ーお前は、こんな俺には感じたりしないのかよ…?
耳元で低い、あの彼独特の声色で囁かれた。分かった、分かった。お前はそういうつもりで着てくれたんだな。
まあ、それで喜ぶと思われている俺も俺だけど。
「…悠来、お前、全国のメイドさんに謝れ。あと、それをくれたファンの人にも」
「はあ?」
「汚したら、悪い」
腰に手を回して、体を引き寄せるとふんわり香水の匂いがした。甘い匂いだ。いつものは違うな。
「凄く燃えるよ、悠来」
「それを待ってました」
悪戯な欲深い笑みを口元に浮かべ、彼は俺の口唇を舐めた。しばらくは見つめ合って、気分を高める。
痺れを切らしたのは俺の方で、たまらずに後ろに押し倒して口付けた。口紅の味がするキス。悠来とはそんなキス、初めてだった。