わかっている。これはほとんどの人より4倍早いという。さらに、ロチェスター大学の研究者らによると、
熟達者は混乱することなしに同時に6つのことに注意を払うことができる。通常は4つまで注意を払うことができるという。
これらの研究はゲームを販売する企業とは関係なく、独自に実施された。
科学者らはまた、ゲーマーの約42%を占める女性について調査し、男性のほうが通常高い能力をもつとされる3D(3次元)の
認知能力において、ゲームに興じる女性のほうが、興じない女性よりも能力が高いという結果を得た。
ほとんどの研究が子どもではなく大人を対象に実施されている。
一方で電子ゲームには否定的な面もある。インディアナ大学の研究者らが最近報告したところによると、暴力的なゲームは
健康な若い成人男性の脳の働きを1週間で変化させ、感情を司る部分の活動を弱めたという。他の研究でも、
ゲームへの強迫観念や、体重増加、内向性、うつ傾向といったものと、ゲームとの関連性が指摘されている。
ただ、これらの研究はゲームの利点と欠点を比較していない。
コンピューターゲームは41年前にコインで遊ぶビデオゲームが市場に登場してから大きく成長し、現在では年間250億ドル
(約2兆円)の規模を持つエンターテイメント産業になった。業界団体の米エンターテインメント・ソフトウエア協会によると、2010年に販売されたゲームは2億5700万本。
電子ゲームが人の能力にどう影響するかを研究したウイスコンシン大学の心理学者、ショーン・グリーン氏は、
「ビデオゲームは脳を変化させる」と言う。読み方の学習やピアノの演奏、ロンドンの通りのナビゲーションなども同様に
脳の物理的な構造を変化させるという。集中力と、ドーパミンなどの神経伝達物質の放出急増との強力な組み合わせが
神経回路を強化するのだ。運動が筋肉を鍛えるのと同じだ。しかし、「ゲームは確実に、脳の報酬系を刺激する。
すべての活動でこうした刺激が得られるわけではない」とグリーン氏は言う。
2000人のゲーマーを調査したカリフォルニア大学サンディエゴ校のアナリスト、ジョシュア・ルイス氏は「こうしたことが、
われわれを殺人兵器に変貌させるかどうかを判断するために、無駄に多くの注意が払われてきた」と言う。その上で
「暴力以外の、ゲームが持つユニークかつ興味深い特徴については、十分な注意が払われていない」と語る。
大まかにいって、今日の平均的ゲーマーは年齢が34歳、電子ゲーム歴12年で、週に最高18時間をゲームに費やす。
あるアナリストの計算によると、オンライン・ロールプレイングゲーム「ワールド・オブ・ウォークラフト」の
登録者約1100万人が全体で2004年の同作品のデビュー以降に費やした時間は、人類が進化に費やした時間に相当する。
実に約500億時間、年に換算すると590万年だ。
ミシガン州立大学チルドレン・アンド・テクノロジー・プロジェクトの研究者らは昨年11月、ほとんどのゲームが
子どもの創造性を高めるようだと発表した。同プロジェクトは3年にわたり491人のミドルスクールの生徒を調査、
人種や性別、またどんなゲームをしたかに関わらず、ゲームで遊べば遊ぶほど創造性をみる試験で良い成績がとれたという。
対照的に、携帯電話やインターネット、ほかの目的でコンピューターを使用することでは創造性に何ら影響は
あらわれなかったという。
連邦政府から補助金が出た同プロジェクトを率いたリンダ・ジャクソン氏は「驚いたことに、攻撃的なゲームであろうと、
スポーツゲームであろうと、何のゲームをしているかは少しも関係なかった」という。同プロジェクトはミシガン州の20の
学校を対象に実施された。
一般の国民を対象にした過去最大規模の研究がカナダのバンクーバーにあるサイモン・フレーザー大学で行われている。
研究者のマーク・ブレア氏は対象の15万人にオンラインゲーム「スタークラフトII」で遊んでもらい、認識力、注意力、
行動、また秒単位の決断力に関する15億以上のデータポイントを基に、被験者の行動を分析中だ。
これらの分析を通して、ブレア氏はどのように人がオンラインの世界でエキスパートになっていくかが判明することを
期待している。その研究結果は、新しい知識や経験がいかに習い性になっていくか、また周囲の世界に対する反応の仕方に
どう影響するかに関して、光を当てることになるかもしれない。
http://jp.wsj.com/Life-Style/node_404228 I know...