意味がわかると怖い話

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370イニヒコ・イニヱ
うちの近くには薄気味の悪い廃屋がある。
そこがテレビの「真夏の心霊特集」で取り上げられてから、肝試しの名所になりつつある。
実際に霊を目撃した人もいるということだ。
「大丈夫だって。実際に何か被害が出たって話もないし。」
夏休みの終わりを明後日に控えた生暖かい夜、友人と5人で侵入してみることになった。
あらためて見ると本当に薄気味悪い廃屋。もともと民家であったらしい。
バリケードをなんとか越えて玄関を入ると、何かの気配を感じる。
みんなの視線が玄関から伸びる廊下を伝って、突き当たりのドアに収束したその時。

バン!ドアが突然開いた。
そして、そこから、目がランランと輝く赤い顔の化物が三匹飛び出してきたのだ!

「ぎあああああああああ!!!!」
俺たち5人は一目散に逃げた。どう逃げたかは覚えてない。
とりあえず友人のうち一人の家に泊まることにした。
5人全員無事だったが、みんな怯えきって廃屋のことは語らなかった。

しかし俺は、おそらく大丈夫だと思う。三匹の化物が襲い掛かったとき、俺はみた。
それを食い止めるように彼らを遮る白い手、女性の霊。彼女が守ってくれたのだ。
そもそもあの廃屋で被害者が出たことは一度もないのだから。