そう踏んでから、エゼルは女に近づいた。
これでどうなんだ? 眼鏡ちゃん。
すると――どうだ?
エゼルの上着を少しずつ片手(無論、もう片手は銃でエゼルを向いたままだ)で剥いでいくではないか!
エゼルは、――まあ常人より回転速度が数倍早い脳で、服に手をかけた時点で理解した。
これは、つまり――
「あなた、童貞でしょ?」
「――」
エゼルは言葉を失った。
この眼鏡女は言ってのけた。軽い口調で。
「私は――ただやられる側よりやる側に回っただけよ」
何? なんて言ってるんだ、このバカは?
エゼルは笑いを堪えるのに必死になった。
アンハ。それで全部わかりました。ということは、あれですね。
最初から例え逆レイプであろうと何だろうと、とにかく俺とヤっちゃって、結局いつかは殺すつもりだったわけですか。
他の奴らが全員死んで、俺を盾にすれば生き残れると? なあるほど。それまで俺と何回やれるか計算でもしてた訳か?
馬鹿馬鹿しさと眼鏡女の無知さで、背筋がむずむずした。
さっきの「ただやられる側よりやる側に回っただけ」の『やる』は『殺る』んじゃなくて『犯る』って訳か?
ハン、笑わせてくれるぜ。
それに――童貞だって? ああ、そうかもしれないしそうでないかもしれないな。
まあ――今はどうでもいい事だ。
とにかく、こいつは果てしなく頭が悪いんじゃないか?
女はエゼルの身につけていたケース(エゼルの発明品の一つ、カードを入れるケース。尤も、今は『混沌のテラ』とか言う物語か何かの一部の写紙入れになっていたが)を乱暴に投げ捨てると、
一段落したかの様にエゼルの身体を白いローブごしにつたうように愛撫(ウザったい事この上無かった)し始めた。
「あら――いい身体付きじゃないの」
――で?
どうするんだよ?