俺とスレッド

このエントリーをはてなブックマークに追加
僕の部屋は海の底にある。
ときどき人が訪れることもある。
大体の場合、隣の人だ。
でも、隣の人の部屋にはよく人が訪れる。
定期的に部屋は浮かぶ。
誰かが浮かす場合もあるし、
隣の人が自分で浮かす場合もある。
どちらかというと後者の割合が多い。
海面にはあらゆる部屋がある。
ここよりもずっと人が多くて、
ずっと盛り上っている。
ときどき、不平不満を言い出す人がいる。
だけど本心からそう思ってるかどうかは
僕にはわからない。
僕はただ、ここで独り、言葉を捜している。
まだ誰も見つけたことの無い言葉を。

夢を見る。
すぐ忘れる夢を見る。
起きた瞬間、そこにあった何かはもう無い。
だけど特に気にすることも無い。
夢を見たことも忘れてしまうから。
だから、悲しい夢も、楽しい夢も、
結局は現実じゃないと、僕に教えてくれる。
僕は感謝をする。
それが、僕自身を僕の世界に戻してくれる
きっかけとなるからだ。
たまに海底の奥で泣いている人を見かける。
彼は、(または彼女は)何かを訴えている。
いつもその無表情の文字の中に、
隠し切れない傷を隠している。
だけどほっぺのあたりからそれは漏れ出す。
本人は必死に隠そうとする。
僕は気付かないふりをした。
周りの皆も、知らん振りをした。
自分がおかしくなってしまうのは
外部からの干渉が原因でなく、
それ自体既に本人の中にあったからだ。
と、僕は思うようになる。
時に人間はおかしなくらいおかしくなる。
それも発作的に。
だからそれがいつ起こるか、
ビクビクしながら時間を過ごしていく。
そうやって今日も生きてきたわけだが。
海底の奥でときどき、キラキラと光るものを見つける。
僕はそれを拾ってにおいをかいで、
腐ってないか確認してから食べる。
言葉を食べる。
たまに賞味期限の切れた言葉に当たる。
すると、どういうわけだが部屋の中が寒くなる。
だから僕は、慎重に言葉を選ぶ。
エロ本ゲッツだぜ。