カー論議(ネタバレあり)

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230書斎魔神 ◆qGkOQLdVas
マル公よぉ、
>逆にこれを否定する決定的かつ合理的な根拠も示されませんでした。
テクスト論の学習をお薦めしておく。
この論によれば、テクスト(=「火刑法廷」)から明確に読み取れる範囲のもの
に関しての立証は不要である。
従って、エピローグにおけるミステリから怪奇小説への転換という明示的な事項に
関しての立証は不要。ゆえにテクストからは明確に読み取れないもの
(=明示されていない事項)であるこれに反する論
(怪奇小説への転換は無くミステリであるとする説等)に関しては、
挙証責任が発生することになる。
>私は自分の嗜好からこれをミステリーと読解します。
>いろいろな読み方があっていいのではないでしょうか。私はあなたの読み方を否定しません。
>ただ自分と違う読み方も否定しないでほしいです。
この辺を読んでいると、どうも考え方がはっきりしないように見える。
マスターベーション的な読み方を否定するわけではないが、であったら議論など不要である
「漏れは好きにこう読んでまつ」と書けばいいだけの事である。
貴君の敗北宣言は、「エピローグにおける怪奇小説への転換」を合理的に説得力を持って否定することが出来ないと判断して出されたのではないのか?
それとも、スレ荒らし(=スレの混乱)を狙ったネタとして書いたのか?
>しかなく」「確定」がひっくり返る可能性はここまでの論議からいっても
>ありうると思うのですよ。
十分に説得力がある論証を伴わない可能性の問題だけ云々しても無意味である。
231書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/10/19 20:03:36
余談ながら、「奥さまは魔女」の件
>私はあの番組見てなかったんですよね。まだ小さくて。
>大体当時うちの県には民放2局しかなかったし。
再放送とかも無かったんか?ビクーリしたYO、この点につき了解。

>>226の件
バカバカし過ぎる質問である。私には226のようなレスをする理由が無い。
今さらながらだが、コテハン以外ではレスしていない事を明言しておく。
貴君が、私の利用するホスト、IP等を調べるルートを持っているのであれば、
調査していただいて結構である。
それよりマル公よぉ、喪前が226のような明らかな荒らしまで構うから、
スレが混乱するということがわかっているか?
232書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/10/19 20:05:01
「ユダの窓」は過大評価された作品である。以下にその論拠を記してみたく思う。

1 法廷小説足ることを主眼とする構成だが、読み易く親しみ易いというカー作品の
  特色を阻害している感がある。大部分が法廷シーンとなると他のジョン作品と
  比較して堅苦しさは否めず、しかも、訳書には配慮がなされている
 (訳者による「本書を読まれる前に」が付記されている)とは言え、
  執筆当時の英国の裁判制度に関する基礎知識が無いと馴染にくい設定であるのも、
  本作の欠点のひとつである。
2 古くはE・S等、近年ではJ・G、S・T等、本邦では和久俊三、中嶋博行等
  の法曹資格を持つ作家の作と比較すると、やはり調べて書いたという付け焼刃的
  な印象を拭いきれないものがある。
  (法廷小説ではないが、宮部みゆき「火車」「理由」等の法律ネタを書いた作品
  にも共通する欠点である)
  法廷シーンはビビッドな迫力を欠き、
  H・Mのオーバーアクションは、ファースになってしまっている。
3 本作のセールスポイントである密室トリックは、
 「ドアノブを外して、いし弓を射よ」と書けば済む程度のジョン作品にしては
  飛翔感が弱い小技に過ぎない。
  中編か短編への使用が最適なトリックといったところか。
233書斎魔神 ◆qGkOQLdVas :04/10/19 20:05:43
4 法廷小説というジャンルへの密室殺人というテーマ導入にはミスマッチ感が強い。
  リアルで緊迫した刑事法廷という状況とある種大時代的・牧歌的な密室殺人という
  素材には強い違和感があるのである。
  つまり「状況と素材」が噛み合っていない感がある。
  この点、例えば「爬虫類館の殺人」などは、空襲下のロンドンという状況下に
  おける密室殺人というテーマが巧く生かされている。
  (飛行機の音と掃除機の音に着眼した点等)
5 本作の密室トリックは、ジョン得意のオカルティズムを導入した怪奇探偵小説で
  こそ印象に残る効果を発揮したかに思う。
  最後の最後の方(「オールド・ベイリーの記録の抜粋 午後五時四十五分」)に来て、
  やっといつものジョン作品らしい雰囲気になるのが残念。
  裁判そのもののシーンは最小限に抑え、この線で書くべきであったかと思う。