なんでもねこのえほん(改訂版)  

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44名無し戦隊ナノレンジャー!
むかしむかしと言っても、昨日の昨日くらい昔の事。
大きな国の片隅の、ちっちゃな森に小さなギコが飼い主と一緒に暮らしていました。
「音符、僕はお買い物に行って来ますから、ちゃんと留守番しててくださいね」
エプロンをした飼い主は、蝶ネクタイの形を整えるとお出かけしました。
もちろん、大人しくお留守番は出来ません。飼い主のいない内に、さあ、冒険です。
小さなギコはリュックサックと水筒と、三枚におろした愛を持って家を出ました。
わくわくドキドキ。玄関を出るとすぐに、オナモミの森が広がります。
大事な毛皮にオナモミがくっつかないよう、ギコは全速力で駆け抜けます。
45名無し戦隊ナノレンジャー!:01/11/10 09:53
オナモミの森を抜けると、ススキの海です。
ギコの遥か頭上では、お日様を浴びた白いススキの穂が、
まるでマグロのおなかの様にキラキラしています。
足元では時々、ギコの足に驚いたバッタがぴょこんぴょこんとトビウオの様に跳ねます。
ススキの海底に置かれたテーブル珊瑚のようなサルノコシカケにちょこんと座り、
ギコは水筒に詰めたカルピスを少しだけ飲みました。
46名無し戦隊ナノレンジャー!:01/11/10 10:05
ススキの海を渡り、再びオナモミの森を抜け、そしてようやく目的のお城に到着です。
軋む扉を開けて中に入ると、ギコは急いで階段を上ります。
窓からさすお日様の光が、チラチラと埃を輝かせている中、
今日もお部屋の扉はほんの少し開かれていました。
丁度ギコが通れるその隙間から入ると、お部屋の主は、
今日も大きな机でお昼寝してました。
机の上には古ぼけた海図、そして古いノート。
晴れたお空と雨のお空を混ぜ合わせたような色のインクで、
難しい事をたくさん書いてあります。
机に上がり込んでちょこんと前足を揃え、ギコはいつもの様に海図とノートを見ます。
その時です。部屋の主の大きな男の目が、ぱちりと開きました。
47名無し戦隊ナノレンジャー!:01/11/10 10:15
「おう、よく来たな相棒」
目を開けた男は、ギコを抱き上げました。ギコは大人しく男の膝の上に座ります。
飼い主に内緒の冒険は、この男のお話を聞くためです。
男は元は有名な海賊さんで、七つの海を股にかけて暴れまわったそうです。
今でもお尋ね者のため、
こうして田舎の小さな森の片隅に身を隠して住んでいるのだと
最初にあった時に教えてくれました。
「良いか、やつらはホオジロザメより貪欲だ。一度食いついたら絶対はなさねえ。
だから俺はこうして身を隠してるわけよ」
今日もギコに面白い冒険のお話を聞かせた最後を、
賞金稼ぎ達へのその言葉で締めくくります。
大きなホオジロザメが足に噛みつくところを想像し、ギコはプルプル震えました。
その背中を、笑う様に男の大きな手が撫でてくれます。
ですが、不意に鳴った扉のノックの音に、男の手がびくりと震えギコの背中から離れました。
「まま氏さん、いらっしゃいますか?」
>そこもでさん
ここで書くのは邪魔だろうと思って。
私は文章投稿用スレに書くつもり。
49名無し戦隊ナノレンジャー!:01/11/10 10:44
「誰だそれは、俺はまま氏じゃねえ」
「そんなまたまた。家族にばれたくらいでナーバスになって」
笑って部屋に入ってきたのは、糸杉のような男でした。
部屋の主が良く、俺の一の子分で参謀だったと語っていた男によく似ています。
「続き出来てますか? 『子猫と人形(仮)』。
読者も今か今かと待ちわびてるんですよ。ほら、ギコと戯れてないで書いた書いた」
君も、と糸杉のような男はギコを部屋の外へと抱き運びました。
「すまねえ、また明日な!」
 部屋の主は笑って手を振ります。部屋を出されたギコは、大人しく階段を降りました。
そしてお庭に張り出したサンルームでいつもお昼寝している
可愛いギコに御挨拶をしに行きました。可愛いギコは今日もお昼寝です。
リュックから今日のおやつのカリカリを取りだし、半分、可愛いギコの前に置きます。
そして可愛いギコが目を開ける前に、小さなギコはおうちへと帰りました。
二つのオナモミの森と、ススキの海を再び越えて。
おうちには飼い主がお買い物から帰ってきていました。
お野菜とお肉の煮える良い匂いが、お部屋中に満ちています。
「俺すごい、冒険してきた! おなかペコペコ!」
飼い主の足にじゃれ付きながら、小さなギコはあくびを一つ洩らします。
また明日、森と海を越えた向こうの古城に住む海賊と、お姫様に会いに行こう。
小さなギコは明日の冒険に胸を躍らせながら、ご飯が出来るのを待ちました。
お休みなさい、また明日。ギコの冒険は、また今度。        終り。