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コミケットプレス(サークル参加者向け小冊子)より。ごあいさつ(より抜粋)
ごあいさつ
4回連続でこの『プレス』で扱っている「都青少年条例」の問題ですが、改訂後の変化は未だ見られません。
内容的に曖昧な部分を多く含むため、準備会もこの条例改定には反対してきたわけですが、案の定条例の改定内容が正しく広く伝わっているかについては、疑問に思わざるを得ません。
商業誌の現場では条例の改定内容とは直接関係がないような言葉やシチュエーションを自主規制するような混乱があるようですし、同人誌の世界でも身分証提示による「全年齢確認」と言う過剰な対応が一部で進んでいたりもします。
法制面から言えば、この都条例の改定において「販売」方法に関する規制は全く変わっていませんし、そもそも年齢確認に関する規定はなく、方法は任せられています。
行政面からは、同人誌及び同人誌即売会については、旧改定案の時(10年4月)に都青少年課が作成した「質問回答集」において、基本的には都条例の対象外ではあるが、自主的な取組を求められている位置づけです。
そして、コミケットにはたびたび、都青少年課の担当者が来訪されますが、机を挟んでの対面販売とそれに基づいた必要に応じた年齢確認、というやり方でご理解をいただいています。
世の中の運用を見ても、書店等で成年マークのついた図書の販売で全年齢確認をしているケースは多くはありません。
借用条件として「全年齢確認」が求められている一部の会場での開催においては必要な措置を講じなければならないでしょう。しかしながら、それは例外的な対応です。
今まで挙げてきたような現状において、同人誌即売会がこれまで行ってきた「18歳未満と判断つきにくい場合には、身分証明書などで年齢確認を行う」を超えての自主規制を行う必要はないとコミケットでは考えています。
過度の自主規制をしたからといって、規制を望む側は次のさらなる規制を求めるだけですし、前線を下げることは問題の解決にはなりません。
サークルの皆さんも「購入者とトラブルにならないように、全員に年齢確認をする」、「後からクレームが来ないように、ちょっとの性描写でも成年マークを入れる」といった判断停止による過剰な自衛に陥らないでください。
そして、他のサークルを貶める道具にこの件を使わないでください。
いま、本当にその危険はそこにあるのか? 自分の首を自分で絞めていることになってはいないか? 度々のお願いとはなりますが、一年の最後に当たり、今一度じっくりと考えて欲しいと思います。
来年もこの遊び場が楽しくあるためには、準備会のみならず、参加者の全員の協力が必要なのですから。
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同コミケットプレス35 P5(P7下段”ゾーニングに対する考え方”もほぼ同様の内容)より
都青少年条例の運用状況と今後の同人界での取り組み
弁護士 山口貴士
(前略)実際には、成年向けにするかどうかは従前通りの感覚で判断頂いて構わないと考えます。
(略)法的に18歳未満に販売が禁止されるのは、東京都が不健全図書として指定したものだけです。成年向けの表示は行政ではなく、各サークルが自己の自律的な判断において付するものです。(略)
条例改正後も、ゾーニングの方法について変更はありません。昨年の都条例改正の議論が高まる中、議員や行政の目は同人誌即売会にも向けられましたが、各サークルによる対面販売方式は肯定的に評価されていました。
条例改正後、一律の年齢確認をしている即売会も現れています。しかし、東京都の条例は一律の年齢確認を義務づけてはいません。各サークルが必要と感じた場合に自主的かつ誠実に年齢確認を行えば十分なのです。
条例の遵守は大切です。が、一方で自由が大原則であることを忘れてはなりません。条例の中身をよく理解しないまま、自他の自由の範囲を狭めていないか、今一度、振り返ることが重要であると思います。