カー論議(ネタバレあり)

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今日もうちに帰れないのですが、>>452 に一回だけレスします。

>>1 この件を意図的にスルーしているようだが、傷跡の件につきギディオンの
>>「ひっかけ」であったと作中で明記されていないのはなぜか?
>>ジョンには「ひっかけ」の意図など無かったからである、と考えられないか。

最初の説全体が引っ掛けであることはフェル博士が明言しています。
それで十分です。それに、作劇上の都合で言えば、真ジョンの手紙によって
真相が判明するまえに殺人の様子を詳述することは、せっかくのスリルを
半減させますし、真相がわかった後で改めて傷跡問題ををむしかえしては
蛇足になります。
カーとしては、自分の書いた真相でなく、否定したモーリ犯人説に固執する人の
存在など想定してはいないでしょうから、ごく自然な構成ですよ。

>そして、これもスルーしているようだが、
>「奇蹟を解く男」の「火刑法廷」の第三の真相の最後のパラグラフ(4行)を

おやおや、こんなことにまだこだわっているとは。
「拍子抜けした」というのはこれが3度目か4度目ですね。
その感想は最後の段落も含めて言ってるんですよ。
そしてグリーンの想像がどうあれ、カーの意図がどこにあったかは結局
明らかになってないでしょうが。あれを読んで「そういう考えもありますね」
以上に何か言えるとでも思うのですか?

で、せっかく二日も空きが出来てるのに、あなた自身の「傷がいかにして交差したか」
の説明はまだないんですね。引っかいてみましたか?
456書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/11/09 00:00:27
マル公よぉ、法学を勉強していたというのはネタか?
何度も書いたとおり、「偽ジョンの傷跡に矛盾がある」とテクストに明記されていない
ことを強弁しているのは、喪前の方なのである。
従って、挙証責任は喪前にある。そして喪前は、いまだにこれを果していない。
当方に挙証責任が転嫁される合理的な理由は存在せず、喪前の本件に関する客観的論証が
なされるのを、待っているところだ。頼むぜ、ひょっとこ野郎!

>最初の説全体が引っ掛けであることはフェル博士が明言しています。
>それで十分です。
これは無理がある強弁だな。モーリ犯行説が不可能だと明言したものではない。
>それに、作劇上の都合で言えば、真ジョンの手紙によって
>真相が判明するまえに殺人の様子を詳述することは、せっかくのスリルを
>半減させますし、真相がわかった後で改めて傷跡問題ををむしかえしては
>蛇足になります。
これもおかしな言説である。ジョンが傷跡の問題に矛盾点が存在すると考えていた
とすれば、真性ジョンの告白前に、ギディオンの口を通してという形でなり
書く方法はある。
>カーとしては、自分の書いた真相でなく、否定したモーリ犯人説に固執する人の
>存在など想定してはいないでしょうから、ごく自然な構成ですよ。
上記の文は、ジョンが傷跡の件につき矛盾があると考えていなかったようにも読め、
それ以前の文章と矛盾を生じている。

>カーの意図がどこにあったかは結局明らかになってないでしょうが。
こんな事言っているようじゃ駄目だね。
折角、専門家の示唆があるというのに。カーの意図は明確かと思う(後述)
457書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/11/09 00:02:03
「曲った蝶番」の真相はコレだ!  by 書斎魔神
作者ジョンが本作で意図した物語展開は、
モーリの犯行と見せて、実は真性ジョンの犯行だったというドンデン返し。
これのみであると考えられる。つまり読んだままである。
マル公の主張(=オナニー)とは異なり、作中では偽ジョンの傷跡と使用された凶器の
矛盾点につき、何も書かれていない点を鑑みるに
作者であるジョンは、理論的にはモーリの犯行も可能であると考えており、
むしろ、ガイシャ偽ジョンの傷跡に符合する凶器として(信じて)、
あえて、ジプシー愛用の鈎つきの鉛球などといった奇妙なものを持ち出して来たと
考えられる。
* マル公は、偽ジョンの凶器と傷跡の件を伏線としてではなく、ジョンのミスを示唆するような形で問題提起するべきであったかと思う。

ギディオンのノールズに対するブラフとなったモーリ犯行説にしても、
真相とされた真性ジョン犯行説にしても、奇抜さではいずれ劣らぬものがあるとはいえ、
本格ミステリとして読んだ場合、真相とされた真性ジョン犯行説は、伏線の張り方が弱い
(というか殆ど無いに等しい)のが、問題視されるところである。
この辺が作品として弱いところではある。

「奇蹟を解く男」付録三「火刑法廷」の第三の真相?の最終パラグラフにおける
D・G・グリーン氏の示唆にも見られるように、この作品に限らず、
わかりやすさを旨とするジョン作品は、テクストに記されたままの物語をストレートに
読解するのが正しい。裏読みにはふさわしくない作家なのである。
そして、このわかりやすさという点が、ミステリとしての伏線の弱さ、
御都合主義で極端に過ぎる展開等に、繋がってしまう難があるのもジョン作品の
特色かと思う。

思うに、ジョンという人は、本格ミステリのマエストロでありながらも、
理論的で緻密な構成というのを、さほど得意としない人という感を受ける。
逆に、奇面人を驚かすような展開で読者を惹きつける、これが香具師の生き方だったのだ。
思うに、こういう人間は法律学には向かないな。
>何度も書いたとおり、「偽ジョンの傷跡に矛盾がある」とテクストに明記されていない
>ことを強弁しているのは、喪前の方なのである。
あなたは自明な矛盾でもいちいち「矛盾だ」と表記がないと矛盾と認めないというのですか?
「テクスト論」とやらはたいそう便利ですなあ。私も使おうかしら。
で、もういいね。「傷の説明は出来ません」ということで。
相手を「責任」「責任」と詰めてばかりで、自分でちょっとでも説明しようとしましたか?
しかも、今頃になって、何をとち狂ったか、

>作者ジョンが本作で意図した物語展開は、
>モーリの犯行と見せて、実は真性ジョンの犯行だったというドンデン返し。
>これのみであると考えられる。つまり読んだままである。
>マル公の主張(=オナニー)とは異なり、作中では偽ジョンの傷跡と使用された凶器の
>矛盾点につき、何も書かれていない点を鑑みるに
>作者であるジョンは、理論的にはモーリの犯行も可能であると考えており、
>むしろ、ガイシャ偽ジョンの傷跡に符合する凶器として(信じて)、
>あえて、ジプシー愛用の鈎つきの鉛球などといった奇妙なものを持ち出して来たと
>考えられる。
>* マル公は、偽ジョンの凶器と傷跡の件を伏線としてではなく、ジョンのミスを示唆するような形で問題提起するべきであったかと思う。

はあん?いまさらなに言ってんの?読んだままが真相なんて、私がここまでずっと
言ってきたことでしょうが。違いは一つ、カーの意図がどうかですが、
私は「承知の上の確信犯」、あなたは「ミス」というだけですね。そしてあなたの
根拠は「矛盾点につき」「書かれていない」しかないですね。
言ってることがわかっていますか?これは「根拠ありません」ということですよ?

それにしてもあなたはオナニーをかくのがホントに好きですね。
何か深層心理にあるんじゃないかと疑ってしまいます。
訂正
「オナニーをかく」→「オナニーと書く」
誤解を生みかねないので訂正しておきます。

>D・G・グリーン氏の示唆にも見られるように、この作品に限らず、
>わかりやすさを旨とするジョン作品は、テクストに記されたままの物語をストレートに
>読解するのが正しい。裏読みにはふさわしくない作家なのである。

こんなことは言わずもがなだし、裏読みをしてるのはあなたのことでしょう。
それと、グリーンもカーの作品には詳しいだろうけど、その言動に
いちいち影響されて自分の率直な感想をゆがめることはないと思います。
あなたはグリーンに対する「うなずき君」になってやしませんか?
460書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/11/09 20:15:04
マル公よぉ、とち狂ってるのは喪前の方だぜよ。
法学徒だったというのはネタか、ないしは劣等生だったな?(w
>相手を「責任」「責任」と詰めてばかりで、自分でちょっとでも説明しようとしましたか?
挙証責任の問題に関してスルーしてごまかそうとするのは、
法学部OB(?)としては、情無さ過ぎるぜよ。
喪前は、いまだにみずから主張する真性ジョンの傷跡の矛盾という件について、
挙証責任を果していない。みずからの態度を自省されたし。
挙証責任の問題に関しては、優先的に回答すること。

>読んだままが真相なんて、私がここまでずっと
>言ってきたことでしょうが。違いは一つ、カーの意図がどうかですが、
>私は「承知の上の確信犯」、あなたは「ミス」というだけですね。そしてあなたの
>根拠は「矛盾点につき」「書かれていない」しかないですね。
>言ってることがわかっていますか?これは「根拠ありません」ということですよ?
このくだり、妄言全開という感がある。
まともな論証も行なわずに、「曲った蝶番」のモーリ犯行説を不可能と断じ、
「火刑法廷」のエピローグに関して、マリー発狂説をのたまう。
これのどこが、読んだままが真相だ?
そもそも作品論において、作者の意図を読み取るのは最重要事項である。
これを疎かにする喪前には、本来、作品を語る資格は無い。
論証もおこなわず、テクストに書かれてもいない事を根拠無く強弁している
自身を恥たまえ。
>それにしてもあなたはオナニーをかくのがホントに好きですね。
この言葉、猿なみの貴君にそのままお返しする。
461書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/11/09 20:15:39
>こんなことは言わずもがなだし、裏読みをしてるのはあなたのことでしょう。
>それと、グリーンもカーの作品には詳しいだろうけど、その言動に
>いちいち影響されて自分の率直な感想をゆがめることはないと思います。
>あなたはグリーンに対する「うなずき君」になってやしませんか?
変な裏読みは喪前の得意手やん(w
解説ならぬ怪説を垂れ流す場合は、他人に対して説得力がある十分な論証を行ないたまえ。
この点で、グリーンはカーの作家としての特性を把握したうえで、
自己の見解を示唆程度にとどめた点が評価出来る。
誰かさんのように、傷跡に関する妄言を垂れ流すだけで論証をおこなわない与太とは
大違いなのである。
462名無し戦隊ナノレンジャー!:04/11/09 20:45:13
あえてこちらで。

マルクスさん、冷静に行きましょう。
もはや相手のレスは中傷と揶揄ばかり。かなり焦ってますよ(w
繰り返しますが頭を冷やして冷静にいきましょう。ガンガレ ノシ
書斎魔神さん、そのように自暴自棄になるべきではありませんよ。
当方、こちらが500レスに到達した際にある企画(平凡ですが)を考えておりますので、
まじめなレスを心がけたほうがよろしいかと。乞うご期待。
>法学徒だったというのはネタか、ないしは劣等生だったな?(w

最初から>>322 にちゃんと田舎大学の劣等生と書いてるでしょうが。
いまさら持ち出すまでもないでしょうに。これは本当のことですから、別に
何を言われようとかまいませんけどね。
ところで、劣等生にもわかることがあります。挙証責任についてお答えしておきます。
通常これは原告側が責任を負うのですな。この場合、通常でない読み方である
モーリ真犯人説を持ち出したあなたが責任を負うのです。
私はそれには瑕疵があると指摘し、傷跡の矛盾を理由として提示しました。
傷跡の矛盾について合理的な説明ができなければモーリ犯人説は崩れてしまいます。
ここからはあなたがまた立証責任を負うわけです。
で、あなたが何をしているかというと、その説明を回避しながら当初の主張と違う主張を
始めているわけです。
普通の裁判官なら、審理を打ち切って判決を出すところですね。
もちろん、あなたの敗訴ですよ。

フェル博士があえて傷跡問題に触れないのも別に変じゃないですよ。
最初にモーリ犯人説の説明を始めたときに、傷跡の矛盾に読者が気付いて、
「これは何か変じゃないか」と思わせれば、それでいいわけです。
で、読み進めると実はこれは真相じゃないということがわかり、
「ああ、やっぱりね」となる。モーリ犯人説もありうるのじゃないかと思った読者も、
読み返してみると無理があることがわかり、「ああ、なるほど。手掛かりあるじゃん」
これでこの矛盾の作劇上の役割は終わり。それ以上書くと蛇足ですよ。

>この点で、グリーンはカーの作家としての特性を把握したうえで、
>自己の見解を示唆程度にとどめた点が評価出来る。
>誰かさんのように、傷跡に関する妄言を垂れ流すだけで論証をおこなわない与太とは
>大違いなのである。
まったく大違いですなあ。
465書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/11/09 22:52:29
マル公よぉ、
>私はそれには瑕疵があると指摘し、傷跡の矛盾を理由として提示しました。
傷跡の矛盾に関する論証がなされていないのが問題なのである。
単に「物理法則上矛盾がある」と書くだけで、逆に議論の相手方に
「傷のつき方を説明してみろ」と要求するだけでは、納得を得られないのは当然である。
長文覚悟の上で、参考文献等も挙げ、鉛球の構造を説明の上、当該鉛球に対する物理法則
の適用を述べ、その上で、作中に記述されたような傷はつかない、と論じるのが筋かと
思う。そもそもこれが「論証」ってものである。
これが無いと、裁判の例で言えば、棄却されちゃうぜよ。

>フェル博士があえて傷跡問題に触れないのも別に変じゃないですよ。
ということは、傷跡の件につき、作者ジョンは意図していたと理解しているという
ことでよいのか?
>最初にモーリ犯人説の説明を始めたときに、傷跡の矛盾に読者が気付いて、
>「これは何か変じゃないか」と思わせれば、それでいいわけです。
>で、読み進めると実はこれは真相じゃないということがわかり、
>「ああ、やっぱりね」となる。モーリ犯人説もありうるのじゃないかと思った読者も、
>読み返してみると無理があることがわかり、「ああ、なるほど。手掛かりあるじゃん」
>これでこの矛盾の作劇上の役割は終わり。それ以上書くと蛇足ですよ。
この辺は、十分な証明もなされていない傷跡の矛盾の問題について、既に確定したものと
して語られており、話にならないものがある。
後、「蛇足」と「説明不足」を混同しないこと。
(傷跡に矛盾があり、その事につき作者ジョンが自覚的であった場合だが)
>これが無いと、裁判の例で言えば、棄却されちゃうぜよ。

棄却=原告の負けとわかって言ってますか?
原告はあなたの側だとわかって言ってますか?

>ということは、傷跡の件につき、作者ジョンは意図していたと理解しているという
>ことでよいのか?

私はそう受け取りました。カーにミスがあるとすれば、あなたのような人がいると
想像せずに、「この説明はうそじゃ。この説明ではあんな傷はできんのじゃよ」
という一文を入れなかったこと。でも、大多数の読者には無用な蛇足です。
(「説明不足」じゃなくてね)
467書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/11/09 23:23:12
マル公よぉ、ところで「傷跡の矛盾に関する論証」はいつから?
説明中で、物理学でも歴史学でも、参考文献を挙げてくれれば、参照したく思っている。
>私はそう受け取りました。
>大多数の読者には無用な蛇足です。(「説明不足」じゃなくてね)
2つの文には矛盾を生じている。
上記の引用文は「我はこう思う」、これはこれとしても、
下記の引用文は、断定しているね。
すると、何らかの確定的な根拠にもとづいた発言と理解される。
「大多数の読者には無用な蛇足」と断定した根拠を明示されたし。
468書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/11/09 23:26:02
一応、書き直し。
マル公よぉ、ところで「傷跡の矛盾に関する論証」はいつから?
説明中で、物理学でも歴史学でも、参考文献を挙げてくれれば、参照したく思っている。
(1)>私はそう受け取りました。
(2)>大多数の読者には無用な蛇足です。(「説明不足」じゃなくてね)
2つの文には矛盾を生じている。
(1)の引用文は「我はこう思う」、これはこれとしても、
(2)の引用文は、断定しているね。
すると、何らかの確定的な根拠にもとづいた発言と理解される。
「大多数の読者には無用な蛇足」と断定した根拠を明示されたし。
ああ、訂正しときますね。
>大多数の読者には無用な蛇足です。
これは
「大多数の読者には無用な蛇足だと思います。」
確かに断定すべき文章じゃなかった。

>説明中で、物理学でも歴史学でも、参考文献を挙げてくれれば、参照したく思っている。
あなたの年代なら中学校の物理の教科書に書いてあるはずです。
「慣性」「重力」「張力」「力の合成」の項を参照のこと。
鉛球を引き戻す際に、投げられた放物線上の軌道より下しか通らないことがわかります。
つまり一回目の傷をつけた軌道には二度と戻らないことがわかるはずです。
馬よぉ、ところで「傷跡の付け方に関する論証」はいつから?
「モーリ真犯人説」を唱えるならそれがまず証明されないと裁判の例で言えば棄却されちゃうぜよ
「書いてないから云々」という人ですからね、馬さんは。
「負けたと言わなけりゃ、負けじゃないやい」と思っているんじゃないですかねw
472書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/11/10 20:22:28
マル公よぉ、
>「慣性」「重力」「張力」「力の合成」の項を参照のこと。
わからんなぁ、こういう話。
そして、作者ジョンもわからなかったかと思う。
従って、偽ジョンの傷跡の件が、作者ジョンの伏線だという見解は否定しておく。
ジョンのハヴァフォードにおける物理学の履修状況は不明だが、
代数は100点満点中2点、経済学は16点。
ジョンの数学の試験勉強に関して、友人の面白い証言もある。
「彼は教科書を暗記して、どんな定理でもその載っている頁を言えましたが、
問題そのものは解けませんでした」(国書刊行会「奇蹟を解く男」76頁より)
これがいわゆる理数系科目に関するジョンの能力と考えられる。
仮に、物理学を履修し、慣性の法則等を丸暗記していたとしても、
この知識を自作に応用して、伏線として取り入れる能力などは無かった人なのである。

創作面を鑑みるに、ジョンは、モーリ犯行説も可能だが、真性ジョン犯行説が
真実という意図しか無かったと考えられるが、物理の知識にうといという
怪我の功名により、モーリ犯行説が否定されることにより、裏読みの可能性も
否定され、意図どおり真性ジョン犯行説が真相となるいう結果になったとしたら、
面白いものがある。

なお、傷跡が作者ジョンの意図だと強弁される場合は、ジョンの他作等で
本作と同様に伏線が説明されないままに終わっている例をいくつか挙げられたい。
創作の姿勢に関するもののため、これが無い限り、ジョンの意図であったという
論証は不可能かと思う。
473書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/11/10 20:26:05
そこで、マル公よぉ、
テクストに目を転じてみよう。
「ここで、ぼくはあなたに讃辞をおくります。あなたは不可能犯罪に直面しました。
そこで、ノールズに自白させるため、棒切れや小石やぼろや骨を集めて、
完全に論理的な、筋道のとおった不可能犯罪の説明をしました。
技術的には、あれでよかったと思います。…」
解決編である第W部真性ジョンの告白に上記の記述がある。(330頁)
仮に、作者ジョンがモーリ犯行説は物理的にも不可能であると考えていたとしたら、
この部分で、真性ジョンの口を通して、ギディオンのひっかけ=トリックに対する
讃辞ではなく、矛盾点の指摘をおこなったのではないか。
作者ジョンの狙いは、次の一行にあるやに思う。
「しかも、現実には―あなたもよくご存じのように―不可能犯罪なんてなかったのです。」

本格ミステリとして読んだ場合、ギディオンが、真性ジョンを犯人と目星をつける
に到った理由説明が無いのも問題。
せめて、真性ジョンの歩き方、健常人以上の怪力ぶり等をもっと強調し、
伏線を張っておくべきであった。
>>「慣性」「重力」「張力」「力の合成」の項を参照のこと。
>わからんなぁ、こういう話。
>そして、作者ジョンもわからなかったかと思う。

投げ釣りの例で言ったとおり、実地にやってみればわかるんですってば。
別に物理の学識なんぞ必要ないのです。経験則で十分なんです。
参考文献というので、学校の教科書程度で十分わかりますよと提示したまでです。

で、いきなりですが、この件について和解案を出しておきます。
お互いの主張するところはそれぞれ出し尽くしつつあるようですし、
折り合わないところは絶望的に折り合わないらしいこともわかってきました。
このまま平行線を続けても仕方ないので、以後、互いにこの件は棚上げして
(つまり引き分け扱いですな)別な論点に移りたいのですがいかがでしょうか。

余談ですが、今日、改装オープンした書店で洋書のホームズ全集を買ってきたので
(2分冊で税込み二千円もしなかった!)前から気になってたところの原文に
あたってみようと思っています。
従いまして今日はこれだけで退散します。
和解案について明日までに検討してお返事をください。
475書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/11/11 20:09:51
マル公よぉ、
確認しておきたいのだが、
(1) 作者ジョンが偽ジョンの傷跡の矛盾を意図して書いたということを、
   根拠を示したうえで、論理的に証明することは出来ない。
(2)「曲った蝶番」以外のジョン作品で、作中の仕掛け、ひっかけ等
   に関する説明が略されている作品を挙げることは出来ない。
これでOKか?
(3)下記の真性ジョンの告白に関して、どう把握するかコメントしてくれや。
>「ここで、ぼくはあなたに讃辞をおくります。あなたは不可能犯罪に直面しました。
>そこで、ノールズに自白させるため、棒切れや小石やぼろや骨を集めて、
>完全に論理的な、筋道のとおった不可能犯罪の説明をしました。
>技術的には、あれでよかったと思います。…」

貴君が理由不明のまま粘着している「ユダの窓」、その前の「火刑法廷」、
今回の「曲った蝶番」を含めて、気が向いた時に蒸し返すことにして、
一応、次のお題へ進むも良しである。
前に提案したとおり、かねてからの喪前の希望も取り入れて、
「緑のカプセルの謎」→「赤い鎧戸のかげで」→「盲目の理髪師」
→アンリ・シリーズ(発表順)
で、どうよ?
後、多重解釈ネタでは、「アラビアンナイトの殺人」も並行して取り上げたい気も
している。
>和解案について明日までに検討してお返事をください。
少しは口のきき方に気をつけたまえ。
「ユダの窓」の件で、期限を切った回答を求められて反発していたのは誰だったか、
よく考えてみることだ。
476名無し戦隊ナノレンジャー!:04/11/11 20:54:14
>少しは口のきき方に気をつけたまえ。
>「ユダの窓」の件で、期限を切った回答を求められて反発していたのは誰だったか、
>よく考えてみることだ。

少しは頭を使いたまえ。
文句があるなら、いつ回答するかを伝えるのが一般常識であることを、
よく覚えておくことだ。
少しは口のきき方に気をつけたまえ。
    ↓
475 名前:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas 本日の投稿:04/11/11 20:09:51
マル公よぉ、
馬公よぉ、
確認しておきたいのだが、
(1) モーリ真犯人説に矛盾する交差する傷跡について、
   根拠を示したうえで、論理的に説明することは出来ない。
これでOKだな?


はい、馬の負けは決定しましたw
ふうん。
あなたはおおよそ毎日書けるようなので、一日で区切ったんですが。
気に入らないようですから、区切りなしでもう一回だけ聞きましょうか。
次のレスまでに和解案をのんでくださるかご回答ください。
お互いに無条件で。これ以上相手に突っ込まない。(○○を確認とかは無しで。)
いかが?
480書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/11/12 20:16:27
マル公よぉ、
>>475の(1)、(2)に関して、YESかNOだけ回答してくれや。
一応、次のお題の「緑のカプセルの謎」と「赤い鎧戸のかげから」の講評をアップ
しておくわ。
さあ、また新しい君と僕の世界の始まりだよ!!
481書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/11/12 20:19:14
「緑のカプセルの謎」
オカルティズム皆無(これに代わる作品のスパイス、というか、おまけ的な位置付けを
なすのが、フェル博士の毒殺講義)、理詰めで端正なミステリに仕上がっている。
本書解説で中島河太郎は、「全体としてストーリーの起伏に乏しいのが難」
と指摘しているが、これはジョン自身も承知のうえのことだったようだ。
本作の登場人物のひとりクロウ少佐曰く、
「六月のときから、フェルの関心をひこうとして骨を折ったんだが、
とうとう失敗におわっておった。センセーショナルな要素がたりんのだな。
密室犯罪というわではなく、怪談めいた要素もない。
そうかといって、ローヤル・スカーレット・ホテルの怪事件といった、
はなやかな色彩だって見られない。
ストリキニーネを使用した残忍な殺人、ないしは殺人未遂事件というだけだったからな。」
(その後犠牲者は増えるものの)
毒殺事件の公開実験を利用したアクロバティックな二人一役のトリックは、
ジョンよりはアガサを読んでいる感があるが、なかなか面白いものである。
482書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/11/12 20:19:47
以下に目に付く点を列挙してみると、

(1)やはり、エリオット警部が旅先(ポンペイ)でチェズニイ一行に
   出会い、帰国後、彼らが巻き込まれた事件を担当することになる御都合主義そのものの
   展開。ミステリとしての本筋に無関係とはいえ、エリオット警部のマージョリイへの
   年甲斐も無い一目惚れを書きたかったのであれば、(ギディオンに恋の相談をする
   エリオットは、まるでうぶな中・高校生の如くで微笑ましいものはある)ポンペイの
   部分は不要。
   ソドベリイ・クロスで「一目会ったその日から恋の花咲く時もある」という展開の方が
   面白いと思われる。

(2)登場人物のリストには、「マーカスの美しい姪」とあるマージョリイだが、
   68頁におけるソドベリイ・クロスにおけるエリオットとの再会シーンでは、
   「…いまこそ間近に立っているので、かならずしも美人でないことが見てとれる
   わけだが…」と微妙な表現。いったい美形なのか否か?
   まあ、これもミステリとして本筋には関係無いと言えば言える。

(3)ふたつのフィルムのトリックは面白いのだが、リハーサルは真昼、本番は夜、
   モノクロ撮影でも、よく見ればバレそうな感があるのだが?

(4)毒物混入のためのいわゆるマジック鞄のトリックは、いかにもクレイトンの親友
   のジョンらしい奇術嗜好。中島氏の解説には、「奇術趣味でたいした思いつきとはいえ
   ない」と記されているが、自分としてはメーンとなる二人一役のメーントリックの
   前座のトリックとしては、それなりに結構楽しめた。
483書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/11/12 20:21:28
「赤い鎧戸のかげで」
タイトルと表紙から、英国を舞台に名物のパブでも登場する渋い本格ミステリ(ジョンはこういう作も書く)を想像して買って後悔した作品。
ミステリとしてのトリックは、緻密でもなく、バカミス風にもなり得ない小技(というか物語の付け足し的感じが強い)であり、失望させられたし、
犯人もビル・ベントリーの1歩遅れた登場の仕方と消去法で早い段階でわかった。
ミステリとしては御都合主義(いきなり犯人が絵が巧みという設定が出て来たり等)な
展開に過ぎる部分も多く難がある。
しかし、本作の主眼はモロッコのタンジールを舞台にした観光・冒険小説にあるようであり、
ジョンの優れた描写力により、この面では成功している。
特にヘンリー一行の夜のカスバ巡りは臨場感溢れる描写で面白く読ませるものがある。
直接の描写は無いが、ポーラがアラビア娘のアクロバティックな裸踊りに興味を示す部分
があるが、「雷鳴の中でも」に出て来るアパッシュダンスにしても、ジョンはこういう下世話な
ものに興味深々のようである。この辺は、女性であるクリスティー、お色気抜きのクイーンとは異なる俗っぽさか。
仕事屋並みの殺し技を見せるヘンリー、警官の銃撃により蜂の巣にされる犯人の一味等、
ジョン作品としてはトンデモな展開も読み所なのか。
ところで、マル公よぉ、結局、赤い鎧戸って共産党支持者、いわゆる「アカ」って意味合い
だけなんか?他に示唆してるものとか無いのかよ?どうよ?
>>480-483
全く誠意が見られない。
レス内容も、論議する相手がいながらオナニーを見せつけるのみとは
ある意味惨めな…
>>480
こういうのも含めて棚上げしようと提案してるんですが・・・
一応答えておくと、
(1)(2)ともYes。
ただ、その設問は私の説を否定する証拠にも、あなたの説を補強する証拠にも
ならないことは付け加えておきます。

「緑のカプセル」「赤い鎧戸」の私の感想は明日以降にでも。
今日はまた宿直なんでね。
あなたの「講評」を読んで「今回はあまりひねらずストレートに読んでるなあ」
と思いました。論点を探すのが難しくなるやも知れませんが、楽しみです。
486書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/11/13 00:39:36
マルちゃんよぉ、(一杯やって御機嫌なので、柔らかい呼びかけにしてみました)
カプセルは地味、鎧戸はマイナーだからな。
貴君の講評とガチンコさせて、論点というか争点が出て来るかどうか。
またメジャーな前3作に比較して、萌えるもの(妄執という意味合いでも)を
抱けるかどうかだな。あっさり終わる予感。
2ちゃんらしい罵倒飛びかう大荒れが御希望なら、並行して多重解釈ネタ可能な
「アラビアンナイトの殺人」も並行してお題にしたく思う。
どうよ?
>>486
カー作品は一切読んでない部外者が言及するべきじゃないかもしれない。
が、そのレスの物言いだと“メジャーな前3作”に関して明晰に返答すべきなのに
それができないから「アラビアンナイトの殺人」とやらをもちだして論点を
ずらそうとしてる、としか読めない。

本当のところどうよ?(・∀・) ニヤニヤ
>>486
激務の後の一杯はいいですよね
長いこと空けてしまい、大変失礼しました。
一応言い訳。出張があったり風邪でダウンしたりしてたもので。

「緑のカプセルの謎」
率直に言ってほとんど印象に残らなかった作品です。
チョコレートの入れ替えのトリック然り、実況フィルム入替えの件然り。
きれいにまとまった佳作ということで世評は結構高いようですが、私には
残念ながら魅力を見出すことはできませんでした。
なにかこう、常識をひっくり返すような驚きに欠けていると思います。
もしくは意表をついたストーリー展開とか。
論議する中で本作の魅力を教えてもらえるとうれしいですね。
それと、エリオットですが、あなたや私よりも若いんじゃないかと思いますが。
前作の登場シーンに「若い」という描写があります。
確証はないですが30代半ばくらいなんじゃないかと思うんですよね。
「年甲斐もない」というほどの年ではないと思います。
「赤い鎧戸のかげで」
前に書いたとおり、私にとってはカー(ディクスン)のベストと言っていい作です。
異郷の地を舞台にしたH・M卿の大冒険!脇のアルヴァレスやベントリーといった
人物もとても魅力的です。なかでも私はベントリーがアルヴァレスの代役を買って出て
ボクシング勝負に挑むところが大好きです。いかにもカー好みのシチュエーション。
(失われつつある騎士道への憧れとでも言えましょうか。)
歴史ものなどで培われた描写力が生かされているのでしょうかね。
最後の最後でモーリーンを大人の女性として認める「マイ・ドリー」の台詞もいいです。
(現代のジェンダーの観点からすれば問題大有りと言われるかも知れませんが)
ミステリーとしての問題点は、これもよく言われますが、証人に結果として嘘をつかせて
しまっている点をどう見るかです。例の頭を撃たれて助かった証人のことです。
私はこれ、手がかりがあるのでぎりぎりセーフと思っているのですが、どうでしょうか。
余談の「赤い鎧戸」の含意ですが、私も本作以外でお目にかかったことはありません。
これでも10年来の共産主義者なんで(w、信用してもらっていいと思います。
カーが共産主義者を嫌っていたというのは事実なんでしょうが、
それにしてもかなり特殊な言い回しですね。普通こういう言い方はしないです。
もっとも、私が不勉強なので知らないだけかもしれませんが。
491書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/11/17 21:51:31
よぉ、マル公、生きてたか(w
>>489-490だが、正直言って、長いウエイティングのわりには、
たいしたレスじゃねえな。という感を受けた。
たまたま並行して取り上げることになった2作だが、
緑のカプセル<赤い鎧戸、という感覚は、ジョンをパズラーとして認識した場合の
評価としては首をひねらざるをえないものがある。
>論議する中で本作の魅力を教えてもらえるとうれしいですね。
ということだが、本作の魅力という点も含めて、
筆者の「緑のカプセルの謎」という作に関する論考は、既に>>481-482に要約して
あるので、熟読されたし。
簡単に言うと、物語(ストーリー、キャラ造型等)としての欠陥は数多あれど、
謎解きパズル小説としての面白さは評価に値するということである。
従って、自分は謎解きに関する部分以外をもってマイナス評価することはしていない。
>なにかこう、常識をひっくり返すような驚きに欠けていると思います。
>もしくは意表をついたストーリー展開とか。
この点についても既述したと思うが、ジョンも承知のうえのことだったかと思う。
あえて、得意なバカミス的奇抜な展開を避けて、アクロバティックという範囲にとどまる
端正な構成のミステリを狙ったのだと思われ。
本論に関係ないエリオットの件だが、
>「年甲斐もない」というほどの年ではないと思います。
作品発表当時は勿論のこと、今現在でも、あれじゃあ中高生並である。
否、中高生はもっとクール。リアルならよい笑い者かと思う。
作者ジョンは、その辺の微笑ましさ、おかしさを狙っているという感もある。
492書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/11/17 22:02:28
「赤い鎧戸のかげで」は、マル公の偏愛はともかくとして、一般的には評価が低くく
スルーされがちな作ではある。
エミール・ローラン巡査の偽証の件が問題とか書いてあるが、
ミステリとしての魅力には乏しい作ゆえ、さほど問題視することではないかと思う。
それよりも、
アイアン・チェスト実はペーパー・チェストであったという、バカミスにもなり得ない
メーンの脱力ネタ、これに到る、ビルに絵心有りという伏線が無い方が問題かと思う。
なお、ジョンがパリを去った因は左嫌い(左翼政党の胎頭)ゆえだったとか。
>緑のカプセル<赤い鎧戸、という感覚は、ジョンをパズラーとして認識した場合の
>評価としては首をひねらざるをえないものがある。
私は物語作家という広い捉え方でカーを評価していますので、
パズラーという見方でくくるのには賛成できません。

>筆者の「緑のカプセルの謎」という作に関する論考は、既に>>481-482に要約して
>あるので、熟読されたし。
それを読んでもなお魅力を感じられないのです。純粋パズルとしても今ひとつ。
昼間と夜の場合の写り方の違いについて意見していませんでしたが、
私の感覚では昼間の室内ほど始末に悪いものはないと思います。
照明にもよりけりですが。本作についていえば、いちおう撮影用の照明が
準備されています。カーテンを引いた上で撮影したのならば素人目には
違いはわからないんじゃないかと思います。

>あえて、得意なバカミス的奇抜な展開を避けて、アクロバティックという範囲にとどまる
>端正な構成のミステリを狙ったのだと思われ。
アクロバティックというほどのものではないのではないかと。

>作品発表当時は勿論のこと、今現在でも、あれじゃあ中高生並である。
>否、中高生はもっとクール。リアルならよい笑い者かと思う。
私はエリオットの心情に共感できますが、幸いにして笑いものになったことはありません。

>「赤い鎧戸のかげで」は、マル公の偏愛はともかくとして、一般的には評価が低くく
>スルーされがちな作ではある。
それは承知の上で私の主観として高得点をつけているのです。物語としての面白さゆえ。

>アイアン・チェスト実はペーパー・チェストであったという、バカミスにもなり得ない
>メーンの脱力ネタ、これに到る、ビルに絵心有りという伏線が無い方が問題かと思う。
コートの背中に隠して四苦八苦している様が複線であり、かつ萌えどころです。

>なお、ジョンがパリを去った因は左嫌い(左翼政党の胎頭)ゆえだったとか。
ロンドンじゃなくて?
494書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/11/17 22:24:07
マル公よぉ、「盲目の理髪師」の講評も書いておくから、読んでおけや。
しかし、本作も「緑のカプセルの謎」も、早くから創元推理文庫に収録されているわりには
カーヲタ等の間でも話題になることが少ない。いずれも悪い作ではないのだが。


「盲目の理髪師」
本作は「夜歩く」とカップリングされたジュブナイルが初読。
(「ビクトリア号の殺人」とかいうタイトルだったと記憶する)
オリジナルの男女4人によるファース的な展開がカットされた
無駄が無いなかなかの出来栄えであった。
(ちなみに「夜歩く」もデビュー作ということもあって、やや読みにくい感が
あるオリジナルの欠点をカヴァーした良い出来栄えであったと思う)
ジョンには珍しい豪華客船を舞台にした完全なクローズドサークルもの。
ただし、探偵役のギディオンは乗船客ではなく、冒頭、幕間狂言と称された中盤、後半の
謎解き部分、それぞれの章に安楽椅子探偵として登場するのみである。
この構成は、物語のメリハリをつける意味で面白いものになっている。
乗客の中に殺人犯がまぎれこんでいるという状況もあって、サスペンスフルな舞台設定は、
これで十分と判断したせいか、ジョン得意のオカルティズム色は施されていない。
前述したファース的な展開をいかに見るかが、本作の評価を左右することになるかと思う。
自分は否定的な立場を取る。
折角のスリリングな舞台設定ゆえ、ファースは極力排し、基本線はシリアスな謎解き
ミステリに徹して欲しかったものである。(この点でジュブナイルを評価)
翻訳は、007シリーズの井上一夫、ジェニングス警部が妙にカッコいい感がある
ラストはこの人の味が良く出ている。
「おまえは毒で死ねるような人間じゃないぜ、ネモ」ゆっくりとドアのほうへ歩きながら、
ジェニングス警部はいった。「おまえは首を絞められて死ぬんだ…いや、おやすみなさい、
みなさん。いろいろありがとうございました」
誤解を受けないように一応言っておきますが、「緑のカプセルの謎」を
駄作というつもりはないです。カーの作としてはやや低めの評価
(私の主観としてはね)だということです。
>>494

展開が速いよ!もうちょっとじっくりやりません?

「盲目の理髪師」
>オリジナルの男女4人によるファース的な展開がカットされた
>無駄が無いなかなかの出来栄えであった。
その無駄こそがカーの面目躍如といえると思うんですけどねえ。
私はジュブナイル版(あかね書房かな?)は読んでいませんが。
確かに子供にはわかりにくいためカットはやむなしでしょうが、
でも本作の魅力の大半はその部分にこそあり!と思います。
成人してから創元文庫で読んでの感想です。飲酒癖のあるおじ様
の酔っ払いぶり、主人公たちのドタバタなど、共感する場面目白押しでした。
ジュブナイル版としてはそうするしかないんでしょうが、本作の味は殺されます。
ジュブナイル化するならむしろほかの作を取り上げたらいいと思います。
「三つの棺」なんかがいいと思うんですけどね。

>前述したファース的な展開をいかに見るかが、本作の評価を左右することになるかと思う。
>自分は否定的な立場を取る。
これは同感。ただし私は肯定的な立場をとります。

>警部が妙にカッコいい感がある
>ラストはこの人の味が良く出ている。
この点はまったく同感です。
383 名前:書斎魔神 ◆qGkOQLdVas 投稿日:04/10/29 20:37:50
ジュブナイルしか読んでいない者が、結論だけ言い放したうえ、
他人に細かい論評を要求するのは筋違いである。自戒されたし。
498書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/11/17 22:56:52
>私は物語作家という広い捉え方でカーを評価していますので、
>パズラーという見方でくくるのには賛成できません。
ジョンを巧みな物語作家(いわゆるストーリーテラー)として認識するのは
誤っていないし、自分もそのとおりだと思うが、本格ミステリのマエストロの
ひとりであるジョンをパズラーとしては認識してはいけないという見解は
到底是認出来ないものである。
「喪前はパズラーではない」と言われた場合、「喪前はもう死んでいる」と言われたのと
同じくらいに、きっとジョン自身もショックを受けたであろう。

緑のカプセルの写真の件に関するコメント、サンクス。
一人二役ならぬ二人一役(しかも同一の場におけるもの)、
十分にアクロバティックという感を受けた。

>私はエリオットの心情に共感できますが、
>幸いにして笑いものになったことはありません。
周囲の目は君が思っている以上に厳しい(影で笑われていたりする)。
この点、十二分に留意されたし。

>コートの背中に隠して四苦八苦している様が複線であり、かつ萌えどころです。
確かに「あれっ?」と思わせるシーンではあるが、残念ながら、
肝心のビルに絵心有りという伏線にはなり得ていない。

>ロンドンじゃなくて?
時代的に左翼政党が胎頭したのはフランスでしょ。
パリに行かなくなったという表現の方が正確かもしれぬ。
アンリ・シリーズが数作にとどまった因となったとも言われる。
>パズラーという見方でくくるのには賛成できません。
誤解を生む表現でしたね。
私が言いたかったのは狭義の「パズラー」
F・マクドナルド、ヴァン・ダイン、クイーン、クロフツの初期作
なんかが念頭にあります。
カーがこの「パズラー」達とは違う側面を多々持っていることは
賛成してもらえると思いますが。
で、私が評価するのはその違った側面を含めてのことです。

>時代的に左翼政党が胎頭したのはフランスでしょ。
>パリに行かなくなったという表現の方が正確かもしれぬ。
>アンリ・シリーズが数作にとどまった因となったとも言われる。
あ、その時代の話ですか。フランスで左翼の台頭なんかあったっけか。
単に遊学を終えてアメリカに帰っただけだと思ってました。
第二次大戦後アメリカに帰った際のことを言ったのかと思っちゃった。

今日はここまでにします。また明日、といいきれないのが残念。
また出張(日帰りですが)が続くのでもしかすると次は日曜あたりになるかも。
500書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/11/17 23:22:05
主観で書けば、パズル小説=ミステリとしては緑のカプセル、
多彩な物語性では赤い鎧戸に、それぞれ軍配が上がるかと思う。
しかし、この2作、同じジョン作品とは言え、そもそもダイレクトに比較すべき
ものではない。作品におけるジョンの意図も全く異なるものかと思う。

「盲目の理髪師」は個人的な嗜好により評価が分れるのは仕方無いことかと思う。
決して悪い作品ではないと思うが、ファースにしてしまったために、
クローズド・サークル(船中)という設定における緊迫感を欠く結果になったという点
については如何?

ジュブナイル化の件だと、暴れ爺であるヘンリーものよりは、
いくらか好々爺風のギディオンものの方が適しているとは思う。
しかし、例に挙がっている「三つの棺」は、自分などは怪人シャルル・グリモーの
悪の魅力とも称すべきものに惹かれて再読している次第。
(彼氏の前半生を書いて欲しかったとミステリ板ジョン・スレに書いたことあり)
ジュブナイルだと、こういうキャラ描写が抑え気味にならざるをえず、
オリジナルが持つ魅力を大幅に殺ぐことになるかと思われる。
501書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/11/17 23:35:02
>カーがこの「パズラー」達とは違う側面を多々持っていることは
>賛成してもらえると思いますが。
>で、私が評価するのはその違った側面を含めてのことです。
勿論、ジョンにパズラーとしての側面以外の面があることを認めることに
やぶさかではない。だが「パズラーとしてのジョンの評価」という事は
当然あり得ることになる。

>フランスで左翼の台頭なんかあったっけか。
自称「アカ」のアンタの方が詳しいのでは?
フランス共産党が胎頭して来たのが、この時期だと聞いたことがあるのだが?

>また出張(日帰りですが)が続くのでもしかすると次は日曜あたりになるかも
俺には、もう喪前がとても他人とは思えない。まあ、気つけて行って来いや。
502書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/11/19 19:49:00
マル公よぉ、次回の喪前のレスでは下記の(1)、(2)に関して、
優先的に回答してくれや。
(1)「ユダの窓」の残された争点に関して。
自分から続けたいと言っておいて、ここまで何の論点も呈示せずに放置したままと
いうのは、あまりに誠意が無さ過ぎるぜよ。即刻、呈示しろ。
(2)「アラビアンナイトの殺人」に関して
当方から何回か「お題」にしたいとレスしているのだが、何の回答も無く完全スルー状態。
これは討論の当事者の一方としては、いささか問題がある不遜な態度と言わざるをえない。
即刻、回答されたし。

当方は、何作かを並行して討論の「お題」とすることも可である。
論点がごとに番号を付す、あるいは改行してくれれば、当方もそれに合わせることとする。

以下は、余談ゆえ、回答の義務無し。
(3)ねぇ、マルタン。喪前は、純文学(海外と本邦の両方)は何を読むの?
世代的には、W村上がずっと同時代の作家だったかと思うが、えっ、どうよ?
503名無し戦隊ナノレンジャー!:04/11/19 20:34:45
書斎って芸があるよね。
激しく外出ですよ。なんたって以前本人がカミングアウトしてます。
>ゲイ