかったが、一言「ごめん」とつぶやいて、その場を離れた。
天使がいた場所は宮殿のなかだった。外に出てみて、そのことに初めて気づいた。
宮殿からは何本かの道が伸びていた。僕は一番広い道を選んだ。もし大きな町へつながっていれば、人がたくさんいるはずだ。
そして、道具もたくさんあるだろう。いろんな人に尋ねて歩けば、いい道具が見つかるかもしれない。
やはり広い道は大きな町につながっていた。
町で一番大きな店には、思ったとおりたくさんの道具が置かれていた。
しかし、どれもあの壁を壊すのには役に立ちそうになかったが、商品説明には「なんでも穴をあけられる」だとか「なんでも切れる」などと
書かれてあって、一度自分で確認してみたいと思った。そこで、一番丈夫なつるはしを一つ買おうと思った。
「これください」
店員は、いぶかしげに僕を眺めた。
「君、お金はもっている?」
このときになって初めて、僕は自分がお金をもっていないことに気づいた。
気づいた今となっては、どうして自分が今までそのことに気づかなかったのか不思議にすら思った。
「もってないです」
「じゃあ売れないよ」
「どうしても欲しいんです」
「そうかい、じゃあ君に少し仕事をしてもらおうか。それが終わったらつるはしを君にあげるよ。
よかったよ、ちょうど人手が足りなかったんだ。」
「どんな仕事なんですか?」
「簡単なことだよ。君の心を、少しだけ渡してくれればいいんだ。それだけだよ」
僕はそういわれても、心を渡す、ということがどういうことなのか、よく分からなかった。
「じゃあこっちへ来て」
店員は手招きして、店の奥へと案内した。案内された部屋は、円形の広い部屋だった。
入ってすぐに、この部屋はなにか変だと思った。
綺麗で明るい照明のついた部屋ではあったが、不自然に肌寒く、また明るいはずなのに、薄暗く感じた。
その原因はすぐに分かった。部屋の中央に、亡霊のようななにかが見えたのだ。
「あの真ん中にいるのはなんですか」
しかし店員は何を言っているのか分かっていないようだった。
「ねずみでもいたの?」
この人には見えていない。しかしその亡霊からは、決して近づいてはならないものが確かに感じられた。
これほど恐ろしいものなのに、なんでこの人は何も感じないのだろう?
「じゃあ、この部屋の周りを全力で、ぐるぐる走って。そうしているうちに、心は君から離れていくから。
もらう分だけもらったら、そこでストップをかけるから」
そういって、店員は部屋の真ん中へと歩いていった。
亡霊が、店員に憑依しようとしているらしい。店員にまとわりついている。
「危ないですよ、そこは」
そう言っても、店員にはやはり何のことだか分からないらしい。
「何を言っているのかよく分からないけど、もう何度もやってるから、問題ないよ。今まで平気だったんだから」
僕はそれ以上口を出すのはやめておいた。
「そろそろ始めようか。いいね、全力で走るんだよ。じゃあ、よーいスタート」
僕は走り出した。走るのは、あまり得意ではない。
数分後、もうすでに息があがっていた。もう走れそうもないと思った。
そして、心が僕の体から、少しずつ抜け出ていき始めた。心が抜けていくのは、悲しく、虚しいことだった。
喪失感が芽生えるが、その喪失感すらも、少しずつ抜け出ていった。
心は部屋の真ん中へと吸い寄せられている。これは、あの亡霊の仕業なのだろう。
ちらっと店員を見た。亡霊は、完全に乗り移ってしまったようだった。顔つきが、明らかに先ほどまでと違う。
「ほら、まだ全然足りないぞ、もっと頑張れ」
もうかなり呼吸が苦しくなっていた。まだ走らなくてはいけないのか。
「苦しいだろうがな、全力で走ることが、心を失うつらさを感じなくする麻酔となるんだ。
分かるか。走らなきゃいけないんだ」
そうはいっても、やはり心が抜け出ていくのは、耐え難いほどに虚しかった。
離れていく心を追って、抜け出ていくほうに寄っていくと、さらに引力が強まり、より心が抜け出ていくようになる。
それに気づくと、また外側に戻るが、知らず知らずのうちにまた中央に寄っていってしまう。
店員の口調は激しくなっていく。
「何をしている!他の奴はもっと上手くできたぞ!もっと全力を出せ!」
意識が朦朧としていく。もう今は、ただ虚しかった。
そしてついに僕は感じた。あの、天使を助けようとした心が、今にも抜け出ていこうとしているのを。
いけない。このままじゃいけない。しかし、道具を手に入れなければ、天使を助けることはできない。
おじいさんの言葉が頭をよぎる。
(助けたいという心が、道を示してくれるだろうよ)
この心だけは失うわけにはいかない。
足を止めた。
「何をしている!根性なし!走れ!お前は今、信頼を裏切ったんだぞ!」
この部屋は、出なければ。ここにいちゃいけない。
歩くこともままならないほどに疲れきっていたが、それでも部屋を出て、そして店を出て、近くの道端にへたり込んだ。
店員は、追ってはこなかった。集めた心の後処理でもしているのだろうか。
とにかく、今は休みたかった。
ふと気がつくと、あの天使の顔がそこにあった。泣いてはいなかった。
僕を心配そうに見つめていた。
なんだ。よかった。もう泣き止んだんだ。よかった。
だんだんと意識が明確になってくる。
よく見ると、天使だと思っていたのは天使ではなく、人間の女性だった。
「大丈夫?具合悪い?」
どうやら、道端で休んでいるうちに、寝てしまっていたらしい。
「あなたもあそこの店で働かされたんでしょう?あそこは、子供にも
酷い働かせ方をすることで有名なの。本当に、恐ろしい店。これ飲む?」
女性は水の入れ物を差し出した。僕はうなずいた。喉がカラカラだった。
水を、一気に飲み干した。
「本当に大変だったんでしょうね」
僕の様子を見ながら女性は言った。
「ちょっと待ってて」
そう言って、女性はどこかへ行ってしまった。
十分くらい経ったころに、また女性は戻ってきた。手にしていた袋には、
食料や水の入れ物が入っていた。
「はい、食べるものと、水。水はあれだけじゃ飲み足りなかったでしょう」
そう言って、袋ごと僕に手渡した。
なんでこの人はこんなに親切にしてくれるんだろう?僕には分からなかった。
なんの特にもならないのに。
「どうしてこんなに親切にしてくれるんですか?」
「どうして?」
女性は少し戸惑ったようだったが、すぐに笑ってこう言った。
「困ってる人を助けるのに、理由なんていらないでしょ」
ああ、そうか。この人は、持っているんだ。僕があの部屋で失った心を。
少し、泣いてしまった。女性は僕に優しく声をかけ続けてくれた。
この人のおかげで、また思い出せた。失った心を、取り戻した。
女性に何度も感謝の気持ちを告げて別れ、そして再び天使のいる宮殿に向かうことにした。
しかし町を出ると、あったはずの道が見当たらなくなっていた。しばらくの間、途方にくれていたが、気がついた。
あの店のあの部屋で、初めて見て取ることができた、天使を助けたいという心。
おじいさんの話を聞いたときは、その心がどういうものなのか実のところ理解できていなかった。
しかし今は、それが何なのか分かる。
(助けたいという心が、道を示してくれるだろうよ)
その心は、やはり道を知っていた。霧が晴れていくように、道が再び見えるようになる。
宮殿前にたどり着くと、宮殿を出てきたときと比べて、明らかに宮殿から伸びる道の本数が減っていることに気づいた。
今残された道は前と比べると、ごくわずかとなっていた。
これは、あの心が何であるのか理解できたことが関係しているように思われた。
宮殿に入っていこうと思ったが、ふと、ある一つの道が気になった。
この道を行っておいたほうがいいかもしれない。あの心が、そう言っているように感じた。
天使に会いたい。しかし、天使と正面から向き合うために、この道を行かなければならない気がする。
僕は天使と再会できると思っていただけに、喜びが胸に湧いていたのだが、その気持ちをぐっと抑え、その道を歩き出した。
離れていく宮殿に強く心が引かれた。
道の先には、森があった。
鬱蒼と生い茂った森の中の道は、しだいに道の形をなくしていき、もはや道とは呼べないものとなっていった。
それでも、この先になにか必要なものがあるという確信があった。
草をかき分け、倒れた木をまたぎ、岩をよじ登り、ついにそれらしい小屋のようなものを見つけた。
それは、木を寄せ集めただけのような、小屋と呼ぶには少々粗末過ぎるようなものだった。
小屋の入り口の前で、声をかける。
「すみません」
小屋の中から、返事のような、驚いて発しただけのような、独り言のような、そんな声が聞こえてきた。
その声を聞いて、どこかで聞いたような声だという思いが一瞬頭をよぎった。
小屋から人が出てくる。驚いたことにその顔は、おじいさんと瓜二つだった。
いや、おじいさんとまったく同じだった。しわもほくろも、全てが同じなのだ。
しばらくどういうことなのか理解できないでいると、彼は困ったように言った。
「なんでこんなところに人が訪ねてくるんだ?それも、知らない者が。ここはそう簡単に来られる場所ではないはずだが」
この人は、見かけこそ同一人物ではあるが、おじいさんではないようだった。
僕は驚きながらも、ここに来た経緯を説明した。
天使のこと、町でのこと、そしてそっくりなおじいさんのことも。
「そうか。まあ、おじいさんのことは知らんがな」
そう言って彼は笑った。
「しかし、大体の事情は分かったが。だが、なにかがあると言われても、わしには分からんからな。
まあ、探すといい。飯や寝床くらいなら、用意してやる。だが、その代わりにいくつか仕事を手伝ってもらおうか」
仕事、と聞いて、僕は町でのことを思い出して少し気持ちが沈んだが、この人があのときほどのことを強要するようには思えなかった。
森での暮らしは、なんでも自分でやらなくてはならなかった。
食料となる山菜や魚を、自分で取らなくてはならず、また暮らしに使う道具を自分で作らなくてはならなかった。
小屋の主は目が少し目が見えにくくなっていたので、細かい道具作りは僕が代わりにしてあげた。(彼の言った仕事とは、このことだったらしい)
初めのうちは慣れないことだらけで、日々生活していくのがやっとだった。
それでも慣れてくると、ときどき天使のことを考えたりした。
あの顔を思い浮かべる。ひどく悲しそうなあの顔を。そうすると、居ても立ってもいられない気持ちになる。
今すぐに会いに行かないといけないような気持ちに駆られる。
しかし、やはり気持ちを抑える。ここで得られるはずのなにかを得なければ。
それでも、どうしても気持ちを抑えがたくなったとき、小屋の主に話を聞いてもらった。
「気持ちは分かるがな。焦るとどうも上手くいかんことが多いからな」
僕ははっとした。おじいさんの言葉が蘇ってくる。
「ただな、君のことは、君にしか分からんからな。君がどうすればいいのかは、どうすべきなのかは、
やっぱり君が自分で知るべきことだろうな」
彼はぽんと僕の肩に手を置いた。
「幸い、ここには町と違って、ごちゃごちゃしたものはないからな。まあ、心と向かい合うには、ちょうどいいだろう」
その日は川に釣りに行くことを告げ、小屋を出た。
川に到着し、いつもの岩の上に腰を下ろし、釣り針に餌を付け、川に放る。
聞こえる川の音は大きいが、しかし、静かだった。
この森に来て、静けさを知った。しかし、静かであればあるほどに、心のざわつきが大きく聞こえる。
泣いている天使を放っておいて、こんなところで自分だけ静かな暮らしをしていていいのか。
自分のすべきことは何よりも、天使のもとに行くことなのではないか。
森での生活は、たしかに静かだ。そして、何もない。何もないのだ。こんなことに、価値などあるのか。
これらの声が、焦りから発せられるものであることは、分かっていた。
いや、分かっているつもりだった。しかしどうしても、疑ってしまうのだ。
本当に今のままでいることが正しいことなのか。
例の、天使を助けたいという心は、やはりどうやらここに留まることを望んでいるらしい。
しかし、この心自体が、どうも焦りにとらわれやすいようだった。
はっきり理解したつもりだったこの心を、実は未だ理解できていなかったことを知った。
森の中で、長く暮らした。
焦りは今となっては、あまり感じられなくなっていた。
そして、気づいたことがあった。天使を助けたい心が、天使に会いたい心へと変化したのだ。
同時に理解した。この森で得るべきものを得たことを。
僕は、今では「二人目のおじいさん」となった小屋の主を抱きしめ、別れの言葉を告げた。
お互い涙は見せまいと努めた。しかし、どうして涙を流さずにいられるだろう。
小屋に背を向けて、足早に天使のいる宮殿へと向かった。
宮殿への道は、今度はすぐに見つかった。いや、というよりも、初めから分かっていた。
僕が道を歩くのではなく、僕が歩くところが道なのだ。
宮殿へは、森に向かうときの半分もかからないほどの時間でたどり着いた。
そして、初めは宮殿から伸びていたたくさんの道は、いまや全てなくなっていた。
森へとつながる道も、僕が宮殿の前にたどり着くと、消えてしまっていた。
僕は迷わず宮殿に入っていった。
広間の奥にある扉を開け、あの場所に着いた。
そこには、最初に来たときと何一つ変わらず、天使が嗚咽をあげて泣いていた。
初めに会ったときからは、長い時が流れていた。それでも、その間ずっと、天使は泣き続けていたのだ。
会いたい心が、助けたい心へと逆戻りしそうになる。
深呼吸をする。ひとつ。ふたつ。みっつ。
落ち着いて、改めて天使と向かい合う。
「ずっと会いたかったよ」
声をかけるが、やはり聞こえていないらしい。
手を伸ばす。阻まれる。やはり壁がある。いくら壊そうとしても、壊れるものではないことが分かる。
分かりきっていたことではあるが、諦めて、その場に仰向けに寝転がる。
天井は球状になっていた。
天使のいる部屋は、どうやら時間が止まっているようだった。何も変わらず、何も先に進まない。
そのおかげで、腹が減ったり喉が渇いたりすることはなかった。また、眠たくなることもなかった。
時間が止まっているからこそ、天使はあのままでいられたのだろう。
ならば僕が時間を無理やり動かしてやればいいんじゃないか、とふと思った。
しかし、思っただけだ。そんなことはしてはいけない。
天使はずっと泣き続けている。
聞こえてくる嗚咽は、この世の悲しみの全てを表しているようであり、ずっと聞いていると、
どうしても助けたい心に戻りそうになってしまう。
なんとか押さえ込む。しかし、これは長くはもたないだろうな、と思った。
その予想はやはり的中した。天使の悲しみに耐えられなくなり、壁をなんとかできないかと考え出すと、
しだいに壁を壊せないかと考え出し、壁を殴りつけたりもした。しかし、壁は壊れない。
心は徐々に乱れていった。叫びながら壁を殴り続けることもあった。
抱きしめたい。手を取り合ってともに涙を流し合いたい。
心は逆戻りし、天使を助けるために力を尽くした。
しかし、すべては徒労に終わった。僕は自分が無力であることを知った。
茫然自失のなか、天使の泣く姿を見、嗚咽を聞くうちに、心に悲しみが満たされていった。
泣いた。天使が泣くように、僕も泣いた。天使と同じだけの悲しみを、僕も悲しんだ。
そして、涙もかれた。心には、もう何もなかった。
天使の嗚咽はまだ続いていた。それでももう僕の心には、何もない。
いや。なにか、光がないか。会いたい心とも違う、なにか、小さな光が。
これは、なんだろう。なんだろうか。
ああ、でも、これがあるから、生きていけるんだ。これがあるから、光を失わずにいられるんだ。
この光に、すがればいいんだ。そうだ。もう、道を示すものは必要ない。道はこれ以上必要ない。
天使は泣き続けた。僕は、ずっと仰向けになって天井を見ていた。
長い長い時が過ぎた。それでもここは何も変わらない。
長い長い、さらに長い、もっと長い、無限のようにも思われる時が過ぎた。
いつの間にか、うとうとしていたようだ。眠たくなることはないと思っていたのに。
あまりにも長い時間だったためだろうか。
そこに、天使の顔があった。また、町の女性なのかと思った。
ここは時間が止まっているのだ。天使は時間が止まっているのだ。
しかし、それにしても、ずっと聞こえていたあの嗚咽が聞こえないのはなぜだろう。
不思議に思って。ぱっと目を見開いた。
やはりそれはあの天使だった。
顔に涙の跡が残ったままで、少し心配そうに、僕の様子を眺めていた。
僕はあっけに取られていたが、急に力が抜けて、笑い出してしまった。
ひとしきり笑い終えると、相変わらず心配そうに眺めていた天使に言った。
「いや、ずっとあなたに言いたかったんだよ。壁越しじゃなく、ちゃんと向かい合ってね。
あなたに会いたかったって。いや、違うかな。会えなくったってよかったのかもしれない。
とにかく、僕は、あなたがいてくれて、よかったんだ」
『魔王』
町の女達がひそひそと何か話している。
「またですってね、例の……」
「ああ、隣町の子」
「そう。今年に入ってからは、まだ大丈夫だったのに。やっぱりまだ、あれは続いているんだよ」
何の話をしているのかは、大体予想がつく。
隣を歩いていた娘がつまづきそうになった。
手を握っていたので、手を引いてやることができて、転ぶことはなかった。
「大丈夫?」
娘は心配させまいと、にこっと笑おうとしたが、その笑顔はやはりどこか弱々しかった。
私は娘を抱くよう支えながら、ゆっくりと道を歩いた。
町に一つだけの診療所につくと、そのときは運よく、患者がいなかったようで、すぐに医者の診察を受けることができた。
医者の前の席に座った娘は、今までになくゆっくりと歩いてきたにもかかわらず、
目に見えて疲れているようだった。
「父さんもだったんでしょう?」
娘が窓際のベッドの上から尋ねた。
「心臓が悪かったのって」
私は黙って、温めたばかりのミルクをカップに注ぎ、娘のところへ持っていった。
「ありがとう」
そう言って娘はミルクを少しだけ口に含み、口の中で熱を冷ましてから、喉に通した。
以前は娘は、娘専用の部屋で寝起きをしていた。
常にベッドに入っていなければならなくなって、娘はベッドを居間に移動させてほしいと言った。
私は居間にあった家具や荷物を娘の部屋に移動させ、娘のベッドや必要なものを居間の窓際にもってきた。
この場所なら、昼間は日が当たって暖かいし、夜は星を見ながら眠ることができる。
しかしこの作業は、老いというものを感じざるを得ない年齢になってきた私にとって、一人でやるにはなんとも骨が折れるものだった。
「でも、父さんのときは、たしか突然だったのよね。なんの前触れもなく、突然、倒れたって」
娘の言葉が途切れたが、私はまだ自分が言うにふさわしい言葉が見つからず、黙っていた。
「私ね、あんまり覚えてないの。まだ小さかったからなんだろうけど。父さんが倒れた日のことも。それから、父さんがどんな顔だったのか、ってことも」
少しだけ、娘の表情が変わった気がした。私は、娘の手に自分の手を重ねた。
すると娘は、はにかむように笑った。
「でも、そのことは、それほど悲しくはないの。だって私は、父さんが私を大事にしてくれたって、知ってるから」
私は黙って、赤ん坊に子守歌でも歌うように、娘の手を撫で続けた。
ラノベか
36 :
名無し戦隊ナノレンジャー!:2013/03/16(土) 14:14:34.22
おまえがな
こ
38 :
名無し戦隊ナノレンジャー!:
がん