2012年秋に、米国とカナダで日本アニメの流通で大きな挑戦が始まる。米国でアニメやマンガの
発売、キャラクターライセンスを手がける大手企業 VIZメディアは、家庭用ゲーム機を通じた
24時間のアニメチャンネル「Neon Alley」を今年秋からスタートすると発表した。
Neon Alleyは、アクションやアドベンチャー、SF、ファンタジーなど日本の幅広いアニメを
ラインナップする。視聴料金は月額6.99ドルで、見放題でサービス提供する。サービス立ち上げに
あたっては、『NARUTO -ナルト- 疾風伝』、『犬夜叉完結編』、『デスノート』などの定番人気作品、
さらに『TIGER&BUNNY』、『ZETMAN』、『ぬらりひょんの孫』などの新作、『ベルセルク
黄金時代篇』の長編劇場映画が用意された。
同社は、デジタル配信ビジネスに積極的に取り組んできた。自身のポータルサイトや
Hulu、Netflixなど様々な動画配信プラットフォームで作品を提供する。そうした試みは、
現在まで順調とされている。Neon Alleyはその実績をさらに進化させたものである。同時に、
これまでと異なる大胆な取り組みが数多く取り入れられている。
ひとつはNeon Alley配信サービスが、これまで多かったPCやモバイルでなく、家庭用ゲーム機
(ゲームコンソール)を通じたテレビでの視聴となる点だ。PCではなく、リビングにあるテレビの
大きな画面で観ることを中心に据える。
5月に発表されたニールセンの「Cross-Platform Report」によれば、現在、米国家庭での
ゲームコンソール機の役割は急激に変わり始めている。ゲームコンソール機はゲーム機で
あるだけでなく、ブルーレイプレイヤーであり、動画配信システムやソーシャルゲームとつながり、
デジタルコンテンツのコントロールセンターになっている。
さらにニールセンの調査では、すでに2011年第4四半期の段階で米国家庭の45%がテレビと
ゲームコンソール機をつないでいることが明らかになっている。ゲーム機の普及率は、アニメの
視聴者が多い子どものいる家庭や、アニメ・ゲーム・マンガファンでは特に高いとみられる。
アニメの視聴者の中心である子どもは自分のPCを保有していないことが多く、インターネット配信は
潜在的な視聴者にリーチ出来ていないとされてきた。こうした問題点を解決することになる。
Neon Alleyのプログラムの充実も注目される。特に全ての番組の英語吹き替えとノーカット版を
打ち出した点は大きい。北米では吹替えより字幕版のほうが、コアなファンから支持されると
言われることが多い。しかし、実際の視聴では吹替え版がより大きな人気を集める傾向が強い。
特に子どもたちやカジュアルなアニメファンを取り入れるには、吹替え版の果たす役割は大きい。
さらに一部の作品の高画質で配信、北米での吹替え版が初登場の新作、アニメの最新情報や
舞台裏の情報を提供するオリジナルコンテンツも提供予定する。新作エピソードの独占配信も
あるとしており、インターネットの違法動画とは異なるプラスアルファの価値を提供する。
アニメ!アニメ!ビズ(一部略)
http://www.animeanime.biz/all/126301/ Neon Alley(音出ます)
http://www.neonalley.com/ Viz Media
http://www.viz.com/node/1005238