盆休みに突入した8月の中ごろ。
今年もクーラーの購入を諦めた、蒸し風呂のような部屋の中
汗まみれのミッチーは、尽きることのない溜息の海に沈んでいた。
「ホモはパクチーだろうが!!」
…また書いてしまった。ネットの向こうで日々かぶり続ける『偽りの仮面』。
ホモである自分を公の場で認められない。
たったそれだけのことが、彼の胸に巨大なしこりを産む。苦しく、重い感触。
「素直になりたい」そう思う。心からそう思う。だが、たとえネットの中であろうとも
『同性愛者』という重い足枷を引きずって生きていく自信が、今の彼には無かった。
ただでさえ煽られ、貶され、ボロクズのように叩きまくられるミッチーという固定。
現状が精一杯なのだ。「俺は女が好きだぞ!!」また大嘘を書き込む。
全力で否定し、他人へホモ疑惑を転嫁し、話題を逸らし続けたあとは
寝たフリを決め込んでホモ画像でオナニー。毎日毎日繰り返すダブルスタンダード。
(母ちゃん、許してけろ。俺おどごが…おどごしか愛せね)
郷里にて息子の身を案じる母への電話にすら、元気で働いている旨と架空の彼女の話。
いつまで続けるのか。それを思うと、いつもミッチーは目の前が暗くなるのだった。
「女が愛せれば」そう思ったこともある。ネットでエロ画像を探し
最大限の忍耐でモニター画面を直視しながら、性器を刺激してみた。
けれど、精液を出す前に出たのは大量のゲロ。一分も耐えられなかった。
(糞っ、ホモが…ホモなのがそんなに悪いのか!!俺がホモだからってホモだからって…)
「あ゛あ゛あ゛あ゛」トチ狂ったように叫びながら床を転がるミッチー。
しばらく転がり続け、思いついたように立ち上がる。
素早くベランダに出て、右端へと駆け寄ると手を伸ばし
隣に住む新婚夫婦の物干し竿から『旦那のブリーフ』を掴み取る。
もちろん、部屋に戻ってオナニーだ。もうこれ以上は何も考えたくなかった。
青く美しい僕らの地球。沢山の命。60億の人間。
http://jbbs.livedoor.jp/music/12438/ その中の1人、ミッチーって人が たまたまホモだった
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/i.cgi/music/12438/ ただ、それだけのことなんだ。
http://asadadada.hp.infoseek.co.jp/oekaki.html