復活!何でもいいから書き込めゴルァ!

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131 名前: 名無シネマ@上映中 投稿日: 02/10/03 14:33 ID:pZpDDzPa
この映画は1967年に出版されたJoan Lindsayの小説をもとに製作されましたが、
実は小説が発表されるとき削除された章があったのです。
その章は、もちろん映画の中でも描かれていません。
この消された章が謎に満ちたこの映画を理解する鍵になると思うのです。

作者Joan Lindsayの死後、消された章は公表されました。
本のタイトルは「ハンギングロックの秘密」、
以下にその章の要約を掲げておきますね。
132 名前: 1 投稿日: 02/10/03 14:38 ID:pZpDDzPa
ピクニックatハンギングロック 第18章

3人はそのまましばらく草原を歩いていました。その途中で彼女達は、
は遠い太鼓のような奇妙な振動に気がつきました。やがて前方には
巨大な卵型をした石柱(モノリス)が現われました。マリオンはまるで
ひき潮に吸いこまれていくような気がするといい、ミランダもそれに同調します。
でもアーマは何も感じることはできませんでした。石柱はやがて消えてしまいますが、
そのとたん3人の少女は強い眠気におそわれ、深い眠りに入ってしまいます。
何時間寝たのかミランダが最初に眠りからさめました。色のない夕暮れののなかで
全てがくっきりと見えていました。全てのものが美しく完璧でした。
そのとき突然地面がわれ、そこからやせた赤ら顔の道化師のような女がとびだしてきて、
ミランダのひざに乗りました。その女は「そこを通して!」と、頭巾で覆われた目を閉じながら
大きな口であえぐように言います。アーマは「可哀想に、病気みたい、何処からきたのかしら?
その道化の服をはずしてあげるわ。」アーマがそうすると、その女は緊張がとけたかの様に
そこに寝てしまいました。
133 名前: 2 投稿日: 02/10/03 14:39 ID:pZpDDzPa
寝ている彼女のそばで「なぜ私達はみんなこんなばかげた衣装をきているのかしら?」
とマリオンが言いだしました。
「結局、私達は自分たちをまっすぐに保たされる為にこのようなものをつけさせられているのだわ。」
4つのコルセットが地にすてられ、それとともに周りは輝くような静けさと自由が満ち始めました。
彼女達がコルセットを崖からおとした時、すぐそれを見失ってしまいました。
不思議に思う彼女達に「お前達は落ちたのを見ていないのよ、なぜならそれは本当は落ちなかったんだから」
と、いつのまにか眠りから覚めたか、その女がトランペットのようなかん高い声で言いました。
「少女達よ、後ろを振りかえってご覧」という彼女の声でミランダたちが反対の方向を見てみると、
そこにはコルセットが空中に小さな船の帆のようにとどまっていたのです。
ミランダは落ちていた小枝を使って、まるで空間を背景ににかわではり付けられたような
そのコルセットをたたいてみました。「まるで何かから突き出されているみたい」。
すると「それは『時』から突き出されているのだよ」と女は答えたのです。
134 名前: 3 投稿日: 02/10/03 14:39 ID:pZpDDzPa
「何事もそれが不可能と証明されない限り可能だし、たとえ証明されたときですら、、、」
金切り声は何か威厳にあふれていました。
「私達は日が暮れないうちに何処に行けばいいのでしょう?」マリオンは謙遜にその女にたずねたました。
「お前はとても賢いよ、でもすぐれた観察者とはいえないね。ほらここには陰がないだろう、
そして光はずっと変わってないじゃないか。」
アーマは不安げに「私には全く理解できないわ」と言うのですが、
ミランダは輝いた表情で「アーマ、わからないの?私達は光明の中に着いたのよ。」
アーマはなおも「着いた?どこに?ミランダ」と聞きます。
するとその女は立ち上りながら「ミランダは正しいよ。私には彼女の心が見えるんだよ、
その心は理解にあふれているよ。全ての創造物は何処か定められたところにゆくのだよ」と言いました。
女は彼女達には今はとても美しくみえました。そして「まさに、いま私達は到着するところなのだよ」
と女が言ったとき、皆はふたたびめまいに襲われたのです。
そのめまいが去ったとき彼女達の目の前には穴がありました。
その穴は岩にあるのではなく、地面にあるのでもなかったのです。
それは空間の中にありました。丁度満月の大きさで、幻想などでなく現実に存在している
ものとして認識できました。地球のようにしっかりしていながらシャボン玉のように透明でした。
そして開かれていて簡単にはいって行けそうで、まったく窪みも無かったのです。
その場ではその穴を見ているだけで、いままでの生涯にあった疑問が、まるで全知全能を
もったかのようにすべて氷解するのでした。
135 名前: 4 投稿日: 02/10/03 14:41 ID:pZpDDzPa
「私が最初にはいっていいかい?」と女がいいました。マリオンが「はいる?」と尋ねると、
「簡単なことだよ。マリオン、私が岩をたたく合図をするから、送ったら続くんだよ。
ミランダはその後。わかったね」。誰も答えないうちに女はゆっくりと体をすこしづつ穴の中に入っていきました。
最初に頭が消え、続いて肩と胸が一緒に運ばれてゆきました。
フリルのついたパンタロン、そして黒いブーツと尻尾のようについた2本の足が最後に消えてゆきました。
そのあとマリオンは女が岩をたたく音を聞いた時、「もう待てない」と言いながら、
苦もなく後を振りかえりもせず頭から入っていきました。「さあ次は私の番だわ」ミランダは
穴のそばにひざまづいて言いました。彼女の表情はとても穏やかで、とても美しく、
なんの恐れも感じられませんでした。
アーマは「ミランダ! ミランダ! 行かないで! 怖いわ、家に帰りましょうよ!」と叫びます。でもミランダは
「家? なんのこと? アーマ、どうして泣いているの? ほら、マリオンが合図したわ。行かなきゃ!」
と言いました。彼女の目は星のように輝いていたのです。
そしてもう一度合図があった時、ミランダは最後にその美しい長い脚を引き寄せて消えていきました。
アーマは岩に座って待っていました。小さな昆虫の行列が乾いた荒地を横切ってゆきます。
「彼らは何処からきたの?何処にゆくの?みんな何処にゆくの?なぜ?なぜミランダは消えてしまったの?」
アーマは色のない空を見上げながら声をあげて泣き続けたのでした

142 名前: 131 投稿日: 02/10/05 14:34 ID:HwSDOOcL
小説の作者ジョアン・リンゼイはインタビューのなかで
この物語が真実であるかどうかという質問に対して、こう答えています。

「私は物語が事実またはフィクションかどうかあなたに伝えることができません。
 しかし多くの非常に奇妙なこと(論理的な説明を持っていないこと)が
 ハンギング・ロックのエリア近くで起こりました。」

同様の質問に対する監督ピーター・ウィアーの見解。

「実話というよりは事実に基づいているといえるでしょう。どんな新聞や雑誌をみても
 この事件にかんする痕跡はないにもかかわらずこの本を書くようなきっかけとなった
 出来事が確かにおこり、しかもそれが絶対に公表されることはなかったというこです。
 多分この事件の著者が作中で触れた人物、つまり行方不明になった娘達の家族によって
 苦しめられることになった人々の余りに身近に起こった事件だったからではないでしょうか。」
 
やはり類似した事件が実際にあったみたいですね。
当時のこの事件を扱った警察署は火事になり記録は消滅、
新聞にも記録は残っていないようです。
作者のジョアン・リンゼイは現在すでに亡くなっており、
真実は藪の中ということでしょうか。

映画自体はきわめて原作に忠実に描かれている。
これは私見ですが、類似した事件は実際にあったとしても
やはりこの物語の細部は創作なのではないかと思います。
なぜなら18章はあまりにもシュールすぎるからです。