フジファブリック【MOSO MIDNIGHT】第四十三夜
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1様:
2 :
名無し戦隊ナノレンジャー!:2005/06/10(金) 22:57:04
こっちはリレースレで
リレーじゃなくて再利用?
こっちはどうなった
そうだよ、こっちは?リサイクル?
皆適当だなあwどうするんだ
リレーでもいいのですか
全く萌えじゃないネタができそうなんだけど、
保守ついでにこっちに上げてもいい?
リレーでもいいかな〜。でも落ちないか心配
再利用にしても保守しなきゃいけないんだし、リレーでもおkか??
皆どこへいったw
みんな、必死にネタ考えてるw
ワロス
漏れも考えよう
で、結局ここは??
放置されてるw
自分はリレーキボンで
リレーキボンのヤシ、多いな。
またやってみますか?
みんなもうここ忘れてんのかw
リレーやってみよう?
やってみる?
やってみよう
今ここ二人?w
二人、かもw
仕方ない、人が気付くのを待とうw
漏れリレー初なんだけどエスコートよろしく…
じゃ、じゃあ始めていいのかな。
うーんまた学園モノか?
まとめのところの続きだとごちゃごちゃしちゃうかな?
あ、それもいいかもね!
やってみようか
胡麻が連行されるところから?
あ、あのリレー小説ね。前落ちたやつかとオモタ
てか連行ワロスwその連行のところからやってみようか
じゃあ連行からでw
コピペしたほうがいいかな?
度々ごめん漏れ携帯だ…お願いしてもいい?
おk
05/08 12:29 胡麻「おはよう」
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05/08 19:29 おまいら「おはよう、志村君。」
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05/09 21:32 胡麻「おはよう。今日はいい天気ですね。」
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05/10 00:46 おまいら「え、雨降ってるよ?」
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05/12 01:54 胡麻「僕にとって雨の日がいい天気なんです。なんか落ち着くんですよね。」
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05/13 16:45 おまいら「へえ〜 変わってるね」
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05/14 02:13 胡麻「「そうですか?」」
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05/14 11:02 おまいら「ごめん、用事あるからあたし帰るね 」
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05/14 11:05 胡麻「え、でもまだ朝の8時半ですよ?!早退するんですか?」
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05/14 16:52 おまいら「うん。じゃあね。ごめんね志村くん」
05/16 01:44 胡麻「○○さん、待って!」
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05/16 02:13 おまいら「なに?」
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05/16 03:05 胡麻「お、おれも一緒に帰ります」
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05/17 16:05 肉「おーーーい おまえら!なにやってんねん 授業始まるで」
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05/20 16:26 おまいら「「ほら、呼んでるよ」」
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05/22 18:33 胡麻「でも……ぁ………うん!今戻る!!」
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05/23 09:30 おまいら「バイバイ 志村くん」
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05/24 23:56 胡麻「あ、でも・・・ちょっと待った!」
05/24 23:58 ナレーション「おまいらの手をギュッと捕まえて離さない胡麻」
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05/24 23:59 おまいら「ちょ・・・ちょっと・・・!痛いよ・・・」
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05/25 01:27 顎「おい志村何やってんだよ!!!みんな待ってんぞ!!!!山内あれ見ろよ!!」
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05/25 04:21 ナレーション「右手を大きく振って前を歩く肉を呼ぶ顎。既に教室にいた銀河、にしこりも顎の絶叫に気付き教室の窓から顔を出す」
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05/25 09:46 おまいら「志村君!痛いよ、離して」
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05/28 00:44 ナレーション「叫ぶおまいら?」
05/28 23:32 肉「お前なにやっとんねん!!痛がってるやろ!!お前何かめっちゃおかしいで!!」
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05/31 16:15 ナレーション「力ずくで胡麻の手を離す肉。顎がおまいらを受けとめる」
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05/31 16:24 おまいら「ごめんね、金澤君」
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06/01 20:56 顎「大丈夫?一体どうしたの?」
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06/02 22:30 ナレーション「「大丈夫…」おまいらがそういい」
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06/02 22:33 おまいら「大丈夫…」
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06/02 22:34 ナレーション「その時、始業を5分前を知らせるチャイムが鳴った」
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06/04 19:05 おまいら「行かなきゃ…」
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06/08 03:09 ナレーション「ほら、行くでと胡麻の手を牽く肉。顎もおまいらの肩を抱いて連れて行こうとする」
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06/10 00:41 肉「話は後で聞くで」
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06/10 00:42 胡麻「…」
ううわ、凄い事になったかも
点線消したほうがよかったよな。ごめんorz
全然大丈夫、ありがとう。
じゃあ続きを行きますか…
この流れから中々難しいな…
渋い表情の胡麻。肉に連行され校舎の中へと連れて行かれる。
顎とおまいらも後に続いて校舎の中へ。
肉「…全く何やねん、お前は朝っぱらから」
ブツブツ言いながら靴を履き替える肉。
渋い表情のまま胡麻がチラとおまいらの方を見た。
そうだね…ごめん
胡麻「…○○さん、帰るんじゃなかったの?」
小さな胡麻の呟きに顎が反応する。
顎「えっ、そうだったの? どっか具合悪いの?」
肉も心配そうにおまいらを見る。その傍らで胡麻もおまいらを見つめている。
うわ、変な意味で言ったんじゃないのだよ。気にしないで。
久しぶりのリレーでちょっと緊張したというかさ。スマソかった
おまいら「う、うん…帰る…つもりだったんだけど」
肉「どないしたん?腹でも痛いんか?」
胡麻はじっとおまいらの事を見つめている。
少しこわくなってしまったおまいら。
おまいら「ううん、大丈夫!行こう、授業始まっちゃうよ」
そう言うと、胡麻の視線を振り切るように教室へと走って逃げた。
呆気にとられる三人を置いて…
豚切る…
おまいら「」より○○「」とかにしたほうがよかったかな
ああなんかグダグダだ。ごめん
おお、リレー始まってる・・・・って、ここに感想書いちゃいかんか
いやあ、こっちが不慣れだからいろいろ迷惑かけてるかなと…ごめんね。
がんばろ。
教室に戻るとにしこりが駆け寄って来た。
にしこり「どうしたの○○、さっきの!」
おまいら「あ、…なんでもないよ? ちょっとびっくりしちゃっただけ」
二人の横へ銀河も近付いて来る。
銀河「ちょっとで普通あんな声出す?」
おまいら「いやー、わたし大袈裟だから、あはは」
少し遅れて、教室へ胡麻たちが入って来た。
>>44 リロしてなかった…
そうだね、次からそうします
チャイムが鳴り、全員席につく。
胡麻はおまいらのことを真剣に見つめる。
なんか初めて参加して緊張した
とんとん、と肩を叩かれ、振返ると肉からのメモが。
「ほんまに大丈夫?」
おまいらはその下に
「大丈夫だよ」
とだけ書き添えて肉に戻した。
ほんとは、学校なんて休もうと思ってたんだけど。
まさか志村君があんな事をしてくるなんて。
胡麻が何故あんな行動をとったのか今一つ理解できない。
○○は「はあ…」とため息をついた。
窓の外はしとしとと雨が降り続き、空はどんよりと曇っていた。
胡麻の真意を確かめるのは怖い気がした。それに、肉やにしこりが胡麻を注視して
○○に近付けないようにしていたのだ。
○○は、あのときの胡麻のなんだか切羽詰まった表情を思い出して苦しくなった。
○○が携帯へ届いたメールに気付いたのは昼休みのことだった。
「朝はごめん」
胡麻からだった。
○○(おかしいな…わたし志村くんにアドレス教えてあったっけ?)
○○は「なんで私のアドレス知ってるの?」と胡麻に返信をした。
返信「俺志村じゃないよ」
そうは返って来たものの、○○はそれが胡麻からのメールだと気付いていた。
文末に「志村」と入っていたからだ。
「どうして嘘なんかつくの?」
○○は送信した。
返信「ごめんなさい。これ以上嫌われたくなかったから」
「そんな別に嫌わないけど…さ、でも今朝の事はびっくりしたよ?」
そう返信し○○がふと顔をあげると
そこには肉がいた。
肉「そんな怖い顔して、誰とメールしてんの」
お「えっ…別に…怖い顔なんて」
肉「志村か。○○、俺のアドレスは知らんのに志村とはメールすんねんな」
お「そうくん、それって…」
肉「やべ」
肉はしまったという顔をして頬を掻いた。
その頃の胡麻はというと
胡(ああ、俺なんであんな事してしまったんだろう…最悪だ。ほんと最悪だ)
電気をつけないままの薄暗い理科室の中、胡麻は一人悶々としていた。
窓の外を眺めると降り続く雨。
胡(…この雨に流されて消えてしまいたい…)
朝から降り続く雨を見ながら尚も悶々とする胡麻。
胡(朝は○○さんに帰って欲しくない気持ちで一杯で…でも、ああ!)
段々と冷静になってくるにつれ自分のしでかした事に気づき始めた胡麻。
胡(あの後も○○さんの事見つめ続けてしまったし…
○○さん、俺の事気持ち悪いと思っているだろうな…)
と思った瞬間たまらなくなって黒板にゴン!と頭をぶつけた。
「はあーーーーーーーーーーーーっ」
胡麻は言いようのない恥ずかしさと悲しさに耐え切れず、
それを振り払うかのように大きな声を上げた。
「はあーーーーーっ」
「はあーーーーーーーーーーーーーーーーーっ」
更に大きな声を上げ続ける胡麻。
薄暗い理科室の中で胡麻のはあーーっが鳴り響く!
胡麻「はあーーーーーーーーーーっ」
幾度目かのはあーっが始まったそのとき!
ガララッ(扉が開けられる音)
顎「志村どうしたの!」
なんでお前が来るんだ
顎「すごい声出してどうしたの」
顎が心配そうに声を掛けたその時!
顎以外の3人も胡麻を心配して現れた!
肉「なんやなんや!」
にしこり「志村くんどうしたの!」
銀河「何何?ギャグの練習?」
胡麻「…え?ごめん俺今何してた…?」
顎「なに、覚えてないの?」
胡麻「うん…」
胡麻はゆっくり立ち上がって理科室をふらーっと出ていった
顎、にしこり、肉、銀河は深刻な面持ちで顔をみあわせた
顎「大丈夫か?あいつ」
に「ヤバめ?」
肉「あいつ朝から変やったよな」
銀「ああそうだよ、あれ何してたの?」
顎「志村君がさあー○○ちゃんの手を掴んで離さなかったんだよ。○○ちゃん凄い痛がってた」
に「何それ?なんで」
顎「よくわかんない。志村君が言うには○○ちゃんは帰ろうとしてたみたいなんだけど。
○○ちゃんも何にも言わないしさあ…」
に・銀「ええ…?」
肉「………」
肉「俺ちょっとあいつとじっくり話してくるわ」
と肉は一人理科室をあとにする。
肉「おい志村!」
廊下を早足で歩く胡麻へ、肉は呼び掛けた。しかし胡麻は聞こえないふりをしてずんずん進む。
肉「待て、逃げんなや!」
肉「志村くん」
胡「…なに」
肉は胡麻を追いかけ、後ろから声をかけた
胡麻は一瞬ぴくっとしたが振り向きもせずただ無愛想に返事をした
肉「おい、振り向くくらいしよーや」
胡麻は止まり、ゆっくり肉の方を振り向いた
胡「で?何」
肉「一体どうしたん、今日の志村くん絶対おかしいで」
胡「おかしい…うん、自分でもそう思う」
肉「心配や、志村くんが」
胡「俺ね、たまにこう、わけわかんなくなることあるっていうか…」
肉「ほうほう」
肉は腕を組んで真剣に胡麻の話を聞こうとしている
肉「そのおかしい理由ってさ・・・○○さんやろ?」
胡「・・・・」
肉「○○さんに何があったか聞いても埒あかんし。
よかったら俺に話してくれへん?」
胡麻「なんで山内君に話さないといけないのかな?」
肉「そんなん、お前のこと好きやからに決まっとるやん」
胡「えっ…俺?」
肉「…あーっ間違うた!違う、今のナシ!」
胡麻「はぁ?結局何が言いたいの?言いたい事あるなら言えば?」
肉「…俺は、○○のことが好きや」肉は絞り出すように言った。「あいつが傷つくのとか、見たくない」
胡「……」
肉「志村くんは○○のことを傷つける風にしか見えん。朝のもそうやったし。そんなん見過ごせへん」
肉に言われて俯いてしまう胡麻。
肉「志村君は○○のこと、どう思っとんのや」
胡「俺は、○○のことは…」
意を決した胡麻が顔を上げたその時!
顎「何何ー、俺のこと?」
またお前か!
胡麻は心の中で叫んだ。
一方その頃
○○(…山内君どうして私のアドレス知ってたんだろう…?教えた事あったっけ?)
一生懸命考えるが、思い出せない。
○○(どうだったかなあ…。あーなんかもう、朝の志村君といい、今日は変な事ばっかりだよ…)
○○「はあ……」
今日何度目になるかわからない、深い深いため息をつく。
廊下の窓から見える雨はますます激しくなっていた。
にしこり「どうしたの、○○」
不意に背後から声をかけられて、○○は飛び上がった。
○○「ちょ、ちょっと、驚かさないで…」
にしこり「ごめん。何か難しい顔してたから」
少し見上げたところにあるにしこりの顔も、少し曇っているように見える。
○○「足立くんも、…どうしたの?」
隣の椅子をガタッと引いてにしこりは座った。
○○の机で頬杖をついたにしこりはぼそっとつぶやいた。
に「ふられた。」
○○「あ…え?」
に「彼女にふられたんだ。ディズニーの帰りに」
○「あ…」
にしこりは、笑っているのか泣きそうなのか判らない顔で、もう一度言った。
に「フラれちゃった、俺」
にしこりの彼女は美人だったが裏では男遊びがひどいと有名だった。
○○も何度か、彼女がにしこり以外の男と一緒に歩いているのを見たことがあった。
何も言えなくて黙っているとにしこりはぽつりぽつりと話しはじめた。
に「俺以外にも好きな奴いるってわかってたんだ…」
○○は何も言わず、ただ黙って俯いていた
に「でもさ…なんか放っておけないっていうか。
俺がいないと、ふらふらどっか行っちゃいそうで」
○「…」
に「…結局俺が居てもどっか行っちゃったんだけどね、はは…」
顔では笑っていたが、笑い声は外の雨音に消え入ってしまいそうな程、力の入らないものだった。
に「俺、ただ、あいつを大事にしてるつもりの自分に自惚れてただけだったのかも」
○「そんなことないよ…」
○○は知っている。
にしこりが彼女を見つめる目は、本当に優しかったことを。
○「わたしさ、見てて羨ましかったよ、足立くんの彼女。だってあんなに大事にしてもらってて。
そういうのあんまり経験ないから、…だからさ、足立くんは悪くないと思うよ」
○○はにしこりの背中をぽんぽん、と叩いた。
に「……ありがと。ちょっと楽になったかも」
○「うん」
に「ごめんね、愚痴っちゃって。○○だって色々大変そうなのに」
○「あ、うん、平気だよ」
朝からのことを思い出してしまい、少し濁ったような返事をする○○
に「○○も何かあったら言ってね。俺、聞くよ」
○「…ありがとう」
今できる、精一杯の笑顔で返事して見せる
に「あ…昼休み終わっちゃったね、ごめん、俺気づかなくて…」
○「本当だ…」
時計に目をやると、昼休みが終わってからだいぶ時間が経っていた
廊下は静かになり、遠くの教室からは日本史の先生の声がかすかに聞こえてくる
雨音は少し弱くなっていたが、まだ空からは大粒の雨が落ちていた
○○とにしこりが話をしている一方、胡麻と肉と顎。
顎「何何ー俺のこと?」
突然その場に現れた顎。(特に何も考えていなさそうな顔をしている)
肉「…や、別にダイちゃんのことやあらへんし」
胡「……」
せっかくの勇気を台無しにされて怒りの胡麻。
しかし、胡麻の様子に気付かない顎。
顎「次の授業も始まるしさ、さっさと教室戻ろうよ。ね!」
胡「黙れ前髪パーマ」
肉「……。(志村君、人が違てる……)」
早く教室に戻らないと。
○○は廊下を駆け足で通る。
その時であった。
階段の下に人影が見える。
にしこりの元彼女と、校内でも人気のある男子がイチャついていた。
見てはいけないものを見てしまったようだった。
無視して通り過ぎようと思うけど、足が動かない。
2人の様子を凝視してしまう自分が居た。
幸い、相手側はこちらに気付いていない。
胡麻のありえない一撃に氷つく顎。
何かを必死で言おうとするが、どうにも口があわあわし何も言えなくなっている…
こりゃあかん、と焦った肉
肉「し、志村お前…」
顎を気遣い何とか胡麻に一言、と肉が声を出した瞬間、胡麻は間発入れず
キッ!!ときつい視線を肉に返す。
…未だかつてない胡麻の瞳の力強さに肉は思わず一歩下がってしまい、それ以上何も言えなくなってしまった。
緊張感が走る。
気が付くと、肉の手の平はじっとりと汗ばんでいた。
彼女と男は抱き合うと、そのままキスをした。
にしこりはあれだけ彼女を忘れられずにいるのに、
こっちはすでに新しい恋を始めてる。
切ない気持ちもあったが、どこか許せないものがあった。
○○「(最低)」
睨み付けていると相手側がおまいらに気付いてしまった。
彼女「やだ、見られてる」
男「いいじゃんか」
顔を下に向け、通り過ぎようとした。
彼女「あれ?B組の○○さんじゃない?」
彼女に話しかけられた。
おまいら「そうだけど・・・」
彼女「房文と仲良いんだよね?」
おまいら「はぁ・・・」
男「房文って足立?」
彼女「そうそう」
男「ディズニーランドの帰りに振ったんだろ?笑えるー」
彼女「やめてよ、もう終わったんだから」
男「最低じゃん、お前。あはははは」
体から血の気が引くのが分かった。
こいつら何考えてるんだ。
おまいら「じゃあ私はこれで」
彼女「房文によろしく言っといて〜」
男「んだよ、足立なんて遊びだったくせに」
彼女「え〜、結構本気だったよ?」
男「ひでーな、お前は」
2人は高笑いをしている。
もう耐えられなかった。
おまいら「ちょっと」
彼女「何?」
おまいら「あなたに足立君の何が分かるの?」
彼女「はぁ?」
おまいら「足立君がどれだけあなたのこと好きだったか知ってるの?」
彼女「何、偉そうに。意味分かんないんですけど。
あんた房文の新しい彼女?」
おまいら「違うけど」
彼女「じゃあ偉そうにしないで」
おまいら「あなただってもう彼女じゃないんでしょ?」
彼女「だから?」
おまいら「足立君のこと、気安く呼び捨てにしないで」
彼女「はぁ?何言ってんの?」
おまいら「とにかく、あなたって本当に最低!」
怖くて走り去ってしまった。
途中で何故か涙が出てきた。
にしこりの彼女は最低だ。
あの彼女のことをにしこりは本当に好きだったんだ。
どうして彼女にあんなことを言ったのだろう。
私は彼女でも何でもないのに。
誰かにあんなこと言ったのは初めてだ。
友達として?
それとも・・・。
次の授業はサボることにした。
そのまま無言で振り返る胡麻
肉「あっ、ちょい待ちぃ!どこ行くん…」
胡麻はまるで聞く様子もなく、その場を後にする
廊下には胡麻の足音だけが静かに響いていた
一方、肉と胡麻に仲間外れにされた顎は落ち込んでいた。
顎「授業始まる前にトイレ行こうっと」
トイレに向かう途中、○○を見た。
顎「あっ、○○ちゃんだ」
話しかけようとすると、○○は歩き出した。
何やら女子と話している。
顎「あれ?足立君の彼女じゃん」
しばらく様子を見ていると、○○の顔つきが変わった。
「最低」
○○はそう言っていた。
顎「え?ケンカ?」
○○は走り去って行った。
○○は屋上へと続く階段へ辿りついた。
防犯上の理由から鍵がかけられていて屋上へは出られない。
しかも、学校行事の名残のがらくたが場所を取っていたりもする。
その埃っぽい独特の空気の中に、○○は座り込んだ。
○「わたしの方が最低じゃん…」
ひとりごちたところに、階段を昇ってくる気配を感じた。
○(やばい、先生!?)
そう思って思わず息を止めると、
胡「……○○さん?」
聞き覚えのある声がした。
97 :
88:2005/06/15(水) 02:34:30
皆さん、88抜きのストーリーでお楽しみ下さい&今後のリレーをよろしくです
えー、
>>88は
>>88でよかったよw
○「志村くん…」
胡「サボり?」
○「うん、ちょっとね…」
胡「ふーん…俺も混ざっていい?」
○「…うん」
しばし重い空気が流れる。
胡麻が口火を切った。
胡「今朝は・・ごめんね・・・。俺どうかしてた」
胡麻はぽつぽつと話し始めた。
101 :
88:2005/06/15(水) 02:45:53
>>98 そうだったのか
焦ってしまい見逃してしまったようだ。ごめんorz
○「別に、もういいよ。びっくりしただけだし。わたしもごめん。大きい声出しちゃって」
胡「当然だよ。…いきなりあんなことされればさ」
○「でも…山内くんたちに、何か言われなかった?大丈夫?」
胡麻の表情が少しこわばった。
胡「メール、さ…○○さんの友達からアドレス聞いて…」
○「うん…」
胡「なんか…直接謝るの、できなくて…」
胡麻は両肘を膝につき、自分の両手を強く握る
雨はまだ止まなかった
時折風が吹き、屋上へと続く扉に雨を叩きつけていた
○○は埃臭さと湿気で、少しぼんやりした頭で胡麻の話を聞いている
104 :
103:2005/06/15(水) 03:00:05
あーごめん!かぶった!
次の方、
>>102の続きからドゾー
105 :
102:2005/06/15(水) 03:01:00
いやいや、問題ないかぶり方だから大丈夫だとオモ
自分続きとして読んでたし無問題でしょう
授業中の教室にて。
顎は○○のことが気にかかってた。
追いかければ良かったかなと自問自答する。
隣の席の銀河に話しかけた。
顎「ねぇ、慎ちゃん」
銀「ん?」
顎「さっき妙なものを見ちゃってさ」
銀「何を?」
顎「○○ちゃんと足立君の彼女がケンカしてるのを」
銀「ケンカ?あの2人って仲良かったっけ」
顎「多分、面識ないよね」
銀「なのにケンカかぁ。勘違いなんじゃない?」
顎「違うって!睨み合ってたし」
銀「そんで?」
顎「最低!って○○ちゃんが彼女に言った」
銀「本当?そんなこと言う人には見えないけど」
顎「でしょー?ビックリしたよ」
少しの沈黙の後。
銀「てゆうかさぁ」
顎「ん?」
銀「もう足立君は彼女と別れたよ」
顎「え?」
銀「ディズニーランドの帰りに振られたんだって」
顎「ディズニーランド?」
銀「グループで行ったらしい。今日の朝言ってた」
顎「えぇー!聞いてないよー!」
先生「そこ、うるさいぞー」
顎「すいません」
また仲間外れにされた顎はひどく凹んでいた。
先生「じゃー今日は8日だから8番、志村」
・・・・・。
先生「志村は居ないのか。じゃー9番」
銀「志村君、どこ行ったんだろ」
顎「○○ちゃんも居ないしね」
銀「面白くなってきたぞ〜」
顎「何て?」
銀「いや〜何でもない」
同じ教室の中で、肉は頬杖をついて険しい表情をしていた。
いつも後の方から眺めている○○の席と、それよりもう少し前の胡麻の席に、それぞれ当人たちがいないからだ。
肉(あいつら、何しとんねん)
教師の声も耳に入らない。肉は苛立っていた。
にしこりの携帯には元の恋人からメールが入っていた
「○○さんて頭おかしいんじゃないの?
なんか急にサイテーとか言われたんだけど」
にしこりは驚いて、隠していた携帯電話を取り落としそうになった。
なんで○○が…?
休み時間。
真っ先に顎はにしこりの元へ向かった。
ちょっとどころかかなり膨れっ面で。
顎「足立君」
に「な、何?」
にしこりは携帯をとっさに隠した。
顎「ひどいよ」
に「何が?」
顎「彼女と別れたんだって?」
に「あ、うん。振られちゃって」
顎「何で慎ちゃんには言って、僕には言ってくれないの?」
に「慎ちゃん?あーごめん、ごめん」
にしこりはどこか慌てていた。
顎の話など聞こえていなかった。
に「ごめん、俺ちょっとトイレ行くわ」
顎「あっ、足立君。さっき足立君の元彼女と○○ちゃんがケンカしてた」
に「へっ?詳しく!」
顎「階段の下んとこで、○○ちゃんが最低!って叫んでた」
に「彼女にそう叫んだの?」
顎「うん、そうだよ。そこしか聞こえなかった」
に「だからか・・・」
顎「何か心当たりあるの?」
に「ううん、ありがと」
にしこりは携帯を握りしめたまま消えた。
顎はそんなにしこりの態度にご立腹。
銀河がそれを横目で見ながら、カロリーメイトを頬張る。
肉が席を立ち、走って教室を出た。
銀河はふっと笑った。
その時、にしこりはあることを思っていた。
銀河には話してないのに、何故に彼女と別れたことを知っているのだろう。
一瞬、立ち止まりそうになった。
にしこりの焦りっぷりが気になる顎。
膨れっ面は健在だ。
顎「見たぁ、今の足立君」
銀「さぁ?」
顎「相当トイレ行きたかったんだろうね」
銀「違うと思うよ」
顎「だってトイレ行くって言ってたよ」
銀「じゃあトイレじゃない?」
顎「何それ。いいよ、もう」
顎は肉に話しかける。
顎「総君、そろそろ英語のノート返してー」
銀「ふふ」
顎「あれ?総君も居ないじゃん!」
銀「さっきまで居たのにね」
顎「英語始まっちゃうのに!」
銀「勝手に机から取っちゃえば?」
顎「仕方ないな」
肉の机からノートを取る顎。
顎「足立君、遅くない?トイレは大かな」
銀「今頃踏ん張ってんだろうね」
顎「ねー」
銀「違う意味で」
顎「ん?」
銀「いや、何でもな〜い」
チャイムが校内に鳴り響いた。
英語の授業が始まり、先生が来る。
が、顧問とは違う先生だった。
先生「今日の英語は吉岡先生が休みなので自習でーす」
喜ぶ生徒達。
顎「えぇー!昨日徹夜で予習したのに!」
銀「残念でしたっ」
顎「ノートまとめた意味ないじゃーん」
いそいそと鞄にノートをしまう顎。
顎「慎ちゃん」
銀「はいな」
顎「みんなさぁ、何か隠してない?」
銀「何をよ」
顎「だって志村君と○○ちゃん帰って来ないし。総君まで」
銀「ただのサボリでしょ」
顎「じゃあ一言くらい言ってくれてもいいじゃん」
銀「まぁまぁ、俺も聞かされてないし」
必死に顎をなだめる銀河。
顎「あの現場からして、○○ちゃんが心配だよ」
銀「まぁね」
顎「絶対何かあるよ」
銀「うーん」
顎「志村君と総君、さっき様子が変だったもん」
銀「金澤君には言いたくないんじゃない?」
顎「どうゆうこと?」
銀「金澤君には心配かけたくないし、巻き込みたくないってこと」
顎「何だよ、それ。仲間外れじゃん」
銀「仲間だからこそ言えないことだってあるよ」
顎「そっかなぁ」
銀「あまり深く考えるなよ」
顎「ありがと」
銀河の言葉で少し楽になった。
銀「帰りに『喫茶・貴公子』でお茶しない?」
顎「ごめん、今日ピアノの日なんだ」
銀「そっか」
放課後は何をしようかと考える銀河だった。
屋上へと続く階段の一番上の段に、
人一人座れる程の距離を開け隣り合わせに座る二人
再び長い沈黙が続く
たいして長い時間ではなかったのだろうけど
二人にとっては、何十分も、何時間もの沈黙に思えた
○○はちらりと胡麻の顔の方を見てみたが、
蛍光灯の切れたこの場所の薄暗さと、俯いた胡麻の姿勢では
胡麻の表情を伺うことはできなかった
長い沈黙と、延々と続く雨の音に耐えかねたように
胡麻が小さなため息を漏らした
しかし、そのため息は一つの足音によってかき消された
○(やばい、今度こそ先生かも!)
思わず○○は胡麻の腕を引っ張り、
踊り場に置かれたいくつものがらくたの隙間に身をひそめた
肉(○○、一体どこにおるんや…まさか志村君と一緒に…?)
走りながらいろいろな考えが頭を巡る
ばたばたと音を立てて走り、まわりを注意深く見ながら校舎内を探しつづける
肉(授業中にサボれそうな所は全部見たし…
あとは屋上くらいか?でもあそこには鍵が…)
そんなことを考えながらも、可能性があるなら、と思い屋上に向かって走る
肉「はぁ…はぁ…」
屋上への階段に着く
身を少しかがめ、膝に手を当て息を整える
肉(……)
そこに居て欲しいという気持ちと、
もし胡麻と一緒に居たら…という気持ちの葛藤でなかなか顔を上げることができない
でも、とにかく○○の顔が見たかった
意を決し、肉は恐る恐る、屋上の扉へと続く薄暗い階段を見上げた
階段の下で足音が止んだ
見つかったらまずいことと、胡麻と狭い空間に二人きりということに、
脈拍が早くなっていく
必死で息を殺す
胡麻も、面倒なことが嫌なのだろう
じっと黙って、階段のふもとにいる、足音の主が去るのを待っていた
「おるわけないか…ははは…」
見上げた先には、乱雑に置かれたがらくたの影と、
錠がかけられた、一枚の扉
いつもと同じ眺めだった
去って行こうとした、その時。
がらくたの隙間からフワリと何かが見えた。
肉「何やろ」
息を潜めて近付く。
肉「スカート?」
フワリとした物体は制服のスカートだった。
○○と分かった。
でもどうして?と考えていると、また何かが見えた。
男の腕だった。
手首には黒のデジタル時計が見える。
肉「まさか・・・」
あの見覚えのあるデジタル時計。
それは紛れもなく胡麻のものだ。
あんな所で、しかも2人きりで。
一体何をしている?
肉はすぐに振り返ると、屋上を去った。
その頃、にしこりはと言うと。
勢い良く教室を飛び出したものの、○○の居場所が分からない。
何処に居るのか検討も付かないのだ。
この際、彼女でも良い。
話を詳しく聞かなければならない。
にしこりは彼女のクラス、D組へと向かった。
にし「あのー」
女子「はい?」
にし「△△さんは居ます?」
女子「あー彼氏と帰ったよー。何か凄い怒ってたー」
にし「ありがとう」
彼氏、か。
ちょっと前まで俺が彼氏だったのに。
もう別の男が彼氏なんだ。
もしかして俺と同時進行で付き合ってたのかな。
余計なことを考えてしまう。
彼女が怒ってたということは、確実に何かがあったはずだ。
「最低」ってどういうことだろう。
あの温厚な○○ちゃんがそんなこと言うなんて。
ただ事ではないと思った。
色々な思いが駆け巡る。
にしこりはもう一度走り出した。
「こらっ廊下を走るな」後ろのほうで先生の声がする。
に「はいーごめんなさいー」
走り出した足は止まらない。そのまま角を曲がり階段を駆け上がった。
に(ちっくしょ。何処にいるんだよ○○…)
そのころ屋上では…
肉がさって、足音が何も聞こえなくなったころ、
胡麻は恥かしいのかすぐに出て何もいわずに階段を降りていった。
○「あ…」
○○の声など彼には届いてなかったようだ。
○(志村君って何考えてるんだろ…今日の朝といい…さっきのといい…
なんか…ちょっと…怖い…な…。それに…あたし…足立君の元彼女に
ひどいこといったし…もう…何がなんだかわかんないな…)
そう思っていたら目が潤んできてしまった。
上る途中に、向かいから誰かが降りてくる気配がした
に(あれ…?山内?)
肉も慌てて走っている様子のにしこりに気づいた
に「山内ー?こんな所でなにやってんだよ」
肉「…お前こそ。授業中やろ」
に「お前だって授業出てないだろ。
ところでさ○○知ら…」
言いかけた言葉に耳を貸す様子もなく、にしこりの横を通り過ぎる
に「ちょ…」
肉は、そのまま教室に向かって行った
に(どうしたんだあいつ?)
少し様子がおかしいのが気にかかったが、
今は○○を探すのに専念しようと思った
にしこりはまだ階段をのぼっていた。
肉が降りてきた
に「あ…総君」
肉「あ、ダッチマン。」
に「あのさ、上に○○さんいなかった?僕…捜してて…」
肉「(ボソッと)いかんといたほうがええで…」
に「ん?いるの?」
肉「あ…いや…。……もぅダッチマンの目で見て確かめてきぃや!」
に「うん…」
肉「ほなっ」
そういって去っていった肉。
に(なんか変だったな…。とりあえず…見に行ってみよ)
128 :
127:2005/06/15(水) 18:15:50
あ〜すいません
>>126さん…かぶっちゃいましたね…
場面同じみたいなんで二通り読んでください…
がらりと教室のドアを開け、まっすぐ自分の席へ向かい、
おもむろに鞄と傘を手に持って、銀河の席へ
肉「俺、今日帰るわ」
銀「うん、わかった。気をつけてね」
肉「…ありがと」
ぽつりとそう残し、肉は教室を後にする
先生「加藤、山内はどうしたんだ?」
銀「具合が悪いみたいで、帰るそうです」
顎(…山内くん、また俺に何も言わないで…)
130 :
127:2005/06/15(水) 18:25:15
さらに階段を上っていると胡麻が降りてきた
に「あ…志村君…」
しかし胡麻はにしこりには目も合わせずに降りていった。
に(みんな…みんなみんなどうしたんだろ…。金澤君は…元からだけど…)
そう思い、屋上に続く階段に足をかける。
すると目が潤んで涙が今にも落ちそうな○○の姿が見えた。
にしこりは○○の隣に静かに腰を下ろした。
すると安心したのか○○はついに涙を落としてしまった。
131 :
126:2005/06/15(水) 18:47:11
>>128どんまいです
かぶってしまうのもリレーの楽しいところなんで
胡麻はぽつぽつと教室に戻って行く。
授業に出ないとな。
結局、○○さんに言いたいことも言えないままだ。
こんな自分が嫌いだ。
教室の近くまで来ると、鞄を持った肉が出てきた。
危うくぶつかりそうになる。
胡「総君、帰るの?」
肉「あぁ」
肉は落ち込んでるように見えた。
胡「どうしたの?」
肉「別に」
それ以上何も聞けない雰囲気だった。
肉「志村・・・」
胡「何?」
肉「貴公子で待ってるから」
胡「え?」
肉「暇やったら来てや」
何故か背筋がゾクッとした。
呼び捨てにされたのも、あの低い声にも。
教室にて。
顎「総君、大丈夫なの?」
銀「風邪じゃない?」
顎「そーじゃなくて!」
銀「何よ」
顎「急に居なくなって、急に帰るなんてさ」
銀「うーん」
顎「ちゃんと考えてる?」
銀「考えてるって」
校庭を見ていると、チャリを飛ばす肉が見えた。
顎「慎ちゃん」
銀「はいな」
顎「僕達って仲間外れじゃない?」
銀「そう?」
顎「慎ちゃんは隠し事してないよね?」
銀河は目を逸らした。
銀「してる訳ないじゃーん」
顎「ふざけないでよ!」
チャイムが鳴った。
放課後が始まる。
気付いたら胡麻が教室に居た。
どこか遠くを見ているような目で、ぼけーっとしている。
それを気にしつつ、銀河は帰る準備を始める。
銀「ダイスケさん」
顎「何ですか慎一さん」
銀「一緒に帰りますか」
顎「ごめん、今日電車で来た」
銀「えーそんなー」
顎「だって雨だったでしょ?」
銀「傘差せばいいじゃん」
顎「そんな野蛮なこと出来ないよ」
銀「はいはい。お坊ちゃま、サヨウナラざます」
顎「もう!また明日ね」
顎に振られた銀河は胡麻の元へ向かう。
銀「志村君、一緒に帰らない?」
胡「・・・」
銀「志村君ってば」
胡「えっ?あー加藤君、どうしたの?」
銀「一緒に帰ろうよ」
胡「う、うん、あっ、いや、そのー、えっと」
銀「先約あり?」
胡「いや、あの、ごめん!」
胡麻は謝りながら教室を出て行った。
窓の外には黒い雲が、再び影を潜めていた。
○○の隣に座ったにしこりは、ズボンからくしゃくしゃになったハンカチを取り出した。
に「ごめん、よれよれだけど」
差し出されたハンカチを○○は素直に受け取った。
○「…ありがと…」
書き忘れ
>>134の銀河と顎はチャリ通ってことです
○「ごめんね、足立君」
○○は肩を震わせた。
そして泣き始めた。
○「私、私ね・・・」
に「うん」
○「サイテーなの、私、サイテーなことしちゃった」
○○はもう普通に話せる状態じゃない。
泣いているため、何を言っているのか分からない。
に「大丈夫だよ」
○「うん、ありがと」
激しく泣いている○○を見つめているだけだった。
にしこりは○○の頭を撫でた。
猫っ毛なのかやけにやわらかい。
に「落ち着いたらもっかい話してよ」
○○はうなずくしかない。
に「場所、移さない?」
にしこりは頭をなでながら言った。
に「いつもの喫茶店にでも行きましょうか」
○○は静かに頷いた。
薄曇りの空の下、銀河は自転車を飛ばした。
曲がりくねった道をスイスイと漕ぐ。
最近覚えた洋楽のフレーズを口ずさみながら。
「あー!!」と爽快に車輪は廻る。
店内に入ると緩やかなジャズが流れていた。
『貴公子』は裏道を抜けたところにある穴場スポットだった。
いつもみんなで溜まっている。
でも一人で来たのは初めてだ。
銀河「うーん、オレンジジュースとチョコレートパフェで」
店員「はい、かしこまりました」
普段はコーヒーを頼んでいるが、今日は一人なのでチョコレートパフェを。
子供っぽく思われるのが嫌で、今まで頼めなかったのだ。
未だ見ぬチョコレートパフェに胸を弾ませていた。
朝コンビニで買った「週刊スピリッタ」を読もうと鞄から出した。
銀河「あ・・・れ?」
奥の席に見慣れた人影がある。
あの後姿は肉だ。
銀河「(帰ったんじゃないか?)」
せっかくだから一緒に飲もうと思ったが、やめた。
自分が頼んだのはチョコレートパフェだし。
それに―――。
肉は人差し指を机に打ち付けて、イライラしているようだった。
時々、頭をかきながら、溜め息を付く。
ああ見えて肉は誰よりも繊細な人間だから、一人で悩んでいるのだろう。
銀河はスピリッタで顔を隠しながら、肉を見ていた。
一方、顎は家に帰った。
台所からはハーブティーの香りがする。
顎「ただいま」
母「おかえりー」
顎「はぁー疲れた」
母「今日ねぇ、片寄先生来れないって」
顎「はぁ?」
母「ロンドンからまだ帰れないみたいよ」
顎「うそー!最悪!ならちゃんと連絡してよ!」
母「仕方ないでしょ、こっちだってさっき連絡あったんだし」
顎「じゃあ貴公子行けたのにー」
今日はついてない。
顎は意気消沈の元、2階の自分の部屋に行く。
エレクトーンと少しの漫画。
壁にも机の上にも写真がある。
女の子みたいに写真入れに飾られている。
胡麻と一緒に行ったライブにて。
銀河との夜のツーリング。
にしこりと初めての釣り。
○○と文化祭の出し物の衣装で。
みんなで行った夏祭り。
肉とのツーショットだけがなかった。
常によそよそしい肉に、いつも疑問を感じていた顎。
肉は自分のことをどういう存在を見ているんだろう。
英語のノートを写させてくれる便利野郎かな。
徐に英語のノートを取り出した。
顎「ん?」
英語のノートに肉のノートが挟まっていた。
急いで机から取り出したので、気付かなかったみたいだ。
汚い字で「B組 山内そういちろー」と書いてある。
顎「あちゃー、これ明日返さなきゃ」
一度は鞄にしまうが、また取り出してみる。
顎「総君、ちゃんとノート写してんのかなー」
悪いとは思いつつも、肉のノートを開いた。
顎「うっわ、汚いなー。何書いてあるか分かんないよ」
ペラペラめくっていると、ノートから一枚の写真が零れ落ちる。
顎はそれを手に取り、確認してみた。
○○と肉が満面の笑みでピースしている。
幸せそうな写真だった。
2005年 5月14日 ○○とライブにて
顎「ふーん、○○ちゃんとライブとか行ってんだ」
その写真が挟んであったページに何か書いてある。
顎「・・・・・!?」
バタンとノートを閉める。
ドキドキしているのが分かった。
顎「総君って○○ちゃんのこと・・・」
一人では居られなくなって、銀河にメールを打つ。
貴公子まで自転車を飛ばした。
店員「お待たせしました」
銀河「あ、どうも」
銀河の目の前にコースターとストローが手際よく置かれる
店員がコースターの上にオレンジジュースが入ったグラスを置こうとしたとき、
入り口のベルが鳴った
店員「いらっしゃいませー」
入って来たのは胡麻だった。
銀河「(えぇー志村君まで!)」
胡麻は肉に「よっ」と手を挙げ、席に着く。
銀河はまた顔を隠した。
銀河「(来るんなら誘えよなー)」
チラッと見る二人の様子がいつもと違う。
明らかに冷戦状態だ。
目を合わそうともしない。
先に来たオレンジジュースを口に運ぼうとしたときに、銀河の携帯が鳴った
マナーモードだったので、テーブルの上でがががっと大きな音が鳴ってしまい、
銀河は焦って携帯を手に取った
幸い、肉と胡麻の二人は、その音には気づかなかったようだ
新着メール/かなざわ
本文:今からそっち行くから待ってて!
銀河(は?なんだなんだ??)
顎のメールを軽くツルーして二人の様子を覗う銀河
銀河「(うっわやべー、どうしようこれ、心臓に超悪いよ)」
店員「チョコレートパフェお持ちしましたー」
銀河「ぶっ!」
肉「……今しんたんの声せえへんかった?」
胡麻「俺、チョコレートパフェしか聞こえなかった」
肉「そっか……」
銀河は柄の長いスプーンを握る自分の手が震えているのに気付いた。
…果たして顎が来るまでに、このチョコレートパフェを平らげることができるだろうか。
一口、二口と口に運ぶたびに自然と笑みがこぼれてしまう銀河。
銀河「(ヤバイ。超うまい。この際周りの目など気にならないくらいのうまさだ・・・。
8分立ての甘さ控えめの生クリームにとろけるチョコレートシロップ&
バニラアイスの絶妙なコンビネーション・・・。)」
心の中でナレーションを繰り広げ、時が経つのも忘れ
一人ニヤつきながらパフェを頬張る銀河は気づいていなかった。
顎が全速力でチャリを飛ばしてもう貴公子のすぐそばまで来ていることを。
銀河(すっげー旨いけど…いやー…無理だろ…一気に食ったらお腹壊すって!)
そう思いながらも、黙々とチョコレートパフェを食べ続ける銀河
ふと窓の外を見ると、制服を着た男女がこちらに向かって歩いてくるのが見えた
長身の男は、ビニール傘と水色の傘の二本の傘を抱えながら、自転車を押している
女の方は、首をがっくりうなだれて足元を見つめながらふらふらと歩いていた
銀河(あれ…うちの制服っぽいな…女の子は、泣いてる?
なんだなんだ、痴話喧嘩か〜?若いなぁ)
ほお張りかけていたチョコレートパフェを
吹き出す銀河。
(足立と○○かよー!!!)
肉「うわっ、何かむこうの客吹いたで」
胡麻「何か面白いことでもあったんじゃないの」
肉「……」
胡麻「……」
肉「その面白さ、俺らにも分けてもらいたいな」
咳き込んでいると、再び入り口のドアのベルが鳴った
かなり乱暴にドアが開けられたので、ベルの音は店の奥まで鳴り響いた
銀河(!!! まさか…あいつか…!)
慌てて肉と胡麻の方を確認する銀河
どうやらちょっとやそっとの音に反応していられないほど、
二人の空気は深刻なようだ
顎「あーいたいた!」
銀「しっ!」
自分の顔の前に人差し指を立てて、向かいに顎を座らせる
空気が読めない顎は
顎「あー!鎮たんチョコパ食べてるぅ〜!僕も僕も〜」
と天真爛漫にほざいた。
銀河「…いいよ。これ食べて。」
顎「ホント!?うわ〜い♪」
何とかチョコレートパフェをさも顎が頼んだかの様に
する事ができ、店内の様子に集中できるようになった銀河。
銀河は手近にあったマンガ本の角で顎の顎を殴打した。
これでしばらくは大人しかろう。
問題は、にしこりと○○だ。
157 :
156:2005/06/15(水) 23:36:45
いや、2つ活かそう
繋がってるし
考えてるのがあったが155も156もおもろいなw
顎の位置からは、胡麻と肉は見えない
ちょうど二人に背を向けるように座っているからだ
顎「でさ、ちょっと聞いて欲し…」
銀「…少しボリューム下げて」
顎「え?あ、うん、ごめん」
銀「(あの二人もまさかここに来るのか…?)」
顎「でね、ちょっと話があって…」
顎「痛いよぉ。何で殴るのさ〜!?」
銀河「しっ!いいからパフェ食べて静かにしてろっつーの」
顎「わかったよ〜。静かに食べてればいいんでしょう?
もう今日は厄日だよ。何が何だか僕さっぱり」
銀「ぶっ(おわー!馬鹿!)」
顎を引っ張り込んでカーテンの中に隠し、自分はテーブルの下に隠れる銀河。
肉「しんたん…?」
聞き慣れた顎の声がした気がして、肉はまさかと思い振り向いた。
が、その席には誰も座っていない。チョコレートパフェを吹きこぼした跡だけが残っている。
胡「どうしたの?」
肉「今、慎たん言うてなかったか…?」
胡「さあ。子供じゃない?加藤君がパフェ食べるわけないし」
肉「そやろか」
首を傾げつつ、確かに胡麻の言う通りかも知れないと納得する肉であった。
「カランコロン」
貴公子のドアベルが鳴る。
入ってきたのは○○とにしこりだ。
二人はまだ店内に4人がいることを気づいていないようだ。
肉「・・・」
胡「・・・」
肉「志村・・・君さぁ」
胡「うん」
また沈黙した。
さっきから沈黙が鳴り止まない。
ふっと視線を変えると、見慣れた人影が目に入った。
その人影はこちらへ向かってくる。
憎たらしいくらい幸せに笑いながら。
肉「何やってんねん、お前ら」
胡「どうしたの?」
胡麻が振り返る。
銀「(うわぁ、見つかっちゃってるよ)」
銀河からは肉、胡麻、にしこり、○○が見つめ合ってるのが見える。
修羅場だ、完全なる修羅場だ。
銀河はストローを噛みながら思っていた。
顎「英語のノートを総君の机から取ったじゃん?」
顎は話を続ける。
が、銀河は全く聞いていなかった。
胡「あ・・。」
言葉にならない胡麻。
に「あれー。何、二人して。深刻そうな顔しちゃって」
○「・・・」
に「せっかくだし一緒に座ってもいい?」
肉「ええけど・・」
胡「・・・」
すると店内で天真爛漫なあいつの声が鳴り響く。
「あー!!!みんなおそろいじゃーん!」
顎だ。
銀河「バカ、金澤!」
肉「あ、慎タン…あ、チョコレートパフェ」
にしこり「え、これ何の会合なの?」
胡麻「………」
○○「………」
最後の一口のパフェを口に放り込みパタパタと4人の元へ駆け寄る顎。
顎「すごいね!みんなで約束したわけじゃないのに全員大集合だよ!
鎮たんもあっちでずっと座ってたんだよ!」
と、生クリームを口につけたままあっけらかんと銀河の所在を明かす。
顎の声はもちろん銀河まで届き複雑な笑顔で銀河は4人の方へ
手を振っている。
天真爛漫ににこにこする顎
そんな顎への怒りを笑顔の下に隠してごまかす銀河
チョコレートパフェへのショックを受ける肉
皆考えることは一緒なのかなとぼんやり考えるにしこり
相次いで現れる麺に非常に苛々を隠し切れない胡麻
言葉では表せない、とても息苦しい空気に耐え切れず、
○○が思わず口を開く
○「あ…あたし…帰る」
震えた声で後ろを振り返る○○
に「あ、ちょ…」
肉「待てや」
肉「なんかさ、このままずっと変な感じでいるの嫌やねん。
ちゃんと話そう。朝の事から全部突き詰めて」
絞り出すように肉は言った。
胡麻は深いため息をつく。
胡「はあぁ・・・・」
しかしそんな胡麻の表情には決意もみえていた。
ちゃんと話をする気になったようである。
銀河が顎を手で呼ぶ。
顎「ごめん、ちょっと行ってくる」
銀河の元に駆け寄る顎。
顎「慎ちゃんも早く来たら?」
銀「ダイスケさん」
顎「何さ」
銀「帰るよ」
顎「はっ?何で?」
銀「俺達が呼ばれなかったってことは、そういうことだよ」
顎「どういうこと?」
銀「お邪魔虫ってこと」
顎「・・・」
銀「俺達が居たら話づらいかもよ」
顎「また仲間外れ?」
顎はつまらなそうな顔をした。
そんな顎を無理やり黙らせ、
銀河「…じゃあ俺ら、失礼するわ。金澤もパフェ食べ終えたみたいだし」
顎「あっ、ごめんね慎タン、慎タンが注文したのに」
銀河「……じゃあなみんな、頑張って!」
銀河は顎の鳩尾に軽く拳をキめ、逃げるように会計を済ませて帰って行った。
に「が…頑張ってって…」
二人を呆気にとられながら見送る4人
胡「…とりあえず…座ったら」
4人は顎の放った
「鎮たんが注文したのに」
という言葉を聞き逃さなかった。
胡麻「俺、帰るわ」
荒々しくリュックを掴み胡麻は立ち上がった。
顎「え?しむ」
に「用事?」
肉「ちょー待て、おまえ、ちょ」
とっさに銀河も立ち上がるが
胡麻は厳しい顔で全てをツルーし、ドアへ向かう。
ガランゴロン
ドアに下げられている鳩のモチーフ付きの鳴りものは激しい音を立てた。
胡麻は店を出て行った。
貴公子を去る銀河と顎。
銀河の口の周りにはクリームがたくさん付いている。
顎「はぁ〜あ。仲間外れ同士、どこか行かない?」
銀「いや、俺は帰る」
顎「えー」
銀「ドラマの再放送見たいからさ」
顎「分かりましたっ」
銀「じゃ、また明日」
銀河は手を振りながら自転車に乗り、消えた。
顎「(クリーム付きまくりだよ)」
顎も帰らざるを得なかった。
176はツルーよろ!
帰ったはずの銀河は店のすぐ裏に居た。
銀河「さぁ〜てと」
自転車をキュルっと回転させ、店の元へ。
窓の外から4人を見つめる。
銀河「緊迫してんね〜」
顎「つれないなぁ、鎮たんは。」
顎はぶつぶつ独り言を言い始めた。
顎「誰も僕のこと構ってくれないんだな。
あーでも山内君のノートのこと言い忘れちゃったよ。もう
何のために貴公子まで雨の中チャリで飛ばしたんだか。。。」
ふとショーウィンドウに目をやると、反射して写った自分の髪型に顎は言葉を失った。
もはや髪は魂をもった生き物のごとくうごめいていた。
肉「で、…なんで足立と○○が一緒におるの?」
にしこり「え、…まああのー、なりゆきで」
肉「デート?」
にしこり「違うよ!話があったの、大事な話。ね?」
○○「……うん」
一方胡麻は、店を出てきてしまったことを後悔し始めていた。
トボトボ歩きながら脳裏には朝から今までの自分の行動が蘇る。
胡「(俺って朝から逃げてばっかりじゃん。
こんなことになったのも元はと言えば俺の暴走が事の発端だよな・・・)」
銀河「あれ?志村君帰るんだ」
爆発寸前の胡麻が店から出て行く。
銀河「意気地なしだな、志村君は」
銀河は呟いた。
185 :
176:2005/06/16(木) 01:37:13
今後の展開は176ツルーの流れでよろすく
>>181 気遣いありがd!
「志村!」
後ろから大きな声で誰かに呼ばれた。銀河だ。
胡「…なに?ていうか帰ったんじゃなかったの?」
銀「逃げるの?」
胡「…は?意味わかんない。何言って…」
嘘だ。意味なんかわかっていた
銀「○○ちゃんだって帰らなかったのに、何してんだよ」
胡「…」
核心をつかれ、言葉が出なくなってしまう
銀河はそれ以上なにも言わなかった
187 :
176:2005/06/16(木) 01:39:44
みんなごめん
自分タイミング悪すぎだ。みんなの繋げやすいようによろです…
一人の帰り道。
顎は落ち込みが激しい。
仲間外れが一番嫌いなのに、どうしてだろう。
みんなで仲良くやって行けば良いのに。
どうして冷たい空気が流れるのか。
貴公子で少しはしゃぎ過ぎたかな。
だって久し振りにみんなで集まったのに。
何だか変な雰囲気だった。
その真相を誰も教えてはくれないだろう。
僕はこれからもこうやって、一人で帰るんだ。
雨が強くなって、顎の頬を濡らした。
雨の中、自転車は加速する。
慎たんが言う再放送のドラマが少し気にかかる。
はぁ、誰も優しくないから落ち込む。
胡麻も肉もにしこりも○○も、そして雨も。
顎はふと肉のノートに書いてあった言葉を思い出した。
I think of you.
However,you think of someone else.
It might be painful why.
It might be sad why.
Feelings are not transmitted.
総君らしい、簡単な英文だった。
直訳すれば笑っちゃうくらい使い古された言葉。
怖いくらい真っ直ぐな言葉。
でもそこが肉らしい。
いつも肉は真っ直ぐで、自分の気持ちに嘘を付かない。
小細工出来ないから傷付きやすいんだな。
そして最後の一行を思い出した。
I love you.
銀河の言葉が胡麻を突き刺す。
「(何か言わなきゃ。このままじゃ・・・)」
焦る頭で胡麻は今までの自分の行動を再び思い起こした。
なんだかどうでもよくなってきた。
第一全てを見透かしているかのような銀河を前に体裁を守るための
言い訳は無意味に思えた。
胡麻「俺さ、朝暴走しちゃってさ。なんかわけわかんなくなっちゃって。
自分が恥ずかしくなって今日1日逃げてばっか。はは」
胡麻の乾いた笑いが悲しげだった。
銀河「○○さんのこと好きなんでしょ?察しはついてるよ」
胡麻「はは。だろうと思ったよ。」
銀河「どうするの?やっぱりこのまま帰る?それとも・・・?」
銀河は試すように胡麻に聞いた。
雨はもう止んでいる
道行く人は傘を畳みながら目的地へ向かう
街中で、胡麻だけが、自分の気持ちに蓋をするように傘をさしていた
胡麻は、さっきまで不自然に泳いでいた目を閉ざし、
傘を握る手に力を入れた
その頃喫茶店では、胡麻の座っていた席を空席にし、三人が対峙していた。
にしこりの問題はにしこり自身からは話したくない事柄だろうし、○○からも云いづらい。
けれど肉は自分がしているのであろう自分たちへの誤解を解こうと説明を求める。
○○「(なんでこんなことになっちゃったんだろう…)」
視線を上げると肉がじっとこちらを見ていた。
そのあまりにも真剣な表情に、○○の胸は何故か痛んだ。
沈黙を破るかのようににしこりが口を開いた。
に「2人はここで何してたの?」
肉「お茶しとった」
に「いやいや、そこじゃなくて」
肉「お前らこそ何してたん」
に「べ、別に」
肉は○○の顔を見た。
怖いくらい真っ直ぐに。
肉「ん?」
○○は下を向く。
肉「○○、泣いたやろ?」
○「・・・泣いてないよ」
肉「嘘つけ。目が赤いで」
○「泣いてないって」
肉「お前か?」
肉はにしこりを睨んだ。
に「いや・・・」
にしこりは肉の強い声に言葉を詰まらせた。
肉「あいつか」
○「え?」
肉「志村やろ?」
○「違うよ!志村君は何も関係ないよ!」
肉「謎が解けたわ」
○「だから違うってば!」
肉「○○がそこまで庇うのは志村しかおらへん」
○「総君、何言ってんの?」
に「落ち着きな。ほんと志村君は関係ない」
肉「許さへん」
196 :
193:2005/06/16(木) 03:10:23
ごめん、
>>192に気付かず投下しました
ちょっと繋がらないね
○○は、ぴんと張り詰めた空気の中、何と言えば全てが元通りになるのか、
そればかりを考えていた
たった半日の間に色々なことが起こり過ぎた
○○の細い肩と小さな背中には、とても背負いきれない程たくさんのことが起きた
思い出していたら、また目の淵に涙が溜まっていくのがわかった
視界が滲む
『でも、ここで私が泣いても、仕方がない』
かたかたと震える指先をぎゅっと握る
○「あたし…」
涙をこらえ、震える声で話し始める
198 :
192:2005/06/16(木) 03:11:47
大丈夫じゃない?
微妙につながってると思うけど
いや繋がってない?
細かいことは気にせずに
○○「……あたしが悪いの」
涙をこらえるその震えた声音に、肉が怯んだ。
にしこり「違うよ、○○は悪くないよ」
○○「ほんとは志村くんだっておかしくないのかもしれない。
おかしいのは全部わたしなんだよ、きっと。
だから、……そんなに怖い顔しないでよ……」
肉「意味わからんて…ちゃんと説明してくれな」
にしこり「○○は俺のことかばってくれてんだよ」
○○「そうじゃないよ、わたしが全部」
にしこり「○○があのとき言ってくれてなきゃ、俺どうなってたかわかんないよ?」
にしこりは険しい顔で肉に向き直った。
帰宅した顎はすぐさま部屋に戻った。
貴公子での4人の状況が全く分からない。
慎たんは何か知ってんのかな。
また肉の英文を見ながら考える。
肉にしては四苦八苦で完成した英文かもな。
○○とのツーショット写真では本当に幸せそうな顔してる。
でも最近はずっと機嫌悪いな。
ただでさえ機嫌悪そうな顔してんのに。
僕は君のことを想ってる。
でも君は他の誰かを想ってる。
どうして切ないのだろう。
どうして哀しいのだろう。
こんな気持ちは伝わらない。
愛してる。
他の誰かって、あの人かな。
てっきり○○ちゃんは肉が好きだと思ってたけど。
あの現場を見るまでは。
顎「○○ちゃんさ、…総くんのこと好きになってあげてよ」
そうでなきゃかわいそうだよ、なんか。
顎はひとりそう呟き、肉の心痛を思って唇を噛んだ。
銀河は一人で佇んでいた
その足元には、さっきまで胡麻が差していた傘が転がっていた
地面に叩きつけられた傘は、骨が曲がり、
ビニールにも穴があいてしまっている
銀河は何も言わず、傘を拾い上げると、
近くにあったごみ箱にその傘を投げ捨てた
「再放送、もう終わっちゃつたよなぁ」
見上げた空にはまだうっすらと雲がかかっていて、
時折雲の切れ目から夜の空が覗いた
プルルルル
家の電話が鳴っている
母親は料理教室に行っている為、家には顎しか居ない
顎「もしもし金澤です」
相手「あーダイスケくん?」
顎「はい、そうですけど」
相手「山内総一郎の母です。いつも総一郎がお世話になってます」
顎「あーどうもどうも」
相手「総一郎と電話が繋がらなくってね」
顎「あっ、今総一郎君は友達と会ってるみたいです」
相手「あら困ったわ。急用なんだけど」
顎「何なら伝えておきますよ。おっしゃって下さい」
相手「そう?助かるわ」
顎「いえいえ」
相手「あのね、ちょっと仕事の都合で海外に行くことにしたの」
顎「ええ」
相手「だから今から家を出るのよ。当分は帰って来れないの」
顎「はい」
相手「だから総一郎に・・・伝えておいて」
(おーい、まだ電話してんのかー?)
相手「今行くわー!総一郎に謝っておいて」
顎「はい」
相手「じゃあ」
電話は切れた
肉のお父さんは事情があって別居してるはずだ
お母さんの仕事って何だろう
さっきの男の人の声はお父さんかな?
どっちにしろ肉は家に一人で居ることになる
夏休みの溜まり場が決まった
「急用だから貴公子行こうかな」
ベッドに横たわり悩む顎
早く行って伝えたいが、何だか格好悪い
あの雰囲気には入れないし
悩みながら目をつぶる
夢の中へと誘う
にしこり「総くん、あんまり○○のこと責めるなよ」
肉「責めてなんてない」
にしこり「じゃあなんで話聞いてやんないんだよ。志村がどうとか、○○違うって言ってるじゃん。俺が言うよ、全部」
○○「足立くん、もうやめよう?」
そのとき、店のドアが開いた。
○○「志村くん・・・」
○○の目線の先には雨の中急いで走ったのか、髪がずぶ濡れで息を切らしていた胡麻の姿があった。
肉「志村・・・おまえ・・・」
いざ本人を目の前にすると言葉に詰まってしまい言いたいこと何も言えないで俯いてしまう。
(俺はいざという時なんでこうなってしまうんやろう。ダメやなあ・・・)
喫茶店のマスターがずぶ濡れの胡麻に気付きタオルを渡そうと駆け寄ろうとしたが
胡麻は何かを決意したのか人をひきつけないぐらい真剣な顔をしていた。
そして胡麻はさっきまで自分が座っていた席についた。
目は険しいままだった。
にしこりが突然席を立った。そのままマスターの所へ行き、胡麻の代わりにタオルを受け取った。
に「志村」
というとそのまま胡麻の頭をタオルで拭きだした。
ぶっきらぼうに拭くので胡麻の髪はぼさぼさになる。
胡麻「いいよ、そんな」
に「バカ。風邪ひくだろ。今から大事な話なんだから」
胡麻「…」
に「話してる最中に風邪ひいて倒れたら、俺がお前をおぶって家までつれてくはめになるし」
胡麻「…」
なんでこんな人がふられるんだろう、と○○は思った。
にしこりがみんなに好かれる理由がわかった気がした。
ある程度拭き終えるとにしこりはタオルをマスターに返しに行った。
○○は思わずそんなにしこりの姿を目で追ってしまう。
肉はその○○の行動を見てうつむいてしまった。
肉(……)
考えが追い付かなくなっていたし、自分の幼さに嫌気が差した。
自転車を壁に立てかけて、店内の様子を窓から伺う銀河。
店の真裏で、細い路地になってはいるが、人通りはない。
隣接する商店の、裏口専用になっているようだ。
細いアーケード状になっていて、雨も避けられた。ベストスポットである。
我ながら怪しいヤツだ、と思いながら、
その辺で見つけたビールケースに腰掛け、ぼんやり見つめている。
当然声は聞こえないが、なんだかややこしいようだ。これが青春ってやつか。
「何してるの?」
びく、っと振り返ると、帰ったはずの顎がいた。
バツの悪さに笑いを浮かべて誤魔化す銀河。
構わず顎は、無理やり詰めさせてビールケースに半身を乗せて、
ふぅ〜ん、と窓の中を覗き込んだ。
顎「…ドラマの再放送は?」
銀河「いやぁ、まぁ、こっちの方が気になっちゃってサ。」
顎は相変わらず、首を伸ばしてぐるりと店内を見ている。
銀河「…なんで、ここに?」
顎「総くんのおかあさんから、伝言預かったから。」
銀河「あ、そう。」
だからって、なんでこんな裏に廻ってきたんだろう?
顎は顎なりに、何かやっぱり感じたのだろうか。
顎「…分かった気がする。」
銀河「…え?」
顎「みんな、○○ちゃんのことが好きなんだね!?」
やや得意げな響きを含んだ言葉に、銀河は思わず横の顎を見る。
顎「当たりでしょ〜?」
どうだ、と言わんばかりに銀河を見る顎。
その顔の近さに、思わずのけぞる銀河。ビールケースからずり落ちそうになる。
そんな銀河に手を貸しながら、顎は悲しい顔をして、店内の4人を眺めた。
顎「どうなるんでしょうねぇ、加藤さん。」
銀河「さぁ?厄介だからねぇ、恋ってヤツは。」
茶化しつつも、なんとなくその場を離れられないでいる、二人だった。
に「で、誰から話す?」
にしこりが話し掛けても誰も何も言わない。
三人とも俯いている。
に「えー…と、じゃあ俺から話せばいいのか…?」
やはり誰もしゃべらない
に「えー…。すみませーん!マスター!コーヒーと紅茶ください!紅茶でいいよね?」
○○に話し掛けるにしこり
○○はこくんと頷く。
に「あ、志村は?」
胡麻「…別に」
に「すみませーん!マスターココアください!」
にしこりはとりあえず三人を落ち着かせなければと思った。
窓の外から眺めている限りでは、話は進んでいない。
全員が全員、話すタイミングをうかがっている。
銀河は少々イライラしていた。
貴公子に来て、もう一時間以上が過ぎてるのに。
銀「そういえば、伝言って何?」
顎「えっとねぇ、総君のお母さんが仕事で海外に行くって」
銀「海外?」
顎「そう、だからしばらく家を空けるってさ」
銀「総君のお母さんの仕事って・・・」
顎「何してるの?」
銀「スーパーのレジ。パートだよ」
顎「パートで海外?」
銀河は空を見て、溜め息を付いた。
顎「でもさ、総君のお父さんって大阪で歯医者さんやってるでしょ?」
銀「うん」
顎「あれ、そもそも何で別居してるの?」
銀「うーん」
顎「そういえば」
銀「何?」
顎「お母さんね、最後の方で寂しそうな声してた」
銀「で?」
顎「遠くの方で男の人の声がしてたよ」
銀「それってさ・・・」
銀河は何か隠しているようだ。
顎「教えてよ」
銀「別居の真相は、離婚危機だからだよ」
顎「え・・・」
銀「お母さんが総君を連れ出して、この町に来た訳だよ」
顎「そうだったんだ・・・」
銀「恋人と海外に逃げたのかもね」
顎「ちょ、ちょっとそれヤバくない?」
銀「親父さんとも上手く行ってなかったって言ってたしな」
顎「へぇー」
銀「総君、一人になっちゃったな」
顎は友達なのに何も知らなかった自分が恥ずかしかった。
泣きそうだった。
店員「…お待たせしました…」
小さくぽつりと呟き、テーブルの上に静かに飲み物を並べていく
○○の前には、ガラスのソーサーの上に、綺麗な紅色をした紅茶が置かれた
店員「好きな方入れてね」
紅茶の奥に、ミルクポットとレモンスライスの乗せられた小皿、白い角砂糖の入ったココットを置いて、
店員は静かにテーブルに背を向ける
相変わらず、にしこり以外の三人は俯いたまま、言葉を発しようとはしなかった
いい加減疲れてきた。なんだこの尋常じゃない雰囲気は。
にしこりは、押し黙る3人をいぶかしげに眺めると、溜息をついた。
にしこり「なんかよくわかんないんだけど、志村くんと総くんはなんでここにいるの?」
肉「…お前はなんで○○と一緒におんねん。」
にしこり「俺は、まぁ、彼女に振られちゃってさ。」
笑い飛ばしそうな勢いで、言う。つとめて、明るく。
にしこり「それをほら、○○ちゃんが、慰めてくれてさ。」
胡麻と肉は、驚いた顔のままこちらを見て固まっている。
二人、同じ顔してるよ、と思いながら、
にしこり「で、まぁ、そのお礼に、お茶の一杯でも、と。」
どこまでも、明るく。からっと、言う。言えたな、と思う。
にしこり「ね、○○ちゃん」
と、同意を求めて彼女を見る。うん、と大袈裟に頷く○○。
がんばったね、とでも言うような、目の色。
にしこり「で、二人は?先に来て、何話してたのさ?」
胡「別に…なにも
呼ばれたから来ただけだし」
肉「…なんやその言い方」
○(いやだ…けんかしないで……)
胡「だってそうじゃん」
肉「おまえ!」
立ち上がろうとする肉
ガチャン
思わず○○は手に持っていたティースプーンをカップの上に落としてしまった
跳ね返った紅茶が、テーブルにいくつかの斑点をつくる
に「大丈夫?」
○「…」
声がでない
にしこりの問いに○○は小さく頷くしかできなかった
肉「何にも話してへんよ」
胡「うん、特にね」
に「何だよ、ずっとここに居たんだろ?」
肉「話そうと思たら、お前達が来たから」
に「あー、お邪魔だった?」
肉「それはこっちの台詞やで」
冗談も冗談になっていない。
そんな状態だった。
胡「○○さん、今日の朝はごめん」
胡麻の眉毛がキリっと上がった。
○「ううん、いいよ」
胡「ちょっと何か、自分でもおかしかったっていうか」
○「うん」
胡「痛かったでしょ?」
○「全然。大丈夫だから」
胡「ほんとごめんね」
胡麻は全て言い切った顔をしていた。
ご機嫌そうにココアを飲んでいる。
自分の仕事は終わったと思った。
肉が呼び出したのも、朝のことが原因だと思うから。
肉と胡麻は止まる様子も無い
胡「大体、何なの?何で呼び出したの?」
肉「それほんまに言ってんのか?」
胡「こんなとこで嘘付くわけ無いじゃん」
肉「その言い方が気に食わんねん」
胡「性格だし、直んないよ」
にしこりは上目で2人を見ている
横に居る○○も気にしながら
肉「ほんなら言うわ。俺は朝の事とか、屋上に○○と二人でいた事とか
気になった。おまえの様子がおかしいのも、○○の様子がおかしいのも気になった。
だから白黒つけたいと思って呼び出したんや。」
肉は真っ直ぐな眼差しで言い放った。
胡「俺はその・・・」
肉「何や?」
胡「こんなところで言うのか?」
肉「言えへんの?」
胡「いや、ちょっと・・・」
肉「何やねん、お前。結局何も言うてへんやろ!」
肉の声が店内に鳴り響いた
立ち上がった肉は胡麻の胸倉を掴む
銀・顎「やばい!」
慌てて店内に駆け込む二人
○「やめて!!」
掠れた声で○○が叫んだ
店に飛び込んだ銀河と顎はその場に固まる
胡麻は○○の声に怯んで力を弱めた肉の手を振りほどいた
○「もうやめてよ…喧嘩なんかしないで…」
我慢していた涙が、ぼたぼたと制服のスカートの上に落ちた
肉はポケットに手を突っ込んで、ふてくされたように椅子にドカッと座る。
胡麻も溜め息まじりにゆっくりと座り直した。
肉「…ごめんな、○○ちゃん、こんなん見せてしもうて」
○「……ん」
胡「俺はこれ以上何を言えばいいの?朝の事ならもう謝ったし」
○○は泣き出してしまった
胡「ごめん」
に「○○ちゃん、大丈夫だよ」
泣き出す○○の背中をさするにしこり
○「総君、怒んないでよ」
泣きながら○○は言う
胡「謝れよ」
胡麻が肉に小さな声で言う
に「○○ちゃんは何も悪くないんだから、ね?」
にしこりは優しく○○の肩を抱いた
もう回りの音が聞こえなかった
自分が泣いているのかどうかさえわからなかった
とにかく、この場所から居なくなりたいと思った
明日になれば
きっといつものとおり
みんないつもどおりに、おはようって言って一日が始まるんじゃないか
もう何も考えたくなかった
自分達のことで精一杯で、
銀河達が店に来たのに全く気付く気配の無い胡麻達
銀「…戻るよ」
顎「えっ?」
銀「いいから」
銀河は顎の手を引っ張り、また元の場所に戻った
に「…平気?」
○「うっ…うん…」
嗚咽まじりに返事をする
泣いている○○を目の前にして、
優しい言葉のひとつもかけてあげられない自分が情けなくて、
肉は強く奥歯をかみ締めた
顎「あわわわわわわわ。大変なことになってきたよぉ〜」
華奢な手で口元を覆いながら顎が言った。
銀河「うん。俺たちの出る幕じゃないな。
(第一あの場で突入が見つかってたら覗き見してたのがバレバレじゃないか。
俺としたことが危ない危ない。)」
冷静な銀河をよそに顎は相変わらず一人テンパっていた。
いろんな意味で。
銀河達は店の前をウロチョロしている
自分としたことが今日はどうしたんだ
何故か最後まで見届けたい気分だ
顎「伝言どうしよう」
銀「あー伝言ね」
顎「さっき伝えとけば良かったかな」
銀「あの状況で!?いい加減、空気読みなさいよ」
顎「そうだよね、ごめん」
銀「謝らなくても」
顎「僕さ、慎たんみたいに器用じゃないから」
寂しそうに顎は俯いた
銀「総君さ」
顎「うん」
銀「伝言知ったら落ち込むよな」
顎「・・・」
銀「俺達は何も力になれないんだよ」
自分の無力さ、空気読めなさ、仲間はずれな状況。
いろいろな思いがこみ上げ顎の頬から熱いものが滴り落ちた。
顎「それにしてもこんな大事なこと伝言で済ませるなんてさ・・・。
うぐっ、ひどい、よ、ね。僕からい、言えないよ。ひっく。」
泣き出す顎の肩を抱き、銀河は
(あっちもこっちも忙しいな全く。)
とやはり冷静だった。
こちらも大変だった
○○は泣き止まない
それどころか、さっきより激しく泣いている
そんな○○を慰めているのはにしこりだ
隣の席の奴はオロオロしているだけだから
おかしいな
つい最近まで○○と一番仲が良かったのは自分なのに
本来、この状況で○○を慰めるのは自分のはずだ
なのに○○の隣にはにしこりが居て
優しく慰めている
何だか腹が立ってきた
肉「帰る・・・わ」
肉は店を出て行った
右手に持っていた傘をがりがりと地面に擦りながら、目的地も無く歩き始める
脚に力が入らず、ふらふらしている
雨はやんでいて、しっとりとした冷たい風が顔や腕に吹き付けた
肉「あ…自転車、店に置きっぱなしや…」
なにやってんねん、俺
結局逃げてんのは俺やないか…
肉「はは…」
空いていた左手で目を押さえる
肉「なっさけないなぁ…」
顎「総くん…」
肉に声をかけようとする顎を銀河が引き止める
顎「ちょっと!放してよ!」
銀「ダイちゃんが出ていっても仕方が無いんだから!
落ち着いて」
顎「だって!」
顎をおさえている腕に力をこめて銀河が言った
銀「さっきも言っただろ…
俺達じゃ力になれないんだって…」
顎「…とない…」
銀「え?」
顎「そんなことない!絶対ない!
だって俺達、友達なんだよ!?」
銀「わからずや!」
顎「そうだよ!わからずやだよ!器用でもないし、空気も読めない奴なんだよ、俺は!」
顎は脚をじたばたした
思わず手を緩めてしまった銀河の隙をついて、銀河の両腕を振りほどいた
顎「ひっく・・・ひっく・・・・、あれ・・・総君いない・・・・」
シャツの袖で涙を拭きながら、辺りを見回す顎。
銀「あれ、いつの間に」
顎「あ・・・・あそこにあるのって総君の自転車じゃない?」
顎が指差した方に、赤色のマウンテンバイクがおいてあった。
さっき降った雨粒でキラキラ光っていた。
顎「そういえば・・・・総君、あの自転車、おかんに買ってもらった〜って
喜んでたっけ。」
銀「そうだったっけ?」
顎「そうだよ!あの時、すんごい笑顔で俺に自慢してたよ。
なのに、、、なのに・・・・なんで総君だけ、つらい思いをするんだろう。
神様は何でみんな平等に幸せを振り分けないのかな。
へんだよ、こんな世の中。」
銀「そんなこと言われたって、どうにも出来ないことってあんだよ」
顎「それは分かってるけど・・・・・・・・・・やっぱ俺は納得できないよ!!
総君、探してくる!」
銀「ちょちょちょ・・・ちょい待てって」
顎は銀河の声も聞かずにもう走り出していた。
銀河(はぁ〜、やれやれ。さっきメソメソ泣いてたと思ったら、もう一人で何とかしようと意気込んでるよw
あいつもコロコロ変わって大変だなw
まあ、こっちは足立がどうにかしてくれるだろうし、いっちょ、俺も動いてみるか)
店の様子が気になりつつも、銀河は顎の背中を追ってゆっくりと走り出した。
242 :
241:2005/06/16(木) 20:07:44
>>240 ごめん、カブった・・・
でも終わりが同じ感じか?
銀河「おい!ダイちゃん!」
あーもう、なんで冷静に物事が見れないんだよ・・・
今回の事は俺達が出る幕じゃないんだ。そんなことちょっと考えれば分かることなのに
友達だからって
・・・・
あーでも俺はきっと冷静すぎるのかもなあ。
俺はあいつらみたいに感情的に行動するなんて出来ないんだ。
そいえば前もこんなこと思ったっけ
感情的になれなくてあいつに振られたんだっけ
244 :
243:2005/06/16(木) 20:13:04
>>242 ごめん、かっぶってしまいました・・・
一応240の続きで書いたけどスルーしても結構です
245 :
242:2005/06/16(木) 20:15:42
>>244 いやいや、漏れのほうが先にカブってたので、243を生かそう。
息を切らして坂道を駆け下りる
まだ遠くには行っていないはずだ
肉に声をかけなければ気が済まない
坂道が終わる歩道で肉を見つけた
顎「総くーん!」
肉はビックリしたように振り返る
まさか○○が追いかけてきてくれたのか?
肉「何や、お前か」
顎「はぁはぁ・・・総君、待ってよ」
肉「待ってるやん」
顎「あのさ、その、元気出して!」
肉「え?別に元気やけど?」
顎「元気ないじゃん!何があったのかは知らないけどさ」
肉「・・・」
顎「たまには僕にも相談してよ」
肉の顔が一瞬で曇った
とりあえず、どっちと続いても平気そうなので書きます
銀「…あいつらどこ行ったんだよ」
てっきり肉は家に帰ったものだと思い、そちらへ向かっていたが、
二人の姿はなかった
携帯を取り出し、顎に電話をしてみるが、当然出るわけもない
銀「あいつなら…なんとかしてくれるかな?」
顎になら、肉を任せても良い気がした
なんとなくだけど、そんな気がした
『友達』ね…
顎「みんな仲良くやって行こう!」
肉「・・・」
顎「それとさ」
ノートのことを話そうと思った瞬間
肉「何言うてるん?」
顎「どうした?」
肉「お前は関係ないやろ?」
顎「え・・・」
肉「気安く『みんなで仲良く』なんて言うなや!」
顎「総君・・・」
肉「ムカつくねん」
肉は目をそらして呟いた
249 :
246:2005/06/16(木) 20:23:35
貴公子にて
何度も出て行ったり、入ってくる常連を店員は不思議そうに見ていた
前に来た時は仲良さそうだったのになーっと
それにしてもあの子、格好良いな
名前は何て言うんだろう
高校生だから年下だよね
女の子を巡って修羅場状態なのかしら
店員の妄想は果てしなかった
251 :
247:2005/06/16(木) 20:31:35
>>246あー間に入れちゃってごめん!
一方、店内では、マスターと店員さんが静かに片付けを始めている
他の客は居ない
店の奥に、異様な雰囲気を放つ三人だけだ
カランコロン…
店員「ごめんなさい、今日はもう…あ…」
銀「すみません、ちょっとだけいいですか…?」
マスター「どうぞ。◇◇ちゃん、お店閉めちゃって」
店員「はい」
銀「ありがとうございます」
店員の女性は、外へ出て看板を片付け始めた
店頭の電気は消され、プレートもopenからcloseへ変えられた
252 :
251:2005/06/16(木) 20:33:27
わーまた微妙にかぶっちゃったね!ごめんそorz
胡麻は完全に行き場を失っていた。
にしこりと○○の間には入れそうにない。
位置的にも、心の距離的にも。
今、○○に必要なのはにしこりだ。
決して俺じゃない。
○○の心の雨を止ませるのは、にしこりなんだ。
俺は傘もさせやしないよ。
肉を追いかけるべきだったな。
さっきのでムカッとしたから、追いかけなかったけど。
はぁー俺は最悪だ。
何て心が狭いんだろう。
家に着いたら肉に電話しよう。
胡麻「あのー」
にし「はい?」
胡麻「俺、テレ東の『追ってけパラダイス』見たいから帰る」
にし「うん、分かった」
胡麻「○○さんをよろしく」
○○は泣いていて、胡麻には気付いてなかった
線路の音だけがカンカンと鳴る
田舎町の踏み切りは静かだった
淡々と日が暮れて行く
やっぱり自分は肉に嫌われていた
英語のノートを写させてくれるだけの便利野郎
こんなに傷付くならば、追いかけなきゃ良かった
携帯を見ると、銀河からの着信が何件かあった
「慎たん、やっぱりダメだった・・・」
涙が出てきそうだ
そして顎は思い出してしまった
「伝言忘れてた!」
肉がショックを受ける様子が、容易く想像できた
胡麻が立ちあがると、正面銀河がいた
胡「あれ?まだいたの?」
銀「うん」
胡「俺帰るから」
銀「そう。気をつけて」
胡「…」
何も聞こうとしてこない銀河に、半ば不信感を覚えながらも
胡麻は店を出ていった
銀「○○ちゃん、足立くん」
に「あれ!?加藤くん?」
銀「もう帰ろう。外真っ暗だよ」
に「え…あ、うん…でも…」
銀河は、○○の水色の傘と鞄を持ち上げると○○に声を掛けた
銀「大丈夫?」
○「…」
銀「俺、○○ちゃん送るから、会計お願い」
に「…わかった…」
○○は銀河に抱えられて店を後にした
ついカッとなって顎にひどい事を言ってしまった
肉は歩きながら反省していた
今日の晩御飯と顎と貴公子に残したメンバーと銀河のチョコパフェ
頭の中は考える事がたくさんだ
肉「ただいま〜」
家の中は暗く、どこか涼しい
肉「おかん、帰って来たで〜」
電気を付けた
肉「何やこれ・・・・」
家の物が無くなっている
母親が気に入っていた置物、テレビ、電子レンジ
洋タンスから服が乱雑にはみ出していた
肉「空き巣か!?おかん、大丈夫かな」
肉は母親の寝室に向かった
店に一人取り残されたにしこりは、いそいそと荷物を整理して
カウンターに向かった
に「遅くまですみませんでした…」
深々と頭を下げ、伝票を店員に差し出す
マスター「…俺にはわからないけど、みんなそうやって大人になっていくんだから
気に病むことはないよ。御代、いいから」
に「でも…」
マスター「またおいで。待ってるから」
マスターはにっこり笑ってみせた
に「ドリンク…残しちゃってごめんなさい。ご馳走様でした」
ドアを開けたら、冷たい風が吹き込んできた
外は真っ暗で街頭がぽつりぽつりと舗道を照らしている
店員「気をつけて帰ってね」
に「ありがとうございます」
もう一度頭を下げて、にしこりも貴公子を後にした
銀河は自転車の籠に、自分の鞄と○○の鞄をつっこんだ
銀「ちょっと待ってて」
一人自転車の前に取り残された○○は、自分の鞄からタオルを取り出す
さっきにしこりに借りたハンカチは、もうハンカチの役目を果たせない程、
ぐっしょりと濡れてしまっていた
○○には何が起きたかいまいち理解できていなかった
気がつくと、肉も胡麻も居なくなっていて、
なぜかいなかったはずの銀河に家まで送ってもらうことになっている
銀「お待たせ。炭酸平気?」
戻ってきた銀河の手には、缶ジュースが二本抱えられていた
こくりとうなずくと、一本○○に手渡す
銀「目、腫れちゃうから冷やしておくといいよ」
○「ありがとう…」
必死で声を振り絞ったが、その声は車の音にかき消されてしまった
寝室に母親は居なかった
ベッドのシーツが激しく乱れていた
やっぱり空き巣か?と自分の部屋に戻る
「ここは大丈夫やな〜」
しかし何かが足りないことに気付いた
「あ・・・・」
肉が小さい頃から大事にしていたサッカボールがなかった
母親からもらったサッカーボールが消えている
「空き巣があれ持って行くんか?」
肉は何かがおかしいと思い始めた
肉の家へと走る顎。
肉の母からの伝言を伝えなければいけない。
伝えたらきっと肉は傷付くだろう。けれど、約束してしまった。
顎「はあっ、はあっ…」
肉の家の門前に立ち、チャイムを鳴らす。
肉「…はい」
どこか焦った肉の声がした。
顎「あの、金澤です!」
肉「ああ、どうしたん?」
顎「伝えなきゃいけないことがあってさ」
肉「何?」
顎「実はね、あのー」
顎の言葉は詰まった
どうやって伝えよう
顎「お母さんから伝言預かってるんだ」
肉「おかんから?何や?」
顎「仕事で海外に行くって」
肉の様子を見つつ、顎は言った
肉「海外?」
顎「うん、だから『ごめんね』って」
肉「スーパーのレジのパートが海外ですか」
顎は目をキョロキョロさせる
肉「あの男やな・・・」
肉はそう言ってへなへなと座り込んだ
顎「総君?」
肉「大人は汚いなー」
やけに乱れたシーツを思い出し、手で顔を覆った
肉「ほんま汚いわー」
顎「総君・・・」
首筋に肉の涙が光った
顎「あ…あのさ、ちょっと顔出して欲しいんだけど…
直接話したい…」
肉「…」
ブツッ
インターホンが切られる
顎「え…」
怒らせた?
俺、なんか悪いこと言った??
やっぱり俺、嫌われてるのかな…
色々考えていると、玄関が開いた
貴公子を出たときのままの格好の肉が顔を半分だけ外に出す
肉「上がって」
265 :
264:2005/06/16(木) 21:45:15
あちゃちゃ、また被ったね
>>263はツルーでお願いします
267 :
266:2005/06/16(木) 21:46:43
や、自然な流れだからこのままでいいとオモ
270 :
264:2005/06/16(木) 21:50:28
あ、そうだね。焦りすぎたわ!お騒がせ!
じゃあ真実を知った肉の家に顎が上がるって事で
OKでーす
顎「あ、じゃあ、お邪魔させてもらうね」
肉「おー」
肉はリビングルームへと顎を案内する。
乱雑に散らばった物たちが事の重大さを顎に認識させる。
顎「ごめんね・・、俺なんて言っていいかわかんない・・・。」
肉「ええよ。俺も正直どうしていいかわからへん。
今日は一度に色んなころありすぎや。」
肉の瞳の奥はさっきにも増して曇っていた。
肉「ごめんなダイちゃん…俺さっきサイテーなこと言うた」
顎「いいよ」
肉「もうなんか疲れたわ…頭ん中わやくちゃや…くそー」
顎「…やっぱり、帰ろうか?」
肉「や…、おって。俺今独りでいたらきっとおかしくなる」
顎「俺空気読めないよ?」
肉「ええから。ほんま…あーあかん、泣けてきた」
顎は肉の頭を撫でながら言った。
肉「今日は俺、総くんのお兄ちゃんになるよ」
276 :
275:2005/06/16(木) 23:05:40
あ、ごめん間違えた、最後の一行は顎でよろしくw
雑談でつっこんでくれた人ありがとう。
肉(はあ!?こいつちょっと頭わいとるかも)
顎「実はぼく、みんなより一つ年上なんだよね…」
肉「………マジ?」
顎「ぼく嘘つかないよ」
肉「…あかん…今日ハードすぎる…」
顎「あのさ、ハードついでに言っちゃうけどさ、僕見ちゃったんだよね。
山内君の英語のノート。写真と英文・・・。」
肉「!」
顎「で、だいたい察しはついちゃったんだけど。あ、僕の勘違いっていう
可能性もあるけどね。ほら、僕空気読めないし・・・」
と自虐的に顎は薄笑いで吐き捨てた。
暫くの沈黙の後
顎「お腹空かない?俺何か作るよ」
といいながら冷蔵庫を物色し始める顎
それをぼーっと眺める肉
顎「でも別に見ようと思って見たわけじゃないんだよ!
英語の時に総君がノート持ってたでしょ?返してもらわなきゃいけなかったから
勝手に机の中から抜いたら間違えちゃったみたいでさ」
肉「…まぁ別にええけどな。あーもう、最悪や」
何で俺ばっかりこんな目に遭わなあかんねん、と頭を抱える肉。
顎「…ごめんね、空気読めなくて…」
肉「ええって」
281 :
280:2005/06/16(木) 23:23:28
ごめん、280はツルーで
>>280=281
冷蔵庫に向かいながら弁解してる顎、と思えば読める。
顎「じゃあさ、元気が出るように好物作ってあげるね。総くん、何食べたい?」
肉「あー……」
そのとき、肉の脳裏にあいつの顔が思い浮かんだ。
肉「…チョコレートパフェ」
顎「厳しいなー…」
胡麻は家に帰り着いていた。
胡麻「おかしいな」
肉が電話に出ない
あの後、家に帰ったんじゃないのか
一言謝りたいだけなのに
そういえば銀河はどうして戻って来たんだろう
にしこりと○○はどうなったんだろう
胡麻はベッドの上で悶々と考えいた
銀河は黙って自転車を押していた。
おまいらも大分落ち着いて、銀河のゆっくりとした歩みにあわせて歩く。
実際歩みをあわせてくれていたのは銀河の方だったのかもしれない。
けれど銀河は何も知らない顔で歩く。
銀河「あのさー…」
○○「……ん?」
銀河「○○って、すっげえあれだよな、あれ」
○○「あれって?」
銀河「だから、あれ」
○○「わかんないよーw」
銀河「…やっと笑った」
○○「……え」
銀河「なんでもない」
銀「落ち着いた?」
○「うん…」
まだ少し涙声だったが、さっきよりはだいぶ落ち着いた
銀「無理して話すことはないけど、俺もダイちゃんも心配っていうかさ」
○「…」
銀「言いたいことあったら言ってくれて構わないから。
嫌だったら何も言わなくていいし」
○「…うん…ありがとう…」
静かな道路に、自転車の車輪の音が響く
今度のありがとうは、ちゃんと銀河の耳に届いただろう
それだけで、少し安心した
○○は、銀河に顔を見られたくなくて、街頭から少し外れながら歩いた
銀河が買ってきてくれた缶ジュースは体温でもうぬるくなってしまっていた
肉「嘘やって!俺甘いモン苦手やし」
顎「知ってるよ。総くんが好きなのはカレーでしょ」
…そういえば、俺
ダイちゃんのことなんも知らへんのかもしれん
さっきのことだって、初めて知ったし…
それなのにダイちゃんに酷い言葉を浴びせて
俺ほんまサイテーやな…
…ごめんな…
顎「ん?何か言った?」
肉「いや…なんでも…」
顎「どうしたの?泣かないでよ…」
肉「ごめんな、ほんまごめん…」
もう泣くことしかできなかった
自然に涙が流れてきた
顎「何泣いてるんだよー男の子だろ!しっかりしなさい」
肉「……」
顎「それに俺達、友達なんだから、ごめんじゃないだろ」
…友達?俺が?
顎「こういうときは『ありがとう』って言うんだよ。
もうー泣かないの!はい、ティッシュ」
肉「…」
顎「大丈夫?ちーんしてあげようか?」
肉「要らんて…」
顎「じゃあ俺、なんか作ってるからそれまで待ってて」
肉「…ありがとな、ダイちゃん…」
顔を上げて、顎の方を見ると、顎はにっこり笑っていた
その笑顔を見たら、なんだかまた涙が出てきた
一人で家にかえるにしこり。
結局なんで○○と元彼女が喧嘩してたのかは聞けなかった。
に(聞かない方がいいかな…つうか志村も総ちゃんも…)
面倒なことになったなと、足元の小石を蹴りながらとぼとぼと歩いていると携帯が鳴った。
元彼女からの電話だった。
まだ引きずったままの自分の心に気付いた。
元カノ「あのね・・・本当はまだ房くんのこと好きなの・・・」
にしこり「えっ・・・!?」
元カノ「私、男癖悪いじゃん・・・だからこれ以上傷つけたくなかったんだ・・・」
にしこり「そんなこと、今更言われても」
元カノ「……」
にしこり「俺結構あれで傷ついたし」
元カノ「…うん」
にしこり「それに、お前○○のことも傷つけたんだよ」
一体何がなんだかわからなかった・・・
俺はどうしたらいいんだ・・・
にしこり「あのさ・・・」
元カノ「勝手なのはわかってる・・・でも好きなの」
にしこり「ごめん・・・今は何も答えられないから」
元カノ「謝らないで!○○さんに今日言われて改めてわかったんだ」
292 :
291:2005/06/17(金) 00:59:15
スマソかぶったけど続いてるからこののままでいいでしょうか?
294 :
291:2005/06/17(金) 01:16:00
ではこのままでよろしくです!
に「お前の事、本当に好きだったよ・・・」
元「正直言うと私ずっと入学した頃から好きだったんだ・・・ずっとずっと」
に「俺だってずっと好きだったよ!だから告白して付き合えた時は嬉しかったよ」
電話で少し付き合った頃のような会話になった・・・
に「俺さ・・・好きな人出来たかもしんない」
自分でもびっくりした・・・なんでいきなりこんな事を言ってしまったのか!
元「そっか・・・」
彼女は受話器越しに泣いていた
に「だからゴメンな・・・これから電話もメールもしないししないで欲しいんだ」
そう言って電話を切った・・・
にしこりはまだ元カノが好きだった。
でも忘れるしかない。
嘘をついてでも。
に(志村、どうなったかな…総ちゃんも…)
早く家に帰って読みかけの本を読んで気分でも変えようと思った。
元カノと電話を切った後、無性に○○の事が頭によぎった・・・。
次の瞬間無意識に○○に電話していた自分がいた
○○「はい・・・もしもし」
にし「ごめんね夜遅くに・・・」
○○「どうしたの?」
にし「あぁ・・・なんか心配でさ・・・あれから大丈夫だったかな?って」
○○「ありがと・・・今日は本当にごめんなさい・・・心配ばかりかけちゃって」
にし「あのさ、さっきあいつから電話あったんだ・・・でももうスッキリしたからさ」
○○「・・・。」
にし「だからもう大丈夫だから俺。色々ありがとね」
○○「うん・・・。」
にし「じゃ明日学校でね」
○○「あっ・・・」
にし「うん?」
○○「なんでもない・・・じゃ明日ね!」
299 :
298:2005/06/17(金) 01:35:27
げげげ・・・スマソかぶりました
顎の作ったカレーを一口食べたとき、肉は母親の作ったカレーを思い出した。
母親はいつまでも肉を子ども扱いして、甘いカレーを出すのだった。
肉「おかん、もう俺大人やで。辛口にしてや」
肉母「あんたはね、わたしには、いつまでたっても子どもなの」
肉「そういう問題ちゃうやん」
肉母「…そうやね」
顎の作ったカレーは堪らなく旨かった。
顎「おいしい?」
顎はそう言って笑う。
肉「うん…めっさ旨い、すごいなダイちゃん」
顎「そんなことないよ」
肉「ダイちゃんはすごい」
肉はそれきり無言で、顎のカレーを食べ続けた。
銀「どうしたの?家族から?」
○「ううん、足立くん。心配してくれてたみたい」
銀「俺が隣にいるのに心配なんて…わかってないね、奴は」
○「ふふ…」
銀「何か言ってた?」
○「あ…彼女のことふっきれたって」
銀「そう」
なんか…何も聞いてこない人だな…
つかみどころがないっていうか
不思議な空気を持っている人だと思った
この人になら、正直な気持ちを話せそうな気がする
○「あのさ…」
302 :
301:2005/06/17(金) 01:48:13
あれ?文章が変だ。矛盾してんじゃん。
『なんか…』は要らない方向でよろです
銀河「うん?」
○「実はね・・・私加藤君の事が好きなの」
銀河は固まってしまった・・・
銀河「えっ?なんて?えっ・・・」
○は顔真っ赤にしていた
○「ずっと好きだったけど、言いました。正直な気持ちです。」
銀河「○○ちゃん・・・いつから思っててくれたの?」
○「いつからっていうか・・・中学の時からだよずっと」
思い出した・・・中学の時から気が付くと○○はいつもそばで笑っていたんだ・・・
俺は全然気がつかなかった・・・
○「びっくりしたでしょ?いきなりごめんね」
銀河「凄いびっくりした・・・」
○「中3のバレンタインデーの事、覚えてる?」
銀「バレンタインデー?」
必死に思い出してみた・・・
○「実は加藤君の家のそばまで行ったんだ・・・でも家の近くで加藤君が隣のクラスの女子に告白されてるの見ちゃってさ・・・チョコ渡せなくて帰ったんだ」
○○は少し照れ笑いしながら話続けた
○○「加藤君凄い人気あったんだよ!気づいてないと思うけどw」
銀河「え?いや・・・まぁ」
思い出した中3のバレンタインは過去最高の28個のチョコを貰ったんだった
○○「やっと言えたよ・・・何年もかかったけどね」
銀河「俺さ・・・」
○○「無理しなくていいから・・・じゃ帰るね。」
銀河「えっ!?でも・・・」
○○「送ってくれてありがとう」
彼女は走って帰っていった
顎と肉はカレーを食べ終えていた
肉「俺、貴公子にチャリ忘れたんや」
顎「あー見た見た」
肉「あれ大切なチャリやねん」
顎「(お母さんがくれたんだよね)」
肉「盗られたら嫌やし、取り行こうかな」
顎「今から?」
肉「うん」
顎を送るついでに、貴公子へ自転車を取りに行くことにした
肉「ちょっと雨降ってんな」
顎「これひどくなりそうだね」
肉「傘持っていこか」
顎「うん」
貴公子に向けて二人は歩き出した
銀河「(どうしよう・・・みんなにどんな顔したらいいんだよ・・・)」
銀河はまさかの展開でびっくりと不安でたまらなくなった・・・
正直○○に恋愛感情持ったことがなかったからだ
俺にチョコをくれた隣のクラスの女子ってのが、にしこりの元彼女だったなんてみんな知るはずもない
銀河、○○、にしこりの元カノは同じ中学だった
胡麻、顎、にしこりも同じ中学
肉は高校から東京に来たのだ
銀河には秘密があった・・・
にしこりの元カノとの秘密が!
にしこりには口が裂けても言えない事だった。
実は元カノが銀河の子供をおろしていた事だった。
このことは銀河と元カノの二人の秘密であった。
その反動で元カノは男関係がおかしくなっていたのであった。
そんな彼女が心のそこから好きになった男がにしこりであった。
音楽談義で盛り上がりながら貴公子に着いた。
雨は激しくなって行く。
肉「あったあった」
肉は赤い自転車に乗り、顎も自分の自転車に乗る。
顎の家まで直進する。
その時、○○の姿を見た。
○○は駆け足で肉と顎の前を通り過ぎて行った
肉「こんな時間に何やってんねん」
顎「さぁ?」
肉「ダッチマンと一緒やったんかな」
顎「さぁ?」
肉「女を一人で帰すのはアカンで」
顎「だよね」
こんな時間までにしこりと○○は・・・
そう考えると胸が痛くなる
○○が家に着くと女の子が家の前で待っていた
元カノ「あの・・・○○さん」
にしこりの元カノだった・・・こんな遅くに家の前で待っていたようだ
○○「あの・・・本当にごめんね」
元カノ「謝るのはこっちなの・・・時間あるかな?話したいことがあって」
実は元カノと○○は中学までは親友だった。
○○「公園でいい?」
元カノ「うん・・・」
少し肌寒い中、二人は公園に行った。誰もいない公園に。
元カノ「なんかこうやって話すの久しぶりだよね・・・」
○○「そうだね・・・昔はよく一緒に来たのにね」
元カノが真剣な表情で話し始めた・・・
元カノ「あのね・・・○○は知ってると思うけど中学の時にさ・・・私最低な事したでしょ?」
○○「・・・・。」
元カノ「中絶したって事・・・」
○○「うん・・・それで喧嘩したからね」
○○の顔つきが変わった。
元カノ「あれ嘘だったんだよ全部・・・」
○○「知ってるよ・・・全部知ってた」
元カノ「えっ・・・」
○○「加藤君の間に何も無かった事、全部知ってたよ・・・」
元カノ「あの時、誰にも加藤君の事渡したくなくて嘘ついたら大袈裟な事になってしまった」
はっ
目が覚めた○○
時計の針は6時半を指していた。
昨日は泣きすぎてしまい、頭も体もなんだかぼんやりしている。
昨日の記憶が曖昧だ。
…何があったんだっけ…
そうだ、昨日は朝から志村君が変でそれから山内君が…
あ、足立君は彼女と別れて…で
ぼんやりと思い出し始めた○○
で、そうだ、喫茶店から加藤君に送ってもらってそのまま家に帰ったんだ。
昨日はおかしな事がありすぎたからかな。
加藤君に告白する夢や足立君の元カノと話したり…
なんだか変な夢をみちゃった。
○○「▲▲(元カノ)は中学で嫌われてたけど私は▲▲の事好きだったよ・・・本当はいい子だって知ってたからね」
元カノ「そんな○○を裏切ったこと本当に申し訳ないって思ってる・・・」
○○「私じゃなくて加藤君に謝りなよ!!」
○○は怒りで声が震えていた・・・。
○○「ほら・・・」
携帯電話を差し出して元カノに渡した。
318 :
317:2005/06/17(金) 03:14:14
かぶったし最悪だわ・・・
316すいません
という夢を見た・・・。
結局いろんな事が重なって悪夢にうなされてた○○
貴公子の帰り銀河に送ってもらって爆睡していたのだった。
○○「や、やばい・・・遅刻する!!!」
ダッシュで支度して学校へダッシュする○○
322 :
316:2005/06/17(金) 03:19:16
○○が銀河を好きかどうかの真相はこれから書く人に任せて、
とりあえず、告白した辺りからは夢だったと言う事でどうでしょう
後、315-317-316の順で読んでもらえばいけるかなと思うのですが…
ダッシュで教室の入るといつも通りの風景であった
肉はガラーンとした家で一人ポツンとしていた
昨日から一睡もしていない
顎が居なかったら今頃どうなってただろう
そればかり考えていた
今日は学校には行かない
そう決めた
昨日の朝までは、何もかもが普通だった。
肉は思い出していた。
家を出る間際、行ってきますと声をかけた母の顔。
肉母「いってらっしゃい」
こんなことになるなんて思ってなかったのに。
コンロには顎が作り置きしてくれたカレーがあった。
ご飯も炊いてもらったし、特に用事もない。
今日は家を片付けよう。そしたら気持ちにも整理がつくかもしれない。
肉はそう思った。けれども虚脱感が肉の体を重たくした。
肉「おかん」
呼んでも答えはない
残されたのは家具と炊飯器だけ
あの男は金持ちだと言っていた
だから金の心配はないだろう
それは正直ホッとした
でも母親とそういう関係ならば一緒に暮らせば良いのに
やっぱり自分はお荷物だったのか
肉「もう会うこともないんかな…」
泣き腫らした目からは、もう涙は出なかった
ため息だけが散らかった部屋に響く
肉「あーあかん、ほんまやばい」
昨日、あの状態で顎が一緒にいてくれなかったらどうなっていただろう。
一晩明かした今ですらこんなに混乱しているというのに。
寂しい。怖い。
母の、「あんたはね、わたしには、いつまでたっても子どもなの」という言葉が浮かんだ。
肉「ほんまやな…俺まだガキや」
教室に着いた○○は、肉がいないことに気付いた。
○(遅刻かな…?)
けれど一限が始まっても教室に来る気配はない。
どうしたんだろう。昨日、あんなことになっちゃったからかな。
わたしのせいかな。
心配する○○を、胡麻が寂しそうに見ていた。
教室ではいつもの光景が広がっていた。
○「お、おはよ」
顎「おはよー!」
夢のせいで銀河を意識してしまう。
でもここは普通に、いつも通り。
○「加藤君、昨日はありがとう」
銀「いえいえ、紳士として当たり前のことをしただけですから」
に「誰が紳士だよ!」
○「足立君もありがとね」
に「う、うん」
良かったか、本当にいつもの光景だ。
胡麻は相変わらず何かを考えているようで、輪には入って来ない。
顎「総君は?」
銀「また遅刻なんじゃないのー」
銀河はカロリーメイト(チョコ)を食べながら言った。
顎「だよね」
顎は肉の席を見ていた。
おっと被ったけど繋がってるからセーフ
HR中、顎は銀河に話しかける。
顎「慎たん」
銀「はいな」
顎「総君来ないじゃん」
銀「いつもの事ですよ」
顎「そうかなぁ」
銀河は軽くあしらう。
銀「まさかとは思うけど」
顎「はい?」
銀「総君に言ったの?てかまぁ、家に帰れば気付くよな」
顎「言ったよ。言ったし行った」
銀「は?」
顎「昨日、総君の家まで行って、言ったよ」
顎はどうにも気になって、肉にメールを送ってみた。
「To.山内
本文/おはよう。今日は休み?」
返信はなかった。
336 :
335:2005/06/17(金) 03:57:10
あーごめんかぶった…
>>334の間に入れてもらってもいいし、ツルーしてもいいです。
お好きなように。
活かしましょう
自然だし
肉にメールを打ち、銀河に全てを話す
だが肉が泣いていたことは言えなかった
銀河「ショックで来ないのかもね」
顎「多分ね」
銀河「心配だな」
顎「うん」
沈黙が続き、顎は思い付いたかのように言った
顎「ちょっと総君の家に行ってくるわ」
昨日の様子からして、どうにもこうにも肉が気になる顎は
肉の家に行ってみることにした
顎「慎たん、僕ちょっと総くんち行ってくる」
銀「え!?」
顎「先生にはうまく行っといて〜」
言いながら顎は走って教室を出た
学校をサボるなんて初めてでドキドキしたが、
今はそんなことより肉のところに行かなきゃと思った
ごめんかぶった
けど微妙に繋がってる??
無問題じゃない?
ミラクルだ
被ったねw
でも内容一緒じゃない?
ミラクルですな
昨日はその山内にヘコまされてたのに、あいつと来たら。
銀河「…じゃあ代返の練習だな。(鼻を摘んで)ハーイ、金澤です」
にしこり「…慎たん?」
にしこりの視線が銀河に刺さった。
銀「金澤でーす。金澤だよ〜。オッス!おら金澤!」
真剣に練習する銀河を見て、異様な感じがした。
昨日のチョコレートパフェも頭から離れないというのに。
銀河は気楽で良いな、と溜め息を付いた。
に「はぁ…」
にしこりは昨日の電話がまだ気に掛かっていた。
元カノは本気でやり直したいなんて言ったのか?
だとしたら…
頭のなかはぐるぐる回る。
に「なんか…俺ダメだな」
そうだ、俺は好きな奴がいるといって断ったんだ。
自分に言い聞かせた。
銀河に目をやるとカロリーメイト片手に顎の動きまでマネしている。
に(慎たん代返失敗するな…)
にしこりは無意識に鉛筆を持って机を叩いていた。
そういえば最近ドラムにさわってないなと思った。
顎が肉の家の前に着くと、スーツ姿の男性が玄関前に立っていた。
家を見上げている。表情はよく見えないが、多分に躊躇ってる様子が見て取れる。
顎「…あの〜?」
男性は、意表をつかれたらしく、驚いた顔で振り向いた。
顎「…総く、あ、山内くんに何か御用ですか?」
男「…総一郎のお友達かね?」
顎「あ、はい。あ、もしかして?」
男「…総一郎の父です。いつも息子がお世話になって…」
つられて一緒に頭を下げる顎。
顎「え?大阪から、わざわざ?」
肉父「…えぇ。まぁ。」
しばしの沈黙。
顎「おうち、入らないんですか?早く総くんに、会ってあげて下さい!」
肉父「…いや、でも、情けない話だが…会ってくれるかどうか」
自嘲気味に言う肉父を余所に、顎はインターホンを押していた。
肉父「いや、おい、君!」
顎は構わず、肉を呼び出すべく、何度もインターホンを押している。
応答がないと分かると、次には扉を叩き始めた。
その一歩後ろで、当惑する肉父。
顎「おっかしいなぁ〜。まだ寝てるのかなぁ?…総くん!僕だよ!金澤だよ!」
肉父「…いや、居ないなら…」
顎「居ます!だって、俺昨日も来ましたから。」
肉父「…そうか。君はじゃあ、何が起こったのかも、知っているんだね?」
顎は、肉父を真っ直ぐに見返して、「はい」と頷いた。
肉父「…あれの母親から、昨日の夜電話があったんだ。空港に居ると言っていた。」
顎はしばしドアを叩く手をとめた。
肉父「総一郎を置いてきた、これからは、私になんとかしてやってくれ、と。
あれを連れて出て行ったくせに、何を今更勝手なことを、と腹が立ったのだが…」
顎「…。」
がちゃり、と錠の開く音がした。
肉がのっそりと前かがみになりながらドアを開き、こちらをみようともせずに、
そのまま中に引っ込もうとしていた。
肉父「総一郎!!」
久しく聞いていなかった、でも忘れられない声に、肉は目を見開いた。
顎は身を引いて、肉父の後ろにそっと立った。親子の邂逅を邪魔しないように。
肉「おやじ!何してんねん…」
肉父「…私は、お前の父親やぞ。息子に会いにきて、何が悪い。」
さっきまで逡巡していた思いをふっ切ったように、肉父ははっきりと言い放った。
肉父「これからについて、話をしようと思ったんや。」
肉父はそう言うと、顎を引き寄せ、「まぁ、とにかく、あがらしてもらうぞ。」と、
肉を押しのけ、半ば強引に上がり込んだ。
顎「いや、でも、俺は…。部外者なのでこれで失礼しま…」
さすがに気を使って、帰ろうとする顎だったが、肉が退路を塞いだ。
顎「え?総くん?」
肉「あかん。おってくれ。」
肉父「迷惑じゃなかったら、君もいてくれないか?」
親子二人に引き止められ、頷くしかない顎。
仲がよくなかった、という話は前に聞いたことがあったから、
二人きりは何かお互い気まずいのだろうか、ととりあえず解釈してみる。
顎「…あ、じゃあ俺、お茶いれます!」
昨夜で勝手知ったる台所へ、いそいそと向かう顎であった。
散らかった室内を気にする様子もなく、父はリビングに向かう。
顎(総くん…目腫れてた…
それに昨日の格好のままだったし…)
お湯を沸かしながら、顎は一人悶々としていた。
肉はだらしなく乱れた制服を直す様子もなく、
ただ無言でリビングのテーブルに腰をかけた。
その向かいに肉父も腰を下ろす。
胡麻はずっとボーっとしている。
こういう時は人の話も上の空だし、話しかけても仕方ない。
彼女、いや元彼女と○○との間に何が起こったのか。
そして銀河と○○はどうなったのか。
気がかりなことが沢山ある。
にし「加藤さん」
銀河「あいよ」
にし「カロリーメイトは美味しいかい?」
銀河「美味で御座います」
にし「あっそ・・・」
銀河「何?」
にし「いや、ちょっとね」
銀河「彼女のこと?」
にし「まぁ、それもある」
銀河「あの子、部活にでも全然出てないし。俺は何も知らんよ」
にし「そうだよね」
銀河は茶道部に入っていて、月に何回か活動している。
元彼女も茶道部らしいが、今まで一度も姿を見せたことがない。
顎は、自分で淹れたすっかり冷めてしまったお茶を、
なんとなく口に運んだ。
肉はただ、黙り込んで座っている。
一緒に大阪でまた暮らさないか、と、
肉父は言い残して帰っていったのだった。
帰ろうか、とも、どうするの、とも、どれも言い出せず、
顎はただ、気遣わしげに肉を見つめているしかできない。
行ってしまうのだろうか、大阪に。
離れ離れになるんだろうか、このまま。
折角距離が縮んだ気がしたのに。
顎は肉に問いかけてみた。
顎「行くの?大阪のお父さんの元まで」
肉「まだ決めてへん」
顎「行って欲しくないけどなぁ」
肉「俺も行きたくはないけどな」
顎「うん」
肉「せやかて一人はもう嫌や」
カタンとコーヒーカップをテーブルに置いた。
顎「みんなが居るじゃん」
肉「そやけど、もう俺がおらんでもええやろ」
顎「何言ってんの?せっかく仲良くなったのに・・・」
肉「それは残念やけどな」
○○ちゃんのことは気にならないのかな。
大阪に行ったら、もう逢えないのに。
だけど○○ちゃんのことを口には出さなかった。
休み時間が終わると○○は、
机の中に見覚えのないルーズリーフがあることにに気づいた。
○○「なんだろ、これ・・」
無造作にたたまれたそれを開けてみると、胡麻の不器用な字が目に飛び込んだ。
***********************************************************
○○さんへ
突然の手紙でごめんなさい。びっくりしてると思います。
俺は口下手だから、面と向かって話をしようとするとどうしても
上手く伝えられないので手紙にしました。
昨日の朝からの俺の行動といい、貴公子でのやりとりといい
おかしいのは自分でもわかってます。
でも気味悪ついでに言わせてください。
俺はあなたのことが好きです。
志村
***********************************************************
教室では古典の授業が行われていた
真剣に授業を聞いてるようで、全く聞いていない
妄想をしているか、何か別のことを考えている
女子「志村君」
背中をつんつんされ、斜め後ろの女子に呼ばれた
女子は手紙を持っている
女子「○○さんから」
胡麻「あ、どうも」
授業中に手紙なんて初めてだ
ドキドキしながら開けてみる
志村君へ
総君は休み?
○○より
ちょっとガッカリした
リロってなかったら被った
>>353はツルーで良いです
昼休み、銀河は茶道部の部室に来ていた。
前回の部活の時にシャープペンを忘れて来たからだ。
銀河「懐かしいなぁ」
去年、茶道部でお茶会を開いた時の写真を手に取る。
あいつは元気にしてるだろうか。
ドアがガラッと開く。
先生「あっ、加藤君」
銀河「どうも」
先生「懐かしいわね、その写真」
銀河「ですねぇ」
2人とも黙りこくったまま、写真を見つめていた。
先生「あの子は元気かしらね。連絡取ってる?」
銀河「いえ、全然」
先生「あら」
先生は窓の外を見た。
先生「あの子、加藤君の事が好きだったのよ」
銀河「はぁ」
先生「あれ?あなた知ってたの?」
銀河「いや、あの、そのー」
先生「何だ、知ってたんだ」
改めて言われると照れるものがあった。
銀河「じゃあ行きます」
銀河は部室を後にした。
茶道室を後にした銀河は、元カノのクラスにいった。
銀「あの…△△いない?」
男「ん。いるよ。△△〜」
銀河は、止めなければならないと思った。
このままでは△△がかわいそうだと思った。
自分が原因で男付き合いが悪くなった△△を昔の△△に戻そうと思った。
男「ごめん…君にあいたくないって…
何があったかわかんないけど…どんまい」
男は教室の扉を閉めた。
銀河はため息をついた。もう。自分は関わっちゃいけないかもしれないな
そう思い自分のクラスへ戻った
あれから二人は黙っていた。
肉は未だにあの格好のままだ。
顎は何もできない自分に苛立ちを覚えた。
そして顎は口を開いた
顎「電話借りていい?」
肉はただうなずいた。 しばらくして顎が真剣な面持ちで戻ってきた
顎「総君。僕ん家で一緒に暮らそ」
肉「え?」
顎「そうすれば、一人じゃないでしょ。嫌ならいいんだ…。
でも…僕が言うのも何だけど僕は…総君に、いってほしくない」
肉「…。」
顎「お母さんもいいって言った。部屋も余ってるし。」
肉「食費とかどうすんのや」
顎「総君のお父さんに聞いたら、払うって」
肉「なんで勝手に電話したりするん?
やめてくれへん?」
顎「ごめん…。でも…総君が…」
肉「…。悪い。ちょっと俺の部屋に行っててくれへん?一人で考えたいんや。
すまんな…ダイちゃん」
顎「いいよ。じゃ。部屋で待ってる」
部屋はどこにあるかわかんなかったけど、
二階に昇ると、一つだけ扉から光りが漏れていてすぐに肉の部屋だとわかった
顎は行く途中。さっきの肉の台詞を思い出した。あんなに顎に気を使った発言は、
昔の肉じゃ考えられなかった、昔ならすぐ
「帰ってくれへん?」
っていってたはずなのに…顎は少しだけ肉が大丈夫だと思った
確認
△△はにしこりの元カノと別人ですか?
別人希望
361 :
357:2005/06/18(土) 17:09:56
自分的にはにしこりの元カノなんですが…
別人のがいいですか??
一緒にされると夢オチの件を思い出す。
じゃ別人でお願いします
まとめの続編発言撤回してこのスレに来たけど、イマイチ続編思いつかない。
胡「(はぁー。気味悪ついでとはいえ、なんであんな手紙書いちゃったんだろ・・・。)」
バイト先のマックで胡麻は一人考えていた。
胡「(こんな気分の時に限ってレジだし。)はぁー。」
出るのはため息ばかりだ。
胡「あ、い、いらっしゃいませー。ご注文はお決まりですか?」
客「スマイルひとつ」
悪趣味な客がニヤニヤしながら言った。
(こんな時に・・・)
胡「ニヤリ」
咄嗟に胡麻から出たスマイルは引きつった不気味な笑みだった。
今日も胡麻はスマイルが提供できず店長に怒られるのであった。
366 :
†携帯房@ニースト† ◆ynyNgYBLiA :2005/06/19(日) 01:48:36
当方ニースト
28歳 無職 病気持ち(エロエロ障害症候群AAA級)
どこのスレに行っても追い出されます(ノ∀`)アチャー
こんな僕ですがココに居てもオケですか?
○○は貴公子にてため息を付いていた
胡麻からの手紙を何度も見る
ちょっと前の自分なら喜んでいただろう
でも何故か手放しで喜べないのだ
にしこりのことがふっと頭をよぎる
ここ数日で急に気になり始めた
きっとにしこりと一緒になれば幸せだろう
そればかり考えしまうのだ
肉「ダイちゃん」
肉が部屋に入って来た。
顎「考えは決まった?」
肉「うん」
ドキドキしながら肉を見つめる顎。
肉「俺、ここに残る」
顎は胸をなでおろす。
顎「本当に?良かったー」
肉「でもダイちゃんの家には行かへんで」
顎「あ〜あれは気にしないで」
肉「しばらくは独身貴族で行くわ」
肉にいつもの笑顔が戻った。
貴公子の窓の外から、無表情で手を振るにしこりを見つけた
○○「わっちゃっちゃ」
慌てて胡麻からのメモを片付けて、こちらも手を振る
カランコロンとにしこりが店内に入って来る
にし「暑いね〜。一人?」
○○「うん」
にし「カフェモカでも頼もうかな」
にしこりに手紙のことを相談しようか
それとも黙っておこうか
○「足立君、あのー」
に「はい?」
○「えっとー、あのー、総君は何で休みなの?」
に「風邪らしいけどね」
○「風邪?だって・・・」
に「何?」
○「バカは風邪引かないって言うじゃない?」
に「あはは!ひどいなー」
○「ごめん、ごめん」
に「そんな事言えるくらい仲良しなんだね、総君と」
○「うん、まぁね」
に「ちょっと元気になった?」
○「うん、大分元気になったよ、ごめんね心配させて」
に「いいよ、気にすんなって。これぞ青春」
○「あははっ!あ!そうだ、こないだの紅茶代…」
に「あーいらない。マスターがおごってくれたんだ」
○「え?そうなの」
に「うん。ここ居心地いいよな。」
○「うん!私も好き!」
他愛もない会話が続く。
しかし○○は嬉しかった。
自分はにしこりの事が好きなんだろうか…よくわからない。
でもにしこりの前では自然な自分をだせるのは事実だった。
他愛のない会話が続く。
時計を見るともう帰らなければならない時間だった。
○「あ、あたしもう帰んなきゃ」
に「あ、ホントだ笑 もうこんな時間だね」
マスターに会計をすませるにしこり
○「あ お金…」
に「いいよ。俺もなんか気がするし」
○「ありがと。…あぁ雨降ってるよ〜」
マスター「傘。使うかい?一本しかないけど」
に「あ ありがとうございます」
マスター「いやいや。」
に「さよなら。」
マスター「はいよ」
に「すごい雨だね…○○ちゃん濡れちゃうよ。もっとこっちきなよ」
○「あ…うん(なんか恥ずかしいな)」
はたからみればカップルに見えるのかな…○○がそんなことを考えた。
に「あ…」
○「何??」
にしこりの見ている先にはにしこりの元カノがいた。幸い、むこうはこっちにきづいてない
373 :
372:2005/06/19(日) 19:59:41
すいません…
気がするし→気が晴れたし で
にしこりは無言で○○を引っ張った。
隠れるように裏路地に入っていくにしこり。
○○は黙っていた。
随分裏路地の奥へ来た、ふと顔を見上げるとにしこりの目は潤んでいた。
お「…足立くん、うち来る?」
なぜか家に誘っていた。
にしこりは何も言わずうなだれていた。
気まずい空気の中家に帰るのは嫌だと○○は思った。
にしこりの気が晴れるようにと色々な話をした
家で飼っている猫の事や、料理の失敗話。とにかく学校の事は話さなかった。
に「ははは、猫かわいいね」
○「うん!もうねーのどゴロゴロ鳴らしながらくるって寝返りうつんだよ」
に「うわーかわいすぎる!想像しただけでかわいい」
○「でしょー!」
そんな話をしているうちに○○の家の前まで来た。
○「あ、入るよね?どうぞ」
少し沈黙の後
に「いや、俺帰るわ。」
○「へっ?」
に「○○を安全に家まで送れたし。姫を守るナイトの仕事は完了したから」
○「せっかく送ってくれたのに…」
に「んー親御さんも家にいるみたいだしさ。何より」○「…何より?」
に「なんかふたりっきりになったら勢いで押し倒しそうになるし」
はははっとにしこりは笑った。
でも目は明らかに笑っていなかった。
淋しそうな目をしていた。
○○は胸が苦しくて仕方がない。おかしい。
に「じゃあね、また今度家に呼んでよ。猫ちゃん見たいしさ」
○○「うん………絶対来てね!」
にしこりは笑顔で手を振った後、くるりと向きをかえた。
道の角を曲がるまで振り向いてもくれなかった。
に「(俺○○ちゃんのこと好きなのかな・・・。)」
帰り道にしこりはひとり考えてた。
に「(さっき▲▲(元カノ)を見たときはあんな気持ちになったのに。)」
家へ誘ってくれた○○の気持ちを嬉しく思いつつも
はっきりしない自分の感情に少し苛立ちも覚える。
に「俺ってこんなんだったっけ?▲▲と付き合ってる時は彼女のことだけ考えて
まっすぐでいられたのにな。」
にしこりは家に着くまで夕暮れの道を一人自問自答していた。
肉の件がひとまず落ち着き安心した顎は肉の家を後にしていた。
肉と距離が縮まったこと、この町に残ってくれることが嬉しくて
自然とスキップしていた。
「プルルルル」
携帯の着信音がなった。銀河からだ。
顎「もしもしー?」
銀「どうなった?総君大丈夫だった?」
顎「うん!一件落着だよ!僕結構がんばった!」
エッヘンと電話越しに威張る顎を軽くツルーして銀河は言った。
銀「今から本屋に行くけどダイちゃんも来る?
月刊鳩の友の最新号が出てるはずだから」
顎「いいよ!僕もオレンジページ読みたいし。」
二人は貴公子の斜向かいの本屋で落ち合うことにした。
顎が本屋の文明堂につくと銀河は奥で鳩の友を読み耽っていた。
顎「慎たん」
銀河「…」
顎「慎たん!」
銀河「……」
顎「慎たーん!!」
店主「うるさい!!」
びくっとする顎
顎「ご、ごめんなさい…」
銀河は鳩の友で顔を隠しながら肩を震わせてわらっている。
顎「ひどいよ慎たん…」
銀河「ん?何が?」
顎「僕だけ怒られちゃったじゃんか…しかも店長さんいい年してロン毛の金髪だよ…」
店主はまだこちらをうかがっている。
銀河「まぁまぁ。んで総くんはどんなもんかね?」
顎「あ、総君のお父さんと話したりしたんだ。総君もつらそうだったけど
やっぱりこの町に残るって!」
銀「そっか。よかったね。ってことはあれですか。総君これから一人暮らし?」
顎「そそ!夏休みとかさ、みんなの溜まり場にいいよね。みんなでお菓子とか
持ち寄ってさー。あ、このデザートおいしそう!これ総君ちで作ろう!」
顎はグレープフルーツとミントのグラニテのレシピを見ながら興奮して言った。
銀「溜まり場・・・。みんな・・・。ふむ。なんだかまた一波乱ありそうですな」
月刊鳩の友の奥に隠れる銀河の口角が上がった。
鳩の友で顔を隠す銀河を覗き込む顎。
顎「どうしたの?」
銀「いいや、何でもありません。ふふふ」
顎「変なの」
銀「ダイスケさん」
顎「何?」
銀「お主も悪よのう・・・」
顎「将軍みたいなこと言わないでよ」
銀河の顔はますますルパン三世になった。
マックのバイトから帰宅した胡麻はヘトヘトだった。
盗んだチキンナゲットは食べる気力もなく、台所に置いてきた。
枕に顔をうずめ、しばらく動かなかった。
○○に手紙を出したことを後悔している。
肉の気持ちも知っているのに何をやってしまったんだろうと。
でも○○は自分のことを好きだと聞かされていたから。
ここは友情より恋を取ったという訳だ。
はぁー、それにしても直接言った方が良かっただろうか。
いきなりあんな手紙を出して嫌われたりはしなかっただろうか。
悶々とする胡麻の携帯が鳴った。
どうしよう、誰だ?
きっと○○のはずだ
胡麻は電話に出る
胡「も、もしもし!」
?「何やねん、そない慌てて」
電話の相手は肉だった
胡「あっ、何だ。総君か」
肉「は?」
胡「いや、別に」
肉「志村君、あのさー」
胡「はい」
肉「昨日は悪かったな」
胡「あっ、こちらこそ」
肉「ケンカしたの初めてやな」
胡「そうだねえ」
肉「明日学校行くわ。よろしく」
胡「うん」
肉「あと、俺の家ずっと誰もおらんのよ」
胡「え?」
肉「暇な時に来てや」
胡「うん」
電話を切り、胡麻はまたベッドに横たわった
にしこりは重い足取りでスタジオを後にした。
週に二回、先輩バンドに頼まれてドラムを叩いていた。
唯一それがストレス発散の場だった。
それなのに
に「クビか…」
○○の家に帰った後、自宅へ戻り久しぶりに触れるドラムにわくわくしていたのに。
に「クビか…」
同じ台詞しか出てこない。
にしこりはふと携帯を手にした
プルルルル プルルルルと呼び出し音が鳴る
に「あ、もしもしダイちゃん?」
顎「うん。何?」
に「バンドやらない?」
顎「バンド!?」
銀「?どったの?」
顎「ダッチマンがねバンドやろって」
に「誰かいるの?」
顎「うん 慎たんといる」
に「そっか。」
顎「うん!!あ やりたいよ!!バンド!俺キーボードがいいな」
に「やった!!!!慎たんは?」
顎「やる?」
銀「もち。ベースなら誰にも負けない(キラースマイル)」
顎「ベースやりたいって!!!」
に「やった!!じゃあスタジオ:銀河で待ち合わせね!!」
顎「うん!!差し入れに胡麻せんべい持ってくよ!!」
に「さんきゅ〜!!」
にしこりとの電話を終え、顎はご機嫌そうにフンフンハミングをしていた。
その横で銀河がブツブツ何かを言っている
銀河「ん?足立くんは…確かドラム…ドラムとベースとキーボード??
メインがいないじゃん!」
顎「ん?慎たん何か言った?」
銀「いや、ボーカルとかギターとかがいないよね」
顎「あーーー!」
銀「どうすんの?ダイちゃんボーカルやんの?」
上を向いて少し考え込む顎
顎「……僕はコーラスとかがいいなー」
銀「じゃあ足立くん?」
また上を向いて考え込む顎
顎「……叩きながら歌うの大変じゃない?」
銀「そりゃあね」
適役が思いつかず考え込む2人。
銀「ギターができて歌が歌える人…」
顎「!そーくん!」
銀「え?」
顎「総君だったらギター弾ける!僕こないだ聴かせてもらったんだけど、
総君ってすっごく上手いんだよ!」
銀「そうなの!?」
顎「そうなのです」
何故か誇らしげな顎。
銀「じゃあ総君に電話してみようか」
顎「あ、僕かけてみる」
嬉しそうに番号を押す顎。
胡麻との電話を切った後すぐにまた着信が鳴った
肉「はい」
顎「あ!総くん?今いい?」
肉「あ、ええけど…どうしたん?」
顎「バンドやらない?」
肉「へ?いきなりどうしたん!」
顎「足立くんが散歩マスターのドラムをクビになって…」
肉「散歩マスター?!ダサっ!」
顎「うん…それは言ったらだめだよ…確かに無しだよね。で、バンド新しくやらないか?って!」
肉「うーん…」
顎「いいじゃん!やろうよ!足立くんドラムで僕が鍵盤!んで慎たんがベース!」
肉「んで俺は?」
顎「ギターにきまってるよ!あとボーカルも!」
肉「え?!ギターはえぇけど…ボーカルやるほど声でぇへんしな…」
顎「…そっかどうしよう」
ちょっとした間の後肉は言った
肉「志村は誘ったん?」
顎「いや…だって志村くん楽器できないはずだよ?」
肉「せやったら志村をボーカルにしようや。俺歌いたないし」
顎「わかった!じゃあ僕電話してみる!とりあえず今日はスタジオ銀河に集合ね!」
そういうと肉の返事も聞かずに顎は電話を切った
銀「嬉しそうだねぇ、ダイちゃん」
顎「あったり前じゃん!バンドだよバンド!絶対楽しいよ!」
本当に嬉しそうにする顎を見て、銀河は思わずキラースマイル。
銀「そうだね。で、総君は何て?」
顎「あ、何かね、ギターはやるけど歌いたくないって」
銀「だめじゃん!」
顎「うん。だから志村君を誘ってみようって」
これから電話かけてみるよ、と番号を押す。
○○から何のリアクションもなく、落ち込む胡麻。
やっぱりまずかったな…とため息をついた時、携帯が鳴った。
胡「…もしもし」
顎「志村君?僕、金澤!今ちょっといい?」
胡「うん」
どこか高揚した感じの顎に、何だろうと訝しむ胡麻。
顎「実はね、ダッチマンと慎たんと僕と総君でバンドを組むことになったんだ」
胡「へぇ、バンド?」
顎「えっと、ダッチマンがドラムで慎たんがベース。で、僕が鍵盤を弾いて、総君がギター。
で、もし良かったらでいいんだけど、志村君にボーカルをやって欲しいんだ」
胡「…俺に?ボーカル?」
顎「うん!さっき総君を誘った時に、是非志村君にボーカルをやってもらいたい、
みたいな感じになってさ〜」
顎の話を聞いて、胡麻は自分への嫌がらせなのだろうかと感じた。
肉とは最近一悶着あったし、ボーカルの件も肉が言い出したという事もある。
胡麻が何も言わないからか、顎は少し不安げに
顎「あ、もし良かったらって話だから。とりあえず、今日スタジオ銀河にいるから暇だったら来てね」
胡「うん、わかった。暇だったら行く」
顎「ありがと!じゃあ、また後でね」
電話を切り、ベッドに倒れこんだ。
胡(どうしようかな…銀河か…)
スタジオ銀河なら、自転車で15分ぐらいだ。行こうと思って行けない距離ではない。
ただ、スタジオ銀河は○○の家に近い。会ってしまいはしないだろうか。
今会うのは気まずいな、とまた胡麻はため息をついた。
胡(とりあえず行ってみて微妙だったら断ろう…)
スタジオ銀河の前で顎、銀河、にしこりの三人はぽつんとたたずんでいた。
に「ごめん、先走りすぎた…」
顎「いいよ、僕もスタジオって簡単に取れるって勘違いしてたし」
今日はスタジオの予約はすでにいっぱいだった。
に「一応明日の放課後は二時間押さえたから」
顎「楽しみだなー僕バンドって初めて!」
に「慎たんは?」
銀「俺やってたよ、白いスーツ着て」
顎「スーツに帽子?!慎たんおもしろーい!」
軽く顎をにらむ銀河。
に「まぁ、まぁ…つうか二人は来るのか?」
顎「うん、でも志村くんは暇だったらって」
に「志村はバイト忙しそうだもんな…」
銀「ま、色々あるみたいですし…」
に「そうですね…」
顎「へっ?何があるの?ねぇねぇ?何?」
軽く顎を無視する二人
に「あ、バンド名どうする?」
銀「うぅん…鳩とか?」
に「おしゃれじゃないなぁ。。」
顎「あ!僕はチョコパフェがいいなぁ!!!」
ここでも顎はツルー
銀「(ちょいイライラ)SUNTORYとか。」
に「それいとこがやってるバンド名だよ!!」
銀(え…ギャグのつもりだったのに!)
顎「SUNTORYって…ブハッだっさ!!!」
に「…ダイちゃん。家。帰ったら?」
顎「あ〜。ごめん…ごめん…胡麻せんべいあげるから許して…(半ベソ)」
それからもバンド名会議は続いた
顎「オレンジキッチン」
銀「ぽっぽーず」
に「ロミオメロン」
顎「みんなの頭文字を合わせてSKY KA(スカイカー)」
銀「鳩豆食らったーず」
に「鰯缶」
顎「バニラホイップ」
銀「THE 伝書鳩」
に「ラルクアンシムラ」
一向に決まる気配はなかった。
胡「呼んだ?」
顎「うわぁ!」
急に後ろから声を掛けられてびっくりする顎。
に「志村君!」
胡「てっきり中にいると思ってたけど…何やってんの?そんなとこで」
銀「いや〜、スタジオ入ろうと思ったら予約取ってなくてさ」
顎「仕方ないからここでバンドの名前決めてたとこだったんだ。志村君は何がいいと思う?」
急にふられて思いつかない胡麻。
に「つか、まだ全員揃ってないうちから決めなくてもよくない?」
顎「それもそうだね〜。でも、とりあえず案だけは出しとこうよ」
銀「そだね」
基本的に遅刻する肉を待ち、4人はバンド名案を出し合い続けた。
顎「バナナシロップ」
銀「鳩とYシャツと私」
に「ダッチマンブラザーズバンド」
胡「MAJIでBANDする5秒前」
顎「シュガーレス」
銀「HATO2000」
に「あゆドリーム」
胡「志村正彦とお茶目な仲間達」
ナンセンスな案だけが続く
胡麻「ねえ、これでよくない?」
志村がスタジオの看板を指差した。
と、胡麻が指差す方をみると
そのスタジオの看板には鳩が一羽止まっていた。
と、その鳩がフンをした。
ヒューン…べちょ……
顎の脳天に直撃してしまった。
胡・銀・に「うわ〜…」
顎「うわああああ!」
取ることも出来ずに半泣きでがくがく震える顎
顎「取って!誰か取って!!」
銀「おま、動くなって!垂れる!」
に「落ち着いてダイちゃん!水水!」
胡「……」
胡麻の持っていたミネラルウォーターとタオルで何とか洗い落とそうとするにしこり。
そして胡麻は3人の慌てっぷりをにやにやしながら眺めていた。
店の前に肉がやって来た。
肉「何してんのお前ら。騒がしいな」
顎「そうくーん…(半泣)」
肉「うわ……」
状況を把握した肉、思わず顔を背け、胡麻と目があった。
肉「……うす」
胡「どうも…さっきは」
肉「ああ…まあええやん。もう。考えんのしんどいわ」
そんなとき
肉「ごめん!遅れた!て何してんの?」
顎「あ、総くん(泣き笑い)。」
胡麻を見る肉
肉「おう。」
胡麻「遅いよ。まあいつもの事だけど(普通に喋れた。よかった)」
肉「ごめんな、まじで」
にしこ「まあ結局スタジオ取れてないんだけどさ…
今バンド名を考えてたんだけど何かいいのない?」
肉「うーん」
胡麻「あ、そうそうあれは?」と看板を指さす
かぶっためんご
華麗につるーして下さい
いいだしっぺのにしこりは困っていた
顎は相変わらず騒いでるし
銀河は顎のフン取りで忙しそうだし
胡麻肉はなんか青春の1ページのオーラだし
にしこりはなんとかまとめなきゃと思った
しかしにしこりは胡麻せんべいのゴミを処理することしかできない。
何もできない自分がはがゆかった
しかし。その時
銀「ダッチマン!!!この濡れティッシュその袋にいれて!!!」
に「あ…うん。…いやそれよりさ!!」
顎「…ひどい(グスン)…僕…こんなんなのに…ダッチマンなんか…嫌いだ…義理チョコあげない…」
に「あ…ごめんダイちゃん」
いつもツルーされる顎ににしこりは誤った
何故なら顎の髪はベートベンの白髪よりうねって所々白くかなり…哀れだった
肉「…とりあえず、うち行こか。ダイちゃんの頭も何とかせなあかんし、
こんなとこで立ち話も何やし」
に「そうだね」
顎「ごめんね総君…」
肉「泣くなて!風呂貸したるから!そうすりゃ頭洗えるし、さっぱりするやろ」
胡「ダイちゃん、今すごい素敵な髪になってるね」
銀「可哀想なこと言うなよ…」
肉の家についた。
顎はすぐに風呂に入った
みんなでリビングにいた。何もモノがないリビングだ
肉が片付けたらしい。引き出しはすべて綺麗だ
胡麻「あ。聡くん。お母さんは?」
肉「あ。おかんは…。うん。もう帰ってきいひんで」
笑って言ってみせる肉
みんなしん…としてしまった。
肉「あ!なんか食わへん??ダイちゃんがカレー作ったんや〜……てごめん。
さっき俺が食ったんや…」
まだしん…としていた。そして顎があがった
顎「見てみて〜こんなに綺麗にとれちゃった〜!!!…てどうしたの??」
肉「ん〜。」
顎「あ!!聡くん!!カレーなくなった頃でしょ??
僕昨日新しいパスタ覚えたんだぁ!!全員分作っていい??」
肉「いいで!!!」
そして顎は台所へ 雰囲気がなごみ始めた
に「なんかダイちゃん…いい主婦になれそうだなぁ」
銀「うん…むしろ雇いたいなぁ、家政婦に」肉「ダイちゃんは俺が貰うから手ぇ出したらあかんで」
顎があがった→顎が風呂からあがってきた
?
顎「あのさ、そんなに僕の作るご飯が食べたいならここに集合ってどう?」
肉「はぁあ?ちょお待てや、ここ俺んちやで」
顎「だからさ、総君は炊事できないでしょ?ここだったらそんなにスタジオからも遠くないし、
皆で集まるにはちょうどいいんじゃないかなと思ってさ」
に「それ名案かも。俺もダイちゃんの作るメシ好きだし」
顎「でしょ?でも材料費ぐらいは出してもらうけどね」
銀「確かに美味しいし、ほぼタダで食べられるってのはいいねぇ」
胡「(ほぼタダか…)…何でもいいけど」
顎「じゃあ決まり!何かあったら総君ち集合ってことにしよーね!」
肉「俺の意見は関係ないんかい!」
顎「さーて僕パスタ作るから待っててね!」
銀・に・胡「わ〜い」
肉「美味そーやなー!…ってオイ!」
軽くツルーされる肉。
顎はこの広い家に独りぼっちの肉の身を案じ、肉が寂しくないようにと
肉の家を溜まり場にしようとしているのだった。
顎の健気な心持ちに(帽子の中の鳩を仲介して)気付いた銀河は、ひとりで
ブツブツ言う肉をうまく言いくるめて、心の中で顎を応援していた。
408 :
名無し戦隊ナノレンジャー!:
パスタを作る顎を見ながら残りの四人は具体的な話をし始めた
に「…んで志村にボーカルを頼みたいんだけどさ」
胡麻「…う…ん」
に「ほら、ボーカルなら楽器いらないし!…その…金もかからないし」
胡麻「……」
に「あ、ごめん…」
肉「なぁ、一緒にやろうや」
銀河は肉の一言に少し驚いた。肉はなんだかんだ言って志村が好きなんだなと思った。
胡麻は突然顔を上げ肉の目を真っすぐ見て言った
胡麻「ねぇ、俺もギターやりたい。教えてくれないかな?」