「何、アキシン。その不服そうな顔は」
「いや、別に」
「お前も着てみる?」
「全力で拒否するよ」
「つまんねーの。今後仕事で着るかも知れないじゃん?練習だと思って着てみろよ」
そりゃあ俺だってプロの役者な訳で。必要があればメイド服だろうがセーラー服であろうがチャイナ服だろうが着る覚悟はあるさ。
むしろどんどんやってやりたいくらいだよ。ただプライベートな空間では、な。誰かのサプライズパーティーとかでの仮装ならまだしも。何でせっかくの休みに。
「俺は良い。悠来見てるだけで充分楽しいから」
そう言って微笑んでやると、簡単に気を良くしたらしい彼は、俺の座るソファの横に腰掛けた。するとそっと俺の膝に手を置いてくる。
「おい、」
上目使いに俺を見る。艶めいた口が近付いてくる。
「さっき鏡で自分の姿見た時、これは結構ぐっと来るなって思ったんだけど…なあ、お前は」