http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/images/20130518/dms1305181427004-p1.jpg 漫画やアニメのキャラクターの銅像を、舞台の町や作者の出身地に建てる動きが広がっている。
銅像のほとんどは富山県高岡市の銅器メーカーが製造。
国内シェアは9割なのに、知名度はいまひとつだった「高岡銅器」ブランドが、
ブームに乗り存在感を示している。
■妖怪の町
3月末、東京都葛飾区四つ木の公園で、人気サッカー漫画「キャプテン翼」の主人公、大空翼の
“等身大”の銅像がお披露目された。製作したのは高岡市の「竹中銅器」。
同じ区内にある「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の両さんこと両津勘吉巡査長像や、
福井県敦賀市内の「銀河鉄道999」の星野鉄郎やメーテル像も同社の作品だ。
竹中伸行社長によると、キャラクター銅像の注文が入るようになったのは、
鳥取県境港市の「水木しげるロード」が成功を収めてからだった。
「ゲゲゲの鬼太郎」をはじめ、地元出身の水木しげるさんの漫画に登場する妖怪像153体が並び、
今や年間250万人が訪れる観光スポットだ。
1993年のオープン当初は「シャッター商店街に人を呼び戻すための取り組みで、観光客が集まるとは思っていなかった」(市観光協会)。
妖怪の起用には「本当にゴーストタウンになってしまう」と反対もあったが、今では地域活性化の先進例として他の自治体から視察に来るほどだ。
長年銅像を作ってきた竹中銅器にとっても、デフォルメされた2次元のキャラを、イメージを壊さずに
立体にするのは難しい作業だった。竹中社長は「こち亀」銅像では「両さんの表情に苦労しました」と明かす。
■伝統の技
高岡銅器は、加賀藩2代藩主の前田利長が1609年に高岡城に入城した際、
鋳物業発祥の地とされる河内(現在の大阪府)の技術を受け継ぐ鋳物師を城下に招いたのが
始まりとされる。その歴史は400年を超え、1975年には国の伝統的工芸品の指定を受けた。
高岡銅器協同組合によると、高岡では明治時代に仏像が作られ始め、以来、銅像の一大産地として、
小学校の校庭で見かける二宮尊徳や歴史上の偉人など、さまざまな銅像を送り出してきた。
メーカーによると、注文は10年ほど前から増えた。公式の数字はないが、そのほとんどが
銅像の一大産地である高岡で作られているとみられる。駒沢義則理事長は
「時代によって、テーマも変わる。キャラ銅像が高岡を知るきっかけになればうれしい」と語る。
「こち亀」のキャラクター像は葛飾区内に14体を数え、世田谷区に昨年建った国民的キャラ
「サザエさん」一家の像は、波平さんの髪の毛が抜かれたことでも話題をさらった。
町おこしにとどまらない情報発信力。サザエさんを手掛けた「平和合金」は
「最近人気のゆるキャラも銅像になるかも」と期待を寄せている。
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