【著作権】「警察の萎縮効果狙う」赤松健さん、2次創作同人守るための「黙認」ライセンス提案

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1yomiφ ★
 漫画家の赤松健さんは3月27日、文化庁が主催した「著作物の公開利用ルールの未来」に関するシンポジウムで、漫画の2次創作文化を守るための新ライセンスを、クリエイティブ・コモンズ(CC)に提案した。
昨年にも同様な目的でライセンスを提案していたが、「コミケ準備会に突っ込まれた」そうで、新たに、コミケなど即売会当日に限定した新ライセンスを提案。
「黙認」を意思表示するというユニークなものだ。

 「クリエイティブ・コモンズを普及させるには、漫画ですよね」――赤松さんはそう切り出し、新マーク「CV」(connivance、黙認)を説明する。

 「作者として、公式には2次創作は認められないが、従来までのような常識的な範囲内なら、同人誌即売会の当日だけ、無料で2次創作を黙認する」という意思を表示できるマーク。
丸い円の中に黒色で人物マークが描かれ、その後ろにもグレーで人物が描かれている。
前の人物が著作者で、後ろの人物が2次創作者を表している。

 成年向け、BLなど全ジャンルで「黙認」し、内容の審査は即売会運営側に一任。
紙の同人誌、即売会限定の版権で、同人誌書店での販売は認めない。
これまでの2次創作同人文化を支えてきた「イベント当日の黙認」を明示した形だ。

 「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは基本的にデッドコピーを前提にしているが、原作の絵をそのままコピーされたり、切り貼りされるのは困る。キャラと設定だけ使った2次創作が認められるCCマークが欲しい」と新ライセンスを提案。

 2次創作をはっきりと認めるのではなく、“グレー”にするのが狙いで、マークの明示も、漫画雑誌の目次などでは「編集部が認めてくれない」ため、漫画のキャラのシャツに描き込むといったグレーな表示を提案している。

■非親告罪化したとき、警察の萎縮効果狙う

 日本のTPP参加で著作権が非親告罪化した場合でも、作家が作品の中でこのマークを明示していれば、2次創作同人誌のイベント販売に安心感が得られる。
また、漫画雑誌の中で1作品でもこのマークを明示していれば、警察がその雑誌すべての掲載作品の2次創作の摘発をためらうだろうと赤松さんはみる。

 「同じ雑誌の作家同士は知り合いであることが多い。1人でもこのマークを採用していれば、警察が2次創作同人誌を摘発した後、このマークを採用している別の作家から連絡を受け、
摘発された同人誌を認可すると、警察が恥をかくから、摘発しないだろう。警察の萎縮効果を狙っている」

 2次創作同人誌の海賊版を、第三者が無断でネット公開することを止める狙いもある。
以前、「NARUTO」の同人誌の作家が、同人誌の海賊版サイトにアップされた自分の同人誌の削除を申し入れたところ、
「あなたはNARUTOの作者ではなく権利者ではない」とはねつけられたことが話題になったが、このマークを明示した作品の同人誌ならば「作者から黙認されている」と反論でき「泣き寝入りが減る」とみる。

>>2に続きます
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1303/28/news093.html