∧トウコ∧
(= ´∀`) <
>>290 分かりますた。いつまでも逃げてばかりじゃ
何も始まりませんよね。恥ずかしながら、
それでは、僕が半年ぐらい前に書いた、
処女作をごらんください。題名は「存在不適合者」
です。ではでは。
【箜間桐孤】(くうかんとうこ)
この物語の主人公である。性別、女。
哲学者と書しているが 本来の生業は
存在不適合者の更正または消滅である。
桐孤は彼女自身が能力者の子孫である
ために人々から忌み嫌われながら育った。
彼女の廻りに他者が在ると彼女自身の
膨大な魔力結え、空間が圧迫され相手に心身衰弱をもたらす。
得意技は概念反照。ちなみに容姿は端麗。
善でもなくまた悪でもない。
けど心の奥底では正義の気持ちを失ってはいなかった。
【月影文乃】(つきかげふみの)
笹山葉子達から虐めをうける。
現実の厳しさや非情さゆえに
自暴自棄にあい、虐めの主犯格である
子を生け贄に捧げ悪魔と契約し能力を得る。
本来は優しい女の子なのではあるが、
周りからの悪意の包る干渉により、
彼女自身の常識や法則は反転した。
髪が美しい。
好きなコトはオカルト全般。
西洋人形や日本人形、
わら人形を使って他者を呪うことが好き。
勿論十八番は、牛の濃く参り。
あとゴシックロリータの格好を
して夜の街を徘徊するのが大好き。
【笹山葉子】(ささやまようこ)
サブキャラ。
麻上文乃にいじめをしていた主犯格。
御姉様プレイが大好きな子で、どこか
適当な相手を見つけては奴隷にしたり
虐めをして楽しんでいた。
月影文乃もその中の一人。
結局、月影文乃の悪魔契約の生け贄に
されてしまった不幸な人。
文乃をいじめ、
見下すことで自身の精神的安心と安定を得ていた。
存在不適合者
第1話
現実生活を送ることが困難なもの。社会の
理から外れているもの。箱の外で生きている
ものたちのことを便宜上、精神異常者。
もしくは【存在不適合者】と呼ぶ。
*
少女は他者との交わりを求めなかった。
他者は自分にとって厄介で、どうでもいい存在に過ぎなかった。
だが少女は敵を作るのも嫌だった。
何故なら徒でさえめんどくさい学校生活が、
敵を作る事により余計にめんどくさくなるからだ。
また少女は味方を作る事も嫌だった。
何故なら誰かと一緒に行動する事は無駄だし、
徒でさえ意味のない人生なのに、
他者と一緒に行動なんてしたら、
余計意味のない人生を過ごすと思ったからだ。
それに少女は外界の世界を嫌悪していた。
思春期の少年が陥りやすい自分の理想とする世界と、
今ここにある世界とのギャップに悩むという、あれである。
毎日同じ事の繰り返しである学校生活。
嫌悪を通り越して、吐き気すら覚える同級生の行動。
いじめられる相手を日々変えては
相手を精神崩壊に陥れるまで遊ぶ
心の底から腐った連中。
自分もその学校でのいじめの傍観者であったため
それを観ても何も出来ない自分に嫌悪を覚えた。
そんな学生生活を営む中、
少女は叶えたい夢があった。
何物にも代えがたく、
他の全てを犠牲にしてもいいくらい叶えたい夢があった。
友達なんていらない。
彼氏なんていらない。
ただこの世全ての事象をを知りたい。
誰にも言われるまでもなく自発的に望んだ夢である。
その夢は叶えられたら其処で無意味になってしまうのか?
否。そうではない。
自分の夢が叶えられた瞬間、
その瞬間は紛れもなく自分にとって永遠なんだ。
その時僕は誰がためではなく本当の意味で自分自身の呪縛から、
そしてこの世界の理から開放されるのである。
それを人は救いと言った。
*
月影文乃は社会の全てが、人々の幸せが許せなかった。
この世には私しか存在しない。強すぎる自我、圧倒的な
までの独我論者。どんなに私が辛い目にあっても誰も
私を助けてくれない。私がどんなに虐められても、
ただ黙って笑いながら観ている人たち。私を精神崩壊に
落とし入れようとする人たち。そんな人たちの存在を
私は認めたくはなかった。なぜ私は是ほどまでに、
人々から虐めを受けなければならないのか・・。
私の容貌が醜いから?恐らく?いや間違いなくそうだ。
最近鏡を見ていない。見るのが怖い。
私のココロはこんなにも綺麗なのに、
容貌は狂おしいまでに醜い・・。人生は。世界は。
理不尽だ。容姿がいい人が得をするようにできている。
しかしどんなに不幸な人でも辛い境遇の人でも、
心優しい人はいるのである。私のココロが弱かったのか?
そうかもしれない・・・。是ほどの不幸を背負うには
私の精神は余りにも脆過ぎた。私は自分が、私を中傷し、
落とし入れる全ての存在が狂おしいまでに憎かった。
これからどうしてよう?どう生きていこう?
このセカイは私を必要としていないし、
私もこんなセカイには在たくない。そうだ、
こんなセカイに在ても不幸になるだけなのだから・・・・
あの「空の向こう側」に逝きたいなぁ。
あの「空の向こう側」には何が見えるんだろう・・・・
現世と彼の世との境界に佇む俯瞰風景を眺めたい
あっ、このセカイから乖離する前にやるべきことがあったんだ・・・
文乃はふと思い出した。それは文乃を虐めた
笹山葉子たちの事であった。きっと私が自殺したって知ったら、
心の底から喜ぶんだろうなぁ、あの子達。
そう思うと怒りが込み上げてきた。許せない。・・・そうだ。
・・・・悪い子には復習をしなければならない・・。
ふふふ・・・あははっ・・・・・・・どんな復讐がいいかしら?
精神崩壊?人格破壊?それともいっその事、
この世界に生きる心の醜い子を殺してあげた方が世界の意思も喜ぶわ。
どうせ皆生きてる価値もなさそうだし・・・・
うふふ・・・・あははははっ・・・・
私は今日この【世ならざるもの】と契約し人間である事をやめていた。
もともと魔術や錬金術、呪術といったオカルト染みた事に興味があった為か、
悪魔と契約をする事にあまり抵抗はなかった。本来魔術や錬金術といった
モノは等価交換、つまりある犠牲を払った上で成り立つモノなのである。
悪魔との契約はその中でも特に高度な等価交換を必要とし、
最低人間を一人ぐらいは生け贄にささげなければならない。
*
「さて生け贄は三人のうちの誰にしようかしら?」
勿論虐めの主犯格の笹山葉子を生け贄にする事は始めから決まってはいたが。
しかし、文乃にはまだ多少の躊躇いがあった。幾ら精神崩壊、
人格崩壊になるまで虐められ、中傷を浴びせられたといいっても、
人一人殺すのである。正確には相手を死の寸前。生と死の境界まで生かし続け、
悪魔にその最後を。死の瞬間に現れる一瞬の煌めきを捧げるのであるが。
その日の夕刻、文乃は笹山を学園地下の祭壇所まで呼び出した。
一昔前まではここも使われていたらしいが、今はその面影もなく錆びれ果てていた。
そこには不機嫌そうな笹山が文乃を待ちかねていた。
「あはは・・ごめんなさいね・・・笹山御姉様。こんなとこまで呼び出して・・・」
文乃は笹山に嬉しそうにいった。
「はぁ? この醜いメス豚がぁ。こんな所まで私を呼び出して、
まだお仕置きがたりなかったのかしら?」
「いえ、笹山御姉様。今日はとても大切な話があって、御姉様を呼んだんですよ」
そう言うと文乃は手に隠し持っていた硫酸のビンをぶちまけた。
あらかじめネットで手に入れたモノだった。
「ぎゃぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
どこまでも響き渡る、美しくも醜い悲鳴だった。
普通の場所なら第三者に聞こえるような悲鳴も、
ここは空間自体が外観とは乖離された、学園の地下室である。
どんなに叫ぼうが喚こうが、そんなことが無意味に感じられる
くらいソトから遮断された空間だった。
「まあいい気味ですわ、御姉様。私を散々辱めて下さったんですもの。
これくらいは当然の報いというものです」
「貴女には悪魔契約の生け贄になって貰うんです。
楽しみに待っていて下さいね」
そういうと文乃は持っていたナイフを葉子の脇腹にブスっと勢いよくさした。
「いやぁあっぁあぁぁ!!!」
「あら好い声で鳴く御姉様だこと。くすっ」
そう言いうと文乃は怪しげな言葉を唱え始めた。
「貴女の罪に慈悲を注ぎ印を記そう。”この魂を彼方の糧に”」
そう唱えると静かにだが、辺りの空間が圧迫されてくるのに気づく。
空間と空間が断絶され、その境界がパックリ裂け、
その隙間から異界のモノが顔を覗かしていた。
その風貌は人間というには程遠い奇形だった。
頭には殿が生え、お尻には何やら尻尾のような者が生えていた。
「当に人外な化け物って感じね。西洋の悪魔って本当に想像どうりの
格好してるのね」
文乃は悪魔を下から見回した。
「我は冥夜、冥界の第三級悪魔だ。我を呼び出したのは汝か?」
「第三級?何か悪魔は英検みたいな位があるのね。まぁいいわ。
そいつの命を揚げるから、私に此の世ならざる力を与えなさい。
この世界を破壊し、支配できるくらいの力をね」
「はっ、それは無理な話だ。そいつ一人ばかしを生け贄に捧げた
ぐらいで世界を支配するぐらいの力だと?笑わせるな。
是だから人間は困る。まぁ精々人を一人壊せるぐらいの力が関の山だ」
「そんなものなんだ?まぁいいわ。契約を交わせばいいんでしょ。ふん」
悪魔の言うことに少しがっかりしたのか文乃は少し投げやりに言った。
「何にも知らないで悪魔を呼び出したのか?・・・・・まぁいい。
承諾した。ではそいつの命を貰い受ける。」
そのあと悪魔は笹山の心臓を鷲みにし、
魂を抜き取るとそこには跡形もないように消えていた。
文乃にはその姿は非常に美しいように思えた。
そしてこの日から月影文乃は普通の人生を歩むのをやめたのだ。
*
箜間桐孤は存在不適合者を更正または消滅させるモノである。
存在不適合者とは文字どおりこの世界に存在してはいけないモノの事をいう。
今日はとある学園の校長から依頼を頼まれたのだ。
どうやらこの学園では生徒が一人行方不明なのだとか。
しかも校長曰くその事件には何らかの能力者の作為が感じると。
まぁこんな依頼、普通の探偵なら鼻で笑うような依頼でもあるわけだが、
なにを隠そう私自身が能力者なのだ。信じないわけが無い。
それにこの校長とは古くからの知り合いである。
あろうことか彼女自身も能力者なのである。
それなら校長が行方不明の生徒を探せばいいと思うが、
どうやらそれほど暇じゃないらしい・・・。
私とこんな話をしてるくらいだから十分暇だと思うが。
人は元来、異質なモノ、異常なモノを拒む性質がある。
それは人間社会を営む上でなくては為らない事だ。
例えば或る街に動物園から一匹のライオンが逃げだしたとする。
その街の中でライオンは明らかに異質なモノである。
まず当たり前ながら人の形をしてはいないし、人の言葉を喋れない。
そしてなにより人間を襲わないという保障はないのだ。
そこでまぁ機動隊やそれ専門の人達が、捕獲もしくは処分をするんだが。
まぁ言うなれば私たち能力者といったモノは、
動物園から逃げ出したライオンとまではいわなくても、
それこそ普通に社会で暮らしている人に比べたら
異質以外のなにものでもないのである。
だから私たち能力者は自らの正体をやたらめったら明かさないし、
明かすにしても殆どが、同じ能力者相手に明かすくらいなのだが。
それになによりこのセカイには私たちのような能力者を
異常なまでに毛嫌いする輩。【現代の魔女狩り】を試みる異端狩り
を生業とするものがいるくらいだから困ったものだ。
まぁ異端狩りが来ても還り討ちにするだけだけなんだけどね。
ああ、話が脱線してしまった。
えーっとそれでまぁこの学園の校長さんから行方不明の
女の子を捜してほしいということだ。
「いいわよ。どうせ最近哲学学研究にも飽きてきてたところだしね。
まぁ報酬はいつもどうり前払いだけど」
と私は有りっ丈の笑顔で校長の目の前に手を差し出した。
「あらあら難しい事を研究しているわりには、いつまでも中身は子供なのね」
校長はいつもながらあきれている。
「あら何いってるの。少女の時の気持は忘れちゃだめなのよ。
ただでさえ救いが無い世の中なのに、少女時の天真爛漫な時の
気持を忘れちゃったら、生きてることにさえ救いなんて
なくなっちゃうじゃない?」
「そうね、少女の時の気持を忘れずにいることは大事な事よ。
でも貴女は子供すぎるの。もっと大人になりなさい。
そんなんじゃ天国には逝けない」
「天国かぁ。そんなもの本とにあるのかねぇ。
まぁ在った方が楽しいにはちがいないけど。
けど神、死後の世界、哲学等の研究を続けてはや10年は経つんだけど、
未だに本当に神様がいるのか、死後の世界が在るのかわからない。
1944年にウィトゲンシュタインが。1972年にはゲーテルが。
神の存在証明を学会に発表してるんだけど、
わたしにはその論文をみてもさっぱりだったよ」
「なにをいってるんですか。桐孤さん、信じる者は
救われるって言葉はご存知なくて? 神という概念を信じるという行為、
その行為こそが救いへの道なの」
「まぁね」
そういうと校長は小切手らしきものを金庫から取り出してきた。
マリア様を形どったユニークな金庫である。
「はい。これが今回の報酬ね」
「はぁ10万ぽっちかよ〜。校長も相変わらずけち臭いなあ」
まぁなにも貰えないよりはましか。
桐孤は、はあ、とため息をついた後、校長室を後にした。
さてと、じゃあ行方不明の女の子を探すとしますか。
まぁ探すといっても私は探偵ではない。哲学者だ。
探偵行為は得意というより、はっきりいって苦手である。
そんな探偵の素人さんを校長が呼んだ訳は、
勿論この事件が普通の事件ではないからだ。
校長曰く、何やら背後に能力者の作為を感じるとのコト。
そこで能力者の中でも才に秀でた私の出番と、いう訳だ。
まずは気の痕跡を探る事から始める。
どうしてもその能力を使った場所、
空間ではなんらかなな痕跡が残ってしまうのが常である。
よほどその能力者が痕跡を隠蔽しようとしても、
なんらかの痕跡は残ってしまうものなのだ。
例えば空間が圧迫されているとか、
何か嫌な感じがするとかそういうことでいいのである。
何か不自然な点を探す事それが、
その不自然な痕跡を探る事に他ならないのだ。
桐孤はまずは聞き込み調査から始めた。
何かこの学園内での不自然な点を探るのには
その学生に聞くのが最良だと思ったからだ。
「あの〜最近学園で変わった事ってない?」
「えっ、あっはい。え〜と何か最近身体の調子が可笑しいですよ〜。
それも私だけではないんです。クラスのほとんどの子がそうだし、
他のクラスの友達もそうなんですよ〜。なんか噂なんですけど、
学園全体が呪われているらしいんです」
「この学園が呪われてるって?興味深い。
良かったらもうちょっと詳しく聞かせてくれない?」
「あっ別にかまいませんよ・・」
質問せれた女の子は親切である。
「・・・なにかここ2・3週間なんかおかしいんです。
学園の番町的な存在の笹山さんは失踪するし、
貧血で倒れる人は急増するし、
挙句の果ては窓が独りでに壊れたりするんですよ。
普通じゃないです」
「あのもし良かったらその失踪した笹山さんって
子について詳しく教えてもらえない?」
「あっ別にかまいませんよ。笹山さんはですね。
学園の泣く子も黙る虐めっ子、悪の権化ですね。
正直いなくなってせいせいしてるのは私だけではないでしょう。
笹山さんの悪事ったら酷いんですよ〜。
特に虐められている人は悲惨そうでした。
何しろ金は巻き上げるは、足を舐めさせるは、
愛撫を強要するはで」
ふと何かこの話している女の子に違和感を覚えた。
何か空間が圧迫される感がある。
「ねえ君、もしかして能力者?」
桐孤は適当に聞いた。当たってたら儲けもの、
外れててもまあいいかという感である。
「えっ違います。私は魔術師なの。能力者なんてものは知らないわ」
「えっ?」
「いいえ、なんでもありません。」
そういうと女の子はそそくさと早足で歩いて行った。
怪しい、と桐孤は思った。だから桐孤はその女の子を尾行することにした。
魔術師???まさかこの子この世ならざるものと契約してしまったんではないか?
桐孤の経験と感がそういっていた。
*
「ねぇ貴女、私を尾行してるんでしょ?いいかげん出てきなよ。」
そういうと桐孤はしぶしぶ顔を出した。尾行が素人にばれる位だからだめなもんだ。
「なんで私を尾行するの?そう、貴女も私の幸せを壊す人なのね。
私はただ普通の人が望むような、ごく当たり前の生活を送りたいだけなのに・・」
「私は別に君に恨みなんかないんだけどね。否、どちらかといえば
君みたいな子は好きかな。けど依頼主から事件の真相を解明してくれ
と頼まれているのでね。君は笹山という女の子と何か関係がありそうだ」
「ええ関係はあるわ。私が彼女を殺したんだもの。
貴女には私の能力を感じとれるのね。悪いけど殺すわ」
そう叫ぶと文乃の姿は桐孤の視界から消えた
「・・・ふふふ・・私はね、生と死との境界に佇む一瞬の煌めきを求めているの。
本とは探偵なんて仕事はこういうことがしたいがためにしてるのかもね」
その瞬間文乃は桐孤の真横から持っていたナイフを突き出した。
「きゃああ」
その瞬間文乃の腕は悲鳴をあげた。
文乃は腕への攻撃に意識を失いかけた。
痛いなんて言葉で形容できるもんじゃない。
それこそ天と地がひっくり返るような、
空が今にも落ちてくるような感じだ。
何処か他人の腕を持っているような感覚。
腕が動かない。桐孤の繰り出す攻撃は
とてもじゃないが、戦闘においてズブノ素人
ともいえる文乃が捉えられるよな生易しいモノではない。
桐孤の繰り出す攻撃は、其の手の達人クラスだ。
だが所詮は人間。この世ならざるものからの
授かった力を持った私の敵ではない。
私には普通の人では決してたどり着けない領域にたどり着いている。
魔術を使える人間なんだ。人には出来ないことが出来る人間なんだ。
「いい気になるなぁぁ!!!ああああああああああああああああああ」
そう言うと文乃は魔術詠唱を唱えはじめた。
「報復を、絶望を、闇を、貴女に捧げる。怨燃焼」
しかし文乃が魔術を唱え終える前に既に桐孤は自らの能力の下準備を始めていた。
「あまい。構成要素分析。属性炎。純度壱百。破壊系。
およそ2秒後に到達。概念反証」
文乃の魔術が対象を劫火の炎で燃やす能力なら、
桐孤のそれはあらゆる概念の反証である。
桐孤の能力より明らかに優れていない限り、
まず敗れる事は在り得ない、非情にレアな能力である。
ここの能力は其の人物の才能による。
つまり能力を使えない者は一生掛かっても使えないという事だ。
それに各能力の属性(桐孤は分類を属性でわけている)
によって生じる相性なども在り複雑なのである。
箜間桐孤は能力使いとして間違いなく一流の部類だ。
桐孤はいとも簡単に文乃の魔術の概念そのものを反証させる。
「くぅっ。けど、甘い!!元は私の魔術、私には効かないっ」
そこで桐孤は叫ぶ。
「ふっ。構成要素分析完了。そしてそこから昇華」
「なぁっ?!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁ!!
燃える燃えるぁぁ熱い苦しああああ」
桐孤の詠唱に因って文乃の魔術は一段高い位置へと昇華されていた。
「ふふ。少しは格の違いって者が解ったかしら?小さな魔女さん」
「・・・・・・・・・」
「まあいい。貴女の魔術とやらを無効化してあげる」
桐孤がそういうと同時に文乃を纏ってた炎を見る見る中に消えていった。
「一ついいことを教えてあげるわ。
あの神戸の事件の事を憶えている?
そう"酒鬼薔薇聖斗"の事。
彼が異常なのは人の殺し方じゃない。
彼が実際に人を殺してしまったという事実なの。
こういうことを言うのもなんなんだけど、
人を殺したいなんて誰もが思うことだし。
彼の異常さはそれを実行してしまった事にあるんだ。
君と同じように現実と幻想との境界が極めて曖昧だった。
君は彼の例に近い。まぁだが、
君が殺したその女にも責任の一端はあるんだけどね。
君にその殺人衝動のスイッチを入れたのは彼女なのだから・・
まぁだからといって、人を殺していいという理由にはならないけど。」
「分かった、私の負けね。ああこんな事なら御姉様を殺すなんて
事をする前に死んじゃえば良かった。ああこの世界は
私には醜く過ぎたの。私は、私の心は純粋なままでいたかった・・・」
「そうか・・・。立てるか?君は非常に興味深い。
良かったら内の事務所で働かないか?
刑務所の中よりは余程ましだと思うんだがなぁ。」
「え、いいの?私はまがりなりにも、人を一人殺してるのよ?
そんな危険人物がいたら貴女も困るんじゃなくて?」
「あはは、それはないね。何故かってそりゃ私も
君みたいな精神異常者だからさ。なぁに、君は実に私好みだし。
私の助手としてどうだい?一応住み込みだし、給料も払うわ」
「そう、じゃあお言葉に甘えようかしら。
どうせ、私みたいな危険人物が今更のこのこ家に帰るなんて出来ないわ。
それじゃよろしくね、桐孤さん」
「ああ、こちらこそよろしく文乃。
ああ今日からまた今まで以上に楽しくなりそうだね」
そしてまた新しい一日が始まる。
To Be Continued.
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ノ 从 ノ´,)つ 終わり │
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