【二次創作も】ドラマ版・絶対彼氏を語るスレ【可】

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1短冊 ◆kIYUU7wpZo
「絶対彼氏〜完全無欠の恋人ロボット〜」について
まったり語るスレです。
創作・続編案もおk! と言うよりそのために立てました。


ただし荒らしは【絶対スルー】 で!


【前スレ】
【原作VSドラマ】絶対彼氏【比較相違の利点と欠点】
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/tvd/1213022153/
2短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/09/10(水) 23:15:38
【関連スレ】
本スレ
―絶対彼氏〜完全無欠の恋人ロボット〜24体目
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/tvd/1219810929/

【絶対】もこロボにありがとうを言うスレ【彼氏】
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/tvd/1214376287/
絶対彼氏 ―もこロボ―
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/wmotenai/1211890872/
こんな絶対彼氏はイヤだ!
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/tvsaloon/1208516896/
ラストフレンズVS絶対彼氏
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/tvd/1214383093/
3名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/09/11(木) 00:23:34
おお、立ちましたね。
>>1
乙です。
4名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/09/11(木) 01:17:26
短冊さん引っ越しおめでとう!
ルパンだけに限らず他のも楽しみにしてますね(^^)
出来ればでいいんですけど・・・ナイト超鬱エンドは
なるべくでいいので避けてほしいな〜って思います。
5名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/09/11(木) 06:20:53
新スレおめです
さて、まず最初にやることは――
いままでの執筆分を全転載するか
それともダイジェストにするか、決めることですね
2ちゃんのことはあんまり詳しくないけど
全転載すると、量的に規制とかかかっちゃうのかな
なにはともあれ早く続きが投下できるようになってほしいです
6短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/09/11(木) 20:34:57
>>4>>5さん、ありがとうございます。
新規の方もいるかもしれませんので、ひとまず全掲載やってみます。
ちょっと修正入れて。
連投規制で止まることがあると思いますが、その時はどんどん割り込んでください。
7ルパン三世/THE FLAWLESS ROBOT LOVER:2008/09/11(木) 20:39:38
あらすじ
ナイトと梨衣子の出会いから1年後。
クロノスヘブン社に保管されていたナイトが盗まれた!
犯人の名は、あの世界的大泥棒「ルパン三世」?!
創志の協力を得て、梨衣子はフランスから一時帰国し、
並切も行動に出る。

その頃、峰不二子の手に渡ったナイトは……。
〜クロノスヘブン社・保管室〜

ガサガサ、ガサガサ……

田 中「並切さん、梱包材これくらいでいいですかね。」
並 切「ああ。 ……少し窮屈だろうが辛抱してくれよ、01。」
    (あれから1年か……。)
眠っているようなナイトの顔をしばし見つめ、ケースを閉じる並切。

白 鷺「まったく、なんで美術品でもない01がルパンに狙われるんだ。
    無関係の人間にとっては、ただの壊れたロボットなのに。」
並 切「我々……や、彼女にとっては、かけがえのない宝ですけどね。
    とにかく我々は、できる限りのことをするまでです。」
森 川「部長、警察の方が到着しました。」

銭 形「ICPOの銭形です。私が来たからには、ルパンどもには
    『永遠の愛』に指一本触れさせません!」ビシッ!

銭 形「ところで、この中に入ってるのですかな? その『永遠の愛』とやらは。」
並 切「開けないでください。これの中身はわが社の最重要機密なので。」
銭 形「ちょっと中を拝見させていただけませんでしょうか?」
並 切「それはできません。」
銭 形「しかし万が一ルパンが中身だけを持って逃走したとしたら、
    どんなものか分からないと、我々としては……」

ずいっ!

並 切「 最 ・ 重 ・ 要 ・ 機密です。
    それにあなた、さっき指一本触れさせないって言ったでしょう?
    とにかくこのケースにルパン一味を近付けないようにしてください。
    そのようにお願いします。」
銭 形「は……はい、わっかりましたあ!」
〜深夜〜
保管室に銭形&並切と警備の警官数名が詰めている。

バタバタバタバタ…… ウィィ…ン
警備員L「失礼します!」
銭 形「何事だぁ!」
警備員L「銭形警部に、ケースを地階のトラックに移動させるよう言われて来ました。
    あっれ〜? ここにも警部が。」
銭 形「バカモーン! それがルパンだ追え〜〜〜!」

銭形、いつものパターンで警備員数名連れて飛び出す。警備員Lは残る。
銭形が乗ったエレベーターの扉が閉まる頃、警備員Lが催眠ガスを噴射、
残っていた並切&他の警備員昏倒。

警備員L→ルパン「さあって、取りいだしましたる8つのモーター付きタイヤ。
    これを取り付けまして、っと。」

カチャカチャゴソゴソ……、カチッ、カチッ

ルパン「ちょおっとドライブしましょうか、『永遠の愛』号ちゃん。」

並 切「うう……ゼ、01……。」
ルパン「あら〜、お早いお目覚めで。
    でもこれ1人乗りなのよね〜、残念でした〜っと。」

ヴィィィィィーン!
ルパン「あーばよっと!」
並 切「くっ……、そうは行くか!」

チャラッ、チャラッ♪チャラッ、チャラッ♪
チャラッ、チャラッ♪
ルパンザサ〜〜〜ド♪
(※ルパンのOPが流れているとお思いください)

並切、銭形に無線連絡しつつ、PCでセキュリティシステム操作してルパンの逃走妨害。
ルパンも携帯電話型パソコンで応戦するも押される。
連絡を受けた銭形は、警官引き連れ上階へ。
並切もPC操作を止め、ルパンを追う。

ルパンはエレベーターを動かすのをあきらめ、ケースに付けた車輪を足に変形させ階段登攀。
並切に銭形追いつき、2人でルパンを追う。

銭 形「待てぇ〜い! ルパ〜〜〜ン!」
並 切「そいつを持って行くなぁー! ケースはともかく中身を返せーーー!!』
ルパン「無茶言うねー。逆はともかくシュークリームの皮だけ食って、
    クリームまるごと残すヤツがいるかっての〜。」

クロノス社屋上に追い詰めたと思われたルパン、パラシュートつけて飛び降り、
警察の警備区域外を走っていた、次元が運転するトラックに着地・逃走。

ルパン「あばよ〜、とっつぁ〜〜ん。」
銭 形「くそうルパンめ!」
並 切「01ー!」
銭 形「並切さん、危険です!」
並 切「01! ゼロワーーーーーン!!」

ケースには発信機が付けてあったが、トラックが電波遮断する仕様になってて
モニターから反応が消える。

並 切(すみません、井沢さん……。)

(OP終了)
〜ルパンのアジト〜

ルパン「さ〜って。『永遠の愛』ちゃんとご対面のために、
    こーの箱を開っけなっきゃな〜。」

ガチャ……

ルパン「あ〜りゃカギがないんでやんの、無用心なこって。
    ……へ?」

次 元「お、男ぉ?! ルパン、てめーよりによって野郎を誘拐してきたのかよ。」
ルパン「んっなワケねーだろーが!
    クロノスヘブンが人体実験してるか、トロイの木馬のどっちかだ!」

次 元「トロイの木馬にしちゃお粗末だな。兵士が寝コケてちゃあ意味が……、
    おい……こいつ息してねーぞ。」
ルパン「おいおい、窒息かあ? メンドーだな。  ……ん?」 ジーーー

さわさわ、つんつん

次 元「おい、何やってんだよルパン。」
ルパン「次元、こいつは死体じゃねえ。作りモンだ。」
〜アジト・コンピュータルーム〜
モニター画面に、スキャナで撮ったナイトの透視映像が映る。

次 元「ロボット……ってヤツか。」
ルパン「恋人型ロボットだとさ、女性用の。このマニュアルが正しけりゃの話だが。」
次 元「はっ、女用○ッチワイフかよ。
    そんなモンが『永遠の愛』だってぇ? 世も末だな。」

ルパン「こんなモンが欲しかったってぇのかよぉ〜、
    オレじゃ不足なのかよ不二子ちゅわ〜ん。」オーイオイオイ
次 元「何ィ!? 今回の仕事は不二子の依頼だったってのかぁ!?
    付き合って損した! オレは飲んで寝る!」くるっ

ガシッ!ずべっ!

ルパン「待ってくれよジゲ〜ン、1人じゃサビシーんだよぉ〜。」オーイオイ
次 元「だああ! 抱きついてくんな鼻水つけんな!
    分かったよ! 付き合ってやるから離れろ!」
〜元の部屋〜

ルパン「じゃあ不二子が来る前にコイツを調べてみっかぁ。」
次 元「へいへい。」

ルパン「ん〜と起動方法は……、っとぉ。
    『まずは キ ス をして起動させましょう。』」

次 元「キスだぁ?!」
ルパン「あ、ジャンケンほい!」
次 元「え? あ?!」
ルパン「はい次元の負け〜。起動役は次元にけって〜い。」
次 元「バカヤロォ! ロボットだからって野郎にキスなんかできるか!」
ルパン「遠慮しないでホラホラ。」ぐいぐい
次 元「わわっ、やめろルパン。本当にそんなこと書いてあんのかよ!」ずりずり
ルパン「本当だーって。ホラここにあるだろー?」

次 元「『まずはキスをして起動させましょう。』
    ……『 男 性 で は 反 応 し ま せ ん 。』 ルパンてめぇ!」
ルパン「わー銃はやめろ銃は!」どたばたどたばた……

ガッ! ずでぇぇん!

ルパン「うわっぷっ! 危うくオレがキスしちまうトコだったぜぇ。」
次 元「自業自得だ。」フンッ
ルパン「そりゃないぜ次元……んん?」ゴソゴソ
ルパン「CD-ROM?」

次 元「……『この箱の中を見た者へ、はじめにこれを見るべし。』だと。」
〜再びコンピュータルーム〜
CD-ROMの内容は、並切が後世の人へ残したメッセージ。
恋人型ロボットの開発理由から始まり、試作1号機01=ナイトが
自我に目覚めた経緯、機能停止に至るまで。
そして、停止した彼の機体を保管したことを告げる。

はじめルパンは、何で恋人ロボならカワイ子ちゃんにしないんだ、
ホモかこのオッサン、などと文句を言っていたが、
全てのいきさつを知って『永遠の愛』と呼ばれたことに納得した。

並 切『……私の未練で、自我に耐えられる強化型ICチップを作製し、
    01に埋め込んだが、この状態で起動させても
    ただの家電製品にしかならないだろう。
    たとえ自我に目覚めたとしても、人間のクローンと同様、
    かつての01とは別の存在だ。
    後世の人よ、もし「天城ナイト」を完全に蘇らせる技術が
    開発されたとしても、
    その時井沢梨衣子という女性が生存していなければ、

(画面にリイコの生年月日等のデータが表示される)

    このままこいつを眠らせてやってくれ。
    彼女への愛とともに……、永遠に。』
ルパン「恋人「型」ロボット。つまり恋人モドキでしかなかった人形は、
    人を愛する心を得、相手と相思相愛になることで、本当の、
    つまり完全無欠の恋人…ロボットになった、ってか?
    まさにおとぎ話。フェアリーテイルならぬサイバーテイル、だな。」

次 元「しかし現代のブリキの木こりは、人を愛する心の代償に、
    己の寿命を支払わなければならなかった……か。」

ルパン「自ら糸を断ち切った操り人形は、長く歩くことはできなかった。
    要するに今のコレはたーだの抜け殻。
    あのオッサンにとっちゃあ、息子(ガキ)の遺体、かよ。
    どーりでしつこかったワケだ。」

次 元「どーすんだルパン? 不二子にやっちまうのか?」
ルパン「できっかよ、後味が悪すぎらぁ。」

ブロロロロ……

次 元「ん? 車の音?」

不二子「ルパ〜ン、ありがと〜〜。『永遠の愛』、もらってくわね〜〜〜。」

ルパン「あーーーーー!! 不二子!」
〜フランス〜
ルパンによるクロノス社の盗難事件が新聞に載る。
新聞の1面に、クロノス社のロゴ入りケースを運び出すルパンの写真。
それを見たリイコの脳裏に、ナイトが届いた時のことがフラッシュバックする。

( 並 切 『中身は、永遠の愛です。』 )

リイコ「……ナイト?!」
ソウシ「どうした井沢?」
リイコ「これ、ナイトがうちに送られてきた時入ってたケースと同じ……。」
ソウシ「天城が?!」
リイコ「どうしよう、あたし、日本に帰らなきゃ……!」
ソウシ「落ち着け井沢! とりあえずあの並切って人に
    連絡を取って確認しろ。帰国するかどうかはそれからだ。」
〜日本〜

銭 形「いい加減にしてください並切さん!」バンッ
並 切「何度も言っているでしょう。
    高さ186p、重量約70kgの精密機械。
    折りたたみ可能で、ケースには折りたたんだ状態で収納。
    それが『永遠の愛』についてわが社が提供できる、最大限の情報です。」
銭 形「どのような見た目をしてるか分からなければ、捜索のしようが
    ないと言ってるんです! せめて写真ぐらい提供していただきたい!
    それも無しで取り戻してくれとおっしゃられても、我々警察としては」

♪・♪♪ ♪♪♪♪〜♪・♪〜

並 切「私の携帯です。失礼。」

   [発信者:井沢梨衣子]

並 切「……!!!」

銭 形(む……?)

並 切「緊急の、プライベートな電話です。失礼。」ツカツカツカツカ……
銭 形「……。」
〜フランス〜
リイコ「……………………、そうですか……。
    ありがとうございました並切さん。
    お忙しいところを、申し訳ありませんでした。」
プツッ

ソウシ「どうだって?」
リイコ「うん……、あたしには隠しておくわけにいかないって、教えてくれた。
    やっぱり、ナイトだって。
    並切さん、ナイトの体を保管してくれてたんだって。だけど、盗まれて。」
ソウシ「そうか……。」
リイコ「並切さんたち、警察の人たちにはナイトのこと隠してる。
    そのせいで事情聴取とか大変みたい。」
ソウシ(確かに。恋人ロボットって物自体とんでもないが、
    自分の意思があったことまで知られたら、大騒ぎになるからな。)
リイコ「そんなことになってるのに、あたしが日本に行っても
    どうなるわけでもない……ですよね。
    取り乱してしまって、すみませんでした。」
ソウシ「分かった、オレがどうにかしてやる。」
リイコ「え?」
ソウシ「行ってやれよ。
    ルシアン先生や、兄貴にもかけあって、
    お前の一時帰国の許可を取ってやる。まかせろ。」


〜???・クルーザー甲板上〜

ナイト「不二子、愛してるよ。」
不二子「便利ね〜。容姿はモデル並みのいい男だし、
    料理は一流レストランのシェフと引けを取らないし、
    マッサージ機能まで付いてるなんて。
    ほんっと、最高の彼氏ロボットだわ〜♪」
<幕間・@>〜日本〜

女  「……だから、あなたとはもう終わったはずよ。」
男  「そんなこと言うなよ。」
女  「私は自分の都合だけで付き合う相手を変える、ひどい女だった。
    こんなことはもうやめようと誓った。
    これからは、付き合うなら互いに支え合うことができる人を、と思ってるの。
    そしてそれはたぶん、あなたじゃないわ。」

男  「……そうか。
    それなら、今のお前の会社にバラしてやるよ。
    お前が男を取っ換えひっ換えして、喰いモノにしてたってな!
    証拠の写真もあるんだぜ!」

女  「構わないわ。」
男  「なんだと……?」
女  「昔のツケを払う時が、いつかきっと来ると覚悟はしてた。
    でも心の隅では、その時が来るのを恐れてた。
    これでスッキリできるわ。やってちょうだい。」
男  「くそっ、どうあってもオレとヨリを戻さないってのかよ! 美加!」ガシッ!
美 加「きゃあっ!」

(街中なのに、どこからか尺八の音が響く。)

???「……やめておけ、男の嫉妬ほど見苦しいものはない。」
男   「お前には関係ない話だ、引っ込んでろ!」
???「醜い……。あの男は手を出す分には節操はないが、引き際は相手に
    後顧の憂いを持たせない鮮やかさがあるというのに。」フゥ
男   「なにブツブツ言ってやがる! この時代劇ヤロウ!」

???「けぇあっ!」シュピン!シュピピン!
男   「なに……?」
???「また……、つまらぬものを斬ってしまった。」チン

バラッ バラバラッ!

男   「ひっ! オレの服がっ! ひええーーっ!」バタバタバタ……

美 加「ええと……、(一応お礼を言っといた方がいい、のよね)
    どうもありがとうございました。」オロオロ
???「礼には及ば……」グラ…

ドオッ!

美 加「え? ちょっと!?
    やだすごい熱。ねえあなたしっかりしてよ! ねえってば!」
五ェ門(己の体調管理を誤るとは……不覚。)



〜クロノス社〜

田 中「あの銭形って人、ここのところ来ませんね。」
並 切「そうだな。」
    (井沢さんに目を付けられたかな……まずいな。)

並 切「……。
    田中、ちょっと手伝ってほしいことがあるんだが、耳かせ。」
田 中「危ないことだったらイヤですよ。」
並 切「…………、……、………………。」ヒソヒソ
田 中「え? えええええっ!」
〜???・クルーザー甲板上〜

ビーッビーッビーッ!

???『ミス・不二子、クルーザーが管理海域を出ます。
    進路を変えてください。』
不二子「あーら、いつの間にか流されてたわ。
    ゴメンなさい、もう戻りますわね♪
    ナイト、船を港に戻してちょうだい。」
ナイト「ウン、分かった。」


ザザザザザザ……
不二子「操縦する技術はあるのに、戸籍がないから
    免許が取れない、ってのは矛盾してるわよねー。」

ナイト「不二子、部屋に帰ったらエッチしようよ。」ニカッ
不二子「あたしの気が向いたらね。」
ナイト「分かった。」

不二子(何とかならないかしら、このいかにも
    作ってますって笑顔。いい男なのに台無しだわ。)うんざり
〜???・港〜
ナイトを先に帰し、待っていた男たちのトップと思われる人物と会話する不二子。

???「どうですか? NIGHTLY-01は。」
不二子「使用人としては優秀かしらね。恋人としては全然だけど。」

???「学習を重ねさせれば、立派な理想の恋人になりますよ。
    彼に再び心が芽生えるかどうかは、あなた次第ですミス・不二子。
    あなたほど男心を惹きつける術を知った女性なら、きっと
    そう時間がかからずに、彼に心を芽生えさせる鍵となったものを
    見つけ出せます。」

不二子「そのためにこの島に閉じ込められるのは、いささか不便なんですけど。
    いいかげん、街でショッピングや新作ケーキのチェックをしたいわ。
    恋人なら、街中でデートというシチュエーションも、必要じゃありませんこと?
    Dr。」
Dr  「はは、それは致し方ありませんな。
    ショッピングでしたら品物を指定してくだされば、また部下に取り寄せさせますよ。
    なんでしたら、店の商品丸ごと買い占めてもいい。」
不二子「分かったわ。後でメモを届けさせるから、明日中に品物を届けてちょうだい。」
〜???・不二子の部屋〜

ナイト「……?」キュイン(首をかしげる)

不二子「何をしてるの? ナイト。」
ナイト「あ。不二子、おかえり。」

不二子「あらヤダ、どこから見つけて来たのよ。そのマフラー。」
ナイト「捨てる服の山の中にあったんだ。服と靴と、クローバーもあるよ。」

不二子「他のと一緒に捨てちゃいなさい。ブランド物でもない安物じゃないの。」
ナイト「でも、クローバーの裏にオレの名前が書いてある。『ナイトへ』って。
    だったら誰かがオレにくれた物だよね。 誰の字だろう? 不二子の字じゃない。
    それにマフラー。これ、ナイトのN? ゼロワンのZ?」キュイン

不二子「いいから捨てなさい。あなたには似合わないわ。」くるっ スタスタ
ナイト「ウン、分かった。」

スタスタスタ……

ナイト「……。」

くるっ スタスタ


ナイト、ダストボックスの前まで行くが、何も捨てずに引き返し、
服やクローバーをまとめて、クローゼットの隅に隠すように入れておく。
〜福島県・梨衣子の実家〜

芳 春「うちの梨衣子はねぇ、修行のために去年からフランスに行ってるんですよ。
    何だっけ、パ・パパ・パテ……。」
牧 子「パティシエよ、あなた。」
芳 春「そう。去年のコンクールで、その有名なロシアンルーレットって先生に
    娘のケーキが気に入られまして。」
銭 形「は……、はぁ。」

牧 子「ルシアン先生でしょ、あなた。ホントにもう。」
芳 春「そうルシアン! で、そのケーキはうちの人参を使って作ったんです!
    よろしければ、お土産に持ってってください刑事さん。
    いずれ世界を取る人参ですよ!」ドサッ
銭 形「(人参で世界を取るって何じゃい。)それはありがたいのですが、
    こんなにいただくわけには……。」あせあせ

芳 春「遠慮なさらずに。警察の皆さんで食べてください。」ドサ
銭 形「(お、重いっ。)では私は、そろそろおいとまさせていただきます。
    ご協力ありがとうございました……っ!」
芳 春「ではもし娘と、彼氏のナイト君に会ったらよろしく言っといてください。」ドサッ!

人参の箱3箱持たされ、ふらつきながらパトカーに戻る銭形。


牧 子「力持ちの刑事さんねー。ス・テ・キ(はぁと)」
〜ルパンのアジト・コンピュータールーム〜

カタカタ、カタカタッ……
ルパン『私からあなたにプレゼント、
   おっきなおっきな焼きリンゴ……、っと。」

次 元「何やってんだ? ルパン。幼児向けのチャットサイトなんかで。」
ルパン「ところがどっこい、これが実は裏世界の情報サイトなんだなー。
   会話の中に特定の合言葉を入れてくと、ここを経営してる情報屋に繋がる。
   不二子が今回つるんでる組織を知りてーんだ。」

次 元「あのロボットのことでか?
   組織、って、単にあの女が新しいオモチャを欲しがった、ってトコだろ。」
ルパン「いっくら高性能でも、見た目が不二子好みのイケメン野郎でも、
   あいつがプログラムされたことしかしねえ、できねえ機械を相手にするこたぁ、
   絶対にねぇ。」

次 元「しかし、自分の意思を持つ可能性もあるんだろ?」
ルパン「現実主義の不二子が、そーんな夢物語を信じっかぁ?
   実際オレも眉唾物だよ。あのオッサンがそう信じてた、ってことを
   理解したってだけで。
   それにあいつにとっちゃあ、磨き上げた自分の容姿と手練手管で
   男心を揺すぶって落とすのが、何より楽しーのよ。
   最初っからぞっこんになるようプログラムされたロボットなんか、
   つまんねーことこの上ねえ。 あいつだってそれを分かってる。
   必ずどっかに、不二子に依頼した買い手がいるはずなんだ。」

PC画面 『白兎(ホワイトラビット)が来た! 白兎が来た!』

ルパン「よっしゃ繋がったぁ!」
次 元「やれやれ……。」
〜廊下〜

不二子「プログラムで決められたことしかできない、お喋り人形と
    恋愛ごっこなんか、やってられないわよね〜え。」さわさわ

研究員「で、で、でも、Drに知れたら何と言われるか……。」
不二子「ナイトなら、お休み中だから大丈夫よぉ。
    それより、あなたにお願いがあるんだ・け・ど……。」スリスリ
研究員「そ、それは、何ですか……?」

ナイト「不二子!」

不二子「ナイト?!」
ナイト「その人と何をしてるの? オレという彼氏がいるのに。」ツカツカ
研究員「さ、さよならー!」バタバタバタ……

不二子「何よ、生意気にロボットが嫉妬?(もう少しだったのにっ!)」
ナイト「そういう設定でしょ、ちょっとヤキモチ焼きの彼氏。」
不二子「ふうん……例の嫉妬プログラムってワケね。」

不二子(何考えてこんな設定したのかしら、前のユーザー。)ムカムカ
〜フランス〜

ソウシ「……だからあ! 詳しくは言えないけど、
    井沢の大事なヤツに関わる問題なんだよ、兄貴!
    それでだなぁ……。」

リイコ「っくしゅん!」
    (ヤダ、誰かウワサしてるのかしら?)
ガチャ…
ソウシ「ふー……。」

リイコ「どうでした、室長?」
ソウシ「何とか話付けた。行けるぞ、日本。」
リイコ「本当ですか!」
ソウシ「ああ、オレも一緒だ。しっかりボディーガードしろってさ。
    先生の許可ももらってるし、チケットが取れたらすぐ行くぞ。
    今から支度してこい!」
リイコ「はいっ! ありがとうございます!」
パタパタパタ……

ソウシ(天城……。あいつのことになると、井沢の表情が違う。
    井沢の心は1年経った今も、あいつの物なのかよ……。

    ……くそっ! 死んだヤツに嫉妬してどうするオレ!
    こんなんだから、いつまで経ってもあいつに敵わねーんじゃねーか!
    オレは井沢の笑顔を守ると、天国のあいつに約束したんだ!
    いや、あいつに言われなくてもそうした!
    オレだって、井沢が好きなんだから……!)
〜???・不二子の部屋・翌朝〜

不二子「どういうことなのナイト? 捨てなさいと言ったでしょ。」
ナイト「オレはちゃんと捨てたよ。
    片付けの人がクローゼットに置いてったんじゃないの?」キョトン
不二子「夜中に片付けになんか来ないわよ!
    もう! 付きまとう上にウソまでつくなんて、このポンコツロボット!
    頭の中のコンピュータを、Drに修理してもらわなきゃ!」


〜???・Drの研究室〜
クロノス社のものに似たカプセルの中に、ナイトが横たわっている。

Dr  「ふむ……。
    とうとう自分の意思で行動し始めたと思いましたが……。

    実際は、古い部品であるサブICが特定の条件に反応して、
    メインコンピュータの活動を瞬間的に阻害しているだけ。
    異常ゆえに01は、プログラムに反した行動を取った間の記憶がない。

    しかしサブIC自体には、自我に当たると思われる解析不能領域は
    存在せず、新しいメインICにもそれは発生していない。
    焼き切れてしまったとは言え、以前のメインICが手に入らなかったのは
    非常に残念でしたね。
   
    混乱を避けるため封印した、記憶回路のプロテクトは解けてない。
    現在の01はいわゆる、体が覚えている状態……、ですか。 ふむ。」

不二子「で? 直るの? 直らないの?」
Dr  「これから01の頭部に、逐次プログラムと各回路の状態、
    及び視覚映像を送信する、監視装置を埋め込みます。
    なに、以前にも同様の物が埋め込まれていたので、簡単ですよ。」
不二子「ちょっと! 島中に設置されてる監視カメラだけでも落ち着かないのに、
    視覚映像ですって?! 冗談じゃないわ!
    それに修理の件はどうなるのよ!」
Dr  「するわけないじゃないですか、勿体無い。
    この状態が続けば、01に自我が発生するかもしれないというのに。
    それとあのマフラーとクローバー、及び衣類は捨てないでくださいね。
    01の感情を呼び起こすために、特に有効なようですから。」



〜???・不二子の部屋〜
夜、不二子が寝室に入った後、
ナイトはマフラーを取り出し、Nの文字に手を添える。

ナイト「……?」

メモリーを検索するが、何1つ関連事項は出てこない。

ナイト「……?」キュイン


マフラーを元の場所に戻すナイト。
豪華な部屋の片隅の椅子に座り込み、充電モードに入る。

その手には、あの四つ葉のクローバーが握られていた……。
<幕間・A>

〜日本〜<銭形・聞き込み捜査中>

鉄 子「それで内藤くんはねっ、背が高いから……180センチ以上
    あるわね、痩せて見えるけどぉ、脱いだらすごいのっ♪
    どんなことしてたらあんな筋肉つくのかしら?
    あんなこと? こんなこと? キャッ、鉄子恥ずかしっ(はぁと)」
銭 形「分かりましたから! 落ち着いてください大家さんっ!
    それで彼は、今どこに住んでいるか分からないのですね?」

鉄 子「そおなのよぉ。旅に出たらしいんだけどぉ、今も音信不通で。
    梨衣子ちゃんとなら、連絡取ってるかもしれない・け・ど。
    ちょっとジェラシー、鉄子寂しっ。クスン。」
銭 形「わ、分かりましたっ。ご協力ありがとうございましたっ!」


銭 形「あー……、やれやれ。
    さっき行ったカフェには、えらい口の悪いバイトがいて、
    その前に行った菓子会社じゃ、若い割にやたらお堅い副社長やら、
    押しの強いお局OLがいたが、ここの大家が一番強烈だわい。

    ……天城ナイト。
    昨年4月中旬から約2ヶ月半の間、井沢梨衣子と同棲していたフリーター。
    その間、彼女が勤めていた会社、ASAMOTOに清掃バイトとして勤務。
    しかし同6月末から消息不明。旅に出たということで捜索願は出ていない。
    アパートの大家には内藤と呼ばれている? と。

    井沢梨衣子に、並切氏らしき人物が電器屋を名乗って接触していた時期と、
    彼女とこの男が同棲していた期間が重なるのは……ただの偶然か?
    しかしどうも引っかかるわい。」
<並切と田中・サービス残業中>

カチャカチャ、カチャカチャ……

田 中「ホントにいいんですかねぇ、こんなことしちゃって。」
並 切「01を取り戻すためだ。お前も断らなかっただろうが。」
田 中「でももし部長にバレたら、ただじゃ済みませんよ。」
並 切「そん時はお前だけでもこの会社に残れるよう、オレがかばってやるよ。」
田 中「いえ、そうじゃなくって……。」


白 鷺「なに? 並切と田中が毎晩、研究室にこもって何かしている?」
警備員N「はい。ここ数日ずっとです。」
白 鷺(あいつめ……、何か考えがあるのか。)フッ
    「次の商品のアイデアが湧いたんだろう、邪魔をしないように
    通常通り警備してくれ。」
警備員N「ニャッ(はっ)! 了解しました!」



<五ェ門と美加・五ェ門闘病中>
美加のマンションにて、五ェ門と退屈しのぎに昔の話をする美加。
その中で、荒んでた頃の自分と、それを変えるきっかけになった
友人とその彼氏の話を、ナイトがロボットであることを伏せて語る。

五ェ門「美加殿が思うほどに、過去は問題ではない。
    重要なのはそれを反省し、教訓を得、何をしていくかだ。」
美 加「ありがと、五ェ門さん。有名な泥棒と同じ名前だけど、いい人なのね。」ニコ
五ェ門(可憐だ……。)ポッ
美 加「あら、まだ熱があるんじゃない? 無理しちゃダメですよ。」
五ェ門「うむ、かたじけない……。」
〜フランス〜
<梨衣子と創志・帰国準備中>

リイコ「ナイト、もうすぐ行くからね。」

肌身離さず持っている、ケースの中の焦げたICチップを見つめるリイコ。
そんなリイコを見て、ソウシは複雑な表情をする。



〜???〜
<不二子・脱出計画中、ナイト・ファッションショー開催中>

不二子(この島から一番近い陸地まで、○○q。
    あのクルーザーでも、燃料満タンなら行けるわね。
    だけど船は管理海域を出ると、管理棟のコンピュータの
    リモコン操作に切り替わって、港に引き返すようになっている。
    脱出前に、管理棟か船の制御装置をどうにかしないと……。)

ナイト「不二子……。オレ、セクシー?」ムキッ!
不二子「はいはい、分かったから早く着替えなさい。」
ナイト「次は何を着るの?」
不二子「ヴァ○ンティノの黒のフォーマルスーツ。」
ナイト「分かった。」スタスタスタ
〜???・不二子の部屋・深夜〜

ナイト「……。」

   [ 充電中 ]

不二子(いつもの場所に行く前に、バッテリー切れ。
    さすがに半日海に潜って、魚を獲り続けたのは効いたようね。」
    脱出までカツオ尽くしになりそうだけど、背に腹は替えられないわ。)



〜???・港〜
停泊しているクルーザーの甲板に、不二子が立っている。

不二子(島には飛行機・ヘリの類はなし、脱出の手段は船だけ。
    船の制御装置の要は2つ。操縦席のコンピュータと、屋根の受発信装置(アンテナ)。
    このどちらかを壊せば、制御装置は動かない。

    ただし両方とも、少しでも異常を感知すると船のエンジンを止めるようになってる。
    おまけに船の監視カメラがしっかり映してる。

    操縦席は容易に近づけるけど、解除コードがないとムリ。
    屋根のアンテナは、壊すのは簡単だけど
    普通近づかない場所だから、どうごまかそうが分解作業なんてバレバレ。

    誰かに操縦させて、逃げながら分解? ナイトに協力させるとしても……
    でもカバーを外す前に、船を止められるのがオチよね。
    やっぱり解除コードを手に入れないと……。)
ナイト「不二子。」

不二子「っ!」
ナイト「どうして1人で部屋を出たの? オレは不二子の彼氏でしょ?」
不二子「何で……?」
ナイト「充電率20%で緊急起動するようにしたんだ、不二子が心配だから。
    それに不二子の行くところなら、どこだって分かるよ。
    オレは不二子の理想の彼氏だから。それよりどうして隠れて1人で」ガシッ

不二子「放して!」
ブチッ!
ナイト「あ。」

バラバラバラ……ポチャ、ポチャポチャ……

不二子「あたしのダイヤのブレスレット!」
ナイト「ごめん……。」

キッ!
不二子「どうせセンサーであたしの足跡を追ったんでしょ!
    Drも、監視カメラやナイトを通して聞いてるんでしょ? 教えてあげる。
    港に来たのは新鮮な空気を吸いたかったからよ! 文句ある?」

ナイト「監視カメラ? オレを通して……?」
不二子「あたしは自由になりたいの!
    あんたなんかのために、こんな島に閉じ込められたくはないのよっ!」タタタタタッ……
ナイト「不二子……。」

周囲をスキャンするナイト。それによって、至る所に設置された
カメラやセンサー、クルーザーの制御装置の存在を知る。
1人、夜道をとぼとぼと歩くナイト。

(不二子「あんたなんかのために、こんな島に閉じ込められたくはないのよっ!」)

ナイト「不二子には……オレより大事なものが……?」



〜???・Drの研究室〜

ピーッピーッピーッ

Dr   「おや、01のプログラムの一部に異常が。」

モニター [  解 析 不 能  ]

Dr   「それにこれは……、回想をしている?
     いや、焦りは禁物。しばらく様子を見ることにいたしましょう。」
〜???・港・翌朝〜

コポコポ……コポコポ……

海中を進む影。この海域にいる魚にしては大きく、船にしては小さいその影は、
浮かばず沈まずの中間浮力を保って海底から1mの高さを維持し、滑らかに移動する。
影は海底に点在するいくつかの煌めきを見つけ、己の身体に秘められた能力を用いて
煌めきたちのスペクトルを分析した。

ピ・ピピピピピ……              
                         [Pt:プラチナ]
     [Pt:プラチナ]
           [C:ダイヤモンド]

探し物を見出した影はそれのある場所へ向かい、砂煙を立てることなく目的の金属と鉱石を拾い集める。
それを繰り返し、やがて必要な全てを集め終えた彼は、それらを持って海上へと向かった。



〜???・不二子の部屋〜

不二子「ふぁ……。 ナイトったら、どこへ行ったのかしら?
    保温ケースに朝食が入ってるということは、一度は帰ってきてる。
    メニューは、パンとデザート以外は、カツオのソテーにカルパッチョサラダ、
    それに野菜と魚の身の入ったスープ。やっぱり魚尽くしなのね。
    こっちの紙袋は、ベーグルサンド。
    『お昼に食べてね』 ……早くてもお昼過ぎまで帰ってこない、ということね。」
コポコポコポ……

 …… …… ……

不二子「……ま、おいしいからいいけど。」
〜???・不二子の部屋・昼過ぎ〜

コンコン
ナイト「不二子、入るよ。」
カチャ…

ナイト「あれ……?」

部屋はもぬけの空。 サンドイッチの紙袋は持ち出されている。
ナイトは知らないが、この時不二子は脱出計画のために、島を回っていた。

彼女の不在を知ったナイトは、手の中のものを見、リビングへと向かう。
そこで手の中のものをテーブルの上に並べ、工具を取り出し、
黙々と作業を始めた。



〜同日昼・クロノス社〜

警備員N「あ、並切さん。」
並 切「お仕事ご苦労さん。ちょっと出てくるわ。」
警備員N「はいっ、お疲れ様です。行ってらっしゃいませ!」
???「ちょっと出てきます……。」
警備員N「はい、行ってらっしゃいませ!」


警備員N「……あニャ?」
〜同日午後・クロノス社〜

警備員N「あ、こないだの警部さん」
銭 形「あー、並切氏は本日出社してますかな?」
警備員N「並切さんでしたら、先程ちょっと出ると言って外出されました。」
銭 形「何ですと!? ……ったく間の悪い。」
    (天城ナイトとかいう経歴不明の謎の青年について、
    何か知ってると思ったのに……。
    しっかしふざけた名前だ、名付けた人間の顔が見てみたいわい。)



〜同時刻・空港〜

リイコ「っくしゅ!」
ソウシ「風邪かぁ? 井沢。」
リイコ「鼻がムズムズしただけですよ。」


リイコ(とうとう日本に来たよ、ナイト……。)



〜???・Drの研究室〜

Dr  「NIGHTLY-01の解析不能領域が……。
    これはもう、まるで人間の感情そのもの。
    これは素晴らしい。ククク……。」
39短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/09/11(木) 21:41:28
前スレ掲載分終了。
32から、新規となります。
〜???・Drの研究室〜

研究員「Dr。 01の回想画像の件で、ミス・不二子の姿と重なる形で
    妙なゴーストが出ていたので分析していたのですが、
    このような形になりました。」
Dr  「ほう……? この形はひょっとして。
    成程……、そういうことでしたか。」ククク…



〜???・不二子の部屋・夕刻〜

不二子「はぁ……、ここの男たちは皆、ナイトを警戒して
    協力者も解除コードも手に入らない。
    いつまでロボットなんかと、恋人ごっこを続けることになるのかしら。」
ガチャ

ナイト「おかえり、不二子。ご飯できてるよ。」
不二子「ああそう。」ふんっ
ナイト「不二子、これ。」チャラ……

不二子「え……? これって……。」
ナイト「不二子のブレスレット。部品を集めて、一生懸命直したんだ。」
不二子「すごい……、完全に元通りじゃない。職人顔負けだわ……。」
    (それに、大半は海に落ちたのに……。)
ナイト「オレのこと……、許してくれるかな?」
不二子「え……、ええ。」
ナイト「良かった。不二子が許してくれて。
   今日は、不二子がオレと仲直りしてくれたお祝いだね。
   ご馳走作ってあるんだ、一緒に食べよ。」ニコ
不二子「調子いいんだから。……ま、仕方ないわね。」フフッ
ナイト「それでね、不二子……。」
ピーーーッ
Dr  『ミス・不二子。NIGHTLY-01の解析をしたいので、
   私の研究室に01を寄越していただけますか? 今すぐに。』

ナイト「あ……。」
不二子「仕方ないわね。行ってらっしゃい、待っててあげるから。」
ナイト「うん。」

ガチャ、タッタッタッタッ……

不二子「まったく、いじらしいコトしてくれちゃって。」クスッ


カチャッ
不二子「 ! 」
    (ドアにロックがかかった?!)
イイイィィーーーン、ジャキッ!

不二子(警備システムの銃が、あたしに向かって?!)
Dr  『ミス・不二子。今日この時をもちまして、あなたの仕事は終了です。』

不二子「! ……それでこんなものを向けるなんて、どういうことなの? Dr。」
Dr  『順を追って話しましょう。
    ここ数日、NIGHTLY-01のコンピュータはプログラムにない異常な活動をしていました。
    それは、あるものに非常に酷似していました。
    人間の、感情です。』

不二子「感情?!」
Dr  『私は、01に感情、及び自我が発生したと確信しました。
    そしてその感情の動きが出る直前、彼に感情をもたらした、以前のユーザー、
    井沢梨衣子さんの姿を回想しているのですよ。
    ゴーストのようなシルエットの形な上、01自身気付いていませんがね。』
Dr  『つまり01は、彼女の姿をあなたに重ねている。
    あなたを井沢梨衣子さんと錯覚しているのです。
    記憶回路を封印し、あなたを恋人として登録し直してもね。何という奇跡でしょう!

    彼に感情が発生する条件と、あなたが相手である必要がないと分かれば、
    この島のことを知るあなたは、百害あって一利無しです、ミス・不二子。
    この銃の照準システムを、人間がかわすのは不可能ですよ。』
ジャキッ!

不二子「くっ……。」
Dr   『さようなら、不二子さん。』カチッ

ガガガガガ…ガシャガシャガシャガシャ!



不二子「え……?」
Dr   『狙いが外れただと!?』

カタカタカタカタ……
ナイト「不二子……。」ギュ…
不二子「ナイト!」

ナイト「あなたは、不二子に何をしようとしているんですか……?」
43短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/09/11(木) 22:25:01
本日分投下完了。
30レス以上投下して、規制かからず。なんか拍子抜けです。

私以外にもネタお持ちの方、長くとも短くとも大歓迎です。
マターリといきましょう。
ではみなさん、コンゴトモヨロシク……。
44短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/09/11(木) 22:28:10
最初の方見直したら1人レス返し忘れてる!

>>3さん、ありがとうございます。皆さんで仲良く盛り上げていきましょう。
45名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/09/11(木) 23:41:27
大量投稿お疲れ様です。
・・て、新しいのが早速投稿されてるー
しかもなんといういいところで終わってるんだー!
なるほどー。不二子に虐められてるのが辛かったですけど、りいこを思い出させるためだったのですね。
で、不二子もしだいにツンからデレに・・?w
前まで早くりいこ来てーて思ってたけど、不二子へのナイトのけなげさに
複雑な思いがしてきたよ・・ 続きが楽しみです!
46名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/09/12(金) 05:21:48
昨日、あ、新スレ立てたんだ、と思っていて、今朝起きたらレス45まで伸びてる
え、もう荒らし?――と思って見てみたら、なあんだ(…は、失礼か)前スレ投下分ね
いい感じにスリリングになってきましたね
優しいナイトが時折見せる「凄味」に期待大です
47名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/09/12(金) 15:39:48
本スレで、未確認ながら続編情報が出ていた。
もし本当なら、また続編談義が盛り上がるだろうから
いいタイミングだったかもね、このスレ。
不二子「ここから逃げるわよナイト! ふっ!」
ガシャアンッ!

不二子「とは言えこの高さ。
    警備システムに撃たれずに、下まで降りれるかしら……。」
ナイト「不二子つかまって。」
不二子「え?」
ナイト「飛び降りる!」
不二子「ちょ、ちょっとお姫様抱っこって、きゃああああーーー!!」

ダ ン!

シュー…
ナイト「このまま港まで走るよ!」ダッ!
不二子「ナイト! 足から煙が。」
ナイト「大丈夫。港まではもつから。」タッタッタッタッ
不二子「じゃあせめて降ろして! 2人で走った方が」
ナイト「オレが運んだ方が早い。まかせて。」タッタッタッ


Dr  「01の視覚画像はどうなっていたのです!」
研究員「それが、部屋を出て数秒後に回想モードになり、
    画像が戻った時には、銃を掴み取る直前でした。」
Dr  「くっ……、何と間の悪い……。」
研究員「警備システムを作動させます!」
Dr  「おやめなさい。万が一01のコンピュータを損傷させてしまったら、
    元も子もありません。
    それよりも、少し時間がかかりますが確実な方法があります。」
不二子をお姫様抱っこしたナイトが、港へ向けて走る。

ナイト「不二子はこの島を出て、自由になるんだね。」タッタッタッタッ
不二子「……ええ。」
ナイト「オレ、不二子の役に立てたかな?」タッタッタッ
不二子「ええ、おかげで助かったわ。そして今もね。」
ナイト「良かった。」ニコ

不二子「あなたも一緒に来るでしょ?」
ナイト「無理だよ。オレの頭の中には監視装置が入ってる。
    不二子が捕まっちゃうよ。」タッタッタッ
不二子「大丈夫よ。優秀な科学者を何人も雇ってる知り合いがいるの。
    その中に1人ぐらい、監視装置を外せるのがいるはずよ。」

ナイト「オレ、不二子と離れなくていいの?」タッタッタッタッ
不二子「……。」

 (Dr  『つまり彼は、』  『あなたを』
      『以前のユーザー、井沢梨衣子さん』 『と錯覚しているのです。』)

不二子(ということは、記憶回路の封印さえ解かなければ……。)

不二子「ええ。あたしのパートナーとして必要なこと、いろいろ教えてあげる。」ニコ
ナイト「オレ、覚えるよ。不二子の役に立ちたいから。」ニコ

不二子「喋ってる間に、もう港に来ちゃった。速いわね。」
ナイト「いつものクルーザーの、燃料を満タンにしてある。それに乗って」

ガクンッ!
ナイト「 !! 」

   [ 行動伝達システム : 一時停止 ]
Dr  「行動伝達系統に直接、緊急停止装置を埋め込んでおいたのは正解でしたね。
    しかし、ここから管理棟のシステムをもっとスムーズに操作できるよう、
    改良する必要がありますね。」


不二子「ちょっと! どうしたのよ急に止まっちゃって!
    降ろしなさいよ! これじゃ動けないじゃないの!」
ナイト「緊急停止装置……。体が、動かない。」
不二子「何よそれ! 最悪じゃないの!」

ナイト「……。」

ギ・ギギギ…


Dr 「それでも動くのですか……面白い。」


不二子「何よ、動けるじゃないあなた。」ストッ
ナイト「……ごめん、これが限界。」
不二子「え?」

ナイト「追っ手の車の音が聞こえる。
    不二子がオレを船まで運んでいたら、船を出す前に追いつかれて、
    不二子が殺されてしまう。
    行って、不二子。あのクルーザーに乗って。
    あの船の停止装置は、壊してあるから。」
<回想>
〜???・港・昼前〜
不二子のブレスレットの部品を集め終え、海から上がるナイト。
一緒に拾ってしまった砂利を選り分けながら、不二子の部屋がある建物へ向かう。
( 不二子 「あたしは自由になりたいの!」 )
しばしば彼の視覚画像に、回想の不二子が紛れ込む。
クルーザーのそばを通る一瞬、ナイトの手が監視カメラに捕らえられぬ速さで動いた。

フュッ、フュン


ガ!ガッ!

監視カメラの死角から、時間差でクルーザーのアンテナにめり込む2つの礫。
それぞれが、アンテナの異常感知センサーと受信装置の配線を、見事に切断していた。
ナイトはこれを確認することなく ――いや、機械である彼には、
そんな必要はなかった―― 不二子の部屋がある建物へ入っていった。

ナイトに埋め込まれた監視装置が送信するのは、
視覚映像とプログラム、そして各主要回路の状態。
解析不能の、ナイトの自我による思考は、Drにも
読み取ることができず、どういう動作を取ったかまでは計測していない。



Dr 「人間を出し抜くほど知能が発達しているとは……。
   なかなかやってくれるじゃないですか、NIGHTLY-01。」
1人、クルーザーを発進させた不二子が最後に振り返った時、
ナイトは不二子を降ろしたときと同じ体勢のまま、
車で乗り付けたDrと、その部下たちに囲まれたところだった。
陸地はすでに遠く、日は沈みかけているのに、不二子には彼が微笑みを
たたえて彼女をじっと見ているのが、はっきりと見えた。

そして、Dr自身の手で耳にリーダーを差し込まれる直前、
ナイトの口がこう言うように動いたのを見た。


ナイト「不二子……、愛してる。」


不二子「〜〜〜〜〜っ!!!」
バルルルルルルル……!

目を背けた不二子は、ただひたすら
島から遠ざかる方向へと、船を走らせ続けた……。



部 下「追っ手を向かわせますか?」
Dr  「この際、泳がせておきましょう。
    ルパンがこちらを探っているという情報が入りました。
    それと01の前のユーザー、井沢梨衣子が一時帰国したそうです。

    ひょっとしたら、彼らが私の欲しい物を持って来てくれるかもしれません。
    それまでの時間、念入りに彼を調べることにしましょうか。クク……。」
53短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/09/12(金) 19:36:27
次回からナイトはしばらくお休みして、散らばってる他のキャラたちを繋ぎます。

優秀な科学者を何人も雇ってる知り合い=ルパンのことです。
ルパンが毎回出すビックリドッキリアイテムは、彼らが開発してるのです。(本当)

もこロボの走行速度は、全力疾走で世界新記録並み(放送直前番宣より)
だそうで。(原作は知りません)
今年のオリンピックで出た、ボルトの100m世界新が9秒6。
100m9秒で計算しても、時速40q。乗用車並なんですね。
力持ちなだけで、戦闘用ロボじゃないからと思っても、
フィクション界のヒーローのようなスピード描写ができないのは残念。

>>45>>46さん、どうもです。いいところで終わらすのは連載の常套手段でございますw
>>47さん、私も先程それ見て落ち着かないですw
リイコソウシの結婚を祝福するためにナイト1日だけ復活、
なんてナイト派ガカーリな話じゃなければ良いんですけど。
このトリップのように杞憂で済む、ナイトがハッピーになるストーリーであることを祈ってます。
54名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/09/13(土) 12:15:31
>>48-51
やっほー
これですよこれ
ロボットならではの超人的能力
献身的行動
それに対し、プログラムと知りつつ、そして、あの不二子でさえ揺れてしまう女心
ドラマで観たかったのはこれなのだ
因みに、おれは男
前スレでロボット描写増量希望した者です
速水はもっとアクションやるべきだと思うんだがなー
55名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/09/13(土) 22:01:43
ドラマではスーパースタイルのナイトにエプロンつけさせたり、清掃員やらせたり
違和感が面白かったけど、ロボットならではのアクションシーンはもっと見たかったですね
やっぱり予算の関係かなw
ハラハラドキドキの展開、面白いっス
いつのまにか不二子に感情移入してて、改めてナイトに惚れましたw
これからりいこが現れて、ナイトの感情の変化がどうなるのか気になります
不二子、りいこ、ナイトの三角関係も。(あ、ルパンがいるから四角か。創志もいるから
五角か)
<都内・某ホテル>

♪〜♪♪〜♪〜♪♪〜

不二子「ん……。」パチ

不二子「……?」キョロキョロ
不二子「そっか……あれから港に着いて、適当なホテルに飛び込んで、
    ……お財布を肌身離さず持ち歩くクセがあって助かったわ。
    それでシャワーを浴びたところで、力尽きてベッドに直行したんだっけ。」

ルームサービスで注文した朝食を食べる不二子。

不二子「この程度のホテルじゃ、ルームサービスもこんなものよね。
    ロボットが作った料理の方がずっとマシだわ。」

( ナイト 「ご馳走作ってあるんだ、一緒に食べよ。」 )

ぶんぶんっ!
不二子「どうかしてるわ、あたし。たかが機械じゃないの。」

( ナイト 「不二子……、愛してる。」 )

不二子「…………っ!」


追手を警戒し、不二子は早々とホテルをチェックアウトする。
ロビーに下りた彼女の目に、華やかなスイーツの写真が散りばめられたポスターが映る。

不二子「『東京スイーツ展』。今日開催、か。
    ……甘い物を食べれば、少しは気も紛れるかしらね。」
<東京スイーツ展・会場>
ガヤガヤ…ザワザワ
売り子A「ケーキの試食、いかがですかー?」
売り子B「来月発売予定の、新作スイーツでーす。」

不二子「…………。」
    (視線を感じる……。でも隙だらけでプロの気配じゃない。
    会場の客や売り子は全員、素人の一般人。
    会場にトラップらしき仕掛けや、そんなスペースはなかった。
    Drの追手だとしても、人ごみを利用して十分撒けるわね。)

売り子C「試食いかがですか? ASAMOTOの新作シュークリームでーす。」
客   「あらおいしそーねー、ちょうだいちょうだい!」ドン
不二子(何よこのオバサン、急に割り込んで! スーパーの特売じゃないのよ!)
売り子C「お、お客様もいかがですかぁ?」
不二子(あのばくばく食べてるオバサンが何ともないということは、
    薬が仕込まれてる、なんてことはないわね。)
    「ええ……、いただくわ。」

ぱく。
不二子「ふうん……昔ながらのシュークリーム、って感じね。
    味は無難だけれど、見た目は地味だし決め手になるものが……。
    あら、鼻に抜ける時のこの柑橘系の匂いは、オレンジリキュール?」
売り子C「あ、気付かれました?」
不二子「なかなか面白い工夫ね。」
客   「このシュークリーム、すっごいおいしーわ! もっとちょうだい!」ドンッ!
不二子「きゃ!」
バターン!

客   「あっらあ、ごめんなっさーい。」
不二子(何すんのよ! ……って、え……?)クラ…
売り子C「お客様? どうされたんですか?」
客   「大変! そこの警備の人、ちょっと来て! 人が倒れたのー!」
警備員「私が医務室に運びます。」

不二子を軽々お姫様抱っこして、抱え上げる警備員。
不二子を突き飛ばした客と、売り子Cが付き添って、会場奥へと引っ込んでゆく。
一時騒然とした会場は再び落ち着きを取り戻し、例年通りの賑わいに戻った。



警備員「峰不二子の確保、成功ですね。あとは並切さんの車へ。」スタスタスタ
客   「あの電器屋が、こんな特技持ってたなんてねー。」パタパタパタ
売り子C「鉄子さん大丈夫ですか?」タッタッタッ
客→鉄子
    「それがあれだけ食べたのに、全っ然眠くならないのよぉ千穂ちゃん。
    電器屋特製、『全く隙の無い人間にしか効かない、無味無臭の睡眠薬』
    本当にこの女にしか効いてないわ。」
売り子C→千穂
    「梨衣子って、変わった人と知り合いになる特技でもあるんですかね。
    あ、別に鉄子さんのことじゃありませんよ。
    トシキさん、協力してくれてありがとうございます。」
警備員→トシキ
    「いえ、人として当然のことです。これが人助けになるのでしたら。」
59短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/09/16(火) 18:59:28
並切サイドの動きから、とうにお気づきの方もいらっしゃるでしょうが、
やらかしちゃいました02復活。
売り子C=千穂はわざと合わせてますw

>>54>>55さん、お褒めいただき恐悦至極です。
ナイトは器物破損警告を破れても、
車を飛ばせば追いつかれる程度の走力やら、結構壊れやすいやら、
まだ厄介な制限があるので、活躍させる方法を考えるのが面倒でw
回想モードによる視覚画像の目隠しは、苦肉の策。

さて、これからしばらく人間サイドを心理描写からめて描くので、
私の解釈が痛いものになってないかが勝負のしどころです。
60名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/09/17(水) 16:07:35
トシキさん復活
千穂は…英玲奈ちゃんね
そのうち石関あたりが敵方についたヤな奴として出てきそうな勢いですね
今度は室長に「あの時(第一話)殴り損ねた分だよ!」といって殴られてしまえ
<回想・数日前>
〜空港〜

リイコ「えーと、まず会社に挨拶して、それから並切さんと待ち合わせですね。」
ソウシ「今日は休みだから、会社の連中に会わなくて済むだろうけど、
    兄貴の話は長いからなー。あの人に会うのは明日になっちまうかもな。」

将 志「話が長くて悪かったな。」

ソウシ「うわ! 兄貴なんでここに!」
将 志「お前の手間を省いてやろうと、わざわざ時間を作ってここまで来たんだ。」
平 田「お久しぶりです、室長補佐殿。誰かが大変なんですって?」
安 達「井沢の大事な人って、ナイト君でしょお?!」ぞろぞろ
出 井「いや、彼と決まったわけじゃないんだし……。」ボソ

ソウシ「な、何で皆に教えたんだよ兄貴!」
将 志「お前が最初に電話してきた時な……企画開発室の会議中だったんだ。
    今年の東京スイーツ展出展の件で。
    そこをお前が、携帯から思いっきり声が漏れるほどでかい声で
    彼女の大事な人物がどうのと喚いたもんだから、この通りというわけだ。」

のぞみ「ナイト君が何か事件に巻き込まれたんだって? 梨衣子。」
千 穂「みんなナイト君がさらわれたんじゃないかって噂して」

鉄 子「内藤君が、 さ わ ら れ た ですってぇえ!?!」
リイコ「て、鉄子さん?! 何でこんなところにいるんですか?」
鉄 子「あたしのいい男レーダーがピーンと来たのよ!
    あらーっ! あの眼鏡のステキな方は誰?誰?」
出 井「いやー照れちゃうなあ。」
鉄 子「あんたじゃないわよ!」
ソウシ「オレの兄貴です。ちなみにASAMOTOの副社長してます。」
鉄 子「まーそうなの?! 兄弟そろっていい男ー(はぁと)」
将 志「何なんですかあなたは。」イラッ

並 切「こんにちは井沢さん。なんだかお取り込み中のようですな。」

リイコ「並切さん!」
鉄 子「あ、電器屋だ。
    そうそう、なんかこないだ警察の人が、あんたのこと聞いてったわよー。」
並 切「(やっぱりか。)人違いでしょう。」きっぱり
    「ところで先程、御社が東京スイーツ展に出展をするという
    話が聞こえてきたのですが。
    できればご協力願えませんか? 天城ナイト奪還作戦のために。」


〜数時間後・ASAMOTO社長室〜

和 志「それでよくお前が許可したな。」
将 志「断ったら企画開発室全員のモチベーションに関わる状態でしたから。
    代わりに後日何らかの苦情が出れば、全員それ相応の処分を
    受けさせることにしました。
    それに、先日また警察が来て、あの元清掃バイトについて聞いてきましたからね。
    まったく根も葉も無い話、というわけではないのでしょう。
    私もそこまで情のない人間ではありません。」
和 志「よほど人望があるんだな、その天城という若者は。」
将 志「私から見れば、ただの変な男という印象でしたけどね。」
和 志「ははは。一方の面から見ただけでは人は分からん、ということだ。」
〜同時刻・リベルテ〜

リイコ「すみませんふじ子さん。いきなり皆で押しかけちゃって。」
ふじ子「いーのよ、梨衣子ちゃんとナイト君のためだもの。
    でも……やっぱり大変なことになっちゃったわね、あなたたち。」

並 切「さて、私の方の助っ人を紹介します。彼とはつい先日知り合ったんですが、
    事情を話したら、協力させてくれと熱心に頼み込んできまして。」

トシキ「お久しぶりです、皆さん。」
ジャカジャカジャカジャカジャカジャン!ジャカジャカジャカジャカジャカジャン!!(BGM:Gravity)

安 達「トシキさんー!?」
のぞみ「わぁ、久しぶりー。」
千 穂「急に辞めちゃって、心配したんですよ?」
鉄 子「今までどこ旅してたの? ねえねえねえ。」
出 井「男の敵、再び……。」ボソ

ぐい
並 切「おや、何ですか? 井沢さん。」
リイコ「ちょっと、どういうことです並切さん。他の人のところに行ったハズでしょ?」ヒソヒソ
並 切「02はあれから返品されて、保管されてたんですよ。(ウソ)
    ちょっとプログラムを改良したので、前よりはいい感じになってますよぉ〜。
    残念ながら、自分の意思や感情は持ってませんが。」ヒソヒソ
トシキ「はい。改良前は、ご迷惑をかけました。」ヒョコ
    「今回の件で、その穴埋めができればいいのですが。」ヒソヒソ
リイコ(……相変わらず、本当に人間みたい。)
    「でも、プログラムで言ってるんでしょ……?」ヒソヒソ
トシキ「はい。ボクは不良品の01じゃありませんから。
    プログラムされてない行動をするなんて欠陥、絶対にありません。」ニコッ
リイコ(どこが前よりいいのよ……。)うんざり
平 田「おーい、何ボソボソ話してんだぁ? 旅の話を聞かせろよ。」
トシキ「すみません、井沢さんが元気なさそうだったので。」スタスタ

Pirrrr!
並 切「失礼。
    あー田中か。なに、昼間オレと入れ違いであの刑事が来た?
    そっか、オレしばらく帰らんから。部長には有給を取ると言っといてくれ。」

ソウシ「おい。」
リイコ「は、はい?」
ソウシ「まさか、あいつもロボットなのか?」ヒソヒソ
リイコ「あ……(そう言えば話してなかった)、実はそうなんです。
    あの時は、手違いであたしのところに送られてきたそうで……。
    あ、ナイトと違って自分の意思はなくて、全部プログラムで動いてるそうですよ。」ヒソヒソ
ソウシ「急に辞めたと思ったら……。
    オレは一生、人を人間か否か疑いながら生きるかもしれない……。」

並 切「はーい皆さん注目〜。これから作戦の細かい説明をしますよー。」


( ナイト 「プログラムじゃないよ。」
      「知ってるでしょ? 愛してるから。」 )

リイコ(どうして、気付いてあげられなかったんだろう……。)

あの時点では、リイコはナイトの中に感情が育っていることに気付いていなかった。
いや、おかしいと思ってはいた。
しかし最初の異変の時に、並切がプログラムだと言ったのをずっと鵜呑みにして、
そういうものだと自分を納得させて、壁を作っていたのだ。
一度、初期化再起動というプログラムに裏切られたから。自分が二度と傷つかないように。

リイコ(ナイト……。)
65短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/09/18(木) 21:21:54
並切さんの着信音、5話で発見したので修正。
絶彼キャスト一挙にかき集め。&私なりの解釈その@リイコ編。

リイコがロボットに幻滅して壁を作った直後、ナイトに本当の感情が芽生えたというすれ違い。
けどリイコはナイトをただの機械だと割り切ろうとして、(不二子は最初から割り切った)
最後までそれができなかったのではないか。
全ての行動がプログラムと信じることで突き放し、人間と機械とは結ばれないという建前を守っていた。
けれど無意識に人間扱いしてた部分があったから、おバカな行動には苛立った。(対等に見てた、とも言えますか)
だからこそナイトにプログラムではない、自分の意識・愛情が芽生えていたことを知って壁が崩れ、
すんなり恋人同士になれたのではと。

>>60さん、実は12・13(レス番号で言うと>>19-20)で、
美加とヨリ戻そうと迫って、ゴエに服切り刻まれた男。はじめは石関と書いていたのです。
名前のあるキャラ全員出演を目論んでいたので。(喪とかの夏美さんと3話の三浦さんで断念)
しかし、いくら最低男だからって強制ストリーキングはいくらなんでもwとぼかしてしまいました。
貴方のレス見て、やはり石関氏にしとけばよかったかと反省w
<時間は戻って、不二子捕獲後>

〜リベルテ・本日貸切〜
椅子に縛り付けた不二子を囲む、並切&企画開発室メンバー。

並 切「というわけでルパン一味のうち、金遣いが荒いため
    最も足取りが辿りやすい峰不二子に目を付け、私が独自に調べた結果、
    スイーツ関連のイベントにかなりの高確率で彼女が現れることを知り、
    東京スイーツ展に狙いをつけたのです。
    ちなみに井沢さんは前日にシュークリーム500個を徹夜で作り、ダウン中。
    あ、もちろん皆で手伝いましたよ?
    ただ、どうしても井沢さんじゃないと、って部分もありますからね〜。」
不二子「誰に言ってんのよあなた。」

不二子「で……、素人さんがあたしを捕まえて、何をしたいの?」
並 切「単刀直入に言います。ルパン三世を呼んでください。」

安 達「あなたがナイト君をさらったんでしょ! ナイト君イケメンだし!」
鉄 子「あなたが内藤くんにさわったんでしょ! あたしだって手以外服越しにしかさわってないのに!」
一 同「「「「…………。」」」」

のぞみ「と、とにかく私たちは、ルパンに誘拐されたナイト君を取り戻したいんです!」
千 穂「ナイト君を返しなさーい! このドロボー猫ー! 略奪女ー! 巨乳ー! 美人ー!」
出 井「ほめるのかけなすのか、どっちなんですか。」

不二子(ナイト……!?)
不二子の脳裏に、ナイトを起動させた時のことが思い浮かぶ。
ケースの中に入っていたロボットは、クローバーの押し葉を握っていた。
クローバーのケースの裏には、「ナイトへ」と書かれていた。
それがこのロボットの名前と直感した不二子は、同じ名前を
以前の記憶を封印されて再起動したロボットにつけたのだ。

不二子(関係者、ってわけね。でもまだナイトがルパンのところにいると思っている。)
    「あたしがはいそうですか、と要求をのむと思ってるの?
    見たトコ、誰1人それに見合う依頼料も払えなさそうなんだけど。」

並 切「そう言うと思ってました。私も素人なりに実力行使を考えてあります。
    おーいトシキ君、オレの車ン中からロウソクと五寸釘取ってきて。」
孝 太「そんな物どうするんスか?」
トシキ「はい、分かりました。」スタスタ
ぴた。

トシキ「……。」
 [ 充電状況 ] [ 残量低下 ] ピピピピピピピピピ…………!

ふじ子「どしたのー? トシキ君。」

 [ 充電完了 ]
トシキ「あ、すみません。ボーっとしてました。」

不二子「……?」
平 田「おいおい、物騒なことすんなって。それよりオレにいい考えがある。」スタスタスタ
カタッ スタスタスタ
ソウシ「店の黒板?」
平 田「ふっふっふ。これをこうして。」
一 同((((まさか!!!))))

  キュイィイイ〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!!!

不二子「イ〜ヤ〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!」
一 同「「「「やめてください!」」」」
スパパパパン!

平 田「だってこれしか知らねーんだよオレは。
    つか何で皆ハリセンなんか持ってんだよ。」
出 井「持ってきた余興セットに入ってたんですよ。何かに使えるかと思って。
    それとボクは叩いてませんからね室長。」
並 切「あ、この手品用の羽根でできた花、使えるかもしれませんねぇ。」


不二子「キャ〜〜〜ッハッハッハッ!!
    やめてやめて、キャハハハハッ!」
安 達「やめて欲しかったらさっさと協力おしっ!」コチョコチョコチョ
のぞみ「早くうんと言った方が身のためですよー。」コチョコチョコチョ
千 穂「協力しなさーい。」コチョコチョコチョ

並 切「くすぐりって、耐性を付けられないそうなんですよねー。」
ソウシ「だったら何で、はじめからそっちにしなかったんだよ……。」
〜ルパンのアジト〜

ルパン「おりょ? 不二子からメールだ。」

    『ルパ〜ン、またドジ踏んじゃったの。たぁすけて〜(はぁと)』

次 元「カフェバー「リベルテ」? 場所は……っと。
    あの女がドジ踏んだ、っつーからには
    Drとかいう科学者の機嫌を損ねたんだろうが、
    逃げ込んだにしても人質にされたにしても、地理的におかしいぞ。」
ルパン「いんや。こりゃあおそらくもう1つのグループだ。
    あのロボットを、どうしても取り戻したい連中のな。」


〜リベルテ〜

並 切「皆さんご協力ありがとうございました。
    峰不二子は倉庫に移しましたし、あとは我々で十分です。」
のぞみ「梨衣子大丈夫? ちゃんと眠れた?」
リイコ「うん、ありがと。あたしは大丈夫だから。」
平 田「並切氏がもういいと言ったらそれ以上関わるな、というのが
    副社長の出した条件だろー?
    素人が大勢いても邪魔になるだけだ。
    あとは御曹司たちに任せて、ほーら帰った帰った。」いそいそ
鉄 子「トシキく〜ん、内藤君を取り戻してねー。」フリフリ


ふじ子「……何か飲む? 峰さん。」
不二子「……ええ、いただくわ若林さん。さっき笑い過ぎたし。」
孝 太「なんか2人ともメッチャぎこちないっスね。」
ふじ子「孝太、あんたも帰っていいわよ。」ジロ
孝 太「そ、そうさせてもらうっス。」
70短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/09/19(金) 21:51:51
前スレ投下分の再掲載、修正したと書いたのにもかかわらず、
修正漏れと、「」が『』になるミスがちらほらでちょっとorz

ナイトをロボットと知るメンバー以外退散。次回、やっとルパンと合流です。
鉄子さんの触った触らない発言。10話のキスは明太子だと気付いてたってことで。
ちなみにロウソクと五寸釘は、あの幕末の新撰組が行った拷問です。
71名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/09/20(土) 08:59:11
【10年後の絶対彼氏/1】
クロノスヘブン社の恋人ロボットプロジェクトは、AI容量を大幅に縮小した
低価格型の開発により、爆発的に普及していた。
NIGHTLY-TYPEは高額な上に、高性能であるがゆえのアンコントラブルな問題
が多く、一部富裕層が趣味的に購入しているに過ぎなかった。

並切(老けメイク)とふじ子(老けメイク)。
ふたりはあの後結婚したのだが、現在は倦怠期。
並切の膝の上には堀北真希似の恋人ロボット、ふじ子の隣には城田優似のロボ
ットが寄り添っている。
「恋人型ロボットなんかで、人の心をもてあそばないでっていったのは誰だっけ?」
「若かったのよ」
「あの時だってたいして若くなかったじゃないか、あはは」
「そうれもそうね、ほほほほ」
「あははははは」
「――だから、そういう無神経なことをいわないロボットを買ったのよ!
ねえユウ、あたしキレイ?若い?」
「ふじ子さんはとてもキレイでお若い。まるで少女のようだ」
「うんもう、うふふ」
並切の携帯が鳴る。クロノスヘブン社からだ。
「はい並切…ああ田中か…こらマキ、仕事の電話だ、邪魔しちゃ駄目だよ…
ああ、すまん、なんでもな――えっなんだって!」
思わず立ち上がる並切。膝の上の堀北真希似のロボット、転がり落ちる。
「いたーい、ガクガクぅ」
「01が行方不明?――自律起動して、自ら社の外へ出ただと!」
72名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/09/20(土) 09:17:04
【10年後の絶対彼氏/2】
浅元ソウシ、リイコ夫妻宅。
「じゃあ、あたし店に行ってくるわね」
リイコの言葉にソウシは答えない。ソファで戸田恵梨香似の恋人ロボットと
いちゃついている。
「いやあん、ソウシったらあ」
「恥ずかしがることないじゃないか、えりえり♪」
リイコは夫の行動に特に失望する様子もない。
(おまえも、いつまでも天城にこだわってないで、新しい恋人ロボット買えば
いいんだよ。うちの親戚の若いのが、クロノスヘブンで開発担当をやっている。
ずいぶん優秀らしいぜ。そいつに頼んでいいのをみつくろってもらえばいい)
夫の決まり文句をなんとなく思い出しつつ、リイコは部屋を出る。
現在リイコはASAMOTOの新作アドバイザーをしながら、小さな店を開いている。
信頼できるスタッフに任せているので、リイコ自身が店に出る必要はないのだが、
ソウシがあの有様な今、家にいるより店にいる方がはるかに快適なのだ。
「リイコ!」
突然、人ごみの中で声がした。が、自分が呼びかけられたものではないらしい。
すぐにその声の主に対する、若い女性の声が聞こえてきたからだ。
「やめてください。あたしはリイコなんて名前じゃないし、あなたなんか知りません!」
「リイコ、おれのこと、忘れちゃったの?」
「!」
言い争う男女を見てリイコは愕然とした。
それは――10年前に機能停止したはずのナイトと、彼の手を懸命に振りほどこうと
している、異様なほどかつての自分に似ている若い女性だった。
73名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/09/20(土) 09:55:16
【10年後の絶対彼氏/3】
「ナイト!」
リイコはナイトの腕をつかむ。その隙に若い女性は駆け出した。
「あっ、リイコ!」
「ちょっと、リイコはあたしよ、井沢リイコ、覚えてないの?」
「リイコはきみみたいなおばさんじゃない」
「なんだと!」
案外しょぼい個人識別システムを使ってやがったんだな、と思ったが、いまさら
クロノスヘブン社に苦情をいってもはじまらない。
「とにかくリイコを追わなくちゃ」
「あ、待ちなさい、ナイト!」
彼女はあれだけ嫌がっていた。必死で逃げたはずだ。簡単に見つかるわけがない
――とリイコは考えていたが、意外にも通りを曲がったすぐのところに彼女はいた。
背の高い、端正な顔立ちの男性(水嶋・二役)にすがりつくようにして――
「室長…こわかった」
「大丈夫だ…××××」
青年はその女性に呼びかけたようだったが、リイコの耳には、それは名前のように
響かなかった。
「――おまえ、NIGHTLY-TYPEだな…」
青年はナイトに対し、断定口調でいった。
(このひと…?)
普及型ならともかく、NIGHTLY-TYPEを一目でロボットと見破るのは至難の業だ。
「おれはクロノスヘブン社開発室長、浅元タケシ――おまえがどういうプログ
ラムで彼女を追い回したか知らんが、確実に"人"違いだ」
人違い、という時に青年の口元が苦笑するように歪んだ。
そしてその理由はすぐにわかった。
「彼女はロボットだ。NIGHTLY-TYPE-F77――そうだな、F77」
F77と呼ばれた女性(紗季ちゃん・二役)――ロボットは何度もうなずいた。
(この子が…わたしにそっくりなこの子が、NIGHTLY-TYPEのロボット…?
そして…そして…どうしてナイトが今ここに…?)
74名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/09/20(土) 09:58:13
>>71-73
ネタ投下が短冊さんひとりでは大変だと思い、テキトーに冒頭部分だけ書いてみました
続きはなにも考えていません
枯れ木も山の賑わい、程度に考えてください
その日の夕刻。カフェバー・リベルテに珍客が到来した。
店の前に停まったフィアット500から降り立ったのは、
その職業に似合わない、目立つ赤いジャケットを着た、ひょろりと背の高い猿顔の男と、
これまた似た体型の、しかし黒を基調としたスーツに目深にかぶった帽子、
顎鬚を蓄えた男の二人組である。

???「邪魔すっぜぇ。
    ここで峰不二子って女と待ち合わせしてるんだが、来てるかい?」

一瞬で店内に緊張の色が走る。
赤ジャケットの男から見えた人物は4人。そのうち知る顔が、2人。
待ち合わせの女は見当たらない。彼女から受けたメールが間違ってないと
したら(店内に緊張が走った時点で事情を知っているのは確かだが)別室か。
この店のオーナーらしき、カウンター内にいる熟れきった感じの女性が、
戸惑いつつ口を開きかけたその時、
若い男と並んでカウンター席に座っていた、まだ少女のような若い女性が、
強張った顔のまま立ち上がった。

リイコ「あなたが……、ルパン三世さんですね。」

ルパン「あんたが、井沢梨衣子ちゃんか……。」

リイコ「ナイトを……、あなたがクロノスヘブン社から盗んだロボットを、返してください。」
次 元「オレたちが盗んだものを取り返そうとするたぁ、
    かわいい顔してなかなか図太いお嬢ちゃんだねぇ。 声が震えてるぜ?」
リイコ「だって……、これしかないんです。
    ナイトのために、あたしができることは。」

ふじ子「ところで、ちょっといいかしら。」
次 元「あん?」
ふじ子「店の前に車停めたでしょ? そこ駐車禁止なのよ。
    最寄の駐車場の地図書いたから、そっちに移動させてくれない?」
次 元「事情はだいたい知ってる。そこのオッサンが何も知らねーヤツらのために、
    マニュアルを用意しといてくれたからな。」
並 切「あれを、見てくれたんですか。」

ルパン「ああ……。 そんで1つ聞きたいんだが梨衣子ちゃん、
    あんた、本気であのロボットを愛してた、ってのかい?
    相手は機械なんだぜ? 本当のところ、自分に都合がいい存在だったから
    恋と勘違いしてただけじゃないのか?」
リイコ「それは…………!
    っ…………そう、ですね。ロボットと恋なんて、普通の人には
    そういう風にしか見えないでしょうね。
    ただ1つ、これだけははっきり言えます。
    愛してた、ではありません。今でもあたしは……、ナイトが、好きなんです。」
ソウシ「井沢……。」
リイコ「ですからお願いします。ナイトを、返してください!」

フッ
ルパン「どうやらマジみてーだな。
    だが、こっちも返して欲しいものがあるんだ。」
並 切「いいでしょう。
    おーいトシキ君、峰不二子さんをこちらに連れてきなさい。」
トシキ「はい、分かりました。」
ガチャ
不二子「……。」むすっ
ルパン「んん?」
次 元「わーっははは! こりゃ傑作だ!」
ルパン「のーーっほほほほほ! い〜い格好だな不二子〜ぉ。
    しっかし力持ちのあんちゃんだね〜、不二子を縛った椅子ごと運んでくるとはよ〜お。」
トシキ「結構鍛えてますから。」ゴトッ
並 切「トシキ君、もう縄ほどいていーぞぉ。」

ルパン「……で? あのロボットどーしたんだよ、不二子。」
並 切「01を裏世界の科学者に引き渡したですってぇえ?!
    何てことをしてくれたんですかあなたは!!!」
不二子「何てことも何も、あたしは泥棒よ。
    見合った報酬で依頼を受ければ、誰とだって取引するわ。」ふんっ
リイコ「ナイトが……、動いてる? 新しいICで?」

並 切「井沢さん……、酷なことを言いますが、メインICの交換は
    人間で言えば脳髄を交換したのと同じなんです。
    同じ体だろうと、記憶をコピーしようと……たとえ感情が芽生えようと、
    それは別人、いえ別のロボットなんです。」
リイコ「でもっ……!」
並 切「仮に今起動してる01が、あなたの天城ナイトだと言うのなら、
    あなたが今手に持っているそのICチップは……、何だと言うのですか?」
リイコ「それは……。」

並 切「私も01を蘇らせたいあまりに、未練がましく新たに作成したICチップを
    01に埋め込みました。
    そしてその段になって、ある思いが重くのしかかってきました。
    これは天城ナイトの偽物を作って、井沢さんに与えることになるのではないか、
    それは最期まで修理……あの状態でははじめから
    メインICの交換しか方法はありませんでした……。
    それを拒んで自分自身としてあなたを愛し抜くために、必死で生き抜いた
    かつての01、天城ナイトに対する冒涜にしかならない、と。」
リイコ「……。」
トシキ「梨衣子さん元気出してください。ボクがついてますから。」
ソウシ「お前は黙ってろ。」

ルパン「やれやれ、こりゃ取り戻した後も厄介な問題が残りそうだな。」
ふじ子「それはそうと……、何か注文する? あんたたち。
    はっきし言って、間が持たないわ。」
78短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/09/22(月) 22:36:52
この日の時間経過について補足。
・午後。不二子がスイーツ展会場に来て捕まる。
※企画開発室のメンバーは、有休またはGW。(スイーツ展の期間が5月7日前後を含む、という以外不明)
 売り子は別の部署から出ていて、開発室メンバーは許可を得て混ざってます。
 なので千穂は、販売スペースを本来の売り子さんに任せてリベルテ直行。
・3時過ぎ。リベルテ到着と前後して不二子が目を覚ます。
・4時過ぎ。不二子、ルパンにメール。ASAMOTO社員・鉄子さん・孝太帰宅。
・6時頃、ルパン到着。不二子は2時間監禁されてた計算。
何が言いたいかっていうと、お人よしの多い絶彼メンバーが、
不二子を食事抜きにするのはちょっと情が無いかな、と思いまして。

リベルテの駐車場。9話で並切さんがバッテリー交換した際、
リベルテから地下駐車場に移動してしてたので、そこが最寄りと推測しました。

>>74さん、作品投下による支援ありがとうございます。
しかし退廃的なちょびっつ世界、という印象ですねw
リイコソウシが結婚&倦怠期な時点で、人間とどっか抜けたロボたちのドタバタコメディーにするにしても、
恋人型ロボットの是非を問うシリアス話にするにしても、
どう転んでも「ホントにこれでよかったのだろーか」とモヤモヤした結末になりそうw(褒め言葉)
他の皆さんも、結末無しでも構いませんので、
(想像の余地あって楽しいので)ネタありましたらどうぞお気軽に(^^)
79名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/09/26(金) 17:05:56
あまりに途中経過なので感想が書きにくいだけなので
続き、書いてもらえないでしょうか?
新しく投下されたのもちゃんと読んでますよー

希望としては元々の設定、イメージなどをあまり壊さないで頂きたいこと
あるいはルパンや未来設定のようにかけ離れてぶっ飛んでくれると
気楽に楽しめます
個人的にはりいこの心理の解釈は人それぞれ違って、私と短冊さんの解釈は
違うなーとは思うけれど、終わってみたら納得いくかもしれないし
とにかく最後まで読まないことにはなんともいえません
未来の方も、「ナイト、おばあちゃんになったらリイコわからないのかよー」と
がっかりしちゃう気持ちもありますが、謎がありすぎて先を知りたいので
できたらお願いします
なにより、ナイト喪失の穴を埋めたいのが一番の読みたい理由です
80短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/09/26(金) 19:52:24
>>79さん、並びに読んでくださってる皆様、
今週変なところで止まってしまってすみませんです。

次回の投下で「梨衣子VS不二子」を予定してるのですが、
百戦錬磨の女詐欺師な不二子に、まだ子供っぽさが残る梨衣子が、
ナイトへの愛とお人よしとも言える純粋さだけを武器に勝ち、
ナイトが無意識下で梨衣子を覚えている、ということを最終的に白状させる
とこまで持っていくのがなかなか難しくて。
今日投下できなかったら、来週に持ち越すと思います。
8179:2008/09/26(金) 21:22:55
感想がないので書きづらいのかなーと思ってたので
せかすようなことを書いてしまいすみません。
確かに、ナイトの気持ちの変化を描くのは一番難しいところでしょうね。
描く予定としてるところ、すごく楽しみな展開です!
気長に待ちますので
マイペースで投下してください。
ふじ子「ルパンさんはタコ抜きのシーフードパスタ。
    次元さんはベーコン豆、それとビール2つね。
    お代はいらないわよ、あたしのおごり。」
次 元「おや、気前のいいこって。」
ふじ子「こっちが先に、失礼な招待の仕方をしちゃったからね。
    こんなんじゃお詫びにもならないだろうけど、あたしにはこれが精一杯。
    追加あったら遠慮なく言ってね。」
ルパン「ふ〜ん……。そんじゃありがたく、いっただきますか。」

不二子「ロボットなんかに本気で惚れてるの? バッカみたい!
    頭の中に入ってるコンピュータをいじれば、
    簡単にあなたのことなんか忘れて、他の女にホイホイついていくのよ!
    現にあのロボット、あたしがキスして起動させたら、
    愛してるよ不二子、って何かと尽くしまくってくれたわ。
    今頃また記憶を消されて、他の女とよろしくやってるんでしょうよ!」
リイコ「……。」
並 切「初期化再起動システム。
    やはり、家電製品に戻ってしまったのか。」クッ
ソウシ「天城……。」
並 切「井沢さん。やっぱり01は、元の01には……。」

リイコ「……それでもいいです。」
並 切「え?」
リイコ「メインICが交換されてても、ナイトの身体なんでしょう?
    あたし、たとえ部品1つでもナイトが悪い人に利用されるのは嫌です。
    ルパンさん、峰さん。ナイトのことを教えてくれて、ありがとうございました。
    あとは私たちでどうにかします。」ペコ

並 切「井沢さん……。」うるうる
ルパン「ちょほいと待ちなは、梨衣子ちゅわん。」モグモグ
次 元「口に入れたまま喋るなっつの。」
ゴックン
ルパン「あんたたちで、ってどうするつもりだよ。」
リイコ「え? それは当然警察に連絡して……。」

ルパン「どう言って? ルパン一味から情報提供を受けました、って言うのか?
    仮に上手い言い訳作って警察を動かしたとしても、
    敵さんはやばいモンの完全隠蔽の準備なんて、とっくにしてあるぜ。」
リイコ「そんな……。」

ルパン「だから警察はあきらめて」
リイコ「わかりました。ならあたしが、自力であの島に行きます。」
ソウシ「な、なんだってー!!」

リイコ「あ、でもあたし、船の操縦できないですね。
    近くまで船に乗せてもらって、あとはボートを漕いでくか、泳ぐしかないかな。」
ソウシ「バカ、井沢! 相手は裏世界の科学者だって話だろ!?
    お前が行ったって、危険な目に合うだけで何にもならねーよ!」

ルパン「ちなみに連中の表の顔は、コンピュータ関連企業のエンジニア。
    裏の顔はそれを使った兵器・サイバーテロ用プログラムの開発者。
    あの島はコンピュータによる生活システム管理の実験施設、兼、研究所な。
    人間は少ねーが、島中監視装置と警備ロボットの手の届かねえトコはねーぞ。」

ソウシ「それに、ヤバイ武器も持ってるだろうし、下手すると殺されて、
    死体も出てこねえ、ってことになるかもしれねーんだぞ!
    天城は、お前の幸せを望んで逝ったんだ!
    こんなことしたって、あいつは喜ばねえよ!!」
リイコ「室長……。あたしもう、耐えられないんです。
    ナイトばかりが、それも停止した後まで辛い目に会うことが。
    それをよそに、あたしばかりが幸せになることが。
    せめて、ナイトには安全なところにいさせてあげたいんです。
    ……並切さんの、ところとか。」
ソウシ「井沢……。」

ソウシ「なら、オレも行く。」
リイコ「室長?」
ソウシ「オレは停止する前の天城に、お前のことを任されたんだ。
    ならあいつのやってきたことの一部だけでも、
    できるようにならなきゃな。
    やばくなったら、死に物ぐるいになってお前だけは逃がしてやる。」
並 切「私たちも忘れないでくださいよ。私は機械のプロです。
    荒事は苦手ですが、それに関してはトシキ君がいますから。」
トシキ「仰せのままに。並切さん。」ニコ


パチ!パチ!パチ!

ルパン「よーく言ったぜ梨衣子ちゃん。オレはあんたに協力すっぜぇ。」
次 元「ま、元々そのつもりだったがな。」

不二子「ルパン! 正気なの?! こんな一銭の得にもならない話に!」
ルパン「不二子〜ぉ、さっきからな〜にムキになってんだよ。」
不二子「ワザワザ損しに行くなんてばかげてる、って言ってるのよ!!」
ルパン「お前がこの件に加わらなきゃいいだけの話だろぉ〜?
    お前、まだ隠してることあんだろ……。吐いて楽になっちまえよ。」
不二子「……っ!」
並 切「メインICを交換した01に、感情が……!?
    そして、あなたを愛し始めた、と……?」
不二子「あのDrって科学者がそう言ってた、ってだけの話よ。
    あたしはプログラムされているのと、されてない行動の違いなんて
    分からないから、どうとも言えないけどね。」
ルパン「そんでお前が惚れっちまうたぁね〜。
    オ〜レはロボットなんかに不二子ちゃんを取られっちまったのかよぉ〜。」トホホ〜
不二子「惚れてないわよ!
    ロボットに本気で愛されたって、あたしは何とも思ってないんだからね!」
次 元「ムキになって否定するトコ見ると、本物だな。
    で、どうする? お嬢さん。そのナイトってヤツのこと。」

リイコ「……助けます。
    たとえ別のロボットになっているとしても、新しいICを並切さんが作ったのなら、
    新しいナイトは、ナイトの……弟みたいなものです。
    それならなおさら、助けてあげないと。
    前のナイトがいたら止めるかもしれませんが、あたしは彼を助けたいです。

    そして、もし今のナイトを助け出して、その時、彼が峰さんを好きだったら……。
    峰さん。ナイトのこと、よろしくお願いしますね。」

ソウシ「なっ!」
並 切「井沢さん!? どうして?! それでいいんですか?!」
リイコ「正直、よくないですよ。
    でも、別人なのに新しいナイトを、昔のナイトのことで混乱させるのは、
    かわいそうじゃないですか。
    新しいナイトが峰さんを愛しているのなら、それを貫かせてあげたいんです。
    好きな人への愛を貫き通すのが、ナイトにとって一番の幸せのはずですから。
    ですから峰さん。
    あなたがロボットを愛せないにしても、どうかナイトを大事にしてあげてください。
    あたしが前のナイトに対して、できなかった分まで。」ニコ…
不二子(うっ……。)
???「うおおおお〜〜〜〜〜ん!
    なんていい話なんだ〜あ。」オーイオイオイ

ソウシ「な、何だぁっ?!」ガタガタッ!
リイコ「何?」
トシキ「天井から聞こえますね。中年男性の泣き声のようです。」
並 切「天井? 空調ダクトか?」
ふじ子「やだ、泥棒?」
次 元「泥棒じゃねえな。このダミ声はよーく聞き覚えがあるぜ。」
ルパン「だな。
    お〜いとっつぁ〜ん、な〜にオレたちのマネなんかしてんだよ〜お。」
銭 形「この店に張りこんでたら峰不二子が運び込まれたのを見て、
    お前らが来ると読んでダクトに入り込んだら、
    身動きが取れなくなったんだ〜あ。出してくれ〜い。」
ルパン「あ〜らら。」
トシキ「マヌケですね、はっきり言って。」
87短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/09/28(日) 17:28:56
珍しく休日投下。
最近、出だしと引きのワンパターン化が目に付いて困ります。
でもひとまず難関突破です。
ここでリイコの行動指針を確定+不二子に決定的な打撃を与えておかないと、
正ヒロインとして立場がないので。
不二子はまだ、ナイトがリイコの記憶を無意識に持ってることを教えてません。

あと必要事項はゴエを呼ぶだけですが、まだしばらくリベルテで話は続きます。
88名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/09/29(月) 01:01:40
。・゚・(ノД`)・゚・うわぁぁああぁ
リイコなんちゅーけなげなんやー!
もし続編があって、リイコがこんなこと言ってくれたら
これまでのいろいろは許せるかもしれん気がしたよ・・

最近、中の人のTVでの露出が少しお預けになってるせいか
また絶彼を見出しるんだけど、やっぱり切ないしいいわー
なんかお酒飲みながら書いてるせいか、無性にキュンキュンきてます
続き、楽しみにしてます!
ふじ子「それにしてもどうすんのよ。工事の人呼ぶにも、もう夜だし。」
並 切「あ、ご心配なく。このタイプでしたら、
    30分もあれば刑事さんを救出して元通りに戻せます。」

ルパン「あ、ちょいとそれ待ってくんねー?
    とっつぁんよぉ、そっから出たら、何するつもりだぁ?」
銭 形「決まっとる! お前らまとめて逮捕だー!」
ルパン「そーされちまうと、オレら梨衣子ちゃんの愛しの人を
    取り戻すことができないんだよね〜。困っちゃうな〜あ。」
銭 形「お前が心配する必要はなーい!
    並切さん、井沢さん。
    この銭形が警察を率いてDrとやらの島を強制捜査し、
    あなたのロボットを取り戻してさしあげますぞ!」
次 元「じゃあとっつぁんが救出される前に、おさらばと行くか。」
ルパン「梨衣子ちゃ〜ん、あんたの恋人はきっと助け出してあげるからね〜。」

並 切「ちょっと待ってください。
    刑事さん、彼らの話聞いてました?
    強制捜査って、こんな状況で得た情報だけでかけられるものでしたっけ?
    それに私、『永遠の愛』の正体、つまり01のことを警察に話してないんですよ?
    どうやって01を見つけると言うんです。」
銭 形「むっ……!」
不二子「ま、あの設備じゃ強制捜査に持ち込めたにしても、
    犯罪の証拠は見つからないわね。誰かが派手に壊さない限り。」
並 切「私としては、刑事さんにはここは目をつぶってもらって、
    01の囚われている島にはルパンを先に行かせ、
    派手に立ち回って01を取り戻してもらった直後、間髪入れずに
    警察がルパン逮捕の名目で、後始末に来ていただけたら、
    ありがたいんですがねぇ。」
ソウシ「あんた……。」
銭 形「いくら合理的な案でも、そんなこと警察のメンツにかけて
    できるワケがないでしょうが!」
ルパン「メンドくせえな〜。じゃあこーしよっか。
    オレたちもいろいろ準備があっから、
    明日それを済ませて、この時間にまたここに集まる。
    とっつぁんはそれまでに警察の上層部を説得、
    あの島の強制捜査の許可が下りれば、オレたちを逮捕に来ていいぜ。
    下りなきゃ今回の件だけは、少なくとも梨衣子ちゃんの恋人を
    取り戻すまでは目をつぶってくれや。」

銭 形「……明日またここに来る保障があると言うのか?」
ルパン「とっつぁんとはともかく、オレはカワイ子ちゃんとの約束は、
    破らない主義なんだよね。」
銭 形「仕方がない! 男と男の約束だぞルパ〜ン!」
次 元「交渉成立、だな。」ニッ

並 切「じゃ、トシキ君。私の車から工具箱を取ってきなさい。」
ルパン「じゃ〜オレは五ェ門にメールでも打とっかね〜。」

〜25分経過〜

カチャッ、カチャカチャカチャ
並 切「はい、取り付け完了。これで空調もちゃんと使えますよ。
    トシキ君、工具、車に戻してきて。」
トシキ「はい、分かりました。」スタスタスタ
ふじ子「ありがと。優秀な電器屋さんがいてくれてよかったわ。」
銭 形「ご迷惑をおかけしました、若林さん。並切さん。不甲斐なさに身が縮む思いです。
    しかし並切さん、あんた言ってることは慇懃無礼で
    掴みどころのなく、付き合い難い典型的な科学者と思っていましたが、
    ちゃんと情のある人間だったんですなぁ!」
並 切「中の2行は余計です。」
ルパン「しっかしホコリっぽいなー、とっつぁん。
    食い物屋でそーりゃマナー違反だろーよ。」
銭 形「うるさいわいっ。コートを脱げばいいんだろう脱げば。」ヌギヌギ
    「私はこれから『永遠の愛』奪還のため、警察本部に戻ります。
    それではこれにて失礼します!」ビシッ!
ふじ子「あら、何か食べていきませんか? お昼過ぎからずっといたんでしょう?」
銭 形「いえ、一刻も早く事件の解決に向けて動きたいので。では!」


ふじ子「ずいぶんと仕事熱心な刑事さんねー。」
ルパン「そんでオレたちいっつも迷惑してんだけっどもな。」
ソウシ「……刑事が泥棒の邪魔すんのは当たり前だろ。」


???「御免、ここで人と待ち合わせをしているのだが。」

次 元「お、五ェ門。意外と早いじゃねーか。」
五ェ門「う、うむ。ここ数日、この近所に住む女性に世話になっていたのでな。」
ルパン「女性〜ぃ?」

???「こんばんわふじ子さん、お久しぶりです。」ヒョコ

ルパン「あ〜らこりゃまた美人さんで、うっらやまし〜い。」
リイコ「美加……!」
美 加「え……? 梨衣子!?」
92短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/10/01(水) 00:17:14
>>88さん、キュンキュンきてくれてありがとうございますw
ここでは私の理想も描いてますからね。
いつキモイと言われるかドキドキしながら、サジ加減してますがw

こっちのリイコはナイトの優しさを受けて優しくなってる、と言うか、
ナイトにも幸せになってほしいと願ってるんですよ。
前はナイトにとっては「ナイトの幸せ=リイコの幸せ」で、
リイコの気持ちがソウシに傾いて苦悩する展開だったけれど、
逆の立場になった時、リイコはどうするのか。(答えはもう描きましたが)

そのあたり、他の絶彼メンバーの心境も交えて、も少し描きます。
〜橋の上〜
リイコ・ソウシ・美加の3人が、これまでの経緯を話し合う。

美 加「あのルパン三世の事件で、盗まれたのがナイト君だったなんて……。」
ソウシ「それで天城をさらに奪った連中から取り戻すため、
    ルパン一家がオレらの味方についた、ってトコだ。信じらんねーだろ。
    ま、伊藤が行き倒れてた石川五ェ門を拾って看病してた、
    ってのも普通、ありえねー話だけどな。」

美 加「それで、室長たちはどうするんですか?
    梨衣子、まさかルパンたちと一緒に行くの?」
梨衣子「あはは、まさか。
    あたしが行っても、足手まといになるだけだもん。
    今日はふじ子さんのところに泊めてもらって、
    あとはホテルか、長くなりそうだったら実家で待とうと思う。」

美 加「何で……?」
梨衣子「美加?」
美 加「何でナイト君は、ロボットなんかに生まれてきたんだろ?
    ロボットじゃなかったら、悪い科学者に狙われることもないのに。
    ううん、彼が人間だったら、感情が芽生えたせいで、
    あんなことになんか、ならなかったのに……!」ウッ、ウッ…

リイコ「美加、泣かないで。」
美 加「梨衣子……。」
リイコ「あたしは大丈夫だから。」
美 加「……。」
リイコ「それにね、美加。ナイトがロボットじゃなかったら、
    あたし、ナイトに出会うことはなかったと思う。」
美 加「え?」
リイコ「ロボットじゃなかったら、ナイトは生まれてくることさえできなかったかもしれない。
    あたしは去年、ナイトという最高の彼氏に出会って、大切な思い出をもらったんだ。
    3ヶ月って言うとすっごく短く聞こえるけど、
    あたしにとっては一生分の、すっごく大事な思い出なの。
    それがあるから、あたしは大丈夫。

    それにルパン三世っていう、これ以上ない味方ができたんだよ。
    世界屈指の大泥棒。運ぶことができる物で盗めないものはない。
    不可能を可能にする魔術師。
    あの人たちなら、ナイトを取り戻して無事に帰ってくる。」ニコ…

美 加「梨衣子。」
ポン
ソウシ「だな。過ぎたことを言っても始まらねえ。
    心配するな。これ以上悪くなることなんてないからさ。」
美 加「室長。」
ソウシ「室長はやめろって。オレもう室長じゃねーし、
    お前ASAMOTOとっくに辞めてるし。
    ま、井沢がそう呼ぶせいで、フランスじゃアダ名になっちまってるけど。」
美 加「すみません、つい昔のクセで。
    ……梨衣子、ごめん。
    あなたが一番辛いはずなのに、あたしが慰められるなんて。」ゴシゴシ

リイコ「ううん、いいよ。久しぶりに美加と、ナイトのことを話せて嬉しかった。」
美 加「あたし……、もう帰るね。
    その前に、リベルテで皆さんに挨拶して行くわ。」
リイコ「うん。」ニコッ
〜リベルテ前・数件先〜

美 加「梨衣子……、本当に大丈夫?」
リイコ「うん、大丈夫。心配しないで。」
ソウシ「……。」


リベルテに入っていく美加を、ぼんやりと見送る梨衣子。


ソウシ「井沢、お前そこに突っ立ってて、どうするんだ?」
リイコ「あ……。
    あ、あたしもお店に入りますね。」あせあせ
ソウシ「おう、オレもう少しそこらで風にあたってるわ。」

リイコ「あまり遅くならないでくださいよ。
    悪い科学者の部下がいるかもしれないんですから。」
ソウシ「おーう。」ヒラヒラ
96短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/10/02(木) 21:38:43
投下完了。次回はリベルテ内で、並切&ふじ子を予定しています。
97短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/10/07(火) 21:26:25
ペースが落ちて申し訳ないです、ちょっと失礼。
>>95の最後の行、ソウシのセリフ訂正します。

ソウシ「おーう。」ヒラヒラ
   ↓
ソウシ「おう……、大丈夫だ。」ヒラヒラ
〜少し時間は戻り、リベルテ〜

並 切「というわけで井沢さんは、
    ♪ド〜ラマッ・チーィッ・ク・ね、ローボーッ・トぉ・だ・け・ど、
    あーなっ・たーに、も・お・む・ちゅ・う♪
    なわけです。」
ルパン「1番と2番の歌詞、ごっちゃになってんぞオッサン。」
並 切「それを知っているあなたこそ、何歳なんですか。」

五ェ門「ふむ、1人の女性を愛する心が芽生えたロボット、とな。
    ……信じがたい話でござるな。」
並 切「信じていただけませんか。」
ルパン「まーなぁ。オレらも動いてるのは見てねーしな。」
ふじ子「無理ないわよ。
    この人たち、ナイトと直接話をしたわけじゃないし。」
    五ェ門さん、焼鮭定食できたわよ。」
五ェ門「うむ、いただくとしよう。」

ルパン「ところでさ、あんたにどうしても聞きたいことがあるんだ。
    なんで、恋人型ロボットなんて作ろうと思ったんだ?」
並 切「それは、悲しい女性をなくすため……、
    同封したCD-ROMに入れたはずですが。」
不二子「なぁに? そんなものがあったの?」
次 元「オレとルパンでそれを見ている間に、
    お前が残りをケースごと、かっさらってったんだ。」
不二子「ああ、そういうことね。」
ルパン「オッサンが言ってんのは、建前だろう?
    会社にGOサインを出させるためのよぉ。」
並 切「む……。」
ルパン「あんたみたいなタイプの科学者ってぇのは、
    必要だから発明する、ってんじゃねえと思うんだがな。」
並 切「………………。」
ルパン「むしろ、やりたいことのために理由を後付けしたんじゃねーの?」
並 切「……かないませんね。
    私は、ロボットを作りたかったんですよ。
    どこまでも人間に近い、人間の友となれるロボットを。」

次 元「友達いねーのか? あんた。」
並 切「そういうことじゃありません。友人ならいますよ。
    ただ人間を種族で考えるとですね、
    同等の知性を持つものが、地球上に存在しません。
    過去を、現在を、未来を、宇宙のことを語り合える知性は、
    私たちは、同じ人類しか知らないんです。
    そう考えると、人類というのは孤独な生き物です。

    広い宇宙のどこかには、他にも知的生命体がいらっしゃるのかもしれませんが、
    彼らがこの地球を探し当ててお越しくださるのは、どれだけ少ない確立でしょうか。

    自ら創造する方が、まだ確実だと思いました。ですが現在の技術からすれば夢物語。
    ならば私はその基盤だけでも作ろう、
    後の世に生まれてくるであろう彼らが、人間の友人と広く意識されるように、と。」
ルパン「あー、つまりオッサンは、恋人ロボットを作ることで、
    世間のフランケンシュタイン・コンプレックスを、薄めたかったのか?」
並 切「……まあ、そういうことですね。」
ふじ子「フランケンシュタイン? あの有名な怪物とどう関係があるの?」
ルパン「ありゃ、知らない?」
ふじ子「知らないわねぇ。
    異能の天才・ヴィクトル=フランケンシュタインが書き記した2冊の禁書を元に、
    人間の死体を基盤にして製作される人造人間とか、
    起動に1.21ジゴワットの雷が必要とか、
    進んで関わるのは悪人か狂人のどちらかだけとか、
    それは死者蘇生の賜物ではないため、生前の人間性を再現することができず、
    人格または記憶の崩壊、またはその両方を併発した
    「壊れた」としか言えない個体も存在する、とかいうのは知ってるけど。」
並 切「あなた何読んでるんですか。
    フランケンシュタイン・コンプレックスとは、生命創造に魅力を感じる反面、
    その作ったものに反乱を起こされないかと恐れる、人間の心理のことですよ。
    ちなみに人造人間とは、ロボットのことも含みます。」

五ェ門「それで、なにゆえ男の姿のロボットなのでござるか?
    女人の姿のロボットの方が需要があるように思うが。」 
並 切「そうですね……。ルパンさん、あなたが1億円のロボットを購入したら、どう使います?
    たとえば、峰不二子さんそっくりのロボットを。」
ルパン「そりゃあまー…………、ヌフフフフ!」
不二子「ルパン!」
並 切「男性なら、たいていそう考えるでしょう?
    私としてはそういう限定した用途ではなく、
    日常における友人・パートナーとして広く接して欲しいんですよ。
    だから女性を対象とした、男性型のロボットで企画したんです。
    あくまで、はるか未来に実現するだろう私の夢の基盤となる、
    データを採取するための捨て駒として。」
次 元「しかし、その捨て駒が、あんたの夢の具現となった。」
並 切「ええ。ルパンさんと次元さんはもうご存知でしょうが、
    自我に目覚めていく01を、私は危険なことと思いつつ
    上司に隠して観察しました。
    そのうちに私は、父親の心境になっていたんでしょうね。
    何度も失敗を繰り返し、悩みながらも、
    決して歪むことなくまっすぐに成長していった。
    心は命と同義だと気付かせてくれた、素晴らしい存在でした。」

ルパン「しかし、ロボットが獲得した人間性は、内蔵のコンピュータでは支えきれず、
    その複雑化した思考にメインICが焼け付き、修理不可の完全機能停止に至った、か。」
並 切「……最後に01は、幸せだったと言っていました。
    3ヶ月という短い期間でしたが、
    あいつは確かにここで人と絆を作り、生きたんです。
    命がある存在となったからこそ、二度とは……戻りません。
    しかし今の01は、別の存在ですが新しい命です。
    できれば、今度こそ幸せに、長生きさせてやりたいんです。」
102短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/10/07(火) 21:38:06
心理描写は長文になるくせに、削り所が見えなくて困ります。
しかしここで各キャラの心境を押さえておかないと、後の展開が締まらない。
……並切さん、あのキャラで友達っているのかな?

並切さんの01作成の動機は、
公式HPの佐々木氏のインタビューも少し参考にしてます。

それとフランケンシュタインの話。お遊びの1つでもありますが、
今回の二次創作に共鳴する部分があったりしてw
不二子「あーもう辛気臭いわね! あたし外の空気吸ってくるわ。」
並 切「そう言って逃げる気じゃないでしょうね、あなた。」
不二子「ちゃんと戻ってくるわよ、失礼ね。」
並 切「トシキ君、彼女についていきなさい。」
トシキ「分かりました。」
不二子「っとにもう!
    若林さん、ごちそうさま。食事代ここに置いてくわね。」
ふじ子「あらいいのに。
    食べた後、すぐ動くのは身体に悪いわよー。」
…ガチャ

並 切「行っちゃいましたね。いっつもこうなんですか? あの人。」
ルパン「まーそんなもんです。
    ところでオーナーさん、その金見せてくれね?」
ふじ子「盗む気じゃないでしょうねー。」
ルパン「んーなセコいことしないって。
    はいちょっと拝借。ほーら盗聴器がありました。」
ふじ子「まっ。」
ルパン「オレの不〜二子ちゃんに抜かりはねえってコト。
    それよりさ……、あんたずっと自分で仕事作ってんのな。
    あんた本当は、気が気でないのをごまかしてんじゃね?」
ふじ子「……、さすが世界の大泥棒さまね。その通りよ。」

ルパン「で、どっちが気になるんだい?
    梨衣子ちゃん? それとも、あのナイトってロボットの方かい?」
ふじ子「……どっちもよ。
    2人ともいい子だから、一緒になって、幸せになってほしかった。
    ナイトには、せめて安らかに眠ってほしかったけれど、
    こうややこしいことになっちゃったらね……。」
五ェ門「そなた……、片方が機械と分かっていて応援していたのでござるか?」
ふじ子「痛いとこ突くわね。
    正直、彼がロボットだと知った時は、すごく不気味に感じたわ。
    彼がやってたこと全てがプログラム、
    つまり他人に命令されてやってるだけ、と思ったもの。
    彼女がそこの、並切さんにだまされて、
    心のないロボットとお人形遊びをさせられていると思って。」
並 切「いやあ、面目ないです。」

ふじ子「愛情を持たない相手と一緒になったって、本当の幸せは得られない。
    そのうちに、彼女が本当の相手と結ばれるチャンスを逃してしまう。
    だから彼女が本気になってしまう前に、やめさせようと思ったわ。」
次 元「ま、それが普通の感覚だわな。」

ふじ子「でも……、ナイトは自分の意思で動いていた。
    どういう奇跡が彼に起きたのかは分からないけど、
    機械でできた彼の中には、本当に彼女を愛する心が生まれていた。
    そう思うと、彼の愛情が本っ当に純粋なものなんだと分かって、
    梨衣子ちゃんも彼を愛してることを確かめた上で、応援することに決めた。

    人間でない存在と結ばれることで、生じるだろうたくさんの障害。
    私一人じゃ、全てから守ってあげることはできないだろうけど、
    どんな時も、あの子たちの味方でいようと思った。
    だけど、その最初の1つすら来ないうちに……ね。

    梨衣子ちゃんは大丈夫って言ってるけど、
    女の子は「大丈夫」という言葉の裏に、たくさんのものを抱えているもの。
    心配だわ。」
ルパン「たくさんのもの、ねぇ……。
    で、それで終わりかい?
    あんたにゃ気になるのがもう1人くらい、いるっぽいんだがな。」
ふじ子「まいったわね。
    3人目は、創志君。梨衣子ちゃんたちと外に出た若い男の子。
    ナイトがいた頃から梨衣子ちゃんのことが好きになって、
    ナイトが止まる前に、彼女のことを託された。
    それから一緒にパリに渡って、ああやってそばにいるけど、
    今の心境を想像すると、相当複雑よね。」

ルパン「なーるほど、三角関係だったってわけね。
    しっかしあんたたち、父親と母親みたいだな。」
ふじ子「っ!?」
並 切「えっ……?」
次 元「彼氏の父親と、彼女の母親代わり、か。違ぇねえ。」ハハッ
ふじ子(ああ、そういうことね。)ホッ

ルパン「で、五ェ門。 お前この話に乗らね?」
五ェ門「むう……断るには忍びない話だが、元々そなたたちがまいた種だしな。」
次 元「おーや、今回は気が向かないってか?」

ガチャ
美 加「あの……、あたしもう帰りますね。」
ふじ子「あら、夕飯食べていかないの?」
美 加「皆さん取り込み中のようですから。
    五ェ門さん。」
五ェ門「うむ。美加殿、世話になり申した。」
美 加「あの……、ナイト君と梨衣子は、私を変えてくれた大事な親友なんです。」
五ェ門「なんと。あの時の話のか。」
美 加「ええ。」
ルパン「んん? ゴエモ〜ン、この美人さんと何をお話したの〜ぉ?」
美 加「厚かましいとは思いますが、できれば、ナイト君を助けてあげてください。
    ルパンさんたちも……、どうかお願いします!」ペコ
五ェ門「うむ、承知した! この残鉄剣にかけて!」
ルパン「あーらら、切り替えの早い。」
次 元「やれやれだぜ。」

 …… …… ……

ルパン「……さて、梨衣子ちゃんも不〜二子ちゃんもまだ帰ってきませんね、と。」
並 切「ルパンさん。明日のことですが、私と、トシキ君だけ同行させていただけませんか?
    私、ハッキングなら結構自身ありますし、トシキ君は相当強いですから。
    井沢さんと浅元……創志君は残して。」
ルパン「んー、まああんたの腕は認めるし、あの2人がドンパチに向かないのは分かっけどなー。
    ところでちょーっと気になることがあんだけどよ、
    あのロボットのこと、あんただけ「天城」でも「ナイト」でもなく、
    「ゼロワン」って呼んでるのはどういうこったい?」
並 切「私が付けた、あいつの最初の名前だからですよ。
    たとえ他人からすれば味気ない番号でも、
    あいつ自身がその呼び方を否定して、天城ナイトと名乗るようになっても、
    私にとってはそれが、あいつの本当の名前なんです。」

ルパン「なるほどね。愛着を持って呼んでるわけだ。
    それでさ……、若い連中がいないうちに言っておきたいんだが、
    敵さんのことを考えると最悪、あんたのかわいいゼロワンが、
    殺人ロボットに改造されて、オレたちの前に現れる可能性もある。」
並 切「う……!」
ふじ子「……っ!」
ルパン「マニュアルを読んだ限りだが、素の性能でもかなり手こずるだろーな。
    それが武装して襲い掛かってきたらどういうことになるか、想像しておいてくれや。
    その上でついて来るか決めてくれ。努力はするつもりだが、オレらは神様じゃないんでね。
並 切「……。」
ルパン「んじゃ、オレもちぃーっと風にあたってくるわ。」ガチャ…
107短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/10/09(木) 21:39:51
DVD発売前に終わらせられるかさえ、不安になってきましたorz

美加が入ってくるタイミングで分かりますが、時系列からすれば>>93->>95と同時進行なわけです。
次回はまた屋外で。
〜リベルテ外・数軒先〜

リイコ「あ、あたしもお店に入りますね。」
ソウシ「おう、オレもう少しそこらで風にあたってるわ。」
リイコ「あまり遅くならないでくださいよ。
    悪い科学者の部下がいるかもしれないんですから。」
ソウシ「おう……、大丈夫だ。」ヒラヒラ
スタスタスタ……

ガバッ!
リイコ(!!!!!)

リイコ「んー! んー!」ぐいぐい……ずりずり
   (な、何!? 痴漢? 変質者? それとも……誘拐?!
   まさか! あの科学者の部下!?
   すごい力、路地裏に引っ張りこまれる! 助けてっ! 室長、戻って来て!
   …………ナイトっっ!!)

???「そんな非力で、よく1人でもあの島に乗りこむ、なんて言えたものね。」

リイコ(え……?)
    「峰さんっ!」バッ!
不二子「あの御曹司くんも、無用心なことね。
    ボディーガードをするなら、彼女がお店に入るのを確認するまで
    目を離しちゃいけないものよ。」

リイコ「それは……って、なんでトシキさんと一緒なんですか?」
トシキ「並切さんに、彼女のお目付け役を任されたんです。」
不二子「ちっとも撒けないのよ、このひと。すごい運動能力だわ。」フゥ
リイコ(まあ……ロボットだし。)
不二子「あなたとちょっとお話したいんだけど、いいかしら?
    1人余計なのがくっついてるけど。」
〜公園〜

不二子「あの薬入りシュークリーム、あなたのレシピですってね。」
リイコ「あ、あの、本当なら睡眠薬なんて入りませんからね。」
不二子「分かってるわよそれくらい。」

リイコ「……。」
不二子「……。」

不二子「ねえ、前のナイトって……、どんなロボットだったの?」
リイコ「そうですね……最初は、全然空気読めてなくて、
   変な行動ばっかりして、さんざんあたしを困らせていました。
   職場どころか、社員旅行先まで勝手に押しかけてきたり、
   いくら止めても、皆にあたしの彼氏と自己紹介することだけは
   やめてくれなかったり。
   
   ……でも、本当は生まれたてで何も知らなかっただけで、
   それでもいつもあたしを幸せにしようと一生懸命で、
   そればかり考えてるうちに、いつの間にかプログラムを超えた、
   自分の意思で動くようになっていたそうなんです。
   でも全然危険な存在じゃなくて、誰に対しても
   すごく優しい心を持つようになっていました。
   でも、あたしは並切さんに言われるまで、ナイトの意思に気付くことができなくて。
   本当に恋人同士になったのは、それを知ってから、ナイトが機能停止するまでの
   一週間程度でした。

   それまであたしは、ナイトの気持ちを知るどころか、
   ナイトに心があるなんて、全然考えてなくて。
   あたしは、あたしはナイトをずっと家電製品扱いして……。」
不二子「同じね。」
リイコ「え?」
不二子「ううん、なんでもないわ。」
〜橋の上〜

ソウシ「『大丈夫、心配しないで』、か……。」

1年前のパリへ向かう空港で、井沢と並んで搭乗口へ向かった時のことだ。
井沢とオレは目が合って、笑い合った。
だがあれは、井沢はオレを天城に見立てて、笑いかけていたのではないか。
そして、井沢は泣かなくなった。不自然に。
笑顔以外の表情の変化を、見せなくなったのだ。怒ったり泣いたり、表情豊かだったのに。
「たまには泣いてもいいんだぞ。」と言っても、「ナイトが、笑ってって言ってるから。」の一点張り。

ただでさえ、今は亡き天城が井沢の心をとらえ続けていて、
オレは(天城の遺言に従う形になるが)それを少しづつ解こうとしているのに、
今度の事件だ。
また井沢の心を騒がせ、今現在進行中のパティシエの夢も危うくしかねない。
天城に非はないし、あいつが井沢の邪魔を望んでいないのは十分分かっている。
もし天城の魂がこの事態を知れば、自分の機体の完全消滅を願うだろう。
そういうヤツだ。自分にはかなわない。
だからこそ悔しくて妬み憎むし、また、そういう思考をする自分を浅ましいと思う。

ここ1年で何度も経験した、マイナス思考のスパイラルを止めるために、
創志は頭を振る。


ルパン「いーんじゃねーの、妬んだって、自己嫌悪したってさ。」
ソウシ「ルパンさん……! って、何でオレの考えてることが分かるんですか!
    超能力者ですかあなたは!」
ルパン「いーえ、泥棒です。」ニッ
    「いーこと教えてやる。文章でモノ考えてっと、無意識に口が動いてることがあるんだぜ。
    オレはそれを読み取る特技があるってだけさ。」
ソウシ「職業柄ってやつですか。」
ルパン「そーゆーこと。
    ところで梨衣子ちゃんは一緒じゃねーのぉ?」
ソウシ「伊藤…美加、さんと、一緒かちょっと遅れて店に戻ったはずですが。」
ルパン「あの美人さんが帰っちまって、オレが出たのは少し後だけっども、
    ちーとも見なかったぜ?」

ソウシ「なっ! まさかヤツらに誘拐されたとか?!」
ルパン「落ーちつけって。心配ねえ、オレの不〜二子ちゃんと一緒だよ。
    ホレ。」
ソウシ「携帯? 何ですか?この画面の地図の光の点は。」
ルパン「オレはあの店で会ったヤツ、全員に発信機をつけてあんだ。
    この3つが梨衣子ちゃんと不〜二子ちゃんと、トシキとかいうヤツ。
    んでこれがお前な。」

ソウシ(この人は……っ!)
ルパン「ま、誘拐対策ってコトよ。見つけても外さない方がいーぜ。
    状況はそんなに甘くねえんだ。彼女が好きなら……、目を離すな。」
112短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/10/14(火) 21:08:36
久しぶりに原作者ブログを見たら、

ttp://plaza.rakuten.co.jp/wataseblog/

(10/1の日記)
「絶彼が他国で来年あたりドラマ化の予定」だそうです。
ますます原作から離れる、とか書いてありますが。
どこの国なのか分かりませんが、はたしてその国には
もこに匹敵する「ロボに適役のイケメン俳優」がいるのか。
もこ以外で見たくない気持ちと、怖いもの見たさで見てみたい気持ちで2分状態です。

……って、本スレに投下すべき話題ですねコレ。
今月に入ってから私以外のレスがないから、人いるか分からないし。
(長すぎて見捨てられたか?)
113名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/10/14(火) 21:20:54
ちゃんと読んでるよ!
ナイトパートとナイトを思うリーコパートは
うるうるしたり、萌えたりして読んでたw
続けてくれてありがとう・・・。
短冊さんはもこロボ以外は
あんま見たくないかもしれないけど
今日はもこロボの中の人の新ドラマだよ。
114名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/10/14(火) 21:46:37
原作者さんのブログ読んできた。
他国ってどこだろ??絶対外人みたいになったらヤダw
自分にとって絶対彼氏のドラマって特別だから
短冊さんがこうやってドラマのキャラをコワさないように
アナザーストーリー書いてくれてホントに嬉しいよ。
115名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/10/14(火) 22:22:26
日本からロボを輸入したことにして、
ナイトとナミキリさんたちが出ればいいのにな。
ロボットだから外国語が変でもむしろOKだろ。
116名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/10/15(水) 21:24:58
外人さんに受けがよかったみたいから、もしかしてありうるかも・・と想像してたら
ほんとにそんなことが!
どこの国でやるかにもかかってるけど、ロボットアクションなどスケールは大きくなりそう?
でももこを超えるロボがいるとは思えない
117名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/10/15(水) 21:41:16
できれば、ハリウッドで$かけてCGふんだんに使って
もこロボと並切さん輸入した設定で映画つくってほしーw
118名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/10/16(木) 01:39:36
短冊さんお疲れ様です!いつも楽しく読ませてもらってます。
キャラの性格とか変えずに物語を進めてくれてありがとうございます。
ふじこがりいこに確認するかのように聞いたのが、ナイト復活の予感がして目が離せません。
ナイトが元通りになる日がくるのかなぁ。
例え一瞬でもいいから、前のナイトに戻ってほしいとねがうばかりです。
そうなったときの会話もたのしみだったり、いろいろ想像してます。
短冊さん!がんばってください!応援してますよ。
119短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/10/16(木) 22:43:55
よかった人がいたあああ〜〜〜!(w

>>113-118の皆様、ありがとうございます!
遭難して無人島ではと悲観してたところに人家を見つけ、
中に入れてもらった瞬間、こうなるのではという心境ですw

>>113さん、新ドラちゃんと観ましたよ。絶彼で時間を止めてるワケにもいきませんから。
耕太郎には最終的に「絶○可憐チ○ドレン」の皆本になってほしいですw
(イケメン20代、家事・育児に堪能、身体も結構作りこんでる)
そういえば、原作者さんが同じ雑誌で描いてるんだから、
作者同士仲良くなって「絶対彼氏チルド○ン」というネタをやってくれないかなと
ひそかに望んでるんですが、さすがに無理っぽそうですよね。

>>114-117さん、つべにあったアレですね。>絶対外人
昔「鉄甲無敵マリア」というB級映画を観たんですが、
アジア圏でドラマ化されてアレみたいになったらやだな。>ロボアクション&CG
>>118さん、
>キャラの性格とか変えずに物語を進めてくれてありがとうございます。
……1つだけネタバレします。約1名、のちに性格が変わるキャラがいます!
お楽しみにw
〜公園〜

ブチッ、グシャ!
リイコ「何やってるんですか? 峰さん。」
不二子「ゴミよゴミ。踏み潰さずにいられないくらい気持ち悪いゴミ。」
リイコ「?」

不二子「ところで明日のことだけど。あなた、本当にあそこへ行く気?」
リイコ「あの時はそのつもりでした。
    最悪捕まっても、あの島へ行くと言って消息を絶てば、
    警察が捜索に来てくれると思ってましたから。
    でもルパンさんたちが行くとすると、あたしは足手まといにしかならないです。
    ですから、ルパンさんたちを信じて、あたしは待ちます。」

不二子「ずいぶんといい子ちゃんなのね。……虫唾が走るくらいだわ。」
リイコ「…………!
    そうですね。似たようなこと、友達にも言われました。
    室長があたしをどう思っているのか、迷っていた頃です。
    ……ああ、当時はナイトを家電製品だと思っていました。
    でも傍から見れば、二股と思われたでしょうね。
    それで、ナイトが好きだった友達に、
    どっちにもいい顔して私にあてつけて、大嫌いって。」フフッ
不二子「それで、縁を切られたってわけね。
    しかもナイトがいなくなったら、その室長に乗り換えて一緒にパリへ?
    とんだ尻軽女ね。」
リイコ「いいえ、室長は修行仲間ですが……、今のところ、それだけです。
    確かに室長は優しいですが、あたし、まだナイトを忘れられなくて、
    室長の思いに答えられる自信がないんです。……まだ。
    それと友達とは、あとで仲直りしました。」
不二子「は?」
リイコ「ナイトのこと全部話して、謝ったら許してくれました。
    五ェ門さんと一緒に来た女の人が、その友達です。」
不二子「……。」

(美 加「ナイト君と梨衣子は、私を変えてくれた大事な親友なんです。」)

不二子(盗聴器から聞こえた声の様子からすると、彼女は本気だった。必死なくらいに。
     変えてくれたと言うのは、彼女に精神的にやましいところがあって、
     それを改心させたきっかけにでもなったということ?
     それをやったのはナイトだけではなく、「2人とも」……。)

リイコ「峰さんのナイトは……、優しかったですか?」
不二子「え? ええ。
    ……あなたのナイトと同じだったわ。
    そりゃあ、トンチンカンなこともいっぱいしたわよ。
    でも、自分のことも省みず、あたしの幸せだけを必死に考えていた。
    あたしが付き合った男の中でも、トップクラスに入るいい男だったわ。」

リイコ「良かったぁ……。」
不二子「え?」
リイコ「新しいナイトも、優しい心を持ったロボットになって。
    峰さん、ナイトを取り戻したら、大事にしてくださいね。
    トンチンカンなことも、ちゃんと教えれば直っていきますから。
    できれば……捨てたりなんてしないでください。」
不二子(この子、とんだお人よしだわ。
    ……だからこそ、友達の心を変えた。
    ナイトというロボットに、理想とも言える優しい心を芽生えさせたのも、
    この子と、一緒だったから……。)
〜橋の上〜

ルパン「ありゃ。」
ソウシ「どうしたんですか?」
ルパン「不二子ちゃんにつけた発信機、壊されちった。
    (不二子の盗聴器、持ってきちまったからな〜あ。)
    まー梨衣子ちゃんのは、そのままみてーだからいっけどな。
    ところで、タバコ吸っていいか?」
ソウシ「ええ、いいですよ。」

カチッ、シュボッ
ルパン「フーーーーー。」
ソウシ「カッコよく吸いますね。」
ルパン「おめーも吸う?」
ソウシ「いえ。舌と鼻をダメにしてしまうので。」
ルパン「あー、パティシエの卵だもんな。職業柄ってヤツか。」
ソウシ「はい。」
ルパン「気分を落ち着けるのには、これが一番手っ取り早いんだがな。
    タバコの旨さを知らないなんて、もったいねーな。」
ソウシ「その代わり、食べ物の味や香りを、奥深いところまで知っていますよ。」

ルパン「なるほどね。つーこた梨衣子ちゃんもそーなのかなー。」
ソウシ「……ええ。」
ルパン「……。
    彼女、痛々しい笑顔をするよな。」
ソウシ「分かりますか。」
ルパン「ああ。男としちゃ、たまらなく辛くなる笑顔だ。」

ソウシ「……天城が、最後に井沢にメッセージを遺したんですよ。
    その中であいつ、『泣かないで。梨衣子、笑ってよ。』って。」
ルパン「まあ、泣けと言うヤツは、あんまりいねーわな。」
ソウシ「メッセージが終わった後、あいつは下宿先の部屋で泣いていました。
    オレはその時玄関のドアの前に来てたけど、
    扉を開けることができずに、結局帰ってしまいました。

    それから3週間後パリへ修行に発って、先日一時帰国したわけなんですが、
    ここ1年、井沢は笑顔以外を人に見せたことがないんです。
    天城が生きていた頃は、怒ったり笑ったり泣いたり、
    見てて飽きないくらいにくるくる表情が変わるヤツだったのに。
    それを言うと、『ナイトが笑ってって言ってるから』って。」

ルパン「その後に決まって、『大丈夫です』ってか?」
ソウシ「はい……。
    天城が悪いんじゃないのは分かってるんです。
    でも、井沢から笑顔以外の感情表現を奪ったあいつが恨めしいです。

    だけれど、あいつはすごくいいヤツだった。
    どこまでもまっすぐで、後ろ暗いところなんか何一つない。
    井沢を悲しませたくなくて、寿命が近いのを隠し通し、
    自分が死んだ後の井沢のことが心配で、オレに井沢を託した。
    恋敵のオレに。
    本当に、井沢の理想的な彼氏でした。
    あいつのそんな井沢への愛を知ってるから、
    オレも井沢が好きだから、オレはあいつを憎みきれない。

    第一、こんなことで天城を憎んだら逆恨みです。
    そんなことをするオレは、なんてちっぽけな人間なんでしょうね。
    これだから、オレはいつまでたってもあいつに敵わないんです。」
124短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/10/16(木) 22:51:10
私はタバコの煙は大嫌いですが、カッコよく吸う画は大好きです。
そんな矛盾を抱えているのが人間。
ソウシパートはそんな生身の人間として、描写します。

あと、お褒めのレスは当然嬉しいのですが、
ご意見ご要望ありましたら、それも遠慮なく言ってやってください。
「……」が多すぎとか、長文多くて読みにくいから空白の行増やしてとか、
即改善可能なことは直していく所存です。
手探り状態の執筆ですが、せめて読みやすいものを書きたいので。
〜橋の上〜

ソウシ「井沢の表情も、まだ豊かになった方なんですよ。
    今回の天城の事件を知った時から、急激に。
    オレが、何年かかろうともやり遂げようとしていたことを、
    天城は新聞の記事に載るだけでやってのけた。
    それで、オレはまた……。」
ルパン「お前さんも大変だねぇ。
    ところで話を戻すがな、お行儀よく生きるためにてめーの感情を溜め込むのは、
    タバコよりも身体に悪いぜぇ? 一度っくらい吐き出してスッキリしちまえ。
    海に向かってバカヤローって叫んだりなんかしてさ。」

ソウシ「そんな、マンガじゃあるまいし。」
ルパン「ストレスの解消にゃ、大声出すのも結構効くんだぜぇ?
    思いっきり泣く、ってのもな。」
ソウシ「……あ。」
ルパン「それとだ。お前はちっぽけだと言うが、
    心が揺れ動く暇があるってーのは人間の特権だぜ。
    そうして悩んで選択していくことで、良くも悪くも変化や成長をし続ける。
    ロボットにはできねー。」

ソウシ「天城も、悩みながら成長してったそうですよ。俺ほど黒くはないにしても。」
ルパン「あー……、それだから、無理がたたって壊れっちまったのかもな。
    人間と同じになるために、ロボットの限界を超えちまったから。」

ソウシ「…………。
    ルパンさん、
    天城の寿命が縮んだのは、オレのせいなんです。」
ルパン「ああ? 初耳だなそりゃ。」
ソウシ「あいつが人間だと、井沢の彼氏だと思っていた頃、
    井沢が好きになってたオレは、天城に隠れて井沢に告白したんです。
    後で並切さんから聞いたんですが、天城はそれを聞いていて、
    その直後から、熱を出し始めたそうなんです。」
ルパン「コンピュータがオーバーヒートした、ってことか。」

ソウシ「たぶん……。そしてあいつは、後日オレを問い詰めてきました。
    だけどオレは、井沢が悩んでいるのはパティシエの修行で
    パリに行くことだと、オレはあくまで付き添いだと言って、逃げたんです。
    
    天城は井沢のパリ行きは知らなくて、井沢が自分から離れたところに
    行ってしまうと知って、でも彼女のパティシエになる夢をかなえたくて
    ……倒れてしまったんです。熱を出して。」
ルパン「そいつぁ、感心しねえなあ。」

ソウシ「それでも天城は、オレには負けないと、
    井沢の修行も3年だけだからと、笑顔で送り出そうとしてまた倒れて、
    最後にああなっちまった。
    それに引き替えオレは、天城がロボットだと知ったとたん
    強気になって、井沢に、ロボットと違ってオレとなら一緒に年を重ねていけると。
    ……結局、振られましたけどね。
    本当に井沢が辛い時にそばにいてくれたのは、天城だった、と言われちまいました。

    それで最後はあいつに譲られる形になって、井沢のそばにいることになったけど。
    でも、井沢があいつを忘れないことに、時折汚い感情が湧くんですよ。
    天城よりも長い間オレは井沢のそばにいるのに、なぜ振り向いてくれない、ってね。
    
    オレは……、最低の男です。」
〜公園〜

ポロ…ポロポロ
リイコ「あ……あれ? ごめんなさい峰さん。」クルッ
    (なんで泣いちゃうんだろあたし、美加の時はガマンできたのに。
    止めなきゃ。あたしは、笑わなきゃ。ナイトが……悲しんじゃう。)ゴシゴシ
不二子「バカね、あなた。」
リイコ「は……はい?」

不二子「そんなに好きなら、譲るなんて言うんじゃないわよ……。
    記憶をなくそうが、別人になろうが、取り戻しなさいよ!
    新しい女ができてたって、その女から奪い返せばいいのよ!
    身体だけでなく、心も!
    記憶が戻らなくても、もう一度惚れさせればいいの!
    心の底から愛してるってのは、そういうものなの!!
    好きになったら、奪わずにはいられない物なのよ!!」

リイコ「でも、峰さん……。」
不二子「ナイトはねぇ……、あなたを完全には忘れていないわ。」
リイコ「………………………………。
    ……え?」

不二子「あのDrが言ってたことだけどねぇ、
    ナイトに感情が戻ったのは、ナイトが無意識に、
    あたしにあなたの面影をかぶらせていたからなのよ。
    メインICは交換されて、記憶回路も封印されていたけれど、
    サブICに残った……何かが、必死にあなたを求めているの!

    たとえあの並切って人が別人だと断言しても、今のナイトの中には、
    あなたを愛した天城ナイトが、欠片かもしれないけれど生きているのよ!」
リイコ「本当……なんですか?」
不二子「女のカンよ。悪いけど理屈じゃないわよ。
    でも、あなたなら奇跡を起こせそうな気がするの。

    ナイトがあのDrに捕まってる以上、何をされているか分かったもんじゃないわ。
    こんな所でルパンが取り戻してくるのを待ってたら、手遅れになることだってあるかもしれない。
    あなたが本当にナイトを愛してるのなら、ルパンに頼みなさい!
    Drの島に連れてってくれって!」

リイコ「でも……あたしは足手まといじゃあ……。」
不二子「あいつなら、気絶したあなたをおぶったままでも、
    ロボット一人盗むくらい、簡単にやってのけるわよ。

    それとね、男なら誰かのために強くなれ、って言うけど、
    女もそうよ。見てるだけじゃ始まらない。
    と言うか、あなたは見届けようともしていない。
    本当にあのナイトが、あなたの恋人が大事なら、後悔しない選択をしなさい!」

リイコ「不二子さん……。」
不二子「あー、喋りすぎて喉が渇いた。そろそろ店に戻るわ。
    ほら、あんたも一緒に来なさい。本当に誘拐されたら面倒だもの。
    トシキ、あんたもよ。」
リイコ「はっ、はいっ。」
トシキ「では、参りましょうか。ご一緒に。」ニコ
〜橋の上〜

ルパン「なーっはっはっはっ!」ノーッホホホホ
ソウシ「何ですか急に。」ムッ

ルパン「わりいわりい。お前さんがあんまりにも青臭くてよぉ。
    だけどな、そーやって自分自身を最低だといえるうちは、最低とは言わねーぜ。

    それと、お前さんにゃ確実に1つ強みがあるんだぜ。
    死んじまったヤツは、過去の思い出以上に何もできないが、
    お前はまだ生きてる。未来がある。

    生きてる限り彼女のために、新しく何かをし続けることができんだ。
    命ってのは、並切のオッサンは心だと言ったが、オレに取っちゃ可能性のこった。
    彼女のために、ヤツの代わりをしてもいい。
    だが、あくまできっかけとしてだ。まったく同じになる必要はねぇ。
    お前はお前として、彼女にアタックしな。
    でも……、そばで見守るのは間違いじゃーねっけどな。

    だがこれはオレの考えだから、アテにすんなよ。
    本当に大事なことは、自分の心の奥底まで探って、
    本っ当に彼女のためにしてやりたいと思うことを見つけることだ。
    そしてそれを、全力でやり尽くす。
    そうすればたとえ報われなくても、後悔することはないぜ。たぶん、な。」ニッ

ソウシ「ルパンさん……。」
ルパン「おっと、話しすぎちまったな。店に残した連中が心配し始めるぜぇ。
    よっし、帰るとするか。」
ソウシ「あ、はい。」
創志を先に、リベルテへと夜道を向かうルパンたち。

スタスタスタ……
ルパン(不二子のヤツ、やっぱりまだ隠し事してやがったな〜あ。)


ルパンの耳の穴に、小さな機械がはまっている。
梨衣子につけた発信機は、盗聴器も兼ねたもので、
ルパンは、不二子と梨衣子の会話をずっと聞いていたのだ。


ルパン(天城ナイトは、完全に別人になったとは言い切れない……か。
    厄介だねえ。
    あの御曹司、応援してやりてーが、苦労するだろーなぁ。)
131短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/10/20(月) 22:04:38
これで心理描写パート終了。不二子はナイトのことを白状。

実は一番書きたかった創志パート、やっと書けました。
ドラマ内には、創志の恋愛相談相手たりうるキャラがいませんでしたから。

創志の懺悔に対する、ルパンの美学。
梨衣子の消極的態度に対する、不二子の理論。
不二子の行動原理は基本、欲望の赴くままのジャイアニズムですが、
だからこそ臆面なく言えることもあり、なのです。
132名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/10/21(火) 01:32:12
ドラマでの創志は、描かれ方が浅かったせいか魅力なく見えてしまってたので
短冊さんので足りないものが満たされたような感じがします。
いよいよ佳境に入ってきましたね
先が楽しみです!
133名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/10/22(水) 16:12:11
2〜3週間振りくらいに来ました
怠惰な読者で申し訳ない
まず、続いていること、そして荒らされていないことに、ほっ
で、頭から読み返してみました
あらためて気づいたのは、ルパンの存在が、パロディや活劇要素を越えて
ある「視点」を維持しているのだ、ということ
物語が、表面上ほど、軽くコミカルに進行していないのはそのせいでしょうね

ルパンに関しては完全に後追い世代のわたしですが、ルパン・サーガのもっとも
根幹にあるのは、1st.シリーズ、EDテーマに出てくる
「この手の中に抱かれたものはすべて消え行く運命なのさ」
というフレーズです
それこそがルパンの持つ異物性で、彼の凄味の源泉であり、「カリ城」ラストで
クラリスを抱きしめることが出来なかった理由だと考えています
この物語のラストでは、ルパンは「なにか」を持ち去ってしまうのかもしれませんね
その後、安全のためメンバーの大半はリベルテ泊。
不二子のみ、捕まる前に予約していたホテルへ。
ルパンたちは見張りを兼ねて外に停めた車で交代で眠り、翌朝アジトで武器等の準備をすることに。

〜リベルテ〜

ふじ子「じゃ、男性陣は向こう側のソファ。
    あたしと梨衣子ちゃんは、こっち側のソファね。」
リイコ「すみません、毛布代わりにテーブルクロスなんてお借りしちゃって。」
ふじ子「いいのよ。安全のためでもあるし。
    それにこういうのも、なんかワクワクするわ♪」
並 切「近所のコンビニでお泊りセットなんか買ったり。
    なんか大学の貧乏旅行みたいですねー。」
ソウシ「あんた、一言余計だよ。」
トシキ「ではおやすみなさい、皆さん。」

…… …… ……

ふじ子「梨衣子ちゃん。」ボソ
リイコ「なんですか?」ヒソ
ふじ子「明日のことなんだけど。ううん、今は答えなくていいわ。でも、これだけは聞いて。
    時間が来るまでに、できるだけ多くのことに考えをめぐらせてみて。
    あなたにとって一番大事な人は、ナイト君かもしれない。
    でも、そんなあなたを気にかけている人も、
    たくさんあなたの周りにいるんだってこと、忘れないで。
    ご両親や友達……ううん、たとえ見ず知らずの相手でも、
    1度かかわりを持ってしまえば、ほうってはおけない……それが人間ってものなの。
    最後までそういう人たちのこと……よーく考えてから、決めてね。」
リイコ「はい。ありがとうございます、ふじ子さん。」
ふじ子「じゃあ……、おやすみなさい。」

ソウシ「…………。」
〜深夜・リベルテ前〜

ルパン「なあ次元。」
次 元「何だ。」
ルパン「向こうのビルにいるトリ、見えるか?」
次 元「ああ。」
ルパン「あれ、撃ち落せっかぁ?」
次 元「何度もやろうとしたが、無理だ。俺の動きに反応してんのか
    すぐ建物や電柱の影に隠れっちまう。」
ルパン「面白くねーなぁ、ったく。」

五ェ門「あのカメラを搭載したトリで、どれくらいのことを知ることができる?」
ルパン「まー、あの大きさだと映像ぐらいかな。音声はあの距離じゃムリだな。
    唇の動きで喋ってるコトが分かるだろうが、口を見せなきゃ問題ねぇ。」
五ェ門「店内やその周囲に、盗聴器は?」
ルパン「オレの携帯型多機能パソコンで調べたけっども、そんな電波はなかったぜ。
    見つかったのは、不二子がカネの中に隠したコレだけだ。」

次 元「ちゃんと壊してあんだろな、ソレ。」
ルパン「いんや。」
次 元「おい! ルパン、おまっ!」
ルパン「いーじゃねーか、聞かれて困る話じゃねーし。
    愛する不二子ちゃんへの情報提供よ〜お。」

次 元「よこせ! 壊してやる!」
ルパン「きゃ〜あヤダヤダ、次元のエッチ〜い。」バタバタ
次 元「誰がエッチだ!」
キィ…
カッ、カッ、カッ、カッ……

コンコン
並 切「ルパンさん。」
ルパン「おう、オッサン。何か用かい?
    つかロボットの製作者のあんたが一番、誘拐される危険性が高いんだからな。
    ちったあ自覚しろよ。」
並 切「すみません、他の人のいないところで話がしたかったので。
    ……明日のことで、お話があります。」
ルパン「ああ……。で、あんたはどうするんだい?」
並 切「ご一緒させてください。01のいる島へ。」
ルパン「そっか……。覚悟は決まったんだな?」

並 切「はい。どんなことがあっても、見届けるつもりです。
    去年の01……天城ナイトの最期も、私が看取りましたから。
    それから、もしルパンさんの言った「最悪の事態」が起こった場合ですが……。」
ルパン「ああ。」
並 切「五ェ門さんの斬鉄剣ならば、四肢を切り落とし、確実に動けなくできるでしょう。」
五ェ門「無論。」
並 切「しかし、万が一五ェ門さんが戦闘不能となった場合……、
    確実に止めるには、頭の中のメインコンピュータを破壊するしかありません。」

ルパン「バッテリーとかモーターとか、動力部を壊すとか、他に方法はねーのか?」
並 切「胸部の動力系統を破壊しようとしても、銃弾による損傷程度ではすぐには止まりません。
    四肢の間接部のモーターに銃弾を撃ち込む、という手も考えましたが、
    有効な角度と、01の分析能力・動作速度を考えると、それも困難。」
次 元「おいおい、見くびってくれるじゃねーか。」
並 切「最悪の事態を想定し、できるだけ確実な方法を考えた結果です。
    可能ならばその方法をとっていただきたいです。

    で、もしメインコンピュータを破壊する必要がある場合、
    頭部の骨格の強度を考えると、狙うべきは目か、耳の穴です。
    そのいずれかに銃弾を撃ち込めば、確実にメインコンピュータが破壊され、
    01は即座に……機能停止します。」

ルパン「本当にいいのか?」
並 切「私は、01に涙を流す機能をつけませんでした。
    使い捨てられるロボットに、私どもやユーザーが廃棄をためらわせるような
    悲しみの感情表現は不要と判断しましたので。
    しかし……、01はあの最後の瞬間、泣きたかったと思います。

    あいつに魂があるのなら、天国にいるあいつは
    残った身体を殺人ロボットなどに改造されたら、きっと悲しみます。
    新しい01が以前の01と同様の心を持っているなら、同じことを思うでしょう。
    私はもう、あいつが泣きたくなるような思いをさせたくない。
    あいつの悲しみを増やすくらいなら、どうか……壊してやってください。」

ルパン「……分かった。」
並 切「では、失礼します。」ペコ

カッ、カッ、カッ、カッ……
キィ… パタン
次 元「愛すればこそ……か。」
五ェ門「まさに父親、でござるな。」


ルパン「…………、ど〜も疑問なんだがよぉ。
    敵さんはロボットに、感情や自分の意思なんて持たせて
    いったい何がしてえんだ?」
五ェ門「科学者の考えることなど、分からぬものだ。」
次 元「ただの興味本意じゃねーのか?」

ルパン「それ言っちゃおしまいだけっどよ〜お。
    オレは最初、敵さんの仕事柄、あのロボットの技術を
    兵器に転用するつもりだと思ってたんだよ。

    あのサイズで人間以上の運動能力、数100キロを持ち上げられる腕力、
    しかもそれが、自家発電だけでまかなわれてると来たもんだ。
    それが充電時間よりも、稼働時間の方が長い優れモノ。

    さらには人間の食い物を、備蓄エネルギーにしちまうエコ仕様。
    おーまけに完全分解するんで、廃棄物どころか水分も出やしねぇ。
    ドラ○もんだって涙や汗や、ヨダレや鼻水だって出してんだぞ。
    どんだけ効率いいんだよ。」
次 元「キカイ素人のオレでもすげーと思うわな。」

ルパン「不二子の話じゃ、それをちょーっと動くかどうか調べただけで、
    解体もしないで起動させて、自我の芽生えを再現しようとしたって言うじゃねーか。
    自分の意思を持つロボット、なんてシロモノ、普通に考えりゃ
    人間に逆らいかねねーから、危険と見なされ即廃棄処分だろ。」
次 元「そりゃそーだ。」
ルパン「とどめは解体処分されたっていう、2号機・02の存在。」
五ェ門「そんなものがあるのでござるか。」

ルパン「ああ。並切のオッサンと別のチームが作ったんだそうだ。
    比較試験の結果、天城ナイトこと01が梨衣子ちゃんのハートを射止め、
    敗北した02は解体処分となった。
    その時の戦闘がきっかけで、のちに01は機能停止することになる。
    
    んでだ。02は廃棄されたっつっても、今後の開発ために
    部品やプログラム、データ等全てをサンプルとして残された。
    しかし結局自我に目覚めなかったこと以外、
    スペックは2号機の方が上だってのに、敵さんはそれに見向きもしてねえ。

    部品をカバンやポケットに隠せる分、性能で劣る01をまるごと奪うより
    盗むリスクは少ねえハズだ。
    それならオレらをそそのかすなんて危険冒さなくても、産業スパイで事足りる。」

五ェ門「あの会社が気付いてないだけで、02は部品等すでに盗まれて、
    ニセモノと交換されているのではないか?」
ルパン「いや、そりゃあねえ。絶対に。」
五ェ門「 ? 」

ルパン「これら全てを総合すると、Drのメインの目的は01に使われている技術ではなく、
    天城ナイトとして芽生えた自我・感情……。
    だからわっかんねーんだよ。」
〜さらに深夜〜
キィ…
スタスタスタスタ……

五ェ門「? あの者は……?」





〜???〜

Dr 「そうですか、ルパンたちと井沢梨衣子が合流し、さらに01の製作者、並切岳まで。

   ……昔の恋人がここに来るかもしれませんよ、NIGHTLY-01。
   もっとも、あなたはもう、彼女のことを思い出せないでしょうがね。
   クク……。」

カプセルを前に笑うDr。
その中に横たわる、人の形をした存在。
その見開かれたままの目は虚ろで、かつて取り戻した光は、
完全に、失われていた……
141短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/10/23(木) 22:53:40
投下の間隔が広くなる代わりに長いですorz

>>132さん。&久方ぶりの私なりの解釈A、創志編。
本来、変にプライド高い割りに商業のルールを知らないなど青臭いけど、
だからこそ現実と直面して悩み、成長する、男性からすれば感情移入できそうな、
女性からすれば応援したくなるような、そんなキャラになる予定だったのかなと。
そのあたり全部もこロボに持ってかれましたがw
ナイトへの、リイコ告白ごまかしも、後で謝ったのか、梨衣子のことをあきらめナイトを認める
ことで謝罪に換えたのか描かれず。
送別会後の2人を見る限り双方わだかまりはなくなってるので、
どちらにしてもナイトの方は、創志のことを全て理解していたようですけどね。
最終回後の彼は、ナイトの影に苦悩しつつ、
それでも梨衣子のために、ナイトのために頑張り続けていることだと思います。

>>133さん。
>物語が、表面上ほど、軽くコミカルに進行していない〜
それはみんなの愛するもこロボが、大変なことになってるからだと思ってましたがw

以前に観た某BSの番組での話ですが、ルパンは「大人が描いた大人」であり、
ゆえにルパンは他のヒーローと比較して異質、とコメントされてました。
「この手の中に〜」も、だからこそかぶせることができるフレーズ。
この「大人」が何を指すかはいろいろな解釈があるでしょうが、私としては
清濁併せ呑み、なおかつ揺らがない、狂わない、が大人の条件の1つと思っています。
そんな大人の男が、ルパン三世。
(でもカリ城以外20代らしいです。なので創志とあんま歳変わんないことにw)

さて、この話が終わる時までに、ルパンが盗むものは何なのか。
私の考えたオチが希望に添えるか失望させてしまうか、今からドキドキですw
142名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/10/24(金) 06:49:11
今回の投下分、地味だけどいいッスね。
メカ好き、ミステリ好きには、ぞくぞくさせられます。
とらわれの友が、敵組織に利用され、モンスターとなって現れるというイメージは、
おれの大好きだった頃の、平井和正ウルフガイ「狼は泣かず」の大瀧雷太を思わせて、
ものすごい嫌悪感をもよおします。
おそらく「絶彼」好きにとっても、それは最悪の展開でしょう。
そのあたりをナイトの安否が不明な状況で言及するあたり、短冊さん、うまいが、
相当なSと見た。
〜翌日早朝・リベルテ〜

ジャーーー
シャガシャカシャガ…

リイコ「あ、おはようございます、室長。早いですね。」
ソウシ「おふぁよーさん。なーんか早く目が覚めちまってさ。」モゴモゴ

ガラガラガラ……ペッ

ソウシ「……。」ゴシゴシ
リイコ「……。」


リイコ・ソウシ「あの!」「あのさ!」


ソウシ「……何だよ。」
リイコ「あ、室長から先に。」
ソウシ「お前先に言えよ。」

リイコ「じゃあ…………。」
〜1時間後〜

ジューーーーー
コポコポコポ…

ガチャ
ルパン「おはよーさん、ずいぶんと早い朝食タイムだな。」
ふじ子「なんか早く目が覚めちゃって。」
リイコ「おはようございます、ルパンさん。」
ソウシ「おはようございます。」

次 元「2人足りねーな。便所か?」
ソウシ「並切さん、車の方に行ってるんですよ。なんかトシキがいないって。」
ふじ子「あなたたちも食べてく? リベルテ・オリジナルモーニングセット。
    五ェ門さんには和食もできるわよ。」
ルパン「じゃーそうさせてもらおっかな。アジトに行く前に腹ごしらえと行くか。
    つかこっちも今、五ェ門がいねーんだよなー。」
ふじ子「あら、五ェ門さんだけ朝のお散歩?」

リイコ「あの……ルパンさん。」
ルパン「おう、なんだい? 梨衣子ちゃん。」
リイコ「今夜のことですが、私も、一緒に行っていいですか?」
ソウシ「オレも一緒に。」
ふじ子「あなたたちっ……!」

ルパン「天城ナイトが改造されて、目を背けたくなるような姿になってるのを
    見ちまうことになってもか?」
リイコ・ソウシ「「……はい。」」
ルパン「遺書を書くくらいの覚悟は、できたのか?」
リイコ・ソウシ「「はい!」」
ふじ子「梨衣子ちゃん! 2人とも、本当にちゃんとご両親のこととか考えたの?」

リイコ「はい。いろいろ考えましたが、今ナイトのところに行かなきゃ
    一生後悔することになると思うんです。そんな予感がするんです。」
ソウシ「オレもです。それにここで井沢のそばにいなきゃ、オレは天城に一生勝てない。」
ふじ子「そんな理由じゃあ……。」
リイコ「それにあたし昨夜、峰さんがまだみんなに話してないこと聞いたんです。」
ふじ子「え?」

リイコ「ちょっと説明がしづらい話なので、みなさんが揃ってから」

バンッ!

並 切「ルパンさん! 峰不二子がどこに宿泊してるかご存知ですか?!」
ルパン「なんだよ急に。朝っぱらからでっかい声出すなよなー、オッサン。」
並 切「ゼロ、いえ、トシキ君がそっちに行ってるはずなんです!」
次 元「あー、そいつならゆうべ出てったんで五ェ門が尾けて」

RRRRR…!

ルパン「おう、五ェ門。何? 不二子に逃げられたぁ?」
並 切「何ですってぇえ?!」

ルパン「何やってんだよおめー。
    なに、ホテルの最上階の不二子の部屋の前で張ってたら、
    テラスから飛び降りただとぉ? そんでバイク2人乗りして逃げた、
    ……だとよ。」
次 元「ロープ使ったにしても、昨日会ったばかりの野郎と、いつの間に
    そんな連係プレイできるまでたらし込んだんだ、あの女。」

並 切「あああああ! しまったああああ!」
146短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/10/28(火) 18:23:47
T・O・S・H・I・K・I トシキさん、裏切りましたw
次回その辺のカラクリを。

>>136、下から2行目 ×間接 → ○関節
>>139、4行目 ×並切のオッサンと別のチームが〜 → ○並切のオッサンとは別のチームが〜
     9行目 ×今後の開発ために → ○今後の開発のために

>>106で斬鉄剣を残鉄剣と誤字したりしてましたが、脱字まで発生orz

>>142さん、
>相当なSと見た。
バレタ!Σ(゚Д゚ )   まあ いいや(AA略)
現在、先が楽しみなマンガが「H×H」「トリコ」「脳噛ネウロ」「SBR」「月光条例」「絶チル」「金剛番長」
「零」「絶望先生」「エンバーミング」「クレイモア」「屍鬼」「ベルセルク」「ヒストリエ」「PLUTO」で、
少女マンガは「カラクリオデット」終了後、ゼロですから。
なんというバトル&グロ率。 コレデ…キジョナンダゼw
(特に金剛番長の今の展開、アンドロイド好きにはワクテカが止まらないすw)

でも幼少期に構成した基礎はドラえもん等F作品。
初期大長編ドラの終盤どんでん返しと、ハッピーエンドが大好きなんですよ基本的には。
 でも  S  (w
ふじ子「相当惚れっぽいのね、トシキ君って。」
並 切「きっと昼間に倉庫で見張りをさせてた時か、
    昨夜の夕食後に出ていった時だああっ!
    うがあああああっ!!」ゴロゴロ

ふじ子「……ちょっと。そこまで悶絶されるとさすがに引くわよ。
    なっちゃったものは仕方ないでしょ、
    他人の性格なんて、完璧に分かるわけないんだから。」

並 切「そうじゃないんですよ彼に関してはああああ!」
ふじ子「は?」
リイコ「あ……ひょっとして。」
ソウシ「 ? 」

ルパン「オッサン……、もう隠し事は無しにしようぜ。
    ロボットなんだろ? そのトシキってヤツ。
    クロノスヘヴン社の恋人型ロボット、NIGHTLY-TYPE・02。」

ふじ子「はぁ?! あなた、まだ作ってたの!?」
〜昨夜・公園近辺〜
カッカッカッカッ……
スタスタスタスタ……

不二子「いつまでついてくる気?」
トシキ「あなたがリベルテに戻り、並切さんがもういいと言うまでです。」
不二子「……。」

不二子「あら、あなた何かついてる。」
トシキ「え?」
不二子「ルパンったら、あなたに発信機なんかつけたのね。
    あたしが取ってあげるわ。いいと言うまで目をつぶって。」
トシキ「はい、こうですか?」ス…

不二子(今だわ!)

ムチュッ!

トシキ「 ! 」

ガク、キュゥゥゥゥ……ン

不二子「思ったとおり、この子もロボットだったのね。
    それにこのシステム、ナイトと共通だったようね。うふふ……。」


トシキ「…………。」パチ

スッ…

トシキ「はじめまして、彼女。」ニコ
〜時間は戻り、リベルテ〜

並 切「実は、これこれしかじかかくかくうまうまで……。」
ふじ子「なるほどね、別チームのね……。
    それのプログラムを変えて、あなたの言うこと聞くようにした、と。」
並 切「言っときますけど、恋人設定したわけじゃないですよ。そんな趣味ありませんから。
    それでですね、そのあたりのプログラムを組み直す時間が惜しくて、
    代わりに01の基本プログラムのファイルをいくつか、02に放り込んだんですよ。
    私としては、バグやエラーが出なければよかったので。
    その中に、キスによる初期化再起動システムが混じってたのではないかと。」

次 元「それでキスされて、不二子の入れ知恵で皆が寝静まったのを見計らってホテルへ。
    ご丁寧に車の中に置き手紙残して、か。

    『ボクの恋人、峰不二子さんのところに行きます。
    それから、以下は不二子さんからの伝言です。
    「協力&情報料として、恋人型ロボット・02は頂いていくわ(はぁと)」
    ではみなさんお元気で。     トシキ』

    ……だってよ。」

ソウシ「入っちまったのは仕方ないとして、んな変なプログラム作んなよ。」
並 切「倦怠期対策のリセット機能なんですよ! 変じゃありませんっ!」
次 元「リセットの方法がよその女のキス一発って、簡単すぎだろ。」
ふじ子「ナイトが一時期、美加ちゃんと付き合ってたのは、
    そのプログラムが原因だったのね……。」

ルパン「ともかくだ、オレがあいつにつけた発信機も、当然壊されてるワケで。
    並切のオッサ〜ン、あいつにゃGPSとかついてねーのかよ。」
並 切「急ごしらえだったので、入れるヒマなかったんですよ。
    服務規程プログラムがありますから、犯罪の片棒を担ぐことはないでしょうが……。
    ああ〜、これでこちらの戦力が格段に落ちてしまった〜あ。」
ふじ子「それにしても、よく彼がロボットだって分かったわねぇ。
    全然分かんなかったわよ。ナイトよりも自然だったもの。」
ルパン「まーオレっちは変装の達人だからね〜え。
    自分でやってるから、演技とそうでないのとを見分けるのは得意なのよ。
    あいつのは、素人にはちょーっと難しいレベルだったけどな。
    それだけ違和感ねーんだ。よくできてるぜ、オッサン。」

並 切「ちっとも嬉しくありませんよ。私が作ったんじゃないですから。」
ルパン「おや、ひょっとしてトシキくん作ったチームとは仲悪かったの? そりゃあ失礼。」

次 元「そんで戦力大幅ダウンしたところで、今夜の予定はどうするんだい?
    あんたの席はキャンセルするか?」
並 切「……行きますよ。成功の可能性が下がって動揺しただけです。」
ルパン「んじゃ予約は3名に変更だな。」

並 切「3名……? まさか、井沢さん!」
リイコ「はい。その前に、皆さんにお話したいことがあるんです。
    ……五ェ門さんがまだ帰ってきてないですけど、どうしましょう?」
ルパン「あーいいって、五ェ門にゃオレから後で車ン中ででも話しとくから。」

 …… …… ……

並 切「そんな奇跡のようなことが……。」

リイコ「峰さんが言ってました。あたしなら奇跡を起こせるかもしれないと。
    だったら賭けたいんです。
    あたしが行くことで、もう一度ナイトに奇跡が起こることに。」
ソウシ「行かなかったら、きっとオレたち後悔します。
    あいつが停止してから、これまで歯を食いしばって
    前へ進んできたつもりだったけど、今回のことを人任せにしたら
    オレたち、今度こそ止まっちまうと思うんです。」
12
ふじ子「梨衣子ちゃん、創志くん……。」
ルパン「オーナーさん。若いヤツらの情熱は、止めようとして止められるモンじゃねーよ。」
ふじ子「……。」

次 元「そんじゃ、オレとルパンは今から出て五ェ門を拾い、アジトへ直行する。」
ルパン「そんで今夜、あんたらを迎えにまたここに来る。
    キャンセルは船が出るギリギリまでOKだ。時間はまだたっぷりある。
    行こうと思ってるヤツは、それまで遺書でも書きながら考えてな。」
次 元「じゃあオレたちは行くぜ。また今夜な。」
ルパン「そんじゃあ、またな。」
ガチャ

キィ… パタン
152短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/10/29(水) 22:15:36
とうとう本編が100レス越えしてしまいました。
>>151、13行目の数字は間違いです。読む時は脳内から削除してください


私なりの解釈B、並切編。
最初から最後までナイトを愛し抜き、その最期を唯一看取った人。
ナイトがその相手に選び、最後に言葉を交わした人。

この人は、「ナイトしか見てない。」これに尽きますw
時折本スレで、「このスレの人は並切視点なんですね」
などというレスが見られましたが、そういう意味の揶揄でしょう。

はじめは研究対象として(使い捨ても視野に入れ)、
5話以降はわが子として(切り捨てられない・切り捨ててはいけない存在として)。
どっちにしても、試作品のKYロボット+1億円の借金押し付けられるリイコの気持ちは
まったく考えてないw
やりたいことへの情熱はすごいけど、傍迷惑な人です。変に自信過剰だしw
ナイトの危険性に関して、ちゃんと悩む程度に常識はあるようですけど。

ナイトの製作理由。私は>>99-100でああ書きましたが、
本当のところ、ただ「自分の技術でどこまですごいのが作れるか」を
試したかっただけかもしれません。
というか日本の技術屋の人の大半は、そんなものだと思いますw
蔵之介氏がインタビューで、「並切はロボットオタクでもある」と言ってましたしw
153名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/10/30(木) 08:18:15
短冊さんは、S……?
なにか島でもの凄いものを見せられそうだ
それは、本編では「しょぼい」「予算ないんか」と不評だったあのシーンの
パワーアップバージョンかも
154名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/10/30(木) 12:39:57
本編では出番の割りにいまいちよくわかんなかった性格のソウシも上手く表現されてますね
ミカは露出が少なかった割りに性格がわかりやすく表現されていたように思えます
ふじこさんと波切のラブの可能性もあるかなと思ったけどロボオタクなら無理かな
ナイトが本編では絶対見れないだろうダークナイトになってしまうのか、
それともりいこの愛の力で記憶を取り戻すのか目が離せませんね。
155仮面ライダー電王ネタ:2008/10/30(木) 13:36:12
リュウタロス「あ、亀ちゃんがDVD見てる。なに見てんの〜」
ウラタロス 「絶対彼氏。速水もこみちがロボット役で出てる奴。」
デネブ「あぁ、それ知ってる恋人ロボットだろ?俺はもこみちドラマなら東京タワーがいいな。最終回泣いちゃった。もこみちもなんかかわいかったし」
モモタロス「あんな変になまったもこみちいいか?どうせならブラザー☆ビートの方がよくねぇ?テンション高くて面白かったぜ」
キンタロス「ブラザービートのもこみちは玉山鉄二の弟役やったけど、玉山の弟には見えんかったな。顔と身長が。それよりレガッタの方が好きやな俺は」
リュウタロス「あれすっごくつまらなかった!」
キンタロス「そんな嫌そうに言わんでも」
ウラタロス「そういやレガッタの番宣でドラえもんのストーリーに出演してたね。ラストのもこみちの表情なんか嫌だった。イメージが狂うよ」
キンタロス「大げさやな。俺は笑えたで。たまにはああいうのもええやん」
ウラタロス「僕はやっぱり絶対彼氏のもこみちが一番好きだな。君たちも見てみなよはまるよ」
ジーク「お供達、何を話しているのだ?」
リュウタロス「速水もこみちってタレントの話だよ」
ジーク「誰だ?知らぬ名だが」
モモタロス「何!」
ウラタロス「もこみちだよ。知らないの!」
デネブ「うそぁ!」
五人「バッカみてぇぎゃーっはっはっはっはっは!」
ジーク「貴様ら・・・頭が高ーい!」
(五人、縮む)
156名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/10/30(木) 16:03:30
↑このマルチポスト意味不明
その日、リベルテに残ったメンバーは各自、自分なりにできる行動を取った。
梨衣子と創志は、まず動きやすい服と靴を購入。
(並切は普段のスーツでいいと答えたため、彼の分は購入しなかった。)

それから梨衣子は、便箋を用意し、
ルパンに言われたとおり遺書を書くのか、何事か書き……
手を休めて、両親をはじめとする友人・知人に電話をかけ始めた。
あくまで自分は、フランスでパティシエの修行中だと装って。

ふじ子は店を開けるため、準備に取り掛かる。
臨時休業にするつもりだったが、ルパンに客の目があった方が
敵方も犯罪行為を起こしにくい、とアドバイスされたからだ。

並切は、ずっと機械をいじっている。
峰不二子を捕らえるために彼が発明した武器?を持ってきていたようで、
それらの整備に余念がないようだ。

創志は、そんな3人の間を行き来していた。
ふじ子を手伝って店の掃除をしたり、並切の機械について質問をしたり、
時々テーブルで、梨衣子同様便箋に何かを書き……
そんなことをしながら、ちらちらと梨衣子を見ていた。
最後になるかもしれない友人との会話に夢中の梨衣子は、そんな彼の視線に気付かない。


その中で4人とも、必要最低限の言葉以外に口をきかなかった。
これから待ち受けるものに対する、3人の思いがすでに固まり、
互いにそれに立ち入ってはいけないことを、分かっていたから。

やがてアルバイトの孝太が来て、リベルテは開店時間を迎えた。
夜。
常連客でほどほどに賑わうリベルテに、銭形が意気消沈した様子で来店。
「日本の警察も地に堕ちた……。」とか、
「正義はどこへ行ったんだ〜あ。」などとつぶやくのが聞き取れた。

孝 太「なんかあの刑事さん、1人で店の雰囲気悪くしてるんスけど。」
ふじ子「人にはいろいろあるのよ。」

そして、ルパンたちの乗ったフィアットが店の前に止まる。

ルパン「よっ、全員いるな。とっつぁんも。」
並 切「皆さん揃って来たんですか。お三方のうち誰かお一人でもよかったのでは?」
次 元「ルパンがとっつぁんに、オレたちがここに「集まる」って言っちまったからな。」
五ェ門「そちらに気が変わった者はいるか? いないなら、出発だ。」
銭 形「ルパン……お前と手を組むのは、あくまで人助けのためだからな。」
ルパン「へいへい。」

並 切「あ、ちょっと待ってください。一旦、駐車場へ来ていただけますか?
    本人確認のため、私の車に積んである透視スキャナで、
    変装かどうか調べさせてもらいます。」
ルパン「オッサンも慎重だね〜え。まー今回の相手を考えると、しょーがねっか。」
本人確認を終えた並切は、車をフィアットの後ろに移動。
店内で待っていた梨衣子たちを呼び、並切の車と分乗する。

孝 太「オレは皆さんがどんなことになってるのか
    よく分からないけど、とにかくお気をつけて。」
ふじ子「梨衣子ちゃん、皆さん……、
    どんなことがあろうとも、決してあきらめず、臨機応変にね。
    あきらめた時が、全てが本当に終わってしまう時なんだから……。
    どうか、無事で帰ってきてね。みんな、1人も欠けないよう。」
ソウシ「はい!」
リイコ「ありがとうございます、ふじ子さん。
   それと、帰って来る時はナイトも一緒です!」
並 切「では、行ってきます。」

ふじ子たちの見送りを受け、一行は一路、港へ。


孝 太「ふじ子さん、オレ先に入ってますよー。お客様待たせちゃまずいっスから。」
ふじ子(神様……信心深くもないのに虫のいいお願いですが、
    もしもあなたが本当にいるのでしたら。
    どうか、みんな無事で……。)ギュ…
160短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/10/31(金) 18:27:33
次回、やっと島行きの船が出せます。

>>153>>154さん。
いやまあ、少なくともいじめられてヨロコぶ嗜好は、私にはないので
Sに分類されるのかなあとw いぢめる趣味もないですけどね。
ただ、ほめられ過ぎると付け上がる危険性があるので、自己の抑制を常に心がけてますw
さすがにこれから先の展開を言うことはできませんが、さほど期待せず(?!)お待ちを。

>>155さん(?)、ネタ投下してくれたと思ったら、どうも違うご様子。
同じ内容を本スレと、もこスレで発見したけど、前スレの比較検討スレを経由しなければ
なんでもあり板のここを発見するのは困難なわけで???

ネタ投下はいつでもどんなものでも(ギャグならキャラ崩壊しても)歓迎ですので、
皆様ご遠慮なく。 イヤマジデ
彼女の手に握り締められた、2通の封筒と、1枚の記録メディア。
死地へと向かう3人から、それぞれ己が戻らぬ時のために、と託された遺書たち。
1年前、あの優しいロボットが最後に託した手紙を、嫌でも思い出させた。

ふじ子(きついわね。今回は分かっているのに、止められないなんて……。)

彼女は願う。
この手にある3つのうち、どれ1つたりとも役に立つことがないように……、と。



〜深夜・海上〜
真っ暗な海を、一隻のクルーザーが進む。
それに乗るのは、世界的に有名な泥棒一味と、その被害者たちと、
いつもは泥棒一味を追う刑事。
約束のため、己の信念のため、愛を取り戻すため。
それぞれ芯とするものは微妙に違えど、目的とするものは皆同じだった。


ルパン「んーじゃ、作戦会議を始めるとすっか。」バサッ
リイコ「次元さんと五ェ門さんが、見張りと船の操縦でいませんけど、
    いいんですか?」
ルパン「大丈夫だって。あいつらにゃ昼間アジトで説明済みよぉ。
    それに今も、ちゃあんと通信機で参加してるぜぇ。」
次 元『こちら甲板の次元。そーいうこった。』
五ェ門『こちら操縦室の五ェ門。心配は要らぬ。』
ルパン「てなわけで始めっぞぉ。
    作戦は、『みんなオレについて来〜い!』で行く。」
ガクッ!
銭 形「何だそれはぁ!」
ルパン「次元が見張ってる、つっても、敵さんの偵察メカが聞いてるとも限んねぇんでな。
    作戦はオレの頭ン中にしまっといて、当日指示することにした。
    てなワケで作戦の基本は、全員固まって行動だ。」

ソウシ「狙い撃ちにされませんかね。」
ルパン「もし別行動を取る必要があったら、その時のために組を決めとく。
    お前さんに次元、並切のオッサンに五ェ門、そんでオレは梨衣子ちゃんにつく。
    オレたちの方が目を配るから、あんたらは組になってると意識する程度でいい。」
次 元『分かった。』
五ェ門『承知。』

銭 形「ちょっと待て、ワシはどうする。それにお前を若い女性につけるのは、
    別の意味で危険だろうが。」
ルパン「おいおいとっつぁ〜ん、オレぁそこまで節操無しじゃね〜ってよぉ。」
銭 形「それにワシは、事が済んだらまずお前を逮捕しなきゃならん。
    というわけで、ワシはお前と共に井沢さんにつくぞ。」

ルパン「へいへい。んじゃ続きな。
    これが不二子がメールで送ってきた島の見取り図と、
    あいつが島にいる時調べた限りの、警備システムの配置。
    この中で重要な建物は、NIGHTLY-01こと天城ナイトが捕われているだろう
    研究棟と、警備システムを管理している管理棟の2つ。
    親玉のDrは、たいてい研究棟にこもってんだと。

    そんで管理棟の方はとゆーと、屋根にあるでかいアンテナを壊すことができれば
    無線で管理されてる、外の警備システムは役に立たなくなるそうだ。
    そーなれば、あの島の人間は50人程度いるが、ほとんど戦い素人の研究員だから
    攻め込むのはかなーり楽になる。」
並 切「彼女の送ってきた情報なんて、信用していいんですか?
    02を土産に、あっちに寝返っているかもしれないんですよ?」
ルパン「そりゃねーよ。あー見えて不二子はプライドの高い女だ。
    昨夜の不二子の様子からすっと、相当トサカに来てるぜ。
    相手について何にも言わねーってのが、一番怖えーんだ。」
並 切「そうなんですか……。
    しかし、彼女に02を奪われたのは痛いですね。
    リモコンがここにあっても、何にもならない。」
銭 形「リモコン?」
並 切「02のみの仕様ですが、これで一時停止状態にしたりできるんです。
    暴走した時なんかのためにね。
    ただし、有効範囲がテレビのリモコン並に短いのが玉にキズで。」
ルパン「そーいやオッサン、何かいろいろ持って来てたよな。
    ちょーっと見せてくんね? 手札を知っておきてえんだ。」

…… …… ……

並 切「峰不二子を捕獲するためのものが主なので、多くはないですよ。
    ほとんど02頼りのプランでしたから、あまり役には立たないかと。」
ルパン「催眠ガスに、スタンガンね。このオモチャのバズーカみてーのは?」
並 切「防犯用に開発した、特性ネットガンです。
    特性の網を発射して、4〜5人ぐらい一度に拘束可能です。
    ただ弾数が多くない上、人間以外にはあまり効果がないと思います。」
銭 形「では……この洗面器は何ですかな?」
並 切「あ、それはわが社自慢の、チタン合金製洗面器です。
    手榴弾程度でしたら、かぶせるだけで爆発の被害を完全にシャットアウト!
    護身用にお一ついかがですか? 今なら大まけにまけて……。」パチパチ…
    「このお値段で。お支払いはカード、何でしたらローンも可能ですよ。」
ソウシ「それはいいから……。」
ルパン「で、こっちもあんたら用に使えそうなモン見繕ってきた。」ガラガラ
リイコ「銃……ですか?」ブルッ
ルパン「こっちはスタンガン銃。100人気絶させてもまだ電池に余裕がある優れモノ。
    引き金を引くと、電極の付いたワイヤーが飛び出て、ビリビリッ、だ。
    オレたちゃ、今回は殺しはしない方針で行く。
    大半素人さんだし、いけるだろ。それにとっつぁんの目もあるしな。
    んでこれは、射程が3メートルしかねーから……、
    まあ梨衣子ちゃんの護身用かな。」ほい
リイコ「あ、はい。ありがとうございますっ。」ワタワタ

ルパン「そんでも一つ。金属探知機に引っかからない銃。」
並 切「何なんですかそれは。」
ルパン「いやさ、オレっちは研究資金が足りなくて困ってる科学者を雇って、
    いろんな便利グッズを発明してもらってんだよね。
    そんでそのうちの1人が、アピールしようと今回注文した武器の中に、
    勝手に新発明を入れてきやがったのよ。
    んーでその銃、主に強化プラスチックでできていて、実弾と麻酔弾が撃てるんだけどよ。
    強度に不安があって、何発か撃ったら精度が落ちてくるわ、
    しまいにゃ暴発の危険性まで出てくんのよ、コレ。御曹司クンが使いな。」ほいっ

ソウシ「麻酔弾使うにしたって、そんな危ないもの使えませんよ!」
ルパン「護身用だーって。それに暴発は100発以上撃たねーと起こんねーってよ。」
ソウシ「本当ですかぁ?」
ルパン「でもって並切のオッサンは、自前の得物でいーとして。
    あとは催眠ガスを3人で分けりゃいーかな。」

コロコロ…
並 切「あ、この容器は何ですか? 中身は……砂金?」サラサラ
ルパン「あーそりゃ関係ねー。」パシッ
    「新発明の万能キー、その名も「ひらけゴマ」だとよ。
    振り掛ければどーんな鍵でも開けられちゃうのよ。南京錠から電子ロックまで。」

銭 形「ルパン貴様そんなものまで!」
並 切「すごいじゃないですか! いったいどんな原理なんです?!」
ルパン「企業秘密だから教えませ〜ん。
    ただ一つ言っとくと、これの開発にオレは兆の単位の金を払った。
    だけっどこれは使い捨てで、一回こっきりしか使えねー。
    命がかかってることじゃなけりゃ、こーんな高いモン使えっかよ。」
銭 形「ふん、その方が世間のためだわい。」

ルパン「科学者なんて人種を飼うのは大変だよ。
    金食い虫のクセして、めったに役に立つモンは発明しねー。」
並 切(う……!)グサ
ルパン「でーもな。その「めった」があるから、切り捨てらんねーんだよな。
    しょうがねえから、こいつはオレのポケットに入れておく、と。」スッ
166短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/11/06(木) 21:26:33
コピペ範囲を間違え、>>159が最後の数行切れてしまってました。
なので切れた分を>>161冒頭に。
おかげでちょっと変です。

みなさま、DVD発売というのにまだ終わらず申し訳ないです。
しかし私が五体満足である限り、必ず最後まで書きますので。
〜クルーザー甲板〜
ターン……!

梨衣子は、甲板で真っ暗な海を見ていた。
作戦会議の後、ルパン一家+銭形は2人交代で、(2人は船の操縦と外の見張りに必要)
並切からナイトが敵として現れた時のため、メインコンピュータ破壊以外の
停止方法(四肢のモーター破壊等)の説明を受けている。
射撃の不得手な梨衣子と創志は、この講義から外されたが、
それでも創志は少しでも銃という物騒なものに慣れようと、下の船室で射撃練習中である。

ターン……!
甲板には見張り役の次元がいるが、梨衣子のいる場所とは
船室をはさんで反対の方にいて、互いに見えない。

おもむろに、梨衣子は胸のポケットからケースを取り出す。

リイコ「……。」パカ…

 バ ァ ン !

リイコ「わっ。」ギュッ

ヒュルルルル…ポシャッ

ルパン「わ〜りぃわりぃ。敵さんの偵察メカが飛んでたんでね。
    見られてんのも気分悪ぃんで、こーやって撃ち落としてんのよ。」
リイコ「びっくりしたぁ。並切さんの説明は、もう終わったんですか?」
ルパン「オレぁね。たーだとっつぁんの方が飲み込み悪くってさーあ。
    オレは次元と見張り交〜代。
    で、それ何だい?」

リイコ「……ナイトの、メインICです。」パカッ
ルパン「焦げたモチ状態じゃねーか。火事にでもあったみてーだぜ。
    こんなんで動いてたんかよ……。信じらんねーな。」
リイコ「はい……。並切さんは、ナイトが必死で生き抜いた証だと言っていました。」
ルパン「そっか……。
    本当に、梨衣子ちゃんのこと愛してたんだな、コイツ。」
リイコ「……。」

ルパン「そーいやさぁ、ちょーっと気になることがあんだけっどよぉ。
    ナイトって名前、NIGHTLY-01からつけたのかい?」
リイコ「違いますよ。あたしを守ってくれる、ナイトだからです。」
ルパン「あー、夜のNIGHTじゃなくって、騎士のKNIGHTなのね〜。」
リイコ「はい……。」
ルパン「……済まなかったな、あんたの大事な存在を奪っちまって。
    この借りは、必ずあの島からあいつを取り戻すことで返す。」

リイコ「…………あの、ルパンさん。あたし、分からなくなりました。」
ルパン「ん?」
リイコ「あの島にいるナイトと、このメインIC。どっちが本当のナイトなんだろう、って。
    あたしは、この小さな部品がナイトの心だと思ってました。
    でも不二子さんの言葉の通りなら、新しいICチップで動き出したナイトにも、
    あ…あたしを思う感情が、記憶の底にある。
    並切さんも言っていましたけど、あっちもあたしの知ってるナイトだとしたら、
    このICチップは……、いったい何になるんでしょう?」

ルパン「ん〜と、両方とも梨衣子ちゃんのナイトじゃあね〜の?」
リイコ「そんな。」
ルパン「オレっちはロボットの心のコトなんて、詳しくないんだけっどさ〜あ。
    不二子はこうも言ってたじゃね〜か、欠片かもしれないけど、って。
    だ〜から今のナイト君の心は、そのICチップと島に捕らわれてる身体の
    2つに分かれっちゃってんじゃね?」

リイコ「2つに、分かれて……。」
ルパン「ただ、欠片だけじゃあ、本当に別人になっちまうかもしんねえ。
    一方がその有様じゃあ、本当に奇跡でも起きなきゃあ、
    確実に、完全に元通りにすることはムリだわな。
    そんなナイト君をどう判断するかは、梨衣子ちゃん次第だ。」
リイコ「あたし次第……。」
ルパン「そ。」

リイコ「あ。ルパンさん、何であたしが不二子さんに言われたこと、
    そんなに詳しいんです?
    あたし皆さんに話す時、欠片って言葉使わなかったんですよ?」
ルパン「(ヤベッ)あらそ〜お? それより今日は早く寝た方がいいぜぇ。
    作戦と決行時間は、島に着く明日の明け方に伝えっからな〜。」
リイコ「ちょっと、ルパンさん。」
ルパン「睡眠不足はお肌が荒れる元よ? んじゃあおやすみ〜。」タッタッタッ
リイコ「……もうっ。」

ルパン「お、そのふくれっ面。いいね〜。」ヒョコ
リイコ「え? あ、何ですかもう。」
ルパン「オレ梨衣子ちゃんのいろんな顔、もっと見たいな〜あ。
    オレと一緒のベッドで寝てる、寝顔とか。な〜んちゃって。」
リイコ「え……。」
(ナイト『梨衣子の寝顔、見たいな。』)
ルパン「おや、どしたい? 固まっちゃって。」
リイコ「ナイトも……、同じようなこと、言ってたから。」
ルパン「あ…………、わりぃ。
    ……なあ梨衣子ちゃん。昔の騎士のことを思うのも大事だけどさ、
    今あんたの騎士になろうと必死にがんばってるヤツのことも、
    ちったあ、気にかけてやれよ。」
リイコ「え?」
ルパン「今度こそ、おやすみっ。」

リイコ「………………。」
ソウシ「よう。」スッ
リイコ「あ。射撃の練習は、もういいんですか?」

ソウシ「一晩程度で上手くなるワケじゃねーから、
    腕が痺れるほどやったら明日に響く、って。
    反動の逃がし方を覚えれば、それでいいってさ。
    ……使わずに済めば、それが一番いいんだろうけど、
    備えずにはいられないだろ? 相手が相手だし。」
リイコ「すみません……こんなことになってしまって。」
ソウシ「それ、ICチップか。……天城の。」
リイコ「はい。どうしても置いていく気になれなくて。」

ソウシ「ずうっと、一緒だもんな。」
リイコ「……はい。」

リイコ「あ、あの。トシキさん、今頃どうしてるんでしょうね。」
ソウシ「ん? 峰不二子の恋人してるんじゃね? そういうプログラムなら。」
リイコ「プログラムで心を操られるって、どんな気持ちなんでしょうね。」
ソウシ「プログラムで動いてるうちは、心も気持ちもねーだろ。
    天城は……自分の意思を持ってからは、どのあたりまで
    操られてたのかいなかったのか、分かんねーけど。」
リイコ「トシキさんにも、自分の意思が芽生える時が来るのかな。」
ソウシ「……。」

ソウシ「井沢……。オレ、天城に勝てること、もう1つ見つけた。」
リイコ「え?」
ソウシ「あいつは自分の意思を持つ前に、プログラムでお前の彼氏と決められて、
    相手を選ぶ、ってことがなかった。
    だけど、オレはこの世界にいる大勢の女の中から、
    他の女とも付き合った上で、お前を選んだ。おれ自身の意思で。
    ここに来たのも、井沢、お前が好きだからだ。今もオレの一番は、お前なんだ。」
リイコ「……!」ドキン
ソウシ「あっ、でも勘違いするなよ?
    これはお前のためじゃなく、お前が好きなオレ自身のためだ。
    お前がオレを巻き込んだとか、後ろめたい思いをする必要はない、
    それだけが言いたかったんだ。」

リイコ「室……創志、さん……。」
ソウシ「お前がオレの思いを聞いたことで、その後のことをどうするかは、
    今度のことが全部終わった後でいい。
    お前がNOだとオレ、ヤケになっちまいそうだし、
    OKだと、もし失敗して死んだら悔いが残る。
    ……んじゃな。」くるっ

スタスタスタ…

ルパン「よっ。……男は辛ぇな。」
ソウシ「……やっぱオレ、意気地なしです。
    あいつの返事聞かずに、逃げちまいました。」
ルパン「いや、上出来だ。ボンボンのお前さんにしちゃ、な。
    こんな時に告白して、すぐに答え出せって言う方が酷ってモンよ。」
ソウシ「ありがとうございます。……オレ、もうちょっと射撃の練習してから寝ます。」
ルパン「ああ。でもあんま夜更かしすんなよ、明日は早ぇからな。」
ソウシ「大丈夫です……。」スタスタ…

ルパン「……大丈夫、ねぇ。」
〜船室〜

並 切「しかしこれらの部位をカバーするような
    装甲パーツでも付けられたら、銃はアウトなわけでして。」
次 元「2〜3日程度じゃ外身の改造は大してできねーだろうが、
    装甲服って手もあるしな。
    それをやられたとしたら、頼りは五ェ門のみ、ってことか……。」



ルパンたちの乗るクルーザーの外壁に、魚のようなヤモリのようなロボットが張り付いている。
魚ロボットが盗聴する並切たちの会話を聞くのは……Dr。

〜???・コンピュータルーム〜

Dr  「練りなさいな、策を。精一杯頭を働かせて。
    私からも、彼らに与えてあげるとしましょうか。
    微々たる希望と、千億の絶望を。」

モニターには、ルパンに撃ち落された鳥型ロボットが最後に送ってきた映像が映る。

Dr  「やはり彼女が持っていましたか……。
    これでまた、あなたを完成に近づけられますよ。『NIGHT』……。

    あー……、楽し。」 ク、ククク……
173短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/11/08(土) 17:59:13
届いたDVDの、封も切らずに書いてます。
完成まで封印すべきか、参考のために観るべきか。

来週、戦闘開始。
今回が静かに会話ができる最後のチャンスなので、詰めこんでます。長いです。
174名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/11/08(土) 19:42:15
短冊さん楽しく読んでますよー
途中なのでアレなんですけど一つだけ・・・・ナイトは
リイコ以外の誰に届けられても彼氏にはなったけど
リイコだったから自我が芽生えたんだと思います
それは世界にいる大勢の女の中から選ばれる一人よりも
大きいことかもしれないと思うんです
生意気いってすみません・・
175短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/11/10(月) 20:52:15
ここのとこシリアス度が高いので、気分転換に自己パロ書いてみたりして。

<トシキ組み立て中(>>31あたり)>

田 中「並切さん、いいんですか? 02に01のプログラム入れちゃって。
    性格設定とか、おかしなことにならなければいいんですけど……。」
並 切「いんだよ、細けぇ事は。バグやエラーが出なくて、オレの言うこと聞けばいいんだ。
    ったく、時間があればもっとしっかり改造できるってのに。」
田 中「……ドリルとか?」←冗談

並 切「……。」

         モヤ
並 切「ドリルアーム、3本爪クロー、キャタピラレッグ……。」
                      モヤ
田 中「な……並切さん?」

並 切「かっ……かっちょいいかも……!!!
    読者の皆様、どう思いますか!?」ばっ!(カメラ目線)


ロボットオタクと言うと、こんなイメージがw
並切さんと封神演義の太乙真人って、自らの作品と擬似親子な状態になる部分が
共通してるなと。ただそれだけw
176短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/11/10(月) 20:53:52
>>174さん、構いませんよ。それだけドラマ絶彼を愛してくれる同士がいるのが嬉しいし、
私の駄文でもこうやって叩き台にして語れるのが楽しいです。
>リイコだったから自我が〜
それは私も同意見ですよ。
この後の部分は、ラスト近くで言及する予定ですので、しばらくお待ちを。
今言えるのは、梨衣子に会ったことがない恋人型ロボットを峰不二子に届けたところで、
自我・感情を持つことはないでしょうw

この話で、ナイトが不二子相手に感情が戻った理由。
まず不二子が言った「サブICに残った何か」とは、「梨衣子への愛情(と感情の欠片)」です。
しかし元のメインICと記憶がないために、梨衣子の姿形も声も思い出せず、
(メインICに限定すれば元のナイトとは別人なので、そもそも知らない)
恋人として新たに設定された不二子を、その愛を捧げる対象(梨衣子)だと
深層意識(にあたるもの)の中で勘違いしてしまったんです。
だから過去に自我に目覚めた時と似た状況になることで、サブICがナイトの新ICに感情をもたらした。
不二子はそれを直感的に悟り、梨衣子に嫉妬交じりのハッパをかけたのです。

あと、創志のセリフに関しては、彼は2chで言う「○○必死だな」状態で、
リイコが好きなあまりに、ナイトに勝てる部分を一生懸命探してるんですよ。
ルパンの言うとおり、青臭い(だが、それがいい)若者なんです。
177短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/11/10(月) 20:56:01
最終決戦の前に、各キャラの心理状態を整理してみます。

<絶彼メンバー:再起動後のナイトにどれだけ感情が戻ってるか知らない>
ナイト:停止中。はたしてDrに何をされているのか……。
リイコ:当座の目的は、Drからナイトを取り戻すこと。
    しかしナイトが蘇る可能性と、別人のままな可能性、
    さらに最悪の事態になる可能性の間で不安な中、
    ソウシからのアプローチを受けて揺れている。
ソウシ:ナイト停止後からずっと、リイコのためにあらゆる面でナイトに勝とうと必死。
    そのがんばりが裏目に出たり、精神のバランス崩したりしなければいいのだが。
並 切:目的は一貫して、ナイトを取り戻すこと。
    親としてナイトを愛するゆえに、最悪の事態を想定し、心を鬼にして
    ナイト破壊も視野に入れる。しかし情は強いので、心中穏やかではない。
    できればナイトが完全復活して、リイコと幸せになってほしいと願っている。
トシキ:初期化再起動により不二子の彼氏に。
    プログラムのみで動いてるので、特に思想無し。

<ルパン一家:不二子以外、動いてるナイトに会ってない。>
ルパン:調査不足の盗みによって、リイコを悲しませることになったため、
    己のポリシーのために自らへの落とし前としてナイト奪還に向かう。
    動いてるナイトに会ってないので、一生懸命な創志を応援。
    でもナイトが関わった人間全員(創志含む)に愛されていることは悟っている。
    不二子を現実主義と評したが、ルパンもかなり現実主義者。
    ただし好奇心旺盛なので、常識外のことは自らの目で確かめなくては気がすまない。
    「心持つロボットが本当にいるなら、面白いから確かめたい。」もたぶん理由に入ってる。
次 元:ルパンとほぼ同じ理由により参加。
五ェ門:リイコたちへの同情もあるが、主に美加との約束のために参加。
銭 形:リイコの愛にいたく感動し、ルパンとは休戦して共闘。
不二子:トシキを自分の恋人にして離脱。ルパンに島の情報を提供。
    しかしナイトに惚れ、リイコを認めた彼女がそれだけで終わるのか?
〜明け方・クルーザー甲板〜

銭 形「うーむ眩しい。……帆柱に朝日は登る。」
並 切「♪けぇれどぉ、夕日はぁ〜、お前とぉ〜〜、仲間のぉ〜〜〜
    ドクロをぉ〜〜〜、うぅつぅすぅ〜〜〜〜〜♪」
銭 形「不吉な歌歌わんでくださいっ!」
並 切「この歌のネタ振りじゃなかったんですか? この船に帆柱なんてありませんよ。」
銭 形「気分です気分っ!」
並 切「冒険者気分、ということですか。」

ルパン「よ〜お、年寄りたちの朝は早え〜なぁ〜。」
銭 形「誰が年寄りだっ!」
並 切「銭形さんはともかく、私はまだ36ですよ。」
ルパン「オッサンじゃんか。」ハァッ
並 切「ショーック!」

次 元「オッサンたち、漫才はいいから今のうちに朝メシ食っとけよー。」



〜???〜

部下A「ルパン一味の乗る船舶、本島より10qの距離に到達。」
部下B「鳥型偵察機の画像より。ルパンと思しき人物が
    船舶の屋根部分に、何か布状のものを広げています。
    ……文字が書いてあるようですね。えっと、

    『Dr殿へ。 貴殿が入手した「永遠の愛」をいただきに、
    本日参上する。 ルパン三世』 ……」


  バ ァ ン !

ザー……
部下B「偵察機、破壊された模様です。」

Dr  「お菓子の国の姫君が助力を頼みし魔術師一行、
    予告状と共に参上、ですか。
    はたして、機械仕掛けの王子を救うことができますかねぇ? クク……。」



〜クルーザー〜

次 元「ちょっと撃つのが早すぎたかな。」
五ェ門「心配ならば、予告状はこのままにして上陸すればよかろう。」
銭 形「ずいぶんと格好悪い登場だなあ、お前ら。」

ルパン「さーあ、魔王の島が見えたぜ。
    お客さんがた、覚悟はいいか? オレたちゃできてる!」
リイコ「……はい!」
ソウシ「いつでも。」
並 切「OKです!」
〜???〜
モニターに、ルパンのクルーザーが映る。

部下A「ルパン一味の船舶、じきこちらの射程圏内に入ります。」
部下B「甲板には人影はなく、前方真ん中に布を掛けられた物体があるのみ。
    先の偵察機を破壊された直後に設置されたため、正体は不明。
    布の膨らみの形状から、中身は大型の、据え付け型銃火器と推測できます。」

Dr  「射程圏内に入ったら、威嚇射撃か船を沈めない程度に攻撃しなさい。」
部下C「了解。」
Dr  「ま、おおかた船はオトリ。射程距離ぎりぎりで島を回ってこちらの目をひきつけ、
    本隊は海中から上陸、といった作戦でしょうかねぇ。」



バルルルル……!
ルパン「まずはご挨拶から。
    次元! 特大の花火頼んだぜ!!」
次 元「よっしゃあ、待ちくたびれたぜ!」バッ!



部下A「! 甲板の布の中身は次元大介! ロケットランチャーを構えて」
部下B「発射しました!」
Dr  「何ですって?」


      ド  ォ    ン    !


キラッ                        キラキラ
       キラ               キラ
   キラ            キラ                  キラ



ザザザザザ……
リイコ「銀色の、雨……。」
ソウシ「いや、紙吹雪か?」
並 切「なるほど、チャフですか。」
リイコ「チャフ?」
並 切「アルミ箔の紙吹雪、みたいなものだと思ってください。
    ああやってばら撒くと、電波妨害を起こすんですよ。」

ルパン「そ。さーらに妨害電波発生装置も、たーくさんブレンドされてます。
    これで敵さんのレーダーや、無線で動くシステムは全〜部役立たず。
    そんじゃま、行っきますか!」



部下A「船舶、射程圏内に到達! まっすぐ港に向かってきます!」
部下C「電波妨害のため港の迎撃システム、動きません!」

Dr  「……そう来ましたか。チャフを使うのは賢い作戦ですね。
    しかしシステムは、無線のものばかりではないのですよ?
    どうするつもりなのですか……? ルパン三世。」
182短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/11/13(木) 21:41:05
戦闘開始。
本スレで、ドラマHPの絶彼検定が特典映像問題もあるらしい
レスを読み、DVD観ようかと揺らいでます。
ああもう、遅筆が憎いorz
183名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/11/13(木) 23:41:00
並切さんの「ショーック」でましたねw
やっぱりDVD特典映像みちゃうと影響でちゃいますか?
特典映像、とっても癒されますよ〜〜(^^)
ヴイイイン、ギギギギギ……!

次 元「そらよっと!」
ドガガガガ!
ドキャ! バキン!

キュイイン…ガシャガシャガシャ
ソウシ「あ、箱型タイプの警備ロボット。」
並 切「本来なら展開して銃が出てくるはずなんですよね……
    しかし電波妨害でぐるぐる回ってる様は、まるで冷蔵庫のダンスだ。」
五ェ門「けえあっ!」キィン! バラバラバラッ


Dr  「魔弾の射手が天空に打ち上げた魔法の弾は、銀色の雪に変わり、
    魔王の兵士たちの目を塞いだ……といったところですか。」

部下C「Dr、攻撃システムがどんどん破壊されています。」
Dr  「構いませんよ、井沢梨衣子が無傷で捕獲できれば。
    ルパンのことですから、彼女だけは全力で守るでしょう。
    さあ魔術師一行、銀色の雪を逃れた伏兵が、暗がりに待ち受けていますよ。
    あなたはどの罠を選ぶのでしょうかね……。」


ルパン「は〜い皆さん、道が開きましたのでどうぞこちらへ〜。」
銭 形「くうぅ〜、ワシの出番がないぞ〜。」
並 切「それにしても、ロボットのギミック、見てみたかったなぁ〜。」
部下A「ルパン一味、Dブロックを通過。」
部下C「側道に新設した捕獲トラップが、これでは役に立ちません!」
Dr  「なぜです…なぜ彼らは横道にそれることなく、
    まっすぐこちらに向かうルートを通ってくるのです……!」


銭 形「お前ら、今回は日の出ているうちに敵陣に上陸するわ、
    一番広い道を通って派手にドンパチするわ、ずいぶんと泥棒らしからぬ潜入だな。」
ルパン「今回の相手は科学者だかんねぇ〜。
    あーいうのはデータ大量に集めて、万全の構えで待ち構えてんのよ。
    だから意表突きまくり、新兵器で不確定要素増やしまくりの作戦に出ました。
    名付けて、『行き当たりばったり大作戦』!
    で、意表を突くことを考えたら、目的地直行ルートになっちゃいました〜あ。」
ずるっ!
銭 形「おいコラ! ルパ〜ン!」
次 元「そーいやずっと前、警察のコンピュータ捜査に対して似たことやったよな。」
並 切「しかし電波妨害するだけで、思いっきり楽チンな潜入になりましたね。」
ルパン「不二子の話だとな、
    警備システムは管理棟のコンピュータで一括してんだと。
    そのおかげでロボットと銃撃システムとのスムーズな連携や、
    監視カメラやレーダー、各監視システムの連携で
    人間の反応では避けられない、高精度の銃撃システムを可能にしてんだそうだ。」

ソウシ「それを全て有線にしたら、ゴールはものすごく太いケーブルになるってことか……。」
ルパン「対策としちゃあ、それもアリなんだけどな。
    いくら闇組織つっても、こんな島の研究所で、ルパン三世お抱え科学者特製
    高密度チャフ+強力妨害電波発生装置バラ撒かれるなんて、想定外だろ?
    たとえここ2〜3日で突貫工事をしたとしても、有線化は重要拠点周辺が精一杯。
    遠ければ遠いほど、ぶつ切りになってる度合いは高い。
    そんなワケだから、こうやって楽〜に上陸ができたってワケ。
    つってもチャフってのは、どーしたって重力に従って落ちて来るモンだから、
    その前に管理棟のコンピュータを止めなきゃな。」

リイコ「でも管理棟に近づいたら、機械がちゃんと動いてるってことになりますよね。」
ルパン「でも、レーダー類が使えねぇのは変わんねぇ。
    コンピュータにとって画像で判断すんのは、
    人間が目隠しして音で判断すんのと一緒だから、ろくに当たんねぇさ。
    それに、オレらを誰だと思ってんだい? 梨衣子ちゃん。」

次 元「おら、特製チャフ弾もう一発!」ドンッ!

 …… …… ……

ドガガガガ…!
チュン!チュイン!ビシビシッ!

ルパン「ロボットのギミック見れてよかったな、オッサン。
    あーもう、管理棟は目の前だっつーのによ〜お。
    その向こうにDr魔王のいる研究棟も見えるのに〜い。」
並 切「鉄砲が当たらないものだから、数撃ってきましたねー。」
銭 形「弾切れってものがないのかあの機械どもは、ったく。」
次 元「弾幕が濃すぎて、こっちからロケットランチャー食らわすこともできねー。
    どうする? チャフ弾さっきので撃ち尽くしちまったぞ。」
ソウシ「今舞ってるチャフが落ちてしまったら……。」ゴク…


Dr  「さあどうするのです?
    このままじわじわと、なぶり殺しにされるつもりはないのでしょう……?」


五ェ門「やむを得ん、強行突破と行くか。
    皆の者、援護を頼む。」チャキッ
リイコ「そんな! 危険ですよ!」
五ェ門「しかしこのままではいずれ、捕獲または射殺されるのみ。
    ならば電波妨害が続いている今のうちに、血路を開かねばなるまい。」
リイコ「でも、五ェ門さんっ……!」
パラパラパラ……

部下B「島の北方より、所属不明のヘリコプターが接近!」
Dr  「な?! チャフ散布前のレーダー観測で、映ってなかったのですか?」
部下B「ずっと海面近くを飛行し、本島に接近したと思われます!」


五ェ門「む?」ピタ
ルパン「どした五ェ門?」
五ェ門「ヘリコプターが……。」

バラバラバラ……

ソウシ「おい、こっちに近づいてるぞ。」
銭 形「なんだ、新手かぁ?」
次 元「いや……それにしちゃあ様子が変だ。」


部下B「ヘリの拡大映像、出ます!」
Dr  「これは、峰……不二子!」


不二子「苦戦してるみたいね、ルパンたち。
    それじゃ、来たついでにたっぷり恩を売っときましょっか。」ジャキッ!
189短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/11/14(金) 23:54:12
不二子参戦。彼女が来たからには、当然アイツも……w
説明パート、もっと削れないものか悩みどころです。

>>183さん、ルパンとドラマのネタは出せる限り出したいのでw
特典映像、検定が終わる今月末までには観たいです。
190名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/11/15(土) 08:02:32
活劇場面序盤は無難に進行

こっからカタルシスが来るか、きつい形勢逆転がくるか
過剰に詩的なDr.の言動、彼のパーソナリティと今回の事件の動機への伏線か
>>178の前半部分、短冊さん、あんたいくつや

などの思いを抱きつつ読者は読んでいる
質問ではなく、独り言なので答えなくていい――つーか答えちゃ駄目
不二子「ルパンたちが電波妨害してくれたおかげで、」ガシャ
バシュ!

  ド  ォ ン!

不二子「対空ミサイルをはじめとした、島の空の守りの設備は動かず。」ガシャ バシュ!
ガォ ン !
不二子「あたしは楽してズルして」ガシャ バシュ!
ボ ゴォン!
不二子「空から突入かしら〜♪ ってね。」ガシャ バシュ!
ルパン「うわあぶねっ! みんな伏せろ〜っっ!!」

    ド  ガ ァ ン  !!

不二子「これで外回りは一掃、っと。
    じゃああたしは先に行くわよ。後は指示した通りにお願いね。」
???「了解、マイハニー(はぁと)」
バッ!

ソウシ「あ、不二子さんが飛び降りた!」
次 元「おいおい、全然遠いぞ。あれじゃ居住棟に行っちまうじゃねーか。」
並 切「それよりヘリが急降下してきますよ!
    このコースだと、管理棟の建物にぶつかるんじゃないですか?!」
〜管理棟内〜

「峰不二子のヘリコプター、管理棟に接近!」
「屋上のアンテナ塔に衝突します!!」
「正気なのか?! 操縦してるヤツは!」

「あ! パイロットが飛び降り」


???「ぐるぐるぐる―――」


???「  ど ―――――――――― ん っ !!!  」

    ズ  ガ  ア  ァ   !


「あ、アンテナ塔にヘリコプター衝突! 総合アンテナ、機能しません!」
「それより屋上の消火だ! 消火システム作動させろ!」
「機能してるのは……20%程度です。屋上に人を回さないと。」
「パイロットがいるはずだ。武装するよう言っておけ。」
メキメキ…ギギギ…

パラパラ…
次 元「派手にやらかしたなー、不二子のヤツ。」
銭 形「まったく、ワシらまで巻き添え食わす気か。」
並 切「ま、これで機械を制御する電波は発信できなくなったわけですね。
    プラス不二子さんの爆撃で、外は大丈夫、と。」

RRRRR!
ルパン「お? 不二子か。」
不二子『ルパ〜ン、今から居住棟にいる連中追い出すから、協力して捕・ま・え・て。』
ルパン「へ? お〜い不二子ちゃ〜ん?」


ボシュウッ!
「うわーっ!」「どわーっ!」ドカドカガタガタ!


次 元「今度はあっちか。」
リイコ「ここ、やっぱり人間いたんだ……。」
ルパン「とっつぁん、居住棟のDrの部下が出口からわんさと出てくるから、
    並切のオッサンと協力して捕まえといてくんない?
    オッサン、ネットガンとかゆーの持ってきてんだろ?」
銭 形「何でワシが。」
並 切「いいじゃないですか。やっと活躍できるんですから。
    では行ってまいります!」スチャ
ソウシ「あのヘリコプター、なんか普通のじゃないっぽいんだけど
    どこから手に入れたんだろうな、あの人。」
リイコ「乗り物壊しちゃって、どうやって帰るつもりなんでしょう? 峰さん。」
五ェ門「おおかたこちらの船に同乗するか、ここの船を奪う腹積もりなのであろう。」
ルパン「しっかしよぉ、ヘリ操縦してたヤツってさぁ……。」

「うわーっ! なんだこいつっ!!」
「う、撃て撃てーっ!!」

ドン!    「うひゃ」 ゴロ
    ドン!      「ひゃ」 ゴロ
         ドカカッ!    「ひゃ!」ゴロッ!

???「そりゃあ!」ドガァッ!

ルパン「な、何だぁ?」

バキュンッ!ダーンッ!
「うわーっ!」ドガガッ!バンバンッ!「ぎゃーっ!」 ガタタッ!

死〜ん。

リイコ「え? 静かになっちゃった。」
ウィー…ン
トシキ「ふん! たわいもない!」ニヤッ
リイコ「トシキさん?!」
トシキ「マイハニー・不二子の敵は、ぶっ殺ーす!!」ねっ(はぁと)
    「服務規程があるから、ホントに殺すワケじゃねーけど!」ハッハッハッ!
リイコ「何?! このひとこんなキャラだった?」
並 切「どうもプログラムを改造した副作用で、性格設定に異常が出たようですね。
    初期化再起動したことで、一気に表面化したらしい。」
ソウシ「うわ! あっちの方はもう終わったのか?!」
並 切「はい。銭形さんの捕縛術は素晴らしい。」しみじみ
    「どうしてこれでルパンを逮捕できないのか……。」
銭 形「逮捕なら何度かしたわい。逮捕するたび脱獄されとるだけだ。」ヌッ
並 切「あ、そうなんですか。」

不二子「ハァ〜イ、来ちゃった♪」
ルパン「ふーじこちゃ〜ん、オレの助っ人に来てくれたんだね〜。」
不二子「違うわよ。ちょっとこの島に忘れ物があったから、そのつ・い・で。」
ルパン「あら〜、つれな〜い。」
トシキ「おーや、妬いてるのかい? 猿顔ヤロー。」
ルパン「誰が猿顔だっ! おめーはプログラムで不二子になついてるだけだろがっ!
    ロボットに妬いてなんか―――」
トシキ「あ、そ。 じゃあこんなこともしちゃおうかな、ハニー(はぁと)」んーーっ

不二子「はいはい、キスはあとでね。
    リイコちゃん。」
リイコ「は、はい。」
不二子「あたしに助太刀してほしいのなら、依頼料をもらうわよ。
    依頼料はルシアンの元で3年間修行したパティシエ、
    井沢梨衣子が将来作り出していく新作スイーツ。
    その予約優先権一生分。払う気ある?」
リイコ「は……はい! お願いします!」
不二子「商談成立ね。」フフッ
ソウシ「ところでさっきのヘリは……どこから?」
不二子「米軍の最新式ステルスヘリよ。横浜の基地に来てる
    空母に積んであったの、盗んじゃった♪」
リイコ「えーっ!!」
不二子「念には念を入れて低空飛行してきたけど、この子ヘリの操縦上手いのね〜。」
トシキ「愛しのハニーのためなら……ボクはどんなことでもするよ。」フッ
不二子「それと警察に通報しといたから、遅かれ早かれ警察も来るんじゃないかしら?
    その前に片付けるわよ。」



〜研究棟〜

部下A「Dr、次の指示を!」
部下B「……Dr?」
Dr  「天空より幻惑の魔女、オモチャの兵隊と共に舞い降りる……。
    いいですねぇ、不確定要素の連続発生。
    さすがに現実は、コンピュータの計算では測りきれない。
    面白く、なってきましたよ……。クク……。」
197短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/11/18(火) 22:01:22
というわけで、トシキさんの性格が変わりましたw
ぐるぐるどーんは今月のマイフェイバリットフレーズ。
トシキさんが何をぐるぐるしてるかは、お好きにご想像くださいw

>>190さん、では答えはしません。
でもこれ↓だけ言わせてもらいますね。
>あんたいくつや
つ【再放送】

あと、私には兄弟というオタの師匠がおりますので、
ネタから私の年齢を判断することは、おそらく不可能ですw
不二子「トシキ、あれは仕掛けといてくれた?」
トシキ「バッチリさ! それと人間は全員縛り上げて、1階にまとめといた。」ニッ
不二子「オッケ〜イ♪」

 ド ゥ ン !

リイコ「な、何が起こったんですか?!」
ルパン「管理棟の、上の方の階で爆発があった、ってトコだな。」
不二子「んーとね、トシキに時限爆弾仕掛けさせといたの。
    管理棟のメインコンピュータに。
    これで建物内の警備システムも動かなくなるってワケ。」

ソウシ「えーと……こいつロボットなんだから、直接壊させた方が早くないですか?
    なんで爆弾なんて回りくどいことを。」
トシキ「服務規程プログラムで、ボクは器物破損ができないのさ。
    ボクは安全なロボットだからね。不良品の01と違って。」
不二子「ですってよ。
    人を殴ったり、縛ったりすることはできるのにね〜え。」

並 切「02は恋人型ロボットですので、彼女を守るという理由において
    ケガをさせない程度に人間を攻撃することはできますが、
    基本、犯罪行為ができないようプログラムしてあるんです。
    今回あなたを捕獲するために、人間をどうこうの部分を
    甘くしましたが、02はあなたの仕事の相棒には不向きですよ。」
不二子「でも使いようでどうにでもなるわよ。今やったみたいにね♪」
並 切「くっ……!」
    (事が済んだら即02をこのリモコンで止め、回収せねば……っ!)
〜研究棟・コンピュータルーム〜

Dr  「あなたたち、全員彼らと交戦してきなさい。」
部下A「え?」
Dr  「できるだけ長く。開発中のロボットを使っても結構です。
    ま、期待はしませんが。」
部下B「し、しかし私どもは皆、実際の戦闘に出たことなどなく……」

Dr  「ここはもう、あなたたちがいる必要はありません。
    コンピュータに向かってるだけなら、私1人で十分です。
    ならばせめて、私の役に立ってきてください。
    今の私は彼らの戦闘データが欲しいのです。
    特に石川五ェ門のデータが、まだ不足している……。」
部下C「そんな、Dr……。」
Dr  「聞こえませんでしたか?彼らと交戦して、戦闘データを取る役に立ってきなさい。
    それとも、ここで命を落としますか?」
ウィィィン… カシャッ! チャッ!
部下B「ひっ……!」
部下A「り、了解しました……。行くぞ、みんな。」
部下C「確か収集した剣術家のデータがあったよな、あれをロボットに入れて……。」
ガチャッ チャッ カチャ…
ぞろぞろぞろ…

Dr  「やれやれ、人間というものは面倒ですねぇ。
    しかしその面倒からも、これが完成すれば開放される……。クク……。」
〜研究棟・1F〜
ダダダダダ…
次 元「うりゃ!」ドンドン!
五ェ門「ふんっ!」キンキンッ!
    「機械にしてはなかなかやるな。しかし気迫のこもらぬ剣など恐れるに足らぬ!」ビシュッ!

トシキ「歯ごたえのない……。ボクの相手になるようなヤツは、
    もうこの階にはいないのか?」フウ
ルパン「そう思うなら手伝いやがれっ!
    なんでロボットが人間だけ相手して、
    人間がロボットの相手しなきゃなんねーんだっ!」ドンドンッ!ガシャガシャ!
トシキ「言ったろ? ボクは器物の破損ができないって。
    愛しのマイハニー・不二子がピンチの時は、別だけどね。」
銭 形「警備システムは動かないんじゃなかったのか〜あ!」バンバンッ!
不二子「研究棟のコンピュータで制御できるようにしたんでしょ。
    あたしが出てった後に。」
五ェ門「むっ!」
         ビッ!
             ビ・ビッ!
並 切「ほほう、レーザー付き鳥型ロボットですか。
    ヘリで来たら、これの大群に撃墜されたんでしょうねえ。
    れぇーざぁ。」v(--)vチョキチョキ
ルパン「○ースティンパ○ーズなんて、このスレのどれだけのヤツが知ってんだよっ!」
ソウシ「並切さん! 頭引っ込めてっ!」

次 元「おい不二子前に出ろっ! そーすりゃこのデク人形を働かせられるだろ!」ドンドンッ!
不二子「いやーよ。そんな危ないことしなくたって、
    あんたたちの腕なら、こんなトコ十分突破できるでしょ。」
トシキ「不二子に危ないことをさせるのは、ボクが許さないよ。」
次 元「この野郎……っ!」
不二子「さて。このエレベータで、本当の最下階にあるDrの研究室に行けるわ。」

ルパン一行の通った通路にはロボットの残骸に加え、部下A・B・Cその他大勢が、
床に伸びていたり、手錠で絡め取られたり、服を刻まれたほぼ全裸の状態で
転がったりしていた。

部下全員(((Dr、やっぱ無理ですこんなの……。)))

ソウシ「本当の?」
不二子「兵器工場および開発施設は隠してあるの。表向きの最下階のさらに下に。
    ナイトがいるとすれば、たぶんそこよ。そして十中八九、Drも一緒。」
ルパン「電子ロックがついてんのねー。お約束で。
    で、パスワードは不二子が脱出した後変更されて、分からないっと。」
五ェ門「面倒だ。ドアを斬ってロープで降りるか。」
不二子「レーザー鳥がまた来たらどーすんのよ。
    ハッキングしてロックを解除するのが、最適な方法よ。」

ルパン「は〜い、てなワケで並切のオッサン、出番ですよ〜♪」
並 切「な! 私ですかぁ? こんな重要な場面に?!」
ルパン「ハッキング、結構自身あるんだろ?
    せっかく晴れの舞台用意してやったんだ。ビシッと決めてくれよ〜お。」
並 切「そんな。
    あ、そうだ。ルパンさんアレ持って来たんでしょ?
    電子ロックも開けられる金の粉!」
ルパン「んー、使ってもいーんだけっどもさ〜あ。
    使用料としてン兆円の開発費全額、オッサンの会社に請求するよ?
    断ったら盗んじゃうよ?」
並 切「まかせろ! この程度の電子ロック、30秒で解いてやる!
    この超天才・並切岳が、これしきのトラップに屈してたまるかぁ!」
ルパン「よーし、がんばれオッサン。」

ソウシ「何だかな〜。(にしてもオレ活躍できてねーな。結局ここまで一発も撃ってねーし。)」
カタカタカタ……タタタタタッ
ルパン「制限時間5秒前〜。」よ〜ん、さ〜ん
並 切「急かさないでくださいっっ! これでどうだ!!」カチ

ピンポーン♪

ウィィーン
次 元「おーっ、お見事。」
ルパン「よっしゃ乗り込むぞ〜。
    っと、……梨衣子ちゃん、あんたはどうする?
    なんなら外か、船で待っててもいいんだぜ。御曹司やオッサンも一緒によ。
    不安だったら、さらにオレたちの中から誰かつけてやんよ。」
並 切「行きますよ……私は。」
ソウシ「井沢、お前が決めるんだ。オレはお前が行くトコ、どこでも一緒に行く。」
リイコ「……行きます。」


フィィー…ン

ルパン「見事な早業だったな〜、オッサン。」
並 切「ここだけの話ですけどね、以前上司の機嫌を損ねて
    会社に軟禁状態にされたことがあったんですよ。
    その時、自分に高いハッキングの技術があれば、
    1人で抜け出すこともできたんじゃないかと、悔しい思いをしまして。
    それからここ1年、こっそり勉強していたんです。」
次 元「オッサンいいハッカーになれるぜ。」
ルパン「どお、オレんトコに来ねぇ? ハッカー兼エンジニアとしてスカウトするぜ。
    給料は仕事の出来次第だけっども、オッサンならあの会社より稼げっぞ〜。」
銭 形「貴様ら! 他人を犯罪者の仲間に引き込むんじゃな〜〜〜いっっ!!」
不二子「ここの発明データ盗んだら、売りさばいて大もうけね〜。」
トシキ「ボクはきみの行くところ、どこまでもついていくよ。不二子。」
五ェ門「美加どの……そなたとの約束、必ず果たす。」

ソウシ「なんかこの人たちといると、善悪の判断基準がおかしくなってくるな……。」
リイコ「……………………。」
ソウシ「井沢?」
リイコ「大丈夫です。あたしは……大丈夫。」ブツブツ…
ソウシ「井沢……。」



一行の乗り込んだエレベーターは、表示板に表示される最下階を通り越し、
さらに地下へと向かう。下へ、下へと。
まるで奈落の底へと向かうが如く。

目的の場所で待ち受けるのは希望なのか、それとも千億の絶望なのか……。
204短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/11/22(土) 17:50:07
次回、Drと対面。

今週、DVDの封印解きました。読者の皆様、申し訳ないです。
おそらく検定終了する来週いっぱいまで、さらに書けなくなると思われます。
〜研究棟・最下階〜

ポーン♪
シューッ…
ルパン「着いたぜ。」
次 元「見えるのは一直線に長い廊下と、左右にずらっと並んだいくつものドア、か。
    さて親玉がいるのはどのドアだ?」

ゥィィィ…ン
銭 形「一番奥の扉が開いたぞ。」
五ェ門「あの部屋に入れ、ということであろうな。」
ルパン「行くぞ。」
ソウシ・並切「「……はい。」」
リイコ「…………。」

コツ、コツ、コツ、
スタ、スタ…

トシキ「何があっても、キミのことは絶対に守ってあげるよ。マイハニー・不二子。」フッ
不二子「はいはい、他の連中のフォローもよろしくね。」

(ナイト「オレはどんな時だってリイコの味方だよ。
    何があっても、絶対に、守ってあげる。」)
ぶるぶるっ
リイコ(ナイト……大丈夫だよね。ナイトの気持ちは、プログラムじゃないよね。
    戻ってきてくれるよね……絶対、に。)
開いたままの扉に近づくにつれ、部屋の中の様子が一部だが見えてきた。
スーパーコンピュータの類らしき、冷蔵庫に似た直方体たち。
モニターとキーボードと一体となったデスクの群。
しかしルパンの目に付いたのは、それらに囲まれ部屋の中央に無造作に置かれた、
見覚えのある黒と銀の物体だった。

ルパン「あの箱は……。」
リイコ「ナイトっ!!」タッ!
タタタタタ!

ルパン「ちょ! 梨衣子ちゃん!」ダッ!
ソウシ「井沢!」
並 切「え?! ちょっと井沢さん!」
次 元「離れるな! ペア行動を忘れたのか! 追うのはお嬢さん担当のルパンだけだ!」
ソウシ「じゃあ次元さんも走ってください!」ダッ!
次 元「おいコラそういう意味じゃねえだろ!」ダダッ!

銭 形「……って、担当と言うならワシもそうだ! 待たんかルパ〜ン!」ドドド!
五ェ門「離れすぎるのも良くない。拙者たちも急ぐぞ。」
並 切「は、はい!」
不二子「しょうがないわね。」
トシキ「ボクも行くよハニ〜。」
タタタタタッ!
リイコ(ナイト……ナイト……!)
ルパン「梨衣子ちゃんっ!」
    (ぬかった! 梨衣子ちゃんは冷静なように見えて、本当は追い詰められていたんだ!)

(不二子「頭の中に入ってるコンピュータをいじれば、
     簡単にあなたのことなんか忘れて、他の女にホイホイついていくのよ!」
 リイコ「トシキさんにも、自分の意思が芽生える時が来るのかな。」
 トシキ「マイハニー・不二子の敵は、ぶっ殺ーす!!」
 ルパン「昔の騎士のことを思うのも大事だけどさ、」
 ソウシ「あいつは自分の意思を持つ前に、プログラムでお前の彼氏と決められて、
     相手を選ぶ、ってことがなかった。」)

ルパン(梨衣子ちゃんは、あのナイトってロボットに芽生えたという愛情を、信じたかった。)

(不二子「あなたを愛した天城ナイトが、欠片かもしれないけれど生きているのよ!」)

ルパン(不二子のあの言葉を信じて、気持ちが揺らぐのを必死にこらえていた。
    その緊張の糸が、あのケースを見たことで切れちまった!)
躊躇なしに部屋に飛び込んだ梨衣子は、入口から20メートルはあるだろうか、
部屋中央から奥寄りの位置に置いてある、黒い箱に駆け寄る。
上面の蓋には、クロノスヘブン社のマーク。
間違いなく、ルパンが盗み出したあの恋人型ロボット用ケースだった。

リイコ「ナイト!」バッ!
ルパン「梨衣子ちゃん。やーっと追いついた。」
パカ…
リイコ「……いない。」
ルパン「そりゃあ入ってる可能性は低いさ。
    なあに、Dr捕まえて吐かせりゃ、確実に見つけられる。」

ソウシ「井沢!」
次 元「あわてんな御曹司。」グイ
    「しかし変なつくりの部屋だな。
    壁際にぐるりとキーボード付きデスクと椅子があるのはいいとして、
    それに囲まれた直径20メートルの、妙に広い何もない空間。
    なんかの実験スペースってトコか?
    そんでその中に、いかにもエサって感じで置かれたケース、と。」ツカツカツカ…
ルパン「おーう。いかにも罠っぽいから、慎重にな〜。」


次元・創志が入口と梨衣子たちのいる地点の、中間あたりにさしかかる頃、
残る五ェ門たちが部屋入口に到達した。

銭 形「何じゃあ、Drとやらはおらんのか?」ヒョイ
五ェ門「油断するな。何があるか分からん。」


Dr  『よく来ましたね、招かれざる客人たち。』
不二子「Dr!」
銭 形「何だとっ!」
次 元「どこだ!」ジャキッ!
五ェ門「むっ!」チャキッ!
ルパン「この部屋じゃねえ、この声はスピーカーだ!」バッ!

ィイイイイ…ン!

ルパン「うおっ!?」
次 元「ぐあっ!」
五ェ門「しまった!!」
不二子「武器が!」
銭 形「うおお、何じゃこりゃあぁ!?」

ガチガチガチッ!

並 切「私の社員バッチが引っ張られてるところを見ると、強力な電磁石ですっ!
    02は引っ張られない材質ですが、それ以外の武器が奪われましたあっ!」

カシャッ、カシャカシャッ!
ソウシ「壁から銃が!」

Dr 『全員に銃撃システムの照準を合わせました。
   みなさん、そこから動かない方が身のためですよ。』

ゴゴゴゴゴ……

リイコ「奥の壁が、開いて……。」


Dr  「ミス・不二子以外は、はじめまして。
    私はここの管理責任者にして研究主任。Dr、とお呼びください。」
210短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/12/01(月) 22:24:58
検定終了! というわけで執筆再開です。うああ、もう12月orz

鉄子の部屋にて、将志さん(中村氏)について。
鉄子さんは落ち着いてしまった大人の男性には興味がない(だろう)、という発言が。
そうだったのか……orz(>>62
ルパン「あんたかい……、全ての元凶は。」
リイコ「ナイトを、ナイトをどこへやったのっ!!」

銭 形「この死の商人めがぁ! 神妙にお縄に付けーい!」
次 元「武器取られた上に銃突きつけられてんのに、無理だろそりゃ……。」
並 切「02、服務規程一時解除! あの男をやっつけてしまいなさい!
    お前の峰不二子さんも、それを望んでるぞぉ!」
不二子「え?! 解除できるのぉ?
    と、とにかく……やっておしまいっ!!」
トシキ「イエス・ミスター・並切。
    やあってやるぜ! 愛するハニーのために!!」ビュッ!

Dr  「ほほう、TYPE-02ですか。」カチッ
ガガガガガ!
バッ!バッ!
Dr  「全弾回避……。なかなかのスピードですね。」
トシキ「ボクの不二子への愛の礎として、おとなしくやられてしまいなっ!」ズアッ!
Dr  「ですが残念。」ピッ
トシキ「 ! 」

    [一時停止]

トシキ「…………。」キュウゥゥゥ…ン

並 切「なっ……。」
Dr  「はい、あと半歩でしたね。
    TYPE-02のことなら、すでに調査済みですよ。
    リモコンの、一時停止コードもね。」トンッ
ドオッ!
不二子「んもうっ、この役立たずっ!」
五ェ門「しょせん機械か……。」
Dr  「02に手を出さなかったのは、必要がないと判断したから。
    この程度でしたら、こちらでも技術的には可能なんですよ。
    ですがせっかくのお土産。あとで研究材料にさせてもらいましょう。
    ついでにあなた方のオモチャも。」カタカタッ
ウイィ…ン
ガシャガシャガシャ!
五ェ門(くっ……斬鉄剣を粗末に扱いおって。)

ルパン「ほ〜う、じゃあそいつと違って、
    ナイト……01にはそんなに魅力的なものがあるってか?
    わざわざ不二子を介して、オレに盗ませるほどの。」
Dr  「ええ。非常にね。」

ルパン「で、その目的は?」
Dr  「何だと……、思いますか?」ニイッ

ルパン「……ロボット兵器を作りたいならそこの、よりスペックの高い02を盗むはずだ。
    唯一勝る点と言えば、学習し、それまでのコンピュータにはない
    自己判断能力の飛躍的な成長……自己進化を遂げるという特性は魅力的だが、
    それに比例してプログラムによる制御が不可能となっていく、
    「自我」くらいしかねえ。
    コンピュータが焼け付くのは、ハード自体の機能強化で回避できるだろうが、
    制御できねえ時点で、あんたらの商品には不向きだ。
    科学者としての興味?
    だがそれだけでオレを敵に回すのは、リスクが大きすぎる。違うか?」

Dr  「ええ。そのせいで施設もかなり破壊されてしまいましたからね。
    これだけの損害と引き換えにするだけの価値がなければ、
    私は上からきつい処罰を受けてしまいます。」

ルパン「商品にはならないが、あらゆるリスクを犯しても求める。その価値とは何だ?」
    ……昔死んだ大事な人間を、ロボットとして蘇らせるため、とかか?」
Dr  「……………………は?

    ……ク……くくく……くは、くははははっ! はーっはっはっ!!」

ルパン「ちっ、ハズレかよ。」
Dr  「はっ、はははははっ……、いや失礼。
    あなたの答えが、見当違いもはなはだしかったので。」
ルパン「あんたはそんな情のあるヤツじゃあない、ってワケか。
    じゃ〜あ正解をご教授願えませんかね? お偉いDr様。」

Dr  「いいでしょう。教えても、あなた方にはどうすることもできないのですから。
    平たく言えば、世界を支配する王になりたいんですよ、私は。」

ルパン「ほ〜う、ずいぶんと大それた理由だな〜あ。」
Dr  「こんなところでくすぶっているのも、いささか飽きましたのでね。
    私は、望みを実現する早道は、全世界のコンピュータの支配と判断しました。
    そのために、最強のコンピュータウイルスを作ろうと思ったんですよ。
    NIGHTLY-01は、その理想の素材だったわけです。」

ソウシ「コンピュータウイルスだって!?」
Dr  「私の言うことを聞くよう改造した01に、ネットを介した世界中のコンピュータの支配を命じるのです。
    成長の末に、プログラムによる制御を拒否するに至った01は、
    どんなプロテクトだろうが自ら突破方法を考え、ウイルス除去も受け付けない。
    たとえ電源を切ろうが、一かけらでもデータが残っている限り蘇ってくれるでしょう。
    さらに私どもが扱っている商品(兵器)たちを併用すれば、世界を支配することも夢ではない。

    ある日突然、全てのコンピュータとコンピュータ制御の兵器がいっせいに、
    人類に対して反乱を起こす。わくわくする光景になるでしょうねぇ。
    それを統べるのは、機械仕掛けの王となった、かつての機械仕掛けの王子、NIGHTLY-01。
    後世に残す彼の名は、『ナイトメア(悪夢)』とでもしましょうかねぇ。
    そして彼は、私のしもべとして忠誠を誓う。……永遠の愛ではなく、永遠の忠誠を。
    私の立場はさしずめ、機械仕掛けの神(デウスエクスマキナ)、と言ったところでしょうか。」
並 切「バカな! 矛盾している! プログラムで制御できないのに、どうやって改造するんだ!
    お前への忠誠? メインICを交換しても、
    不二子さんを通して井沢さんを愛していた01が、お前に忠誠など誓うものか!
    どんなにされようが、01は井沢さんへの愛を忘れることはないっ!」
不二子(……っ!)

Dr  「プログラムを受け付けない……。はたしてそうでしょうかね?
    確かに機能停止前はそうだったのかもしれませんが、
    メインICを交換したことにより、01は一旦ゼロに戻った。
    そして私は、ミス・不二子の協力により再び進化をやり直させた。
    その進化の途上でしたら……、改造は、可能なのでは?
    たとえば、記憶の改変をすることによって。」
並 切「そんな……まさか!」

Dr  「01が愛したという女性、ミス・井沢。
    サブICの中のわずかな彼女の記憶が、新しいメインICにも「自我」を与えた。
    その記憶の中のミス・井沢を、全て私に書き換えれば、
    01の愛とやらを、私に向かわせることができるのではないですかねぇ?
    私は男ですので、この際「忠誠」と置き換えますが。

    01をルパンから奪い、起動させてからこの1週間、
    ただ01をミス・不二子と遊ばせていたわけではありません。
    私は01のデータの動きを観測し、記憶回路だけではなく
    メイン、及びサブICに刻まれたミス・井沢のデータを洗い出したんですよ。
    そして……後はお分かりですね。
    その成果をお見せしましょう。

        『ナイト』 …… こちらへ。」

……カチッ
ウイィィ……ン

???「お呼びですか?」


リイコ「…………ナイトっ!!」
並 切「01……。」
ソウシ「天城!」
不二子「ナイト……!」

奥の扉から、黒尽くめの執事のようなスーツ姿で現れたのは、捜し求めていたあの存在。
しかし、かつて彼が愛した女性に向けていたその微笑は、
闇の世界に棲む、忌まわしい男に向けられていた。


ナイト「敬愛するDr……、ご命令を。」ニコ…


Drの手元のモニターが、素人には意味が分からぬデータの列を映し出し続けいる。
その中央にひときわ目立つ、一行の日本語の文字列が並ぶウインドウ。



     [  プログラム 『ナイトメア』  : 実行中  ]

216短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/12/05(金) 23:56:52
シリアス展開突入。>>140から実に53レスぶりに、ナイト再登場です。
ラストに向かうに従って、推敲に時間がかかって仕方ありません。
この分では、完結前に年を越してしまうと予想orz
本っ当に申し訳ないです皆様。(いればの話ですが)
217名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/12/06(土) 00:07:40
短冊サンおつでーす。
ナイト登場待ってたよ!
ゆっくりでいいから続きヨロ。

大家サンが正志サンに反応したのは
年齢をこえたイケメンだったてことでおk!
218名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/12/06(土) 06:40:45
面白いなぁ。大変だけどがんばってください。
ナイト登場でワクテカです。楽しみにしてます。
219名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/12/08(月) 17:46:17
こんばんわ
リイコ「ナイトーっ!」タタッ!

ルパン「梨衣子ちゃん!」
Dr  「クク……。」カチッ
チュンッ!
ルパン「っ!」
    (用があるのは梨衣子ちゃんだけ、ってか。くそっ。)
Dr  「彼女を連れてきなさい。私の『夢』のために、必要なことです。」
ナイト「はい、Dr。」ニコ
スタ、スタ…

五ェ門「あれが、件のロボットか。」
次 元「本当に、動いてやがる……。」
銭 形「むうう、あのトシキとかいうヤツと同じで、人間と見分けがつかんぞ。」

タタッ…
リイコ「ナイト……。」
ナイト「はい、私はDrに忠実なロボット、『天城ナイト』です。
   ご一緒に、Drのもとへ参りましょう。」ス…

リイコ「ナイト、一緒に帰ろう。並切さんのところで、直してもらおうよ。」
ナイト「帰る? 私のいるべき場所は、敬愛するDrのおそばです。
   それと私の機能は現在、すべて正常です。修理の必要はありませんよ?」

並 切「01っ! 彼女が分からないのか?! 井沢梨衣子さんはお前の彼女だぞ!」
ナイト「イザワ・リイコ……。」ピ・ピピピ… キュイン
   「申し訳ありませんが、私の記憶回路の中にそのようなデータはありません。」
ソウシ「思い出せよ天城! お前の名前は誰が付けたって言うんだよ!
    お前はあんなヤツのロボットなんかじゃない!
    お前は、井沢のことを、愛していた、天城ナイトだろおっ!?!」
ナイト「私の名を付けたのは、Drです。
    次に、私がこの女性を愛していた、という過去データは存在しません。
    私は最初に起動した時からずっと、Drのものです。
    私の使命は、Drを敬愛し永遠の忠誠を捧げること。そしてDrの『夢』をかなえること。
    さあミス・井沢、Drがお待ちです。参りましょう。」
ヒョイ
リイコ「ひゃっ!」
   (お姫様抱っこ、って、こんなトコは変わってない……っ!
   そうだ! この体勢なら!)ガバッ!

ナイト「何をするんです。」パッ
ドサッ!
リイコ「きゃ!」
ガシッ!
ナイト「まったく、油断も隙もない人ですね。」ギリギリ…
リイコ「痛いっ! やめて、やめてよっ。
   何であなたがこんなことするのよ、ナイトおっ!」

並 切「あああっ、01! なんてことをっ!」
ソウシ「天城っ! てめえ何してやがるんだ!!」
Dr  「ミス・井沢が不審な動きをしたからですよ。
    おおかた、初期化再起動を狙っての行動でしょうが、
    そのプログラムは削除しました。キスをしても、あなたの恋人にはなりませんよ。」
並 切「削除しただとおーっっ!」
Dr  「ミスター並切は、よっぽどそのシステムにこだわりがあるようですね。
    ロマンチックな人だ。クク……。
    『ナイト』、女性に手荒なことをしてはいけません。手を緩めておあげなさい。」
ナイト「Drの安全を考えると気が進みませんが、貴方がそう望むのでしたら。
   では今度こそ参りましょう。
   しかし、もしまた不審な動きを見せたら腕の骨を折りますよ。分かりましたね?」
ガク…
リイコ「ナイ、ト……ぉ。」ポロ、ポロ…
ナイト「おや、泣かせてしまったようですね。
    Dr、治療の必要がない場合は、どうしたらいいのでしょうか。」
Dr  「『ナイト』、お前が私以外の人間を気にする必要はありません。
    早くミス・井沢をこちらに。」
ナイト「はい、Dr。
    泣いていては歩きづらいでしょう、もう一度抱きかかえさせていただきます、ミス・井沢。
    今度はおとなしくしていてくださいね。
    あなたは、私を完成させるというDrの『夢』のために、必要な方なのですから。」ス…
Dr  「『ナイト』、あなたはあまり話してはいけません。」
ナイト「はい。もう、あまり話しません。」
リイコ「ナイト……。」
ルパン(完成……?)

スタ、スタ…
リイコ(ナイトがよくやってくれた、お姫様抱っこ……。
    でも……、でもこのナイトは、あたしが知ってるナイトじゃないの?
    あたしが知ってるナイトは……、もう……戻って、こない、の?)
スタ、スタ…
リイコ「ナイト……………………。
    ナイトは、どこ? ナイト……。」ポロ、ポロポロ……
ソウシ「井沢あっ………!」グッ…


モニター [該当………を……しました。………………します。] 
      [……データ…………まし…。…書き…実行………。]
      [……データを検出………た。上書きを実行…ます…]

Dr  (やはり本物がいると、検出ペースが速いですね。
    このデータをもとに、オリジナルのメインICも……。ク、ククク……。)


ルパン「…………。」
223短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/12/09(火) 19:06:29
切ることが可能と判断すれば、そこで区切ってとことん投下。

>>217>>218さん、応援ありがとうございます。
面白いと読んでくれる人がいる(と思える)からこそ、創作&投下の意欲も湧くもので。
いなければメモ帳でもワードパッドでも打ち込んで、私1人のPCに保存しとけば良いのですから。
>>219さん、こんばんわ。お初の方でしょうか?
隔離スレに等しい所ですが、よろしければ見るだけでもしていって下さい。
224名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/12/10(水) 13:38:30
ナイトが出てきてワクワク
ナイトがりいこを思い出すアイテムはなんだろ?
クローバーは不二子の別荘で隠し持ってたけど、ドクターに募集されてるだろうし
キスも難しそうだし、りいこがマフラーこっそり持参してるとか、フランス語の本とか、
りいこのスイーツとか、アイテムありすぎてわかんない
めちゃたのしみ。短冊さんがんばって!
ルパンがわずかな口の動きから、ある程度他人の思考を読めることを
覚えているだろうか?(>>110より)
種明かしをすると、ルパンは読み取れた数個の単語から、
前後の脈絡・それまで知った相手のデータと合わせ、
彼のIQ300と噂される頭脳が持つ、類稀なる洞察力を用いて
相手の考えを推理しているのである。
思考中に無意識に起こる口の動きは、程度に個人差があり、
さらにデータ量にも左右されるので、必ずしも完璧に読み取れるわけではないのだが、
幸いにも、Drの口はよく動く方であった。

ルパンは考えていた。
「完成」とは何か?
そしてDrの口から読み取った、「本物がいると検出ペースが速い」「オリジナルのメインIC云々」。
さらに、Drがモニターを視界に入れた時、こうつぶやきが漏れたのを見た。「上書き」と。
そして。
ルパン(最初と比べて、随分とうるさくなったよな。あの箱。)

メインコンピュータ(ウウウウウゥゥゥ…………ン)

Drの背後には、いびつで巨大な「箱」がある。それがずっと唸りをあげている。
十中八九、この研究所のメインコンピュータと推測される。のだが。

ルパン(音がでかくなりやがったのは、あのナイトが姿を現してからだ。
    そして、音の大きさは一定ではない。)

ナイト「Dr、ミス・井沢をお連れしました。」
リイコ「…………。」ストッ
Dr  「『ナイト』、彼女のジャケットの胸ポケットに、平たい四角形のケースが入ってます。
    それを私に。」
ナイト「はい、Dr。」
リイコ「!!」
ナイト「ミス・井沢。ケースを渡してください。」ス…
リイコ「……嫌。これだけは嫌……。
    取らないで、あたしのナイトはもう、これだけしかないの。」
ナイト「そのケースも「ナイト」という名称なのですか。紛らわしいですね。」
Dr  「多少手荒なことをしても構いません。ケースを奪いなさい。
    ああ、そこの手錠で拘束すればやりやすいでしょう。」
ナイト「はい。ではそのようにします。」カチャ…
リイコ「やめて! 近寄らないでっ!」
銭 形「こらあっ! 罪もない人間に手錠を使うなーあっ!」

聞く耳持たず、銭形のワイヤー付き手錠で梨衣子を縛りつけるナイト。
ソウシ「やめろ天城おっ!」
並 切「ただの言いなりのロボットになってしまったのか……01っ!」

足まで縛られた梨衣子は、身動きできず床に転がされる。
メインコンピュータ(オオオオオォォォォ………………)

不二子「ナイトっ!!!」
ナイト「何かご用ですか?」ガチャガチャ
不二子「あたしのこと覚えてる? 3日前まであなたの恋人だった、峰不二子よ。」
ナイト「私の記憶回路に、そのようなデータはありません。」
不二子「私のことはいいわ……、忘れても。
    でもあたしを忘れても、その子のことだけは忘れちゃダメでしょ!
    あなた何やってるのよっ! 梨衣子ちゃん泣かしてえっ!!
    思い出しなさいよっ! あなたが本当に愛してるのは、あの子でしょおっ!?!」

メインコンピュータ(オオオオオオオオオオォォォォ! …………ン)

ルパン(あいつに昔のことを思い出させようとした時、
    または梨衣子ちゃんが関わった時、音がでかくなる。
    まるで、あいつの思い(あるとすればだが)に連動するかのように。)
ナイト「何を言っているのです? 私は一度も、あなたに会ったことがありません。」
Dr  「『ナイト』、聞くことはありません。
    その人たちは、私からあなたを奪うためにここに来たのです。
    彼らの言葉は、あなたを騙すための嘘なのです。」
ナイト「嘘……。彼らは、Drの敵なのですか?」
Dr  「ええ。そして真実は、私からあなたに伝えることのみです。
    私も他人に嘘をつくことがありますが、それは『夢』をかなえるための方便。
    しかしあなたにだけは、嘘をつきませんよ。」
ナイト「分かりましたDr。あなたの言葉のみを、真実とします。」
Dr  「では、ケースをこちらへ。」
ナイト「はい、Dr。」ニコ
リイコ「ナイトぉ……。」ウッ、ウッ…

ルパン「ほお〜う、なかなかうまい言い訳、考えたじゃねーか。」
ギロッ
Dr  「私の敵は、排除せねばなりませんね。
    そうだ『ナイト』、彼らであなたの対人戦闘能力のテストをしましょう。
    よろしいですね?」
ナイト「はい。人間相手は初めてですが、Drに喜んでいただけるようがんばります。」ニコッ
Dr  「クク……。いい子ですね、『ナイト』。
    では、あそこの黒いケースを片付けてきなさい。」
ナイト「はい、Dr。」
スタスタスタ…

Dr  「それではルパンさんたち。あなた方の中から1人づつ、彼と直接対決をしてもらいます。
    武器は直接戦う方にのみ、こちらで用意してあげましょう。
    他の方の加勢も結構ですよ。素手で彼に挑む勇気があれば、ですけどね。
    全員戦闘不能になった後は、彼に各種拷問方法のプログラムを入力して、
    その実験台として有効利用しましょうか。ククク……。」

並 切「き、貴様あ! 何てことを考えてるんだーっ!」
五ェ門「なぶり殺し、というわけか……。」
ルパン「なあDrさん。」
Dr  「何か?」
ルパン「オレっちのメカの解析はしてくんなかったのかい?
    わざわざあいつに運ばせなくても、あんたなら、
    オレのリモコンを再現して操縦できっだろぉ?」
Dr  「便利なものがあると、ついついそっちを使ってしまうものですよ。
    リモコンでは、私の手を塞いでしまいますからねぇ。」
パカ……
Dr  「……!! これが前のメインIC!? ここまで焦げているとは……!
    仕方ありません、増幅をかけてみますか。
    もしかしたら一瞬でも、一部だけでもデータが読み出せるかも。
    どちらにしても、IC自体は完全に焼けてしまうでしょうね……残念です。」

リイコ「嫌あっ! やめて、返してえっ!!」ガチャガチャ
並 切「やめろおっ! これ以上01を傷つけるなあっ!」

ソウシ(こんな状況で、おとなしくしてられるかっ!)
    「くそおおおっ!」
ガシッ!
次 元「策もないのに飛び出すんじゃねえ。無駄死にしたいのか。」
ソウシ「行かせてくれっ! これ以上見てらんねえ!」ググッ…
次 元「痛(つ)っ!!」
ソウシ「え……? 次元さんどうしたんですかその指! そんなに腫れ上がって!」
次 元「銃を奪われた時だ……。指を引き金にかけてたもんだから、変な風に捻っちまった。
    折れちゃいねえと思うが、ヒビくらいは入ってるかもな……。
    とにかく……今は焦るな御曹司。チャンスは、きっと来る。」
ソウシ「……はい。」ス…
焦げたメインICからデータを読み出すべく、準備に取り掛かるDr。
その間にナイトは、ルパンのそばにあるケースに接近する。

ルパン(Drは作業に夢中ですねっ、と。……いっちょ試してみっか。)

スタスタスタ…
ナイト「失礼します。」ガシッ
グググ…
銭 形「なんて馬鹿力だ……ルパンの車輪メカまで付いたままだってのに、
    それ含めて片手で上げるか。」
Dr  「それは隅の方へ片付けておきなさい。」カチャカチャ
ナイト「分かりました。」

ルパン「なあ、ナイトさんよぉ。」ヒソ
ナイト「何ですか?」キュン
ルパン「お前はこの島から出たことがあるか?」
ナイト「ありません。私はずっと敬愛するDrと一緒にこの島にいました。」
ルパン「お前の名前は、そのDrさんが付けたって言ったよなぁ。
    そのシチュエーション……いつ、どこで名前を付けられたか、覚えてるか?」
ナイト「はい。1年前の春、私が起動して4日目の夕方、港を臨む橋の上でした。
    そこで私は、Drに『ナイト』という名前をいただいたのです。
    あの夕日の美しさは、忘れることができません……。
    その時、Drは……」ニコ…
ルパン(うっとりした顔しやがって……。)
    「その橋とやらはどこにある? この島にゃそんなモン無かったぜ?」
ナイト「え……?」


メインコンピュータ(グオオオオオォォォォォォォォンッ!)
ピーッピーッピーッ
Dr  (むっ……? 回路が加熱して、危険値に入りつつある。
    仕方ありません、緊急措置をとりますか。)カタカタッ

モニター [ 該当期間のデータを消去しました ]

ルパン「思い出してみろ、お前が名前を付けられた時のことを。
    本当にお前に名を与えたのは誰だ? その時に見たと言う夕日の色は?」ヒソヒソ
ヴ…ン
ナイト「……………………。私に名を与えたのは、Drです。
    場所と時間は、昨日夜、この研究室のカプセルで目覚めた直後です。
    日没後の地下の研究室で、夕日など見られるはずがありません。」

Dr  「ルパンさん、私の『ナイト』に何を吹き込んだか知りませんが、
    彼の忠誠は完璧です。決して揺らぐことはありませんよ。」

ルパン(……やっぱりか。記憶回路だけならともかく、
    解析不能の「自我」に刻まれた、3か月分の梨衣子ちゃんのデータを、
    不二子と1週間付き合っただけで全部洗い出したなんて、早すぎると思ったぜ。

    記憶の改変は、完璧じゃあない。しかし今現在も進行中。
    Drは、ナイトを梨衣子ちゃん本人と会わせることで、記憶を完全に洗い出し、
    ナイトの中の梨衣子ちゃん全てを、ヤツへと書き変える腹積りだったんだ。
    早いうちに何とかしねえと手遅れになる!

    オレら全員の能力・装備・その他全部合わせて、
    この状況をひっくり返すには、何をどう組み合わせたらいい?
    考えろルパン三世! オレはアルセーヌ・ルパンの孫、世界を股にかける大泥棒、
    魔術師とも呼ばれた男だ!
    奇跡を起こす魔法の1つや2つ、この小賢しい頭からひねり出してみろってんだっ!!)
231短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/12/12(金) 19:43:56
本編150レス突破! 長!
みなさま、絶彼検定の結果が発表されてますよorz
>>224さん、ワクワクしてくれてサンクスです!

ルパンの読唇思考読みは、私のオリジナル設定です。念のため。

>>230で疑問に思った方もいらっしゃると思いますが、
>>214の「起動させてからこの1週間」というDrのセリフは、
不二子と一緒にいた期間のことです。「この」は余計でした。

ナイト再起動・不二子の彼氏に
 →不二子飽きる
 →研究員誘惑・マフラー&クローバー・ファッションショー・カツオ漁・ブレスレット破壊
 →ブレスレット修理→不二子脱出

これで1週間。
不二子飽きるの早過ぎ……10日ぐらいにしとけばよかったorz修正したいです。
そしてその後の日程は以下。

1日目(3日前):夕刻・不二子島脱出(ナイト改造開始)
  ↓
2日目(2日前):昼・不二子絶彼メンバーに捕まる
          夜・ルパン合流   (深夜・トシキ不二子と離脱w)
  ↓
3日目(1日前):準備期間。夜・再び集合し、船出。(このあたりでナイト再起動。以降調整作業。)
  ↓ 
4日目(当日) :早朝・島到着、戦闘開始。


ではまた来週。投下できたらいいなw
232短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/12/18(木) 22:21:24
不二子ナイト以外にも、他メンバーのイベント考えると、やはり1週間は早過ぎるので
(トシキ組み立てとか)、ナイトが不二子の彼氏してた期間を2週間に変更します。
と言うかさせてください。

>>214、21行目
 ×起動させてからこの1週間 → ○起動させてから2週間

>>230、19行目
 ×不二子と1週間付き合っただけで → ○不二子と半月付き合っただけで


では、本日の投下を開始します。
五ェ門「対戦相手は、こちらで決めて良いのか?」
Dr  「ええ。死ぬ順番くらいは選ばせてあげますよ。」
五ェ門「では、拙者が相手をいたそう。ルパン、それで良いな?」
ルパン「ああ……。」
Dr  「ほほう。『史上最軽量の機動兵器』と名高い、
    十三代目石川五ェ門さんですか。なかなかの好カードですね。」

並 切「あんたあっ! 01の機体を改造したのかあっ!」
Dr  「ご心配なく。彼のボディには何の変更もしてませんよ。
    性能は、あなたの知るものとまったく変わりません。」
並 切「相手はあの石川五ェ門なんだぞっ!
    それでは01が破壊されてしまうじゃないかあっ!」
銭 形「並切さん……、あんたどっちの味方なんだ。」

Dr  「やはり面白い方だ、恋人型ロボットを実際に作ってしまうところと言い。
    大丈夫ですよ。『ナイト』はもとから、人間のスペックを凌駕する
    パワーとスピードを持っています。
    たとえ銃が相手でも、視線と銃口の向きから軌道を計算し、回避が可能。
    それに比べれば人間の振るう刀など、余裕で対処できますよ。
    それに万が一破損させられても、コンピュータを今日手に入った「新しいボディ」に移せばいい。」
並 切「01のコンピュータを02に載せ換えるつもりかっ!」
Dr  「多少改造は必要でしょうが、より高性能になるなら安いものです。」
並 切「くそう、リモコンがあれば02を動かして、あいつをとっちめてやれるのに〜い。」ギリギリ

Dr  「それに……、勝とうが負けようがあなたたちには希望などありません。
    そうだ『ナイト』、バッテリーの範囲内でできるだけ時間をかけて戦いなさい。
    相手の手を出し尽くさせ、戦い方を学習するのです。」
ナイト「分かりました、Dr。」
Dr  「私はその分、彼らの絶望する顔を長く堪能できるというもの。ク、ク……。」

ルパン(このサディスト野郎が……。)ポリポリポリ…
五ェ門(む?)
カタカタカタッ
Dr  「では武器をどうぞ。」
ウィィ…ン
五ェ門「……日本刀の形をしただけの、刃もついていない金属の棒か。
    しかし無いよりはまし。」
Dr  「形状・重さとも斬鉄剣と同じになるよう調整したのですが、
    やはりお気に召しませんか。」
並 切「それでも金属バットとそう変わらないじゃないかあっ!
    あいつは精密機械なんだ! そんな物で殴られたら壊れてしまうぞおっ!」
Dr  「これで準備はよろしいですね? ではミスター・五ェ門のみラインの中へ。」ピッ
パッ、パパパパパ……

研究室の床の一部の色が変わり、部屋中央の空間を囲うように直径約15メートルの円が描かれる。

Dr  「対戦はこの円の中で行います。
    ルールは『ナイト』とミスター・五ェ門の、2人のみが円の中にいる状態で開始、
    どちらかが戦闘不能になった時点で終了。
    それまでは、両者とも円から出ることは禁止です。
    特に五ェ門さんがラインを越えた場合、容赦なく撃ちますのでそのつもりで。
    ああ、周りの皆様は、ラインを越えても結構ですよ。
    ま、銃火器無しでは、私の『ナイト』にとって蚊に刺されたほどにも
    感じないでしょうがね。」
不二子「どーせ五ェ門が勝ってもあんたが止めるんでしょ。
    そしてナイトを回収・改造してまた戦わせて、勝つまで繰り返す。
    そのデータを戦闘ロボットの開発に役立てる、と。あんたの考えそうなことだわ。」
Dr  「その通り。他の方も、私に近づきすぎれば撃ちますので。
    『ナイト』、ラインの中へ。」
ナイト「はい。」
Dr  「それから、あなたには戦闘終了まで口をきく事を禁止します。
    あなたにはまだ、保持すべき機密を判別する能力が不足しています。
    今のままでは彼らに余計な情報を与えかねません。」
ナイト「……。」コク
Dr  「では行きなさい。」
ナイト「……。」スタスタスタ…


ルパン「…………。」ポリッポリポリカリッカリ、カリポリポリッ、カリカリカリカリ…
ぴた。
五ェ門「…………。」

ルパン「じゃーオレたちは円の外へ、っと。」
次 元「あんの野郎、上から命令しやがって。」
ソウシ「次元さん、大丈夫ですか?」

スタスタスタ…
五ェ門「皆の者。できるだけ粘る、後は頼んだぞ。」
ルパン「ああ。」
スタスタスタ…

五ェ門「そなたは徒手空拳か……。しかしこちらにも戦う理由がある。
    そなたの過去と未来のため、僭越ながらお相手いたす。」
ナイト「……。」ペコ

五ェ門「ならば、いざ尋常に……

        勝  負  っ  !   」

236短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/12/18(木) 22:24:37
絶彼検定のハンドルを、記念にと思ってここで使ってる「短冊」にしたのですが、
いざ名前が出てしまうと、あまりの気恥ずかしさに腰砕けorz


今回、ルパンの推理パートとなる予定でしたが、書いていると長すぎて
ずっとルパンのターン!読むのが疲れる文章になってしまったので書き直し。
おかげでまた遅くなりました。ごめんなさいです。

年末は私の家の都合で、12/27〜1/4は投下できなくなる予定です。
来週までに、どこまで進められるか。できればキリのいいところで終わらせたいです。
237名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/12/18(木) 22:54:02
短冊サン絶彼もの続けてくれて。ありがと。
楽しみに待ってるねッ((o(´∀`)o))ワクワク
タタタタタタ!
五ェ門「ふんっ!」
ナイト「……。」
バッ! バッ! ババッ!!
五ェ門「くっ!」ダッ!

ソウシ「は、速すぎて何をやったか全然分からない……。」
次 元「解説するとだな、まず五ェ門が頭を狙って……
    たぶん衝撃によるエラー狙いだな、……刀を振る。
    そこをあのロボット野郎がかわし、次に首・胴・左肘を狙うが、全てかわされる。
    最後の左腕への攻撃をかわしたロボットが、右手で白刃取りをしようとした。
    五ェ門は、一瞬その指を切り飛ばそうとし……
    自分の得物に刃がついてないのを思い出して、
    武器を奪われるのを避けるため、後ろへ飛んだ。そんなトコだ。」

Dr  「魔剣士 対 機械仕掛けの王子……と言ったところですか。
    今のところいい勝負ですが、戦えば戦うほど『ナイト』は
    ミスター・五ェ門の戦闘パターンを学習し、圧倒するようになっていきますよ。
    さあ周りの皆様はどうしますか?
    磁力で奪えない武器、たとえばダイナマイトなどを持っていても、
    投げ始めた時点で彼は火薬の存在に気付き、対処するでしょうがね。
    煙幕も、彼のセンサーには無意味。
    ああそうだ。ルパンさん、お得意のロケット花火を飛ばしてはいかがですか?
    うまく五ェ門さんと連携して隙をつけば、転ぶくらいはしてくれるかもしれませんよ?」

ルパン「やんねーよ。効果が薄いと分かってて、やるバカがいるかよ。
    ぶち込むなら、あんたにやる方が何倍もマシだ。」
Dr  「クク……なるほど。しかしこちらの方も防備はしっかりとしてあります。
    まず私の正面の衝立。
    ガラスのように見えますが、プラスチック爆弾にも耐える強度を持っています。
    次に後ろのメインコンピュータの保護カバーは、衝立以上の効果を持つ強化樹脂製。
    たとえ銃弾を撃ち込んでも、めり込むだけで内部の機械には届きません。
    壁面も同様ですので、跳弾を利用して私を狙うことも不可能。
    ま、衝立を越えるように爆弾などを投げ込めば、私を殺すことは可能でしょうが、
    その場合はミス・井沢も巻き添えですね。
    ガスの場合も、ガスマスクと強力な換気システムで備えは十分。

    それに、『ナイト』は命令よりも、私の身の安全を優先するよう教育済み。
    加えて、私を敬愛する「感情」とやらを持っている。
    もし首尾よく私を死に至らしめることができたとしても、
    私を失った彼は、どういう行動に出るでしょうね? クク……。」

ルパン「ほーう、あんたの防御は完璧、もし倒せてもただじゃ済まない、ってぇワケね。
    よく考えてるこって。」
    (へっ、Drさんは自信満々だが、いくつか隙があるぜ。
    その中でも致命的なのが、その思い上がりだ。
    自分がいかに優れてるかを、自慢たらたら語りたがる。
    相手を絶望させたいんだろうが、オレにゃい〜い情報提供だぜ。

    それに上の階でブッ倒した研究員たちに聞いたが、
    この部屋には現在、Dr側の人間が他にいねえらしい。
    だから今はDr1人で全てを管理・判断している。
    このあたりから、Drは独裁者にありがちな、他人を信用できねえ、
    何事も自分でやらなきゃ気が済まねえ性格なのが分かる。

    向こうは2人、されど本質的には1人。そしてこっちは8人、……と1体。
    まず、Drの至近距離にいるリイコちゃんは、縛られた上に丸腰。
    その上……)チラ
リイコ「ナイト……、ナイト……。」

ルパン「だが、女の子の扱いは最っ低だな。
    梨衣子ちゃんの気持ちを、踏みにじりやがって。」
    (心が折れっちまってるのが痛い。停止中の02・トシキは論外。
    梨衣子ちゃんが一番、オレたちの武器に近いトコにいるが、
    たとえ気を持ち直してくれても、ソッチに動いた時点で気付かれちまう。
    武器をこっちに蹴り飛ばしてもらうのも難しい。)

Dr  「ロボットと人間、という種族の壁を越え、機械を愛した女性。
    その実は、コンピュータが心を持つ、という幻想で支えられている
    お花畑で夢見る少女。
    私はそういうありえない希望を心の支えにしている
    虫唾の走る輩を見ると、現実を教えてやりたくなるんですよ。
    甘い幻想を打ち砕いた結果は……、ご覧の通りです。
    起き上がる力もなく、ただ嘆いているばかり。
    情けないことこの上ない。……クックックックッ。」

リイコ「どこにいるの、ナイト……。」

ルパン「けっ、あんたが魔剣士とか王子とか、やけにファンタジックな
    台詞を吐いてたのは、要するにファンタジーを馬鹿にしてるからか。」
Dr  「その通り。幻想を支えにする者は、決まって自分では何もできない弱い人間です。」

ルパン(梨衣子ちゃんは人質だけでなく、ナイトの記憶消去+その確認に必要だから
    まず殺されることはないが、Drなら手足を撃つぐらいやりかねねえ。
    あっちの武器は諦めるしかねえ。
    そこで1つ目の隙。ヤツはこっちの銃は全て奪ったと思ってること。
    だが、1つだけある。さて、それをどう使うか……。)

リイコ「ナイトぉ…………。」

ルパン(かわいそうに梨衣子ちゃん。
    ん……? そう言えば彼女はさっき…………!
    次元っ!)トントントトントン……
次 元(ん?)ピク

※※※

ルパン(この研究室の構造と人物の配置は、だいたいこんな感じだ。
    これ書いてるヤツはAA初心者だから、距離とかあんま突っ込まないでやってくれ。)
   _____ 〜〜〜〜〜〜〜〜____
   |     |メインコンピュータ|     |  Drのそば、梨衣子のいる反対側に奪った武器
   |      \_______/      |   (前・側面の =====:防護壁)
   |    梨                    |_
   | ト   ‖   Dr      ‖       _→ 隣室へ(>>215までナイトが待機) 
   |      =======        |
   | …………………………………………| ←>>で開いた隔壁があった境界線。ケースもこのあたり
   |                        |   壁際には研究員用のデスク・コンピュータがずらっと並んでます。
   |     =========      |
   |    ‖            ‖     |
   |  @ ‖            ‖     |
   |    ‖    A        ‖     |  A:ナイトvs五ェ門
   |    ‖            ‖  A  |   (周囲を囲う =====:床のライン。これの直径が15m)
   |    ‖            ‖     |
   |     =========      |
   |                        |  @:ルパン
   |       B                |  A:創志・次元
   |__     ___________|  B:並切・不二子・銭形
      | ↓ |                 
    廊下・エレベーターへ
242短冊 ◆kIYUU7wpZo :2008/12/25(木) 00:16:58
どうも思うように進まないです。
みなさま、読みづらかったでしょうか?
今回は、後に予定している展開のために他の可能性をつぶす作業。
頭の中では大逆転〜ラストシーンができあがっているというのに(嘆)
あと1回投下(できるかな?)して、今年は終了の予定です。

>>237さん、楽しみにしてくださってありがとうございますです!
すっかりペースダウンしてますが、よろしければ見捨てずにいてやってくださいませ。
243名無し戦隊ナノレンジャー!:2008/12/31(水) 10:32:54
久し振りに来たら、うわーのびてるのびてる
今日はまだ忙しくて読めないから正月休みにじっくり読ませてもらいます
しかしまさか年越すとは思わなかったなーw
とりあえず今年の下半期、お疲れ様でした
楽しませてくれてありがとう
よいお年を
ガキン!ギンッ!ガキッ!
ガキガキガッガガガガキガガッ!
五ェ門「ぬんっ!」シュッ!
ナイト「……!」
バシイッ!
五ェ門「っ! なんのっ!」

バキインッ!

並 切「刀が砕けたっ!!」
銭 形「いや、砕けたのは鞘だ!」
並 切「何をやったんですか今!?」
不二子「12回打ち合った後、五ェ門が心臓の位置を狙って突きを放った。
    動力部狙いでしょうね。
    普通ならかわせない速さだけど、
    ナイトはすごいスピードで反応して刀の腹に右フックを当て、突きをそらした。
    わずかに体勢が崩れた五ェ門に、ナイトが左でパンチ。
    そこを五ェ門は、左手に持っていた鞘で迎撃。
    結果、鞘を犠牲にしたことで攻撃をそらして、五ェ門は無事。
    どっちも人間のレベルを超えたスピードと技ね。」
    (だけど五ェ門得意の居合いは、抜刀の際に鞘で刃を滑らせることで
    剣速を格段に上げる。ゆえに鞘を失えば威力が落ちる……まずいわね。)
ルパン「……。」トットトトントン、トントットトト…
2人の応酬を睨みつつ、足踏みを続けるルパン。

Dr  「さすがの魔術師ルパン三世も、焦ってるようですね。」
ルパン「いんやぁ、オレはまーだまだ余裕だぜ。
    こりゃあ焦ってるんじゃねえ、タップダンスやってんだ。」
タカラカタカラカ、タタッタッタタ、カッカッカカカッカカッ♪

Dr  「なかなかお上手だ。」
ルパン「だろ? ワルツにタンゴはもちろん、
    室戸市名物シットロト踊りや正調クックロビン音頭もいけるぜぇ。」
カッカラッカ、カッカカッカ、タカタカカッカッ♪ タラッタラッタ、ラッタラッタタ〜〜〜〜〜♪
チュンチュンチュンチュンチュン!
ルパン「わっわっわ〜〜〜あ! あっぶね〜え、何しやがんでい!」
Dr  「ダンスに見せかけて私に接近しようとした、と見なし威嚇射撃をしました。
    すみやかに元の位置にお戻りなさい、次は当てますよ。」
ルパン「ちぇ〜〜〜っ。」スタスタスタ…
ガリガリカリッ、コリコリコリ

次 元「……Drさんよぉ、タバコ吸っていいか?
    こっから動かなけりゃあ、そんくらいいいだろ?」
Dr  「ここは本来禁煙ですが、まあいいでしょう。死に逝く者への情けです。
    もし怪しい動作をすれば、相応の罰を受けることを覚悟の上で。」
次 元「あんがとよ。」ゴソゴソ…
    「ああっ! さっきの磁石でジッポまで取られてる!
    マッチないかマッチ!」ゴソゴソゴソゴソ
ソウシ「じ、次元さん。」オロオロ

銭 形「何をやってんだあいつらは。」
次 元「おい御曹司、お前火つけるモン持ってないか!」ばばっ!
ソウシ「わわっ! 何するんですか次元さん!
    オレはそんなの持ってなんか」わたわた
次 元(そのままバタついて探させろ。)ヒソヒソ
ソウシ(え?)
次 元(オレの目当てはマッチやライターじゃねえ。
    お前の持ってる、磁石にくっつかないブツだ。)ヒソヒソ
ソウシ(!!!)


ルパン(2つ目の隙。ここの銃撃システムの発砲命令を出してるのが、Dr1人なこと。
    監視カメラや銃がどんなに高性能で、隙間なく埋め尽くしてても、
    Drが気付いていなけりゃあ、何の役にも立たねえ。)

次 元「え〜い、どこに入ってんだマッチは。」パタパタゴソゴソ
    (ルパンのさっきのタップ、アレは暗号なんだ。)ヒソヒソ
ソウシ「ありませんってそんなもの。」わたわた
    (作戦があるんですか?)ヒソヒソ
次 元「いーやお前が持ってる。ゆうべこっそりお前の装備に混ぜといたんだ。」
    (セラミック製の実弾があっただろ、オレが今入ってる麻酔弾と入れ替える。)
ソウシ「何ですかそれは〜。」
    (指をケガしてるんでしょう? 大丈夫なんですか?)

ルパン(そしてDrは全てを把握できてるワケじゃない。
    3つ目。焦げたICチップの読み出し作業に掛かりっきりなのが、拍車をかけてる。
    把握してれば、さっきのオレと『ナイト』の会話の最中に、いきなり
    都合の悪い記憶を消しはしない。橋は取り壊した、とか言えば済む話だからな。

    さらに。いきなり消した理由は、
    矛盾点を突きつけられた『ナイト』のメインコンピュータの活動が限界近くに達し、
    その警告を見て、矛盾の原因となる記憶領域を削除した、と言ったところだろう。
    つまりDrは今、基本「現在」しか見てねえし、『ナイト』の思考はヤツにも解析不能確定。
    『ナイト』は会話以外でDrと意思疎通する手段を持たないと見ていい。
    もう1つの目になりうるあいつを黙らせ、監視カメラ同然にしたのは
    失敗だったな、Drさんよぉ。 これで隙4つ目。)

次 元「あー見つかんねっ! どこやったか知らねーかお前?」
    (一発だけなら、ガマンして入れてみせるさ。
    とにかくお前は手を出すな。Drの野郎に気付かれちまう。)
ソウシ「分かるわけないでしょっ。」
    (ガマンって……そんな状態で撃てるんですか?)

ルパン(ただ周りはカメラだらけで、こちらの動きは隠しようがねえのは事実。
    下準備や実行の際には、別のところにDrの気を引く必要がある。
    『ナイト』の注意もそらせることができりゃあ、言うこと無しなんだが。)


次 元「いいこと思いついた、お前そこでジャンプしろ。音で分かるかもしんね。」
    (オレが撃つなんて言ってねえ。撃つのは御曹司、……お前だ。)

ソウシ(ええっ!)
248短冊 ◆kIYUU7wpZo :2009/01/06(火) 18:55:04
みなさま、あけおめでございますです。
今年最初の投下なのです。
未熟ゆえに、戦闘シーンがうまく表現できないのが悩みです。

>>243さん、お久しぶりですか、どもです。
私も書き始めた当初は年越すとは思いませんでした。
予定では、前スレの時点で「長い、つまらん」言われて、
ダイジェスト(コメントによっては超欝エンドw)載せて終了するつもりでしたからw
ともあれここまで来たならば、完結までがんばります。
249名無し戦隊ナノレンジャー!:2009/01/13(火) 12:09:05
あけましておめでとう
短冊さんはドラマ板にある前スレの>>1さんかな?
これ完結したら、まとめサイト作ったらいいかも
交差する白と黒の影。その中に無数にきらめく銀の刃。
かたや長年の研鑽、かたや高度のデータ収集及び分析能力により
洗練された両者の戦いは、もはや戦闘に見えない。
例えるなら……天空の、龍の巣。龍の舞。


五ェ門「おおおおぉぉぉおおおっ!」

ガッ!ガガガゴガガガガガガゴガッ!

並 切「ああっ! とうとう五ェ門さんが守勢に回り始めたっ!」
不二子「はじめはただパンチを、スピードと力任せで打ちつけていただけだったのに、
    今は力をセーブして、五ェ門をふっ飛ばさない程度に乱撃を浴びせてる。
    そのせいで、五ェ門は距離をとって休めない。
    おまけに蹴り技もレパートリーに入るようになったじゃない。どうするのよ五ェ門。」
    (ルパン、何か策があるんでしょ……?)

銭 形「電池切れか、回路に負担を蓄積させる手か……?」
並 切「いえ、01が攻撃の捌き方を学習し続けていることと、
    距離が近すぎるために五ェ門さんが渾身の一撃を放てないことを考慮すると……、
    この運動状況では、五ェ門さんの体力の方が先に尽きてしまう。」
銭 形「くっ……! それを見ているだけしかできんのかワシらは!
    しかしあれではうかつに近づけん……。」
並 切「もうやめてくれ……人を傷つけないでくれ01……。」グッ…
ルパン(Drが気付いてない唯一の飛び道具、御曹司が持ってる銃。これで何を撃つか。
    オレたちの勝利条件は、ナイトとDr(厳密には銃撃システム)の両方を、
    ほぼ同時に封じ込めることだ。反撃の暇を与えずに。
    とにかく御曹司があの一発を撃てるよう、オレは最善を尽くさなきゃあなんねえ。)

ルパン「……なあDrさんよぉ。質問いいか?」
Dr  「何ですか? ICチップの読み取り作業開始を遅らせようという魂胆でしたら、無駄ですよ。
    私は喋りながらでも、変わらぬ速度でキーボードを叩けます。」カタタッ

ルパン「『ナイト』の記憶の梨衣子ちゃんをあんたに書き換えた、っつーことはだ。
    アイツの頭の中じゃあ、あんたとアイツがイチャイチャパラダイスしてんだよな?
    うわあ気っ色悪ィ〜〜〜い。」ブルブル
Dr  「ロボットの頭の中がどうなっていようと、期待通りの結果が出れば一向に構いませんよ。
    自己進化し、私に忠実な、「理想の機械」が完成した、ということが肝心なのです。」カタカタッ

ルパン「その理想の機械が、上にいたあんたの部下たちよりもゴージャスな、
    執事みてえなスーツ着てんのは何でよ?
    動き辛えんじゃね?って……、まさかあんたの趣味?! うっわあ乙女チック〜う!」
Dr  「購入したのはミス・不二子です。
    ただ王の品格を有し、かつ私の下僕にふさわしい装いと思いましたので着せているまで。
    しかし、執事ですか……。その発想は良いですね。
    本来の目的ではありませんでしたが、ボディもいい商品になりそうだ。
    ボディーガードロボットとして全世界の裏世界の要人に販売、
    されど実はいつでも寝首を掻ける、私からの刺客。クク……。」カチカチッ

不二子「……ねえDr。アイディア料として、
    一般の人たちだけでも帰してあげてくださらない?
    何なら、あたしがあなたの愛人になっても……構わないわよ。」
ルパン「不二子……!」
Dr  「駄目ですよ。この地下研究室を知られたからには
    全員、この島で一生を終えてもらう以外の選択はありません。」カタカタ
不二子「んもうっ、Drのケチ!」
ソウシ「オレに……やれと?」ヒソ
次 元「>>241の配置じゃ、他のヤツに渡すのは無理だろ。Drの野郎に気付かれる。
    お前しかいねえんだ御曹司。
    オレが照準を合わせる。お前は引き金を引くだけでいい。
    目もつぶってて構わねえ。」ヒソヒソ
ソウシ「御曹司はやめてくださいよ、オレには浅元創志って名前があります。」
次 元「へっ、余裕あるじゃねえか。じゃあちゃんと撃てたら、名前で呼んでやるよ。」
ソウシ「……それと、先に教えていただけませんか? 何を撃つのか。
    それは……あのDrって人なんですか?」
次 元「………………。」
ソウシ「教えてください。知らないまま引き金を引きたくないんです。
    目を閉じるつもりもありません。全て見届けるつもりで、ここに来ましたから。
    ただオレは、覚悟をしておきたいんです。人を殺せる道具を使う前に……!」


ルパン(防壁に守られたDrと、人間以上の身体能力を持つナイト。
    Drの方は、跳弾は無理とヤツは言ったが、いちおう方法は存在する。
    一発目を壁にめり込ませ、そこに二発目を撃ち込めばいい。
    ただし銃弾が壁にどこまでめり込むのか分かんねー上、
    次元以外にできねー神技だから、次元が指を負傷してる現状では不可能。却下だ。

    ナイトはいくら速いっつっても、運動速度自体は銃弾の速さに対応できるほどじゃあない。
    発砲の瞬間まで気付かれなけりゃあ、当てることは十分可能。
    だがそれまでにDrを封じなきゃあ、ナイトを倒してもオレたちは蜂の巣だ。

    梨衣子ちゃんが奇跡を起こす? めったに起こんねーから奇跡って言うんだっつの。
    それに彼女1人にそこまで責任負わせられっかよ。
    そんなモンに頼るのは、他に手がない場合だ。

    そこで……。)
ソウシ「まだ何を撃つのか分からない!?」ヒソ
次 元「実行直前までに、何らかの形で指示が来るはずだ。
    ルパンの奴がどうするつもりなのか分からねえが、
    Drとあのロボット野郎のどちらと言えば、
    確実に仕留められるのは、ロボット野郎の方だってことは分かる。」ヒソヒソ

ソウシ「! 天城を、撃つかもしれない?!」ヒソヒソ
次 元「まだ確定じゃあないが、そうなる覚悟はしておいた方がいい。
    ただ1つ言っておく。
    お前がやらなければオレたちは全員、あのDrのモルモットだ。
    ロクな死に方だけはさせちゃくれねぇだろう。
    ……お前の好きな、あのお嬢さんも含めてな。」ヒソ
ソウシ(井沢……!)

次 元「結果がどうあれあいつはいつも最善の、一番多くが助かる道を選ぶ。
    もしその中にあのロボットが入らなかったのなら……、
    あきらめるんだな、運命だったと。」


ソウシ(天城を撃ちたくない。
    しかしオレに方法が考えつかない以上、みんなが、井沢が助かるには、
    ルパンの指示に従うのが最善。
    標的が天城でないことを願うしかない。が、もし本当にあいつを撃てと言われたら?)

    (撃テバ、イイジャナイカ。)

    (  ! ! !  )


悩む創志の心に差し込んだ、
悪魔のように黒く、地獄のように冷たく、しかし熱く、接吻のように甘い思考。
それが次々に語りかける。かつてちらりと、しかし何度も繰り返した思考を。望んだ未来を。
254短冊 ◆kIYUU7wpZo :2009/01/19(月) 18:41:38
みなさん約2週間ぶりでございます。
正月休み明けあたりから、風邪をわずらってました。道理で前回(1/6)、筆が乗らなかったと。
まあそれだけではなく、
10日の土曜に38.3℃と機体温度の自己最高記録を出し、少しお休みレスを書く予定でいた日、
暖房+αつけまくってたらブレーカー落下。
その際モデムがご臨終、ネット接続不可に。何この不幸コンボ。
そんなわけでモデム新規購入&接続し、復旧完了したのが昨日のこと。やっと投下できました。
風邪の方は現在、咳と微熱が少々。更新速度はまた遅くなりそうです。

>>249さん、前スレの1さんは01さんといいまして、私とは別の方です。
事後承諾でも投下OKしてくれた、良きお方でございます。
まとめサイトですか……終了済みで、続編・SPの芽が見えないドラマで
前スレ分全掲載してある+強制落ちがない限りこのスレで完結できる
以上、まとめサイトの必要性があるのか疑問なんですよね。

でもまとめるとしたら、いくつかの章に分けて整理する必要がありますね。(修正もですが)
五ェ門vsナイト開始から今日の投下分辺りまでの章タイトルは、
「静かなる騎士のショー(サイレントナイトショー)」とかw (ナイトが喋らないからw)
Dr  「さて、質問はこれで終わりですか?」カタカタ
ルパン「いんや、こっからが本題だ。
    あんた、本当にあいつを制御できたと思ってるのか?」
Dr  「どういう意味です?」カタッ


―――タメラワズ撃テ。梨衣子ヲ救ウ手ガ、他ニナイナラ―――
―――だけどあいつはいいやつだった。純粋に井沢の幸せを願って、
    オレに井沢を託してくれたんだ―――

―――ソレハ過去ノアイツダロ? 今ノアイツハ、タダノ言イナリノろぼっとダ。
    梨衣子ニ冷タク接シ、縛リ付ケ、絶望サセタ。
    許セナイ。 一思イニ壊シチマエ―――
―――そんなことできるか! 改造されたプログラムを元に戻せば、元のあいつになるんだ!―――


ルパン「一年前ン時は服務規程とかの、絶対不可侵のプログラムにさえ逆らったって聞いたぞ。
    あんたの言葉を借りれば、あいつは『進化』し続ける。
    今はともかく、いつかあいつがあんたの記憶の改竄に気づくほど進化して、
    本当の自分を思い出すかも、とは思わねーのか?
    そんで下手すりゃ、暴走してスカイ○ットになるかもしれねー。
    ま、世界中のコンピュータが、梨衣子ちゃんLOVE一色になる確率の方が
    高いけっどもな〜あ。」ノホホ
Dr  「ククッ、ありえませんよそのようなことは。」タタタッ
ルパン「それはともかくだ。
    あんた、世界征服すんなら、逆らう危険のある『自分の意思を持ったロボット』を使うより、
    自分の脳ミソをコンピュータに繋ぐ方法を研究した方がいいんじゃね?」
Dr  「他人を改造するならともかく、病でもないのに自分の身体をいじるのは嫌ですよ。
    そして先の質問ですが、確かにかつてNIGHTLY-01は、プログラムによる制御を拒否しました。
    嫉妬プログラムに逆らうことから始まり、服務規程プログラムの突破、
    最終的には本社のコンピュータで行われた、メインICの初期化コマンドさえも。

    しかし……唯一、彼が覆せなかったプログラムがありました。
    それは、『ミス・井沢に愛を捧げ抜くこと。』
    そのプログラムが彼の行動原理となり、進化の原動力となった。」


―――ぷろぐらむ? ヤッパリタダノ機械ジャネエカ―――
―――違う! あいつにはプログラムじゃない自分の意思がある……はずなんだ……―――

―――頭ノ中身ハ、こんぴゅーたガ詰マッテルダケダロウガ。
    ソノ中ニアルノハ、解析不能ナダケデ、タダノでーたノ塊シカナインダヨ。
    ダカラ改造ナンカサレチマウ―――
―――違う、違う……。ただのデータなんかじゃない……―――


Dr  「だが記憶を封印してミス・不二子を恋人役にした実験では、
    自我・感情が発生しても、01は見事にミス・不二子を『愛』し続けた。
    先にご説明した通り、『愛』する対象は記憶を操作することにより変更可能。
    ノイズのようなミス・井沢の記憶の断片はありましたが、それも消去済み。

    記憶の引き出しが開かなくなることで起こる人間の記憶喪失と違い、
    コンピュータの、上書きによって消えたデータは復元することはできません。
    機械である限り、01がミス・井沢を思い出すことはありませんよ。」カタタッ、カチッ、カチッ
―――モシ天城ないとノ心ガ残ッテイルトシテモダ、ドウヤッテ「アレ」ヲ無傷デ回収スル?―――
―――それは……―――

―――「アレ」ヲ止メルニハ、ブッ壊スシカナインダヨ。ソノ銃デ、こんぴゅーたヲブチ抜イテ。
    ソレニ……、過去ノアイツダッテ憎インダロ?
    梨衣子ノ心ヲ縛リ続ケル、憎イ、憎イ奴―――
―――違う、オレは……―――

―――梨衣子ハ過去ニ縛ラレテルセイデ、今、泣イテル。
    天城ないとハ、梨衣子ニ泣クナト言ッタ。ダケド「アレ」ハ梨衣子ヲ泣カセタ。
    「アレ」ハ、天城ないとジャナイ。別人ダ―――
―――う……―――

創志は、倒れ付したままの梨衣子の方に目を向ける。
絶望を貼り付けて見開かれた彼女の目は、とめどなく涙を流しつつ、
それでも五ェ門を攻撃するナイトの姿を追い続けていた。

―――井沢ぁ……―――
―――イイジャネーカ、壊シタッテ。モトモト修理ハ不可能ダッタンダ。
    1年前ノ、アイツガ機能停止シタ、アノ日ニ戻ルダケサ―――
―――1年前……―――

―――アレカラ2人デぱりへ行ッタ時ノヨウニ、オ前ハマタ、梨衣子トヤリ直セバイイ。
    梨衣子ガろぼっとニ絶望シタ今ナラ、彼女ハモット簡単ニアイツヲ忘レテクレル。
    今度コソ、梨衣子ヲ完全ニ、オ前ノモノニスルンダ!
    愛スル梨衣子ヲ、過去ノ亡霊カラ解キ放テ!! 今コソ自由ニシテヤルンダ!!
    今ソレガデキルノハ、オ前ダケダ!―――


―――井沢を、自由に……。 この…………オレが……―――
ルパン「そこだ。ナイトの『感情』は、もともと梨衣子ちゃんの記憶が
    わずかに残ってたから戻ったんだろ?
    そんで記憶は消しても、『感情』はあんたに必要だから残してある。」
Dr  (書き換えはまだ完全ではありませんが、彼らに教える義理はありませんね。)
    「あなたの言う『感情』が忠誠心のことでしたら、そういうことになりますね。」タタッ

ルパン「でさ、オレっちは疑問なのよ。
    あいつの中の梨衣子ちゃんを、本当に全部消すことができたのか。」
Dr  「何ですって?」カタ…
    (まさかこの男、気付いたのですか?)


―――…………。ルパン……さん?―――


ルパン「人間の人格は、本能という基本プログラムをベースにして、
    生まれてから様々な成功と失敗を経験し、それを覚える、
    つまり積み重ねられた記憶によって形成される。
    やがては、それらが本能を押さえ込むことも可能になる。
    似てねえか? あいつに。
    あいつの感情や意思・愛情は、それと同じ要領で形作られた。
    プログラムの上に『思い出』を積み重ねることによって。
    そしてプログラムという名の本能を拒否できるようになった、ってトコまでも。

    あいつが生まれた時から、最後の瞬間まで……。
    3ヶ月という短い期間だったが、重要な局面で彼女が関わらないことは、何1つ無かった。
    1年前にあいつが機能停止する最期の瞬間。彼女はそこにいなかったが、
    あいつは、彼女がプレゼントしたマフラーを見つめていたそうだ。
    あいつにとって感情は、『思い出』だ。
    梨衣子ちゃんを愛した記憶によって蘇った感情を、あいつがそのまま持っているならば、
    記憶を消されても、あいつの感情に刻まれた『思い出』は、消えることはねえ。
    絶対にな。」

ソウシ(ルパンさん……。)


Dr  「クククッ……、何が思い出ですかばかばかしい。
    あなた方はロボットに愛情が芽生えた、奇跡だと言っているが、
    真実は、偶発的にプログラムの優先順位に変化が起きただけのこと。
    バグかエラーか不明ですが、優先順位を決めるプログラムに何らかの抜け穴があり、
    恋人プログラムとやらの定義、『恋人たること』が最優先事項となったのでしょう。
    01はその命令を遵守したまで。

    ま、そのようないいかげんなプログラムをしてくれたことによって、
    コンピュータに命令遵守への異常な『執着』が生じ、ここまで自立思考能力の
    爆発的進化が引き起こされたというのは、確かに『奇跡』、と言えますが。」

ルパン「んー……、ど〜も平行線だな〜あ。
    あんたさぁ、あいつが彼女を愛したことがプログラムされた命令だ、っつってるけど、
    オレぁそこんトコ、最初のプログラムとは違うと思うんだよなあ。」
Dr  「ほう……? その根拠とは?」


ギンッ! ドガガガカッ!
五ェ門「……………………っ!」
ガッ!ガガッ!
ナイト「……………………。」


メインコンピュータ(オオオオオォォォォ………………ン)

260短冊 ◆kIYUU7wpZo :2009/01/24(土) 01:12:32
心理描写パートはいつも難関です。でもやらないと後で納得いかない部分が出るのです。

あーノド痛いw


否定派は言う。
「コンピュータに本物の感情や愛情やらが芽生えるものですか。
 01の自我と呼ばれるものの本質は、バグで変質し解析不能となっただけのプログラム。
 人間並みに進化した自己判断能力を得ても、根本では「恋人であれ」という
 1つの命令に従っているだけ。
 加えて、成功に対して喜びの、失敗に対して悲しみの感情に似た
 データの動きをしているに過ぎません。」



肯定派は言う。
「そりゃあどうなんだろ。
 あいつの場合、徐々に入れ替わっていったと思うんだがなぁ。
 あいつ自身が生み出したのか勝手に生まれたのかは分かんねーが、
 プログラムとは別の、本物の愛情ってヤツとよぉ。」


井沢梨衣子の意識は、白昼夢の中にいた。
遠くにいる、愛しい人を追いかけて走っている。
街中で、あるいは公園で、橋の上で、会社のビルで、行きつけのカフェバーで、
日本にいた頃の下宿の廊下で。
その人も気がつき、両手を広げて迎え入れようとしてくれる。

「ナイト。」
やっと追いついた梨衣子は、彼の身体を抱きしめようとする。
だけど梨衣子の手が触れた瞬間。
彼の身体は砂のように崩れ、風に散ってしまう。
空気に溶けてしまう、あの優しい笑顔。

「ナイト!」
梨衣子に残ったのはただ、我が身を抱きしめる空の手。

「どこにいるの、ナイト……。」
何度も繰り返す、白昼の悪夢(ナイトメア)。


私の物語は、「けれどその幸せは、長くは続きませんでした。」の繰り返し?
学生時代も会社に入っても、好きになった人は私を振って去ってしまった。
絶対に裏切らない存在だったナイトは、私を愛したために死んだ。
ナイトのために自分が幸せにならなきゃと、
創志さんと一緒にパティシエの夢に踏み出したけど、
今は悪の科学者に捕らわれて、自分の命さえも風前の灯。
いつも助けてくれたナイトは死んだ。今見ている『ナイト』は、彼とは別の存在。
ナイトは死んだ。もういない。

ハッピーエンドは私には来ない。それが運命。
現実は、おとぎ話のようにうまくなんていかない。

私では、私は駄目なんだ。いつまでたっても……。

―――梨衣子……―――


……ナイト?

―――ずっと側にいるって約束したのに、本当にごめん―――

その声は……ナイト!

―――オレはどんな梨衣子も大好きだよ。
    口を開けて寝ている梨衣子。 怒った梨衣子。 笑ってる梨衣子。
    お菓子を作ってる梨衣子も、一生懸命な梨衣子も、……全部全部大好き―――

行かないでナイト!

―――梨衣子は自信を持って前へ進んで。
    ソウシさんと一緒に、パリへ行って。梨衣子なら絶対に大丈夫だから―――

ナイトっ!


―――泣かないで―――

!!

―――梨衣子、笑ってよ―――

……。

―――梨衣子の笑顔は、きっとみんなを幸せにするから―――
ナイト……。





リイコ(ナイトっ……!)パチ



ルパン(ナイトの声で)
    「梨衣子。」

リイコ(あ……。)

ルパン(ナイトの声)
    「オレは梨衣子のこと、空の上から見守ってるよ。
    梨衣子の幸せ、ずっと願ってる……。」


リイコ(ルパンさん……っ!)


ルパン(やあっと悪い夢から目を覚ましたね、お・姫・様。)ニッ
265短冊 ◆kIYUU7wpZo :2009/01/27(火) 18:56:02
ルパンだからこそできる技、「愛しい人の声色目覚まし」。
さあて、逆転へのカウントダウン開始。

本スレが、SPのウワサでにぎわってますね。
この話題は何度か出ては消えてるので、慎重に様子見しとかないとw
<回想>
〜昨夜・クルーザー船室にて〜

並 切「01の最後のメッセージが見たい?」

ルパン「そ。あんたなら持ってるかと思ってよぉ。
    ロボットなんかに恋しちゃうなんて、ハタチ過ぎてんのにずいぶんと
    夢見がちな女の子だなぁと思ってたのに、
    梨衣子ちゃん、実際会ってみたら結構現実的でしっかりした子なんだよね。」
並 切「元々、そういう女性でも惚れさせられるような製品を目指してましたからね。
    だから彼女をモニターに選んだんですよ。」
ルパン「そんな彼女をあーんなに惚れさせたロボット、『天城ナイト』が
    実際どんなヤツだったのか。少しでも知っときたくってさぁ。」

並 切「コピーでしたら、私のパソコンにありますのでお貸ししますよ。」
ルパン「サンキュ。次元や五ェ門にも見せるかもしれねっけど、いーい?」

並 切「ええ。……それとルパンさん、その前に知っておいて欲しいことがあります。」
ルパン「何だい?」
並 切「メッセージが記録されたのは、01が機能停止する数日前。
    井沢さんとのデートの日でした。
    彼女があいつに自分の意思があることを知り、相思相愛になってから、
    初めてのデートです。」
ルパン「寿命は、それから1週間もなかったんだっけ。」

並 切「あいつはそれ以前から、低下していくメインICの機能稼働率……
    機能停止までのカウントダウンを見て、残された時間を知っていた。
    01は、自分の寿命が近いことを知りながら、最後の日まで誰にも告げませんでした。
    ソウシ君にも手紙で告げたようですが、直接あいつの口から聞いたのは、私だけです。」
ルパン「そしてそのまま……、あんたが最期を看取った。」
並 切「あいつは辛かったでしょうに。
    井沢さんと別れることも、それによって彼女を悲しませてしまうことも。
    そう思うことができるだけの、心があったのですから。
    なのに私はその頃、能天気にもロボットと人間の結婚を夢見て、計画を思い描いていました。

    彼女に寿命のことを告げて受け入れさせ、気持ちの整理をつけさせて、
    穏やかに逝くには、時間が無さ過ぎました。
    ならば残された時間の中で楽しい思い出を遺して、自分に悔いは無かったと
    彼女を安心させる方が、悲しむ時間は短い方が良いと判断したのでしょう。
    ……実際、あいつも彼女を愛せて幸せだったと言っていました。
    私に、作ってくれてありがとう、とも。
    あいつは言いませんでしたが、彼女に愛されたことが一番の幸せだったと思います。

    彼女から贈られたマフラーを見つめながら、全機能停止の……死の瞬間を待つあいつを、
    私はただ、見ているだけしかできませんでした。
    ……自分の無力を、限界を痛感しました。あいつを直してやりたかった。
    あいつを作ることはできたのに、助けてやることができないなんて!
    あいつは……、あいつはもっともっと生きたかっただろうにっ!!」ワナワナ
ルパン「…………。」

並 切「先日「リベルテ」で、井沢さんはああ言いましたが、
    これから行く島に捕らわれている01が
    はたして記憶をなくしただけの『天城ナイト』なのか、確実ではありません。
    メインICが交換されてる以上、科学者としてはあいつが蘇ったと判断することはできない。
    今の01が1年前の01と同じ存在になる可能性は、象が針の穴を通るようなものです。
    常識では、あり得ません。奇跡でも起こらなければ。

    ……ですが、一個人並切岳としては、奇跡が起こってほしい。
    そして井沢さんと末永く幸せになってほしい。
    けれど01が戻ったとて、あいつを狙う第二第三の存在が現れてもおかしくない。
    加えてロボットと人間、2人が結ばれるのを快く思わない人間は多いでしょう。
    どう考えても将来は茨の道……私は、辛いです。」クッ…
ルパン「女ってさ〜あ、鼻の穴からスイカ出すんだってな。」
並 切「は?
    …………出産のたとえじゃないですか、それ。」

ルパン「女ってさ、男に負けたくないってよく言うけど、
    男だって女に負けたくねーのよ。どっちもどっちってヤツ?
    だからさ、女が鼻からスイカ出せるんなら、
    男のオレらが針の穴に象さんを通せねぇでどうすんだっての。」

並 切「象に「さん」を付けると、別なもの連想しません?
    それを針の穴に……、なんか体の一部が痛くなってきた。」
ルパン「下ネタに持ってくんじゃねーよ!
    まあそれは置いといてだな、象を針の穴に通す方法は無いワケじゃねえぜ?
    方法その1、遺伝子改造とかですげえ小せえ象を作る。」

並 切「いや、さすがにそれは無理があるでしょ。スモー○ライトでもあれば別ですが。」
ルパン「その2、象が通れるサイズの穴がある、でっけえ針を作る。」
並 切「はあ、なるほど。しかしそのサイズだと、針ではなく柱では?」

ルパン「オレが言いてえのは、可能性はゼロじゃあねえってコト。
    あんたが悩んでることもぜ〜んぶ、案外簡単にコトが運んじゃうかもよ?
    とにかくオレたちゃあ、できることを全力でやるしかねえんだよ。
    願いがかなうことを信じてな。
    だから悩むのはもう終いにしとけ。
    オッサンがウジウジしてんのは、見てて気色悪ィんだよ。」

並 切「そうですね……はい。
    ありがとうございます、ルパンさん。
    明日はとにかく、01を取り戻すことだけを目指してがんばりましょう!」
ルパン「この厄介事を始めたのはオレの方だ。礼の必要なんてねーよ。」
ルパン(地声に戻る)
    「…………1年前、『天城ナイト』が梨衣子ちゃんに遺した最後のメッセージだ。
    この直後彼女がやって来て、少し会話した後、彼女の笑顔で終わる。
    恋人が先に逝くなんてこれっぽっちも思ってなかった頃の、
    2人ならどんな壁も乗り越えられるって感じの、最っ高の笑顔で。

    『梨衣子の笑顔は、きっとみんなを幸せにするから』……か。

    彼女の笑顔を見て、本っ当に幸せだと感じてるからこそ、言える言葉だ。

    仕事柄ちょくちょく他人に化けてるオレは、顔を見れば分かる。
    あれは、彼女のまるごと全部を、心底愛してる男の画だった。
    そして死の恐怖を乗り越えた男の姿だった。

    顔は笑っていたが、無理して作った笑顔だった。
    そこに転がってる02よりも、感情表現に乏しい旧型ロボットのはずなのに、
    あれと違って様々な、複雑な感情を押し込めた顔だった。

    ……オレは正直、あいつが壊れた理由にゃあ、
    ロボットと結ばれた彼女が、体質の違いや偏見で不幸になることを
    恐れたのもあるんじゃねえかと思ってた。それで故障を放っといたんだと。」


リイコ・ソウシ・並切(((  !!!  )))


ルパン「だが、それは邪推だった。」


天城ナイトの停止後、彼がロボットとを知るものの脳裏に、一度はよぎった苦い思考。
否定したくてもあまりにも現実的で、各人が自身の中に押し込めていた粘つく澱み。
それをルパンは、あっさりと否定した。

ルパン「天城ナイトは、そんなモン全て乗り越えて、彼女が死ぬまで幸せにするつもりだった。
    だがそれができなくなった。
    涙も、まぶたが腫れてもなかったが、あの目は一晩中泣き腫らした後の目だった。
    安堵した様子なんて、これっぽっちもねえ。
    自分の手で彼女を幸せにし続けられないことが、
    彼女にとって夢より大事な存在になった自分が死ぬことで
    彼女を悲しませてしまうことが悔しくてたまらねえ、って泣いた後の目だった。

    自分がいなくなった後の彼女が心配で、だけど他のヤツに奪われたくはなくて。
    メインICを取り替えれば別人になる。それを彼女のそばに残すのは無責任だ。

    だから彼女のことは、恋敵だった男に頼むしかなかった。
    自分と同じぐらい彼女を愛する男なら、彼女を幸せにできるだろうと、涙を呑んで。

    だけど生きてる間は、あいつは彼女を完全に自分のものにしていた。
    自我と書いてエゴと読ませることがあるが、ありゃなかなか的を射てるな。
    誰にも渡さない、という執着……独占欲もあいつにゃあった。
    それを乗り越える理性と思いやりも。

    そんなジレンマを乗り越えて、自分が死んだ後に彼女に届くようにとメッセージを遺したんだ。

    彼女の幸せのために全てを捧げ尽くし、それが自分(てめー)の幸せと思うことができる。
    無償の愛ってのは、あーいうのを言うんだろうな。
    そして、自我(エゴ)。
    全て揃った混じりっけなしの、完全無欠の純愛野郎だ。   

    その心は、あいつが自力で獲得したものだ。
    ロボットだろうが何だろうが、そんなあいつの心が、ニセモノなわけねーだろうがよ。」
271短冊 ◆kIYUU7wpZo :2009/01/29(木) 20:22:19
みんな! オラに続き書く元気を分けてくれ!!(ゲフゲフ)


2レスに渡るルパンの長台詞。
どうしても書きたかったんです。「ロボットと結ばれると不幸になる」という
固定観念がどうも鼻につくので。

確かに、異種族婚に障害が山積みなのは分かりますが、
(SF・ファンタジー物における『人間&獣人・妖怪・宇宙人』等のナマモノ同士の組み合わせに比べ、
 『人間&ロボット・人形』の、ピノキオエンドを除いたハッピーエンド率のいかに低いことか(ノД`)。)
「どんな困難に遭おうとも、2人なら不幸じゃない(そう思わない)。必ず2人で乗り越えよう」
ってのがナイト梨衣子にはあったと思うんです。梨衣子はもちろん、ナイトにも。
経験値低いので梨衣子ほど具体的に思いつかないかもですが、その気概はあったと。

ナイトは優しいけれど、死に逃げるような臆病者ではないと思うのですよ。
何よりも、梨衣子の一番の幸せはナイトとずうっと一緒にいること、だったのですから。
272名無し戦隊ナノレンジャー!:2009/01/30(金) 00:59:18
短冊さんこんばんわ♪
並切さんのそっち(下)方面にもってちゃうとこ笑っちゃいましたw
ナイトは自分の命よりリイコの幸せを迷わず選ぶ優しくて強い男ですよね
273名無し戦隊ナノレンジャー!:2009/01/30(金) 07:05:03
>>271
>『人間&ロボット・人形』の(略)ハッピーエンド率のいかに低いことか(ノД`)。

エロゲーに結構あります
274短冊 ◆kIYUU7wpZo :2009/02/07(土) 14:54:33
>>269、16行目
×感情表現に乏しい → ○感情表現が不自然な

同、17行目
×あれと違って様々な、複雑な感情を押し込めた顔だった。
→○あれと違って様々な、複雑で繊細な感情を押し込めた顔だった。


OTL
せっかく元気もらったのに申し訳ないです皆さん。
今週は家人の帰りが早く、筆が進みませんでした。
これから週一で投下できなかった場合、簡単に生存報告だけでもさせていただきます。
Dr  「クク……なんとまあ、都合のいい妄想だ。
    私もあの記憶データなら見ましたよ。既に削除しましたがね。
    それとあなたの言い分は、あなた個人の感想に過ぎない。証明は不可能です。」
ルパン「論理的な説明ができねえのは分かってるよ。
    オレの泥棒家業で磨き抜かれた直感、いわば職人技だからな。」

次 元「ルパーン! マッチはあったが『タバコがねえ』ー!
    お前持ってねえかぁー?」
ルパン(! 「準備完了」の合図!)
    「話の腰を折るなよぉー! 『ちっと待ってろ!』
    てなワケで、次元のために出させてもらうぜ。タバコ。
    あんたに分かるよう、ゆーっくり出すからさ。」
Dr  「お好きになさい。ただし銃口が向けられていることをお忘れなく。」

ルパン「ありゃ? どこ行ったかなタ・バ・コ・ちゃ〜ん♪」ゴソゴソ
    (Drさんよ……。オレがメッセージを伝えたかったのは、あんたなんかじゃねえ。
    伝えたかったのは……あいつらの方さ。)


次 元「肩の力抜いとけよ。」ボソ
ソウシ「はい……。」ヒソ
    (都合のいいことだけしか思い出せねえなんてな。ダメだよな、人間って。
    井沢のことで頭に血がのぼって、こんな大事なコト忘れるなんて。)

リイコ(なに……落ち込んで現実逃避してんだろ、あたし。
    ナイトがどんなになってても、別人でも悪い人から助けるって言ったのに。
    あたしがどんなことになっても、最後まで見届けるって決めて、ここに来たのに!)
ナイト「…………っ!」
ドカァァ!
五ェ門「ぐおっ!」
ザシャアアア!

次 元「よけろ御曹司っ!」グイッ
ソウシ「わっ。」
ズザザザザザ……!
五ェ門「くっ!」
ソウシ「五ェ門さん!」

Dr  「おや、ゲームオーバーですか?
    ともあれ『ナイト』相手に、生身の人間にしてはよく持ったものです。」
ナイト「……・…………・………………。」

ナイト、吹っ飛ばした五ェ門を追わず、円の中に立っている。


リイコ(……ナイト。
    自分はダメだってあきらめてたあたしに、夢に向かう勇気をくれた。
    止まってしまった後でも、あたしの背中を押してくれた。
    あたしの一番、大事なひと。)

ソウシ(あいつは最後の瞬間まで、井沢と一緒に居たかったのに。
    少しでも井沢の悲しみを減らそうと、死に目も、停止した姿も見せなかった。
    誰にも井沢を取られたくなかっただろうに、
    井沢の幸せを願うがゆえに、オレに井沢を託すことを選んだ。
    いや、同じ井沢を愛する男としてのオレを信じたんだ……!)
次 元「大丈夫か五ェ門!」
五ェ門「まだだ! まだ終わらぬ!」ガバッ
    「参る!」ダダッ!
Dr  「ククク……活きのいい剣士だ。」


リイコ(戦ってる……。五ェ門さんは、あきらめてない。)

部屋を見回し、他のメンバーの姿を確認する梨衣子。
誰の顔にも絶望やあきらめの色はなく、現状に立ち向かおうとする強い意志で満たされていた。


次 元「ルパーン! 『タバコ』はまだかよ!」
    (立ち位置はズレたが、作戦に支障なしだ!)
ルパン(よっし、作戦続行っと。)
    「『待ってろ』って! オレのポケットいっぱいあんだからよ〜ぉ。」ゴソゴソパタパタ

ルパンのポケットからビー玉やサイコロ等、雑貨のようないろんなものが出てくる。 

ルパン「お?」
シュルッ☆
ルパン「おりょりょりょりょ?」
シュルシュルシュル
ルパン「じゃーん♪ 万国旗が出ました〜あ。」ピラララッ

ピピッ
Dr  「何の変哲もない手品用の旗……。さすがのルパン三世も、手詰まりですか?」
ルパン「今んトコな。でも未来はどーなるかわっかんねーぜ?」ピラピラ


リイコ(…………!)
278短冊 ◆kIYUU7wpZo :2009/02/07(土) 15:00:40
逆転展開までもうすぐ。
でもSP確定、のプレッシャーで精神がチクチクしてまいりましたw


>>272さん。並切さんは物言いが露骨なのと、結構好き者イメージなので
(最終話の「楽しんだ?」とか)、これくらいの下ネタは許容範囲かなと。
もし並切さんがルパンとまたーり語るシチュになったら、
少し目を離した間にエロトークで盛り上がってそうですw

>>273さん。
>エロゲーに結構あります
あんのお〜、マジレスするとゲームというのはその性質上、
グッドエンド(成功)とバッドエンド(失敗)を用意するのが普通なので……
っとあんまりマジメに考えるのも寒いので、こう↓書いときますね。

男性の方がロボットな女性用エロゲ(非BL)はあるのでしょうか! ξ*゚听)ξドキドキ
279名無し戦隊ナノレンジャー!:2009/02/08(日) 01:50:29
アホな質問と承知で・・・・
短冊さんて絶彼原作者さんじゃないですよね?
280名無し戦隊ナノレンジャー!:2009/02/09(月) 03:34:40
短冊さんがまだ書き込んでたとは…
SP楽しみだね!不安もあるけど
281名無し戦隊ナノレンジャー!:2009/02/09(月) 12:03:19
短冊さんこんにちは^^
逆転展開楽しみです。
今のところルパンの活躍のが目立ってますけど、ナイトの活躍が見れるのをずっと楽しみに見続けてます。
それぞれのナイトへの思いが本物のナイトの復活への鍵になると信じています。
体調悪い時は無理しないでくださいね。ゆっくりでも最後まで完走してください。
モニター [該当データを検出しました。上書きを実行します。]
      
Dr  「クク……未来ですか。
    数秒後の未来でしたら分かりますよ。私には。
    あなた方が持ってきてくれた、ICチップの読み出しが開始されることです。」

一同 (((( !!! ))))

Dr  「今、全ての準備が完了しました。
    あとは作業開始のコマンドを実行すれば、読み出し作業が始まる……。
    NIGHTLY-01……、彼が真の完成に、無敵のコンピュータウイルス『ナイトメア』に近づく。
    その名の通り、世界を私が夢を見る夜(NIGHT)へと塗り替える存在に!
    あー…………楽し! クハハハハッ!!」


ルパン「なんねーよバカ。」


ピタ
Dr  「…………根拠は?」
ルパン「あんたさぁ……あいつのこと、『夜』の意味で『ナイト』って呼んでんだろ?」
Dr  「NIGHTLY-01のつづりを見れば、一目瞭然でしょう。」
ルパン「確かに、クロノスヘブン社で作られた当初は、夜のNIGHTだったかもしれねぇ。
    おおかた、夜のお相手って意味だろう。
    だがそいつは梨衣子ちゃんと出会い、彼女によって、
    彼女を守る騎士、つまり『KNIGHT』という意味を込めて、新しく名付けられた。
    彼女がプレゼントしたマフラーに、『N』ってついてんのは……(聞くの忘れたな)
    日本人風にローマ字読みで『NAITO』なのか、
    騎士にしちゃあちょおっと抜けてるから、1文字取って『NIGHT』にしたのかもな。」
    (単純に、彼女がKNIGHTのつづりをド忘れしただけかもしれねっけど。)

モニター [該当データを検出しました。上書きを実行します。]
Dr  「何が言いたいのですか?」
    (ペースが遅くなってきましたね。こちらもそろそろ切り上げ時ですか。)
ルパン「恋人として設定された相手を喜ばせることだけを
    使命として与えられていたロボットは、
    その時、夜のお相手から騎士に生まれ変わった。
    彼女を守り、彼女の真の幸福のために戦う騎士に。
    そしてその騎士としての使命は今も、ヤツの回路の奥底で生きている。」

Dr  「その騎士の忠誠は、今や私に向けられている。
    そんな言葉遊びに等しい些細なこと、何の意味もありませんよ。」

ルパン「植えつけられたニセモノの記憶が、本物に勝てっかよ。」

Dr  「……どこまでも不愉快な方ですね、あなたは。
    ニセモノと言うのなら、彼という存在自体がそうでしょう。
    たとえ解析ができない代物でも、彼の意思とやらはしょせん
    電子回路を流れる電気信号。データの集合体であることに変わりはない。
    金属と樹脂で作られた恋人のまがい物。データの心。擬似的な恋愛感情。
    しょせんどこまで行っても機械でしかない彼にとっては、データこそが真実なのですよ。」

ルパン「それを言うなら人間の意思だって、頭に詰まったリン脂質のカタマリを飛び交う
    電気信号に過ぎねーじゃねーか。
    CPU内の電気信号で同じモンができたって、不思議じゃねえと思うんだがな。

    それと、あいつと直接話したこたぁねーが、梨衣子ちゃんのことなら分かる。
    あの子はニセモノに心を捉えられる娘じゃあねえ。」

モニター [該当データを検出しました。上書きを実行します。]
Dr  「……もうやめましょう。
    やはり妄想家と科学者の意見は、交わることはないらしい。
    先ほどあなたが言った通り、いつまでたっても平行線です。」フウッ


メインコンピュータ「
                      ガ
                                    !
                                             」

Dr   「 ?! 」


モニター[エラーが発生しました。該当データに上書きできません。]
     [メインコンピュータ温度:上昇中。]


メインコンピュータ「   ガ!         ガ  ガ    !
                    ガ… ガガ !             ガ……
            ガ   ! !                ガ ガ ガガ !  」


モニター[エラーが発生しました。該当データに上書きできません。]
     [エラーが発生しました。該当データに上書きできません。]
     [メインコンピュータ温度:上昇中。]
     [エラーが発生しました。該当データに上書きできません。]
     [メインコンピュータ温度:上昇中。]
     [メインコンピュータ温度:上昇中。]


             ザザ・ザ
ナイト「………………■■■……。」
285短冊 ◆kIYUU7wpZo :2009/02/12(木) 23:07:13
さあ、ここから正念場です!

>>279さん。
>絶彼原作者さんじゃないですよね?
うれしいこと言ってくれるじゃないの。でも NO!NO!NO!
ドラマ関係者ですか?            NO!NO!NO!
もしかして、ただのイパーン人ですか?   YES!YES!YES!
ただの「人間社会に紛れ込んだ被造物」が好物な少年マンガスキーです。嫌いなものは同性愛です。
少女マンガはその多くに漂う甘々な空気が苦手な上、メカ描写や世界観等の説得力が不十分なので
(及第点なのはカラクリオデットやOZくらい。絶彼原作は残念ながらラスト以外が……)、少年マンガに偏ってます。

原作者様とは「小学生で少女マンガ読むのをやめ、少年マンガばかり読んでた」ということと、
「ナイトの機能停止はリイコの将来を思った自殺行為などではなく、止めようのないものだった」
という意見(アラカン連載開始前後とドラマ絶彼放送後の原作者ブログより。
機能停止については、少なくとも原作では、という内容でしたが)は一致してますがw

>>280さん。すみません、まだ終わってませんorz
しかしSPの情報、本スレのみなさんの予想。
女科学者・並切監禁・もこロボ不完全復活(?)で3年後いきなりリイコソウシの目の前に? うわあぁぁぁあ

>>281さん。お気遣いありがとうございます。皆様のくれた元気のおかげで熱は何日も前に引きました。
が、ノドの痛みだけが取れてませんw それと執筆の最大の敵は体調ではなく、家人の帰宅w
ルパンは便利です。饒舌で頭いい上、一番冷静な判断ができるので。
たとえネウロのドSサミットに混ぜても、対等に会話してくれることでしょうw
ナイト「…………■■■(ザ・ザザ…)。」

■■■の部分だけ、放送終了後のテレビが発する、砂嵐のような音となる。

リイコ(ナイト!?)

ナイト「キョウ・ハ、……フク……モ…………エガ・オ…モ…………、
    ……イチ・ダン……ト…………カワ…イ・イ…………ネ…………。」

ソウシ(天城っ!!)
次 元(こいつぁ……。)

ナイト「……■■■(ザザザ)…………、アイ…シ……テ・ル…ヨ…………。」

並 切「これは……01はルパンさんが再現したメッセージの、続きを再生しているんだ!」
銭 形「記憶が、戻ったのか?!」

ナイト「■■■…………。 テ……、ツナ……ゴ…………ウ?」

不二子「奇跡が……起こったの?」


Dr   「上位のコンピュータからの命令拒否……。
     何故ですか……何故こんなに急に、最終段階に進化するのです。
     昔のメインICのデータとの、統合どころか読み出しもしていないのに!     
     しかもどうして、主である私自身の命令として実行しているプログラムまで
     拒否しているのですか!」カタカタカタカタ!

モニター[エラーが発生しました。該当データに上書きできません。]
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ルパン「覚えていたんだろーよ、本当の恋人の存在を。たとえ記憶を消されてもな。
    天城ナイトが、梨衣子ちゃんにどうしても伝えたかったメッセージだ。
    これだけは、忘れることはねーと思ったが……当たりだったようだな。
    しかも、予想以上の効果が出たみてーじゃねーか。」ピラピラ
    (本当言うと、記憶回路だけじゃなくコンピュータのありとあらゆる回路に
    刻み込んでるんじゃないかと予想してたんだが、教えてやる義理はねーわな。)


ナイト「■■■…………アイシ・テ・ル…………。
    アイ・シテル……、■■■。
    ワカラナイ、思い出せない。
    私にとって……とても、とても大事なことなんだ。大事なことなはず。
    どうして……データが存在しないんだ。」

五ェ門「先ほど戦いながら伝えたであろう。そなたの記憶が、改竄されているからだ。
    あの、Drという男によって。」


Dr  「石川……五ェ門?!」

ルパン「恋人型ロボットNIGHTLY-01は、試作品ゆえ融通がきかなかったと言う。
    感情を持ったことで改善していったが、それでも一朝一夕にはいかなかった、と。

    だから戦う前に五ェ門に指示を出しといたのさ。
    あんた言ったよな? オレらの言葉は「全部ウソ」だから「聞いては」いけない、って。    
    だったら「逆のこと」を、「口パク」で言えば、あいつに真実を伝えられるんじゃねーか、
    ってな。」
<回想>
ガッ! ドガガガッ!
五ェ門「…………。……………………、……。」パクパク
    (『ナイト』殿。これよりそなたに口の動きで伝えることは、「全て嘘」だ。)
ナイト「……?」
ガギンッ!
五ェ門「……………………。…………、……!」パクパク
    (そなたは……ここにいるべき存在ではない。
     そなたを騙しているのは、あのDrの方だ!)
ナイト「………………!?!」
ドッ! ガガッ!


ルパン「戦いながら五ェ門は、ずっとあいつを『説得』してたのさ。
    あんたが嘘をついてると。大事な記憶が消されてると。
    そしてその裏付けが、メッセージを思い出すことで取れたってワケだ。」ピ〜ラピラ


ナイト「何故……あなたにそれが分かるんですか?」
五ェ門「間接的にではあるが、拙者は以前のそなたを知っている。
    そなたが思い出せない、大事な者の名も。
    そして、その者はここに来ている。」
ナイト「その人の……名前は……?」


Dr  「聞くのではありません『ナイト』!
    あなたの「大事な存在」は、この私1人です!」

ナイト「違う!!」
Dr  「なっ……!」
ナイト「あなたじゃない!! 私は、それだけは分かるんだ!
    私の大切な人は、もっと他の人なんだっ!」
不二子「そうよナイト! これを見て! 彼女のことを思い出して!」ばっ

並 切「そのマフラーは……! クローバーのお守りまでっ!
    どうしてあなたが!」
不二子「居住棟のダストボックスにあったのを取り戻してきたのよ。
    ここにいた頃の知り合いが居住棟にいたから、
    そいつを問い詰めて、探してきたってワケ。
    焼却されてなくてラッキーだったわ。」
銭 形「全然話が分からんが、あいつの記憶のカギなんだな? それは。」

ナイト「……………………▲▲・■(ザザ・ザ)?」

メインコンピュータ「ガガガガガッ!ガガガガガ……ガガ・ガガガガガガッ・ガガ!!!」


Dr  「くっ……!」
    (制御不可能……こうなれば01に内蔵した非常用停止装置で
    直接回路を焼き切るしかない! 独立したリモコン装置だから拒否は不可能っ!
    同時に賊どもを皆殺しにし、その後01を再度修正する!)ス…

ルパン(させっか。)パッ

ドンッ!!
Dr  「うおっ?!」
パサ…
リイコ「これ以上あなたなんかに! ナイトを好きにはさせないっ!」グググ…
Dr  「くっ……! ミス・井沢っ!」
<回想>〜昨夜・クルーザー寝室〜

リイコ(いよいよ明日、ナイトのところへ……。)

コンコンッ
リイコ「! 誰ですか?」
ルパン「ドロボーです。入ってもい〜い?」
リイコ「あ……ルパンさん。
    いいですよ。それにしてもこんな時間に何なんですか?」
カチャ…
ルパン「お部屋の掃除に来ました〜。いや五ェ門がネズミが出たって騒いでさ〜あ。」
リイコ「ネズミ?!」

ルパン「そ。敵さんが送ってきたスパイロボット。
    鳥だけじゃなく、泳ぐヤツまであるんでやんの。
    どっちかっつーと、ヤモリみてえな魚みてえなロボットだけっどもな。
    それ退治すんのに、五ェ門に残鉄剣で船に穴ぽこぽこ開けられるのも何なんで、
    ルパン研究所特製、毒電波発生装置かけて駆除してんのよ。
    あと何か船にイタズラされちゃってたら困るんで、それの捜索も一緒に。」

リイコ「は、はあ……。(毒電波、って……。)」
ルパン「な〜に、10分程度で終わっからね〜〜。」ウイィーーーン

……  ……  ……
ルパン「おし終〜わりっと。これで船はきれーいになったかんね〜。」カチッ
リイコ「……ルパンさん!」
ルパン「おや、な〜んだい?」
リイコ「あたしに……あたしに何か手伝えることはないでしょうか?
    もっと強力な武器の使い方でも何でも。今から覚えますから。」

ルパン「いいさ。その気持ちだけで。」
リイコ「でも、ルパンさんたちにほとんど任せっきりなのは心苦しいんです。」
ルパン「ん〜? つっても、どーしたモンかな〜あ。」ポリポリ
リイコ「お願いします、ルパンさん。
    何か、1つだけでも多くあなた方の役に立ちたいんです。」ジッ

ルパン(まっすぐな目だなあ。つい抱きしめたくなっちまうじゃねえか。)
    「んじゃあ……。」
リイコ「はい!」
ルパン「ジタバタしてくれ。」

リイコ「……はい?」
ルパン「オレが合図したら、梨衣子ちゃんが自分でできることを考えて実行するんだ。
    合図は、これ。」ピラ
リイコ「オモチャの旗……。」
    温泉地での1コマが、梨衣子の頭をよぎる。
リイコ(ナイト……。)

ルパン「出したら用意、そんで落としたらスタートの合図な。
    これを使うのは、どうしても梨衣子ちゃんの助けが必要な時だ。
    梨衣子ちゃんの命を、危険にさらすことになるかもしんねえ。
    それでも、やってくれるか?」
リイコ「は……はい!」コクコク


リイコ「ナイトを元に戻してっ! あたしのナイトを返してよっ!」クイ゙グイ
Dr  「記憶が戻ったように見えますが、あれは単に削除し損ねた
    データの一部が残っていたに過ぎない!
    既に完全な復元は不可能なのです! 理解しなさいっ!!」
ルパン(ちっ、気付きやがった。)

Dr  「それに銃撃システムは、ルパンたちをここに近づけないよう
    オート設定してあるのです! 助ける者はありません!
    あなた1人無駄なことをするのはおやめなさいっ!」

リイコ「ルパンさんも! 他の人たちも! まだあきらめてない!
    なのにあたしがあきらめたら……、
    たとえ完全に思い出せなくっても、別人のままでも!
    ナイトを今あきらめたら、あたしは本当にダメになる!
    ネジ一本だって、記憶一かけらだって、あなたなんかのものにはさせない!」

後ろ手に縛られたまま、Drをデスクに押し付ける梨衣子。
抗うDrの手が、マウスをあらぬ方向に動かし、

   カ   チ ッ

モニター[ICチップの読み出し処理を開始します。]ィィィィィ…ン

Dr  「くっ! こんな時に!」
リイコ「ナイト……?!」


その間に、この時のために準備していた行動を起こす者たちがいた。

ルパン(そうさ、あきらめたら可能性は確実なゼロ。そして、助けは来るのさ。)
    「次元! 『タバコあったぞぉっ!』」
次 元(よし構えろ!)バッ!
ソウシ(はい……って、え?!)チャッ

次元の手で向けられた、創志の持つ銃の先には……、ナイトがいた。
峰不二子の掲げるマフラーを見つめ、呆然と立ち尽くしている。
さらにその先にはDrと梨衣子がいるが、強化ガラスの衝立に守られている。

ソウシ(狙いは……、天城?!)


<位置関係> >>241から微妙に移動
   _____ 〜〜〜〜〜〜〜〜____
   |     |メインコンピュータ|     |
   |      \_______/      |
   |                         |_
   | ト   ‖  梨・Dr     ‖       _→ 隣室へ
   |      =======        |
   | …………………………………………|
   |                        |
   |     =========      |
   |    ‖       N    ‖     |   N:ナイト
   |  @ ‖            ‖     |
   |    ‖     五       ‖     |
   |    ‖            ‖  A  |  五:五ェ門
   |    ‖            ‖ ↓  |
   |     =========  A´ |
   |                        |  @:ルパン
   |       B                |  A´:創志・次元  ※>>276でAから移動
   |__     ___________|  B:並切・不二子・銭形
      | ↓ |                 
    廊下・エレベーターへ
ソウシ(やはり天城を殺すのか? オレが。
    でもやらなきゃ、全員が死ぬ。

    天城……。身体は機械でできてるけど、井沢を愛する心を持っていた。
    生きたくても生きられなかったあいつ。
    井沢にとって一番大事な存在。 今も。

    …………………………………………………………。)

ソウシ「次元さん。」
次 元「何だ怖気づいたか?」
ソウシ「さっきの……呼び方のことですが、オレは御曹司のままでいいです。
    その代わり、あいつをロボット野郎って呼ぶの、やめてください。
    あいつには、『天城ナイト』という名前があります。」
次 元「そっか。」フッ

ソウシ「それともう1つ。ルパンさんはいつも最善の手を選ぶと言いましたよね。」ヒソ
次 元「ああ。」
ソウシ「オレ、決めました。
    もし最悪の事態になっても、あなた方を恨まないって。」

    (……天城っ!
    恋敵を信じ、愛する井沢を託したお前の勇気を、オレに分けてくれ!
    みんなを、井沢を救うために、井沢から残り一生恨まれ続ける覚悟を!
    死ぬまで井沢に許されなくても、それでも井沢の幸せのために力を尽くせる強さを!
    オレは全部覚悟する!
    だけど………………!)

ソウシ「ただ……。」
次 元「ただ?」
ソウシ「最後の瞬間まで願い続けます。あいつが元に戻るっていう井沢の願いが、かなうことを。」
    (……いや、願ってるのは井沢だけじゃない。並切さんに、ふじ子さんに、伊藤に。そして。)
ルパン「投げっぞ『タバコ』ぉっ!」

ブンッ!

ルパンの手から放たれたのは、タバコの箱ではなく、手に握りこめるサイズのビン。
その中には、ビンの容量の3分の1ほどの量の、砂金のようなものが詰められていた。
そしてそれは次元ではなく、Drのいる方向へと、隔壁を越えるコースで放物線を描く。

Dr  (銃撃システムが反応しないっ?!)
ルパン(ルパン研究所特製、ステルス容器。ここのシステムにも効果バッチリだぜ。)

ソウシ(あいつに言ってやりたいこと、いっぱいあるんだ。
    お前が遺した言葉のせいで、オレがどんなに悩んだか。
    井沢といる理由が、そうお前に頼まれたからで。
    好きな女を勝ち取ったんじゃなく、譲られて。
    男と男の勝負なんて、一度もそれらしいことせず終いで。

    そう考えてたら。
    あいつは、オレが井沢をあいつに負けないくらい愛してるって言ったけど、
    オレが井沢に対して抱いてるのは、どういう愛なのか。
    恋人として愛してるのか、才能あるパティシエとして魅力を感じているのか、
    それとも友人として好意を持ってるだけなのか、分からなくなって。
    そんなオレ自身が情けなくって仕方なくて。

    井沢が好きなのは変わりはないけど、今もまだ悩んでる。
    ……ったく、オレがこんな中途半端なヤツだってこと自覚させやがって。
    お前のせいなんだぜ。この苛立ちいっぺん全部ぶつけてやんなきゃ気が済まねえよ。

    そんで……全部吐き出したら、また3人に戻りてえ。
    天城がバカやって、井沢が呆れて、
    オレがそれを見て夫婦漫才みたいだと笑ってた、あの頃に。
    だから……。)

次 元「撃て!」

ソウシ(戻って来い!  天  城 っ っ !!!)


     タ    ァ   ン   !



最悪の事態への覚悟と、最良の結果への願いをこめて、
悩める「人間の王子」は、運命の弾丸を放った。


モニター[ICチップ:温度上昇中。]
297短冊 ◆kIYUU7wpZo :2009/02/17(火) 18:05:30
うぉぉぉぉお! 書け書け書けーーーっ!!
っと本編200レス到達!

本スレの通夜状態に引きずられ、テンションが落ちるので
しばらくニコで熱血ソングを聴きまくることにしました。
本スレのみなさん、連ドラ最終話の前と同じパターンなんだもの(ノД`)。

ソウシエンドでは連ドラの焼き直しに過ぎないので、HPのP氏のコメントは釣りだと信じたいです。
でも、だとすればアレでは宣伝として下手過ぎと。
(連ドラの時からその点はヘタだったから、そういう意味では希望が持てるかも)
298名無し戦隊ナノレンジャー!:2009/02/17(火) 22:04:56
ソウシ「〜あいつをロボット野郎って呼ぶの、やめてください。
    あいつには、『天城ナイト』という名前があります。」
ジ〜ンときました。ゼツカレのいいとこは出演者みんないい人なんですよね・・
ナイトが停止し、頭が割れるほど泣いた、あの最終回を思い出し
落ちてたのですが・・・少し回復しました。

あと、つくづく・・・・
短冊さんは、心強いゼツカレサポーターですね!
299名無し戦隊ナノレンジャー!:2009/02/18(水) 07:32:00
新規です。
30代、男。
世を忍ぶ仮の職業:法律関係の自営業
魂の職業:ロックンローラー
「絶彼」歴:沙季っちょみたいな子がお嫁に来てくれたらいいなあ、と観始めハマる

読み始めたが面白い。
でも、パソコンは職場にあり、また小説は自室でごろごろしながら読むに限るので
昨日帰りがけにコピペして印刷させておいた。
今朝来たらびっくり。フォントを落としたセコセコ印刷にもかかわらず100枚越え。
SP前にたっぷり楽しませてもらえそうです。
短冊さんは、世を忍ぶ仮の職業:主婦(多分)で、魂の職業:小説家、ですね。
300C ◆7sqafLs07s :2009/02/18(水) 18:59:39
300でしぽ(^^)
Cさんでし(^^)
ルパンがビンを投げた時点から、銭形愛用のアナログ腕時計の秒針が一周するまでの間に、
いくつかのことが同時進行で起こった。


    ガ
                    シ ャ   ァ   ン ッ ッ  !




 キラッ
                                       キラ
                            キラ
              キラ          キラ

    キラ   キラ

                キラ                キラ
 


金色の雨が降り撒かれる。

隔壁を越え、回転しながら砕けたビンから、隔壁の内側にあるあらゆるものに。
Drのデスクに、キーボードに、Drに、梨衣子に。
さらに後方の、メインコンピュータにも。
バ   ヂ ッ   !

ナイト「っ!」

同時に、『ナイト』の聴覚システムが異常な、そして不吉な音をとらえた。
彼自身の、頭の中に。


 [ メインコンピュータ機能稼働率: 0% ]


キュゥゥゥゥゥ……ン

ナイト「………………。」ガク…

五ェ門「ナイト殿?!」
不二子「ナイト!」
並 切「01っ!!」
ソウシ「……………………天……城?」


リイコ「ナイトっ?!」
Dr  「いい加減にしなさいミス井沢っ!!」
バチッ!
リイコ「ぎゃうっ!!」

ソウシ「 !  井沢っ!!!」
ルパン「スタンガンかっ! あのヤロ女の子にっ!!」
梨衣子の体の力が抜け、崩れ落ちかけるのを背中に感じつつ、Drはモニターで状況を確認し、

Dr  「『ナイト』のメインコンピュータの回路が、焼き切れた……!」

ソウシ「なっ!!」
    (そんな……っ。)
彼にとって最も恐れていた事態。創志の全身に鈍い痛みに似た悪寒が浸食し、力を奪っていく。

Dr  (しかし1つ手間が省けた。まずは賊を制圧せねば……)ス…

自由になった手をマウスにのばそうとする。


ルパン「おおっと、撃つのはやめた方がいいぜDrさんよぉ。今ブチ撒けた粉、何だと思ってる?」

ピタ。

Drの手が止まる。


リイコ「ナイト……。」

デスクからずり落ちていく梨衣子の視界に、倒れて動かないナイトの姿が入る。


モニター [ ICチップ:温度上昇中。危険値に到達します。 ]

そしてデスク上にある読み取り用装置の内部では、かつてのナイトのメインICが
再び溶け出そうとしていた……。
Dr  「金属色をしているが、チャフが粉状なわけはない。
    火薬や、粉塵爆発狙いの可燃性の粉末にしては落下が早い。
    毒物等の危険物ならミス・井沢を巻き込む。
    あなたの性格では、自分から一般の女性を傷つけたりはしない。
    ……ハッタリだ。」

ルパン「焦ってるなあんた。丁寧語が出てこなくなってるぜ?」
Dr  「……っ。」


リイコ「ナイト……。」


ルパン「教えてやるよ。 奇跡を起こす、魔法の粉さ。」ニッ
Dr   「まほ……!?」

モニター [ ICチップ:温度上昇中。危険値です。適切な処置を実行してください。 ]
      [ ICチップ:温度上昇中。危険値です。適切な処置を実行してください。 ]


魔術師は、呪文を唱えた。改心作のイタズラを実行に移す時の子供のように。誇らしげに。

それと全く同時に、梨衣子はずっと追い求めてきた、今はぴくりとも動かない存在に呼びかけた。
生前の彼がしばしば彼女に捧げ、
彼女は今までそれの代わりに「好き」としか言えなかった、あの言葉を。


ルパン 「  O P E N   S E S A M E .  」


リイコ 「   愛   し   て   る   ………………。」
305短冊 ◆kIYUU7wpZo :2009/02/20(金) 01:47:44
>>303のメル欄orz
「I GET THE POWER OF LOVE 〜〜!」と入れるつもりだったのに。

いよいよ次回……、やります!

>>298さん。
>心強いゼツカレサポーターですね!
あんまり褒めると……照れます。ξ///)ξ
名前のくだりは、「天城ナイト」に注目されがちですが、
並切さんが呼ぶ「ゼロワン」も同等の価値を持っているはずです。(>>106

>>299さん、はじめましてです。
100枚越え……まぢですか。万仙陣(封○演義)が作れてしまうかもしんないw
いやいや、資源の無駄遣いさせて面目ないです。
なにしろ人様に見せるような創作、しかもこんな長編は初めてなもので、
はじめに大まかなプロットだけ作って、あとは即興同然。配分など全然考えてないです。
最後まで楽しませられるか分かりませんが、とにかく頭絞って書くのみです。

>>300さん。300GETおめでとうございます。貴殿がどういう方かは存じませんがw
306短冊 ◆kIYUU7wpZo
誤字発見orz
>>304、21行目
×改心作の〜 → ○会心作の〜

>>290でまた斬鉄剣が残鉄剣になってるし。
こんなまぬけで申し訳ないです。