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書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :
さて、あなたの「火刑法廷」=実は本格ミステリ説ですが、説得力があるものとは思えません。
厳しい表現になりますが、やはり素人の盲言の粋を出ていない感があります。
エピローグのマリーの独白で人称が変っている点に注意してください。
勿論、三人称でマリー=魔女を書くことも可能なのですが、ジョンはあえてマリーの独白
という一人称を用いてこの物語を締め括っています。
これは、「真相はこれだ」とういジョンからの読者に対するシグナルと把握するべきものです。
この事は、超自然現象の可能性も示唆しながら三人称のままカーテンコールを迎える
短編「めくら頭巾」と読み比べると良く理解出来ることでしょう。
このような点を鑑みると、本作はリドルストーリーでさえないと言い得るものがあります。
>額面どおりに受け取れば、マリーは死体消失はおろか、マイルズに最後に大量に砒素を
>飲ませたことすら言明していません。
この辺は「書かずもがな」という感があります。
あの結末の場合、ごちゃごちゃ書くというのは小説作法としては野暮な事なのである。
マリー=魔女という真相を示して、あっさりとカーテンコールする。
稀代のストーリーテラーであるジョンのテクです。
また怪奇小説の作法に関して理解が不十分のようですが、事前に禁則事項が課されることが
多い本格ミステリに対して、怪奇小説の場合は、禁則事項を課すか否か、禁則事項の設定
そのものが作者の意思次第、「漏れが法律だ!」が可能な世界です。
(例えば、S・キングの「呪われた町」は吸血鬼もののお約束を作者が厳守する面白さ
を狙ったものです)